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(はなをすする音)
(はなをすする音)
もう治ったか?
うん。 >> そっか。
(モニタ) 戦後 地元の住民によって 始められた祭りで→
およそ70以上の屋台が出店。
(モニタ) 地元の特産品も販売されます。
(モニタ) 富士浅田冬祭りは 今週の日曜まで開催予定です。
(モニタ) 任期満了に伴う 富士浅田市長選挙が→
昨日 告示され 現職と新人の…。
(若葉) よいしょ。 (清美) 大丈夫? 間に合う?
>> うん 余裕。 (清美) 今日 部活は?
>> あ~ あるけど そんなに遅くなんないと思う。
(清美) ふ~ん 忘れ物ない?
>> うん 大丈夫 よし。
いってきま~す。 (清美) いってらっしゃい。
(モニタ) 富士浅田市内で相次ぐ 謎の地上絵。
(清美) よっ。
うぅ…。
うぅ… あ~。
⟨家から職場までは 自転車で20分⟩
⟨前は車だったけど 去年の秋くらいから→
健康のため 自転車で出勤している⟩
⟨健康のための自転車だけど→
この時季は寒さで 健康を損ないそうな気がする⟩
(清美) ⟨ここが私の職場⟩
⟨8時45分 出社⟩
(奥田) 今日 寒いよね。 (清美) う~ 寒いですね。
自転車で来て後悔してます。
(奥田) 風邪ひかないで。 (清美) はい。
⟨支配人の奥田さんは→
あまり支配人支配人していなくて 接しやすい⟩
⟨制服は シャツだけ 各自で洗濯するルールで→
私は週1で洗う⟩
⟨といっても この頻度は 決して洗わない方ではない⟩
⟨もっと洗わない人もいる⟩
⟨むしろ洗う方⟩
(高橋) お待たせしました こちら領収書になります。
(高橋:由美) ありがとうございました。
(由美) おはようございます チェックアウトでよろしいですか?
はい 確認いたしますので 少々お待ちください。
(キーボードを打つ音)
(小声で) おはようございます。
>> はい 精算はお済みですので チェックアウトは以上です。
(清美) ⟨着いたらまず 夜勤の人から 共有事項の引き継ぎ⟩
(高橋) え~っと 本日はですね→
302号室から305号室へ ルーチェンしてます。
以上ですね。 (清美) 了解です。
(奥田) 見回り行ってきます。 (清美) お願いします。
>> お待たせしました。 (客) ありがとうございます。
(3人) ありがとうございました。
(3人) いってらっしゃいませ。
(清美) おはようございます。 >> おはようございます。
じゃあ お先です。 お疲れさまでした。
(清美) ⟨フロントは基本的に2人1組⟩
⟨今日は 9時上がりの 高橋さんと入れ替わりで→
朝番の由美ちゃんと 16時までペア⟩
⟨出勤後 11時までは チェックアウト業務に追われる⟩
(2人) いってらっしゃいませ。
そういえば この間→
女性のお客さんで 角部屋が嫌だっていう人がいて。
(清美) えっ 何で?
>> 何かホテルとかの角部屋って 霊がいるらしくて。
(清美) えっ そうなの? >> 分かんないけど→
その人は そう言ってました。 (清美) へぇ~ 初めて聞いた。
>> それで ルーチェン 希望されたんですけど→
ちょうど満室でできなくて→
そしたら お客さんが…。 (足音)
おはようございます。 (清美) おはようございます。
(由美) チェックアウトで よろしいですか?
(客) お願いします。 (キーボードを打つ音)
(2人) いってらっしゃいませ。
(清美) そしたら?
>> どこまで話しましたっけ?
(清美) 何かルーチェンができなくて…。 >> あっ そう。
それで 「霊がいないか 一緒に行って確認してほしい」→
…って言われて。 (清美) うわ~ 面倒くさいね。
ってか 由美ちゃん 霊感あんの? >> いや 全然。
だから一応探してるふりだけして。 (清美) えっ どうやって?
>> 何かテレビの裏とか ベッドの下とか見たりして。
(清美) 霊って そういうとこいるの?
>> いや 私も どう探せばいいのか 分かんなくて。
(清美) えっ その時 お客さんは どこにいるの?
>> ドアの所から見てるんですよ。
(清美) あ~ 入ってこれないんだ。 >> そう。
で そっから 何か小声…。 (足音)
おはようございます。 (清美) おはようございます。
>> チェックアウトでよろしいですか? (客) はい お願いします。
(由美) はい 確認いたしますので 少々お待ちください。
(キーボードを打つ音)
(2人) いってらっしゃいませ。
☏(着信音)
はい フロントです。
申し訳ありません すぐにお持ちいたします。
ちょっとリモコンの電池 持ってってきます。
(清美) は~い。
⟨この時間帯に 長めの話は向いていない⟩
おはようございます。 >> おはようございます。
(清美) チェックアウトで よろしいですか?
(エレベーターの到着音) (客) お世話になりました。
(清美) ありがとうございました。 >> ありがとうございました。
(清美) いってらっしゃいませ。
(清美) それで?
>> 何でしたっけ?
(清美) ドアの所から お客さん見てて…。
>> そうだそうだ それで→
後ろから「いませんか?」って 聞いてくるから→
「いないですね~」って言って。
(清美) 霊感ないのに。 >> ないのに。
そしたら 安心してくれたみたいで 普通に宿泊してくれました。
(清美) え~ それでいいんだ? じゃあ その人も霊感ないじゃん。
>> ですよね。 (清美) ねっ。
>> 清美さん 霊とか信じます?
(清美) ん~ 私も霊感ないから ピンとこないね。
>> 宇宙人はどうですか? (清美) 宇宙人?
ん~ どうだろう?
>> 私 宇宙人は いると思うんですよね。
(清美) まぁ そりゃ宇宙のどっかには いるかもね。
>> あのニュース どう思います? (清美) 何?
>> どっかの学校のグラウンドに 地上絵が描かれてたっていう。
(清美) へぇ~ そんなのあったんだ。 >> あっ 知らないですか?
ちょっと前に この辺の小学校とか 中学校のグラウンドに→
立て続けに ナスカの地上絵みたいなやつが→
描かれてたんですよ。 (清美) へぇ~ 知らなかった。
誰がやったの? >> いや 分かんないんですけど→
それが宇宙人の仕業じゃないか っていう噂もあって。
(清美) え~? ただの愉快犯でしょ。
>> そうですかね? (清美) 絶対そうだよ。
えっ 何か昔 似たような事件なかったっけ?
>> えっ 知らないです。
(清美) いや 私もリアルタイムっていうより→
後から 何かの特集で見たんだけど。
>> どういう事件なんですか? (清美) 何かね→
昔 どっかの中学校だか 小学校のグラウンドに→
机が ずら~っと並べられてて→
確か それが数字になってたの。
>> 何の数字なんですか? (清美) 分かんない。
で それが宇宙人の仕業とか 何かを暗示してるとか→
いろいろ言われてたんだけど 結局 犯人捕まってたよ。
(由美) そうなんですか? >> じゃあ お先です。
(清美) お疲れさまです。 >> お疲れさまでした。
高橋さんって→
毎回 仕事終わった後 ちょっとだけ残りますよね。
(清美) ねっ 何してんだろ?
>> 終わってんのに残られるって ちょっと嫌じゃないですか?
(清美) 分かる 別に邪魔とかじゃ ないんだけどね。
>> あ~ そうそうそう。
何か裏行った時に あそこにいられると→
ちょっと気ぃ使いますよね。 (清美) 使うね。
>> ちなみに高橋さん→
夜中に絶対 大浴場 入るんですよ。
(清美) そうなんだ。
>> はい 夜勤の休憩で 入ってるみたいです。
(清美) へぇ~。
まぁ それはいいんじゃない? 休憩時間なら入っていいんだし。
⟨ちなみに 実は私も→
新人の頃 2回だけ入ったことがあるけど→
ややこしくなるので 言わないでおいた⟩
⟨2回だけだし⟩
でも 支配人も たまに入るみたいよ。
⟨お昼休憩は 1人ずつ取る⟩
⟨平日は 娘のお弁当のついでに→
自分の分も作って 食べることが多い⟩
⟨13時からは午後番で パートのえりさんも加わり→
ここから 由美ちゃんが帰る16時までは→
3人体制になる⟩
⟨ところで うちのホテルは 常連のお客さんも割と多い⟩
⟨例えば この人は…⟩
>> こんにちは。 (清美) いらっしゃいませ。
丸山さま いつもご利用 ありがとうございます。
⟨出張でよく来る 丸山さん⟩
⟨毎回 髭剃りやクシなどの アメニティを→
キレイに持って帰る⟩
⟨ちなみに常連さんには→
「いつも ありがとうございます」と 言うのだけど→
例外があって それは…⟩
いらっしゃいませ。
チェックインでよろしいですか?
>> はい 宮本です。 (清美) 少々お待ちください。
⟨女性連れの場合⟩
⟨なぜならば 必ずしも 同じ相手だとは限らないから⟩
お間違えはございませんか? >> はい そうです。
(清美) ⟨仮に違う相手だった場合→
「いつも ありがとうございます」だと→
トラブルの原因に なりかねないので→
必ず 初めてのような 対応をするのが決まり⟩
(2人) おかえりなさいませ。 (村上) ただいま。
(村上) 今日 天気いいね 富士山もキレイに見えて。
(清美) ⟨かれこれ3か月くらい このホテルに住んでいる→
村上さん⟩
⟨こういうお客さんは たまにいるけど→
当然 こちらから 詮索はできないので→
素性は分からない⟩
⟨ただ お金持ちなのは確か⟩
ごゆっくりお過ごしください。 >> ごゆっくりお過ごしください。
(清美) ⟨荷物運びは 面倒くさがる従業員も多いけど→
私は気分転換にもなるので 嫌いじゃ ない⟩
⟨清掃スタッフさんとは よく顔を合わせるけど→
業務連絡以外の会話は ほとんどしない⟩
⟨ただ 彼女のSNSは こっそりフォローしている⟩
⟨一人旅が趣味らしい⟩
(キーボードを打つ音)
(えり) うちの常連さんで 丸山さんって人いるじゃない。
(清美) あぁ アメニティ ごっそり持って帰る。
>> そうそうそう あれさ→
カミソリとか歯ブラシなら いいんだけど 最近→
バスタオルとかまで 持って帰るようになっちゃってさ。
え~ そうなんですか?
たまに そういう人いるんだけどさ 常連でそれやるって→
すごい勇気じゃない? >> 確かに。
それ 本人には言えないんですか?
ん~ 言いたいんだけど それが 分かるのって帰った後じゃん。
(清美) そっか 証拠もないですしね。 >> 支配人には言いました?
一応 言ったんだけどさ やっぱ常連さんだし→
注意しづらい部分も あるみたいなんだよね。
それこそ 現場 押さえられれば 注意できるんだけどね。
(清美) でも 現場 押さえるの 難しくないですか?
>> 例えば チェックアウトする時に→
駐車場で張っといてさ 車に乗り込もうとした時に→
「ちょっと今 車に積んだバッグ→
見せていただいて よろしいですか?」って。
(清美) 「えっ 何でですか?」って 言われたら?
>> 「もしかしたら 間違ってうちのタオル→
入れちゃってるかも しれないんで」って。
(清美) なるほど 「間違って」って 言ってあげるんだ。
>> そう そしたら 本人も認めやすいじゃん。
(清美) ⟨ちなみに そんな えりさんと 以前スーパーで会った時→
無料のポリ袋を 大量に 持ち帰っていたのを見たけど→
あれは 「間違って」であってほしい⟩
(清美) ⟨うちのホテルでは→
アメニティは バイキングスタイル⟩
⟨ちなみに お客さんが部屋に 持ち運んで使わなかったものは→
そのまま 事務所のカゴに入れられて→
従業員が もらえることになっていて→
これが地味に家計の助けになる⟩
⟨18時に仕事を終えると→
帰りにスーパーに寄って 夕飯の材料を買って→
娘が帰宅する 20時ごろまでに夕飯を作る⟩
⟨これが いつもの1日の流れ⟩
おっ おっ おっ…。
(クラクション) (急ブレーキ音)
(清美) 貯金会のお金って 今 幾らたまってるんだっけ?
⟨今週末は 娘が部活の合宿でいないので→
久しぶりに 地元の同級生のみなぷーと→
後輩のはっちを誘って食事⟩
⟨昔は しょっちゅう 集まっていたけど→
ここ数年は忙しさもあって 年に数回くらいになっていた⟩
みなぷー まだママさんバレー やってんだっけ?
(美波) やってる 私 今キャプテンだよ。
(清美) え~ そうなんだ。 (美波) うん うち経験者 少ないから→
私 めっちゃ重宝されてるの。 (清美) へぇ~。
(美波) きーちゃんも入れば? 即レギュラーになれるよ。
(清美) え~ 私 もう20年以上 やってないからなぁ…。
(美波) 大丈夫だよ ちょっと練習すれば すぐ戻るよ。
(清美) 練習かぁ~。 (葉月) みなぷーさんとこ→
よく うちの学校で 練習やってますよね?
(美波) あっ そうそう 旭小でやってるの。
(清美) あっ はっち今 旭小なんだっけ?
(葉月) そうです もう4年目ですよ。 (清美) え~ そうなんだ。
(美波) 今 何年生 受け持ってんだっけ? (葉月) 6年生。
(美波) へぇ~ じゃあ 今年 卒業だ。 (葉月) そうなんですよ。
(清美) やっぱ 寂しいもんなの? (葉月) あ~ 寂しいですね。
今のクラス いい子たち多かったし。
(美波) そっかぁ じゃあ 卒業式とか泣くの?
(葉月) ん~ どうだろう? うるっとくるとは思いますけど。
卒業式って それよりも いろいろ 気ぃ使うこと多いんですよね。
(清美) えっ? 何に気ぃ使うの?
(葉月) まぁ 卒業式って 主役は もちろん卒業生だけど→
担任もその日は 中心にいるじゃないですか。
(美波) 結婚式でいうと 新婦の父親みたいな位置だもんね。
(葉月) そうそう だからこそ いろいろ 気ぃ使わなきゃいけないんですよ。
(清美) 誰に?
(葉月) 1年から5年まで その子たちを 受け持ってきた他の先生たち。
(美波) 何で? (葉月) いや だって→
みんな同じように 1年間ずつ教えてきたのに→
6年の担任だけが おいしいところ 持っていくわけじゃないですか。
(美波) あ~ そういうことか。
(清美) そこは新婦の父親とは ちょっと違うもんね。
(葉月) あっ どっちかっていうと リレーのアンカー。
(清美) あ~ なるほど。
それでアンカーだけが表彰台に 立つみたいなもんだもんね。
(葉月) そういうもんだって みんな 分かってはいるんですけど→
でも あまりにも全部 自分の手柄 みたいな顔しちゃうと→
若干 「んっ?」とはなりますよね。
(美波) なるほどな~。
(葉月) 私 去年 卒業した子たちを→
4年の時に 受け持ってたんですけど→
6年の担任が まさにそんな感じで。
(清美) へぇ~。 (葉月) いや 何なら4年の時→
結構荒れてて 一番大変だったんですよ。
でも そんなこと一切触れずに→
自分が手塩にかけて育てた みたいなこと言っちゃって。
(清美) みんなの手塩なのに。 (葉月) いや ホントそう。
いや~ 私も ああならないように 気を付けなきゃなと思って。
(美波) 主役顔しないように? (葉月) はい 反感買っちゃうんで。
(美波) そっか 何か大変だね。 (葉月) フフフフ。
きーさん 今もあのホテルですか? (清美) うん そうだよ。
そうだ 聞いて。
この間 その仕事帰りに 不思議なことがあってさ。
(美波) えっ 何?
(清美) いや 仕事終わって→
で 自転車で帰ってたんだけど。
〔おっ おっ おっ…〕
>> 〔クラクション〕 〔急ブレーキ音〕
〔大丈夫ですか?〕
(清美) 〔あ… 大丈夫です〕
>> 〔ケガはないですか?〕
(清美) 〔はい〕
>> 〔はぁ~〕
〔あっ 大丈夫ですか?〕
(男性) 〔あぁ 大丈夫です〕
〔じゃあ すいません〕
〔ドアが閉まる音〕
(清美) 〔え?〕
〔高橋さん…〕
>> 〔あの~→
これ 誰にも言わないでもらえる?〕
(清美) 〔え? あ… はい〕
>> 〔じゃあ お疲れさまでした〕
(清美) 〔お疲れさまでした…〕
(美波の声) ホントに? (清美の声) いや ホントなんだって。
すごくない? (葉月の声) すごいっていうか→
想像がつかない。 (美波の声) うん。
よっぽどの力じゃないと 無理だよね。
(葉月) どんな人なんですか?
(清美) いや それが職場の先輩でさ。
(美波) えっ 同じ職場なんだ。 (清美) そう 高橋さんっていうんだけど。
(葉月) 何か スポーツやってたんですかね?
(清美) どうだろう? (美波) ラグビーじゃない?
(葉月) 確かに ラガーマンの身体能力なら あり得るか。
(美波) だよね。 (葉月) えっ 会ってみたいかも。
(美波) 確かに 腕とか触ってみたいよね。 (葉月) うん フフフ。
(清美) ねぇ→
多分 今2人の中で→
高橋さん だいぶ かっこいい感じになってるよね?
(美波) なってる。
(清美) えっとね…。
(清美) これ 高橋さん。
(美波) んっ?
えっ? この人じゃなくて?
(清美) ううん この人。
(美波) え~…。
ホントに?
(清美) ホントホント この人に 自転車ごと持ち上げられたから。
しかも続きがあんの。
(清美の声) 翌日…→
じゃなくて 翌々日かな?
(清美の声) 職場で一緒だったから お礼 言ったのね。
あの 先日は ありがとうございました。
>> あっ いえいえ。
誰にも言わないでね。
(清美) えっ?
>> あの 内緒でお願いします。
(清美) あっ はい。
えっ 何か まずいんですか?
>> いや あの まずいっていうか→
あんまり 言わない方がいいかなぁって。
(清美) あそこにいたことが知られると まずいってことですか?
>> いや そういうわけでは ないんだけどね。
(小声で) 不倫とかですか?
>> あっ 違う違う そういうんじゃなくて。
(小声で) 犯罪関係ですか? >> いや あの→
全然そういうんじゃないから。
(清美) え~ 気になる えっ 何ですか?
>> ふぅ…。
じゃあ 言うけど→
ホント誰にも言わないでね。
(清美) もちろんです。
>> あの~→
実は俺…。
宇宙人なのね。
(清美) んっ? >> いや あの 宇宙人なのよ。
だから ちょっと 内緒にしてもらいたいんだよね。
(清美) あぁ…。
分かりました 内緒にします。
>> ちょっと待って。 (清美) はい。
>> 俺 今 何かヤバい人みたいに なってるよね?
(清美) そんなことはないです。
>> いやいや 何か ヤバいこと言い出したと思って→
すぐに切り上げたよね? (清美) あっ いえ。
>> ちょ… 待って 分かった 分かった 分かった。
ちゃんと話すね。 (清美) あっ でも 大丈夫です。
>> いや ダメダメ これはダメだ ちゃんと… ちゃんと説明させて。
座って。
座って ねっ?
ちょっ ごめんね。
あの~ こないださ→
ああやって助けたじゃない?
自転車ごと こうブワっと。
(清美) はい。
>> あれができたのは→
俺が宇宙人だからなのよ。
(清美) ん~。
その… 宇宙人というのは あれですか?
あの よくすごいアスリートを怪物とか 言ったりするじゃないですか。
>> 言うね でも ほら それって比喩じゃん。
俺が言ってんのは そういう比喩とかじゃなくて→
ホントのやつ。 (清美) ホントのやつ?
>> そう ホントに宇宙人なのよ。
(清美) へぇ~。
>> 信じてないよね?
(清美) ん~ いや…。
>> まぁまぁ あの 別に信じないなら 信じないで 全然いいのよ。
こっちは 誰にも言わないでもらえれば→
それで構わないの。
(清美) そっか。
まぁ それは大丈夫です 言わないんで。
>> いや 絶対言うでしょ。 (清美) 言わないです。
>> 言うよ 絶対 地元の友達とかに→
「職場にヤバいヤツいてさ」 とか言って。
(清美) 言わないですよ。 >> ホントに? (清美) ホントホント。
>> でも ヤバいヤツだと 思ってるよね?
(清美) 思ってないですよ。
>> 思ってんじゃない。 (清美) 思ってないです。
>> 完全に 思ってる間だったじゃない 今。
(由美) フロントお願いします。 (清美) あっ は~い。
すいません。
(清美) おはようございます 承知しました。
確認いたしますので 少々お待ちください。
(キーボードを打つ音)
はい 精算はお済みですので チェックアウトは以上です。
いってらっしゃいませ。
(高橋のせき払い)
(由美) おはようございます チェックアウトでよろしいですか?
確認いたしますので 少々お待ちください。
(キーボードを打つ音)
ちょっと。
ちょっと来てもらって。
(清美) 何ですか?
>> ごめんね ちょっと見てもらいたい ものがあるんだけど…。
(清美) あの すいません 私も仕事があるんで。
>> すぐ終わる すぐ終わるから ごめんね すぐ終わる。
これ見れば 信じてくれると思うんだよね。
いくね? これ 見てて。
(清美) えっ? えっ?
>> よかったら。 (清美) えっ? えっ?
>> すごいでしょ? (清美) えっ これって…。
えっ 指の力ですか?
>> そうなの。
普通ね こんなの無理だよね?
(清美) そうですね。 >> うん。
じゃあ 何で こんなことが できるかっていうと→
俺が宇宙人だからなのよ。
信じてもらえた?
(清美) あの その… えっ 何だろう?
>> 何でも言って。
(清美) 力がすごいのは 分かるんですけど→
そこから宇宙人って部分が あまりにも急過ぎて。
>> あ~ まぁまぁ そうだよね じゃあ そこ ちゃんと説明するね。
その代わり 何度も言って 申し訳ないんだけど→
ホント誰にも言わないでね。
(清美) あっ はい それはもちろん。 >> うん。
じゃあ まず俺が→
どこの星から来たかっていう まぁ 話なんだけど→
元々 俺の親がね…。
フロントお願いします。 (清美) あっ は~い。
すいません。
>> えっ?
(清美の声) で 結局 そこから忙しくなっちゃってさ→
続きを聞けなかったの。
(葉月:美波) ふ~ん。
(清美) どう思う?
(美波) 「どう思う?」って?
(清美) ホントだと思う?
(葉月:美波) う~ん…。
(葉月) ヤバい人じゃないですか? (清美) やっぱり?
宇宙人とかじゃなくて?
(美波) ヤバい地球人。 (葉月) うん。
(清美) そっかぁ…。
いや 私も最初は そう思ったんだけど→
実際 すごい能力なのは 間違いないからさ。
(美波) まぁ 目の前で見たんだもんね。
(清美) だんだん ホントなんじゃないか って思えてきてさ。
(美波) ちょっと もう1回 写真見せて。 (清美) 高橋さん?
(美波) 何か宇宙感がなさ過ぎなんだよな。 (清美) 宇宙感?
(美波) 何か あまりにも 普通のおじさん過ぎない?
(葉月) 確かに どこにでもいる感じですよね。
(美波) 多分 全く同じ見た目の人 日本に5000人くらいいるよね。
(葉月) いるいる。
(美波) ちょっとさ 今度会わせてよ。 (清美) 高橋さん?
(美波) うん まず能力 見てみたいよね。
(葉月) うん 確かに 目の前で能力 見たら 信じられるかも。
(清美) え~? どうしよっかなぁ…。
(美波) えっ 何が?
(清美) いや だって→
誰にも言わないって 約束したのに→
幼なじみが信じてくれないから 能力を見せてほしいとは→
言えないじゃん? (美波) まぁね。
(葉月) だったらまず 「幼なじみにだけ→
話してもいいですか?」って お願いだけして→
で 許可が出たら 「話したけど信じてくれないんで→
ちょっとだけ能力 見せてあげて もらえませんか?」って→
言えばいいんじゃないですか?
そしたらね 約束破った感じにはならないし。
(清美) あ~ 確かにそうだね。
うん それなら いける気がする。
うん。
>> ダメに決まってんじゃん!
(清美) ダメですかね? >> ダメだよ。
元々はね これ 遠藤さんにも 知られたくなかったんだけど→
ほら ああいうことがあって→
流れ上 言うしかないなと思って これ 特別に言っただけだからさ。
(清美) あっ でも その2人は 中学の頃からずっと仲良しで→
今まで どんな秘密も 漏らしたことないから→
そこは 安心してもらいたいんですよね。
>> それは ほら 幼なじみ同士の 秘密をでしょ? (清美) まぁ…。
>> こんな関係ないおっさんの 秘密なんか 絶対話すでしょ。
(清美) いや 私が言わないでねって 言ったら→
絶対言わないです。
>> あのさ ひょっとしてだけど→
もう言っちゃってない?
(清美) いや 言ってないです。
>> 絶対言ってるでしょ。 (清美) 言ってないですよ。
>> 今の「ヤベっ」と思った間じゃない。 (清美) そんなことないですって。
>> もう どうせ あれでしょ?
幼なじみに話したら 能力 見たいとか言われてさ→
でも 誰にも言わないって 約束してるから→
まず俺に 言っていいかの許可をもらって→
で その後 能力 見せてほしいって 言おうとしてるとかじゃないの?
(清美) そんなんじゃないですよ 誰にも言ってないですから。
>> ホントに? (清美) ホントです。
>> じゃあ わざわざ 言わなくていいじゃない。
(清美) ん~。
よく会う幼なじみに→
こんな すごいことを隠すのって→
結構ストレスなんですよね。
>> そうなの? (清美) はい。
このままだと→
これが原因で 会う機会も徐々に減ってって→
私 その2人が地元で唯一 心の許せる相手だったから→
その2人と会わなくなったら→
ホントに仕事と家事に 追われるだけの生活になって…。
>> 分かったよ もう。
(清美) えっ いいんですか?
>> その2人だけね。
(清美) ホントですか? ありがとうございます。
>> 特別だよ? ホント信用できるんだよね?
(清美) めちゃくちゃ信用できます。 >> ならいいけど。
でも その代わり 会ってほしいとか→
能力 見せてほしいっつうのは なしだからね?
(清美) あの そこを何とか…。
>> 絶対言ってるよね? (清美) 言ってないです。
(清美) あっ 私の幼なじみの みなぷーと はっちです。
(2人) こんにちは。 >> どうも。
(清美) この2人は もう→
ホントに信用できる子たちなんで 安心してください。
(美波) 絶対言わないんで。 (葉月) 口堅いんで。
>> あの ホントお願いしますね。
(葉月:美波) はい。
(清美) じゃあ 取りあえず手始めに→
あれを見せてもらっても いいですかね?
>> ここで? (清美) 厳しいですかね?
>> できなくはないけど…。
じゃあ あの 何か10円玉とかあります?
(清美) あっ ありま~す。
(葉月) 早っ。 (美波) さすが。
>> じゃあ いきますね。
まぁ こんな感じですね。
(清美) すごくない?
(美波) すごい。 (葉月) ヤバっ。
>> まぁ そんな大したあれじゃ ないですけどね これは。
(美波) あの 高橋さんって→
宇宙人だって聞いたんですけど。
すいません それはホントなんですか?
>> まぁ そうですね。
(葉月) でも 見た感じ 普通に地球人ですよね?
(美波) 全然そんな感じしない。
>> いや でも あの→
骨格とか見ると やっぱ違いますよ。
(葉月) えっ どう違うんですか?
>> まぁ 分かりやすいとこで言うと→
地球人と比べて 背中が丸くて→
胸郭が微妙に下がってんですよ。
(清美) ふ~ん。
んっ? 猫背ってことですか?
>> いや 猫背は俺も知ってるけど そういうんじゃなくて→
何ていうの? まぁ 触ってみる? 明らかに丸いから。
触ってみますか? どうぞどうぞ その方が早いんで。
(葉月) あっ じゃあ はい。
失礼します。
(葉月) 普通に猫背ですね。
>> えっ いや こんな丸くないでしょ。
(葉月) いや もっと丸い人 地球にもいますよ。
>> そうですか? (葉月) はい。
(美波) ちなみに 他は何が違うんですか?
>> まぁ 分かりやすいとこだと 何だろうな?
あの 冷たいものとか食べると 歯が染みるんですよ。
(清美) 知覚過敏ってことですか?
>> 知覚過敏は知ってる。
レベルが違うのよ もうキ~ンってなるから。
(葉月) 私もなりますよ。
>> キ~ンって?
(葉月) なります なります。
>> あっ そうなんだ。 (葉月) はい。
>> 大変ですね お互い。
(葉月) そうですね。
(清美) まぁ でも 何より能力が違いますからね。
>> まぁ そうだね そこがもう 明らかに違うけどね。
(葉月) あの その星の人って みんな こういう能力あるんですか?
>> あ~ まぁ 俺は 生まれも育ちも浅田だから→
あんまり実は 向こうのこと 詳しくはないんだけど→
まぁ でも そうみたいですね。
(清美) えっ じゃあ あっちには 行ったことがないんですか?
>> ないない。
元々 俺の父親が あっちの星 出身ってだけで→
母親はこっちの人だから 厳密に言うとハーフなのよ。
(清美) へぇ~。
>> まぁ 顔はどっちかっつったらね 母親似なんだよね。
(葉月) あの それって さっきので 手 痛めたとかですか?
>> あぁ これ あの 痛みっていうか→
かゆみですね。 (葉月) かゆみ?
>> 副作用でこうなるんですよ。 (美波) 副作用?
>> まぁ こういう能力 使うと 出るんですよね。
(3人) へぇ~。 (葉月) いつも手がかゆくなるんですか?
>> まぁ それは能力によって 違ってくるんだけど→
まぁ こういうちょっとしたやつは かゆみぐらいですね。
(葉月) ふ~ん… あっ 何かごめんなさい。
かゆくなるのにね お願いしちゃった。
>> いや まぁ 大したことないんで 全然いいんですけど。
(美波) あの もしよかったら 他にも見せてもらえますか?
>> 他にも? (美波) ダメですかね?
副作用が そんな出ないやつでいいんで。
(葉月) 確かに もうちょっと見てみたいかも。
(清美) どうですかね?
>> まぁ ちょっとなら。 (葉月) お~ やった。
>> でも その代わり ホント 絶対内緒にしてくださいね。
(清美) それはそれは。 (葉月) 口堅いんで。
>> 絶対ですよ? (3人) はい。
こんなことがね もし世間に 広まっちゃったりしたら→
マスコミとかに追われて→
大変なことになっちゃうかも しれないんで。
(清美) そうですよね。 >> 下手したら ほら あの→
E.T.みたいに政府の機関とかに 追われちゃう可能性も→
ないとは言えないんで。
(葉月) えっ? (美波) E.T.…? E.T.?
>> E.T. 知らない? (葉月) 知らない。
>> あの超ヒットした映画なんだけど。
(3人) へぇ~。
まぁ 要は 地球に取り残された 宇宙人の話で→
最後 政府の機関とかに 追われるんですよ。
(美波) あ~。
>> それになったら嫌だなって。
(清美) もちろん 絶対内緒にするんで 能力の方いいですか?
>> じゃあ あの いったん あっちの方 行ってるんで→
何か話してて。 (清美) 話?
>> 俺 あっちで耳澄まして 何の話 してるか聞き取るんで。
(葉月) えぇ~! (美波) そんなこともできるんですか?
>> まぁ できますね。 (葉月) ほぇ~。
>> じゃあ。 (葉月) あっ お願いします。
♪~
>> 能力で会話を聞いている
(清美) 何話す? (美波) えっ 何話そう?
はっち 何かない? (葉月) 私ですか? え~?
えっ 何だろう? (清美) 何でもいいよ。
(葉月) えっ きーさん 何かないっすか?
(清美) 私? え~ 何がいい?
>> はぁ…。
(葉月) 何でもいいですよ。
(清美) えっ みなぷー 何かない? (美波) えっ 私?
>> 何でもいいから話してもらえる?
(清美) いや 何話していいか 分かんなくて。
>> 何でもいいじゃない 別に 何 みんなでモジモジして。
(葉月) いやぁ…。
あっ でも 話してないってことは 分かったってことですよね?
>> あっ まぁ そうだね。 (美波) え~ マジで すごい。
>> 分かってもらえた? (葉月) はい 分かりました。
>> ならいいけど。 (葉月) すごいね。
(耳抜きする音)
(葉月) 大丈夫ですか? >> まぁ ちょっと あの…。
(美波) えっ 耳 痛いですか?
>> 痛いっていうか あの…。 (耳抜きする音)
飛行機乗った時みたいな感じ。
(葉月) あぁ 気圧の? >> そうそう。
まぁ でも すぐ治るんで大丈夫です。
(清美) えっ? じゃあ この間 助けてくれた時も→
副作用 出たんですか?
>> あの時は夜 熱が出たかな まぁ 38℃ぐらいだけど。
(清美) うわ~ そうだったんだ。
何かすいません 私のせいで。
>> いいよ それは 命にはね 代えられないからさ。
(美波) えっ めっちゃいい人。 (葉月) うん いい人。
>> えっ?
いや そんなことないと思うけど。
まぁね 俺が熱出して済むなら 安いもんだよ。
(清美) ホントありがとうございます。 >> いや。
まぁ 俺もね 若い頃は 後先考えずに むちゃやってさ→
後でね 後悔したことも あったりしたけど。
(葉月) ほぉ~。
(清美) 他も何か見せてもらって いいですか?
>> 聞かないんだ。
いや こっちが「むちゃやってさ」 って言ってんだからさ→
普通 「何やったんですか?」って 聞いてこない?
(清美) あぁ…。
>> いや さっきからね 能力しか 用がない感じ出ちゃってるよ。
(美波) それはないです。 >> いやいや。
(美波) 話も聞きたいです。 (清美) 何やったんですか?
>> 興味ある? (清美) あります あります。
>> そう?
まぁ 俺がね 20代の頃→
歩いてたらさ 柄の悪い連中に 絡まれちゃって→
向こうね 5~6人いたんだけど→
俺も負けん気 強いからさ 大立ち回りしちゃって。
(美波) 5~6人 相手にですか? >> そうそうそう。
何かね ボクシング かじってるヤツもいてさ。
(葉月) ヤバっ。 >> まぁ でも こっちは ほら→
能力あるから あっという間に倒したんだけど。
(清美) ⟨おじさんの自慢話を聞くのは だるいけど→
高橋さんは 命の恩人だし いろいろ見せてくれてるので→
歯を食いしばって聞いた⟩
>> ハハハ…。
(清美:高橋:由美) いってらっしゃいませ。
(清美) ⟨約束通り 私は一切 口外することなく→
高橋さんと いつも通り接した⟩
>> 今日 何分ぐらい残りますかね?
(清美) ん~ まぁ 悪い人ではないからさ。
>> いやでも こういう ちょっとした ストレスを与え続けるってことは→
もう悪い人ですね。 (清美) うん。
まぁ でも 悪気はないからね。
⟨ちょっとだけ フォローはするようになった⟩
(中本) あの 遠藤さん ちょっと。
(清美) はいはい。
どうしました?
>> あの 406号室に 清掃に入ったんですけど→
テレビがなくなってて。 (清美) えっ テレビ?
>> はい 丸山さんの部屋です。 (清美) え~…。
>> 今までも アメニティとかタオルとか→
よく持ち帰ってたみたいですけど。
(清美) テレビは ちょっと レベルが違いますもんね。
>> そうですね。
(清美) え~ 丸山さん 今日 どんなカバンだったかなぁ…。
うわ~ 入ってそうですね。
(中本) ですよね。
(清美) 連絡して 戻ってきてもらいましょうか。
>> あっ 本人に? (清美) そう。
何か別の用件つくって で その隙に車を確認して…。
>> いや 仮に戻ってくるとしても→
多分 テレビは どっかに置いてきてますよね?
(清美) あ~ そっか。
>> それで知らないって言われたら→
もう それ以上 言いようがなくないですか?
証拠がないから。 (清美) 確かに 持って帰るのを→
見たわけじゃないですからね。 >> はい。
(清美) そしたら もう→
警察に 被害届 出すしかないですね。
>> ん~…。
まぁ でも 支配人は警察沙汰に したくないと思いますけど。
(清美) まぁ そうですよねぇ…。 >> はい。
(高橋) じゃあ そろそろ帰ります。
(清美) お疲れさまで~す。 (高橋) お疲れさまです。
(ドアの開閉音)
(清美) 高橋さん。
>> はい。
(清美) ちょっとお願いがあるんですけど。 >> 何?
(清美) いや 高橋さんの力で→
丸山さんが テレビを持ち去った証拠→
つかめないですかね? >> 証拠?
(清美) はい 例えば→
部屋の中を 念写的な感じで写真撮って→
丸山さんがテレビを 運んでるところを写し出すとか。
>> できないよ そんなの。 (清美) あっ できないですか。
>> それは もう超能力じゃん。 (清美) そっか。
>> 俺のは 元々ある能力を 引き上げるだけだからさ→
ない能力は無理だよ。
(清美) そうなんだ…。
(清美) あっ 分かった。 >> 何?
(清美) 元々ある能力ですよね?
(においを嗅ぐ音)
(清美) テレビのにおいって 分かりますかね?
>> ん~ まぁ 基板が熱せられたにおいと→
ホコリのにおいが混ざったような においが残ってるから→
分かるっちゃ分かるよ。
(清美) どうです?
>> ん~ 地面を引きずってたわけじゃ ないから かなり難しいけど→
でも かすかに残り香はあるね。 (清美) あっ ホントですか?
>> でも だいぶ消えかかってるなぁ。
(清美) もうちょっと嗅覚上げられたり しないですかね?
>> まぁ できるけど。
(勢いよくにおいを嗅ぐ音)
(清美) えっ? 何で一回 見たんですか?
>> どんな顔で見てんのかな~と 思って。
(清美) 真剣な顔で見てますよ。
>> ならいいけど。
(清美) えっ こっちですか? >> うん。
(清美) え~ 防犯カメラでは こんなとこ 通ってなかったですけどね。
ここを通って車に積んだんだ。
>> そうだね。
(清美) えっ じゃあ においがなくなってる場所が→
丸山さんが車止めてた場所と 一致すれば 確定ってことだ。
>> でも それを どうやって証明するの?
(清美) えっ どうやって?
>> 俺の能力のことは言えないじゃん。
(清美) あ~ そっか…。
>> この車だね。
(清美) えっ? えっ まだ車止めてたんだ。
じゃあ まだ この辺にいるってこと?
あっ。
えっ? これテレビですよね?
>> そうだね。
(清美) これは もう動かぬ証拠だ。
>> ただ→
これ 丸山さんの車じゃないね。
(清美) えっ? 誰の車ですか?
>> 中本さん。
(清美) えっ?
>> あのテレビは私のです。
(清美) ホントですか?
>> 自分で買ったやつです。
(清美) いや でも→
何の包装もされてないし うちのタオルに包まれてたから。
>> あっ すいません タオルは借りちゃいました。
でも テレビは私ので 中古で買ったから裸なんですよ。
(清美) そっか…。 >> はい。
(清美) じゃあ→
一応 念のため警察に連絡して 調べてもらいますね。
そうすれば 中本さん…。
>> すいません。
私です。
(清美) えっ?
>> つい持ってきちゃいました。
ホントごめんなさい。
(清美) も~ 何やってるんですか。
>> ごめんなさい あの 今すぐ戻すんで→
警察には 連絡しないでもらえますか?
(清美) 分かりました。 >> ありがとうございます。
(清美) でも 取りあえず 支配人には 報告させてもらいますね。
>> いや あの 支配人にも 言わないでもらえると。
(清美) ん~ でも さすがに支配人には言わないと。
(中本) お願いします!
うちシングルマザーで→
ここクビになったら もう→
どうやって 子供 食べさせてったらいいか。
♪~
(清美) 分かりました。
取りあえず 支配人には見つからないように→
テレビだけ戻してください。
>> ありがとうございます 今すぐ戻してきます。
(ドアの開閉音)
何か切ないねぇ。
(奥田) お疲れさまで~す。 (清美:高橋) お疲れさまです。
(清美) あっ 支配人→
今日 清掃の中本さんが→
部屋のテレビを 持ち帰ろうとしちゃって。
>> えっ? どういうこと?
(清美) いや 406号室のテレビが なくなってるって→
中本さんから報告があって。
で 捜してたら 中本さんの車から 出てきたんですよ。
>> えっ マジで?
(清美) 本人も認めたんで間違いないです。
>> あっ そっか… 中本さん 今どこにいるの?
(清美) ちょうど部屋に戻しに行ってます。
>> あ~ そう…。
ちょっと行ってくる。 (清美) はい。
(ドアが閉まる音)
言わないって 言ってなかったっけ?
(清美) 言いますよ 犯罪だもん。
>> そうだけどさ 約束してたじゃん。
(清美) いや 関係ないですよ。
そもそも あの人シングルマザーじゃないし。
>> えっ そうなの? (清美) そうですよ。
私 あの人のSNS フォローしてるんですけど→
めっちゃ 独身生活 謳歌してますよ。
ほら。
>> あっ ホントだ。
(美波) そんなことあるんだね。
(葉月) でも そこで即 言っちゃうの きーさんらしいですよね。
(清美) 何か シングルマザーでもないのに→
シングルマザーを免罪符に 使おうとするのカチンときてさ。
(美波) まぁ それはムカつくね。
(葉月) その人 捕まったんですか?
(清美) いや 支配人も 大ごとにしたくないってことで→
警察には通報しないで そのままクビになったみたい。
(葉月) ふ~ん。 (美波) そっか。
まぁ 警察に 通報されなかっただけでも→
感謝しなきゃだよね。 (清美) ホントだよ。
(葉月) ってか 高橋さん 大手柄ですね。
(清美) そうなんだけど→
能力のことは言えないからさ→
私が たまたま見つけたってことで→
何か私だけ ヒーローになっちゃってさ。
(葉月) えっ 手柄 独り占め? (清美) うん。
みんながいる前で 支配人にめっちゃ褒められて。
(美波) 大丈夫? 主役顔してない?
(清美) ちょっとしてたかも。
(葉月) あ~ ダメですよ それ 反感買いますよ。
(清美) だから今日 高橋さんに 焼き肉ごちそうしようと思って→
誘ったんだよ。 (美波) 来てないじゃん。
(清美) 何か副作用で鼻炎? になっちゃったらしくって→
今 何食べても味しないんだって。
(葉月の声) え~ かわいそう。 (美波の声) かわいそう。
(はなをすする音)
(はなをすする音)
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