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00:00:41,390 --> 00:00:44,940 さらになんとなんと利用してもらっているあなたにだけ 21 00:00:45,090 --> 00:00:47,860 特別特典の映像が見れちゃいます 22 00:00:48,660 --> 00:00:52,120 さあすぐにこのURLにアクセスしてね 23 00:01:20,940 --> 00:01:21,700 今日はですね 24 00:01:23,460 --> 00:01:26,620 女の子に朗読をしてもらいます 25 00:01:28,580 --> 00:01:28,980 何を朗読するか 26 00:01:28,980 --> 00:01:30,420 何を朗読していただくかと言いますと 27 00:01:31,080 --> 00:01:32,760 日本を代表する文学 28 00:01:34,200 --> 00:01:35,580 皆さんもご承知の通り 29 00:01:35,580 --> 00:01:36,580 芥川龍之介 30 00:01:37,220 --> 00:01:37,740 羅生門 31 00:01:39,280 --> 00:01:41,100 それに夏目漱石 心 32 00:01:42,600 --> 00:01:43,060 まだまだ 33 00:01:44,540 --> 00:01:47,680 いろんな代表する文学があるかと思いますが 34 00:01:49,300 --> 00:01:49,760 そこで 35 00:01:51,200 --> 00:01:52,470 いろんなことが行われます 36 00:01:53,360 --> 00:01:54,880 何が行われるかは 37 00:01:55,440 --> 00:01:56,410 見てのお楽しみ 38 00:01:57,940 --> 00:01:59,380 どうぞごゆっくりと 39 00:02:01,040 --> 00:02:01,660 ご観覧ください 40 00:02:03,800 --> 00:02:04,880 それでは始めます 41 00:02:16,200 --> 00:02:18,420 はじめまして 長谷川智子です 42 00:02:18,960 --> 00:02:20,760 趣味は音楽鑑賞です 43 00:02:20,760 --> 00:02:23,640 福田川龍之介の羅生門を読みます 44 00:02:23,640 --> 00:02:25,440 よろしくお願いいたします 45 00:02:27,660 --> 00:02:31,240 羅生門ある日の明け方のことである 46 00:02:31,240 --> 00:02:34,580 一人の芸人が羅生門の下で 47 00:02:34,680 --> 00:02:36,140 雨々を待っていた 48 00:02:36,980 --> 00:02:38,420 広い門の下には 49 00:02:38,420 --> 00:02:41,220 この男のほかには誰もいない 50 00:02:41,220 --> 00:02:45,360 ゆえ所々にぬりの剥げた 51 00:02:45,360 --> 00:02:47,720 大きなほろ柱に 52 00:02:48,000 --> 00:02:50,540 霧屑が一匹と舞っている 53 00:02:50,540 --> 00:02:54,620 羅生門が数尺おはちにある以上は 54 00:02:54,940 --> 00:02:56,500 この男のほかには 55 00:02:56,500 --> 00:03:00,880 雨々をする一ぬ傘やもみえ帽子が 56 00:03:01,200 --> 00:03:02,620 もう二、三人はい 57 00:03:03,420 --> 00:03:08,040 るのであるそれがこの男のほかには誰もいない 58 00:03:08,680 --> 00:03:09,900 なぜかというと 59 00:03:09,900 --> 00:03:11,320 この二、三年 60 00:03:11,320 --> 00:03:15,680 京都には地震とか辻風とか火事とか 61 00:03:15,780 --> 00:03:19,100 飢饉とかいう災いが続いて起こった 62 00:03:19,100 --> 00:03:23,080 そこで落柱のさびれ方は 63 00:03:23,320 --> 00:03:24,620 一通りではない 64 00:03:25,580 --> 00:03:28,000 雨は羅生門を包んで 65 00:03:28,000 --> 00:03:32,240 遠くからザーッという音を集めてくる 66 00:03:33,100 --> 00:03:37,480 夕闇は次第に空を低くして見上げると 67 00:03:37,740 --> 00:03:40,260 門の屋根が斜めに突き出した 68 00:03:40,600 --> 00:03:45,240 いらかの先に重たく薄暗い雲を支えている 69 00:03:45,820 --> 00:03:50,660 下人は手段を選ばないということを肯定にしながらも 70 00:03:51,020 --> 00:03:53,460 このすればの片付けるために 71 00:03:53,840 --> 00:03:56,600 当然その後に来る良さ 72 00:03:56,600 --> 00:03:58,260 結び戸になる 73 00:03:58,740 --> 00:04:01,160 外に仕方がないということを 74 00:04:01,520 --> 00:04:04,480 積極的に否定するだけの 75 00:04:04,480 --> 00:04:06,680 勇気が出ずにいたのである 76 00:04:07,860 --> 00:04:09,980 下人は大きなくさみをして 77 00:04:09,980 --> 00:04:13,120 それから大義相に立ち上がった 78 00:04:13,400 --> 00:04:15,820 夕日へのする京都はもう 79 00:04:16,459 --> 00:04:18,760 日よけ欲しいほどの寒さである 80 00:04:18,760 --> 00:04:23,080 風は門の柱と柱との間で 81 00:04:23,280 --> 00:04:26,360 夕闇とともに遠慮なく吹き抜ける 82 00:04:26,440 --> 00:04:28,820 稲荷の橋に止まっていた 83 00:04:29,200 --> 00:04:32,000 霧屑ももうどこかへ行ってしまった 84 00:04:32,260 --> 00:04:35,200 幅の広い椅子の段に 85 00:04:35,200 --> 00:04:38,540 一人の男が猫のように身を縮めて 86 00:04:38,570 --> 00:04:42,340 息を殺しながら上の様子を伺った 87 00:04:44,000 --> 00:04:46,240 上からさすがに火の光が 88 00:04:46,240 --> 00:04:50,480 かすかにその男の右の方を濡らしている 89 00:04:51,680 --> 00:04:56,080 短い髯の中に赤く濃くもった 90 00:04:56,220 --> 00:04:57,960 ニキビのある方である 91 00:04:58,860 --> 00:05:01,360 父を作った人形のように 92 00:05:01,360 --> 00:05:03,440 口を開いた手を伸ばして 93 00:05:03,860 --> 00:05:06,260 ゴロゴロ床の上に転がっていた 94 00:05:06,360 --> 00:05:11,800 しかも床との胸との高くなっている部分には 95 00:05:11,830 --> 00:05:14,520 ぼんやりした火の光を受けて 96 00:05:14,520 --> 00:05:19,300 低くなる部分の陰を一層暗くしながら 97 00:05:19,960 --> 00:05:20,860 永遠に 98 00:05:21,480 --> 00:05:24,180 黙っていた芸人はそれから 99 00:05:24,720 --> 00:05:26,020 死骸の不乱した 100 00:05:26,020 --> 00:05:29,260 思わず鼻を打った 101 00:05:29,260 --> 00:05:32,140 助人の目はその時初めて 102 00:05:32,420 --> 00:05:35,800 その死骸の中に行った人間を見た 103 00:05:36,060 --> 00:05:39,560 鼻色の着物を着た背の低い 104 00:05:39,560 --> 00:05:41,360 やせた白頭の 105 00:05:43,920 --> 00:05:45,700 根のような老婆である 106 00:05:45,700 --> 00:05:47,860 その老婆は右の手に 107 00:05:48,380 --> 00:05:50,080 火を灯した松の着 108 00:05:50,840 --> 00:05:51,680 方を持って 109 00:05:51,740 --> 00:05:53,920 その死骸の一つの顔を 110 00:05:53,920 --> 00:05:56,280 覗き込むように眺めていた 111 00:05:56,660 --> 00:05:59,320 髪の毛の長いところを見ると 112 00:05:59,640 --> 00:06:01,900 多分女の死骸であろう 113 00:06:01,900 --> 00:06:05,520 芸人は6分も恐怖と4分の 114 00:06:05,780 --> 00:06:07,720 恐怖心に動かされて 115 00:06:08,460 --> 00:06:10,960 息をするさえ忘れていた 116 00:06:11,860 --> 00:06:14,860 記者の借りれば頭身の毛も 117 00:06:15,900 --> 00:06:17,940 太るように感じたのである 118 00:06:18,440 --> 00:06:21,220 すると老婆は松の着方を 119 00:06:21,460 --> 00:06:23,940 床板の間にさして 120 00:06:23,940 --> 00:06:26,340 それから今まで眺めていた 121 00:06:27,520 --> 00:06:30,480 死骸の首に両手をかけると 122 00:06:30,960 --> 00:06:31,520 ちょうど 123 00:06:32,300 --> 00:06:33,520 猿の親が 124 00:06:33,920 --> 00:06:36,260 猿の子の白髪と居るように 125 00:06:36,260 --> 00:06:38,060 その長い髪の毛を 126 00:06:38,060 --> 00:06:40,080 一本ずつ抜き始めた 127 00:06:40,600 --> 00:06:43,320 髪は手にしがって抜けるらしい 128 00:06:43,900 --> 00:06:46,440 芸人にはなぜか老婆が 129 00:06:46,440 --> 00:06:49,800 死人の髪の毛を抜く変わらなかった 130 00:06:51,380 --> 00:06:53,640 不理的にはそれを 131 00:06:54,820 --> 00:06:58,360 悪の何かに片付けてよいか知らなかった 132 00:06:58,360 --> 00:07:00,600 しかし芸人にとっては 133 00:07:00,920 --> 00:07:02,220 この雨の夜には 134 00:07:02,220 --> 00:07:04,700 この羅生門の上で 135 00:07:04,880 --> 00:07:07,820 死人の髪の毛を抜くということが 136 00:07:08,300 --> 00:07:11,820 それで許すから悪であった 137 00:07:12,000 --> 00:07:14,680 芸人にはさっきまで自分が 138 00:07:15,360 --> 00:07:17,900 盗人になることなどは 139 00:07:18,320 --> 00:07:20,120 とうに忘れていたのである 140 00:07:21,100 --> 00:07:24,300 そこで芸人は両足に力を入れて 141 00:07:24,400 --> 00:07:27,180 いきなり梯子から上へ飛び上がった 142 00:07:27,620 --> 00:07:29,220 己どこへ行く 143 00:07:29,220 --> 00:07:31,280 老婆はそれでも芸人は 144 00:07:31,280 --> 00:07:33,620 突き抜けて行こうとする 145 00:07:33,620 --> 00:07:35,760 芸人はまたそれを 146 00:07:35,760 --> 00:07:38,260 生かす前として押し戻す 147 00:07:38,800 --> 00:07:40,420 二人は死骸の中で 148 00:07:40,580 --> 00:07:43,200 無言舞い摘みつかみ合った 149 00:07:43,200 --> 00:07:45,320 何をしていたって言っては 150 00:07:45,320 --> 00:07:46,740 これだぞと 151 00:07:46,740 --> 00:07:49,400 芸人は老婆を突き放すと 152 00:07:49,450 --> 00:07:51,780 いきなり立ち去り終わって 153 00:07:51,780 --> 00:07:53,600 白い鋼の色の 154 00:07:54,020 --> 00:07:55,960 その目の前へ突きつけた 155 00:07:56,760 --> 00:07:59,520 けれど老婆は黙って寝る 156 00:07:59,540 --> 00:08:03,320 両手をわなわな振るはてて 157 00:08:03,320 --> 00:08:05,380 肩で息を切りながら 158 00:08:05,820 --> 00:08:09,400 眼球がまぶたの外へ出ようとなるほど 159 00:08:10,180 --> 00:08:11,040 目を開いて 160 00:08:12,040 --> 00:08:15,000 これを見ると芸人は初めて 161 00:08:16,840 --> 00:08:19,400 白黄の老婆の名橋が 162 00:08:19,480 --> 00:08:22,340 全然自分の意思に支配される 163 00:08:22,880 --> 00:08:24,360 ということを意識した 164 00:08:25,120 --> 00:08:26,520 そうしてこの意識を 165 00:08:26,900 --> 00:08:30,020 今まで激しく燃え抜けた心を 166 00:08:30,020 --> 00:08:33,100 いつの間にか覚めてしまった 167 00:08:33,919 --> 00:08:37,659 後に故ある仕事をしてそれから 168 00:08:39,640 --> 00:08:41,640 安らかな得意と 169 00:08:41,640 --> 00:08:44,140 満足とがあるばかりであるそ 170 00:08:44,660 --> 00:08:48,020 こで芸人は老婆を見下しながら 171 00:08:48,420 --> 00:08:48,740 少し 172 00:08:49,640 --> 00:08:51,000 手払ってかゆう 173 00:08:51,580 --> 00:08:55,640 おのれはけび主の役人などではない 174 00:08:56,500 --> 00:08:59,020 いましかたこの門の下を 175 00:08:59,020 --> 00:09:01,920 通りかかった旅のものだ 176 00:09:02,360 --> 00:09:05,280 だからお前には縄をかけて 177 00:09:05,280 --> 00:09:06,440 どうしようも 178 00:09:07,120 --> 00:09:08,220 ないことはない 179 00:09:08,700 --> 00:09:12,080 すると老婆は見開いていた目を 180 00:09:12,460 --> 00:09:14,520 いっそ大きくして 181 00:09:14,640 --> 00:09:18,160 その芸人の顔を見下ろった 182 00:09:18,160 --> 00:09:21,740 赤くなった肉食鳥のような 183 00:09:22,060 --> 00:09:23,780 鋭い目で見たのである 184 00:09:24,600 --> 00:09:28,500 それから鼻と一つなった唇を 185 00:09:28,500 --> 00:09:31,440 何か目で噛んでいるように動かした 186 00:09:31,520 --> 00:09:35,500 細い喉で喉仏の動いているのが見える 187 00:09:35,500 --> 00:09:41,100 その時その喉からカラスのような 188 00:09:41,100 --> 00:09:44,740 とぎとぎした芸人の耳へ縛ってきた 189 00:09:44,740 --> 00:09:47,200 この髪を抜いて 190 00:09:47,200 --> 00:09:49,960 この女の髪を抜いて 191 00:09:50,300 --> 00:09:52,580 かつらにせると思ったのじゃ 192 00:09:54,000 --> 00:09:57,980 芸人が老婆の答えを平凡なのに 193 00:09:57,980 --> 00:10:01,700 失望したそうして失望すると同時に 194 00:10:02,180 --> 00:10:07,040 前の礼別に一緒に心の中へは行ってきた 195 00:10:07,040 --> 00:10:09,500 するとその景色が 196 00:10:10,160 --> 00:10:12,900 先方へも通じたのであろう 197 00:10:12,900 --> 00:10:15,120 老婆は片手にまだ 198 00:10:15,860 --> 00:10:19,680 頭から取った長い抜け毛を持ったなり 199 00:10:20,520 --> 00:10:24,800 つぶやくような口心もりもながらこの 200 00:10:26,360 --> 00:10:27,340 ことを言った 201 00:10:28,120 --> 00:10:30,970 詩人の髪の毛を抜くということは 202 00:10:31,120 --> 00:10:32,780 悪いことかもしれぬ 203 00:10:32,780 --> 00:10:35,120 しかし詩人の多くは 204 00:10:35,120 --> 00:10:37,000 皆このくらいなことを 205 00:10:37,340 --> 00:10:39,600 されていい人間ばかりである 206 00:10:39,650 --> 00:10:44,580 現に自分が今髪を抜いた女などは蛇を 207 00:10:45,600 --> 00:10:48,640 4分ばかりきついて干したのを 208 00:10:48,960 --> 00:10:53,800 柱魚だと言って立って吐きのじへ行った 209 00:10:54,940 --> 00:10:58,460 病院に駆けつけて死ななかったなら今でも行 210 00:10:59,220 --> 00:11:00,620 っていたかもしれない 211 00:11:01,500 --> 00:11:05,240 しかもこの女のいる魚は 212 00:11:05,500 --> 00:11:07,470 味らがよいというので 213 00:11:08,380 --> 00:11:09,780 たちたちが 214 00:11:10,340 --> 00:11:12,560 再例に勝っていたのである 215 00:11:12,560 --> 00:11:16,980 自分はこの女のしたことが悪いとは思えない 216 00:11:17,640 --> 00:11:19,980 しなければ飢え死にをするので 217 00:11:20,020 --> 00:11:23,180 仕方がないくしたことだからである 218 00:11:23,860 --> 00:11:26,660 だからまた今自分のしていたことも 219 00:11:26,660 --> 00:11:28,540 悪いこととは思わない 220 00:11:28,840 --> 00:11:30,080 これもやは 221 00:11:30,780 --> 00:11:33,360 りしなければ飢え死にをするので 222 00:11:33,360 --> 00:11:36,460 仕方がなくすることだからである 223 00:11:36,460 --> 00:11:39,980 芸人は鞘に納めて 224 00:11:39,980 --> 00:11:44,160 そのたちの柄を左の手で押さえながら 225 00:11:44,680 --> 00:11:47,520 冷静としてこの話を聞いていた 226 00:11:47,570 --> 00:11:50,640 右の手では赤く頬と海を揉んだ 227 00:11:50,640 --> 00:11:54,020 大きな気にしながら聞いているのである 228 00:11:54,020 --> 00:11:56,700 しかし聞いている中に 229 00:11:56,720 --> 00:11:59,980 芸人の心にはある勇気が生まれてきた 230 00:12:00,310 --> 00:12:02,460 それはさっき門の下でこの 231 00:12:03,080 --> 00:12:04,760 男の勇気である 232 00:12:04,760 --> 00:12:08,100 そしてまたさっきこの門へ上がって 233 00:12:08,780 --> 00:12:10,120 この老婆を 234 00:12:10,800 --> 00:12:12,480 得た時の勇気とは 235 00:12:12,480 --> 00:12:17,980 全く反面な方向に向かうとする勇気である 236 00:12:19,220 --> 00:12:23,300 芸人は死をするか盗人になるかに 237 00:12:23,300 --> 00:12:25,880 迷ったはなかったばかりではない 238 00:12:25,880 --> 00:12:29,500 その時のこの男の心持ちからいえば 239 00:12:29,640 --> 00:12:34,100 芸人など言うことが考えることさえできないほど 240 00:12:34,100 --> 00:12:37,000 意識の外に追い出されていた 241 00:12:37,070 --> 00:12:39,460 唸れが日上げをしようと 242 00:12:40,160 --> 00:12:45,260 まあいいな己はそうしなければ死骸をするなのだ 243 00:12:46,680 --> 00:12:49,820 しばらく死んだように倒れていた老婆が 244 00:12:50,100 --> 00:12:53,800 中からその裸の脳を起こしたのは 245 00:12:53,800 --> 00:12:56,060 それから間もなくのことである 246 00:12:56,080 --> 00:12:59,300 老婆は呟くようにえめくような 247 00:12:59,430 --> 00:13:03,220 立てながらまた燃えて火の光を立てる 248 00:13:03,220 --> 00:13:05,980 はしごの口まで行っていった 249 00:13:05,980 --> 00:13:10,180 そうしてそこから短い白髪を 250 00:13:10,940 --> 00:13:13,540 顔にして門の下を覗き込んだ 251 00:13:13,780 --> 00:13:17,380 外には夜があるばかりである 252 00:13:17,380 --> 00:13:21,280 芸人は雨をかして京都の町へ 253 00:13:22,100 --> 00:13:24,260 働きに急いでいった 254 00:13:29,000 --> 00:13:30,760 現在電話から鳴り 255 00:13:30,760 --> 00:13:31,560 言い出れる 256 00:13:31,560 --> 00:13:33,000 はい言い出れ 257 00:13:33,000 --> 00:13:37,220 あどうもはいわかりました電話を切るいいが 258 00:13:37,220 --> 00:13:39,400 あゆみを探せば見つからない 259 00:13:41,760 --> 00:13:43,960 鳴りのうなり声が激しく 260 00:13:43,960 --> 00:13:46,930 あゆみの耳に突き刺す 261 00:13:46,980 --> 00:13:51,660 深夜水玉を箸で何度も突き刺し続ける 262 00:13:57,400 --> 00:14:00,800 あゆみ急に電車電話が鳴り 263 00:14:02,440 --> 00:14:05,940 隣の警官が呼び声に変わり 264 00:14:06,000 --> 00:14:09,840 ガラスの割れる音が太くつきまって 265 00:14:09,840 --> 00:14:12,220 逃げるあゆみの鼻に刺さり 266 00:14:12,680 --> 00:14:15,210 警官のベルが大きく鳴る 267 00:14:15,400 --> 00:14:18,040 カーテンで壁に家を建てるが 268 00:14:18,040 --> 00:14:20,640 隣の会話は聞こえてこない 269 00:14:20,640 --> 00:14:21,640 電子レンジの電話が鳴り 270 00:14:21,640 --> 00:14:24,360 一時に不安が呼びに静かに 271 00:14:24,360 --> 00:14:25,940 部屋の電気を消す 272 00:14:26,840 --> 00:14:31,160 鳴り続けるベルがあゆみの気を震わす 273 00:14:31,160 --> 00:14:33,140 あゆみどうしたの 274 00:14:33,140 --> 00:14:37,040 全くなんで薄く使うのかな 275 00:14:38,460 --> 00:14:40,900 これ完全に嫌われちゃったのかな 276 00:14:40,900 --> 00:14:43,320 と言いながらアパートを去る 277 00:14:43,320 --> 00:14:47,840 隣の部屋の姿が呼び 278 00:14:47,840 --> 00:14:51,580 ゆきさらに男と女の鋭い顔が浮かぶ 279 00:14:52,380 --> 00:14:55,640 ゆとあゆみが倒れる 280 00:14:56,680 --> 00:14:58,060 あゆみのアパート 281 00:14:58,060 --> 00:15:00,880 翌朝もしもしおはようございます 282 00:15:00,880 --> 00:15:06,420 なんですけど来週もその間ちょっとお休みさせていただく 283 00:15:07,240 --> 00:15:09,440 体の調子が悪いので 284 00:15:09,440 --> 00:15:12,580 病院でいろいろ検査をしてもらおうと 285 00:15:12,580 --> 00:15:14,580 買っておいて元に入って 286 00:15:14,580 --> 00:15:17,140 検査の結果が出していただくこと 287 00:15:17,140 --> 00:15:19,500 ご願い申し上げます 288 00:15:19,840 --> 00:15:22,240 電話を切る手が震えて 289 00:15:22,240 --> 00:15:25,940 濁った目で隣の壁を見ながら 290 00:15:25,940 --> 00:15:28,590 あゆみ隣の壁に手を挙げて 291 00:15:30,160 --> 00:15:32,480 爪で石を切りつける 292 00:15:33,440 --> 00:15:35,000 あゆみのアパート 293 00:15:35,580 --> 00:15:36,700 10日後の夜 294 00:15:36,700 --> 00:15:39,820 完全に寝てきて 295 00:15:39,820 --> 00:15:41,360 石から切っているように 296 00:15:41,400 --> 00:15:44,340 爪の横側を奪って 297 00:15:44,340 --> 00:15:47,760 電話番号に気づいた電話が 298 00:15:47,760 --> 00:15:51,040 答えてもしもし変な話だけど 299 00:15:51,040 --> 00:15:53,600 あゆみあんた感謝してないんだよね 300 00:15:53,710 --> 00:15:56,140 何も聞けないんだもしもし 301 00:15:56,580 --> 00:15:57,780 あんたの感謝が 302 00:15:57,780 --> 00:16:01,000 何だろう変なの電話に出るわけより 303 00:16:01,020 --> 00:16:02,280 もしもしひめちゃん 304 00:16:02,720 --> 00:16:04,780 私ちょっとあゆみあんた 305 00:16:04,780 --> 00:16:05,940 声おかしいよね 306 00:16:06,620 --> 00:16:07,140 大丈夫 307 00:16:07,800 --> 00:16:08,820 どっか悪いの 308 00:16:08,820 --> 00:16:10,320 何どうしたの 309 00:16:10,320 --> 00:16:14,860 ひめちゃん私はもう飲み通せるのかもしれない 310 00:16:14,860 --> 00:16:16,940 いたあゆみ逆 311 00:16:17,660 --> 00:16:20,340 どこかの手首に 312 00:16:21,220 --> 00:16:22,740 突きつけた 313 00:16:22,740 --> 00:16:25,260 あゆみの頭を掴んで 314 00:16:25,260 --> 00:16:26,560 電気の中で 315 00:16:26,560 --> 00:16:28,380 失神する高子 316 00:16:28,380 --> 00:16:30,540 泣き叫ぶあゆみが 317 00:16:30,830 --> 00:16:32,880 こうして振り返ると 318 00:16:32,880 --> 00:16:34,720 あくまと浮かして 319 00:16:34,720 --> 00:16:37,060 ともかくが不気味に 320 00:16:37,500 --> 00:16:38,340 歯を見せ 321 00:16:38,440 --> 00:16:40,920 緑のあゆみの皮を 322 00:16:40,920 --> 00:16:41,800 吐きかける 323 00:16:42,880 --> 00:16:45,120 枕に染み付いている 324 00:16:45,660 --> 00:16:47,800 蒸気を通したようなベルが 325 00:16:47,800 --> 00:16:49,720 あゆみの心臓を破る 326 00:16:51,560 --> 00:16:54,280 ねえあゆみ寝てんのあんた 327 00:16:54,960 --> 00:16:55,780 起きてよ 328 00:16:55,780 --> 00:16:56,720 ドア開けて 329 00:16:57,000 --> 00:16:58,940 玄関のドアが叩かれる 330 00:16:58,940 --> 00:17:01,280 押入れに隠れるあゆみ 331 00:17:01,280 --> 00:17:02,980 あゆみねえどうしたの 332 00:17:02,980 --> 00:17:05,440 あゆみ押入れの隙間から 333 00:17:05,440 --> 00:17:07,319 あくまのような男と女 334 00:17:07,780 --> 00:17:09,780 そしてともかくの顔が 335 00:17:10,240 --> 00:17:13,540 絡まれ鋭い六甲の手が 336 00:17:13,540 --> 00:17:15,089 あゆみに止まる 337 00:17:15,200 --> 00:17:16,660 抜け狂うあゆみの 338 00:17:16,660 --> 00:17:17,859 押入れの頭を 339 00:17:17,859 --> 00:17:19,640 引き物狂いで 340 00:17:20,740 --> 00:17:23,619 締めるあくまの叫び声が 341 00:17:23,619 --> 00:17:25,119 頂点に達する 342 00:17:25,119 --> 00:17:26,319 あゆみなんて 343 00:17:26,319 --> 00:17:27,760 あげてくれなかったの 344 00:17:28,359 --> 00:17:30,820 人が下心を心配して 345 00:17:30,820 --> 00:17:33,680 友達や男とは違うんだよ 346 00:17:33,680 --> 00:17:36,080 何も無理やり言って 347 00:17:36,080 --> 00:17:37,860 気づかしてもらって 348 00:17:37,860 --> 00:17:39,940 ずっと心配で心配で 349 00:17:40,340 --> 00:17:41,880 寝てきてみて 350 00:17:41,880 --> 00:17:44,660 妻あたしも妻あたしになって 351 00:17:44,660 --> 00:17:46,540 部屋に入れてくれなかったの 352 00:17:46,540 --> 00:17:49,740 どうしたのねえ何があったの 353 00:17:49,860 --> 00:17:51,700 泣きのような姉の 354 00:17:51,740 --> 00:17:54,720 感情が強く揺れるあゆみ 355 00:17:54,720 --> 00:17:56,920 泣き崩れる姉を 356 00:17:56,920 --> 00:17:59,320 抱きしめるあゆみも泣き出し 357 00:17:59,320 --> 00:18:01,020 お姉ちゃんもねえ 358 00:18:01,020 --> 00:18:02,340 でもあたし本当にもう 359 00:18:02,340 --> 00:18:03,420 どうしようもないの 360 00:18:04,020 --> 00:18:06,640 頭がわからないの 361 00:18:06,640 --> 00:18:09,440 嬉しいの何も信じられないの 362 00:18:09,440 --> 00:18:11,280 だから許してお願い 363 00:18:11,280 --> 00:18:15,160 ねえお願い泣かないでお願いだから 364 00:18:15,160 --> 00:18:17,960 よかったあゆみも大丈夫なの 365 00:18:17,960 --> 00:18:20,480 話してねえ何があったの 366 00:18:20,480 --> 00:18:21,580 わからないね 367 00:18:22,320 --> 00:18:23,100 このみんな 368 00:18:23,680 --> 00:18:25,000 私のことを 369 00:18:25,000 --> 00:18:27,210 お前の人と一緒なんて 370 00:18:27,980 --> 00:18:30,400 みんなで遊びばっかり見て 371 00:18:30,450 --> 00:18:32,280 この夢がまるで 372 00:18:32,280 --> 00:18:34,440 現実のことみたいに 373 00:18:34,440 --> 00:18:36,880 あたし隣に何かされたの 374 00:18:36,880 --> 00:18:40,140 お年以上お腹23時になっても 375 00:18:40,140 --> 00:18:42,420 大声で騒ぎ立てて 376 00:18:42,420 --> 00:18:44,400 それが本当にうるさくて 377 00:18:44,400 --> 00:18:46,440 毎日毎日寝れなくて 378 00:18:46,440 --> 00:18:48,120 それで公屋さんに 379 00:18:48,120 --> 00:18:50,660 何とかしてくださいって言っても 380 00:18:50,660 --> 00:18:52,920 全然静かにならなくて 381 00:18:52,920 --> 00:18:55,770 それにあたしが口を叩いて 382 00:18:55,780 --> 00:18:59,880 子どもお年寄りが隣に来たみたいで 383 00:19:04,940 --> 00:19:07,160 そして電化モデル 384 00:19:07,720 --> 00:19:09,180 202号室前 385 00:19:09,540 --> 00:19:11,520 と過去お出口のドアを 386 00:19:11,520 --> 00:19:13,490 力いっぱい叩き 387 00:19:16,980 --> 00:19:19,940 すいません隣のスナですけど 388 00:19:19,940 --> 00:19:22,780 ちょっとお話があるんですが 389 00:19:22,780 --> 00:19:24,700 誰かいらっしゃいませんか 390 00:19:27,740 --> 00:19:29,960 玄関のドアを少し開けて 391 00:19:29,960 --> 00:19:33,900 壁の姿を監視する歩み 392 00:19:33,900 --> 00:19:36,060 202号室のドアを 393 00:19:36,060 --> 00:19:38,260 呆然開かずに 394 00:19:39,100 --> 00:19:40,300 わをかかる 395 00:19:40,300 --> 00:19:43,140 バカと不安を叩きつける 396 00:19:44,980 --> 00:19:46,600 キッチンの窓には 397 00:19:46,600 --> 00:19:49,180 テレビの明かりと人影が見える 398 00:19:49,330 --> 00:19:52,200 らしいドアが開く中から 399 00:19:52,860 --> 00:19:55,020 8丸を過ぎて 400 00:19:55,020 --> 00:19:57,700 ローバーの覗く耳には 401 00:19:57,700 --> 00:20:00,200 無聴聞言葉を失う 402 00:20:01,800 --> 00:20:05,340 と過去に何かありましたかなと 403 00:20:05,340 --> 00:20:06,580 不思議に 404 00:20:07,080 --> 00:20:08,280 ローバーの後ろで 405 00:20:08,280 --> 00:20:09,460 ローバーのテレビ 406 00:20:11,200 --> 00:20:13,720 ローバーの姿が目に入る 407 00:20:13,720 --> 00:20:16,780 すいません何もありませんでした 408 00:20:16,780 --> 00:20:18,360 お姉ちゃん待って 409 00:20:18,360 --> 00:20:20,840 駅まで送っていくからいい? 410 00:20:21,160 --> 00:20:21,440 いい? 411 00:20:21,620 --> 00:20:22,500 時間がないから 412 00:20:22,500 --> 00:20:24,280 時間がないからバイバイ 413 00:20:25,220 --> 00:20:28,340 てめえの読みが甘いんだ 414 00:20:33,120 --> 00:20:33,420 よ 415 00:20:39,520 --> 00:20:42,080 あんたなんとじゃないの? 416 00:20:42,380 --> 00:20:43,600 葉っぱのやりすぎ? 417 00:20:44,060 --> 00:20:45,440 って何言ってるか 418 00:20:45,440 --> 00:20:47,220 さっぱりわかんないし 419 00:20:48,380 --> 00:20:52,060 肉体を縛る鋭い音の後に 420 00:20:52,060 --> 00:20:54,400 ポスッと地が揺れる 421 00:20:54,410 --> 00:20:56,100 分かるおてめえは 422 00:20:56,100 --> 00:20:57,720 一生死んでる 423 00:20:58,480 --> 00:21:01,360 意地と無意識の幅で 424 00:21:01,360 --> 00:21:03,480 意識としながら歩み 425 00:21:03,480 --> 00:21:06,240 ゆっくり立ち上がる通りを出る 426 00:21:06,320 --> 00:21:09,400 手に持ったサンドローベランダに出て 427 00:21:09,400 --> 00:21:11,480 しっかりと歩く歩み 428 00:21:11,480 --> 00:21:13,960 早く隣のベランダに 429 00:21:13,960 --> 00:21:15,040 乗り移る 430 00:21:15,100 --> 00:21:18,220 カーテン越しに中を覗き込む 431 00:21:18,220 --> 00:21:20,400 部屋を閉める 432 00:21:20,400 --> 00:21:22,340 部屋のカーテンの中で 433 00:21:22,340 --> 00:21:25,560 黒のネザーに身を包み 434 00:21:25,560 --> 00:21:27,180 ハイヒールを履き 435 00:21:27,180 --> 00:21:30,120 男女王女様風に 436 00:21:30,120 --> 00:21:31,520 女装した男が 437 00:21:31,520 --> 00:21:34,660 メニュースーパンドを装着し 438 00:21:34,660 --> 00:21:37,640 真っ赤なオンテージを身につけた 439 00:21:37,640 --> 00:21:40,280 女は足で押さえ 440 00:21:40,280 --> 00:21:42,040 ガソリンをかけて 441 00:21:42,820 --> 00:21:44,440 化粧をしている 442 00:21:44,840 --> 00:21:46,860 歩みの頭にかすかずの 443 00:21:46,860 --> 00:21:49,060 男と女の邪魔のような 444 00:21:49,060 --> 00:21:50,200 イメージがある 445 00:21:50,740 --> 00:21:53,160 歩みの瞳の中に 446 00:21:54,660 --> 00:21:56,520 のようなお釜と 447 00:21:56,520 --> 00:21:58,760 おしべさの姿が映る 448 00:21:58,800 --> 00:22:00,800 三段の帽が着れる 449 00:22:04,120 --> 00:22:06,120 男と目が合う歩み 450 00:22:06,120 --> 00:22:08,380 男だけに言わないながら 451 00:22:08,380 --> 00:22:10,120 大いにみんなが 452 00:22:11,040 --> 00:22:12,200 いらっしゃいませ 453 00:22:12,340 --> 00:22:14,640 何かの分量にありますかと 454 00:22:14,640 --> 00:22:15,900 一度寝入れて 455 00:22:15,900 --> 00:22:17,500 自然に笑っている 456 00:22:17,980 --> 00:22:20,340 ガソリンの缶を手に取り 457 00:22:20,340 --> 00:22:22,440 歩みの上にひっくり返すが 458 00:22:23,300 --> 00:22:24,700 中身がもうない 459 00:22:24,700 --> 00:22:28,180 歩みの肌を思いっきり蹴り 460 00:22:28,180 --> 00:22:29,720 男性の中から 461 00:22:29,720 --> 00:22:31,840 チップのタオルを持ち出す 462 00:22:31,840 --> 00:22:33,240 歩みの前で 463 00:22:33,240 --> 00:22:36,000 自分の隙間にあてて 464 00:22:36,000 --> 00:22:37,880 立ち込みを行きたいなら 465 00:22:38,540 --> 00:22:40,280 女のあんたと 466 00:22:40,280 --> 00:22:41,060 お客さんと 467 00:22:41,060 --> 00:22:47,320 あんたとってくれない 468 00:22:47,880 --> 00:22:48,800 じゃああんただけ 469 00:22:48,840 --> 00:22:50,620 あんたが静かに 470 00:22:50,620 --> 00:22:52,380 ちょっと言いながら 471 00:22:53,780 --> 00:22:56,260 ランスから川を持ってきて 472 00:22:56,260 --> 00:22:57,080 ねえあんた 473 00:22:57,080 --> 00:22:58,920 あたしのことを殺したい 474 00:22:59,840 --> 00:23:01,820 それに部屋を物を 475 00:23:01,820 --> 00:23:03,320 即死しながら 476 00:23:03,660 --> 00:23:04,740 男を見つけ 477 00:23:06,160 --> 00:23:07,400 あんたは 478 00:23:07,400 --> 00:23:08,120 あんたの目が女 479 00:23:10,260 --> 00:23:12,020 の口に粒子をつめていく 480 00:23:12,680 --> 00:23:15,580 女の耳にヘッドモードを 481 00:23:15,620 --> 00:23:17,720 ボリュームを最大にして 482 00:23:17,720 --> 00:23:20,620 心臓とこの下に女の顔を 483 00:23:20,620 --> 00:23:23,140 浮かないように縛る 484 00:23:23,680 --> 00:23:25,740 苦しむ女の肩に 485 00:23:25,740 --> 00:23:28,000 七本だけ自分の三段を 486 00:23:28,000 --> 00:23:29,160 かせてやる 487 00:23:29,160 --> 00:23:30,660 毛類を上げて 488 00:23:30,920 --> 00:23:32,460 男女の口音が 489 00:23:32,460 --> 00:23:34,720 女の叫び声のように 490 00:23:34,740 --> 00:23:37,560 きれいに行き渡る終わり 491 00:23:39,220 --> 00:23:40,020 じゃあもう一回 492 00:23:40,020 --> 00:23:41,450 ラショーも今度 493 00:23:44,200 --> 00:23:46,220 はさっきより上手く言ってくださいはい 494 00:23:51,200 --> 00:23:52,240 ラショーも 495 00:23:52,240 --> 00:23:54,920 ある日の暮れ方のことである 496 00:23:55,100 --> 00:23:56,760 一人の藤原人が 497 00:23:56,760 --> 00:23:58,840 ラショーもの下で 498 00:23:58,900 --> 00:24:00,760 雨上げをなっていた 499 00:24:03,240 --> 00:24:04,960 広い門の下には 500 00:24:04,960 --> 00:24:06,740 この男の他に 501 00:24:06,740 --> 00:24:07,900 誰もいない 502 00:24:07,900 --> 00:24:11,340 上ところどころに栗の 503 00:24:12,260 --> 00:24:14,340 出た大きな 504 00:24:14,340 --> 00:24:16,200 もろを柱に 505 00:24:16,200 --> 00:24:18,360 切りくずらり止まっている 506 00:24:18,360 --> 00:24:19,900 ラショーもが 507 00:24:19,900 --> 00:24:21,960 戦略を発見ある以上 508 00:24:22,520 --> 00:24:24,400 この男の外にも 509 00:24:24,400 --> 00:24:25,660 雨上げをする 510 00:24:25,660 --> 00:24:27,600 一面傘や 511 00:24:27,600 --> 00:24:29,360 伸び道帽子が 512 00:24:30,310 --> 00:24:31,720 もう二三人は 513 00:24:32,260 --> 00:24:33,960 有様なものである 514 00:24:34,900 --> 00:24:37,000 それがその男の外には 515 00:24:37,000 --> 00:24:38,280 誰もいない 516 00:24:38,280 --> 00:24:40,520 なぜかというと 517 00:24:40,540 --> 00:24:48,340 この三年京都には地震とか地震とか風とか地震とかという 518 00:24:49,400 --> 00:24:51,720 災害が続いて起こった 519 00:24:51,720 --> 00:24:53,200 なぜかというと 520 00:24:54,360 --> 00:24:56,260 ラショーもの 521 00:24:56,260 --> 00:24:57,440 周囲など 522 00:24:58,240 --> 00:24:59,880 大人より誰も 523 00:25:01,000 --> 00:25:05,500 主に京都の町は一方にならず 524 00:25:06,560 --> 00:25:08,080 偽装していた 525 00:25:08,080 --> 00:25:11,000 今この庶民が 526 00:25:12,200 --> 00:25:13,820 使われていた 527 00:25:13,820 --> 00:25:16,740 主人から着物が据えたのも 528 00:25:16,740 --> 00:25:18,780 この鋭みの小さな 529 00:25:18,780 --> 00:25:20,940 何もわからない 530 00:25:20,940 --> 00:25:22,460 日から日々が 531 00:25:22,460 --> 00:25:24,240 雨を止めまっていた 532 00:25:24,240 --> 00:25:25,600 というよりも 533 00:25:25,800 --> 00:25:28,140 雨に降りこもれた日々が 534 00:25:28,140 --> 00:25:29,520 行きどころなく 535 00:25:29,520 --> 00:25:32,700 とこめくれていたという方が 536 00:25:33,720 --> 00:25:35,920 適当だとその声 537 00:25:37,820 --> 00:25:39,640 少しずつこの 538 00:25:39,640 --> 00:25:41,240 平安帝の 539 00:25:41,920 --> 00:25:43,900 国民に言うとした 540 00:25:44,820 --> 00:25:48,400 国民から言うとした雨は 541 00:25:48,400 --> 00:25:50,520 未だに上がる気配を 542 00:25:50,520 --> 00:25:51,380 しつこれ 543 00:25:51,590 --> 00:25:54,060 国民は何を超えても 544 00:25:54,060 --> 00:25:55,080 差し当たり 545 00:25:55,080 --> 00:25:56,660 明日の暮らしを 546 00:25:56,660 --> 00:25:58,060 どうにかしようとして 547 00:25:58,060 --> 00:26:01,520 今どうしようもないことを 548 00:26:01,520 --> 00:26:03,180 どうしようとして 549 00:26:03,180 --> 00:26:05,720 行き止めのない考えを 550 00:26:05,720 --> 00:26:07,040 たどりながら 551 00:26:07,040 --> 00:26:09,420 さっきから頭上の端に 552 00:26:09,420 --> 00:26:10,980 降る雨の音は 553 00:26:10,980 --> 00:26:12,320 聞くこともない 554 00:26:12,320 --> 00:26:15,740 雨は場所を思っていて 555 00:26:16,120 --> 00:26:20,320 遠くからざらっと雑草を振る 556 00:26:20,320 --> 00:26:23,360 草は汚れに皿を隠して 557 00:26:23,360 --> 00:26:24,720 逃げてると 558 00:26:24,720 --> 00:26:25,760 本を読んだ 559 00:26:25,760 --> 00:26:28,860 同じ朝の先から 560 00:26:29,680 --> 00:26:33,240 僕薄い雲を浮かべる 561 00:26:33,240 --> 00:26:34,880 どうしようもないことを 562 00:26:34,880 --> 00:26:36,640 どうにかするために 563 00:26:36,640 --> 00:26:38,160 手段を選んでいる 564 00:26:38,280 --> 00:26:41,120 叶わない選んでいれば 565 00:26:41,980 --> 00:26:44,440 その下から道端を進むと 566 00:26:45,180 --> 00:26:47,220 羨ましくばかりである 567 00:26:47,310 --> 00:26:51,360 そうしてこのままの運命をもつときて 568 00:26:51,360 --> 00:26:53,060 犬のように捨てられて 569 00:26:53,060 --> 00:26:54,640 しまうばかりである 570 00:26:55,060 --> 00:26:56,740 選ばれないこっちで 571 00:26:56,740 --> 00:27:01,500 君とだから何度も同じ道を 572 00:27:01,500 --> 00:27:03,660 展開した誰によって 573 00:27:03,660 --> 00:27:05,680 心の屋上で 574 00:27:05,680 --> 00:27:08,880 到着したしかしどうすれば 575 00:27:08,880 --> 00:27:11,020 その今になっても 576 00:27:11,020 --> 00:27:12,260 結局すれば 577 00:27:12,260 --> 00:27:15,800 選ばない人間は素直にならない 578 00:27:15,930 --> 00:27:18,900 ということを考えているみなさんの 579 00:27:18,900 --> 00:27:23,120 身体をそれが味方をつくるために 580 00:27:23,120 --> 00:27:26,080 気候でその土地につきあがることさ 581 00:27:26,080 --> 00:27:27,300 進みるという 582 00:27:27,300 --> 00:27:28,660 仕方がない 583 00:27:28,660 --> 00:27:31,120 ということを積極的に 584 00:27:31,120 --> 00:27:32,820 すべてのルーティンは 585 00:27:32,820 --> 00:27:34,460 重ねたみたいだ 586 00:27:35,440 --> 00:27:38,180 犬は大きな重ねをして 587 00:27:38,180 --> 00:27:40,320 それから大気性に 588 00:27:40,320 --> 00:27:41,440 持ち上がった 589 00:27:41,780 --> 00:27:43,820 汚れの空虚とは 590 00:27:43,820 --> 00:27:46,770 もう一番激しいと思う 591 00:27:58,160 --> 00:27:59,260 じゃあ青井さんどうぞ 592 00:28:10,640 --> 00:28:10,800 はい 593 00:28:11,380 --> 00:28:11,880 いただきます 594 00:28:19,800 --> 00:28:20,100 心 595 00:28:21,760 --> 00:28:22,880 先生と私 596 00:28:24,900 --> 00:28:25,620 私は 597 00:28:25,960 --> 00:28:27,000 その人を常に 598 00:28:27,000 --> 00:28:28,200 先生と呼んでいた 599 00:28:30,040 --> 00:28:33,100 だからここでもただ先生と書くだけで 600 00:28:33,480 --> 00:28:34,560 本名は打ち明けない 601 00:28:36,460 --> 00:28:37,240 これは世間を 602 00:28:37,240 --> 00:28:39,120 はばかる遠慮というよりも 603 00:28:39,340 --> 00:28:40,920 その方が私にとって自 604 00:28:41,460 --> 00:28:42,260 然だからである 605 00:28:44,100 --> 00:28:45,020 私はその人の 606 00:28:45,020 --> 00:28:46,800 記憶を呼び起こすことに 607 00:28:46,800 --> 00:28:49,020 すぐ先生と 608 00:28:49,020 --> 00:28:49,760 言いたくなる 609 00:28:51,900 --> 00:28:53,020 笛を取っても 610 00:28:53,280 --> 00:28:56,020 心持ちは同じことであるよ 611 00:28:56,580 --> 00:28:57,300 そよさしく 612 00:28:57,920 --> 00:28:58,860 頭文字など 613 00:28:58,900 --> 00:29:00,560 とても使う気にはならない 614 00:29:02,320 --> 00:29:03,400 私が先生と 615 00:29:03,400 --> 00:29:04,260 知り合ったのは 616 00:29:04,960 --> 00:29:05,700 鎌倉である 617 00:29:07,240 --> 00:29:09,500 その時私は若々しく 618 00:29:10,560 --> 00:29:11,660 写生であった 619 00:29:13,160 --> 00:29:15,060 初中休暇を利用して 620 00:29:15,160 --> 00:29:17,280 海水浴に行った友達から 621 00:29:17,840 --> 00:29:19,220 ぜひ来いというはがきを 622 00:29:19,220 --> 00:29:19,960 受け取ったので 623 00:29:20,840 --> 00:29:22,860 私は多少の金を苦面して 624 00:29:23,560 --> 00:29:24,620 出かけることにした 625 00:29:26,480 --> 00:29:27,860 私は金の苦面に 626 00:29:27,860 --> 00:29:29,200 二三日を費やした 627 00:29:31,260 --> 00:29:32,100 ところが私が 628 00:29:32,100 --> 00:29:33,180 鎌倉に着いて 629 00:29:33,800 --> 00:29:35,180 三日と経たないうちに 630 00:29:36,160 --> 00:29:37,860 私を呼び寄せた友達は 631 00:29:38,600 --> 00:29:40,200 急に国元から 632 00:29:40,200 --> 00:29:42,160 帰れという電報を 633 00:29:42,160 --> 00:29:42,880 受け取った 634 00:29:44,720 --> 00:29:45,560 電報には 635 00:29:46,060 --> 00:29:47,580 母が病気だからと 636 00:29:47,780 --> 00:29:48,800 断ってあった 637 00:29:49,720 --> 00:29:50,980 けれども友達は 638 00:29:50,980 --> 00:29:52,520 それを信じなかった 639 00:29:54,160 --> 00:29:55,380 友達はかねてから 640 00:29:55,380 --> 00:29:57,160 国元にいる親たちを 641 00:29:57,200 --> 00:29:59,400 勧まない結婚を強いられていた 642 00:30:01,400 --> 00:30:03,920 彼は現代の所感から言うと 643 00:30:04,560 --> 00:30:05,400 結婚するには 644 00:30:05,400 --> 00:30:07,140 あまり年が若すぎた 645 00:30:08,760 --> 00:30:09,680 それに肝心の 646 00:30:09,680 --> 00:30:10,800 トーニングが気に入らなかった 647 00:30:13,120 --> 00:30:14,580 それで夏休みに 648 00:30:15,140 --> 00:30:16,420 当然帰るべきところを 649 00:30:17,100 --> 00:30:17,900 わざと避けて 650 00:30:18,240 --> 00:30:19,380 東京の近くで 651 00:30:19,380 --> 00:30:20,380 遊んでいたのである 652 00:30:23,180 --> 00:30:25,880 彼は電報を私に見せようと 653 00:30:26,220 --> 00:30:27,580 兄子と相談をした 654 00:30:29,440 --> 00:30:31,740 私にはどうしていいかわからなかった 655 00:30:33,020 --> 00:30:35,220 けれども実際彼の母が 656 00:30:35,220 --> 00:30:36,460 病気であるとすると 657 00:30:37,000 --> 00:30:39,220 彼は元より帰るべきはずであった 658 00:30:40,160 --> 00:30:43,140 それで彼はとうとう帰ることになった 659 00:30:44,720 --> 00:30:46,520 せっかく来た私は 660 00:30:47,000 --> 00:30:47,940 一人取り残された 661 00:30:50,400 --> 00:30:51,420 学校の授業が 662 00:30:51,420 --> 00:30:52,420 始まるにはまだ 663 00:30:53,020 --> 00:30:54,520 だいぶ日数があるので 664 00:30:55,600 --> 00:30:57,200 鎌倉にいてもよし 665 00:30:57,200 --> 00:30:59,260 帰ってもよいという境遇に 666 00:30:59,580 --> 00:30:59,980 私は 667 00:31:01,040 --> 00:31:03,220 当分元の役に留まる覚悟をした 668 00:31:03,880 --> 00:31:05,400 海へはごく近いので 669 00:31:06,020 --> 00:31:07,300 海水旅行をやるには 670 00:31:08,300 --> 00:31:09,980 ごく便利な地位を占めていた 671 00:31:12,100 --> 00:31:13,100 私は毎日 672 00:31:13,100 --> 00:31:14,760 海へ入りも出かけた 673 00:31:15,980 --> 00:31:17,300 この辺にこれほどの 674 00:31:18,060 --> 00:31:20,600 特愛人種が住んでいるのかと思うほど 675 00:31:21,440 --> 00:31:23,740 秘書に来た男や女で 676 00:31:23,740 --> 00:31:25,480 砂の上へ動いていた 677 00:31:27,400 --> 00:31:29,060 あるときは海の中が 678 00:31:29,740 --> 00:31:30,640 銭湯のように 679 00:31:30,640 --> 00:31:32,300 黒い頭で 680 00:31:32,620 --> 00:31:34,480 ごちゃごちゃしていることもあった 681 00:31:36,280 --> 00:31:37,840 その中に知った人を 682 00:31:38,480 --> 00:31:40,560 一人も持たない私も 683 00:31:41,020 --> 00:31:42,340 こういうにぎやかに 684 00:31:42,340 --> 00:31:43,560 景色に包まれて 685 00:31:44,500 --> 00:31:46,520 砂の上に寝そべったり 686 00:31:46,600 --> 00:31:48,420 見たり膝頭を 687 00:31:48,420 --> 00:31:49,860 海に打たれたり 688 00:31:50,420 --> 00:31:51,860 そこいらをはねまわるのは 689 00:31:51,860 --> 00:31:52,700 愉快だった 690 00:31:54,780 --> 00:31:56,760 私は実に先生を 691 00:31:56,780 --> 00:31:58,300 この雑草の間に 692 00:31:58,300 --> 00:31:59,300 見つけ出したのである 693 00:32:01,980 --> 00:32:03,860 そのとき海岸には 694 00:32:05,120 --> 00:32:05,960 かけ茶屋が 695 00:32:05,960 --> 00:32:06,940 二軒あった 696 00:32:10,420 --> 00:32:11,080 私は 697 00:32:11,400 --> 00:32:12,640 ふとしたはずみから 698 00:32:13,320 --> 00:32:15,220 その一軒一軒の方に 699 00:32:15,500 --> 00:32:16,420 行きなれていた 700 00:32:17,460 --> 00:32:19,240 海水着を持たない私にも 701 00:32:20,320 --> 00:32:22,340 持ち物を盗まれる恐れがあったので 702 00:32:25,040 --> 00:32:26,500 私は海へ 703 00:32:26,500 --> 00:32:27,260 入るたびに 704 00:32:28,280 --> 00:32:28,940 その茶々へ 705 00:32:29,330 --> 00:32:31,260 一切をにぎしていることにしていた 706 00:32:35,980 --> 00:32:36,440 私が 707 00:32:37,100 --> 00:32:38,020 そのかけ茶屋で 708 00:32:39,140 --> 00:32:40,400 先生を見たときは 709 00:32:42,360 --> 00:32:44,220 先生がちょうど着物を脱いで 710 00:32:45,360 --> 00:32:46,260 これから海へ 711 00:32:46,260 --> 00:32:48,000 入ろうとするところであった 712 00:32:48,740 --> 00:32:50,480 私がすぐに先生を 713 00:32:50,480 --> 00:32:51,420 見つけ出したのは 714 00:32:52,780 --> 00:32:54,020 先生が一人の 715 00:32:54,340 --> 00:32:56,320 西洋人を連れていたからである 716 00:32:56,320 --> 00:32:58,140 そのとき私は 717 00:32:58,800 --> 00:33:00,060 ポカンとしながら 718 00:33:01,140 --> 00:33:02,800 先生のことを考えた 719 00:33:02,800 --> 00:33:04,200 そのときの私は 720 00:33:04,760 --> 00:33:07,440 くったくがないというよりむしろ 721 00:33:07,780 --> 00:33:09,120 無礼に苦しんでいた 722 00:33:09,480 --> 00:33:11,740 着物の下に置いてあった眼鏡が 723 00:33:12,300 --> 00:33:14,360 板の隙間から下へ落ちた 724 00:33:18,360 --> 00:33:19,160 先生は 725 00:33:19,580 --> 00:33:20,760 塩ガスの上に 726 00:33:21,480 --> 00:33:22,820 エコ帯をすめてから 727 00:33:23,660 --> 00:33:26,000 眼鏡の膜になったのに気がついたとみえて 728 00:33:28,860 --> 00:33:29,620 私はすぐ 729 00:33:30,400 --> 00:33:31,480 腰掛けの下へ 730 00:33:31,900 --> 00:33:33,260 首と手を突っ込んで 731 00:33:33,940 --> 00:33:35,320 眼鏡を拾い出した 732 00:33:37,980 --> 00:33:38,780 先生は 733 00:33:39,520 --> 00:33:40,660 ありがとうと言って 734 00:33:41,060 --> 00:33:43,340 それを私の手から受け取った 735 00:33:46,740 --> 00:33:48,160 次の日私は 736 00:33:48,760 --> 00:33:50,460 先生の後に続いて 737 00:33:51,600 --> 00:33:52,680 海に飛び込んだ 738 00:33:55,420 --> 00:33:58,040 そうして先生と一緒の方角に 739 00:33:58,060 --> 00:33:59,140 泳いでいった 740 00:34:04,500 --> 00:34:05,640 青空の色が 741 00:34:05,900 --> 00:34:06,920 ギラギラと 742 00:34:07,680 --> 00:34:09,060 目を緩むように 743 00:34:09,780 --> 00:34:11,380 鋭烈な色を 744 00:34:11,380 --> 00:34:13,080 私の顔に投げつけた 745 00:34:15,380 --> 00:34:16,219 愉快ですね 746 00:34:17,980 --> 00:34:20,560 と私は大きな声を出した 747 00:34:23,159 --> 00:34:24,020 しばらくして 748 00:34:25,040 --> 00:34:26,850 海の中で起き上がるように 749 00:34:27,840 --> 00:34:29,860 姿勢を改めた先生は 750 00:34:31,480 --> 00:34:32,739 もう帰りませんか 751 00:34:33,580 --> 00:34:34,340 と言って 752 00:34:35,219 --> 00:34:36,760 私を促した 753 00:34:39,780 --> 00:34:41,420 比較的強い体質を 754 00:34:41,420 --> 00:34:42,620 持った私は 755 00:34:44,699 --> 00:34:46,300 もっと海の中で 756 00:34:46,300 --> 00:34:47,860 遊んでいたかった 757 00:34:49,239 --> 00:34:50,580 しかし 758 00:34:51,170 --> 00:34:53,100 先生から呼ばれたとき 759 00:34:55,159 --> 00:34:56,320 私はすぐ 760 00:34:56,620 --> 00:34:58,340 ええ帰りましょう 761 00:34:58,340 --> 00:35:00,700 と心よく答えた 762 00:35:01,940 --> 00:35:05,040 私はこれから先生と 763 00:35:05,040 --> 00:35:06,460 公園になった 764 00:35:10,180 --> 00:35:12,320 私は若かった 765 00:35:14,840 --> 00:35:15,320 けれども 766 00:35:16,180 --> 00:35:17,990 すべての人間に対して 767 00:35:19,800 --> 00:35:21,280 若いちが買う 768 00:35:21,330 --> 00:35:23,280 素直に働こうとは 769 00:35:24,080 --> 00:35:24,940 思わなかった 770 00:35:33,900 --> 00:35:36,080 なぜ先生に対してだけ 771 00:35:36,120 --> 00:35:37,800 こんな心持ちが起こるのか 772 00:35:37,800 --> 00:35:38,620 わからなかった 773 00:35:42,700 --> 00:35:43,640 それが 774 00:35:44,140 --> 00:35:46,400 先生の亡くなった本日になって 775 00:35:48,220 --> 00:35:49,800 初めてわかってきた 776 00:35:55,520 --> 00:35:56,920 先生は初めから 777 00:35:58,260 --> 00:35:59,820 私を嫌っていたのでは 778 00:35:59,820 --> 00:36:00,820 なかったのである 779 00:36:05,900 --> 00:36:06,840 先生が 780 00:36:07,740 --> 00:36:08,860 私に示した 781 00:36:13,180 --> 00:36:14,320 時々の 782 00:36:14,740 --> 00:36:16,760 そっけない挨拶や 783 00:36:19,680 --> 00:36:21,260 冷淡に見える動作は 784 00:36:23,460 --> 00:36:25,280 私を遠ざけようとする 785 00:36:26,720 --> 00:36:28,260 不快の表現では 786 00:36:28,260 --> 00:36:29,620 なかったのである 787 00:36:35,360 --> 00:36:38,140 痛ましい先生は 788 00:36:39,280 --> 00:36:42,160 自分に近づこうとする人間に 789 00:36:43,680 --> 00:36:46,310 近づくほどの価値のないものだから 790 00:36:47,200 --> 00:36:48,120 よせよよ 791 00:36:48,940 --> 00:36:51,050 警告を与えたのである 792 00:36:56,340 --> 00:36:58,080 人の懐かしみに 793 00:36:58,080 --> 00:37:00,000 応じない先生は 794 00:37:06,220 --> 00:37:08,160 人を軽蔑する前に 795 00:37:09,580 --> 00:37:10,760 まず自分を 796 00:37:10,940 --> 00:37:14,240 軽蔑しているものと見える私は 797 00:37:15,260 --> 00:37:15,800 なんだか 798 00:37:16,540 --> 00:37:17,720 卒の顔をして 799 00:37:18,860 --> 00:37:20,520 往来を歩き始めた 800 00:37:27,580 --> 00:37:28,800 物欲しそうに 801 00:37:28,820 --> 00:37:30,060 自分の部屋への行動を 802 00:37:30,060 --> 00:37:31,520 中を見渡した 803 00:37:35,400 --> 00:37:37,540 私の頭には再び 804 00:37:38,600 --> 00:37:39,780 先生の顔が 805 00:37:39,780 --> 00:37:41,200 浮いて出た 806 00:37:44,020 --> 00:37:48,520 ここではまた先生に会いたくなった 807 00:37:53,840 --> 00:37:54,800 初めて 808 00:37:55,480 --> 00:37:57,120 先生の家を訪ねた時 809 00:37:58,840 --> 00:38:00,840 先生は留守であった 810 00:38:03,720 --> 00:38:04,960 二度目に行ったのは 811 00:38:05,560 --> 00:38:08,180 次の日曜だと覚えている 812 00:38:10,620 --> 00:38:11,940 これと風呂から 813 00:38:12,020 --> 00:38:15,360 身につけずこのように感じられる 814 00:38:16,140 --> 00:38:17,780 いい日和であった 815 00:38:23,460 --> 00:38:24,380 遠い日も 816 00:38:24,560 --> 00:38:26,520 先生は留守であった 817 00:38:28,720 --> 00:38:30,460 鎌倉にいた時 818 00:38:32,260 --> 00:38:33,540 私は 819 00:38:34,440 --> 00:38:36,440 先生自身の口から 820 00:38:36,600 --> 00:38:41,840 いつでも大抵家にいるということを 821 00:38:42,280 --> 00:38:42,860 聞いた 822 00:38:44,860 --> 00:38:48,040 むしろ外出嫌いだということも 823 00:38:49,100 --> 00:38:49,620 聞いた 824 00:38:51,720 --> 00:38:52,580 二度来て 825 00:38:52,580 --> 00:38:53,700 二度とも 826 00:38:54,300 --> 00:38:55,940 会えなかった私は 827 00:38:57,380 --> 00:38:59,420 その言葉を思い出して 828 00:38:59,700 --> 00:39:01,580 わけもない不満を 829 00:39:01,580 --> 00:39:03,190 どこかに感じた 830 00:39:14,720 --> 00:39:15,980 私はすぐ 831 00:39:16,980 --> 00:39:17,860 玄関先を 832 00:39:17,860 --> 00:39:18,560 さらなかった 833 00:39:20,460 --> 00:39:21,640 下女の顔を見て 834 00:39:21,640 --> 00:39:23,400 少し躊躇して 835 00:39:23,650 --> 00:39:25,260 そこに立っていた 836 00:39:31,780 --> 00:39:33,800 すると奥さんらしい人が 837 00:39:33,860 --> 00:39:35,300 変わって出てきた 838 00:39:37,160 --> 00:39:39,240 美しい奥さんであった 839 00:39:42,460 --> 00:39:43,960 私はその人から 840 00:39:44,620 --> 00:39:45,440 丁寧に 841 00:39:46,360 --> 00:39:49,660 先生の出先を教えられた先生は 842 00:39:50,460 --> 00:39:52,240 正月その日になると 843 00:39:53,160 --> 00:39:54,360 雑誌がやの 844 00:39:54,360 --> 00:39:55,240 母子にある 845 00:39:57,280 --> 00:39:57,560 ある 846 00:39:58,440 --> 00:39:59,540 跡形穴を 847 00:40:00,620 --> 00:40:01,760 抜けに行く 848 00:40:06,060 --> 00:40:07,860 習慣なのだそうである 849 00:40:09,420 --> 00:40:11,060 たった今出たばかりで 850 00:40:12,620 --> 00:40:13,700 十分になるか 851 00:40:13,860 --> 00:40:15,140 ならないかでございます 852 00:40:16,860 --> 00:40:18,860 奥さんは気の毒そうに言ってくれた 853 00:40:23,120 --> 00:40:25,060 私はえしゃくして外へ出た 854 00:40:31,080 --> 00:40:31,740 にぎやかな 855 00:40:31,740 --> 00:40:32,860 街のほうへ 856 00:40:33,560 --> 00:40:34,660 一丁ほど歩く 857 00:40:35,200 --> 00:40:35,300 と 858 00:40:39,220 --> 00:40:40,920 私も散歩がてら 859 00:40:41,900 --> 00:40:43,160 雑誌側へ 860 00:40:44,040 --> 00:40:45,560 行ってみる気になった 861 00:40:49,280 --> 00:40:51,420 先生に会えるか 862 00:40:51,420 --> 00:40:52,620 会えないかという 863 00:40:52,770 --> 00:40:54,440 好奇心が覚えていた 864 00:40:57,700 --> 00:40:58,920 それですぐに 865 00:41:02,720 --> 00:41:03,400 目ぶらした 866 00:41:12,420 --> 00:41:13,780 向こうのほうで 867 00:41:14,700 --> 00:41:16,260 でこぼこの地面を鳴らして 868 00:41:17,800 --> 00:41:19,900 新墓地をつくっている男が 869 00:41:21,720 --> 00:41:22,940 桑の手を休めて 870 00:41:24,200 --> 00:41:25,700 私たちを見ていた 871 00:41:30,380 --> 00:41:32,660 私たちはそこから 872 00:41:33,800 --> 00:41:36,480 左へ切れてすぐに 873 00:41:37,020 --> 00:41:39,200 外へ出た 874 00:41:40,580 --> 00:41:42,320 お宅へお帰りですか 875 00:41:43,760 --> 00:41:46,400 別に寄るところもありませんから 876 00:41:48,500 --> 00:41:50,060 二人はまた黙って 877 00:41:51,260 --> 00:41:53,160 南のほうへ坂を降りた 878 00:41:57,480 --> 00:41:59,380 先生のお宅の墓地は 879 00:41:59,540 --> 00:42:01,160 あそこにあるんですか 880 00:42:01,960 --> 00:42:02,220 と 881 00:42:03,720 --> 00:42:05,000 私がまた口を 882 00:42:05,000 --> 00:42:06,240 聞き出した 883 00:42:07,780 --> 00:42:08,640 いいえ 884 00:42:11,910 --> 00:42:14,380 どなたかのお墓があるんですか 885 00:42:16,460 --> 00:42:17,860 ご親類のお墓ですか 886 00:42:19,780 --> 00:42:20,560 いいえ 887 00:42:23,420 --> 00:42:25,320 先生はこれ以外に 888 00:42:26,300 --> 00:42:27,400 何も答えなかった 889 00:42:29,540 --> 00:42:30,060 すると 890 00:42:30,620 --> 00:42:32,380 一丁ほど歩いたあとで 891 00:42:33,960 --> 00:42:34,980 先生がふうに 892 00:42:34,980 --> 00:42:36,240 そこへ戻ってきた 893 00:42:40,760 --> 00:42:41,600 あそこには 894 00:42:42,520 --> 00:42:45,080 私の友達の墓があるんです 895 00:42:49,680 --> 00:42:51,760 お参りなさるんですか 896 00:42:53,340 --> 00:42:53,840 そうです 897 00:42:56,940 --> 00:42:57,920 先生はその日 898 00:42:58,720 --> 00:43:00,460 これ以外を語らなかった 899 00:43:00,700 --> 00:43:03,680 お墓お参りでもいいから 900 00:43:04,220 --> 00:43:06,540 一緒に連れて行ってください 901 00:43:08,140 --> 00:43:11,570 私もお参りをしてますから 902 00:43:18,480 --> 00:43:20,740 実際私には 903 00:43:22,020 --> 00:43:24,820 母さんと三歩との区別が 904 00:43:24,860 --> 00:43:26,360 ほとんど無意味のように 905 00:43:26,360 --> 00:43:28,820 思われたのであ 906 00:43:31,880 --> 00:43:34,060 先生の眉が 907 00:43:34,880 --> 00:43:36,220 ちょっと曇った 908 00:43:41,220 --> 00:43:43,060 天のうちにも 909 00:43:43,560 --> 00:43:44,980 異様の光が出た 910 00:43:47,160 --> 00:43:47,580 それは 911 00:43:49,260 --> 00:43:50,060 迷惑とも 912 00:43:50,060 --> 00:43:51,600 太陽とも 913 00:43:52,440 --> 00:43:53,140 ルフとも 914 00:43:53,560 --> 00:43:54,720 片付けられない 915 00:43:56,580 --> 00:43:58,680 微かな不安らしいものであった 916 00:43:59,090 --> 00:44:01,380 あなたに話すこともできない 917 00:44:02,480 --> 00:44:04,200 ある理由があって 918 00:44:05,700 --> 00:44:06,820 人と一緒に 919 00:44:07,400 --> 00:44:09,080 あそこへ墓参りには 920 00:44:09,080 --> 00:44:10,940 行きたくないのです 921 00:44:13,200 --> 00:44:14,600 自分の妻さえ 922 00:44:14,610 --> 00:44:17,460 まだ連れて行ったことがないのです 923 00:44:17,760 --> 00:44:20,860 先生は突然私に向かって聞いた 924 00:44:24,720 --> 00:44:26,320 あなたは誰と 925 00:44:26,320 --> 00:44:28,980 私の両親の 926 00:44:28,980 --> 00:44:29,680 女の子と 927 00:44:29,680 --> 00:44:31,720 行くのですか 928 00:44:33,900 --> 00:44:34,920 何でですか 929 00:44:36,460 --> 00:44:37,680 そんな特別な 930 00:44:38,580 --> 00:44:39,680 意味はありません 931 00:44:41,160 --> 00:44:43,920 しかしお邪魔なんですか 932 00:44:45,680 --> 00:44:48,100 邪魔だとは言いません 933 00:44:49,700 --> 00:44:51,960 先生と同局の 934 00:44:52,520 --> 00:44:53,780 学生などには 935 00:44:54,660 --> 00:44:55,360 時たま 936 00:44:55,960 --> 00:44:58,380 座敷で増度する場合もあったが 937 00:45:01,660 --> 00:45:03,300 彼らのいずれも 938 00:45:05,180 --> 00:45:08,120 私ほど先生に親しみを持っていないように 939 00:45:08,120 --> 00:45:08,960 見受けられた 940 00:45:13,060 --> 00:45:15,260 私は寂しい人間です 941 00:45:17,560 --> 00:45:18,680 と先生が言った 942 00:45:27,620 --> 00:45:28,300 ゆきりり 943 00:45:28,300 --> 00:45:28,600 ゆきりりです 944 00:45:28,940 --> 00:45:30,460 よろしくお願いします 945 00:45:42,120 --> 00:45:43,140 古い話である 946 00:45:46,360 --> 00:45:47,440 僕は偶然 947 00:45:48,740 --> 00:45:49,920 それが明治13年 948 00:45:49,920 --> 00:45:51,880 の出来事だということを記憶している 949 00:45:52,740 --> 00:45:54,540 上城に下宿している者は 950 00:45:55,500 --> 00:45:57,320 大抵医科大学の学生ばかりで 951 00:45:58,980 --> 00:45:59,940 その他は大学の 952 00:45:59,940 --> 00:46:01,960 付属病院に通う患者などであった 953 00:46:03,780 --> 00:46:05,260 大抵どの下宿屋にも 954 00:46:05,840 --> 00:46:08,100 特に別に幅を利かせている客があるので 955 00:46:10,020 --> 00:46:11,100 そういう客は 956 00:46:11,360 --> 00:46:12,560 第一金回りが良く 957 00:46:14,240 --> 00:46:15,220 小費が利いていて 958 00:46:16,740 --> 00:46:18,000 おかみさんが 959 00:46:18,140 --> 00:46:19,420 箱ひばもんを 960 00:46:20,700 --> 00:46:22,320 控えて座っている前に 961 00:46:22,840 --> 00:46:23,900 廊下を通るときには 962 00:46:25,660 --> 00:46:27,640 きっとこう声をかける 963 00:46:31,480 --> 00:46:34,720 時々はその箱ひばちの向こう側にしゃがんで 964 00:46:35,420 --> 00:46:36,820 世間話の一つもする 965 00:46:39,760 --> 00:46:41,060 部屋で酒盛りをして 966 00:46:41,270 --> 00:46:44,200 わざわざ魚をこしらえたり何かして 967 00:46:45,460 --> 00:46:46,960 おかみさんに面倒を見させ 968 00:46:48,320 --> 00:46:50,120 わがままをするようでいて 969 00:46:50,800 --> 00:46:52,460 わがままをするようでいて実は 970 00:46:53,180 --> 00:46:53,720 茶葉に 971 00:46:54,740 --> 00:46:55,860 得のつくようにする 972 00:47:04,940 --> 00:47:07,960 この男は岡田という学生で 973 00:47:08,480 --> 00:47:10,660 僕より一学年若いのだから 974 00:47:11,420 --> 00:47:12,220 とにかくも 975 00:47:12,220 --> 00:47:14,080 卒業に手が届いていた 976 00:47:16,360 --> 00:47:18,360 岡田がどんな男だということを 977 00:47:18,360 --> 00:47:19,440 説明するには 978 00:47:20,480 --> 00:47:21,840 その手近な 979 00:47:21,840 --> 00:47:23,580 際立った性質から 980 00:47:24,280 --> 00:47:26,160 語り始めなくてはならない 981 00:47:28,420 --> 00:47:30,520 それは美なんだということである 982 00:47:32,760 --> 00:47:33,980 色の青い 983 00:47:34,840 --> 00:47:37,220 ひょろひょろした美なんではない 984 00:47:39,440 --> 00:47:40,880 血色がよくて 985 00:47:41,560 --> 00:47:43,420 体格ががっしりしていた 986 00:47:45,920 --> 00:47:47,760 僕はあんな顔の男を 987 00:47:47,760 --> 00:47:48,560 見たことが 988 00:47:49,220 --> 00:47:50,100 ほとんどない 989 00:47:52,660 --> 00:47:54,300 強いて求めれば 990 00:47:54,860 --> 00:47:56,900 だいぶあの頃から 991 00:47:57,520 --> 00:47:58,380 後になって 992 00:47:59,620 --> 00:48:01,340 僕は青年時代の 993 00:48:01,640 --> 00:48:04,100 川上美山と心やすくなった 994 00:48:06,380 --> 00:48:07,360 あのとうとう 995 00:48:08,180 --> 00:48:09,880 急遽に落ち入って 996 00:48:10,800 --> 00:48:11,800 悲惨の最後を 997 00:48:11,800 --> 00:48:13,760 遂げた文章の川上である 998 00:48:17,840 --> 00:48:19,680 あれの青年時代が 999 00:48:20,940 --> 00:48:22,400 ちょっと岡田に似ていた 1000 00:48:25,340 --> 00:48:26,280 もっとも 1001 00:48:26,720 --> 00:48:29,700 当時競争の選手になっていた岡田は 1002 00:48:30,980 --> 00:48:33,340 体格でははるかに川上なんずに 1003 00:48:33,340 --> 00:48:34,720 勝っていたのである 1004 00:48:37,780 --> 00:48:39,580 やるだけのことをきちんとやって 1005 00:48:41,260 --> 00:48:42,620 急の注意より 1006 00:48:43,380 --> 00:48:44,900 下には下らずに 1007 00:48:45,400 --> 00:48:46,180 進んできた 1008 00:48:47,780 --> 00:48:49,080 遊ぶ時間は 1009 00:48:49,080 --> 00:48:50,240 極まって遊ぶ 1010 00:48:51,820 --> 00:48:52,640 夕食後に 1011 00:48:52,640 --> 00:48:54,380 必ず散歩に出て 1012 00:48:54,900 --> 00:48:57,390 十時前へは間違いなく帰る 1013 00:49:00,180 --> 00:49:01,380 日曜日には 1014 00:49:01,480 --> 00:49:03,260 船を漕ぎに行くか 1015 00:49:03,900 --> 00:49:05,060 そうでいないときは 1016 00:49:05,060 --> 00:49:06,420 遠足をする 1017 00:49:07,740 --> 00:49:09,220 競争前に 1018 00:49:09,500 --> 00:49:11,240 選手仲間と向こう島に 1019 00:49:11,240 --> 00:49:12,580 泊まり込んでいるとか 1020 00:49:13,340 --> 00:49:14,280 初中休暇に 1021 00:49:14,280 --> 00:49:16,320 故郷に帰るとかのほかは 1022 00:49:17,100 --> 00:49:18,630 壁どなりの部屋に 1023 00:49:18,680 --> 00:49:20,880 主人のいる時刻と 1024 00:49:21,000 --> 00:49:23,000 留守になっている時間とは 1025 00:49:23,000 --> 00:49:23,980 狂いがない 1026 00:49:25,540 --> 00:49:27,070 岡田さんをごらんなさい 1027 00:49:27,640 --> 00:49:28,840 という言葉が 1028 00:49:29,740 --> 00:49:31,120 しわしわ岡美さんの 1029 00:49:31,120 --> 00:49:32,100 口から出る 1030 00:49:36,220 --> 00:49:37,440 どうせ僕は 1031 00:49:37,440 --> 00:49:39,180 岡田くんのような 1032 00:49:39,360 --> 00:49:41,340 わけにはいかないさと 1033 00:49:42,240 --> 00:49:43,380 先を越して 1034 00:49:43,380 --> 00:49:44,660 いう学生がある 1035 00:49:46,580 --> 00:49:47,880 核のごとくにして 1036 00:49:48,660 --> 00:49:49,900 岡田はいつとなく 1037 00:49:49,900 --> 00:49:51,580 上城の標準的 1038 00:49:51,580 --> 00:49:53,180 下宿人になったのである 1039 00:49:54,980 --> 00:49:56,160 中門を出てから 1040 00:49:56,160 --> 00:49:57,920 本郷通りを歩いて 1041 00:49:58,500 --> 00:50:00,480 泡餅の曲付けをしている 1042 00:50:00,480 --> 00:50:02,100 店の前を通って 1043 00:50:03,080 --> 00:50:05,460 神田明神の境内に入る 1044 00:50:06,920 --> 00:50:10,960 そのところまで目新しかった眼鏡橋を降りて 1045 00:50:11,980 --> 00:50:13,860 柳原の片側町を 1046 00:50:13,860 --> 00:50:14,840 少し歩く 1047 00:50:17,040 --> 00:50:19,280 それからおなり道へ戻って 1048 00:50:20,180 --> 00:50:22,140 狭い西側の横丁の 1049 00:50:22,140 --> 00:50:23,490 どれかをうがって 1050 00:50:24,360 --> 00:50:26,100 やはりから立寺の 1051 00:50:26,100 --> 00:50:27,060 前に出る 1052 00:50:28,560 --> 00:50:30,580 これが一つの道筋である 1053 00:50:32,600 --> 00:50:34,320 これより他の道筋は 1054 00:50:34,320 --> 00:50:35,540 めったに歩かない 1055 00:50:37,400 --> 00:50:39,120 この散歩の途中で 1056 00:50:39,480 --> 00:50:41,820 岡田が何をするのかというと 1057 00:50:42,420 --> 00:50:44,280 ちょいちょい古本屋の店を 1058 00:50:44,280 --> 00:50:46,640 覗いて歩くくらいのものであった 1059 00:50:47,020 --> 00:50:49,180 岡田が赤門へから出て 1060 00:50:49,580 --> 00:50:50,780 右へ曲がることの 1061 00:50:50,780 --> 00:50:52,060 めったにないのは 1062 00:50:53,020 --> 00:50:56,640 一体守川町は街幅も狭く 1063 00:50:57,380 --> 00:50:58,580 窮屈なところで 1064 00:50:58,580 --> 00:50:59,960 あったからでもあるが 1065 00:51:00,720 --> 00:51:02,580 当時古本屋が西側に 1066 00:51:02,580 --> 00:51:04,320 一軒しかなかったのも 1067 00:51:04,600 --> 00:51:06,140 一つの理由であった 1068 00:51:06,880 --> 00:51:08,360 人付き合いのあまり良くない 1069 00:51:08,360 --> 00:51:09,480 立ちであったから 1070 00:51:10,380 --> 00:51:12,800 学校の校内でよく会う人にでも 1071 00:51:13,240 --> 00:51:14,600 用事がなくなっては 1072 00:51:14,600 --> 00:51:15,440 話をしない 1073 00:51:16,340 --> 00:51:19,040 それが岡田と少し心やすくなったのは 1074 00:51:19,840 --> 00:51:20,620 古本屋が 1075 00:51:20,620 --> 00:51:22,200 仲立ちをしたのである 1076 00:51:24,040 --> 00:51:26,290 奥の散歩に歩く道筋は 1077 00:51:27,280 --> 00:51:28,240 岡田のように 1078 00:51:28,240 --> 00:51:30,040 極まってはいなかったが 1079 00:51:30,780 --> 00:51:31,920 足が達者で 1080 00:51:33,360 --> 00:51:34,300 重要に 1081 00:51:34,640 --> 00:51:36,720 本郷から下や 1082 00:51:36,740 --> 00:51:38,800 神田をかけて歩いて 1083 00:51:39,560 --> 00:51:40,960 古本屋があれば 1084 00:51:41,280 --> 00:51:42,560 足を止めてみる 1085 00:51:44,320 --> 00:51:45,620 そういう時に 1086 00:51:45,620 --> 00:51:46,620 たびたび 1087 00:51:46,620 --> 00:51:48,620 岡田を見せ先で落ち合う 1088 00:51:50,180 --> 00:51:51,820 よく古本屋で出 1089 00:51:52,600 --> 00:51:53,020 くは 1090 00:51:54,600 --> 00:51:59,200 ずじゃないかということをどっちから言い出したのが 1091 00:51:59,800 --> 00:52:02,180 親しげに物を言ったはじめである 1092 00:52:06,100 --> 00:52:06,300 2 1093 00:52:09,200 --> 00:52:12,580 その頃から無縁坂の南側は 1094 00:52:12,580 --> 00:52:14,380 岩崎の屋敷であったが 1095 00:52:15,300 --> 00:52:16,300 まだ今のよう 1096 00:52:18,360 --> 00:52:18,460 な 1097 00:52:21,420 --> 00:52:23,360 かかってはなかった 1098 00:52:24,920 --> 00:52:26,060 汚い石垣が 1099 00:52:26,060 --> 00:52:27,180 気付いてあって 1100 00:52:27,900 --> 00:52:30,260 焦げ蒸した石と石との間から 1101 00:52:31,180 --> 00:52:33,060 下や杉永が覗いていた 1102 00:52:34,540 --> 00:52:36,240 この石垣の上あたりは 1103 00:52:36,240 --> 00:52:37,160 平地だが 1104 00:52:37,740 --> 00:52:39,880 それとも小山のようにでも 1105 00:52:39,880 --> 00:52:41,040 なっているのか 1106 00:52:41,740 --> 00:52:43,400 石垣の上のところに 1107 00:52:44,580 --> 00:52:45,540 雑木が生えて 1108 00:52:45,540 --> 00:52:46,980 痛いほど生えて 1109 00:52:47,060 --> 00:52:49,880 育ちたいほど育っているのが 1110 00:52:51,200 --> 00:52:51,700 往来 1111 00:52:52,620 --> 00:52:53,940 根まで見えていて 1112 00:52:54,500 --> 00:52:56,260 その根に茂っている草も 1113 00:52:56,260 --> 00:52:58,400 滅多に枯られることができなかった 1114 00:53:00,200 --> 00:53:01,960 この話の出来事のあった 1115 00:53:01,960 --> 00:53:03,200 年の9月頃 1116 00:53:03,290 --> 00:53:05,960 岡沢郷里から帰って間もなく 1117 00:53:06,680 --> 00:53:09,000 夕食後に例の散歩に出て 1118 00:53:09,220 --> 00:53:11,840 下州の古典の古い建物に 1119 00:53:11,840 --> 00:53:13,980 仮に解剖室が置いてある 1120 00:53:13,980 --> 00:53:15,060 あたりを過ぎて 1121 00:53:15,700 --> 00:53:18,060 ぶらぶら無縁坂を降りかかると 1122 00:53:18,640 --> 00:53:20,700 偶然一人の湯帰りの女が 1123 00:53:21,580 --> 00:53:23,640 下野市建物の隣の 1124 00:53:23,940 --> 00:53:25,620 寂しい家に入るのを見た 1125 00:53:27,080 --> 00:53:29,660 もう時効がだいぶ明らしくなって 1126 00:53:30,540 --> 00:53:31,600 人が進みにも 1127 00:53:31,600 --> 00:53:33,240 出ぬ頃なので 1128 00:53:33,940 --> 00:53:35,460 一時人通りの絶えた 1129 00:53:35,460 --> 00:53:37,840 坂道へ岡沢が通りかかると 1130 00:53:38,500 --> 00:53:39,420 ちょうど今例の 1131 00:53:39,420 --> 00:53:40,700 寂しい家の 1132 00:53:41,100 --> 00:53:43,050 滑走路の前へ帰って 1133 00:53:43,920 --> 00:53:46,000 扉を開けようとしていた女が 1134 00:53:46,900 --> 00:53:48,920 岡沢の下駄の音を聞いて 1135 00:53:49,540 --> 00:53:51,540 ふいと滑走路に 1136 00:53:51,540 --> 00:53:52,840 触れた手を止めて 1137 00:53:52,900 --> 00:53:55,240 振り返って岡沢との顔を 1138 00:53:55,340 --> 00:53:56,640 見合わせたのである 1139 00:53:57,560 --> 00:53:59,100 今までネズミ色の 1140 00:53:59,100 --> 00:54:01,300 闇に閉ざされていた背景から 1141 00:54:02,160 --> 00:54:03,300 白い顔が起き出した 1142 00:54:05,620 --> 00:54:07,260 しかもその顔が 1143 00:54:07,640 --> 00:54:08,400 岡沢を見て 1144 00:54:08,400 --> 00:54:10,260 微笑んでいるのである 1145 00:54:12,360 --> 00:54:15,020 それからは岡沢が散歩に出て 1146 00:54:15,520 --> 00:54:17,600 この家の前を通る度に 1147 00:54:18,260 --> 00:54:19,900 女の顔を見ぬことは 1148 00:54:20,020 --> 00:54:20,740 ほとんどない 1149 00:54:23,200 --> 00:54:25,220 岡沢の空想の量分に 1150 00:54:25,560 --> 00:54:26,860 折々この女が 1151 00:54:26,860 --> 00:54:28,200 侵入してきて 1152 00:54:28,540 --> 00:54:31,480 次第にわが物顔に立ち振る舞うようになる 1153 00:54:33,360 --> 00:54:35,560 女は自分の通るのを 1154 00:54:35,560 --> 00:54:36,700 待っているのだろうか 1155 00:54:37,960 --> 00:54:39,380 それとも何の意味もなく 1156 00:54:39,380 --> 00:54:40,740 外を見ているので 1157 00:54:41,560 --> 00:54:42,900 偶然自分と顔を 1158 00:54:42,900 --> 00:54:44,860 合わせることになるのだろうかと 1159 00:54:44,870 --> 00:54:46,260 いう疑問が起こる 1160 00:54:47,500 --> 00:54:50,960 そこで湯帰りの女の見た日を 1161 00:54:50,960 --> 00:54:52,720 前に遡って 1162 00:54:53,540 --> 00:54:54,700 あの家の窓から 1163 00:54:54,700 --> 00:54:57,220 女が顔を出していたことがあったか 1164 00:54:57,940 --> 00:54:58,880 どうかと思って 1165 00:54:58,880 --> 00:55:00,060 考えてみるか 1166 00:55:01,000 --> 00:55:01,800 無縁坂 1167 00:55:02,320 --> 00:55:04,100 の片川町で 1168 00:55:04,600 --> 00:55:05,800 一番騒がしい 1169 00:55:05,800 --> 00:55:08,200 仕立て者氏の家の隣は 1170 00:55:08,740 --> 00:55:10,780 いつもきれいに掃除をしてある 1171 00:55:10,900 --> 00:55:12,880 寂しい家であったと 1172 00:55:12,880 --> 00:55:14,900 いう記念の外には 1173 00:55:15,380 --> 00:55:16,420 何にもない 1174 00:55:17,860 --> 00:55:19,800 どんな人が住んでいるだろうかと 1175 00:55:19,800 --> 00:55:20,800 疑ったことは 1176 00:55:20,800 --> 00:55:22,180 確かにあるようだが 1177 00:55:23,220 --> 00:55:25,520 それさえ何とも解決がつかなかった 1178 00:55:27,080 --> 00:55:28,600 どうしてもあの窓は 1179 00:55:29,060 --> 00:55:31,040 いつも障子が閉まっていたり 1180 00:55:31,620 --> 00:55:33,420 すだれが降りていたりして 1181 00:55:34,340 --> 00:55:36,860 その奥はひっそりしていたようである 1182 00:55:38,620 --> 00:55:39,740 そうしてみると 1183 00:55:40,120 --> 00:55:42,880 あの女は近頃外に気をつけて 1184 00:55:43,680 --> 00:55:45,160 窓を開けて自分の 1185 00:55:46,640 --> 00:55:49,180 通るのを待っていることになったらしいと 1186 00:55:51,440 --> 00:55:53,460 岡田はとうとう判断した 1187 00:55:56,440 --> 00:55:57,280 通るたびに 1188 00:55:57,280 --> 00:55:58,460 顔を見合わせて 1189 00:55:59,360 --> 00:56:00,340 その間には 1190 00:56:01,000 --> 00:56:02,940 こんなことを思っているうちに 1191 00:56:02,940 --> 00:56:05,240 岡田は次第に窓の女に 1192 00:56:05,240 --> 00:56:06,300 親しくなって 1193 00:56:06,940 --> 00:56:09,120 二週間も経ったころで会ったが 1194 00:56:09,980 --> 00:56:11,240 ある夕方例の 1195 00:56:11,240 --> 00:56:12,820 窓の前へ通るとき 1196 00:56:13,640 --> 00:56:15,860 無意識に棒を脱いで礼をした 1197 00:56:17,580 --> 00:56:21,560 そのときおのじろい女の顔がさっと赤く染まって 1198 00:56:22,200 --> 00:56:23,800 寂しい微笑みの顔が 1199 00:56:23,800 --> 00:56:25,380 華やかな笑顔になった 1200 00:56:27,080 --> 00:56:29,580 それからは岡田は極まって 1201 00:56:29,920 --> 00:56:31,920 窓の女に礼をして通る 1202 00:56:39,380 --> 00:56:42,680 長い間自分では全然 1203 00:56:42,680 --> 00:56:45,420 安心することができることであった 1204 00:56:46,520 --> 00:56:49,060 それで窓の前から 1205 00:56:50,140 --> 00:56:51,980 女性が出入りされている 1206 00:56:52,080 --> 00:56:53,960 顔を持っていたが 1207 00:56:54,580 --> 00:56:56,840 そういう機会がなかったので 1208 00:56:57,480 --> 00:56:59,240 何よりも恐怖になった 1209 00:57:01,340 --> 00:57:03,440 そうし始めてから 1210 00:57:04,480 --> 00:57:06,160 熱心になり 1211 00:57:06,230 --> 00:57:07,620 仲間にもされて 1212 00:57:07,620 --> 00:57:09,980 選手になるほどの進歩をしたのは 1213 00:57:10,600 --> 00:57:12,600 岡田のこの一面の意思が 1214 00:57:12,600 --> 00:57:14,020 発展したのであった 1215 00:57:16,120 --> 00:57:18,740 岡田は窓の女に 1216 00:57:18,740 --> 00:57:20,820 委釈をするようになってから 1217 00:57:20,820 --> 00:57:22,900 よほど親しくなっても 1218 00:57:22,940 --> 00:57:24,800 その女の身の上を 1219 00:57:24,800 --> 00:57:26,800 探ってみようともしなかった 1220 00:57:28,120 --> 00:57:30,120 無論家への様子や 1221 00:57:30,120 --> 00:57:31,900 女の身なりで 1222 00:57:31,900 --> 00:57:33,940 かっこいいものだろうとは察した 1223 00:57:36,700 --> 00:57:40,220 しかし別段それを不快にも思わない 1224 00:57:41,240 --> 00:57:42,440 名も知らぬが 1225 00:57:42,440 --> 00:57:44,220 強いて知ろうともしない 1226 00:57:45,420 --> 00:57:46,820 表札を見たら 1227 00:57:47,240 --> 00:57:48,460 名がわかるだろうと 1228 00:57:48,460 --> 00:57:49,900 思ったこともあるが 1229 00:57:50,380 --> 00:57:52,100 窓に女のいるときは 1230 00:57:52,100 --> 00:57:53,460 女に遠慮する 1231 00:57:55,300 --> 00:57:56,780 そうでないときは 1232 00:57:56,780 --> 00:57:58,040 近所の人や 1233 00:57:58,090 --> 00:58:00,680 往来の人の一目をはど 1234 00:58:02,840 --> 00:58:03,640 とうとう 1235 00:58:04,000 --> 00:58:05,680 日差しの陰になっている 1236 00:58:05,680 --> 00:58:07,340 小さき木札に 1237 00:58:07,340 --> 00:58:09,180 どんな字が書いているか 1238 00:58:09,180 --> 00:58:10,740 見ずにいたのである 1239 00:58:14,760 --> 00:58:17,080 折々見たことのある女である 1240 00:58:18,940 --> 00:58:19,940 土ぶ板の 1241 00:58:19,970 --> 00:58:21,760 いつも壊れ果てている 1242 00:58:21,760 --> 00:58:22,480 あたりに 1243 00:58:23,060 --> 00:58:25,120 年中戸が半分閉めてある 1244 00:58:25,540 --> 00:58:27,260 薄暗い家があって 1245 00:58:27,260 --> 00:58:30,180 夜その前を通ってみれば 1246 00:58:30,560 --> 00:58:31,760 軒下に車に 1247 00:58:31,760 --> 00:58:34,120 ついた屋台が引き込んであるので 1248 00:58:35,120 --> 00:58:36,060 そうでなくても 1249 00:58:36,060 --> 00:58:37,300 狭い路地を 1250 00:58:37,580 --> 00:58:38,940 体を斜めにして 1251 00:58:38,940 --> 00:58:40,580 通らなくてはならない 1252 00:58:42,660 --> 00:58:44,500 貧しそうな家には水 1253 00:58:45,240 --> 00:58:47,910 この娘がいつも身綺麗にしていて 1254 00:58:48,460 --> 00:58:50,200 着物は小さっぱりとした 1255 00:58:50,200 --> 00:58:51,500 ものを着ていた 1256 00:58:52,520 --> 00:58:53,680 戸口にいても 1257 00:58:53,730 --> 00:58:55,240 人が通るとすぐ 1258 00:58:55,240 --> 00:58:57,880 薄暗い家の中へ引っ込んでしまう 1259 00:58:58,800 --> 00:59:00,680 当時の流行語でいうと 1260 00:59:01,320 --> 00:59:02,380 開花というものが 1261 00:59:02,380 --> 00:59:04,720 襲ってきたのか 1262 00:59:05,200 --> 00:59:06,340 半分壊れて 1263 00:59:06,340 --> 00:59:08,740 半分跳ね返っている 1264 00:59:08,740 --> 00:59:11,000 土ぶ板が張り替えられたり 1265 00:59:11,000 --> 00:59:14,700 入口の模様替えができて新しい 1266 00:59:15,740 --> 00:59:17,900 指導が立てられたりした 1267 00:59:19,080 --> 00:59:21,680 ある時入口に靴の脱いでいる 1268 00:59:21,680 --> 00:59:23,340 あるのを見た 1269 00:59:23,380 --> 00:59:25,280 それから間もなく 1270 00:59:25,280 --> 00:59:27,600 この家の戸口に 1271 00:59:27,750 --> 00:59:31,340 新しい表札が打たれたのを見ると 1272 00:59:31,780 --> 00:59:33,360 巡査何の何がしと 1273 00:59:33,360 --> 00:59:34,460 書いてあった 1274 00:59:35,660 --> 00:59:37,740 製造は松永町から 1275 00:59:37,740 --> 00:59:39,660 中岡町町へかけて 1276 00:59:40,380 --> 00:59:42,540 いろいろな買い物をして回る 1277 00:59:42,540 --> 00:59:44,920 間にまた探る 1278 00:59:44,920 --> 00:59:46,380 ともなしに 1279 00:59:46,640 --> 00:59:49,120 飴屋の爺さんの家へ 1280 00:59:49,120 --> 00:59:50,940 向こう入りのあったことを 1281 00:59:50,940 --> 00:59:51,840 確かめた 1282 00:59:53,220 --> 00:59:54,940 表札にあった巡査が 1283 00:59:54,940 --> 00:59:56,520 その向こうなのである 1284 00:59:57,880 --> 00:59:59,800 お玉を目の玉よりも 1285 00:59:59,800 --> 01:00:01,100 大切にしていた 1286 01:00:01,100 --> 01:00:04,220 爺さんは怖い顔のお巡りさんに 1287 01:00:04,220 --> 01:00:05,680 娘を渡すのを 1288 01:00:06,140 --> 01:00:08,940 天狗にでもされるように思い 1289 01:00:08,940 --> 01:00:10,320 その向子殿が 1290 01:00:10,320 --> 01:00:13,100 自分の家へ入り込んでくるのを 1291 01:00:13,340 --> 01:00:15,580 この上もなく窮屈に思って 1292 01:00:16,540 --> 01:00:18,160 平静心やすくする 1293 01:00:18,160 --> 01:00:20,400 誰かに相談したが 1294 01:00:21,060 --> 01:00:23,120 一人も断ってしまえと 1295 01:00:23,120 --> 01:00:24,960 はっきり言ってくれる 1296 01:00:24,960 --> 01:00:26,580 ものがなかった 1297 01:00:27,560 --> 01:00:29,340 それを見たことが 1298 01:00:30,560 --> 01:00:32,300 こっちとらが 1299 01:00:32,300 --> 01:00:35,300 いいところへ世話をしようと言うのに 1300 01:00:35,780 --> 01:00:36,980 一人娘だから 1301 01:00:36,980 --> 01:00:40,480 出されぬのなのと 1302 01:00:40,480 --> 01:00:42,660 面倒なことを言っていて 1303 01:00:43,100 --> 01:00:46,680 とうとうそんなことを二回 1304 01:00:47,660 --> 01:00:49,340 娘さんが来るようになった 1305 01:00:49,340 --> 01:00:50,580 というものもある 1306 01:00:51,600 --> 01:00:52,920 お前方の方で 1307 01:00:52,920 --> 01:00:53,840 嫌なのなら 1308 01:00:53,840 --> 01:00:55,660 遠いところへでも 1309 01:00:55,660 --> 01:00:58,100 越すより他あるまいか 1310 01:00:58,820 --> 01:01:00,460 相手がお巡りさんで 1311 01:01:00,460 --> 01:01:02,400 見るとすぐに 1312 01:01:02,400 --> 01:01:04,600 どこへ越したということを 1313 01:01:04,600 --> 01:01:06,640 調べてその先へ 1314 01:01:06,640 --> 01:01:07,900 駆け合う 1315 01:01:09,000 --> 01:01:12,060 だろうからどうも逃げ押せることは 1316 01:01:12,060 --> 01:01:14,920 できまいとなんすように 1317 01:01:16,560 --> 01:01:17,800 いうものもある 1318 01:01:18,740 --> 01:01:20,220 中にも一番 1319 01:01:20,220 --> 01:01:23,700 わかりのいいという 1320 01:01:26,520 --> 01:01:27,740 評判のおかみさんの 1321 01:01:27,740 --> 01:01:28,700 話がこうだ 1322 01:01:29,860 --> 01:01:32,060 あの子はあんないい気量で 1323 01:01:32,060 --> 01:01:34,240 お師匠さんも芸ができると 1324 01:01:34,240 --> 01:01:35,900 言って褒めておるだから 1325 01:01:36,070 --> 01:01:38,500 早く芸者の下仕込みを 1326 01:01:38,500 --> 01:01:39,160 お出しと 1327 01:01:39,720 --> 01:01:42,240 私がそう言ったじゃありませんか 1328 01:01:43,540 --> 01:01:44,300 一人ものの 1329 01:01:44,300 --> 01:01:46,200 お巡りさんと来た日は 1330 01:01:46,220 --> 01:01:48,540 一軒一軒見てまわるのだから 1331 01:01:48,540 --> 01:01:50,860 小柄のいいの 1332 01:01:50,860 --> 01:01:52,340 家に置くと 1333 01:01:52,340 --> 01:01:54,200 嫌おうなしに 1334 01:01:54,200 --> 01:01:57,080 連れて行ってしまいなさる 1335 01:01:57,900 --> 01:01:58,900 どうもそういう 1336 01:01:58,900 --> 01:02:00,900 方に見込まれたのは 1337 01:02:01,030 --> 01:02:02,820 不運だと諦めるより 1338 01:02:02,820 --> 01:02:04,320 しかたがないね 1339 01:02:04,320 --> 01:02:06,960 というようなことを言ったそうだ 1340 01:02:10,880 --> 01:02:13,860 さっさと引っ越すのだというのである 1341 01:02:15,360 --> 01:02:16,620 ばあさんはそれが 1342 01:02:16,620 --> 01:02:17,700 嫌でならぬので 1343 01:02:17,700 --> 01:02:20,480 知らぬ人にも夫の壁を 1344 01:02:20,480 --> 01:02:24,340 訴訟するこの家なんぞもまだこんなに 1345 01:02:24,340 --> 01:02:25,440 きれいなのに 1346 01:02:25,520 --> 01:02:27,640 もうゴスと 1347 01:02:29,060 --> 01:02:30,920 ございますよと言って 1348 01:02:31,480 --> 01:02:33,560 家中を細かに見せてくれた 1349 01:02:33,790 --> 01:02:35,460 どこからどこまで 1350 01:02:35,560 --> 01:02:38,680 かなりきれいに掃除がしてある 1351 01:02:39,440 --> 01:02:41,480 製造はちょっと 1352 01:02:42,460 --> 01:02:43,280 どうも 1353 01:02:43,960 --> 01:02:45,660 しききんてやちん 1354 01:02:45,660 --> 01:02:48,220 とのさはいのなとを 1355 01:02:48,520 --> 01:02:49,760 手帳に書き 1356 01:02:49,760 --> 01:02:50,980 とめて出た 1357 01:02:51,300 --> 01:02:53,540 いまひとつは無縁坂の 1358 01:02:53,540 --> 01:02:54,920 中ほどにある 1359 01:02:54,920 --> 01:02:56,140 小家である 1360 01:02:57,620 --> 01:02:58,860 それは普段も 1361 01:02:58,860 --> 01:03:00,800 何も出ていなかったが 1362 01:03:00,810 --> 01:03:03,180 売りに出たのを聞いて 1363 01:03:03,180 --> 01:03:04,560 見に行った 1364 01:03:05,280 --> 01:03:07,720 着物なんぞはどうでもしてやる 1365 01:03:07,830 --> 01:03:11,840 待てよばかな手にを使ってはならないぞ 1366 01:03:11,840 --> 01:03:13,440 土流れになって 1367 01:03:13,440 --> 01:03:15,200 立派なものがある 1368 01:03:18,460 --> 01:03:19,800 そこで清掃には 1369 01:03:19,800 --> 01:03:21,660 この他にこれという 1370 01:03:21,660 --> 01:03:22,900 道楽がない 1371 01:03:24,020 --> 01:03:25,440 減少日なんぞに 1372 01:03:25,440 --> 01:03:27,350 かかり合ったこともなければ 1373 01:03:27,700 --> 01:03:29,860 料理屋を飲んで歩いたこともない 1374 01:03:31,760 --> 01:03:34,000 お玉さんのばかりならいいが 1375 01:03:34,000 --> 01:03:36,060 チーさんの支度までして 1376 01:03:36,060 --> 01:03:38,200 やらなくてはならないことになった 1377 01:03:39,480 --> 01:03:39,900 これは 1378 01:03:40,480 --> 01:03:42,540 これには中に居たって 1379 01:03:42,540 --> 01:03:45,300 口をきいたばあさんも 1380 01:03:46,120 --> 01:03:46,780 スコール 1381 01:03:47,560 --> 01:03:48,260 切るし 1382 01:03:49,700 --> 01:03:50,560 だが 1383 01:03:51,240 --> 01:03:52,360 チーさんの 1384 01:03:52,360 --> 01:03:53,840 言うことは 1385 01:03:53,840 --> 01:03:56,620 娘が一文にもなく同意するので 1386 01:03:56,620 --> 01:03:57,920 それを強いて 1387 01:03:57,920 --> 01:04:00,780 抑えようとすると 1388 01:04:00,780 --> 01:04:02,100 根本的に 1389 01:04:02,100 --> 01:04:04,380 断端が破裂しないにも限らぬ 1390 01:04:04,380 --> 01:04:06,280 という状況になったから 1391 01:04:06,280 --> 01:04:07,320 仕方がない 1392 01:04:07,320 --> 01:04:09,620 チーさんの申し分は 1393 01:04:09,620 --> 01:04:11,040 ずっとこうであった 1394 01:04:11,110 --> 01:04:13,220 お玉は私の大事な 1395 01:04:13,220 --> 01:04:14,200 一人娘で 1396 01:04:14,270 --> 01:04:17,200 それもよその一人娘とは違って 1397 01:04:17,200 --> 01:04:19,440 私の身寄り 1398 01:04:19,440 --> 01:04:23,540 というものはあれより他に一人もない 1399 01:04:24,380 --> 01:04:27,620 私は亡くなった女房一人を頼りにして 1400 01:04:27,620 --> 01:04:29,040 寂しい生涯を 1401 01:04:29,040 --> 01:04:30,180 送ったものだが 1402 01:04:30,460 --> 01:04:33,180 その女房が三十を越してう 1403 01:04:34,580 --> 01:04:36,880 いさんでお玉を産んでおいて 1404 01:04:36,970 --> 01:04:38,960 とうとうそれがやぶつきで 1405 01:04:38,960 --> 01:04:40,660 亡くなった 1406 01:04:45,600 --> 01:04:46,980 育っていると 1407 01:04:46,980 --> 01:04:49,160 やっと四月ばかりになった時 1408 01:04:49,160 --> 01:04:50,840 江戸中に流行った 1409 01:04:50,840 --> 01:04:51,980 ハシカになって 1410 01:04:51,980 --> 01:04:54,040 お医者が見切ってしまったの 1411 01:04:54,110 --> 01:04:57,320 私は商売も何も投げ出して 1412 01:04:57,320 --> 01:05:00,520 逮捕してやっと命を取り留めた 1413 01:05:01,680 --> 01:05:04,180 世間は物騒な最中で 1414 01:05:04,180 --> 01:05:08,880 愛愛様がお殺されになって 1415 01:05:09,840 --> 01:05:13,640 二年目七脱ぎで西洋人が 1416 01:05:13,640 --> 01:05:15,340 斬られたという年であった 1417 01:05:15,340 --> 01:05:17,740 それからというものは 1418 01:05:17,920 --> 01:05:20,960 見せも何もなくしてしまった私が 1419 01:05:21,800 --> 01:05:22,360 何 1420 01:05:26,200 --> 01:05:28,960 死んでしまうかと思ったの 1421 01:05:28,960 --> 01:05:30,700 小さい手で 1422 01:05:30,700 --> 01:05:32,200 私の胸を 1423 01:05:32,700 --> 01:05:36,760 大きい目で 1424 01:05:38,680 --> 01:05:41,140 私の顔を見て笑う 1425 01:05:41,400 --> 01:05:42,820 可愛いお玉を 1426 01:05:43,380 --> 01:05:46,740 一緒に殺す気にならない 1427 01:05:46,740 --> 01:05:48,740 ばかりにできない 1428 01:05:48,740 --> 01:05:49,700 我慢をして 1429 01:05:50,820 --> 01:05:53,100 一日一日 1430 01:05:55,980 --> 01:05:57,600 命を繋いで 1431 01:06:02,560 --> 01:06:03,560 私はこれまでにして 1432 01:06:03,560 --> 01:06:05,140 動けた頭を 1433 01:06:05,140 --> 01:06:05,960 見せれば 1434 01:06:05,960 --> 01:06:06,980 この少女やら 1435 01:06:06,980 --> 01:06:09,820 両手で女物質の子供を 1436 01:06:09,820 --> 01:06:11,560 慰めようとして 1437 01:06:12,860 --> 01:06:13,980 私は 1438 01:06:14,600 --> 01:06:17,140 悔しくて悔しくてなかった 1439 01:06:19,600 --> 01:06:21,340 幸せの人には 1440 01:06:21,340 --> 01:06:23,560 いい娘だと言って 1441 01:06:23,560 --> 01:06:25,320 このままでいて 1442 01:06:25,330 --> 01:06:27,140 くださるあなただから 1443 01:06:27,300 --> 01:06:28,880 どうか借りな人に 1444 01:06:28,880 --> 01:06:30,140 やりたいと思っても 1445 01:06:30,140 --> 01:06:32,700 私という親があるので 1446 01:06:32,700 --> 01:06:34,820 何ももらうとは言ってくれない 1447 01:06:35,580 --> 01:06:37,400 それでも囲い物や 1448 01:06:39,660 --> 01:06:40,720 寝かけには 1449 01:06:41,380 --> 01:06:42,660 どんなことがあっても 1450 01:06:42,660 --> 01:06:44,420 出せないと思っていたが 1451 01:06:44,560 --> 01:06:47,700 固い旦那とお前さん方が 1452 01:06:47,700 --> 01:06:48,980 おっしゃってから 1453 01:06:48,980 --> 01:06:50,600 お玉も来年は 1454 01:06:50,600 --> 01:06:52,720 二十歳になるしあまりに 1455 01:06:55,400 --> 01:06:58,120 立たないうちにどうかして 1456 01:06:59,060 --> 01:07:00,100 やりたさに 1457 01:07:00,100 --> 01:07:01,300 とうとう私は 1458 01:07:01,800 --> 01:07:05,080 折れあったのだ 1459 01:07:06,160 --> 01:07:07,820 そうした大事なお玉を 1460 01:07:07,820 --> 01:07:08,880 あげるのだから 1461 01:07:10,780 --> 01:07:12,020 ぜひ私が 1462 01:07:12,020 --> 01:07:13,940 一緒に出て旦那に 1463 01:07:13,940 --> 01:07:16,080 お目にかからなくてはならぬ 1464 01:07:16,080 --> 01:07:17,420 と言うのである 1465 01:07:18,480 --> 01:07:21,280 この話を持ち込まれたとき 1466 01:07:21,400 --> 01:07:22,360 スエゾウが 1467 01:07:22,360 --> 01:07:25,600 自分の思惑の少し違ってきたのを 1468 01:07:25,600 --> 01:07:26,780 飽きたらず思った 1469 01:07:27,600 --> 01:07:28,720 それはお玉を 1470 01:07:28,720 --> 01:07:31,120 松原に連れてきてもらったら 1471 01:07:31,120 --> 01:07:33,000 世話をするばあさんをなる 1472 01:07:33,440 --> 01:07:35,200 だけ早く返してしまって 1473 01:07:35,200 --> 01:07:37,200 お玉と差し迎えになって 1474 01:07:37,200 --> 01:07:38,820 楽しもうと思った手が 1475 01:07:38,820 --> 01:07:40,580 外れそうになったからである 1476 01:07:41,340 --> 01:07:43,400 どうも父親が一緒に 1477 01:07:43,400 --> 01:07:44,360 来るとなると 1478 01:07:44,500 --> 01:07:47,540 意外に晴れがましいことになりそうである 1479 01:07:48,300 --> 01:07:49,740 スエゾウ自身も 1480 01:07:49,740 --> 01:07:51,580 一種の晴れがましい心を 1481 01:07:51,580 --> 01:07:52,660 持ち合しているが 1482 01:07:53,620 --> 01:07:55,660 それほど物堅い親子が 1483 01:07:55,660 --> 01:07:57,400 揃ってくるとなると 1484 01:07:57,500 --> 01:07:59,640 松原での初対面は 1485 01:07:59,640 --> 01:08:00,820 なんとなく向こうが 1486 01:08:00,820 --> 01:08:03,180 中途に検査する 1487 01:08:03,400 --> 01:08:05,520 というふうになりそうなので 1488 01:08:05,960 --> 01:08:07,840 その方角の変わった 1489 01:08:07,840 --> 01:08:09,170 晴れがましさは 1490 01:08:09,360 --> 01:08:10,860 スエゾウの念した 1491 01:08:11,420 --> 01:08:14,120 頭に一尺も 1492 01:08:14,120 --> 01:08:16,040 冷静浴びさせたのである 1493 01:08:16,540 --> 01:08:18,000 しかしスエゾウは 1494 01:08:18,000 --> 01:08:21,060 あかまで立派な実業家だという 1495 01:08:21,680 --> 01:08:22,859 触れ込みを 1496 01:08:25,359 --> 01:08:26,580 してはならぬ 1497 01:08:26,580 --> 01:08:27,979 と思っているので 1498 01:08:27,979 --> 01:08:29,500 先方へは 1499 01:08:33,020 --> 01:08:36,120 とうとう二人の支度を引き抜けた 1500 01:08:36,920 --> 01:08:38,000 それにはお玉を 1501 01:08:38,000 --> 01:08:39,340 手に入れた上では 1502 01:08:39,399 --> 01:08:41,939 どうせ親父の身の上も捨てては 1503 01:08:41,939 --> 01:08:43,240 置かれぬものだから 1504 01:08:43,240 --> 01:08:45,060 ただ後でするが 1505 01:08:45,060 --> 01:08:46,880 先になるにすぎぬという 1506 01:08:46,880 --> 01:08:48,460 あきらめも手伝って 1507 01:08:48,460 --> 01:08:51,080 スエゾウに決心させたのである 1508 01:08:53,939 --> 01:08:56,040 初めて座ったときは 1509 01:08:56,040 --> 01:08:58,100 少し熱いように思ったが 1510 01:08:58,100 --> 01:08:59,880 しばらくたつと 1511 01:09:00,160 --> 01:09:03,779 台所や便所のあたりを通って 1512 01:09:03,779 --> 01:09:05,220 いろいろなものが 1513 01:09:05,220 --> 01:09:07,960 かすかに帯びた風が 1514 01:09:07,960 --> 01:09:09,420 廊下の方から 1515 01:09:09,939 --> 01:09:11,720 追い追い吹いてきて 1516 01:09:11,720 --> 01:09:13,460 そばに序中の置いていた 1517 01:09:13,460 --> 01:09:15,520 汚れた内輪の 1518 01:09:15,520 --> 01:09:18,420 手に取るに及ばぬくらいであった 1519 01:09:19,140 --> 01:09:19,920 スエゾウは 1520 01:09:19,920 --> 01:09:21,939 床の間の柱に寄りかかって 1521 01:09:21,939 --> 01:09:23,720 煙草の煙を 1522 01:09:24,939 --> 01:09:26,569 に吹きつづく 1523 01:09:27,720 --> 01:09:29,720 苦しんできたのに 1524 01:09:30,500 --> 01:09:32,040 色の浅黒い 1525 01:09:32,040 --> 01:09:33,720 鋭い目に愛嬌のある 1526 01:09:33,720 --> 01:09:35,580 木造が上品に 1527 01:09:35,620 --> 01:09:37,600 目立たぬ好みの支度を 1528 01:09:37,600 --> 01:09:38,760 しているのを見て 1529 01:09:38,760 --> 01:09:40,899 捨てた命を拾ったように 1530 01:09:40,899 --> 01:09:41,939 思ってこれを 1531 01:09:41,939 --> 01:09:43,920 あせつなの満足を覚えた 1532 01:09:43,920 --> 01:09:46,600 スエゾウは爺さんに 1533 01:09:46,700 --> 01:09:48,740 ずっとあっちへお通りなすって 1534 01:09:48,740 --> 01:09:50,859 くださいと丁寧に言って 1535 01:09:50,859 --> 01:09:53,319 座敷の方を呼びさしながら 1536 01:09:53,319 --> 01:09:54,800 目をお玉さんの方へ 1537 01:09:54,800 --> 01:09:56,480 移してさーっと 1538 01:09:56,480 --> 01:10:00,700 促したそして二人を座敷へ入れて 1539 01:10:00,700 --> 01:10:03,280 置いて世話をする 1540 01:10:04,580 --> 01:10:06,940 お母さんを肩かげに 1541 01:10:06,940 --> 01:10:07,460 手を読んで 1542 01:10:07,460 --> 01:10:10,320 紙に包んだものを 1543 01:10:10,320 --> 01:10:12,840 手に握らせて 1544 01:10:12,840 --> 01:10:14,940 なにやらささや 1545 01:10:14,940 --> 01:10:18,020 いたお母さんは 1546 01:10:18,020 --> 01:10:19,920 おはぐを剥がした 1547 01:10:19,920 --> 01:10:22,420 あとの汚い歯を見せて 1548 01:10:23,100 --> 01:10:25,760 ああ真面目な人を 1549 01:10:25,760 --> 01:10:28,300 馬鹿にしたような笑いを 1550 01:10:28,960 --> 01:10:30,300 笑い合いをして 1551 01:10:30,820 --> 01:10:32,240 頭をむさんで 1552 01:10:34,600 --> 01:10:35,380 そしてその 1553 01:10:36,880 --> 01:10:38,600 引き返していった 1554 01:10:39,970 --> 01:10:41,020 座敷に 1555 01:10:43,160 --> 01:10:45,440 座敷に帰って 1556 01:10:47,200 --> 01:10:47,720 ああ 1557 01:10:48,240 --> 01:10:50,140 座敷に帰って 1558 01:10:50,140 --> 01:10:53,420 親子のものを遠慮して 1559 01:10:54,240 --> 01:10:56,120 入り口にひとかたまり 1560 01:10:56,120 --> 01:10:57,620 になっているのを見て 1561 01:10:58,240 --> 01:11:00,320 スエゾウは愛想をよく 1562 01:11:00,320 --> 01:11:01,720 咳をすすめさせて 1563 01:11:02,260 --> 01:11:04,160 待っていた女中に料理の 1564 01:11:04,160 --> 01:11:06,620 呪文をしたまもなく 1565 01:11:07,640 --> 01:11:11,100 まもなくお年をそっと 1566 01:11:11,820 --> 01:11:13,380 酒が出たので 1567 01:11:13,430 --> 01:11:16,140 ジェイフに杯をすすめて 1568 01:11:16,140 --> 01:11:17,880 物を言ってみると 1569 01:11:17,880 --> 01:11:19,000 物はさしさ 1570 01:11:20,380 --> 01:11:22,040 そう安心な暮らしを 1571 01:11:22,040 --> 01:11:23,360 しただけあって 1572 01:11:24,440 --> 01:11:26,360 あらかにみなりを 1573 01:11:26,360 --> 01:11:28,000 知られて座敷へ 1574 01:11:28,000 --> 01:11:30,220 通った人のようでなかった 1575 01:11:30,820 --> 01:11:33,480 最初はじいさんを邪魔にして 1576 01:11:33,480 --> 01:11:34,480 いらだたしく 1577 01:11:34,480 --> 01:11:38,080 いらだたしたような 1578 01:11:38,080 --> 01:11:39,560 心持ちになっていた 1579 01:11:39,560 --> 01:11:41,840 スエゾウも次第に感情を 1580 01:11:41,840 --> 01:11:42,920 誘惑させられて 1581 01:11:43,420 --> 01:11:45,080 全く予想しなかった 1582 01:11:45,620 --> 01:11:48,200 しんみりした話をすることになった 1583 01:11:48,760 --> 01:11:49,940 そしてスエゾウは 1584 01:11:49,940 --> 01:11:51,460 自分の持っている限りの 1585 01:11:51,460 --> 01:11:53,420 あらゆる善良な性質を 1586 01:11:53,420 --> 01:11:56,030 持っていらすことを務めながら 1587 01:11:56,080 --> 01:11:58,560 心の奥はおとなしい木立ての 1588 01:11:58,560 --> 01:12:00,360 お玉に信頼する根を 1589 01:12:00,360 --> 01:12:02,580 おこさしめるには 1590 01:12:02,580 --> 01:12:05,680 この上もない適当な 1591 01:12:07,280 --> 01:12:08,260 木ぐらいが 1592 01:12:08,260 --> 01:12:10,700 偶然に生じてきたのを喜んだ 1593 01:12:11,400 --> 01:12:14,000 料理が運ばれた頃には一座は 1594 01:12:14,000 --> 01:12:15,540 なんとなく一家のものが 1595 01:12:15,540 --> 01:12:17,240 湯煎に出ていて 1596 01:12:17,880 --> 01:12:20,400 料理屋に 1597 01:12:20,630 --> 01:12:22,000 立ち寄ったかと 1598 01:12:22,000 --> 01:12:24,120 思われるような様子になっていた 1599 01:12:35,700 --> 01:12:36,700 スエゾウは 1600 01:12:36,700 --> 01:12:37,820 自分の持っている 1601 01:12:38,430 --> 01:12:39,000 根をおこさしめるには 1602 01:12:39,040 --> 01:12:41,420 適当な木立ての 1603 01:12:41,430 --> 01:12:41,790 お玉に信頼する根を 1604 01:12:41,820 --> 01:12:42,080 湯煎に出ていて 1605 01:12:42,080 --> 01:12:42,140 料理屋に立ち寄ったかと 1606 01:12:42,140 --> 01:12:42,140 思われるような様子 1607 01:12:46,180 --> 01:12:50,040 になっていたスエゾウ 1608 01:12:53,880 --> 01:12:55,630 は自分の持っている 1609 01:13:20,080 --> 01:13:24,060 根をおこさしめるには 1610 01:13:52,760 --> 01:13:52,980 スエゾウは 1611 01:13:52,980 --> 01:13:53,060 お玉に信頼する根を 1612 01:13:53,060 --> 01:13:53,100 お玉に立ち寄ったかと 1613 01:13:53,100 --> 01:13:53,510 スエゾウは 1614 01:14:18,160 --> 01:14:19,220 ス 1615 01:14:20,140 --> 01:14:20,380 エゾ 1616 01:14:20,940 --> 01:14:22,220 ウはお玉にお玉に立ち寄ったかと 1617 01:14:22,940 --> 01:14:23,660 スエゾウは 1618 01:14:40,660 --> 01:14:40,900 司会者さん、ただしつき間違いに 気づ 1619 01:14:40,900 --> 01:14:41,300 かず、2日目の撮影を続けようとしています。 1620 01:14:41,300 --> 01:14:41,500 司会者さん、早速じゃあ撮影を始めましょうか。 1621 01:14:41,500 --> 01:14:48,580 撮影中の撮影のみが長い 1622 01:14:48,580 --> 01:14:48,660 のですが、 長くなってきたのはどうでしょうか? 1623 01:14:50,300 --> 01:14:52,940 1日終わって今、撤収中なんですけども、 1624 01:14:53,380 --> 01:14:55,100 撤収しながら柿してもらおうかな 1625 01:14:56,440 --> 01:14:57,610 と思っているんですけども、 1626 01:14:58,220 --> 01:15:00,760 完全にこっちはもうマグロみたいな感じで、 1627 01:15:01,870 --> 01:15:06,000 襲っちゃうくらいの感じでやって欲しいなと思うんですけども。 1628 01:15:06,000 --> 01:15:06,600 あ、私が襲うんです。 1629 01:15:06,760 --> 01:15:07,700 そう、もう30分くらいです。 1630 01:15:09,520 --> 01:15:09,780 いいですか? 1631 01:15:10,180 --> 01:15:10,320 はい。 1632 01:15:11,200 --> 01:15:11,720 じゃあお願いします。 1633 01:15:11,960 --> 01:15:12,120 はい。 1634 01:15:12,620 --> 01:15:12,920 どうぞ。 1635 01:15:31,080 --> 01:16:22,000 はい。 1636 01:16:24,780 --> 01:16:25,660 気持ちいいですね。 1637 01:16:26,940 --> 01:16:27,040 はい。 1638 01:16:40,380 --> 01:16:41,180 ちょっと水をちょうだい。 1639 01:16:41,320 --> 01:16:42,200 水をちょうだい。 1640 01:17:07,500 --> 01:17:08,340 はい。 1641 01:17:47,240 --> 01:17:47,440 水 1642 01:17:48,640 --> 01:17:48,640 をちょうだい。 1643 01:17:58,380 --> 01:17:58,620 はい。 1644 01:18:38,000 --> 01:18:38,980 出来た。 1645 01:18:39,880 --> 01:18:40,140 はい。 1646 01:18:40,300 --> 01:18:40,880 私も飲みます。 1647 01:18:42,400 --> 01:18:42,480 はい。 1648 01:18:44,400 --> 01:18:45,020 おいしいね。 1649 01:18:48,660 --> 01:18:48,760 はい。 1650 01:18:58,120 --> 01:19:00,050 気持ちいいですね。 1651 01:19:12,960 --> 01:19:13,420 ごめんなさい。 1652 01:19:13,900 --> 01:19:14,540 はい。 1653 01:19:34,440 --> 01:19:36,600 気持ちいいですね。 1654 01:19:46,280 --> 01:19:47,420 気持ちいい。 1655 01:19:47,420 --> 01:20:05,600 なんで? 1656 01:20:22,940 --> 01:20:42,220 気持ちいい。 1657 01:20:42,220 --> 01:20:43,380 ちょっと水をちょうだい。 1658 01:20:56,160 --> 01:20:57,000 はい。 1659 01:21:12,240 --> 01:21:30,460 ビビるって。 1660 01:21:31,020 --> 01:21:31,140 はい。 1661 01:21:31,600 --> 01:21:31,800 食べて。 1662 01:21:53,620 --> 01:21:54,880 ここで食べて。 1663 01:21:55,140 --> 01:21:55,920 ここで? 1664 01:21:58,560 --> 01:21:58,960 食べ 1665 01:21:59,480 --> 01:22:00,000 るよ。 1666 01:22:24,140 --> 01:22:38,140 ごめんなさい。 1667 01:23:03,100 --> 01:23:03,920 ご 1668 01:23:04,580 --> 01:23:06,980 めんなさい。 1669 01:23:18,320 --> 01:23:18,560 ああ、 1670 01:23:29,640 --> 01:23:31,000 もっときつく飲んで。 1671 01:23:37,520 --> 01:23:40,160 腰が止まれん。 1672 01:23:40,160 --> 01:23:40,700 気持ちいい。 1673 01:23:42,100 --> 01:23:42,860 ああ、イヤー。 1674 01:23:43,900 --> 01:23:47,400 腰が止まる。 1675 01:24:57,400 --> 01:24:57,980 ああ 1676 01:24:58,940 --> 01:24:59,420 ・・・ 1677 01:25:02,620 --> 01:25:04,800 気持ちいい・・・ 1678 01:25:28,000 --> 01:25:31,500 💐💀💩💥💫💥💩💥💫💪💜 1679 01:25:35,700 --> 01:25:37,100 ♡💬💙💪💀 1680 01:25:42,360 --> 01:25:42,920 💥💩💨💗💥💥💥…! 1681 01:25:42,920 --> 01:25:46,880 ああああああああ 4日 1682 01:25:51,730 --> 01:25:54,620 をああああああs 2 1683 01:25:54,620 --> 01:25:54,820 あーーーメア 1684 01:25:56,200 --> 01:25:57,260 ううん 1685 01:25:59,480 --> 01:26:01,080 ああああ 1686 01:26:01,760 --> 01:26:01,860 ああ 1687 01:26:02,460 --> 01:26:02,640 me 1688 01:26:03,460 --> 01:26:03,700 な 1689 01:26:06,060 --> 01:26:07,720 った ああああああ 1690 01:26:13,180 --> 01:26:14,700 ああああああ 1691 01:26:15,700 --> 01:26:21,420 ああああああああああああああ 1692 01:26:22,340 --> 01:26:26,440 あああああああああ 1693 01:26:27,460 --> 01:26:28,100 あああああああ 1694 01:26:29,090 --> 01:26:29,890 ああああああああああああああ 1695 01:26:31,080 --> 01:26:32,620 あああああああああああああああああ 1696 01:26:33,440 --> 01:26:36,560 あああああああああああ 1697 01:26:40,840 --> 01:26:40,940 あ 1698 01:28:11,440 --> 01:28:12,480 ああああ 1699 01:28:14,580 --> 01:28:16,420 あああ 1700 01:28:20,660 --> 01:28:21,360 ia 1701 01:28:22,180 --> 01:28:25,140 ああああああ 1702 01:28:27,040 --> 01:28:27,300 ん 1703 01:28:28,360 --> 01:28:28,520 あ 1704 01:28:30,140 --> 01:28:31,540 あああああ 1705 01:28:32,380 --> 01:28:32,540 ね 1706 01:28:34,600 --> 01:28:35,100 っん 1707 01:28:38,220 --> 01:28:38,880 nach 1708 01:28:39,480 --> 01:28:40,840 あって 1709 01:28:44,150 --> 01:28:51,520 ああああああああああ εあいっ 1710 01:28:53,640 --> 01:28:58,380 うん fuerを 1711 01:29:30,240 --> 01:29:30,340 じゃあ、 1712 01:29:31,480 --> 01:29:32,580 お疲れ様。 1713 01:29:33,340 --> 01:29:34,320 お願いします。 1714 01:29:57,720 --> 01:30:00,520 今、ホットエンターテイメントでは、もの 1715 01:30:00,520 --> 01:30:02,660 すごく人材が不足しているんですよ。 1716 01:30:03,180 --> 01:30:04,860 監督候補生だとか、 1717 01:30:06,240 --> 01:30:07,400 インターネット関係、 1718 01:30:08,680 --> 01:30:11,940 それとかそういう制作の段取りができる人や、 1719 01:30:12,760 --> 01:30:15,640 とにかくうちの会社は映像を作って 1720 01:30:15,640 --> 01:30:18,320 いる会社なんですけども、そういう新しいクリエイター、 1721 01:30:20,140 --> 01:30:22,500 そういう優秀なクリエイターが 1722 01:30:22,500 --> 01:30:24,380 ものすごく必要としているんですけども、 1723 01:30:25,500 --> 01:30:29,040 この業界でうちの場合は、 1724 01:30:30,360 --> 01:30:32,960 今のところ中堅ですけども、 1725 01:30:35,250 --> 01:30:37,580 やる気さえあれば稼げるので、 1726 01:30:38,880 --> 01:30:41,440 うちの会社は他のAV会社と違うところは、 1727 01:30:42,280 --> 01:30:44,940 スタッフはテレビ界の人間や映画界の人間、 1728 01:30:45,180 --> 01:30:48,300 監督もそういうAVを問わずに、 1729 01:30:49,880 --> 01:30:51,340 テレビやVシネマ、映画、 1730 01:30:51,460 --> 01:30:53,780 いろんな監督も集まっているので、 1731 01:30:54,460 --> 01:30:56,640 ただAVをやりたいという人以外にも、 1732 01:30:56,800 --> 01:31:01,000 映画の世界で活躍したいという人ならば、 1733 01:31:01,260 --> 01:31:05,020 一番の投入門というか、やりがいがあると思うんですよね。 1734 01:31:06,780 --> 01:31:09,880 今、ハローワークとかそういうところにも頼んでますけども、 1735 01:31:10,380 --> 01:31:13,480 ただ仕事がないんじゃなくて、バカ 1736 01:31:13,480 --> 01:31:15,320 が多いんですよ、すごいバカな連中が。 1737 01:31:15,860 --> 01:31:17,420 だからバカじゃなくて、 1738 01:31:17,940 --> 01:31:19,520 仕事できなくてもいいですからね。 1739 01:31:20,040 --> 01:31:23,440 やる気のある奴、稼ぎたいやる気のある奴、将 1740 01:31:23,440 --> 01:31:26,260 来にちゃんと夢を持っている奴に来てもらいたい。 1741 01:31:28,040 --> 01:31:31,400 この業界も3年もやっていれば、相当 1742 01:31:31,400 --> 01:31:33,840 手に触がついて稼げるようになるし、 1743 01:31:35,480 --> 01:31:37,040 ましてやうちみたいな、 1744 01:31:38,140 --> 01:31:40,280 他のメーカーは大体発売 1745 01:31:40,280 --> 01:31:42,600 だけしてますけど、うちは制作もしてますから、 1746 01:31:43,380 --> 01:31:45,980 月に10何本以上アダルトビデオ 1747 01:31:45,980 --> 01:31:48,180 も撮ってますし、一般作も撮っているので、 1748 01:31:49,100 --> 01:31:49,700 そういう部分で、 1749 01:31:50,640 --> 01:31:54,420 本当にやる気のある人は電話を欲しいんですよね。 1750 01:31:56,320 --> 01:32:02,520 電話をしてもらって、面接を受けて入ってもらいたいなと。 1751 01:32:03,920 --> 01:32:04,560 全国の 1752 01:32:05,880 --> 01:32:09,280 ビデオ並びDVDを見ている方に、ぜひ 1753 01:32:09,800 --> 01:32:12,160 うちで働いてみたいという人は、 1754 01:32:12,920 --> 01:32:15,700 本当は映画監督になるのは 1755 01:32:16,880 --> 01:32:17,620 才能じゃないですか。 1756 01:32:18,600 --> 01:32:20,300 執念と根性さえあれば、 1757 01:32:21,060 --> 01:32:24,000 映画監督にでも、AVの監督にでもなれます。 1758 01:32:25,480 --> 01:32:26,020 そういう、 1759 01:32:27,460 --> 01:32:31,400 俺やってやるぜみたいな奴がいたら、ぜひ電話してきてください。 1760 01:32:31,920 --> 01:32:32,300 お願いします。 1761 01:32:40,940 --> 01:32:42,760 中野駅から歩いて4分、 1762 01:32:43,560 --> 01:32:46,560 中野のディープな像にオープンした、アダ 1763 01:32:46,560 --> 01:32:49,140 ルトコンビニホットパワーズをご紹介します。 1764 01:32:50,260 --> 01:32:53,120 ホットパワーズは、新感覚のアダルトコンビニ。 1765 01:32:53,940 --> 01:32:56,460 明るい店内には、あなたをワクワク 1766 01:32:56,460 --> 01:32:58,100 ドキドキさせるものがいっぱいです。 1767 01:32:59,140 --> 01:33:01,280 ここでは、大人の癒しを売っています。 1768 01:33:03,060 --> 01:33:04,800 まずは、アダルトグッズの紹介です。 1769 01:33:05,580 --> 01:33:07,040 バイブやローターもちろん、 1770 01:33:07,600 --> 01:33:10,580 話題のオナホールグッズは充実の品揃えです。 1771 01:33:12,460 --> 01:33:14,100 一番人気のつぼみちゃんから、 1772 01:33:14,680 --> 01:33:16,700 話題の高級ホールさゆりまで、 1773 01:33:17,400 --> 01:33:19,460 各メーカーの人気グッズが 1774 01:33:20,080 --> 01:33:21,320 バッチリ揃っています。 1775 01:33:22,220 --> 01:33:24,220 もちろん、定番グッズの 1776 01:33:24,520 --> 01:33:26,420 SMグッズやレアモノもあります。 1777 01:33:27,300 --> 01:33:27,860 それから、 1778 01:33:31,000 --> 01:33:32,420 エッチな気分を向上さ 1779 01:33:32,440 --> 01:33:34,200 せるアロマグッズもありますよ。 1780 01:33:35,000 --> 01:33:38,140 これは、あなたの部屋にやってきた彼氏や彼女 1781 01:33:38,140 --> 01:33:40,120 をその気にさせるマルヒナアイテム。 1782 01:33:41,080 --> 01:33:44,080 見えない力があなたを密かにサポートします。 1783 01:33:44,980 --> 01:33:46,860 バイブやローターは、カラフル 1784 01:33:46,860 --> 01:33:49,020 なデザインのものが今大人気。 1785 01:33:50,000 --> 01:33:52,780 女性のお客様でも気楽に買えるから安心です。 1786 01:33:53,900 --> 01:33:56,320 このアメリカから直輸入のセクシー 1787 01:33:56,320 --> 01:33:58,400 ランジェリーは、メンズも用意しています。 1788 01:33:59,020 --> 01:34:00,760 カップルのお客様に好評です。 1789 01:34:01,780 --> 01:34:02,820 ホットパワーズには、 1790 01:34:03,440 --> 01:34:05,860 ここのお店でしか手に入らない 1791 01:34:06,300 --> 01:34:08,260 自身のオリジナル商品があります。 1792 01:34:09,240 --> 01:34:09,680 それが、 1793 01:34:10,380 --> 01:34:15,320 この大好評発売中の女優衣装コンプリートセットです。 1794 01:34:17,060 --> 01:34:22,820 このセットは、女優さんが本当に撮影で使った衣装や下着、 1795 01:34:23,380 --> 01:34:23,540 靴、 1796 01:34:24,360 --> 01:34:27,660 それにバイブやローターなどのアダルトグッズなども、 1797 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