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(開演ブザー)
♪~
(奏奈) う~ん どうしよっかな~
あっ そうだ ここに――
“ハッシュタグ 玉響”
よし
あ~!
(小野田) ただいまで~す (奏奈) あ~ おかえりなさい~
どうですか? 編集は
(奏奈) いや~ 今 書き出し中です
いっぱいテロップ入れちゃったから ちょっと時間かかるみたいで
(小野田) じゃあ 休憩にしましょうか
やった!
あれ? これって…
(小野田) 今日は ちょっと気合い入れてみました
先週発売された トミオカフェの――
レガートショコラフラッペ
チョコソースカスタム
(奏奈) わあ~!
これ インスタで めっちゃ出てくるやつ!
(小野田) この前 奏奈さんが 話してたの思い出して
(奏奈) えっ 頂いていいんですか? (小野田) もちろんです
もう いつも現物支給ですいません
(奏奈) 全然 っていうか――
小野田さんのおやつセンス どんどん上がってません?
私 実は楽しみにしちゃってます
ほんとですか?
よかった~
奏奈さんのおかげで――
私も おいしいものを発見するのが 楽しくなってきちゃいまして
(奏奈) あっ じゃあ…
(小野田) あっ… (奏奈) 乾杯
(飲む音)
(奏奈・小野田) うまっ!
(小野田) うまっ! (奏奈の笑い声)
(飲む音)
(奏奈) う~ん!
んっ そうだ
小野田さん (小野田) うま…
(奏奈) これ さっき届きました
(小野田) ああ ありがとうございま~す
うんっと?
おっ おっ おっ おっ…
おお~ (奏奈) ん?
(奏奈) おお~っ
かっこいい~!
(小野田) お二人が並ぶと画になりますねえ (奏奈) ですねえ
いや~ 彰ちゃんが会いに来た時は――
もしや お似合いじゃんって 思っちゃいましたもん
確かに この前の熱愛が――
話題になってましたもんね (奏奈) うん
でも お姉ちゃんの気持ちは 完全に…
(小野田) ええ
私も 密かに応援してます
えっ? ほんとですか?
はい
谷岡さんのおかげで――
朝陽さんは 随分素直になりました
いや~ 朝陽くんも――
結構お姉ちゃんのこと 好きだと思うんだけどな~
(小野田) だとしても 全く自覚してないでしょうね
(奏奈) う~ん 難攻不落の朝陽くんの城を どう攻めるか
(小野田) 攻め落とせるとしたら――
谷岡さんしかいない気がします
底なしですからね
好きなものに対する お姉ちゃんのガッツ
奏奈さんも 発動してもいいと思いますよ
ガッツ
えっ?
奏奈さんは――
人の気持ちに寄り添える 優しい人です
でも たまには 自分本位になってもいいのかなと
(ため息)
小野田さん…
(小野田) ん?
どうすればいいと思います?
えっ? (奏奈) 今までは――
好きだなって思えば 好きって言えばよかったんです
そりゃ勇気はいるけど もともと駆け引きとか苦手だし――
“えいやっ”って言っちゃえば うまくいくにしろ フラれるにしろ――
状況は動くでしょ?
(小野田) ああ ああ… (奏奈) でも 今は――
状況が特殊すぎるじゃないですか!
一緒に住んでるし――
そもそも お姉ちゃんのこと好きだった人に 好きとか だいぶじゃないですか
小野田さん
私 どうすればいいですか?
あっ あの~…
すいません 私 独り身でして――
参考になるようなことは 何もお話しできないかと…
そんなの関係ないです
小野田さんは 誰よりも みんなのことを見てくれてて――
信頼しています
奏奈さん
わかりました
私の知ってる知識を 全て奏奈さんにお伝えします
ほんとですか?
必要であれば メモのご準備を
(奏奈) あっ はい
お願いします!
いきます (奏奈) はいっ
まず… (奏奈) はい
フルート奏者は…
フルート奏者は…
フルート奏者は――
右肩が凝りやすいですね
(小野田) 楽器の構え方的に
こう…
ねえ?
やっぱダメだ すいません…
ハァ~…
(奏奈) 確かに…
えっ?
確かに蒼くん――
よく右肩 グルッて回してる
小野田さん 他には?
あっ…
あ~…
他には――
唇が乾燥しやすい楽器ですね
そうそうそう! 上着とかズボンのポケットに――
絶対1個はリップ入れてる!
あと 優雅な楽器ですが サバサバした性格の方が多いですね
あ~ そうかも
明るいし 切り替え早いし――
まあ 無理してるとこ あるんだろうけど――
お姉ちゃんのことも 応援モードになってるみたいだし
えっ なんですか?
ほんと――
蒼くんのこと よく見てるんですね
えっ…
え… まあまあ…
蒼偏差値の高さは 本人公認済みなので
でも――
知ってるだけじゃ どうにもならないんですけどね
お力になれず…
ああ そんな
話聞いてくださって ありがとうございました
(土井) 失礼します
小野田さん 扶養手当のことなんですが…
なんですか?
土井さん
結婚9年目
3児の父
恋愛指南 お願いします!
なるほど
僕に目をつけるとは お目が高い
(小野田) ありがとうございます
(奏奈) 朝陽くん 戻ってこないかな?
(小野田) 今日は市長に呼ばれたので そのまま直帰でしょう
(奏奈) はあ…
でも 土井さんと恋バナって なんか想像できないけど…
おやおや
奏奈さんは まだまだお子様ですねえ
お子様…
人を印象で判断しては 痛い目に遭いますよ
何を隠そう 僕は学生時代――
クラシック音楽の関連本から――
他者とのコミュニケーションを 円滑にはかるため――
多くの参考図書を読みあさっていました
自己啓発本から恋愛指南書まで――
大学図書館にあったものは 全て読破
誰よりも勉強してきた自負があります
(小野田) さすが 膨大な知識を持つ土井さんです
いよっ 勉強家
奏奈さん
恋には 3つの“ing”が必要です
3つのing?
(奏奈) あっ はい…
(書く音)
timing
feeling
happening
この3つのingを意識して行動すれば――
恋愛なんて簡単なものですよ
(小野田) おお~…
なんか それっぽい…
(携帯電話の振動音) 一番難しく――
一番大事だといわれているのは――
ハプニングです
王道は――
“道の角でぶつかる”
“ヤンキーに襲われる”
“体育倉庫に閉じ込められる” などになります
(奏奈) ああ 少女漫画でよく見るやつ
しかし ここは 少女漫画ではなく現実の世界
日常を過ごすだけでは――
そうそうハプニングなんて起きやしません
ですが 奏奈さんの場合――
一緒に暮らすことになったことこそ 立派なハプニング
(奏奈) ほう (土井) 既にクリアしてます
フィーリングも 客観的に見て問題ないでしょう
あとは タイミングを待つだけです
なるほど~…
いや~ それが難しいんだよな~
あっ 土井さんは?
えっ? (奏奈) あっ 土井さんも――
奥さんとつきあうために ing 実践したわけでしょ?
もちろん 実践しました
どんな感じで?
その~… 妻は――
音大の図書館の司書をしていまして…
図書館での出会い? あ~ 素敵~!
毎日のように通っていたのですが――
他人の目を見られない僕に いつも気さくに話しかけてくれて――
一度思い切って顔を見てみたら――
とびっきりの笑顔で…
恋に落ちたんだ
ええ まあ… (土井・奏奈の笑い声)
なんとしても 彼女と仲良くなりたかった僕は――
当時 仕入れたばかりのingの法則を 実践しようと試みました
まず 手始めに――
本棚の影に隠れて――
ぶつかってみることにしたんです
えっ? あ~ ハプニングか…
しかし 彼女に 先に見つかってしまいました
うん 実行しなくてよかったと思う…
(土井) それから 彼女の好みを調べて――
間違って2つ買ってしまったと言って ジュースをプレゼントしました
フィーリングね
そのとおりです
この作戦は功を奏し――
好みが一緒だね~ なんて 盛り上がったんです
おお~
じゃあ 次は タイミングだね
フィーリングです
えっ? (土井) フィーリング押しです
どういうこと?
ハプニングもタイミングも――
僕の間が悪くて 全く実行できず――
結果として 毎日毎日 ジュースを渡し続けました
そして 1カ月後には――
今までありがとうと――
5000円札の入った封筒を渡されて…
あ~…
終わったと思いました
ハァ…
あっ でも それが今の奥さんなんでしょ?
そこから どうやって?
(土井) わかりません
(奏奈) えっ (土井) 5000円事件の1週間後――
彼女に突然 告白されました
ええ~っ なんで?
恐らく――
それが妻のタイミングだったのかと
はあ~…
そっか~
土井さんが右往左往してるうちに――
奥さんも土井さんのこと 好きになってたってことか
まあ…
そうかもしれませんね
なんか 結ばれるべくして結ばれたって感じ
奏奈さんの思いも きっと届きますよ
どうですかね
奏奈さんは 人一倍 気遣いと思いやりにあふれた人です
あなたが思うタイミングなら――
きっと正解です
ありがとうございます
頑張ります
(土井) はい
陰ながら応援してます
でも 奥さんは――
土井さんのどこを いつ好きになったの?
自分を思っている相手を 好きになるのって――
何がきっかけだったんだろ
知りたいですか?
へっ? 知りたい
えっ 知りたいです!
えっ すごく知りたい! 土井さん
いや 土井様! いや 恋愛マスター!
いよ! 恋愛マスター! (土井)ハッハッハッハ…
(奏奈) 教えてください~! (土井の笑い声)
(奏奈) 玉響いちの恋愛マスター (土井) 恋愛マスタ~
では 恋愛マスターが 教えてしん…
(足音) (小野田) あっ…
(小野田) ただいま 戻りました
(奏奈) おかえりなさい…
お疲れさまでした
(朝陽) 何してるんです?
少々 恋愛相談を
はい? (小野田) ああ~ まあまあまあ…
奏奈さん
土井さんに いいアドバイス頂けましたか?
あっ はい まあ無事に…
あっ…
何か?
アドバイスもらえたりします? マエストロ
と言うと?
朝陽くんは どういう時に恋に落ちるの?
は?
なんですか? 急に
今 土井さんに聞きそびれて
では 土井さんに聞けばいいのでは?
いや 朝陽くんのせいで帰っちゃったし
小野田
奏奈さんの思い人は 音楽家ですから――
ここは 朝陽さんが
やっぱり 音楽やってる人は 同業者のほうが良かったりするの?
ほら 玲緒さんたちもそうだし
(朝陽) 一概に そうとは言えません
(奏奈) でも 朝陽くんって 音楽以外 興味ないでしょ?
音楽の話できる人が良さそう
一口に音楽といっても――
会話のレベルが合わないと 逆にストレスになるだけです
じゃあ 今までの彼女は 音楽関係だけじゃないんだ
(朝陽) まあ (奏奈) 日本人だけじゃないよね?
ご想像にお任せします
基本 受け身でしょ?
アプローチされたら 何を基準にオッケーするの?
時と場合によります
(奏奈) 好みのタイプは? (朝陽) 特にないです
(奏奈) 今までの彼女って… (朝陽) 僕の話は 今 関係ないですよね?
ごめんなさい
朝陽くんって――
的確に導いてくれるっていうか――
コミュ力には難ありだけど 人間力は半端ないでしょ?
だから なんか…
ヒントもらえるかなって
私 蒼くんのこと――
この先どうすればいいか 全然わからなくて
(朝陽) あなたらしくないですね
えっ?
無遠慮に人の懐へ飛び込んでいくのは あなたの特技でしょう
いつもどおりやればいい
いやいや そういうわけには…
あなたのように フラットに相手と接し――
飾ることなく飛び込んでいける人間は そう多くありません
その自然体なところが あなたの持ち味では?
あれ?
もしかして褒められてる?
(小野田) 褒められてます
あなたらしさを あなた自身が 殺してしまってどうするんです
私らしさ…
私らしさか
音楽でも――
最終的には 自然体で伸びやかな…
つまり 朝陽くんは 私の 無遠慮に懐に入ってくるところ――
いいところって 思ってくれてるんだよね?
まあ 僕は コミュ力には難ありらしいので
(小野田) 根に持ってる…
自分が持ち合わせていない部分に 目が行くのは当然です
ということは――
そういう人がタイプってこと?
は?
それって お姉ちゃんのことじゃない?
はい? (奏奈) えっ だよね? 絶対そう!
谷岡さんと奏奈さんは そういうところ そっくりですからね
(奏奈) ねえ~? (朝陽) なぜそう飛躍するんです
そういえば お姉ちゃんには よくタメ口になってるよね?
気のせいでは?
お姉ちゃんのことになると ちょっとムキになるし!
(朝陽) 気のせいです (奏奈) あれ?
朝陽くんって末っ子じゃん
長女との相性バツグン!
(初音) あっ 常葉さん
(奏奈) 今 朝陽くんの女性の好み リサーチ中
なぬっ!?
お疲れさまです
私も知りたいです
どいてください
教えてくれるまで帰しません
(朝陽) どけ! (初音) 教えてください!
(奏奈・初音の笑い声)
(初音) 教えてください (朝陽) 谷岡さん
なんでもいいんで!
特にない! 谷岡さん!
(奏奈) あっ じゃあ 懐… 懐に入ってくる人がいいんだって
うわ 溶けちゃった…
(初音たちの騒ぐ声)
春だねえ
♪~
(奏奈) 懐に入ってくるのがいいって (初音) 懐に入る? 懐に入る…
(3人の笑い声)
小野田~!
(奏奈) そういう意味じゃない…
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