All language subtitles for べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~(35)間違凧文武二道(まちがいだこぶんぶのふたみち)

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Original subtitles

越中守様への皮肉を込めた黄表紙➡

「文武二道万石通」。

舞台は 鎌倉時代。

主君 源 頼朝に請われ➡

忠臣 畠山重忠が 鎌倉武士を➡

文に秀でた者➡

武に秀でた者➡

そして どうにもならない➡

「ぬらくら」に より分けるというお話で。

(松平定信)水野!

これは もしや…。

(水野為長)梅鉢の紋!➡

あいや 殿にございますか!

喜三二の神が 私を うがってくださったのか!

一方 締め上げられる ぬらくら武士どもは➡

田沼一派の者として描かれ➡

しまいには 頼朝に見立てられた 将軍 家斉が➡

ぬらくら武士どもに…。

文とも武っとも言ってみろ!

…と説教するというオチ。

なんと ありがたきことだ!

…しかし 取りようによっては➡

殿が心血を注いでやっている政を 馬鹿にしておるとは言えませぬか?

黄表紙なのだから 面白くせねばなるまい。

肝要なるは 蔦重大明神が それがしを 励ましてくれておるということ。

違います。

大明神は 私が ぬらくら武士どもを鍛え直し➡

田沼病におかされた世を➡

見事 立て直すことを お望みだ!

ものすごく違います!

天明八年戊申➡

私は 一層 励まねばならぬ!

(徳川家斉)柴野栗山? はっ。

阿波蜂須賀家で 儒者をつとめておりました者を此度➡

将軍家のお抱えとしては いかがかと。

(一橋治済) わしの顔に 何かついておるか?

ご無礼を お許しください。

ご尊顔に 思わず 見惚れてしまいましてございまする。

(治済)顔は… まぁ 顔はなぁ。

しかし 越中 何故 この者を?

亡き家治公の治世➡

栗山先生が上申された栗山上書が まこと素晴らしく➡

此度 田沼病を根本から治すべく お力添えを願った次第にございます。

根本から治すとは 何をするのだ?

(栗山)世は 所詮 人の集まり。➡

一人一人が正しき人とならねば 正しき世とはなりませぬ。

では 人を正しき者とするのは何か それは学問 孔子の教えにございます。

(定信)そのために 江戸府内に 弓術指南所を設け 湯島聖堂も改築し…。

蔦重の黄表紙は➡

皮肉にも 越中守様を勢いづかせる 結果となってしまったのでした。

そのころ 蔦屋では…。

おい 「文武二道」ねえのかよ!

お待たせいたしました!

(つよ)お待たせ~! おお~!こっちにも くれ!

♬~

⚟(みの吉)旦那様! (蔦屋重三郎)ん?

(みの吉)客が 一丁先まで 並んじまってるんですけど!

じゃあ…➡

持ってけ 泥棒!

(みの吉) え? このまま渡しちまうんですか?

おう 綴じ糸もつけてな。

太っ腹ですね!おう! じゃあ やっちまいますね。

お代は もらえよ。 え? 今 持ってけ 泥棒って…。

言葉のあやだ べらぼうめ! (みの吉)へえ!

(てい) しかし とんでもない売れ行きですね。

おていさん。

こりゃ 世の流れが 一気に変わるんじゃねえですかねぇ。

♬~

♬~

さあさあ 聞いとくれ 聞いとくれ!

御用とお急ぎでない方は ちょいと聞いておくれ。

今 巷で噂になってる あの話だよ。

間もなくだ 摺りたてのほやほやを売り出すよ!

なかなか 的を射ぬくことができなかったな。

おう 弓手の手の内が なかなか定まらないのだ。

(てい)真新しい弓…。

「子 のたまわく 学びて 時に これを習う。➡

また よろこばしからずや」。

おお! そらんじられるのか! もちろんだ。 学んだことを…。

まだ 1巻の学而…。

出来ました~! おお~!

待たせちまったな 皆の衆!

今日の知らせは とびきりだよ!

こっちにも おくれ! あいよ!

あ~…。

(喜多川歌麿)浮かねえ顔して。

飛ぶように売れてんだろ? 黄表紙。

まぁ 売れてはいんだけどよ…。

田沼の一派というのは やはり ぬらくらであるのだな。

後を任された越中守様は まこと ご苦労が絶えぬことであろう。

実は ふんどしをからかってんのが まったく伝わってねえんだよ。

俺の狂歌絵本は?

それは お前の絵が あまりにも いいもんだからよ。

いや~ これは もう➡

お城の絵師も 真っ青でしょうな。

(熊野屋)それが この値ずら。 倹約令様様だわ!

江戸の町も ますます住みよくなりましょう。

万事 越中守様に お任せだに。

そうでございますな。

おっ!その辺の色合いなんですよ 美しい 美しい!

…ってな具合になっちまって。

人ってなぁ 思いがけねえように取るもんだね。

ああ。 はあ…。 (走る足音)

(てい)旦那様! おう。歌さん お世話さまにございます。

どうでした?

どうも ふんどしの守様が➡

「将軍補佐」というものに なられたそうです。

将軍補佐!?

(てい)上様が ご成人なさるまで 代わりに 政を執り行うそうで➡

ふんどしの守様は もはや公方様も同じと 世間様は おっしゃってました。

公方様も同じ?

文武に励む侍たちも増え➡

ふんどしの守様の勢いは 増すばかりの様子にございます!

ちくしょう…。 おていさん ひとつ 相談なんだけどよ。

じゃあ 俺ゃ ここで。 ああ。

悪いけど それ 頼むな。 うん。

もう ほんとに ただの抱えの絵師だな…。

(雷鳴と雨音)

はあ…。

手伝いますぜ 娘さん。

(歌麿)いやぁ あんま濡れてねえといいな。

うわ~! あっ… ああっ!

大丈夫だ。

(歌麿)あの…。

あの…➡

あの… 俺のこと 覚えてます?

前に ここで 絵 拾ってもらって。

ああ…。

あ… 聞こえねえのか。

「きよ 一切」。

あ…。

洗濯女か。

あ… 違う 違う。

あんたを買いてえわけじゃねえんだ。

え~と…。

この当時 洗濯を生業としつつ➡

それだけでは食べていけずに 身を売る女性もおりました。

ほれ。

そうそう。

あ いや…。

あの…➡

ちょいと きよさんのこと➡

描かせてもらえないかい?

♬~

(朋誠堂喜三二) 次は もう少し分かりやすく からかう?

へえ。 実んとこ からかってんのが伝わってなくて。

うちは ふんどしを 持ち上げてるとしか➡

思われてねえんです。

(喜三二) あ~ ふんどしを落とすつもりが➡

担ぎ上げちまったってことか。 へえ。

(唐来三和) ふんどしの ふんどし担ぎか!

(笑い声)

…って 笑い事じゃねえですよ。

このままじゃ うちは ただの太鼓持ちで 一体 何やってんだって話でさ。

(喜三二)じゃあ 次は 田沼様をたたくのを やめればいいんじゃないの?

けど そうすっと 露骨に からかうだけになっちまいます。

そうか… 塩梅が難しいねぇ。 ええ。

あべこべの世相を おかしく並べ立てるってのは どうだい?

お? ご仁政がなって➡

もう ありえねえほど 幸せな世の中になるって話を描くのさ!

(北尾政演) 物乞いまで綾錦着て➡

鯛 食ってるとか? (三和)そうそうそう!

(笑い声)

春町先生 どうかされましたか?

(恋川春町)俺の これが 最も売れておらぬというのは まことか?

あ~ 「よろこんぶ」…。

まぁ 蝦夷は 市中で あまり馴染みのないネタなんで… ねえ。

そう! ネタのせいだよ ネタの。 へえ。

(政演)誰が描いても こうなりましたさ。 へえ!

(三和) 売れてなくて みんなが よろこんぶ!

(笑い声) 大丈夫でさ 俺は「よろこんぶ」好きでさ!

ふん! ああっ… いやいや ねえ?

大丈夫でさ 次も…。 (三和)見事だ 春町先生!

♬~

また 案思でも考えておるのか?

お役目中に 申し訳ございませぬ…。

苦しうない 面を上げよ。

「よろこんぶ」 とびきり面白かったぞ!

実に 皮肉でな。

殿には 皮肉をお分かりいただいて。

越中守様になぞらえた重忠が 田沼様になぞらえた義経に命じて➡

押領した蝦夷を 頼朝に献上する。➡

蝦夷も押領 手柄も押領。

よく お叱りを受けなかったな。

幸か不幸か その皮肉が まったく伝わっておりませぬようで。

伝わり過ぎても お咎めを受けようし➡

難しいところじゃな。

…あの➡

殿は 越中守様の政を どのように お考えで?

志は ご立派だが➡

果たして しかと伝わるものなのか…。

しかと伝わる?

(矢音) きゃ~!おお~!

お許しを! お許しください!

何だ?

(矢音と悲鳴)

お許しを! 次は お前が的になると思え!

これは… どういうことだ?

礼儀がなってねえってんで➡

お武家様に 弓の的にされちまってんですよ。

どけ! うぬらも的になりたいか! (悲鳴)

こないだの 春町先生 気にされてましたよね。

どうだろう まぁ。

新しい案思を持って こちらから行った方がよいですかね?

(喜三二)ああなっちまうとなぁ…。

お心遣い痛み入る。

春町先生。 おお…。

まだ へそを曲げておるとでも 案じてくださっておるようだが➡

幸い 「よろこんぶ」は 我が殿から お褒めにあずかり➡

俺の中では もう 片がついた。

そりゃ 何よりで。

それより 殿が面白いことを仰せであった。 ん?

俺たちのからかいも通じなかったが➡

ふんどしの志もまた そう うまくは伝わらぬのではないかと。

道場への入門は引きも切らねえし 「論語」は大売れだって聞きましたけど。

まさに そこだ。 もとから励んでおった者は➡

今更 道場に入門もせぬし 「論語」を買ったりせぬ。

つまり 今 文武だ文武だと騒いでおるのは にわか仕込みの新参者だ。

新参者?

しかし 文も武も➡

少しかじって その神髄が分かるという 類いのものではない。➡

何年 何十年もの 地道な修養を要するものだ。➡

遠からず 皆 飽きて➡

やたら武張ったり 知ったかぶりをする トンチキを作り出して➡

終わるのではないかと仰せであった。 トンチキ?

先ほども 店先の品を弓で射っておる トンチキ侍がおった。

えっ? そういえば こないだ➡

扇屋に顔を出したら 「馬の稽古だ 馬んなれ」っつって➡

振袖や女郎に お馬やらせてたのがいたのさ。

振袖や女郎に?

弱い者に威張り散らすのが 武家らしいと思ってんじゃねえかな。

トンチキより ぬらくらの方が よほど マシだ。

いや けど 文武に優れた者を 作り出そうとしたら➡

大勢のトンチキが生まれたってなぁ➡

これ以上ねえ皮肉でさ。

で あろう? へえ。

(足音)

(大田南畝)蔦重…。 おお 南畝先生。

どうしました?

田沼様が…➡

田沼様が お亡くなりになったらしい。

♬~

とうとう くたばったか。

(本多忠籌) 田沼の葬列は 野次馬が集まりそうだが➡

いかがしたらよいかと 奉行所から問い合わせが来ておりますが。

投石を許せ。

(本多)…は!?

この葬列については 石を投げた者を取り締まらぬこととせよ。

それは あまりに…。

これ以後 民は 恨みつらみをぶつける的を なくすのだ。

思う存分 投げさせてやれ。

(遠雷)

(雷鳴)

(松平信明)負け犬の遠吠えですかの。

(雷鳴)

(風の音と雷鳴)

(鳥山石燕)何者じゃ?

(雷鳴)

何者じゃ? そなたは。

(雷鳴)

いごくな。

いごくなよ。

(雷鳴)

(風の音と雷鳴)

(雷鳴)

(定信)これは…➡

まことなのか?

大奥が 殿には隠しておりましたものかと…。

(定信)大奥の女中との間に お子を もうけられたそうで➡

おめでとうございます。

大事なつとめを成しえて 安堵しておる。

しかしながら 上様には➡

仁政をなすため 学を修めるつとめもまた ございます。

聞くところによりますと 大奥に入り浸り➡

栗山博士のご講義も ご不調にて お休みがちとのことで。

それぞれ秀でたことをすれば よいと思うのじゃ。

余は 子作りに秀でておるし➡

そなたは 学問や政に秀でておる。

それぞれ つとめれば それで よいではないか。

(島津重豪) ♬ なかんづく鸚鵡返しということ

♬ もろこしに

(治済) 突き詰めれば 政など誰でもできる。➡

それこそ 足軽上がりでも できたわけであるからの。

(治済)しかし 後継をもうけることは 上様にしかできぬ。➡

ご立派であると思うがの。

しかしながら 上様は➡

御台所となられる 茂姫様との婚儀も いまだ。

先に 側室に子ができるなど➡

島津様は それで よろしいのでございますか?

まぁ 当家の出の御台様との間にも 早々に お子をもうけてほしいが…。

此度は そのための稽古であったと 上様も仰せであった。

さすが 上様 お稽古熱心なことで。

ハッハッハッハッハ! フフフ。

先ほどから気になっておるのですが➡

見事なご装束にございますな。

(治済)案ずるな。 一文も使っておらぬ。➡

全て 島津が計らってくれた。

(定信)賂も固く禁じましたこと ご存じにございましょう。➡

一橋様が かようなことをなされては 示しがつきませぬ!

困ったのう。

では…➡

これで ひとつ➡

よしなに。

それがしを馬鹿にしておられるのか!?

いやいや➡

わしは そなたから 10万石も もろうたゆえ➡

せめて少しでも返そうと思うたのじゃが。

遊里にて 女郎 幇間などをお馬とした遊び➡

武芸の稽古と称したよし。

商家の軒先にて 主人の礼儀が気に食わず 弓の稽古と暴れたよし。

上から下まで 士風の廃退 凄まじく➡

世の範たるべき徳川の侍が この体たらくとは。

例えば 上様には 各々立場に対する心得を➡

書にして お渡しになっては いかがにございましょう?

心得を作る?

旗本や御家人におきましては まずは 武よりは文に重きを置き➡

武家としての心得を たたき込むがよろしいかと。

皆 「論語」を読みだしておると 聞いておりますが。

格好だけで 実のところ➡

初歩の漢文すら ろくに読めぬ者も多いと 耳にいたしました。

湯島聖堂で 私が講釈などを始めましょうか?

然様なことまで やっていただけるのでございますか?

お安い御用にございます。

ああ 越中守様の文書も使いましょうか。

「鸚鵡言」のことにございますか?

直参の間では 今 これを写すのが➡

流行っておるのか。 ああ。

ふんどし自らが記したものらしくてな。

皆 せっせと書き写しておる。 へえ。

(子供)えっ! まことか?

凧あげたら 国が治まるのか!

鸚鵡の言葉には そう書いてあると 父上が仰せであった。

鸚鵡の… 言葉?

ありがたき教えだそうだ。 鸚鵡の言葉かぁ。

たこ たこ たこ… たこ!

「その術 様々なれど 紙鳶を上ぐるに外ならぬ」。

ん?

どうも 政を例えた その一節が➡

「凧をあげると国が治まる」って 誤解されちまってんだよ。

はあ まことにそうなら いいですね。

凧をあげたら国が治まるなど 朗らかで。

ああ… 確かにな。

⚟(つよ)ちょいと~!

あっ 旦那様! ん?女将さん!

フフフ!

…んだよ?

歌先生がいらしてるんだけどさぁ…。

おう。

(つよ)どうぞ。

(てい)あの そちらの方は?

(つよ)いい人だよね? そうだよね?

ババア 黙ってろ。

(歌麿)えっと… まず 石燕先生の話から いいかい?

先生が どうかしたのか?

実はさ 石燕先生 亡くなったんだよ。

…いつ? 先月に。

お前 何で すぐ 知らせ よこさねえんだよ。

(つよ)そうだよ 水くさい!

急だったし いろいろ後始末も多くてさ。

(雨音)

…先生?

(歌麿)年も年だったし 大往生だったと思いますよ。

(歌麿) 最後まで 絵筆握りしめて 逝かれて…。

雷獣…。

雷を起こす妖。

うん… どうした?

ああ いや… 何となくだけど➡

この辺が 源内先生っぽいなって。

まぁ 妖になってても 不思議ではないお人ではあったよね。

ああ。

で 歌は こっちに戻ってくるの… かい?

そのことなんだけどさ 蔦重。 おう。

俺 所帯を持とうと思って。

…所帯? やはり そういうことにございますよね。

おきよってんだ。

ついでに おきよは聞こえないし 喋れないから。

…ん?

どっかで会ったことあるような…。

そうだよ。 お堂で 絵 拾ってくれた人だよ。

な?

…ああ ああ ああ ああ! あん時の!

たまたま鉢合わせて➡

そこから おきよの絵 描かせてもらうようになってさ。

絵を? うん。

(歌麿)言葉がないから➡

おきよが 何 考えてんのか よく分かんないんだけど…。➡

顔つきや動きから 何 考えてんのか 考えんのが楽しくて。➡

それを 絵にするのも楽しくて。➡

時が経つのを忘れるってえか…。

蔦重。

俺 ちゃんとしてえんだ。

ちゃんと…?

(歌麿)ちゃんと名をあげて 金も稼いで➡

おきよに いいもん着させて いいもん食わせて➡

ちゃんと幸せにしてえんだ。

…おう。

で 石燕先生が借りてた仕事場を そのまま借りられねえかと思ってさ。

手持ちだけじゃ ちょいと足りねえもんで➡

これ 買い取ってもらえねえかな?

お前 これ…。

うん。

前に描けなかった 笑い絵さ。

♬~

…よく描けたな。

おきよのおかげなんだよ。

おきよがいたから 幸せって何かって分かって…。

そしたら 幸せじゃなかったことも 絵にすることができた。

♬~

あ… だめかい?

通しで見ると 全然 まったく まとまりがねえんだよな。

♬~

おきよさん。

まこと ありがた山にございます。

こいつに こんな絵を描かせてくれて➡

ありがた山です!

こりゃ 歌麿を当代一に押し上げる➡

この世で ほかの誰にも描けねえ こいつにしか描けねえ絵です!

どうか 一生 そばにいてやってくだせえ!

蔦重。 ん?

俺は 嬉しいんだけどさ…。

おきよさんには まったく伝わってないと思うよ。

多分 身を引いてくれとでも 頼まれたと思ってんじゃねえかな。

…ああ! いやいや 違う!

ああ…。

何だい おていさん 実は 笑い絵 好きなのか?

歌さんの絵なら 虫の絵の方が よほど好きです。

でも…➡

ここに 歌さんの心血が 注がれているのは感じます。

ならば ちゃんと見なければと。

私は 蔦屋の「女将」にございますので。

…出会った頃のあいつは➡

ただただ死ぬのを 待ってるってなふうだったんだよ。

生きる欲みてえなのが これっぽっちもなくて。

そんな あいつが➡

「ちゃんとしてえ」ですよ。

「ちゃんとしてえ」って言ったんですよ。

俺 嬉しくてさ。

おう。

ありがとな おていさん。

では➡

こちらも ちゃんと仕立て ちゃんと売らねばなりませんね。

おう。

ちゃんと取り戻せますように。

歌さんにお支払いした「百両」を。

今 その話 しなくても いいんじゃねえかい?

私は 蔦屋の「女将」にございますので。

…そうだな。

分かりました。

いや でも それにしても…。

これ どうだい?

いい色じゃねえか。

うん。

似合うよ。

(笑い声)

そして 秋。

春町先生から 草稿が上がってまいりました。

「けいさいとは何だ。➡

夜食の菜のことか」。

(政演)あのしまい方は 傑作ですねぇ! ああ!

みんなで凧あげたら 鳳凰が勘違いして出てきちまって➡

何だか 天下太平の世になっちまうってなぁ!

(笑い声) どうだろう まぁ!

(笑い声)

じゃあ これで仕上げに進めますか。

お待ちくださいませ! うん?

これは あまりにも からかいが過ぎるのではないでしょうか?

けど これは 現にも起こってることで。

だからこそ まずいかと。

いいじゃねえか。

最後は 凧あげて めでたし めでたしなんだから。

そこも あまりにも おふざけが過ぎますかと!

俺は さして ふざけておるつもりはないのだ。

ふんどしの思い描いたとおり 世は動かぬかもしれぬ。

だが 思うようには動かぬものが 思わぬ働きを見せるかもしれぬ。

故に 躍起になって➡

己の思うとおりにせずとも よいのではないか➡

少し肩の力を抜いては いかがかと。

俺としては そういう思いも込めて描いたものだ。

からかいではなく 諫めたいというところか。

まぁ そういったところだな。

それは からかいよりも更に不遜 無礼と受け取られませんでしょうか?

そもそも 不遜で無礼なことをしようってわけで。

とにかく 私は これは 出せば危ないと存じます。

⚟(つよ)それって ほんとなんですか? ⚟(次郎兵衛)ああ そうだよ。

旦那様。 おう。

義兄さん! おお!

(次郎兵衛)重三。 どうしたんです?

ちょいと 面白え話を 小耳に挟んでさ。

こりゃ 早く おめえに知らせなきゃって。

何ですか?

どうもよ 越中守様ってなぁ➡

大の黄表紙好きらしいぜ。

それ まことですか? ああ。

前に お屋敷で奉公してた人に聞いたから 間違いねえよ。

「金々先生」以来の恋川春町贔屓。

蔦屋のことも大の贔屓だって話だぜ!

うちのことも? ああ!おお~!

♬~

かくして 蔦重たちは本を作り➡

越中守様も 各種「心得」をお作りになり…。

(家斉)御心得之箇条?

(定信)上様のお心に 留めていただきたきことを➡

私自ら したためましてございます。

「六十余州は禁廷より 御預り遊ばされ候御事に」。

日の本の諸州も 天子様よりお預かりしており➡

決して ご自身の 自由にできるものではありませぬ。➡

…といった具合にございます。

倹約を心がけ 無駄な支出は省き➡

贅沢を退けて 質素の風儀を以て 政務にあたるべきである。

目先の小さな利益を 求めたりしてはならぬ!

そして 天明改まり寛政元年。

越中守様への更なる皮肉を込めた➡

「鸚鵡返文武二道」が完成。

(みの吉)暖簾 出します。 おう。

それは 蔦屋の運命の分かれ目となるのです。

絶版!? あらためよ!

我が殿こそは 恋川春町ではないかと。

そなたこそが。 それがしが。

こないだ 来たのよ。 平賀源内。

死んで別人となり➡

戯作者として生きていく?

筆を折る? あのように冴えたお筆を。

倉橋 格なる者を呼び出せ!

いてっ。

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