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≫宇川さん。
≫カトウさんですか。 ≫はい。
≫今日は 来てくださって ありがとうございます。
どうぞ。
≫それで。 何があったんですか。
≫去年のハロウィンの話なんですけど。
これは 僕が 大学生の頃 実際に 体験した話です。
≫いい天気だわ。
≫うわーっ 雄都。 ≫何 どうした。
≫ムカデ ムカデだよ。 ≫どこにだよ。
≫そこ そこ。 ≫えっ。
いねえじゃんよ。 ≫いたんだって マジで。
≫そんなの 気にすんなよ。 ≫知らないの。
ムカデって毒あるし 危険なんだよ。
≫マジ 安定のビビリだな 航一は。
≫これ お前のおやじさんが 管理してるとこって。
≫そう いい感じだろ。
≫いい感じというか大丈夫か ここ。
≫大丈夫だよ。 ちゃんと 許可 取ってあるし。
≫そうじゃなくて 怖いよ。 不気味過ぎない。
≫何 言ってんだよ。 こんな いいとこ ねえだろ。
おいっ。
本当のTrick Or Treat。
~悪魔との契約儀式~。
≫その日 大学のゼミ仲間である 僕と 龍 航一の3人は
都市伝説好きの龍があるオカルトサイトで見つけた
悪魔のTrick Or Treat
という儀式をやろうと集まりました。
その儀式はその日に よみがえる悪魔に
呪われないようにごちそうをささげるという
現代の 一般的な トリック・ オア・トリートとは 違い
悪魔にささげた ごちそうを みんなで 食べることで
力を持つ悪魔と契約するというものでした。
まず 五芒星の魔方陣の上で
悪魔にささげるごちそうを作ります。
このとき 調理は 年少者が 1人きりで行います。
参加者 全員の髪を 5本ずつ
くべた火に水 100ccを入れた 鍋をかけ
生のトマトを 3個 入れて 煮込みます。
お湯が 赤くなるまで 煮込んだら 他の具材を入れます。
他の具材に 指定はありません。
年少者が 調理をしている間
残りの人間は 儀式を行う 建物の周りを囲むように
5カ所に 逆十字を書きます。
そして 準備が終わったら
暗闇の中ごちそうを食べ切ります。
食べるときに 使っていいのは ろうそくの明かりだけ。
全てを残さず 食べ切ることで 悪魔と契約して
どんな願いでも 1つかなうと サイトには 書かれていました。
就活や 卒業研究の前で 退屈をしていた 僕たちにとっては
十分な遊びのネタでした。
≫なっ。 何だよ いまさら。
≫暇だから 面白いことしようって 言ってたの 雄都だし
航一だって 乗り気だったろ。
≫まあ 確かに 来年は 卒業研究 あるし
今のうちに 遊びたいなとは 思ってたけどさ。
≫俺も 就活 やりたくないって 言ったけどさ。
≫悪魔の儀式だぞ。 多少 怖いの 当たり前だろ。
≫多少じゃないよ。
最初に 1人で 入るの 俺なんだよ。
≫仕方ないだろ誕生日が 一番 遅いんだから。
ほらっ これ。 1 2 3 4 5。
髪の毛な。
≫えーっ。
最初だけさ一緒に 入ってくんない。
≫嫌です。 ≫雄都。
≫まあ 大丈夫だよ。 何かあったら 呼べよ。
≫ああ 何か 吐き気してきた。
≫それは 完全 気のせいだから。 ≫ほらっ よろしくな。
≫開かないけど。 ≫でしょうね。
だって 俺しか 分かんないからね。
≫何だよ。 ≫どけって。
3 7 5 4。
OK。
うわっ いい感じじゃん。
ほらっ 行くんだって。 はいっ。
≫はい よろしく。 ≫よろしくね。
≫呼んだら ちゃんと 来てよ。 ≫嫌です。
≫いや 来てよ。 ≫分かった 分かった 行くから。
≫行く 行く。 ≫ほんとだよ。
≫じゃあ 俺たちは 逆十字でも 書いてくか。
≫ういーっ。
≫うわっ。
臭っ。
よしっ。
雄都。
雄都。
≫効果が増すっていう感じだね。 ≫するよね。
≫太くね。 ≫いや 太くないだろ。
こんくらいしないと。 ≫横のバランスが 大事だろ。
≫うわーっ。
≫何だ。 また ムカデか。
≫大丈夫かな。 ≫大丈夫だろ。
≫航一 航一。
≫絶対 正解だって。
うわっ。 めっちゃ いいじゃん。
≫航一 大丈夫か。
≫大丈夫じゃないだろ。 ≫返事なしだ。
≫えっ 上もあるってよ。 上だよな あれ。
どっちだろう。 ≫1階から 行こう。
航一。 ≫航一。
≫航一 航一。
≫トイレでは 作んねえだろ。
≫航一 おいっ。
≫どこにいんの マジで。
≫航一。
うわーっ。 ≫おい 雄都。
うわっ。
≫ごめん ごめん。 鍋 噴きこぼれちゃってさ。
慌てて 消したんだけど 真っ暗でさ びっくりしちゃって。
ごめん。 ≫ビビった。
≫マジ ビビらせんなよ。 ≫ごめん。
≫服 どろどろだぞ。
≫やけどとかしなかった。 ≫大丈夫 大丈夫。
ちょっと 熱かったけど。 ≫こぼし過ぎじゃね。
≫すごいよね。 ≫こんな こぼれる。
≫結構 こぼれちゃったし 片付けして 帰らねえ。
≫何 言ってんだよ。 鍋 こぼしただけじゃんかよ。
こっからだろ。
≫うん せっかくだし 最後まで やろうよ。
≫えっ。 ≫そうだな。
≫じゃあ 終わったら 呼んで。 ≫うん。
≫行こうぜ。 ≫ああ
≫いや よかったな 航一も やっと 乗り気になったみたいで。
≫僕は 航一の 悲鳴の鋭さと あの真っ赤な腕が忘れられず
少し 嫌な予感がしていました。
≫よしっ。
悪魔崇拝の逆十字。 これで 最後だな。
≫もう いいよ。
≫おっ できたってよ。 行こうぜ。
≫うん。 ≫いや いいわ。
中で つけんなよ。
航一 できた。 ≫うん。
結構 いい匂い するでしょ。 ≫ああ するわ。
すげえ。 ≫ほらっ 座れよ。
≫おーっ。
≫なかなかでしょ。 ≫ああ すごいよ。
≫はい 雄都の分。 ≫ありがとう。
≫はい 龍の。 ≫ありがとう。
≫いただきます。
熱っ。 ≫めっちゃ いい匂いする。
≫でしょ。 ≫すごい。
≫熱っ。 ≫いや 熱いわ。
≫熱いね。 ≫熱い 熱い。
≫いける。
≫うまい。
≫うまい。
うっ。 ≫龍。
龍。 おいっ 龍。
おいっ 龍。
何 入れたんだよ。 ≫何も 入れてないよ。
≫龍 どうした。 ≫おいっ。
龍 龍。
≫なーんてな。
ビビった。
≫おいっ ふざけんなよ。 マジのやつかと思ったわ。
≫よかった 俺 二度と 料理 作れないかと思ったよ。
≫名演技だったろ。
≫普通に うまい。 ≫でしょ。
≫うまい トマト鍋。 ≫よかった。
野菜のうまみとかも 出てて いい感じだよね。
≫料理 できんだな。 ≫まあ 意外とね。
≫雄都 どうかした。
≫何か 臭くない。 腐ってるみたいな。
≫えっ しないけど。 ≫この肉かな。
うわーっ。
指 人間の。 ≫何だよ 雄都まで。
龍。
お前のそれ 耳。
≫お前 もうちょっと ましなうそが つけねえのか。
あっ。
≫何だよ 今度は 2人してさ。 だまされねえぞ。
≫冗談じゃねえって。 それ 見ろよ。
えっ これ。 これが 指 人の。
よく 見てみろよ。
≫ウィンナー。
≫そうだよ。 俺が作った 料理なんだから。
≫でも じゃあ 龍のは。 ≫きくらげだろ。
2人とも ビビリ過ぎじゃね。 どんだけ ビビってんだよ。
≫鍋の中に人間の指と 耳が入ってたの。
≫いや その後で 見たときは
確かに ウィンナーと きくらげだったんですけど。
≫つまり ただの見間違い。
≫違います。 と思うんです。
指と耳に見えた あのときだけは 何か 腐った肉みたいな。
一緒にいた 龍も 同じこと 言うんです。
≫そこで やめようとは 思わなかったの。
≫もちろん 思いました。 でも 航一が。
≫全然 食べてないじゃん 2人とも。
≫ごめん。 俺 もう おなか いっぱいだわ。
≫なあ 航一。
結構 食ったし そろそろ 片付けしてさ。
≫そうだな。 楽しかったし そろそろ 帰ろうぜ。
≫いや 儀式が。 ≫儀式は いいよ。
とにかく 片付けしてさ。
≫ふざけんな。 ≫航一。
≫悪魔と契約するための儀式なんだ。
途中で やめて たまるかよ。
≫航一。 ≫俺は 最後まで やるんだ。
≫僕らは 直感的に
航一を やめさせなければ いけないと思いました。
≫航一 帰るぞ。
≫えっ 2人とも 帰るの。
≫行こう。 ≫片付けは あしたにしよう。
雄都 何やってんだよ。 ≫つかねえんだよ 懐中電灯が。
≫離せ 離せ 離せ。
≫航一。 どうしたんだよ やめろよ。
≫逆十字だ。 逆十字の外へ 行こう。
≫離せーっ。
≫航一。 ≫離せっ。
≫うわーっ。
≫航一 やめろって。
おいっ。 航一 おいっ。
≫僕も 龍も 気が付いたら 家にいました。
どうやって 帰ったのか 覚えていないのです。
航一に 電話しても 出ないので
怖くなって廃虚を 見に行きました。
≫おいっ 雄都。
逆十字が。 ≫えっ。
うわっ。
航一。
≫お前ら 遅いよ。 もう 片付け 終わっちゃったよ。
≫航一。 お前 昨日 どうした。
≫どうしたって。 ≫帰りだよ。
どうやって 帰った。 ≫どうやったって。
俺ら 一緒に 帰ったじゃん。 ≫えっ。
≫お前ら ビビっちゃってさ
途中で 帰るって言うから 一緒に 帰ったんじゃん。
俺が せっかく 鍋 作ったのにさ。
≫航一 1人で 片付けたの。 俺ら いないのに。
≫だってお前ら 来ねえんだもん。
≫怖くなかった。
≫怖い。 こんなに 明るいのに。
全然 怖くねえよ。
≫あの日 たぶん 航一は
1人で 儀式を 終わらせたんだと思います。
鍋を 1人で 平らげて。
カトウさん。
龍の見つけたあのオカルトサイト
管理されてるのってあなたなんですよね。
あの儀式は いったい。
≫えっ ちょっと待って。
つまり あの儀式で 航一君の人が変わったってこと。
≫あんなに 怖がりだったのに 全然 気にしなくなった。
言葉遣いも 性格も。 ≫気のせいでしょ。
≫儀式の後 航一は すぐに
推薦で 企業の内定を もらっていました。
特別成績が 良かったわけでもないのに
指名で 話が来たんです。 ≫ただの偶然よ。
だいたい その儀式
私が作った何の根拠もない 創作よ。
≫えっ。 全部 でたらめなんですか。
≫そう。 オカルトサイトを作ったら
アクセス数が伸びるから面白くなって。
私が 書いたの だから。 ≫でも これ 見てください。
数カ月前 あの廃虚で 白骨遺体が 見つかったんです。
身元不明で情報提供者 募集も出ていて
頭蓋骨や 遺留品から 制作されたって イラストが
こちらです。
これが 航一です。
≫お力になれず すいません。 ≫いえ ありがとうございました。
あの日以来 航一と会うことは 少なくなりました。
大学で 見掛けても 僕は 怖くて
避けるようになっていたのかもしれません。
しかし あのとき あの廃虚から 出てきた 航一は
ほんとに 僕や 龍が知っている 航一だったのでしょうか。
僕の話は 以上です。
≫これは ある年のハロウィンに
私が 実際に 経験した 出来事です。
≫あーっ。
あーっ。
≫何 今日は ゾンビ。 ≫ああ。
≫うわーっ 怖い。 これでいいね 時間ないの。
≫おいっ。 もっと 本気で 怖がれよ。
≫じゃあもっと 本気で 怖がらせてよ。
≫うわっ。 何 もう 寝てたのかと思ったよ。
≫昼間 掃除してたらね これ。
≫それは 夫の姪である アスカちゃんという女の子が
一番 大事にしていた 縫いぐるみでした。
≫もうすぐ 1年か。
来年も 一緒に遊ぶって 約束して これ もらったのにな。
≫アスカちゃん シャイだから 恥ずかしがっちゃって かわいい。
ほんと うち 来るの 楽しみにしてたのにね。
毎年 ハロウィンに 彼女の家族は
私たちの家に遊びに来てくれました。
そして そのたびに 彼女は
トリック・オア・トリートお菓子 ちょうだいと
元気に声を掛けてきてくれました。
私たちが ふざけて お菓子をあげるのを 拒否すれば
彼女は うれしそうに
私たちを追い掛けてきてくれました。
そんな彼女が 不慮の事故に遭い 帰らぬ人となったのは
この年の 前年の ハロウィン直後のことでした。
マー君。
その翌日の夕方 パートから 私が 帰宅したときのことでした。
私は いつも 夫よりも 先に 仕事に 出掛けていましたが
その隙を突いて
彼が 仕掛けたものであることは 確実でした。
トイレットペーパーを散乱させる行為は ハロウィンにて
お菓子を もらうことを 拒絶された 子供たちが行う
いらずらの代名詞でした。
キャッ。
≫大丈夫。
いってらっしゃい。 ≫いってきます。
えっ。
いつまで やるつもりなの。
そんなことが続いた10月30日。
ハロウィンを 翌日に控えた 夕方のことでした。
キャッ。
最初の数日は気にも留めてなかった いたずらも
毎日 続くようになると。
≫帰ってきたら一言 言ってやらないと。
≫フフフ。
≫えっ。
その夜のことでした。
≫美優 これ 何。 ≫えっ。
お菓子 欲しかったんじゃないの。 ≫えっ。
≫もう 分かったから。 怖がらせてとは言ったけど
でも 物には 限度っていうのがあるの。
毎日毎日あんな くだらないこと
私だってね 仕事から 帰ってきて。 ≫ちょっと待って。
えっ どういうことだよ。 ≫はぁ。
≫俺はさ美優が パートに 出掛けて
すぐ 仕事 行くでしょ。 そしたら 車ん中
ひっちゃかめっちゃかになってんじゃん。
トイレットペーパー散乱してるし
いろんなとこからお菓子 出てくるし。
しまいには。
これ。 出していいよ。
≫これ。
≫俺が よくやる いたずらへの 仕返しかもしんないけど
今日の それはさ あまりにさ。
≫だから 違うって。 私じゃない。
≫じゃあ 他に 誰が そんなことすんの。
≫だって これ これと おんなじのが
今日 うちの洗濯籠にも 入ってたんだよ。
≫えっ。 ≫ほんとだって。
だって 下の ごみ箱に。
≫でも これ どっかで 見たこと。
≫こんな時間に 何で。
マー君。
≫見て。
12時 きっかりに セットしてある。
10月31日 ハロウィンだ。
≫えっ だって 自分で セットしたんでしょ。
どういうこと。
≫美優 これ 去年 あの子が着てた。
≫キャッ。
マー君。 ≫ああ 大丈夫。
大丈夫だよ。
あっ。
≫キャーッ。 ≫美優。
≫マー君。 ≫美優 待ってて。
明日香ちゃん。
あっ。
うわーっ。 ≫キャーッ。
ごめんね 明日香ちゃん。
ごめんね。 気付いてあげられなくて。
もっと 遊びたかったよね。
もっと 遊びたかったよね。
トリック・オア・トリートには1つ ルールがありました。
それは 明かりの消えた家には 訪問をしないこと。
私たちは 縫いぐるみを お寺で 手厚く 供養しました。
ハロウィンは過ぎ私たちの家では
いたずらを 目にすることは なくなりました。
でも それからは ハロウィンの日に
1つ 明かりをつけて
お菓子をいっぱい 用意しておこうって
2人で 決めました。
私の話は 以上です。
≫これは 私が 実際に 経験した話です。
私は 地元の短大を卒業後 すぐに 上京。
都内の 小さな広告代理店 事務職として 就職しました。
限界。
しかし 仕事の忙しさと 初めての 1人暮らしは
大きなストレスになっていました。
そんな私の 唯一の癒やしは
仕事場から 程近い場所にある 公園で お昼を食べることでした。
私。
誰だろう。
はい。 すぐ 行きます。
ヤバい 怒られる。
それからというもの。
公園には必ず 彼女の姿がありました。
公園で あの女性を 見てからというもの
私の周りで 奇妙なことが 起きるようになりました。
≫ハハハ。 ≫笑いごとじゃないから
そのおばさん ほんとに きもいし 怖いし。
しゃべり掛けてくるわけでもないのに
ただ 遠くから 黙って じーって。
≫絶対 あんたのこと 好きなんだよ 一目ぼれ。
あっ それか もしかしたら その人 幽霊でさ
取り憑かれてんじゃない。 ≫やめてよ ほんと。
ふざけないで マジで。
でも 他の人に見えてない 何かあるかもしんない。
ほんとに 公園 行けない。
最悪 マジで ほんとに 私の癒やしの場所だったのに。
ハルカに 相談した 私が バカだった。
≫ごめん ごめん。
あっ そうだ。 あんたの その外人の話
こないだ 妹にしたのね。
ほらっ ノゾミ そういう霊感 みたいなのあるの 知ってるでしょ
そしたら。 ≫うん。
≫最近 夢で見たんだって。
緑色のスカーフを巻いた外人のおばさん。
何か ずっと 自分に 手招きしてるって。
≫えっ それって。
≫でね ノゾミが そのおばさんに 会ってみたいって言ってんだけど。
≫会うって。
それから 数日後。
≫どうなの いる。
≫あれっ。
≫亜矢子 あの人。
≫あの人。
≫夢で見てた人に そっくり。 ≫ほんとに。
≫でも 私にも 見えてるし 別に 全然 普通の人じゃん。
≫ハルカ。
≫すいません。 何か 用ですか。
すいません。 話 聞こえてます。
もしかして 日本語が。
≫ああ 初めまして。
私 ミシェル・ウォーカーです。 ≫初めまして。
≫そうですか。
私のせいで そんな不快な思いを。 ほんとに すいません。
≫いえ そんな。
≫あなたに 迷惑 掛けるつもり なかったんです。
≫でも 何か 理由があるんですよね。
だから 亜矢子のこと ずっと 見てたんですよね。
違うんですか。
≫占いの方。 ≫実は 魔術や 霊媒です。
≫そんな方が 私に 何を。 ≫1つ 気になることがある。
≫気になること。 ≫はい。
今 あなたが暮らしてる あの部屋 何か 困ってることないですか。
≫実は。
≫そうですか。 ≫あの部屋 何かあるんですか。
管理会社の人に聞いたらあの部屋では 何も起きてない
安心ですよってそう 言われてたんですけど。
≫事故や 事件ではない。
おそらく あの場所が もともと そういう土地なんです。
≫どういうこと。
≫実は 私は あの家に 住んでたんです ずっと。
それで 私 引っ越してから あなたが 暮らし始めたんです。
私はとっても 心配してたんです。
あそこは あの世と この世を つなぐ扉があるから。
≫あの世への扉が
亜矢子さんの部屋にあるってことですか。
≫いいえ。 もともと 扉があった場所に
あなたの部屋マンションが できたんです。
≫マジ。 ≫冗談ですよね。
≫ほんとです。 ≫どうしたら いいんですか 私。
≫あなたが あの部屋に来てから 何か おかしいんです。
もしかしたら 扉に 何か 悪いことが 起きてるかも。
≫部屋を調べたら何か 出てきますか。
≫もし 何かあるなら
それを 全て 取り払わないといけません。
≫ミシェルさん ごめんなさい。
最近 亜矢子の 気味 悪いこと 続くのって
てっきり あなたが 原因だと思ってたから。
≫ごめんなさい。
あなたに 何て 声 掛けたらいいか 分からなくて。
≫そうだったんですね。
こちらこそ 教えていただき ありがとうございます。
≫電話してください。 約束です。
≫それはあの押し入れにありました。
えっ きもっ。
≫これかなあの人が 言ってたやつって。
≫分かんない。 でも 絶対 私のじゃない。
≫おかしいですよ。 もし それだとして
ここに 越してきたとき 気付かなかったんですか。
≫えーっ。
≫もしくは ミシェルさんが
亜矢子さんの前に住んでいたとして
亜矢子さんが来る前に他の誰かが これを。
≫いいからほらっ 開けてみ。
≫大丈夫ですか。
うそ。 何 これ。
≫よしっ これで 何もないね。 ≫ありがとう。
≫でも これ 取りあえず
マンションの ごみ置き場に 出しとかないとね。
≫そうだよね。 私 行ってくる。
≫あっ 私 行ってきます。 ≫いいよ いいよ。
≫私が 行ってきます。 ≫ありがとう。
イェーイ。 ≫めっちゃ おいしそう。
乾杯しよっか。
せーの。 乾杯 イェーイ。
こっち 向いて。 もっと 笑って。
いい感じ いい感じ。 えっ。
キャーッ。
ノゾミちゃん。
≫駄目 やめて。
≫ちょっと ノゾミ。 ノゾミ ノゾミ。
≫頭 痛い。 ≫ノゾミ。
救急車 呼んだ方がいいよね。 ≫うん。
ミシェルさんに 言われたとおり
押し入れにあった不気味なものも 取って
大丈夫って自分に 言い聞かせてたのですが
ノゾミちゃんの様子が
おかしくなったことが気になっていました。
ノゾミ ハルカ。
キャッ。
キャーッ。
≫亜矢子さん 聞こえますか。
それを。 十字を向けてください。
≫キャーッ。
≫大丈夫。 超うなされてたよ。
≫これ。
≫おかけになった 電話番号は 現在 使われておりません。
≫どういうこと。
≫調べたんですが
この部屋に 過去 外国人の女性が 住んでた記録はないですね。
≫えっ。
≫ただ 過去に住んでいた
ある男性がこの部屋を退去するとき
妙なことをおっしゃってまして。
≫妙なこと。
≫ここはあまり 良くない場所だと。
だから 自分が 封印したとかなんとか。
そのときは変なこと 言う人だなと
気にしてなかったんですけど。
≫それからすぐ 私は 引っ越しました。
それ以来 おかしなことは 二度と 起こらなくなりました。
ノゾミちゃんが 調べて 後で 教えてくれました。
ヨーロッパの古代 ケルトの人々は
ナナカマドの木をお守りとして 使っていること。
その実の底が五角形の形になっていること。
ノゾミちゃんは あのとき 捨てずに 私の部屋に持ち帰った。
何か 悪いことが 起きてしまったときのために。
私を 守るために。
2本の枝と 壁の四隅にあった印。
あれらは古代 ケルトのお守りであり
そして それらが あの世への扉を 封じ込めていた。
そして 私が 公園で 出会った あの女性。
彼女は 自分では 解けない封印を
私に 解かしたのでは ないでしょうか。
そのために 私の前に 姿を 見せたのではないでしょうか。
私の話は 以上です。
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