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Original subtitles

(江南孝明)

(江南) 死者からの告発…

(江南) 中村紅次郎さんでいらっしゃいますか

(中村紅次郎) 彼も同席していいかな?

(島田 潔) 島田です

(江南) この手紙 どう思われますか?

(紅次郎) たちの悪いイタズラだよ これは

(ヴァン) あの犯人は まだ捕まってないんだよな

(エラリイ) 神様が僕たちに言っているのさ

(エラリイ) 四重殺人の謎を解き明かせって

(島田) 中村千織さんは?

(江南) ミス研の飲み会があって――

彼女は突然体調を崩して 助からなかったって聞いています

(江南) ご主人が 中村青司さんを恨んでいた

あるいは 和枝夫人に好意を抱いていた ということは?

(吉川政子) バカげています

(江南) もし本当に中村青司が生きていて――

あの脅迫の手紙を 送りつけてきたのだとしたら――

島のみんなは大丈夫かな

(アガサ) 誰か! 早く来て!

(ポウ) オルツィ 起きてるか?

(ルルウ) そういうことか オルツィが犯人ですよ

僕らを驚かそうと思って こんな演出を

入るぞ

来ないでくれ

この顔は見ないでやってくれ

(アガサ) 何があったの?

いったん出よう

ルームキーはこれだな?

(ポウ) ああ

あ…

見ろ

窓の鍵も外れてる どうする?

かけといてくれ

(鍵のかかる音)

(ヴァン) ねえ オルツィは?

(エラリイ) 死んでる

えっ…?

ウソ…

(ポウ) 絞殺だ 索痕があった

(カー) 殺されたってことか?

(ポウ) ああ 他殺と考えて間違いない

(アガサ) ウソでしょ

(ポウ) ダメだ 行くな!

(アガサ) どうして

オルツィに会わせてよ!

絞め殺されてるんだ 分かるだろ アガサ

やけに急いで追い出したな

鍵までかけて

ほったらかす気かよ 絞め殺されたまんま

検視は? 現場検証は?

俺たちはある意味 殺人事件の専門家だ

オルツィを殺った犯人くらい 自分たちで見つけようぜ

(ポウ) おい

これは小説じゃないんだ! 本当に仲間が死んだんだぞ!

(ルルウ) ちょっと! (ヴァン) よせ 2人とも

(エラリイ) 落ち着けよ

残念だが カーの言うとおりだな

ここは絶海の孤島だ

あと4日 誰も迎えには来ない

オルツィは俺が確認する

(エラリイ) そうだな 医学部の秀才に任せよう

うわっ

あ…

(いびき)

(江南)

強迫の手紙…>

庭師の吉川誠一犯人説は間違いだ>

中村青司たちを殺したのか>

(守須恭一) あの手紙の差出人は 中村青司の名をかたったものではなく――

中村青司本人からのものだった

もちろん幽霊なんかじゃない つまり…

中村青司は 生きている

(江南)

中村青司かもしれない>

手首まで切断し――>

屋敷に火をつけた>

何で そんなことを…>

遺体の確認は私がしたんだ

兄弟なら 兄かどうかぐらい分かる

(江南)

かくまっている可能性もある>

中村青司だとしたら――>

(島田) これだろ?

起きてたんですか

ああっ わっ… はあ?

(笑い声)

(笛吹きケトルの音)

もう~ 驚かさないでくださいよ!

(ノック)

(松本邦子) 江南さん 大丈夫?

今の笑い声 何?

すみませーん! 何でもないです

(邦子) 真っ昼間から何やってんだか

ほら また怒られたじゃないですか

う~ん…

犯人は なぜ 和枝夫人の左手を切り落としたんだろうな

島田さん もし 中村青司が生きているとしたら…

“彼は今 どこにいるのか”かい?

ええ

(ルルウ) こんなのバカげてます

殺人なんて 本当に起きるわけないですよ

これは何かの間違いで 誰かがふざけてて…

そうよね うん そうよ

(エラリイ) 現実だよ これは

やめて

だったら 警察を呼ばないと…

(ヴァン) どうやって…?

それは…

迎えが来るのは あと4日後さ

それまで 僕たちに 外界と連絡を取る術はない

ひと事みたいに言ってんじゃねえ!

このまんまじゃ そのプレートが あちこちの部屋に貼られるんだ!

“殺人犯人”と“探偵”以外 みんな殺されるんだぞ

大声出さないで

(ドアの開く音)

(鍵のかかる音)

検視の結果は?

あくまでも 素人の意見として聞いてくれ

(アガサ) いいから早く聞かせて

凶器は どこにでもあるナイロンひもで 首に巻き付いたままだった

関節の硬直や死斑の様子から――

死亡推定時刻は 今朝6時から9時といったところだろう

ただし これは――

あくまで素人の意見なんだから うのみにするなよ

(カー) フッ 信用できるさ

大病院の後継ぎ息子様にして――

K大医学部きっての 秀才がおっしゃるんだからな

もっとも そのご当人が犯人でなければな

抵抗した形跡は?

ない

たぶん 寝ているところ いきなり襲われたんだ

ひどい…

もっとひどい事実が1つ

オルツィは――

左手首から先がなくなってる

えっ…

左手が 切り取られていたんだ

大ぶりな刃物でやったんだろう

切断面はひどいもんだった

切られたのは おそらく殺したあとだ

心臓が動いてたら あの出血量じゃすまないからね

何でそんなことを…

分からないが――

室内には凶器も オルツィの左手も 見当たらなかった

犯人が持ち去ったってのか

狂ってやがる

ああ… オルツィ…

これは見立てだよ

この島で起きた青屋敷の四重殺人事件

犯人はあれに なぞらえてるんだ

(ルルウ) 確かに 被害者の1人である中村和枝は――

絞殺された上 犯人に左手を切り取られてました

(エラリイ) つまり あの事件と何らかの関係がある人物が――

犯人とも考えられる

(ヴァン) 僕らの中に あの事件の関係者がいるとでも?

容疑者は この6人とは限らない

(ルルウ) もしかして いまだに捕まっていない犯人が――

まだ この島にいるってことですか?

(エラリイ) 島に潜む第三者 その可能性は捨てきれないね

(カー) 待てよ そう見せかけるのが 犯人の狙いなんじゃないのか

だって おかしいだろう

昨日の夜は あのプレートのことで オルツィもかなり警戒していたはずだ

なのに部屋の鍵をかけ忘れるなんて…

犯人はオルツィの警戒心をかいくぐって 部屋の中に入れるヤツ

つまり 俺らのうちの誰かだ

オルツィを殺したのは 誰…?

“私が殺しました”とは誰も言わないさ

それで名乗り出るくらいなら こんな手の込んだやり方なんかするものか

(アガサ) でも… でも…

(エラリイ) 分かってるよ アガサ 分かってる

それでも僕たちは知らなければならない 誰が犯人なのか…

オルツィの死亡推定時刻は 今朝6時から9時だったね

(ポウ) ああ

(エラリイ) その間の自分のアリバイを 主張できる者はいるかい?

じゃあ その時間帯に 何か気づいたことは?

動機についてはどうだい? 心当たりがある者は?

何だよ

(ヴァン) フラれたんだろ オルツィに

違う!

あれは ちょっとした 退屈しのぎに誘っただけだ

そんなことで殺すわけないだろ!

エラリイ カーは犯人じゃないわ

この人がやったのなら オルツィの遺体を整えてあげたりしない

カーはそれをしない唯一の人間よ

(ポウ) カー 単独行動はするな

(エラリイ) 放っておけよ

それより僕たちも もう一度 島を探索しよう

本土と連絡を取る方法が あるかもしれない

(ルルウ) そうですね

(ドアの開閉音)

これはまだ 始まりに過ぎない

フフ…

(江南) 吉川さんの 奥さんの話では――

吉川さんが 和枝夫人に 過剰な好意を抱いていたことなどあり得ないと

むしろ雇い主であった青司さんご夫妻には 感謝していたそうです

それに青司さんには…

もう奪われるほどの財産は 残ってなかった

だとしたら どうだって言うんだ

すみません 確証もないのに…

痴情のもつれでもなく 金目当てでもないとしたら――

庭師の吉川が あんな事件を起こした理由が 分からなくなるな

今更どうだっていい

私はもう忘れたいんだ

紅さん

青司さんは生きてるんじゃないかい?

はあ?

確認した遺体は別人で 青司さんではなかった

つまり あの事件の犯人は…

いい加減にしてくれ!

これ以上 兄の魂を 冒涜するようなら――

お前との関係もこれまでだ 島田!

ほらな

そんなことあるわけないって言ったとおりだろ コナンくん

気分を害するようなことを言って 申し訳なかった 紅さん ハハ…

彼はね ん~ まだ若いんだ なっ 許してやってくれよ ねっ

コナンくん 君も少し頭を冷やしたらどうだ

洗面所行って 顔でも洗ってきたまえ

そこ出て 左だったかな ほら

ほら

ほら

ほら

失礼します

(島田) 紅さん 紅さん これ大学時代の写真かい?

懐かしいね えっ これ紅さん!?

ハア~

(島田) えっ 若いねえ

(アガサ) さっきから全然 1隻の漁船も通らない

(エラリイ) この島は 漁場から離れてるらしいからね

(アガサ) だったら 木を集めて 脱出用のいかだを作れないかしら

(エラリイ) あの潮の流れは危険だ モーター付きの船でもないと難しい

(ルルウ) 入り江にも ボートの類いは見当たらなかったです

(アガサ) だったら せめて火をたいて 見つけてもらうとか

(ヴァン) それなら本土の人が気づくかな

(エラリイ) 無理だろう この辺の生木は燃えにくいね

小さなたき火がせいぜいだよ

(アガサ) 何なの エラリイ! 全部否定するじゃない!

(ポウ) 連絡の手段くらい 考えるべきだったな

(ヴァン) 今更 言っても仕方ないよ

(ポウ) そうだな 島の反対側にも行ってみよう

(江南)

(2階の床がきしむ音)

(物音)

(紅次郎) 江南くん (江南) はっ!

(アガサ) ルルウ!

何してるの? 危ないから!

ごめん 今 ちょっと変な気がして

変?

いや 自分でも よく分からないんですけど…

何だろ…

一瞬 何かが見えたような…

えっ?

何もないけど…

(ルルウ) ですよね

(アガサ) 大丈夫?

2人とも 行くぞ

(アガサ) ちょっと置いてかないでよ!

(江南) あ… えっと…

ここは物置代わりにしている部屋だ

洗面所は向こうだよ

(江南) すいませんでした

ハア…

(アガサ) もうダメ 足が痛い

(ヴァン) 島中 歩き回ったからな

(カー) 都合よくボートなんか あるわけないだろ

(ルルウ) あ… あとは何ができますかね?

船着き場に見張りを立てるか 2人ずつ交代制で

それは嫌!

犯人と2人きりになったら どうするのよ

(ヴァン) でも アガサ 君だって容疑者の1人なんだよ

私がオルツィを殺すわけないじゃない

(カー) うるせえな

お前が犯人じゃないって証拠もないだろ

(アガサ) 私は違う!

けど… この中にいるんでしょ 誰なの?

(エラリイ) それはどうかな

(アガサ) えっ?

(エラリイ) あ~ いや 僕はやっぱり外部犯だと考えてる

オルツィは僕ら以外の この島に潜む誰かに殺されたんだ

(ルルウ) やっぱり庭師ですか?

いや…

中村青司さ

(ルルウ) 中村青司?

(カー) おい 正気か?

あいつは あの青屋敷事件で 焼け死んでんだぞ

それこそが誤りなんだよ

半年前に見つかった中村青司の死体

あれは まさしく “顔のない死体”じゃないか

“顔のない死体”…

しかも中村青司の焼死と同時に 行方をくらました庭師がいるわけだ

実は その焼死体が 庭師だったってことですか

おそらくね

これは 古くからミステリにおける 単純な入れ替わりトリックだ

僕は 和枝夫人と使用人夫婦――

その庭師を含む 4人を殺した犯人こそ 中村青司なんだと思ってる

(ポウ) 確かに 可能性が 全くないとは言えないが

かなり強引な推理だな

(エラリイ) だからこそ盲点なんだよ 漁師の親父さんが言ってただろう

夜になると十角館に明かりがともるって…

あの幽霊話は――

この島に中村青司がいるって 証拠なんじゃないかな

(ルルウ) ひょっとして…

エラリイ先輩は さっきから 中村青司がいそうな場所を探してた?

(エラリイ) ああ

この島に精通する彼なら 身を隠して生活することも可能じゃないか

(カー) バカバカしい

事件から半年以上もたつんだぞ

(アガサ) 結局 見つからなかったんでしょ?

(エラリイ) ああ

でも 例えば…

あそこに潜んでいる とか…

本土までは無理だが この程度の距離だ

ゴムボートでもあれば 自由に行き来できる

そして 夜になると 十角館の辺りに現れるんだ

(ルルウ) 何のために?

孤島に閉じ込められて 行き場のない僕らを――

なぶり殺しにするためさ

真相が暴かれることを恐れているんだよ 青屋敷事件の…

それに中村青司なら マスターキーを持っていても不思議じゃない

いくら鍵をかけても 彼の侵入は防ぎようがない

もう嫌 やめて!

(ポウ) エラリイ それくらいにしとけ

僕は あらゆる可能性から 推理してるだけさ

島を無事に脱出できるかは この謎解きにかかってる

帰りたい… 来るんじゃなかった

帰らせて!

(ヴァン) アガサ 落ち着いて

(アガサ) もう嫌…

お願い 誰か助けて

誰か! 誰かー!

(漁師) どうしたんかね

ああ いえ… 今 何か…

あっ すみません お話の途中で…

(漁師) つまり あんた その中村何たらが――

まだ あの島で生きているんやないかって そう言いたいんか

はい 十角館に現れる幽霊というのは 本物の中村青司

(漁師) あり得んね

生きとるとしたら 食べ物は?

(江南) 本土と島を行き来できるとしたら?

例えばモーターボートを 隠していて――

時々こっちに来るというのは 無理でしょうか?

まあ 今ぐらいの天気なら エンジンさえあればそう難儀でもないか

夜のうちに港の裏側に上がれば 行けんこともないな

やっぱり!

(漁師) けど――

岸に船つないどったら すぐに見つかるったい

やっぱり幽霊なんだろうよ ハハハ…

(島田) きた!

きたきたきた! 大物だ 大物だ! よっ!

(少年たち) あ~あ…

(少年) ショボいな~ (島田) ああ…

もう 竿返して! ほら

(島田) え~ ちょっとちょっと もう1回 もう1回 !

(少年) 返して 返して!

(少年) 大人なんだから 竿くらい自分で買えよ!

(島田) いいじゃないか ケチ~

(少年) ケチじゃなくて…

島田さ~ん もう行きますよ

(島田) ああ…

じゃ また… またな!

コナンくん

紅さんの部屋にあった写真 覚えてるかい?

ええ

(江南) つまり 紅次郎さんなら ひそかに島を行き来できて

青司さんを 逃がすこともできたかもしれない

逃がさなくても 手を貸しているとしたら…

中村青司は あの島で生き続けることも可能だな

だとしたら ミス研のみんなは?

角島の幽霊に 魅入られないよう 祈らずにはいられないよ

んっ?

(政子) 時々 ここに来るんです

お骨もないですからね

主人は あの島の どこに眠ってるんでしょうね

(島田) 中村青司なら 知ってるかもしれませんよ

えっ?

ちょっと 島田さん

あの方は お亡くなりになったのでは?

仮の話ですよ

もし 中村青司が生きているとしたら 島の どこに隠れてるんでしょう

そんなこと言われても…

すみません あの 気にしないでください

では コナンくん 君は どこに隠れていると思う?

えっ?

そりゃあ…

もしずっと島にいることが できないなら――

あとは もう 紅次郎さんの家ぐらいしか…

それはないと思いますよ

あの お二人は 決して 仲のいいご兄弟ではありませんでしたから

特に青司様のほうは――

紅次郎様を憎んでるように見えました

(風と波の音)

(ラジオの声)

(ルルウ) ギリギリ 電波が届くみたいですね

(ラジオの声) 今夜から明日の朝にかけて 雲が広がりやすく――

ところによっては雨が予想されます

海上の波の高さは1メートル 船舶の航行には注意が必要です

この荒れた天気も 明後日には…

(強風の音)

(アガサ) 消して 聞きたくない

占いでもしてくれるの?

トランプといえば マジックに決まってる

(アガサ) あなたらしいわ

こんな時でも 人を煙に巻いて喜ぶんでしょ

(ルルウ) エラリイ先輩 ひそかに練習してるんですよ フフフ…

僕 何度も 練習につきあわされましたから

(エラリイ) ルルウ 種明かしはナシだ

(ルルウ) おっ! ポウ先輩 ちょっとちょっと こっちに

(エラリイ) アガサ こちらへ

(ルルウ) アガサ先輩 どうぞどうぞ こちらのお席へ

ぜひ 一度

ありがとうございます フフッ

じゃあ アガサ

ジョーカーを除く52枚の中から 好きなカードを思い浮かべてほしい

(ルルウ) 思い浮かべてください

何? もう始まってるの?

思い浮かべたら 口に出しちゃいけないよ

思ったわ

じゃあ――

思い浮かべたカードを このケースに強く念じて

(ルルウ) こうやって 念じてください

(ルルウ) 念を込めて はい やって (アガサ) ハア…

念じればいいのね…

はい

OK アガサ 君が選んだカードは何だい?

(アガサ) 言ってもいいの?

(エラリイ) うん

ダイヤのクイーン

アガサ 裏向きのカード

めくってごらん

え…?

まさか…

(ポウ) ほう ホホホ…

(ヴァン) すごいな エラリイ

これは カード当てトリックの 最高傑作の1つさ

お前ら組んでるだろ?

アガサはサクラだ

(アガサ) 違うわ

(エラリイ) サクラなんか使わないさ

アガサが ダイヤのクイーンを思い浮かべる――

52分の1の確率に賭けた プロバビリティのトリックでもない

余興としては最高だろ?

(ルルウ) じゃあ他には 何かないですか?

(エラリイ) いくらでも あるさ

(ルルウ) マジシャン エラリイ よっ!

気取りやがって

もう… 不審者そのものだよ

(江南) あっ… 俺… 私たち 知り合いで…

あ… 中村さん留守かな… アハハ…

(島田) ハア… ひと気がないね

(江南) でしょうね! (島田) ん~?

(江南) 電話にも出なかったんでしょ?

(島田) ああ だけど もしもってこともあるだろ?

(江南) もう 行きましょ!

もう 1日に何度も迷惑だし

(島田) あれ?

ずいぶん普通のこと言うねえ コナンくん

(江南) 島田さんが異常なだけです!

(島田) ええ? おやおやおやおや…

(エラリイ) これ どう読むか分かるかい?

よく田舎の店屋に貼ってあったりする

(ルルウ) 何です それ

(エラリイ)“春夏冬”で秋がない

つまり“あきない”だ

“2升”は 升に2杯だから“ますます”

“5合”は 1升の半分で“はんじょう”

(ルルウ)“あきない” “ますます”“はんじょう”?

“商い 益々 繁盛”? ハハハハッ へえ~

(ポウ) まっ 一種の暗号と 言えんこともないな

(エラリイ) 暗号といえば――

それらしきものが 最初に登場する文献は 「旧約聖書」らしいよ

確か「ダニエル書」だったか

(ルルウ) そんなに昔からあるんですか?

(エラリイ) ああ 日本でも「徒然草」で 暗号歌があったと思うんだけど 何だっけ…

オルツィは…

すまない つい…

(カー) つまらない余興は もういい

アガサ コーヒーでもいれてくれよ

そうね みんなも飲むでしょ

こよいは かわいそうなオルツィの通夜じゃないか

忘れたフリはやめて もうちょっと神妙にやろうぜ

(風の音)

(ラジオの声)

(島田) まさか もう飽きちゃったのかい コナンくん

(江南) 違います

島田さんと一緒にいると何と言うか…

(島田) 刺激的?

(笑い声)

もう そうじゃなくて! もう…

紅さんは中村青司と 仲の悪い兄弟だった

そんな紅さんは 中村青司をかくまわない

あるいは それでも かくまう理由がある?

おっ いいぞ

あるいは やはり中村青司は 島で焼死している

(島田) なるほど (江南) いや…

しかし 中村青司からの手紙は 存在する

同じ手紙は 紅さんにも送られた なぜか…

(島田) つまり… (江南) つまり?

ん~ いろいろ紅さんに聞くのが 手っ取り早い だろ?

(江南) いや そうなんですけど!

だから来たんじゃないか! 君も聞きたかったくせに

そうなんですけど

何と言うか…

刺激的でワクワクすると ハハハッ

そうですね! もうそれでいいです

(島田) ハハハッ (江南) ハア~…

お砂糖とミルクは好きに入れて

悪いね アガサ

(ルルウ) ありがとうございます

(ポウ) ああ…

(ヴァン) ありがとう

(アガサ) そういえば 風邪の具合は?

(ヴァン) おかげさまで だいぶいいよ

(アガサ) そう なら良かった

(ルルウ) まだ無理しないほうが いいですよ

ここじゃ どうすることも できないんですから

(ヴァン) ありがとう ルルウ

本当に 本土と 連絡を取る方法はないの?

誰かが決死の覚悟で泳いで渡るか?

(カー) この十角館を燃やせば 気づいてもらえるんじゃねえの?

放火とは穏やかじゃないね

気取ってる場合かよ

あっ いや 確かに青屋敷が燃えた時は 本土からも炎が見えたっていうしな

(エラリイ) 青屋敷といえば 昼間 見ようと思っていたんだ

あそこに地下室とかは なかったのかな

(ポウ) 地下室?

(エラリイ) 中村青司が隠れるのに最適じゃないか

(エラリイ) 明日は その… (カー) うっ うう…

(うめき声)

(アガサ) 何? (エラリイ) どうした?

(ルルウ) カー先輩? (ヴァン) カー?

(カーのうめき声)

(ポウ) 毒だ! (カーのうめき声)

(エラリイ) このコーヒーか

(カーのうめき声)

手を貸してくれ!

とにかく吐かせるんだ

し… 死なないわよね?

助けられるんでしょ?

(うめき声)

ねえ 何とか言って!

毒の種類が分からん!

致死量に達していないことを 祈るだけだ

(カーのうめき声)

(アガサ) 落ち着いたの?

心肺停止だ

(アガサ) あ…

ウソでしょ…

何で こんなことに…

同じだ…

おい! しっかりしろ!

ウソでしょ… 何で!?

(中村千織) 江南先輩

あ… これ 読みました

先輩が書いた「安楽な探偵K 登場!」

すごく面白かったです

あ… ああ~ ありがとう

あの主人公 探偵K 江南先輩自身がモデルなんですか?

え… いやいや あれは俺の憧れを書いただけで

とてもじゃないけど あんな名探偵にはなれないよ

そっか…

先輩はどっちかって言うと ホームズより ワトスンですよね?

それ… 俺は地味な脇役タイプだって 言いたいんでしょ

えっ え… 違いますよ

ワトスンは 天才ホームズの 一番の理解者で 最愛の友人

時にはホームズの思考に刺激を与え 彼を真実へと導く

ホームズは ワトスンがいるから ホームズでいられるんです

先輩がワトスンだから こんなすごい主人公を生み出せるんです

まさに作者コナン・ドイルの名前が よく似合ってます!

(せきばらい)

あっ…

すみません

私 ホームズが大好きだから つい…

千織さんの作品も いつか読ませて

はい!

(江南)

(ルルウ) しっかりしてください! カー先輩!

(アガサ) 死ぬわ… このままじゃ また死ぬ!

(アガサ) ああ…

ああ…

(ヴァン) アガサ!

(アガサ) あああ~! キャー!

(ポウ) カー 戻ってこい!

お前 そんなタマじゃないだろ!

(アガサ) あああ~!

(エラリイ) これは 綿密に練られた犯行なんだよ

(ルルウ) 誰か!

(守須) 2人とも 少し踏み込みすぎじゃないですか

(アガサ) 次は私の番?

(エラリイ) ウソだろ

(エラリイ) “第三の被害者”か…

ケリをつけよう

僕は ここで降りようと思います

このまま 投げ出したくない

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