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(望月)あのさ その留守番って何?
(郷田)見りゃ分かんだろ 俺 これから実家帰んの 1週間ほど→
(郷田)見りゃ分かんだろ 俺 これから実家帰んの 1週間ほど→
だから その間 この部屋に寝泊まりしてほしいって
そう頼んでるわけ いやいや
何で 留守番なんかいるんだよ
別に盗まれて 困るもんなんかないでしょ
<大学の友人から>
<泊まりの準備をしてきてくれと 連絡が来た時点で>
<何かあるとは思ったのだが…>
(郷田)だから ハトだよ ハト→
俺がいない間 ハトの面倒 見てほしいの
お前 ハトなんか飼ってんの?
飼ってねえよ 勝手に来んだよ
飼ってねえよ 勝手に来んだよ
はあ?
(郷田)朝の早い時間 枕元に来て ホロホロー ホロホローって鳴くんだよ
《(ハトの鳴き声)》
何か俺も すっかり情が移っちまってさ
ハト…
お前 それ どんなハトなんだよ
見たことねえんだよなあ
俺が起きる頃には いなくなっちまってるから
お前 それ 本当の話かよ 夢とかじゃなくて?
違えよ バカ
ちゃんと エサは食べてんだから
これ ハトのエサな
足りなくなってたら
こうやって 足してくれるだけでいいから
こうやって 足してくれるだけでいいから
1週間も留守にしたら ハトだって 腹すかしちまうだろ
だから 頼んだぞ
いやいや ちょっと待ってよ
じゃあ ファイト
<正直なところ 先月 風邪でバイトを休んだので>
<今月はちょっと… かなりピンチだ>
<ここに寝泊まりするだけで 一週間分の食費が浮くのはありがたい>
ウソだろ…
ウソだろ…
<そのまま 家に帰ってもよかったのだが>
<俺は今夜 一晩泊まることにした>
(せき込む)
(えずく)
何これ…
<ホントに この部屋に ハトが来るのかどうか>
<確かめたかったのかもしれない>
(ハトの鳴き声)
<何だ これ>
(ハトの鳴き声が近づく)
<ああ…>
<これがハトの声か>
(ハトの鳴き声)
<やっぱ 夢だよな>
マジかよ
<こうなると不思議なもので>
<そのハトを 一目見たいという気になってくる>
<俺は次の晩も泊まることにした>
<来た>
<あれ? どっから入ってきたんだ>
<あれ? どっから入ってきたんだ>
<俺 窓開けないで寝ちゃったけど>
(ハトの鳴き声)
(人のうなり声に変わる)
(うなり声)
(うなり声が近づく)
<何だ? 何だ?>
<何なんだ?>
(うなり声が止まる)
えっ…
はあ はあ…
はあ はあ…
(うなり声)
(うなり声)
<そうだ>
<朝が… 来ると こいつはいなくなるんだ>
<早く 早く>
<朝が来てくれ>
(うなり声が止まる)
<友人は知っているのだろうか>
<いや 知らないのだろう>
<あいつのことだから>
<本当に ハトが来たと思っているのだ>
(音響信号機が鳴る)
(音響信号機が鳴る)
(人々の笑い声)
(鳥が羽ばたく音)
(鳥が羽ばたく音)
(ハトの鳴き声)
(人々の笑い声)
(ハト時計の音)
(人々の笑い声と ハトの鳴き声と音響信号機の音)
(うなり声)
(うなり声)
(うなり声)
フフフ…
(男)うわ~
きったねえ
何だ これ
何だこれ 怖えな
ちょっと 奥行ってみようぜ
うわっ!
(女)やめて 触らないでよ
(女)やめて 触らないでよ
そんなことするために ここに連れてきたの? 最低
はあ? 何言ってんだよ 最低はお前だよ
夏から付き合ってるのにさ 何もさせないで
なあ なあ いいだろ?
意味分かんない
何だよ!
おい!
どこ行ったんだよ
何もしないから出てこいよ
もう帰ろうぜ… (女の話し声)
(女)はい
(女)一週間前ぐらいから
(女)いえ
(女)いえ
何だよ (女)はい
誰としゃべってんだよ あいつ
(女)3人…
おい (女)4人ぐらい
(女)はい
(女)はい
いいえ そんなことはないと思います
いいえ そんなことはないと思います
はい それはまだ経験していません
はい
はい
はい 分かりました
おいおいおい お前 何やってんだよ
離してください 先生に診察してもらうんだから
えっ? 邪魔しないでください
いい加減にしろよ!
おい!
おい!
どうしちゃったんだよ おい!
(携帯着信)
(携帯着信)
もしもし? もしもし?
どうしてたんだよ お前
先週さ 超キツい思いして送ってやったのに
ずっと携帯も通じないし
家行ってもいない… ☎(女)フフフフフ…
フフフフフ…
ねえ 今度さ
いっぱい エッチなことしてね
フフフ…
☎フフフ… お前 何言ってんだよ
もしかして お前
またあの… あの病院にいるんじゃないのか
(電話が切れる)
(電話が切れる)
寒い…
おい! お前いんのかよ
(女のあえぎ声)
(女のあえぎ声が響く)
(女のあえぎ声)
(女のあえぎ声)
はっ?
(女のあえぎ声)
(女)嫌~ 違うわ
違う! 私じゃない!
先生が探して… 泣かしちゃダメだよ!
嫌よ 私を代わりにしないで
私を代わりにしないで!
私を代わりにしないで!
おい! ちょっと待って
やっぱり
だよな
元気か? うん
変わったね 格好
一応 働いてっから
そっちは 全然変わんねえな
変わらないよ きっと いつまでも
もしかしたら 永遠に
じゃあね 私 行くとこあるから
あのさ!
今 どうしてんの?
今でも通ってるの
病院に
<(栄子)久野哲哉が自殺した>
<彼と最後に話したのは 半年前>
ひどい
会社辞めるだなんて
会社辞めるだなんて
(哲哉) 俺 とにかく 辞めたいんだ
仕事は
喫茶店のウエーターでも
何でもいいかなって思ってる
私…
哲哉のこと信じて 親の反対押し切って 東京出てきたんだよ
哲哉のこと信じて 親の反対押し切って 東京出てきたんだよ
落ち着いたら 結婚しようって言ってくれたじゃない
それなのに ひどい
だけど 俺はもう無理なんだよ
もうダメなんだよ!
哲哉…
何で? ねえ 何で そんなんなっちゃったの?
何で? ねえ 何で そんなんなっちゃったの?
そんなこと言う哲哉 初めて
ねえ どうしちゃったの?
頑張んなよ ねえ 私のためにも頑張ってよ お願いだから
ねえ 頑張って… もう やめてくれ!
哲哉!
哲哉…
<私は 彼がそのとき>
<既に典型的なうつ病になっていただなんて みじんも知りませんでした>
<既に典型的なうつ病になっていただなんて みじんも知りませんでした>
<うつの人を励ますと>
<かえって 病気を悪化させてしまうと知ったのは>
<だいぶ たってからのことでした>
<ですから むやみに頑張れとは 言ってはいけないのだそうです>
<でも 私はあの日>
<何度 彼に頑張れと言ったのか覚えていません>
哲哉?
哲哉?
哲哉でしょ?
哲哉 ごめん お願い 許して
私が あんなこと言ったから
お願い 許して
哲哉…
哲哉
哲哉?
哲哉?
哲哉?
哲哉
哲哉
哲哉?
哲哉 やめて
やめて 哲哉 やめて
やめて! やめて やめて やめて お願い
やめて 哲哉 許して 私が悪かったわ 許して お願い!
<そのとき 私は 彼が首をつったのだと分かりました>
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