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<明治の開拓時代→
北海道にアイヌが隠した ばく大な金塊のうわさがあった>
(爆発音) (兵士)ウワッ
(杉元)俺は… 不死身の杉元だ!
<日露戦争の死闘を生き延びた 杉元佐一は北海道へ向かう>
寅次との約束を果たしたい
<杉元はアイヌの少女 アシリパと 脱獄囚の白石と共に→
刺青を集め始める>
(アシリパ)私たちで金塊を見つけるぞ ああ
(キロランケ)網走監獄で起きたこと 俺は知っている
のっぺら坊は… アシリパの父親だ
私は のっぺら坊に会いに行く
のっぺら坊がアチャなのか この目で確かめる
<脱獄囚の一人→
土方歳三を リーダーとする土方一派>
<鶴見中尉率いる第七師団>
<この2つの勢力も金塊を狙い 刺青を追って動きだす>
(鶴見)偽の刺青人皮を作りたい
この刺青人皮争奪戦に 大混乱を巻き起こすのだ
<杉元たちが持っている刺青は6>
<土方一派が6>
<鶴見率いる第七師団は→
新たに船橋の刺青を手に入れ2>
<残るは12>
<これは アイヌが隠した ばく大な埋蔵金を巡り→
24枚の刺青を奪い合う 過酷な冒険の物語である>
・~
(土方) この忘れ物が どちらなのか…
(土方)判別する方法を 探さなくてはならん
じいさん あんた どっかで会ったかな?
(白石)いや 会ったことがあるわけがねえ
こいつは土方歳三だぞ
(土方)久しぶりだな 白石由竹
お友達に 引き合わせてはくれんのか?
ひょっとして…
キロランケの村に来たのも このじいさんか?
(土方) 小蝶辺明日子という娘だ
知らないか?
ああ そうだ
あんたに会ったら 聞きたいことがあった
のっぺら坊はアイヌなんだろ?
ほう… そこまで たどりついていたか
手を組むか…
おい おい!
(土方)この場で殺し合うか選べ
(永倉)刺青人皮を持っているなら 我々が買い取ろう
一緒に国を憂いてくれとは言わん
刺青を売った金で故郷に帰り→
嫁さんでももらって 静かに暮らす道もある
若い者には つまらん道に聞こえるかね?
(梅子の泣き声)
(腹が鳴る音)
のっぺら坊に会って 確かめたいことがある
(腹が鳴る音)
(牛山)会いに行くだと?
(腹が鳴る音)
(家永)私が何か作りましょうか?
(キロランケ)お前はホテルの!
(家永)お話の続きは 食事の席で されてはいかがでしょうか
(家永)なんこ鍋でございます
夕張を含む空知地方の 郷土料理で→
炭鉱夫の間で広まったらしいです
腸をみそで煮込んだ いわゆる もつ鍋ですね
家永 この肉 大丈夫なやつだよな?
ご安心ください
なんこ とは 方言で馬の腸という意味ですから
馬のものを使っております
あんたら その顔ぶれで よく手が組めるな
特に そこの 鶴見中尉の手下だった男
一度 寝返ったやつは 何度でも寝返るぜ
(尾形) 杉元 お前には殺されかけたが→
俺は根に持つ性格じゃねえ
でも 今のは傷ついたよ
食事中に ケンカすんなよ
そうだぞ 全員 与えられた食事にヒンナしろ
いずれにせよ 炭鉱内に 月島軍曹の死体がないか→
確かめるまでは 夕張から動けんが→
死体がなければ→
何としても偽物の判別方法を 見つけねばならん
私 思い当たる人物がいます
熊岸長庵という男です
あっ! あの有名な偽札犯か
私は 昔から絵が好きで→
美術商を通して 熊岸と知り合いました
あらゆる美術品の贋作を 作っていた あの男なら→
刺青が本物か偽物か 見分けられるかもしれません
で その男は どこに行けば会えるんだ?
月形の樺戸監獄に 収監されています
そうか
ちょっと確認させてくれ
(炭鉱夫)行くぞ
チッ 駄目だ 軍服を着た死体を見なかったか?
(炭鉱夫)知らねえな
(永倉) ちょっと聞きたいんだけどね
軍服を着た遺体 上がってないか?
(炭鉱夫)軍服の遺体? さあ 聞いてないな
聞いてないか… どうも
悪かったな
本物か偽物かを見分ける何かが→
この家に残されているかもしれん
(ガラスが割れる音)
(尾形)火炎瓶か
家永 外へ出るな 撃たれるぞ!
偽物作りにつながる証拠を 消しに来たか
(浩平)江渡貝君ちには→
キブシの実が 残っているかもしれないんだよ
えっ? タンニンなめしの材料だよ
とにかく 全部 消さなきゃいけないの!
杉元佐一がいた場合は 絶対に殺すなよ
俺のだ!
なあ~
鶴見中尉の手下が この家を 潰しに来たということは→
月島軍曹が生きて炭鉱から 抜け出たと考えるべきか
だろうな 1階の窓は全部閉じてある
突入するならば 玄関以外ない
外の連中を玄関まで追い込む
(窓ガラスが割れる音)
何? (佐竹)上だ
(銃声)
(黒河内)ひさしの死角に入れ!
突入する 戸を破るぞ
(銃声)
・~
(銃声)
(銃声)
チッ…
結構 来てるな
(銃声)
(菊池)出るな!
爪先だろうが 陰から出れば そこを撃たれるぞ
(銃声)
(浩平)突入!
行け行け 2階だ 2階の狙撃兵を倒せ!
あっ!
(土方)フン!
(浩平)ナアーッ!
(黒河内)ウッ… ウウ…
(黒河内)フッ フッ フン!
(家永のせきこみ)
(衝撃音)
チンポ先生…
家永 来い!
(家永)牛山様!
(黒河内)フッ フッ フッ…
アッ! ンッ ンッ ンッ
死ね コウモリ野郎が…
ウッ! ウウ…
フン… 何だよ 礼を言ってほしいのか?
お前が好きで 助けたわけじゃねえよ
コウモリ野郎
プッ
(浩平)イーッ…
・土方 どこだ? えっ?
杉元佐一~!
アッ… ウッ
ハッ!
逃げるなら今しかない 急げ
じいさん 行くぞ
・~
(土方)大勢で動けば目立つ 二手に分かれよう
月形の樺戸監獄で落ち合おう
偽物の判別方法が 見つけられなければ→
直接 のっぺら坊に 会いに行くしかない
娘になら全てを話すだろう
やはり知ってたか あの子が娘だって
俺としちゃ 僅かばかりの分け前があれば→
金塊を誰がどうしようが 知ったことじゃねえが…
アシリパさんは アイヌを立派に生きている
そのアイヌの金塊を奪った者が 本当に自分を育てた父親なのか…
俺は あの子が真実に たどりつくのを見届けてあげたい
ウウ…
ウアーッ!
チンポ先生 ヤマシギの脳みそです
(牛山) これは食べていい物なのか?
杉元 ヒンナだよな?
ヒンナ ヒンナ
チンポ先生 脳みそは嫌いか?
・~
いや 俺は要らん
あとは内臓ごと たたいて チタタプにする
出た~ チタタプ!
チタタプ?
チタタプって言いながら たたいてください チンポ先生
家の決まりなので
チタタプ チタタプ
チタタプ チタタプ チ… チタタプ チタタプ
チタタプ チタタプ チタタプ チタタプ チタタプ チタタプ…
よし 替われ 尾形
チタタプは みんなで たたくんだ
はい アシリパさん 尾形がチタタプって言ってません
う~ん… (たたく音)
(たたく音)
尾形 どうした?
チタタプ フー
チタタプ フー…
ヤマシギのチタタプを煮込んだ オハウだ
いただきます
う~ん
ヒンナだぜ (牛山)ん?
ヒンナとは感謝の言葉です チンポ先生
確かに うまい
ん… ヒンナだ ヒンナ! ハハハハ
尾形 うまいか?
コロコニも この時期に採れる おいしい春の食材だ
生で食べられる
うん みずみずしい
確かに うまい
アイヌの子供が おやつにするんだ
でも 口の周りが真っ黒になるから→
フキを食べたのが分かってしまう
(牛山)お嬢は何でも知ってるな
白石たちも ちゃんと飯食えてるかな?
あっちには キロランケニシパが いるから大丈夫だ
ハハッ フフッ
ハハッ
・~
切り身にしたイチャニウと コロコニとプクサを入れて→
塩で味付けした
春に食べる汁物で いちばんおいしい→
イチャニウのオハウだ
いただきや~す
フー フー…
ん~! ヒンナ ヒンナだぜ
おいしい
辛かったギョウジャニンニクが 甘くなってる
長い冬を 乾燥した食材で乗り越えて→
今は どこのコタンも 新鮮な青物が食べられる
とても うれしい季節なんだ
フキも ほろ苦いが 軟らかくて うまい
甘くて ほろ苦い春の味だ
この北海道で アイヌほど心強い味方はおらんな
それで どうやって→
月形の樺戸監獄にいる 熊岸長庵と接触する?
面会はできても 看守が そばに付いてます
その前で刺青を広げて→
偽物の見分け方を 聞くわけにはいきませんね
(キロランケ) 網走監獄の予行演習として→
白石を忍び込ませて 熊岸と接触させるか?
脱獄王の俺に任せれば朝飯前だぜ
いや 永倉は 樺戸監獄に ゆかりがある
あ? 私は以前→
樺戸で 看守たちの剣術師範を務めていた
接触できるよう 取り計らって もらえるかもしれない
へえ~ 新撰組の元隊士が→
敵だった新政府側に 雇われていたとはねえ
しかし 樺戸監獄といえば…
あのときは もう 心臓が止まるかと思いましたな
まさか あそこに あなたが幽閉されていたとは
監獄の長だった犬童四郎助は→
箱館戦争で新政府軍にいた兄を 亡くして以来→
私を恨んでいたからな
偶然 見かけなければ 知ることもありませんでした
20年も 樺戸に出入りしていたのに→
犬童は私に ず~っと黙っていた
心ある看守長の手引きがなければ 再会は かないませんでした
・(土方)ガムシンか?
(永倉)この年になって その あだ名で呼ばれるとは
・(土方)慶応4年だったかな
・最後に会ったのは
鳥羽・伏見の戦いで 新撰組が ちりぢりとなったあと→
江戸へ下って 再会したときでしたね
土方さんと一緒にいた 近藤さんに→
「俺の家来になるなら同志にする」 と暴言を吐かれた
私は そこで ついに 新撰組を見限った
(永倉)でも 土方さん 私が近藤さんと対立しても→
それまで新撰組に尽くしたのは あなたがいたからです
(土方)どうした? 永倉新八
年を取って丸くなったな
(永倉)あなたが近藤さんから かばってくれなければ→
私は何度 腹を切らされていたか
・(土方)お前は 女遊びが過ぎたからな
フッ 女遊びは→
あんたが俺に 教えたんでしょうが
お前は 気性が荒くてバカだが…
剣筋だけは美しかった
美しいものは残すべきだ
あのとき ケンカ別れとなったのは→
俺を怒らせることで→
死地へ同行させまいと したのではないか?
そう自問自答する夜を 多く過ごしました
あれは あんたたちの→
最後の思いやりでは なかったかと
違いますか? 土方さん
いや お前がバカで 嫌いだっただけよ
(永倉のすすり泣き)
・~
もう一度 あなたと一緒に戦えるとは…
最後に いい死に花が咲かせそうです
(土方)死ぬためではない
未来を生きるがための戦いだ
(おなら)
(笑い声)
(大叔父)アイヌだって もう みんな銃を使って猟をしてる
ここは俺の知り合いの店だから 安くしてもらえる
(店主)いらっしゃい
そっちの旦那 アイヌには見えないね?
下 軍服かい?
(谷垣) いいから この村田銃の弾をくれ
(店主)へい
(店主)あっ そういえば この間 女のアイヌが来てさ→
青い目をしたアイヌの少女が 住む村 知らないかって→
聞いてきたぜ
確か あんたの村に そんな目した子いなかったっけ?
どんな女だ?
キツネの襟巻き巻いた女だったよ 占いをやるって言ってたな
(谷垣)シーッ
(大叔父) 取って帰るか? 良い土産になる
いいぞ まだ こちらに気付いてない
(物音)
(銃声)
よ~し!
(チカパシ)うわ~
(谷垣) 本当は首を狙うつもりだったが…
(大叔父)邪魔が入ったからな でも よく一発で当てたよ
村の男の子か? 見ない顔だな
ああ あいつは親も兄弟も死んで→
村の年寄りが みんなで世話してる
変わったやつで 村の子たちと遊ばない
でも 狩りには興味があるんだろ
(谷垣)近くで見たければ 隠れてないで こっちへ来なさい
このユク 何で一人でいたのかな
雄は成長とともに 自ら群れを離れていく
親離れをして また新しい家族を作るんだ
新しい家族…
名前は何ていうんだ?
チカパシだ いい名前でしょ?
チカパシ どういう意味だ?
「陰茎を立てる」だ
つまり 勃起か
本当に いい名前をもらったな
チカパシ ああ いい名前だ
勃起
(大叔父) 随分 歩けるようになったな
谷垣さん あんた これから どうするんだ?
ふるさとに 誰か待ってる人でもいるのかい?
ん? あっ…
(インカラマッ) エマタキヒ タネ ホクフ ネ クル
オスラ クスネナ
チカパシ 何の騒ぎだ?
(チカパシ)すごく占いが当たる 女の人だって
(インカラマッ)あら とても すてきな ニシパがいらっしゃいましたね
顔に傷のある男性は大好きです
(インカラマッ) 私 インカラマッといいます
「見る女」という意味です
そちらの男前なニシパ 占いましょうか?
いや 遠慮する
さあ
妹さんを亡くされていませんか?
やはり そうなんですね お気の毒に
あんたは 一体…
私 ある人を捜しに来ました
青い目をした女の子は このコタンに住んでいませんか?
私のシラッキカムイは ここだと示しています
(インカラマッ)勇拂の近くで会いました
ある目的があって旅をしていると
3人のニシパを連れていました
「イプッ カランケ アシリパ ヌカラ」
「ネプカカン ル スイ ペアン クス」
「オマナン アリ イエ」
「ニシパ レントウラノ アプカシ コランハウエ ネ」
その中に アシリパさんを裏切る人がいます
とても危険な男です
このままでは→
アシリパさんの命に関わることが 起こるでしょう
・~
(谷垣)どうだ? フチの具合は
夢を見たんだとよ
アシリパとは二度と会えなくなる 夢だったそうだ
それで寝込んじまったのか
(大叔父)俺たちアイヌは 占いの結果も深刻に捉えるし→
身の回りの不吉な兆候には 神経質だ
特に夢は特別視されて 一つの予言と考える
あのインカラマッって女が あんな話をするからだ
ただ あの女の占いが 不思議と当たるから不気味だ
エポタラする お前もやるか?
エポタラ? (大叔父)おはらいだ
ああ…
(大叔父の おはらいの声)
・~
(大叔父の おはらいの声)
・~
鶴見中尉殿は カネ餅というのをご存じですか?
自分ら阿仁マタギの 非常用携行食です
カネ餅か それは知らなかった
味は? 普通の餅か?
(谷垣)一晩 水につけた米に みそか塩を混ぜ→
よく すり潰し 葉っぱに包んで→
いろりの灰の下で 蒸し焼きにするものです
ちなみに戸沢マタギじゃ カネ餅に みそは厳禁だそうで
(鶴見)村落によって 多少の違いがあるというわけか
はい
おやじが真面目でうるさいから→
誰にも言わずに 秘密にしていたんですが…
実は 自分が食べるカネ餅には ちょっとだけ手間を加えてました
でも ある日 マタギの仲間に バレたことがありまして
どうやって?
それはアオシシと呼んでいる カモシカを追っていたときでした
マタギは数名で それぞれ 役割を決め 巻き狩りをします
私は まだ銃が持てない新米で→
獲物を鉄砲撃ちの前に 大声で追い立てる→
勢子という役でした
(谷垣)ある日 自分と 1つ年上の青山賢吉という男が→
頂上へ着いたところで 天候が急変しました
大丈夫か? (賢吉)大丈夫だ
賢吉 (賢吉)ん?
あっちだ あっち (賢吉)ああ こっち…
(谷垣) 岩場の洞窟に避難しましたが 数日間 動けなくなり→
持参した煎り豆や米も すぐに底をつきました
カネ餅は そんなときに食べる 最後の食料です
ちょっと かじるだけでも 腹の足しになります
け
ああ
これが本当に→
最後の食い物に なるかもしれねえ
冗談でねえ
源次郎の肉 食ってでも 生き延びるべさ
(谷垣)賢吉と自分のカネ餅を 分け合って食べました
このまま吹雪が収まらなければ→
本当に最後の食い物になると 笑いながら
ん? おい
このカネ餅 何か混ぜたか?
何だべ? この味
待で 言うなよ 当ででやる
う~ん これは…
分かった クルミだ
クルミ混ぜたべ? 源次郎
んだ おどには黙ってでくれ
(谷垣)賢吉は そのあと 妹のフミと結婚して→
私たちは義理の兄弟になりました
(谷垣)あの日も 私は実家で カネ餅を焼いていました
(谷垣)すると兄貴が 今まで見たこともない顔で→
外から戻ってきて…
(谷垣の兄)フミが!
(谷垣の兄) 賢吉の家が燃えてる!
(谷垣)フミと賢吉は→
集落より離れた山の少し高い所で 静かに暮らしていました
私が行くと 2人が住んでいた 小屋は すっかり燃えて…
フミ
(谷垣)中には 真っ黒に焼けた フミの遺体がありました
くまなく調べると 心臓に刺し傷があり→
そばには 賢吉の山刀が落ちていました
私らにとって 山刀はマタギの魂です
賢吉の姿は どこにもありませんでした
賢吉!
血眼になって捜し歩きましたが 見つかりませんでした
賢吉 いねえか!?
いたら出てけ 賢吉!
しかし ある日 賢吉が北海道の→
第七師団へ入隊したという うわさが入ってきたのです
(谷垣の母親)源次郎!
(谷垣の兄) 源次郎 待て 待て!
(谷垣)ンンッ (谷垣の父親)やめれ 源次郎!
復讐のために 阿仁を捨てんな!
お前の人生 棒に振るな!
妹を殺されで 泣き寝入りがでぎるが!
マタギなんてクソ食らえだ 二度と戻らね
でも 賢吉は見つかりませんでした
出征間近に 電報で母の死を知らされました
フミの無残な死と→
自分が故郷を捨て 戦争へ行くことで 心労がたたり→
体が弱って あっけなく死んだそうです
(谷垣)全ての責任は賢吉にあると 憎悪を膨らませました
屯田兵の集まる旅順へ行けば 賢吉を見つけられる
見つけたら 戦闘の どさくさで 背中を撃ってやろうと
ハァ…
塹壕の隅に ぼろぼろの男がいました
自分の血か 返り血か…
顔も分からぬほど 真っ黒でしたが→
よく見ると 白たすきを掛けていました
すぐに昨夜の決死隊の 生き残りだと分かりました
何か食い物 持ってねえか?
(谷垣)私は男に食料を渡しました 例のカネ餅です
け
ありがとよ
いただきます
んっ… コシが強いな
これは餅か? みその味がする 秋田の郷土料理か?
どうして秋田だと?
やっぱり そうか あんた「け」って言ったよな
「食え」って方言だろ?
俺と同じ第一師団の小隊に→
秋田の阿仁って所で生まれた 一等卒がいてね
そいつが 秋田弁じゃ 「食え」を「け」っていうんだと→
教えてくれた
(谷垣)ついに敵を見つけた
賢吉は北海道ではなく 東京へ逃げて→
第一師団にいたんです
(谷垣)でも あの場所は とてもじゃないですが→
賢吉を捜してる余裕なんて あるはずが ありませんでした
(銃声) (ロシア兵)ウワッ!
(谷垣)じわじわと追い詰められた ロシア兵は→
体に手投げ弾を くくりつけ 我々の塹壕に
やつを止めろ!
三十年式の銃弾を 2~3発受けても→
そいつは止まらなかった
(ロシア兵の叫び声)
(谷垣)すると 一人の男が→
すぐそばの塹壕から 飛び出しました
賢吉!
ウウ… オオーッ!
(爆発音)
(谷垣)ついに 待ち望んでいた瞬間が訪れた
そう思いました
賢吉は生きていましたが→
目も見えず 耳も聞こえない状態でした
おい 賢吉 やっと見つけたぞ
お前の心臓をえぐってやる
お前が 妹のフミにやったように
フミ
なして…
なしてフミを殺した!? 賢吉!
どなたか存じませんが 伝えてほしい
秋田の阿仁に住む 谷垣家の人間に
ある日 嫁が疱瘡にかかりました
「谷垣家の者から 疱瘡が出たと村に知れ渡れば→
父や兄が 阿仁マタギから 追い出されるかもしれない」
「誰かが様子を見に来る前に→
自分を殺して 村を離れてほしい」と→
私に言うのです
フミを一人寂しく 死なせるわけにはいかない
自分も一緒に死ぬ覚悟でした
でも フミは許しませんでした
(フミ)賢吉さんが もし感染してねば…
その命をどうやって使うが 自分の役目を探して
フミ
(賢吉)私は できるだけ 苦しまずに済むよう→
フミを…
(刺す音)
約束どおり 小屋に火を付け→
フミの死をご家族に伝えないまま 村を立ち去り→
今日まで フミを殺した罪悪感を抱えて→
過ごしてきました
自分の負い目のせいで→
ご遺族を… 永く苦しませた
少しでも傷を癒やせたら…
どうか…
この話を 秋田の阿仁に住む谷垣様に…
谷垣様に どうか どうか…
・~
(すすり泣き)
クルミの… カネ餅
まさか… 源次郎か?
・~
(谷垣)賢吉は 自分の 役目を見つけて命を使いました
(谷垣)私の生まれてきた役目は 何だろうと 毎日 考えています
今更 阿仁には戻れない
父や兄貴に 合わせる顔がありません
谷垣
私には お前が必要だ
まずは私のために カネ餅を作ってくれないか?
・~
・~
おばあちゃん
必ず無事に アシリパを連れて帰ってくるから
探していた俺の役目…
今が恩を返すときだ
け 俺のふるさとの食い物だ
おばあちゃん用に軟らかく作った
元気が出るから 少しでも食べてくれ
ほら オソマ 渡す物があるんだろ?
(大叔父)テクンペ作ったんだと
まだ片っぽしか出来てないけど→
アイヌの女は好きな男が出来ると テクンペ作って渡すんだ
ありがとう オソマ
必ず戻ってくるから もう片方も作っておいてくれ
なっ?
フッ…
(フチ) カムイウタラ タニガキニシパ
エプンキネ ワ ウンコレ ヤン
占いましょうか? アシリパさんが どこにいるか
(谷垣) 結構だ 俺は あんたの占いを 信じたから行くわけじゃない
問題なのは フチたちが信じてしまったからだ
さあ 行きましょう 谷垣ニシパ
何で あんたが一緒に行くんだ
銃を持った男が一人で旅をすれば 怪しまれます
私と一緒に夫婦を装えば 警戒されないのではないですか?
(足音)
コタンにいる谷垣という男を 利用しなさい
そろそろ足の具合も 良くなっているはずだ
(インカラマッ) 私だけではないようですよ
(谷垣)チカパシ コタンへ帰れ みんな きっと心配してる
俺の家族 みんな死んだ コタンに待ってる人いない
いいじゃないですか
私のシラッキカムイの占いでも 連れていくのは吉と出ています
3人で家族を装えば 怪しまれずに済みますよ
ホント? 家族のフリする?
じゃあ インカラマッは俺のお姉ちゃん!
そんで おっぱい触っても 全然怒んない
そんで谷垣ニシパは 隣に住んでる金玉が でっかい人
チカパシ! 他人だ それは
・~
見ろ コタンがあるぞ
樺戸まで もうすぐだけど 休ませてもらおう
(エクロク)やあ こんにちは あんたたち何の用だい?
旅の途中で寄っただけだ
今晩の寝床と米があったら 分けてほしい
もちろん ただとは言わん
(エクロク)そうだったのかい
あんた 日本語うまいね
(エクロク)私は若い頃 和人相手に 荷揚げの仕事をして覚えた
山奥で砂金堀りする和人たちへ 物を届けるんだ
舟に塩とか米とか いっぱい積んで川の上流へ運び上げてね
あ~ 俺も 砂金堀りやってたから知ってる
おい あれは何だ? (エクロク)ん?
ああ あれは子熊のおり
・(熊のうなり声) え?
・(熊のうなり声)
白石が捕まった?
(尾形) やっぱり どうも様子がおかしいぞ
この男が熊岸長庵だ 網走の脱獄囚か!
アシリパさんをどこへやった!
(土方)もう旭川に 連れていかれているだろう
(尾形)時間稼ぎの うそかもしれん
(永倉)あの男に頼って のっぺら坊に会うしかない
(尾形)死にに行くようなもんだぞ
一度 裏切ったやつは 何度でも裏切る
・~
・~
・~
・~
・~
・~
・~
Can't find what you're looking for?
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