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(小林 苺) あなたは最後に何を食べますか?>
ついに起こってしまった第2の事件
(高橋) 帝都ホテル 男女殺人事件の重要参考人として…
(茜の祖父) 茜に何の用だ!? (古川 茜) いいの!
(苺) そして 事件を裏から操る怪しい陰
その名も“マグダラのマリア”
彼女は 一体 何者なのか? 事件は まだ続くのか?
東京の上空に暗雲が立ち込める
この物語では…
(明智五郎) 小林1号 (苺) 苺です! …て また来た
それは こっちのセリフだ ここは僕の探偵事務所だぞ
どれ 代わりたまえ
(苺) アッ! ちょっと! ウワッ!
この物語では 美食探偵 明智五郎が挑む――
難事件の裏側を 少しだけ のぞき見ることができる
そう これは いわば――
お得意さまのためだけの マル秘裏メニューなのだ
今日のお話は 林檎こと 古川茜の マル秘裏メニューです
(明智) かぶってるぞ (苺) はい
♪~
~♪
(苺) 明智さん リンゴ むけましたよ
(明智) ありがとう
何の形だ? これは
(苺) 見たまんま お寿司ですよ
うん 味はリンゴだ
(明智) そりゃ そうだろう
茜さん これから どうするんだろう?
罪には問われなくても 人殺しに 関わった事実は消えないからな
茜さんなりの方法で 償ってくれたらいいな
あっ! なんか 茜さんの恋って 彼氏が浮気しないで――
殺人事件にならなかったら あの歌みたいでしたよね?
歌?
え~ 何でしたっけ? あの
恋人が上京して だんだん変わっていっちゃう
え~
♪ 恋人よ 僕は旅立つ
♪ 東へと 向う列車で
(苺) チャチャ チャチャ… (明智) 歌詞から察するに――
「木綿のハンカチーフ」のようだが
えっ?“歌詞から察するに”?
音程だけでは判断できなかった 怖かった
ちょ それ どういう意味ですか?
上遠野氏は――
「林檎殺人事件」みたいだと 言っていたし――
いやはや 昭和の名曲に 彩られた事件だったということか?
う~ん あの歌みたいに――
切ないだけで 終わればよかったんですけどね
(茜) お待たせ!
あの…
これ
(沢田 剛) なに?
(茜) うちのリンゴで作ったジャム
(剛) 手作り? (茜) うん
(剛) うまい (茜) フフッ! やったぁ
茜 料理 上手なんだな
これね
死んだお母さんがら 教えてもらったレシピなんだ
そっか ごめん
ううん
うち お父さんも いないべ
だから 私――
温かい家族の団らんみたいなのを ずっと憧れててね
剛君と いつか そうなれたらいいなって
♪~
俺 大学卒業したら 戻ってくるから
ごめんね 一緒に行げなくて
(剛) しかたねえよ
茜が この農園 継がないといけないんだべ
(茜) 本当は…
俺が帰ってくるのを待っててける?
(茜)“一緒に行こう”って 言ってほしかった
うん
待ってる
(茜) あのころの私はバカで 幸せだった
だから こんな未来が訪れることを 少しも想像できなかったんだ
(通知音)
(明かりのつく音)
(祖父) 何してたんだ? こったら暗い部屋で
ちょっと調べもの
早く寝ろ
うん
何かあったのか?
何でもないよ
(祖父) お前のお母さんも そうだった
何があっても“何でもない”って
お前 おなかさ こさえて 戻ってきたときも そうだった
私は大丈夫
(祖父) 茜…
お前の人生なんだ お前の好きにせえ
ありがとう
(祖父) ああ
お前 お母さんさ似て 美人さんさ なってきたな
フフッ…
おやすみなさい
(祖父) うん
♪~
(茜) 私は 母親似なんかじゃない
♪~
(水道の音)
私みたい
傷ついで 汚れで…
(茜) そのとき 思い出したのは あの日の母のことでした
(母親) ハァ…
(母親) ハァ…
茜 やめなさい
(茜) だって――
こんな汚くなっちゃったの 食べられないよ
そんなことない
見た目が どんなに傷ついて汚れても――
おいしいままなんだがら
(茜) あのとき――
母も 今の私と 同じことを思っていたとしたら――
幼い私は 残酷なことをしました
♪~
お母さん?
あっ…
ごめんね
拾ったリンゴは ジャムにしましょうね
作り方 教えてあげるがら
(茜) やったぁ!
フフッ…
(茜) いい匂い
(母親) お料理は 愛を込めて作るのが大切なんだよ
愛って なに?
えっ?
そうね
お母さんは…
茜のこと 愛してるわ
大好きってこと? じゃ 私も お母さんのこと愛してる
(茜) 母は あのとき 私の顔を見て何を思ったんだろう?
だって 私の顔は…
私の顔は…
母を捨てた父に よく似ていたから
(泣き声)
(泣き声)
お母さん 大丈夫? どうしたの?
(茜) ねえ お母さん (母親) やめて!
(母親) アア…
ごめんね 茜
愛って…
難しいがら
私ね
お父さんのごと…
愛してだの
お父さん?
(母親) おいしいに煮えだ
ホント…
そっくり
なぁに?
(コンロの点火音)
♪~
ほら
味見しでみで
(茜) うん
愛してるわ
茜…
(茜) 熱い! 熱いよ!
あっ 大変! ごめんね!
(母親) ごめんね! (茜) 熱い!
(水道の音) 熱いよ!
(母親) はい
(茜) そうだ
あのとき お母さんは わざと…
ひどいなぁ
でも 今なら その気持ち 痛いくらい分かる
(泣き声)
母も また 私と同じ 落ちたリンゴだった
お母さん
愛って 大好きってだけじゃないんだね
だけど 私…
あなたみたいに 傷ついて終わるのは イヤ
だから 私は――
魔女になる
(沸騰する音)
(沸騰する音)
傷ついたリンゴは――
果実自体が その傷を治そうと 傷がない物より 甘くなるらしい
人生も また しかりだ
(苺) なるほどなぁ
しっかし 愛してるから殺すって どんな感じなんでしょうね?
私だったら 愛する人には――
毎日 おいしい手料理 食べさせて 笑顔にさせたいって思うけどなぁ
なに? この沈黙 何よ? その目
ないって 明智さんは ないないない!
だけど この前 明智さんの実家まで行って――
親にも会っちゃったし
えっ!? も… もも…
もしかして 明智さん そういうつもりがあって?
ちなみに 苺は…
なに? 突然の名前呼び?
傷ついた所から すぐ腐る
はぁ?
しかし 形が悪い物のほうが おいしいんだ
小林1号 君は せいぜい 不格好な恋に励みたまえ
傷ついて 腐ってしまう前にな
はぁ~!?
じゃ 明智さんの恋愛は どうなんですか?
“匂わせ”ばっかりで――
実際に 女性と一緒にいる所なんて 見たことありませんけどね
ねえ ちょっと 聞いてます?
(苺) ンッ! 今日は もう帰ります!
(ドアの開閉音)
(マリア) 世界中の人間を―― 殺してしまわないと
私たちが…
アダムとイブになるために
♪~
~♪
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