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(清美)酒 しょうゆ 大さじ1 ニンニク ショウガ ひとかけら➡
ケチャップと蜂蜜…。 (ハル)食べただけで➡
その料理に入ってる調味料の量まで 分かっちゃうんだ。
味覚だけは 人一倍 鋭いみたいで…。
(ハル)善ちゃん この子 雇ったら?
昔から 人と接するのが 大の苦手で…。
(善次郎)息子の清正です。
店に出ることはないので 気にしないでください。
うちはね お客さま一人一人に合わせた➡
料理を お出しするのが 私のこだわりなので。
もっと ちゃんと食べた方がいいのでは…。
もっと ちゃんと食べた方がいいのでは…。
その方は 食べることが 好きじゃないのかもしれませんね。
栄養素で 考えてみるのは どうでしょうか?
サバの味噌煮なんかは 鉄分も 豊富に含まれていますし。
おいしい…。 清美さんは 会話じゃなくて➡
料理で 人とコミュニケーションがとれる。
人を 元気にできる。 それって すごいことですよ。
ハァ~。
もういっちょ。
もういっちょ。
(ボールを蹴る音)
(中澤)あっ 清正。 (清正)ん?
そこ ここ 破れてるよ そこ。
うわ~。
マジかよ。
いてっ!
素晴らしい焼き加減です。
ホッケって 何となく 居酒屋の イメージがあったんですけど➡
食べ応えもあるし あの 白米にも合うし➡
最強のメインディッシュですよね ご主人。
清美さん それより 大根おろしを。
あっ はい。 もう できて…。
あっ。 (清正)あのさ➡
ウエアが破れたから 新しいの 欲しいんだけど。
ん? それぐらいなら 縫って何とかならないのか?
もうすぐ引退なんだし もったいないだろ。
もうすぐ引退なんだし もったいないだろ。
できたら やってるし。 えっ?
もう いいわ。
あっ ちょっと待て。
これ 持ってけ。 夕飯だ。
いらない。 えっ?
俺が 魚 食わないの 分かってんでしょ。
自分で適当に食うから ほっといて。
どうせ また カップラーメンか何かだろ。
今日は カップ焼きそばだし。
そんなへりくつが 聞きたいわけじゃない。
マヨネーズ 借りてく。
家の なくなりそうだから。 おい 清正。
どうせ その魚だって➡
どうせ その魚だって➡
店で余ったやつ 俺に押し付けてるだけでしょ?
すいませんね 清美さん。 あ~ いえ いえ… 私は。
あの… 清正さんは 魚が お嫌いなんですか?
ええ。 でもね 妻が生きてたころは➡
もう少し食べてた気が するんですけどね。
これ お願いします。
これ お願いします。
あ~ あっ はい。
ん~。
おいしいんだけどな お魚。
(桜)お隣 いいかしら?
ああ どうぞ どうぞ。
私も ちょうど お昼なの。
あっ…。
あっ これ?
この前 辺さん 食べたいものが 分からなかったら➡
栄養素で考えればいいって 言ってくれてたでしょ?
最近 それを実践してみてるの。
そうですか。 それは よかった…。
まあ これだって うちの母親が見たら➡
ちゃんと食べてないって 言うだろうけど。
あ… あの… つかぬことを お伺いしても よろしいですか?
どうぞ。
えっと… す… 鈴代さんは そのことで➡
親子ゲンカになったり しないですか?
親子ゲンカ? はい。
あの… 食事の意見の食い違いとかで。
そうね… うちの場合は ケンカにはならないかしら。➡
そうね… うちの場合は ケンカにはならないかしら。➡
何ていうか そうなる前に 私が 一歩 引いちゃうから。
そうなんですか。
どうして? 親御さんと 何かあった?
あ~ 私の親は…。
私じゃなくて 阿吽のご主人と 息子さんが ちょっと…。
息子さんは 魚が嫌いだけど➡
ご主人は 魚を食べてほしいみたいで。
ご主人は 魚を食べてほしいみたいで。
そうなの。
でも あのお店 お客さん 一人一人に合わせて作るのが➡
モットーなんでしょ?
ご主人は 息子さんに合わせて 作ったりしないのかしら。
確かに。
あ… でも これ 親子の話に いちバイトの私が➡
立ち入るものじゃないですよね?
(桜)う~ん それは よく分からないけど。
それより 辺さん 知ってた?
ツナマヨって すっごく おいしいの。
はい ですよね。
えっ? これ 常識?
私 この前 初めて食べて びっくりしちゃって。
まさか お魚とマヨネーズの 組み合わせが➡
こんなに食べやすいなんて。
お魚とマヨネーズ…。
あっ そっか その手があったか。
じゃあ あれと あれを 組み合わせて… 焼く…➡
それか 蒸す? ちょっと 骨が気になる…➡
ってことは マヨネーズを どうアレンジするかによって➡
変わってくるってことは…。
♬~
みじん切りしたキュウリ タマネギ ゆで卵➡
マヨネーズ 大さじ4➡
酢 しょうゆ 各小さじ1➡
こしょう 少々。
これを 交ぜれば…。
簡単タルタルソースの完成。
こちらも揚がりましたよ。 あっ ありがとうございます。
アジフライに タルタルソースですか。
アジフライに タルタルソースですか。
はい。 お店のメニューには ないんですけど➡
清正さん マヨネーズが お好きみたいですし➡
こういう洋風な味付けの方が お好きかなと。
それに 揚げ物の方が 骨も気にせず食べられますし。
すいませんね。 清美さんにまで 気を使わせて。
あっ 全然 全然。
むしろ 出過ぎたまねだったら すみません。
あ~ 何て完璧な揚げ色。 そして この形。
この世で 一番美しい三角形は アジフライの三角形かもしれません。
この世で 一番美しい三角形は アジフライの三角形かもしれません。
ホント 料理のことになると 人が変わりますね 清美さんは。
<(客)ごちそうさま。 <ありがとうございました。
<(戸の開く音) <いらっしゃい。
次で負けたら引退か。 俺ら。
次で負けたら引退か。 俺ら。
いや 負けること前提で話すの やめない?
そうだよ。 (中澤)だってさ したら➡
本格的に受験のこととか 考えなきゃじゃん。
ヤベえじゃん。
まあ だったら なおさら 勝つしかないだろ。
あっ じゃあさ 今度 みんなで 決起集会的なやつ しようよ。
決起集会? (小野)3年みんなで➡
飯食いに行くの。 試合 頑張ろうぜ的なさ。
お~ いいじゃん それ。
でしょ。 場所は 阿吽とかでさ。 (清正)えっ?
ほら 昔 よく 清正のお母さんが➡
料理の差し入れ 持ってきてくれてたじゃん。
あれ食うと 調子よかった気が すんだよね 俺ら。
(中澤)確かに うまかったよな あの差し入れ。
いや でも あれは…。
それに うちの店 おっさん向けの店だしさ。
清正 それ ずっと言ってるけど そんなん 気にしないって。
このとおりだよ 清正 お前も 絶対 勝ちたいだろ?➡
次の試合。
<(戸の開閉音) す… すいません。 忘れ物です。
ああ ありがとう! ごちそうさま またね。
ああ ありがとう! ごちそうさま またね。
ありがとうございました。
うわっ! うわって…。
す… すいません びっくりして。
あっ あのさ…。 はい。
うちの店って 何か 高校生向けのメニューとか➡
ありましたっけ? 高校生向け…。
何ていうか 揚げもんとか 洋風なやつ。 できれば肉で。
揚げ物で洋風…。
唐揚げとか トンカツとか ありますけど➡
唐揚げとか トンカツとか ありますけど➡
まあ 洋風とは 言い切れないですし。
あっ でも メニューになければ ご主人に相談したら➡
何とかなるかもですね。
そっか。 ど… どうしたんですか?
実は サッカー部のやつらが 今度 店に来たいって言ってて。
試合前の決起集会っていうか。
あっ なるほど。
<清美さん すいませ~ん。 すぐ戻ってくださ~い。
はい! あっ えっと 今の話って…。
はい! あっ えっと 今の話って…。
いい。 後で自分で話すから。
はい。
<(戸の開閉音)
(客の英語) あっ あっ… ど…。
善ちゃん あったかいお茶 2つ もらえる?
はい! あっ… ええと…➡
イッツ レバー アンド ニラ…。
清正 悪いけど 手伝ってくれるか。
清正 悪いけど 手伝ってくれるか。
えっ… うん。
あっ そこの急須で お茶 2つ 入れてくれ。
緑茶じゃなくて ほうじ茶の方。
ほうじ茶 ほうじ茶 ほうじ茶…。
あっ そっか。 やっぱ いいや。
あと すまんが 今日の夕飯は 何か買って食べてくれ。
金は机の上に置いてあるから。
分かった。
分かった。
はい すいません お待ち遠さま。
ありがとさん。 さっきの 息子さん?➡
立派になったねえ。 いやいや 全然ですよ。
魚ひとつ食わすにも 工夫しなきゃなんないんですから。
まだまだ お子さまでね。 <ハハハハ…。
(麺をすする音)
♬~
♬~
《どう?》
《うまい》
《けど これって…》
《あっ 分かった? ハハハ…》
《何と 中身は魚で~す! フフフ…》
《タラのコロッケっていって➡
ポルトガルでは 家庭の味らしいよ》
《そこまでして 魚 食わせたいか?》
《食わせたいに 決まってんでしょ》
《食わせたいに 決まってんでしょ》
《大事な息子だもん》
《ウフフ》
《店は? 今日 忙しいんじゃない?》
《大丈夫よ。 あたしが抜けても ちゃんと回るようにしてある》
《プロの段取り力 なめないでよね》
《別に なめてないけど》
《それに 息子を おなかいっぱいにするのも➡
私の仕事だから》
《ねえ 清正 あした 何 食べたい?》
何でもいいよ。
母さんが作ったやつなら。
あ… あの…。
らっしゃい! 何にしましょう!
らっしゃい? ら… ら… ら?
♬「ら ら~ ら…」 (店主)何か 歌ってんのかい?
こんにちは。 ああ 善ちゃん。
やっぱり駄目でしたか。 す すいません。
「らっしゃい」に対する 正しい返答が分かんなくて。
「らっしゃい」に対する 正しい返答が分かんなくて。
善ちゃん その子 知り合いかい? うん。
最近ね うちで アルバイトしてくれてる➡
辺 清美さん。 買い出しが 見たいっていうんでね➡
ちょっと一緒に。
(店主)変わった子 雇ったね。
で 今日は? あっ いいサトイモ 入ってるよ。
あっ いいですね じゃあ それと➡
キャベツと ニンジンと タマネギと トマト ください。
(店主)はい。 あっ あと➡
ホースラディッシュ 入ってます? (店主)ホースラディッシュ?➡
あるよ。 今 出してくる。
あるよ。 今 出してくる。
あ あの ご主人 その ホースラディッシュって…。
ああ 店のメニューにね もう少し 若者向けというか➡
洋風な肉料理を出したら どうかなと思ってるんです。
ローストビーフとか そのソースに。
ああ 洋風の肉料理。
つまり それ 決起集会用ですよね?
決起集会?
えっ? 聞いてませんか? その… 清正さんから➡
サッカー部の皆さんが 阿吽に来たがってるって話…。
サッカー部の皆さんが 阿吽に来たがってるって話…。
いや 初耳ですが。
あ… す… すいません 私➡
あの 今の 私から 聞かなかったことに…。
いやいや いいんです いいんです。
ん~ 清美さんには そういう話 するんですね あいつ。
(中澤)あの件 どうだった? (清正)えっ?
(中澤)いや 「えっ?」って。 ほら 今度の決起集会の話。➡
親父さんに話した? (清正)ああ… ごめん まだ。
親父さんに話した? (清正)ああ… ごめん まだ。
いや 全然 いいけど。 ただ 行くってなると➡
3年全員で 9人でしょ。
早めに お願いしといた方が いいかもじゃん。
お願いしたところで 分かってくれるのかな。
(中澤)ん?
あのさ やっぱ やめない?
大丈夫ですか? 大丈夫です。 持てます。
あっ。
(小野)清正は 阿吽の何が そんなに嫌なわけ?
嫌っていうかさ。 (中澤)じゃあ 何だよ。
だって うちの店 ホント 大したことないっていうか➡
だって うちの店 ホント 大したことないっていうか➡
みんなが期待してるような味じゃ ないと思うし➡
俺も 別に好きじゃないからさ。
(小野)じゃあ 考えといてよ。
あっ それ もらいます。 あっ… はい。
(清正)あのさ さっきのは…。 (冷蔵庫の扉を閉める音)
あのな 清正➡
お前が店のことを どう思ってようが自由だ。
でも だからって ああいうことを➡
ペラペラ 大声で 話すな。
だいたい 大したことないように 見える料理に➡
どれだけ手間をかけてるか お前 知らないだろ。
いい年して 魚が嫌いだとか何だとか➡
そんな子供みたいな わがまま 言ってるやつに➡
そんな子供みたいな わがまま 言ってるやつに➡
あんなこと言われる筋合い ないんだよ。
わがまま…。
客の食べたいものは 聞いてもないのに➡
喜んで作るくせに➡
息子の俺は わがまま 言ってるように見えるんだ。
それに 親父が料理に どんだけ 手間かけてるかなんか➡
知るわけないだろ。 教えてもらってもないのに。
知るわけないだろ。 教えてもらってもないのに。
俺が ホントは 何 食べたいとか 何が知りたいとか➡
知ろうともしないくせに。
おい 清正!
母さんが生きてたら よかったのに。
(戸の開閉音)
じゃ じゃあ 私 上がります。 お疲れさまでした。
お疲れさまでした。
あ… あの…。
あ… あの~ ご主人。
<(落ちる音) えっ?
<(落ちる音) えっ?
失礼します。 あ~ いてえ。
あ~。 あっ ご… ご主人!
ん? 清美さん どうしたんですか?
あっ えっと お店の前に 洗濯物 落ちて…。
ていうか 大丈夫ですか? いやいや… うん。
ちょっとね 上から 懐かしい物を 引っ張りだそうとしたら➡
落っこってきちゃって。
ハァ~。
ハァ~。
ハァ~。 これって…。
ああ。 清正のアルバムです。
もしかしたら ヒントがあるかなと思って。
清正 言ってたでしょ。 私は あいつが➡
何を食べたいのか 知ろうとすらしないって。
そのとおりだと思いました。
お客さんの好みは だしの種類まで知ってるくせにね。
えっ?
どうかしました? あっ… いや えっと➡
この方って…。
ん? 妻の朋子ですが。
こ… この方 奥さまだったんですか!?
そんなに驚きます?
あ… あの… えっと じ… 実は…。
そうだ。
そうだ。
あの ご主人➡
私 分かるかもしれません。
清正さんの食べたいもの。
えっ?
昨日の試合 見た?
見たよ。 (清正)見た? 見た?
見てません。 た た… 頼もう!
えっ!? (小野)えっ? 誰?
知らんけど。 何か かわいくね?
(清正)ちょ ちょっ… 何してるんですか こんなとこで。
(清正)ちょ ちょっ… 何してるんですか こんなとこで。
これを 渡しに来ました。
(清正)はっ? 何? 勝手に。
止めても無駄ですよ。 なぜなら 今の私は最強なので。
ふん。
はい? どうぞ。 どうぞ。
どうぞ どうぞ どうぞ どうぞ。
どうぞ どうぞ どうぞ…。
何なの? どうぞ…。
どういうことですか?
いや… 前に 決起集会 開きたいって➡
おっしゃっていたので。
おっしゃっていたので。
そうですけど。
こちらは いつでも ウエルカムですよっていう➡
姿勢を見せようと。 あっ ご… ご主人の許可は得てます。
お前の友達に 大したことない店だって➡
思われたままでは しゃくだからな。
だからって。 っていうか➡
さっきの校門での威勢は どこ いったんですか?
あっ あれは その 薄目作戦の さらに上をいく➡
この私の乱視を利用した➡
視覚かく乱作戦の たまものというか。
視覚かく乱作戦?
視覚かく乱作戦?
見えなければ そこに➡
ウェイウェイしたサッカー部は いないのと おんなじなので。
だから 眼鏡 外してたんですか。
清正 言っとくけど お前にも 手伝ってもらうからな。
えっ?
何で 俺が。
男子高校生9人分を 一気に 作るには 人手がいるんだよ。
それに 大したことないように 見える料理に➡
どれだけ手間をかけてるのか 知ってもらう いい機会だ。
どれだけ手間をかけてるのか 知ってもらう いい機会だ。
それで? 何 作るんですか?
あっ えっと 今日は メンチカツを作ろうかと。
えっ… 何で メンチカツ?
あっ ほら 以前 清正さんが➡
揚げ物で 洋風で 肉の料理が いいと おっしゃったので。
ああ そういうことか。
レシピは 清美さんの こだわりのやつが あるそうだ。
ですよね? はい。
ホントに 俺 料理とか できないって。
あっ 大丈夫ですよ。 メンチカツのタネ作りは➡
材料を一気に入れて こねるだけなので。
じゃ どんどん いきましょう。
まずは 豚ひき肉。
豚? はい。
普段は 豚と牛の合いびき肉を 使うことが多いのですが➡
このメンチカツは 豚だけにすることで➡
より やわらかく 肉汁たっぷりになるんです。
ふ~ん なるほどね。
ふ~ん なるほどね。
それから タマネギのみじん切りと➡
キャベツの粗みじんを どっさり。
それから つなぎの卵と 生パン粉。
生パン粉? パン粉ってのはな➡
水分を 14%以下まで飛ばして 乾燥させたものを 乾燥パン粉➡
そうじゃないものを 生パン粉っていうんだ。
へえ~。 乾燥パン粉の方が➡
長期保存できて 便利なのですが➡
今回は より 肉汁を閉じ込めるために➡
この ふわふわの生パン粉を 使います。
この ふわふわの生パン粉を 使います。
あとは 下味に➡
塩➡
こしょう➡
あとは 臭み消しの➡
ナツメグを 少々。
最後に このメンチカツの 一番のポイントなんですが…。
マヨネーズを加えるんです。
えっ マヨネーズ?
えっ マヨネーズ?
お肉って 焼くと こう タンパク質同士が くっついて➡
どうしても 硬くなっちゃうんですけど➡
このマヨネーズの油分が タンパク質の間に➡
すーっと入り込んで くっつくのを防いで➡
ふっくら仕上がりになるんです。
何か分かんないけど すごいんですね。
そうなんです マヨネーズって すごいんです!
あと このレシピも。 うん。
全ての材料を ボウルに入れたら➡
あとは こねて交ぜ合わせます。
どうぞ。
(交ぜる音)
これは 違いますよね?
これは 違いますよね?
あっ えっと 高さがあるので こう 平たく 丸~く。
はい。
これで? あっ はい。
交ざったタネを丸めて 衣をつけて➡
あとは 170℃の油で揚げたら 完成です。
(戸の開く音) (中澤)おじゃましま~す。
来たぞ 清正。 (部員)おじゃまします!
来たぞ 清正。 (部員)おじゃまします!
こんにちは! (清正)そこらへん適当に座ってて。
じゃあ 俺も 水とか運ぶの 手伝いますね。
また!?
やはり コミュニケーション能力 ゼロの私は➡
男子高校生サッカー部の勢いに のまれないためには➡
やはり この方法しか…。 いや➡
危なっかしいんで やめてください。
えっ? えっ…。 (清正)えっ?
ク… クリアな視界 怖い。
ク… クリアな視界 怖い。
何ですか それ。
清美さん。 はい。
そろそろ 付け合わせのキャベツ お願いできますか?
あっ はい。
マジ 腹減った~。 無限に食えそう。
ご飯 お代わりとかって していいんかな?
おう 無限に食えよ。 (部員たち)マジ? やったね。
すいません 清美さん やっぱり それ やめて➡
キャベツにも 味をつけましょう。 へっ?
キャベツにも 味をつけましょう。 へっ?
彼らは 食べ盛りの 男子高校生です。
たぶん キャベツには目もくれず➡
肉や ご飯だけを ガツガツ 食べる。
た… 確かに。
でも キャベツに含まれる ビタミンは 胃を守ります。
だからこそ 彼らが 進んで食べられるような➡
味にした方がいい。
素晴らしいお気遣いです。 ご主人。
お願いします。 はい。
キャベツに ごま油で香り付けして➡
キャベツに ごま油で香り付けして➡
塩 粗びきこしょう➡
さらに がっつり おろしニンニク。
最後に 爽やかレモン。
ご主人 いかがでしょう?
うん! おいしいじゃないですか。 いいですね。
じゃ あとは 盛り付けを。 はい!
じゃ あとは 盛り付けを。 はい!
はい お待たせしました。 メンチカツ定食です。
(部員たち)うわっ! うまそう! マジで うまそう!
あっ この前の お姉さん? (小野)今日は 眼鏡なんすね。
眼鏡という文明の利器を 発明した人か➡
日本に初めて眼鏡を持ち込んだ フランシスコ・ザビエルを➡
今日だけは呪いたい。
何か 思ってたより 変な人じゃね?
何か 思ってたより 変な人じゃね?
(清正)いいから ほら これ 受け取って。
お前も もう いいから みんなと 食べろ。
うん。
(小野)じゃあ みんな 揃ってんね。
OK OK!
では いただきます!
(部員たち)いただきま~す!
うっま!
何? この食感。
(部員たち)うまっ! うまっ! 食感が 全然 違う。
(部員たち)うまっ! うまっ! 食感が 全然 違う。
(部員たち)うまいよな。 うまい。 マジ うまい。
(部員)一生 食えるわ マジで。
(部員)ご飯 進むわ。 (部員)8 いけるわ。
(部員)8は いきすぎ。
(部員)無理っつったけど8いけるわ。 (部員)いけるな。 いけるな。
(部員たち) うっま。 これ いけるわ。
ヤバ…。
(部員)味噌汁も…。
(中澤)何だよ 清正。➡
(中澤)何だよ 清正。➡
この前 あんま 好きじゃないとか 言ってたくせに。
(小野)そうだよ。 めちゃくちゃ 大したことあるじゃん。
うん。 ごめん。 あれ 間違ってたわ。
すっげー うまい!
(部員)ハハハハ…。
このキャベツも うまいんだけど。
分かる。 これだけで 無限に いけるよな。
いける。
(部員)ハハハハ…。
(部員)お前ら 絶対 トマト 食べてない。
これで 次の試合 頑張れそうです。
ごちそうさまでした。 (部員たち)ごちそうさまでした!
また いつでも 来てくださいね。
清正も あんがとな。
清正も あんがとな。
いや 俺は 何も。
(小野)またな。 (清正)うん。
あの 一個 聞いても いいっすか?
あ… はい。
あのメンチカツのレシピも➡
どっかで食べた味の 再現なんですか?
えっ? (清正)いや 何か➡
初めて食べた気が しなかったので。
初めて食べた気が しなかったので。
気のせいかもだけど。
やっぱり お前も そう思うか。
えっ?
いや 俺も ちょっと 気になってたんだ。
お二人とも 気付いて いただけたなら よかった。
あ… 実は あれ➡
ここの おかみさんの…➡
朋子さんのメンチカツなんです。
えっ?
えっ?
まったくの 偶然だったんですけど➡
実は 私➡
昔 朋子さんに 助けられたことがあって。
あれは 私が 小正大学の 入試を受けに来た日で。
《えっ》
《嘘…》
《お弁当も 財布も 忘れた》
(おなかの鳴る音)
(生徒)《ヤバかったよね あの問題ね》
(生徒)《うん。 忘れる。 食べて 忘れよう》
(生徒)《そうね》
《うん。 おいしい》
それで 空腹と疲れで➡
もう どうすればいいか 分からなくて➡
大学の周りを さまよっていたんです。 私。
大学の周りを さまよっていたんです。 私。
《駄目だ。 もう何も考えられない》
(おなかの鳴る音)
《あ~》
そんなときに…。 <(自転車のブレーキ音)
<《どうしたの?》
《大丈夫?》
声をかけてくれたのが 朋子さんだったんです。
《これ よかったら》
《これ よかったら》
《えっ… い… いいんですか?》
《うん。 ちょうど うちの息子が 入ってるサッカー部に➡
差し入れに行くとこで いっぱいあるから》
《ほ~ら 遠慮しないで!》
《ちゃんと食べないと 午後から 頭 働かないよ。 受験生!》
《ありがとうございます! いただきます!》
《ん~ おいしい》
《ん~ おいしい》
《フフフ》
《ん~ これは 豚ひき肉に➡
タマネギと キャベツのみじん切り たっぷり》
《あとは 卵とパン粉 塩こしょう ナツメグ》
《えっ?》 《ん? でも まだ 何か➡
入ってる気がする》
《これは たぶん…➡
マヨネーズ?》
《すごい よく分かったわね!》
《あっ… あ… はい》
《何ていうか 私 味覚だけは 人一倍 鋭いみたいで》
《何ていうか 私 味覚だけは 人一倍 鋭いみたいで》
《あの でも あの… ホントに おいしいです》
《ありがとう。 うちの息子もね 好きなのよ このメンチカツ》
《試合が近くなると 食べたくなるんだって》
《ふ~ん》
《野菜や魚も 食べさせなきゃとか➡
栄養バランスも考えなきゃとか 思うけど➡
結局は 好きなもん 食べて 幸せそうな顔 見るのが➡
一番 うれしいんだよね》
《フフフ》
《フフフ》
♬~
あのメンチカツのおかげで 私は 大学受験に失敗せずに済んで➡
その思い出が ずっとあって。
それで この前 ご自宅に お邪魔したときに…。
それで この前 ご自宅に お邪魔したときに…。
私を助けてくれたのが➡
ここの おかみさんだったんだって 分かって。
そういうことか。
すみません。 もっと 先に 話すべきかと思ったんですけど➡
もし 再現した味が 全然 違ったら➡
お二人を がっかりさせるかなって。
いや 作ってるときからね もしかしたらって思ったんですよ。
いや 作ってるときからね もしかしたらって思ったんですよ。
豚ひき肉を入れるとか マヨネーズとか。
思い出してみれば 妻は そうしてました。
《おお マヨネーズなんか入れるのか》
《だって 清正 好きでしょ マヨネーズ》
《いや だからってさ》
《それに マヨネーズって➡
食材と食材の間に すっと入って味をまとめたり➡
やわらかくする 万能調味料なんだから》
やわらかくする 万能調味料なんだから》
ごめんな 清正。
お前の好きなもんも 作り方も➡
あいつが ちゃんと 教えてくれてたのに。
♬~
♬~
これは…。 (はなをすする音)
あいつの味だな。
♬~
♬~
♬~
(ホイッスル)
(部員たち) ありがとうございました!
<(戸の開閉音)
<(戸の開閉音)
(清正)ただいま。 おかえりなさい。
どうだった? 試合は。
えっ?
勝った! 何だよ 思わせぶりな。
てことで 引退 また 延びるんで よろしく。
なあ よろしくってな…。
お前からも ちゃんと 清美さんに お礼 言えよ。
えっ? だって 試合に勝てたのも➡
えっ? だって 試合に勝てたのも➡
清美さんが 母さんのメンチカツを➡
再現してくれたおかげでも あるんだから。
まあ… うん。
ありがとうございました! あ… あ…。
私からも ありがとうございました!
いやいや そんな お二人 揃って。
こ… 今回は たまたまというか 偶然っていうか。
でも すてきですね 家族の味があるって。
でも すてきですね 家族の味があるって。
ないんですか? 清美さんには。
あ… 私は…。
実は 私➡
両親が もう この世にはいなくてですね。
あの… 母は 私が生まれたときに 亡くなって➡
そこから 父が 一人で 私を育ててくれて。
そこから 父が 一人で 私を育ててくれて。
その父も 私が5歳のときに 交通事故で。
なので 家族の味どころか➡
両親のことも ほとんど覚えていなくて。
そうでしたか。
すいません 何げなく聞いてしまって。
あっ いえいえ 全然です。
あっ いえいえ 全然です。
むしろ 悪いことだけじゃなくてですね➡
父が亡くなってから 叔母夫婦と 一緒に暮らしていたんですけど➡
叔母は優しいけど すっごい忙しい人で。
あっ あの 前に話した あの 忙しいと胃にくる…。
ああ。
なので その叔母を 喜ばせたくて➡
役に立ちたくて➡
役に立ちたくて➡
それで 私は 料理をするようになったんです。
(明美)《いただきま~す》
《はぁ…。 清美のご飯は 元気になるわね》
《うん おいしい》
両親の記憶も 家族の味もないけど➡
両親の記憶も 家族の味もないけど➡
料理を誰かのために作る喜びは 知っているので。
(おなかの鳴る音)
おい… タイミングってもんがあるだろ。
しょうがないだろ。 試合 終わって 腹 減ってんだから。
フフ… フフ…。
じゃあ ちょっと早いけど 夕飯にするか。
おい 清正 何が食べたい?
えっ? 母さんの味は無理でも➡
えっ? 母さんの味は無理でも➡
食いたいもんがあるなら 作るよ 俺だって。
そう。
清美さんも一緒に どうですか? えっ? わ… 私?
はい。 もう 上がりだし 賄いだと思って。
いえ あの お二人の夕食は 邪魔するわけに…。
いや でも…。 絶対に!
絶対に いらないです。 そんな 全力で否定しなくても。
<(戸の開く音) あっ。
あっ うち 夜は18時からで。
あっ うち 夜は18時からで。
辺 清美さんだよね?
えっ? そ… そうですけど。
連絡先 教えてほしいんだけど。
えっ?
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