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1
00:00:00,280 --> 00:00:02,200
普通の女の子とおしゃべりしたい
2
00:00:02,280 --> 00:00:04,920
でもどこで会ったらいいかわからないそんなあなた
3
00:00:05,540 --> 00:00:06,460
ここにあるよ
4
00:00:06,460 --> 00:00:08,300
ホットエンターテインメントが完全
5
00:00:08,300 --> 00:00:09,880
プロデュースするライブチャット
6
00:00:09,880 --> 00:00:11,120
ラブラブチャット
7
00:00:11,460 --> 00:00:12,940
イベントが盛りだくさんで
8
00:00:12,940 --> 00:00:14,760
目が離せないライブチャットだよ
9
00:00:14,780 --> 00:00:17,060
ライブイベントとして特別ゲストや
10
00:00:17,060 --> 00:00:19,200
ホットエンターテインメントが街でナンパ
11
00:00:19,200 --> 00:00:21,500
してきた女の子にもアクセスできちゃいます
12
00:00:21,500 --> 00:00:23,780
みんなでワイワイできるパーティーチャット
13
00:00:24,220 --> 00:00:26,700
2人でゆっくり話ができるツーチャット
14
00:00:27,120 --> 00:00:29,000
どっちを選ぶかはあなた次第
15
00:00:29,440 --> 00:00:31,080
ここに来る女の子はみんな
16
00:00:31,080 --> 00:00:33,380
普通の女の子だから安心してね
17
00:00:33,960 --> 00:00:36,440
でも話すときは優しくね
18
00:00:36,440 --> 00:00:39,120
ただいまお試しコースとして通常1000
19
00:00:39,120 --> 00:00:41,240
円のコースが100円でご利用できます
20
00:00:41,390 --> 00:00:44,940
さらになんとなんと利用してもらっているあなたにだけ
21
00:00:45,090 --> 00:00:47,860
特別特典の映像が見れちゃいます
22
00:00:48,660 --> 00:00:52,120
さあすぐにこのURLにアクセスしてね
23
00:01:20,940 --> 00:01:21,700
今日はですね
24
00:01:23,460 --> 00:01:26,620
女の子に朗読をしてもらいます
25
00:01:28,580 --> 00:01:28,980
何を朗読するか
26
00:01:28,980 --> 00:01:30,420
何を朗読していただくかと言いますと
27
00:01:31,080 --> 00:01:32,760
日本を代表する文学
28
00:01:34,200 --> 00:01:35,580
皆さんもご承知の通り
29
00:01:35,580 --> 00:01:36,580
芥川龍之介
30
00:01:37,220 --> 00:01:37,740
羅生門
31
00:01:39,280 --> 00:01:41,100
それに夏目漱石 心
32
00:01:42,600 --> 00:01:43,060
まだまだ
33
00:01:44,540 --> 00:01:47,680
いろんな代表する文学があるかと思いますが
34
00:01:49,300 --> 00:01:49,760
そこで
35
00:01:51,200 --> 00:01:52,470
いろんなことが行われます
36
00:01:53,360 --> 00:01:54,880
何が行われるかは
37
00:01:55,440 --> 00:01:56,410
見てのお楽しみ
38
00:01:57,940 --> 00:01:59,380
どうぞごゆっくりと
39
00:02:01,040 --> 00:02:01,660
ご観覧ください
40
00:02:03,800 --> 00:02:04,880
それでは始めます
41
00:02:16,200 --> 00:02:18,420
はじめまして 長谷川智子です
42
00:02:18,960 --> 00:02:20,760
趣味は音楽鑑賞です
43
00:02:20,760 --> 00:02:23,640
福田川龍之介の羅生門を読みます
44
00:02:23,640 --> 00:02:25,440
よろしくお願いいたします
45
00:02:27,660 --> 00:02:31,240
羅生門ある日の明け方のことである
46
00:02:31,240 --> 00:02:34,580
一人の芸人が羅生門の下で
47
00:02:34,680 --> 00:02:36,140
雨々を待っていた
48
00:02:36,980 --> 00:02:38,420
広い門の下には
49
00:02:38,420 --> 00:02:41,220
この男のほかには誰もいない
50
00:02:41,220 --> 00:02:45,360
ゆえ所々にぬりの剥げた
51
00:02:45,360 --> 00:02:47,720
大きなほろ柱に
52
00:02:48,000 --> 00:02:50,540
霧屑が一匹と舞っている
53
00:02:50,540 --> 00:02:54,620
羅生門が数尺おはちにある以上は
54
00:02:54,940 --> 00:02:56,500
この男のほかには
55
00:02:56,500 --> 00:03:00,880
雨々をする一ぬ傘やもみえ帽子が
56
00:03:01,200 --> 00:03:02,620
もう二、三人はい
57
00:03:03,420 --> 00:03:08,040
るのであるそれがこの男のほかには誰もいない
58
00:03:08,680 --> 00:03:09,900
なぜかというと
59
00:03:09,900 --> 00:03:11,320
この二、三年
60
00:03:11,320 --> 00:03:15,680
京都には地震とか辻風とか火事とか
61
00:03:15,780 --> 00:03:19,100
飢饉とかいう災いが続いて起こった
62
00:03:19,100 --> 00:03:23,080
そこで落柱のさびれ方は
63
00:03:23,320 --> 00:03:24,620
一通りではない
64
00:03:25,580 --> 00:03:28,000
雨は羅生門を包んで
65
00:03:28,000 --> 00:03:32,240
遠くからザーッという音を集めてくる
66
00:03:33,100 --> 00:03:37,480
夕闇は次第に空を低くして見上げると
67
00:03:37,740 --> 00:03:40,260
門の屋根が斜めに突き出した
68
00:03:40,600 --> 00:03:45,240
いらかの先に重たく薄暗い雲を支えている
69
00:03:45,820 --> 00:03:50,660
下人は手段を選ばないということを肯定にしながらも
70
00:03:51,020 --> 00:03:53,460
このすればの片付けるために
71
00:03:53,840 --> 00:03:56,600
当然その後に来る良さ
72
00:03:56,600 --> 00:03:58,260
結び戸になる
73
00:03:58,740 --> 00:04:01,160
外に仕方がないということを
74
00:04:01,520 --> 00:04:04,480
積極的に否定するだけの
75
00:04:04,480 --> 00:04:06,680
勇気が出ずにいたのである
76
00:04:07,860 --> 00:04:09,980
下人は大きなくさみをして
77
00:04:09,980 --> 00:04:13,120
それから大義相に立ち上がった
78
00:04:13,400 --> 00:04:15,820
夕日へのする京都はもう
79
00:04:16,459 --> 00:04:18,760
日よけ欲しいほどの寒さである
80
00:04:18,760 --> 00:04:23,080
風は門の柱と柱との間で
81
00:04:23,280 --> 00:04:26,360
夕闇とともに遠慮なく吹き抜ける
82
00:04:26,440 --> 00:04:28,820
稲荷の橋に止まっていた
83
00:04:29,200 --> 00:04:32,000
霧屑ももうどこかへ行ってしまった
84
00:04:32,260 --> 00:04:35,200
幅の広い椅子の段に
85
00:04:35,200 --> 00:04:38,540
一人の男が猫のように身を縮めて
86
00:04:38,570 --> 00:04:42,340
息を殺しながら上の様子を伺った
87
00:04:44,000 --> 00:04:46,240
上からさすがに火の光が
88
00:04:46,240 --> 00:04:50,480
かすかにその男の右の方を濡らしている
89
00:04:51,680 --> 00:04:56,080
短い髯の中に赤く濃くもった
90
00:04:56,220 --> 00:04:57,960
ニキビのある方である
91
00:04:58,860 --> 00:05:01,360
父を作った人形のように
92
00:05:01,360 --> 00:05:03,440
口を開いた手を伸ばして
93
00:05:03,860 --> 00:05:06,260
ゴロゴロ床の上に転がっていた
94
00:05:06,360 --> 00:05:11,800
しかも床との胸との高くなっている部分には
95
00:05:11,830 --> 00:05:14,520
ぼんやりした火の光を受けて
96
00:05:14,520 --> 00:05:19,300
低くなる部分の陰を一層暗くしながら
97
00:05:19,960 --> 00:05:20,860
永遠に
98
00:05:21,480 --> 00:05:24,180
黙っていた芸人はそれから
99
00:05:24,720 --> 00:05:26,020
死骸の不乱した
100
00:05:26,020 --> 00:05:29,260
思わず鼻を打った
101
00:05:29,260 --> 00:05:32,140
助人の目はその時初めて
102
00:05:32,420 --> 00:05:35,800
その死骸の中に行った人間を見た
103
00:05:36,060 --> 00:05:39,560
鼻色の着物を着た背の低い
104
00:05:39,560 --> 00:05:41,360
やせた白頭の
105
00:05:43,920 --> 00:05:45,700
根のような老婆である
106
00:05:45,700 --> 00:05:47,860
その老婆は右の手に
107
00:05:48,380 --> 00:05:50,080
火を灯した松の着
108
00:05:50,840 --> 00:05:51,680
方を持って
109
00:05:51,740 --> 00:05:53,920
その死骸の一つの顔を
110
00:05:53,920 --> 00:05:56,280
覗き込むように眺めていた
111
00:05:56,660 --> 00:05:59,320
髪の毛の長いところを見ると
112
00:05:59,640 --> 00:06:01,900
多分女の死骸であろう
113
00:06:01,900 --> 00:06:05,520
芸人は6分も恐怖と4分の
114
00:06:05,780 --> 00:06:07,720
恐怖心に動かされて
115
00:06:08,460 --> 00:06:10,960
息をするさえ忘れていた
116
00:06:11,860 --> 00:06:14,860
記者の借りれば頭身の毛も
117
00:06:15,900 --> 00:06:17,940
太るように感じたのである
118
00:06:18,440 --> 00:06:21,220
すると老婆は松の着方を
119
00:06:21,460 --> 00:06:23,940
床板の間にさして
120
00:06:23,940 --> 00:06:26,340
それから今まで眺めていた
121
00:06:27,520 --> 00:06:30,480
死骸の首に両手をかけると
122
00:06:30,960 --> 00:06:31,520
ちょうど
123
00:06:32,300 --> 00:06:33,520
猿の親が
124
00:06:33,920 --> 00:06:36,260
猿の子の白髪と居るように
125
00:06:36,260 --> 00:06:38,060
その長い髪の毛を
126
00:06:38,060 --> 00:06:40,080
一本ずつ抜き始めた
127
00:06:40,600 --> 00:06:43,320
髪は手にしがって抜けるらしい
128
00:06:43,900 --> 00:06:46,440
芸人にはなぜか老婆が
129
00:06:46,440 --> 00:06:49,800
死人の髪の毛を抜く変わらなかった
130
00:06:51,380 --> 00:06:53,640
不理的にはそれを
131
00:06:54,820 --> 00:06:58,360
悪の何かに片付けてよいか知らなかった
132
00:06:58,360 --> 00:07:00,600
しかし芸人にとっては
133
00:07:00,920 --> 00:07:02,220
この雨の夜には
134
00:07:02,220 --> 00:07:04,700
この羅生門の上で
135
00:07:04,880 --> 00:07:07,820
死人の髪の毛を抜くということが
136
00:07:08,300 --> 00:07:11,820
それで許すから悪であった
137
00:07:12,000 --> 00:07:14,680
芸人にはさっきまで自分が
138
00:07:15,360 --> 00:07:17,900
盗人になることなどは
139
00:07:18,320 --> 00:07:20,120
とうに忘れていたのである
140
00:07:21,100 --> 00:07:24,300
そこで芸人は両足に力を入れて
141
00:07:24,400 --> 00:07:27,180
いきなり梯子から上へ飛び上がった
142
00:07:27,620 --> 00:07:29,220
己どこへ行く
143
00:07:29,220 --> 00:07:31,280
老婆はそれでも芸人は
144
00:07:31,280 --> 00:07:33,620
突き抜けて行こうとする
145
00:07:33,620 --> 00:07:35,760
芸人はまたそれを
146
00:07:35,760 --> 00:07:38,260
生かす前として押し戻す
147
00:07:38,800 --> 00:07:40,420
二人は死骸の中で
148
00:07:40,580 --> 00:07:43,200
無言舞い摘みつかみ合った
149
00:07:43,200 --> 00:07:45,320
何をしていたって言っては
150
00:07:45,320 --> 00:07:46,740
これだぞと
151
00:07:46,740 --> 00:07:49,400
芸人は老婆を突き放すと
152
00:07:49,450 --> 00:07:51,780
いきなり立ち去り終わって
153
00:07:51,780 --> 00:07:53,600
白い鋼の色の
154
00:07:54,020 --> 00:07:55,960
その目の前へ突きつけた
155
00:07:56,760 --> 00:07:59,520
けれど老婆は黙って寝る
156
00:07:59,540 --> 00:08:03,320
両手をわなわな振るはてて
157
00:08:03,320 --> 00:08:05,380
肩で息を切りながら
158
00:08:05,820 --> 00:08:09,400
眼球がまぶたの外へ出ようとなるほど
159
00:08:10,180 --> 00:08:11,040
目を開いて
160
00:08:12,040 --> 00:08:15,000
これを見ると芸人は初めて
161
00:08:16,840 --> 00:08:19,400
白黄の老婆の名橋が
162
00:08:19,480 --> 00:08:22,340
全然自分の意思に支配される
163
00:08:22,880 --> 00:08:24,360
ということを意識した
164
00:08:25,120 --> 00:08:26,520
そうしてこの意識を
165
00:08:26,900 --> 00:08:30,020
今まで激しく燃え抜けた心を
166
00:08:30,020 --> 00:08:33,100
いつの間にか覚めてしまった
167
00:08:33,919 --> 00:08:37,659
後に故ある仕事をしてそれから
168
00:08:39,640 --> 00:08:41,640
安らかな得意と
169
00:08:41,640 --> 00:08:44,140
満足とがあるばかりであるそ
170
00:08:44,660 --> 00:08:48,020
こで芸人は老婆を見下しながら
171
00:08:48,420 --> 00:08:48,740
少し
172
00:08:49,640 --> 00:08:51,000
手払ってかゆう
173
00:08:51,580 --> 00:08:55,640
おのれはけび主の役人などではない
174
00:08:56,500 --> 00:08:59,020
いましかたこの門の下を
175
00:08:59,020 --> 00:09:01,920
通りかかった旅のものだ
176
00:09:02,360 --> 00:09:05,280
だからお前には縄をかけて
177
00:09:05,280 --> 00:09:06,440
どうしようも
178
00:09:07,120 --> 00:09:08,220
ないことはない
179
00:09:08,700 --> 00:09:12,080
すると老婆は見開いていた目を
180
00:09:12,460 --> 00:09:14,520
いっそ大きくして
181
00:09:14,640 --> 00:09:18,160
その芸人の顔を見下ろった
182
00:09:18,160 --> 00:09:21,740
赤くなった肉食鳥のような
183
00:09:22,060 --> 00:09:23,780
鋭い目で見たのである
184
00:09:24,600 --> 00:09:28,500
それから鼻と一つなった唇を
185
00:09:28,500 --> 00:09:31,440
何か目で噛んでいるように動かした
186
00:09:31,520 --> 00:09:35,500
細い喉で喉仏の動いているのが見える
187
00:09:35,500 --> 00:09:41,100
その時その喉からカラスのような
188
00:09:41,100 --> 00:09:44,740
とぎとぎした芸人の耳へ縛ってきた
189
00:09:44,740 --> 00:09:47,200
この髪を抜いて
190
00:09:47,200 --> 00:09:49,960
この女の髪を抜いて
191
00:09:50,300 --> 00:09:52,580
かつらにせると思ったのじゃ
192
00:09:54,000 --> 00:09:57,980
芸人が老婆の答えを平凡なのに
193
00:09:57,980 --> 00:10:01,700
失望したそうして失望すると同時に
194
00:10:02,180 --> 00:10:07,040
前の礼別に一緒に心の中へは行ってきた
195
00:10:07,040 --> 00:10:09,500
するとその景色が
196
00:10:10,160 --> 00:10:12,900
先方へも通じたのであろう
197
00:10:12,900 --> 00:10:15,120
老婆は片手にまだ
198
00:10:15,860 --> 00:10:19,680
頭から取った長い抜け毛を持ったなり
199
00:10:20,520 --> 00:10:24,800
つぶやくような口心もりもながらこの
200
00:10:26,360 --> 00:10:27,340
ことを言った
201
00:10:28,120 --> 00:10:30,970
詩人の髪の毛を抜くということは
202
00:10:31,120 --> 00:10:32,780
悪いことかもしれぬ
203
00:10:32,780 --> 00:10:35,120
しかし詩人の多くは
204
00:10:35,120 --> 00:10:37,000
皆このくらいなことを
205
00:10:37,340 --> 00:10:39,600
されていい人間ばかりである
206
00:10:39,650 --> 00:10:44,580
現に自分が今髪を抜いた女などは蛇を
207
00:10:45,600 --> 00:10:48,640
4分ばかりきついて干したのを
208
00:10:48,960 --> 00:10:53,800
柱魚だと言って立って吐きのじへ行った
209
00:10:54,940 --> 00:10:58,460
病院に駆けつけて死ななかったなら今でも行
210
00:10:59,220 --> 00:11:00,620
っていたかもしれない
211
00:11:01,500 --> 00:11:05,240
しかもこの女のいる魚は
212
00:11:05,500 --> 00:11:07,470
味らがよいというので
213
00:11:08,380 --> 00:11:09,780
たちたちが
214
00:11:10,340 --> 00:11:12,560
再例に勝っていたのである
215
00:11:12,560 --> 00:11:16,980
自分はこの女のしたことが悪いとは思えない
216
00:11:17,640 --> 00:11:19,980
しなければ飢え死にをするので
217
00:11:20,020 --> 00:11:23,180
仕方がないくしたことだからである
218
00:11:23,860 --> 00:11:26,660
だからまた今自分のしていたことも
219
00:11:26,660 --> 00:11:28,540
悪いこととは思わない
220
00:11:28,840 --> 00:11:30,080
これもやは
221
00:11:30,780 --> 00:11:33,360
りしなければ飢え死にをするので
222
00:11:33,360 --> 00:11:36,460
仕方がなくすることだからである
223
00:11:36,460 --> 00:11:39,980
芸人は鞘に納めて
224
00:11:39,980 --> 00:11:44,160
そのたちの柄を左の手で押さえながら
225
00:11:44,680 --> 00:11:47,520
冷静としてこの話を聞いていた
226
00:11:47,570 --> 00:11:50,640
右の手では赤く頬と海を揉んだ
227
00:11:50,640 --> 00:11:54,020
大きな気にしながら聞いているのである
228
00:11:54,020 --> 00:11:56,700
しかし聞いている中に
229
00:11:56,720 --> 00:11:59,980
芸人の心にはある勇気が生まれてきた
230
00:12:00,310 --> 00:12:02,460
それはさっき門の下でこの
231
00:12:03,080 --> 00:12:04,760
男の勇気である
232
00:12:04,760 --> 00:12:08,100
そしてまたさっきこの門へ上がって
233
00:12:08,780 --> 00:12:10,120
この老婆を
234
00:12:10,800 --> 00:12:12,480
得た時の勇気とは
235
00:12:12,480 --> 00:12:17,980
全く反面な方向に向かうとする勇気である
236
00:12:19,220 --> 00:12:23,300
芸人は死をするか盗人になるかに
237
00:12:23,300 --> 00:12:25,880
迷ったはなかったばかりではない
238
00:12:25,880 --> 00:12:29,500
その時のこの男の心持ちからいえば
239
00:12:29,640 --> 00:12:34,100
芸人など言うことが考えることさえできないほど
240
00:12:34,100 --> 00:12:37,000
意識の外に追い出されていた
241
00:12:37,070 --> 00:12:39,460
唸れが日上げをしようと
242
00:12:40,160 --> 00:12:45,260
まあいいな己はそうしなければ死骸をするなのだ
243
00:12:46,680 --> 00:12:49,820
しばらく死んだように倒れていた老婆が
244
00:12:50,100 --> 00:12:53,800
中からその裸の脳を起こしたのは
245
00:12:53,800 --> 00:12:56,060
それから間もなくのことである
246
00:12:56,080 --> 00:12:59,300
老婆は呟くようにえめくような
247
00:12:59,430 --> 00:13:03,220
立てながらまた燃えて火の光を立てる
248
00:13:03,220 --> 00:13:05,980
はしごの口まで行っていった
249
00:13:05,980 --> 00:13:10,180
そうしてそこから短い白髪を
250
00:13:10,940 --> 00:13:13,540
顔にして門の下を覗き込んだ
251
00:13:13,780 --> 00:13:17,380
外には夜があるばかりである
252
00:13:17,380 --> 00:13:21,280
芸人は雨をかして京都の町へ
253
00:13:22,100 --> 00:13:24,260
働きに急いでいった
254
00:13:29,000 --> 00:13:30,760
現在電話から鳴り
255
00:13:30,760 --> 00:13:31,560
言い出れる
256
00:13:31,560 --> 00:13:33,000
はい言い出れ
257
00:13:33,000 --> 00:13:37,220
あどうもはいわかりました電話を切るいいが
258
00:13:37,220 --> 00:13:39,400
あゆみを探せば見つからない
259
00:13:41,760 --> 00:13:43,960
鳴りのうなり声が激しく
260
00:13:43,960 --> 00:13:46,930
あゆみの耳に突き刺す
261
00:13:46,980 --> 00:13:51,660
深夜水玉を箸で何度も突き刺し続ける
262
00:13:57,400 --> 00:14:00,800
あゆみ急に電車電話が鳴り
263
00:14:02,440 --> 00:14:05,940
隣の警官が呼び声に変わり
264
00:14:06,000 --> 00:14:09,840
ガラスの割れる音が太くつきまって
265
00:14:09,840 --> 00:14:12,220
逃げるあゆみの鼻に刺さり
266
00:14:12,680 --> 00:14:15,210
警官のベルが大きく鳴る
267
00:14:15,400 --> 00:14:18,040
カーテンで壁に家を建てるが
268
00:14:18,040 --> 00:14:20,640
隣の会話は聞こえてこない
269
00:14:20,640 --> 00:14:21,640
電子レンジの電話が鳴り
270
00:14:21,640 --> 00:14:24,360
一時に不安が呼びに静かに
271
00:14:24,360 --> 00:14:25,940
部屋の電気を消す
272
00:14:26,840 --> 00:14:31,160
鳴り続けるベルがあゆみの気を震わす
273
00:14:31,160 --> 00:14:33,140
あゆみどうしたの
274
00:14:33,140 --> 00:14:37,040
全くなんで薄く使うのかな
275
00:14:38,460 --> 00:14:40,900
これ完全に嫌われちゃったのかな
276
00:14:40,900 --> 00:14:43,320
と言いながらアパートを去る
277
00:14:43,320 --> 00:14:47,840
隣の部屋の姿が呼び
278
00:14:47,840 --> 00:14:51,580
ゆきさらに男と女の鋭い顔が浮かぶ
279
00:14:52,380 --> 00:14:55,640
ゆとあゆみが倒れる
280
00:14:56,680 --> 00:14:58,060
あゆみのアパート
281
00:14:58,060 --> 00:15:00,880
翌朝もしもしおはようございます
282
00:15:00,880 --> 00:15:06,420
なんですけど来週もその間ちょっとお休みさせていただく
283
00:15:07,240 --> 00:15:09,440
体の調子が悪いので
284
00:15:09,440 --> 00:15:12,580
病院でいろいろ検査をしてもらおうと
285
00:15:12,580 --> 00:15:14,580
買っておいて元に入って
286
00:15:14,580 --> 00:15:17,140
検査の結果が出していただくこと
287
00:15:17,140 --> 00:15:19,500
ご願い申し上げます
288
00:15:19,840 --> 00:15:22,240
電話を切る手が震えて
289
00:15:22,240 --> 00:15:25,940
濁った目で隣の壁を見ながら
290
00:15:25,940 --> 00:15:28,590
あゆみ隣の壁に手を挙げて
291
00:15:30,160 --> 00:15:32,480
爪で石を切りつける
292
00:15:33,440 --> 00:15:35,000
あゆみのアパート
293
00:15:35,580 --> 00:15:36,700
10日後の夜
294
00:15:36,700 --> 00:15:39,820
完全に寝てきて
295
00:15:39,820 --> 00:15:41,360
石から切っているように
296
00:15:41,400 --> 00:15:44,340
爪の横側を奪って
297
00:15:44,340 --> 00:15:47,760
電話番号に気づいた電話が
298
00:15:47,760 --> 00:15:51,040
答えてもしもし変な話だけど
299
00:15:51,040 --> 00:15:53,600
あゆみあんた感謝してないんだよね
300
00:15:53,710 --> 00:15:56,140
何も聞けないんだもしもし
301
00:15:56,580 --> 00:15:57,780
あんたの感謝が
302
00:15:57,780 --> 00:16:01,000
何だろう変なの電話に出るわけより
303
00:16:01,020 --> 00:16:02,280
もしもしひめちゃん
304
00:16:02,720 --> 00:16:04,780
私ちょっとあゆみあんた
305
00:16:04,780 --> 00:16:05,940
声おかしいよね
306
00:16:06,620 --> 00:16:07,140
大丈夫
307
00:16:07,800 --> 00:16:08,820
どっか悪いの
308
00:16:08,820 --> 00:16:10,320
何どうしたの
309
00:16:10,320 --> 00:16:14,860
ひめちゃん私はもう飲み通せるのかもしれない
310
00:16:14,860 --> 00:16:16,940
いたあゆみ逆
311
00:16:17,660 --> 00:16:20,340
どこかの手首に
312
00:16:21,220 --> 00:16:22,740
突きつけた
313
00:16:22,740 --> 00:16:25,260
あゆみの頭を掴んで
314
00:16:25,260 --> 00:16:26,560
電気の中で
315
00:16:26,560 --> 00:16:28,380
失神する高子
316
00:16:28,380 --> 00:16:30,540
泣き叫ぶあゆみが
317
00:16:30,830 --> 00:16:32,880
こうして振り返ると
318
00:16:32,880 --> 00:16:34,720
あくまと浮かして
319
00:16:34,720 --> 00:16:37,060
ともかくが不気味に
320
00:16:37,500 --> 00:16:38,340
歯を見せ
321
00:16:38,440 --> 00:16:40,920
緑のあゆみの皮を
322
00:16:40,920 --> 00:16:41,800
吐きかける
323
00:16:42,880 --> 00:16:45,120
枕に染み付いている
324
00:16:45,660 --> 00:16:47,800
蒸気を通したようなベルが
325
00:16:47,800 --> 00:16:49,720
あゆみの心臓を破る
326
00:16:51,560 --> 00:16:54,280
ねえあゆみ寝てんのあんた
327
00:16:54,960 --> 00:16:55,780
起きてよ
328
00:16:55,780 --> 00:16:56,720
ドア開けて
329
00:16:57,000 --> 00:16:58,940
玄関のドアが叩かれる
330
00:16:58,940 --> 00:17:01,280
押入れに隠れるあゆみ
331
00:17:01,280 --> 00:17:02,980
あゆみねえどうしたの
332
00:17:02,980 --> 00:17:05,440
あゆみ押入れの隙間から
333
00:17:05,440 --> 00:17:07,319
あくまのような男と女
334
00:17:07,780 --> 00:17:09,780
そしてともかくの顔が
335
00:17:10,240 --> 00:17:13,540
絡まれ鋭い六甲の手が
336
00:17:13,540 --> 00:17:15,089
あゆみに止まる
337
00:17:15,200 --> 00:17:16,660
抜け狂うあゆみの
338
00:17:16,660 --> 00:17:17,859
押入れの頭を
339
00:17:17,859 --> 00:17:19,640
引き物狂いで
340
00:17:20,740 --> 00:17:23,619
締めるあくまの叫び声が
341
00:17:23,619 --> 00:17:25,119
頂点に達する
342
00:17:25,119 --> 00:17:26,319
あゆみなんて
343
00:17:26,319 --> 00:17:27,760
あげてくれなかったの
344
00:17:28,359 --> 00:17:30,820
人が下心を心配して
345
00:17:30,820 --> 00:17:33,680
友達や男とは違うんだよ
346
00:17:33,680 --> 00:17:36,080
何も無理やり言って
347
00:17:36,080 --> 00:17:37,860
気づかしてもらって
348
00:17:37,860 --> 00:17:39,940
ずっと心配で心配で
349
00:17:40,340 --> 00:17:41,880
寝てきてみて
350
00:17:41,880 --> 00:17:44,660
妻あたしも妻あたしになって
351
00:17:44,660 --> 00:17:46,540
部屋に入れてくれなかったの
352
00:17:46,540 --> 00:17:49,740
どうしたのねえ何があったの
353
00:17:49,860 --> 00:17:51,700
泣きのような姉の
354
00:17:51,740 --> 00:17:54,720
感情が強く揺れるあゆみ
355
00:17:54,720 --> 00:17:56,920
泣き崩れる姉を
356
00:17:56,920 --> 00:17:59,320
抱きしめるあゆみも泣き出し
357
00:17:59,320 --> 00:18:01,020
お姉ちゃんもねえ
358
00:18:01,020 --> 00:18:02,340
でもあたし本当にもう
359
00:18:02,340 --> 00:18:03,420
どうしようもないの
360
00:18:04,020 --> 00:18:06,640
頭がわからないの
361
00:18:06,640 --> 00:18:09,440
嬉しいの何も信じられないの
362
00:18:09,440 --> 00:18:11,280
だから許してお願い
363
00:18:11,280 --> 00:18:15,160
ねえお願い泣かないでお願いだから
364
00:18:15,160 --> 00:18:17,960
よかったあゆみも大丈夫なの
365
00:18:17,960 --> 00:18:20,480
話してねえ何があったの
366
00:18:20,480 --> 00:18:21,580
わからないね
367
00:18:22,320 --> 00:18:23,100
このみんな
368
00:18:23,680 --> 00:18:25,000
私のことを
369
00:18:25,000 --> 00:18:27,210
お前の人と一緒なんて
370
00:18:27,980 --> 00:18:30,400
みんなで遊びばっかり見て
371
00:18:30,450 --> 00:18:32,280
この夢がまるで
372
00:18:32,280 --> 00:18:34,440
現実のことみたいに
373
00:18:34,440 --> 00:18:36,880
あたし隣に何かされたの
374
00:18:36,880 --> 00:18:40,140
お年以上お腹23時になっても
375
00:18:40,140 --> 00:18:42,420
大声で騒ぎ立てて
376
00:18:42,420 --> 00:18:44,400
それが本当にうるさくて
377
00:18:44,400 --> 00:18:46,440
毎日毎日寝れなくて
378
00:18:46,440 --> 00:18:48,120
それで公屋さんに
379
00:18:48,120 --> 00:18:50,660
何とかしてくださいって言っても
380
00:18:50,660 --> 00:18:52,920
全然静かにならなくて
381
00:18:52,920 --> 00:18:55,770
それにあたしが口を叩いて
382
00:18:55,780 --> 00:18:59,880
子どもお年寄りが隣に来たみたいで
383
00:19:04,940 --> 00:19:07,160
そして電化モデル
384
00:19:07,720 --> 00:19:09,180
202号室前
385
00:19:09,540 --> 00:19:11,520
と過去お出口のドアを
386
00:19:11,520 --> 00:19:13,490
力いっぱい叩き
387
00:19:16,980 --> 00:19:19,940
すいません隣のスナですけど
388
00:19:19,940 --> 00:19:22,780
ちょっとお話があるんですが
389
00:19:22,780 --> 00:19:24,700
誰かいらっしゃいませんか
390
00:19:27,740 --> 00:19:29,960
玄関のドアを少し開けて
391
00:19:29,960 --> 00:19:33,900
壁の姿を監視する歩み
392
00:19:33,900 --> 00:19:36,060
202号室のドアを
393
00:19:36,060 --> 00:19:38,260
呆然開かずに
394
00:19:39,100 --> 00:19:40,300
わをかかる
395
00:19:40,300 --> 00:19:43,140
バカと不安を叩きつける
396
00:19:44,980 --> 00:19:46,600
キッチンの窓には
397
00:19:46,600 --> 00:19:49,180
テレビの明かりと人影が見える
398
00:19:49,330 --> 00:19:52,200
らしいドアが開く中から
399
00:19:52,860 --> 00:19:55,020
8丸を過ぎて
400
00:19:55,020 --> 00:19:57,700
ローバーの覗く耳には
401
00:19:57,700 --> 00:20:00,200
無聴聞言葉を失う
402
00:20:01,800 --> 00:20:05,340
と過去に何かありましたかなと
403
00:20:05,340 --> 00:20:06,580
不思議に
404
00:20:07,080 --> 00:20:08,280
ローバーの後ろで
405
00:20:08,280 --> 00:20:09,460
ローバーのテレビ
406
00:20:11,200 --> 00:20:13,720
ローバーの姿が目に入る
407
00:20:13,720 --> 00:20:16,780
すいません何もありませんでした
408
00:20:16,780 --> 00:20:18,360
お姉ちゃん待って
409
00:20:18,360 --> 00:20:20,840
駅まで送っていくからいい?
410
00:20:21,160 --> 00:20:21,440
いい?
411
00:20:21,620 --> 00:20:22,500
時間がないから
412
00:20:22,500 --> 00:20:24,280
時間がないからバイバイ
413
00:20:25,220 --> 00:20:28,340
てめえの読みが甘いんだ
414
00:20:33,120 --> 00:20:33,420
よ
415
00:20:39,520 --> 00:20:42,080
あんたなんとじゃないの?
416
00:20:42,380 --> 00:20:43,600
葉っぱのやりすぎ?
417
00:20:44,060 --> 00:20:45,440
って何言ってるか
418
00:20:45,440 --> 00:20:47,220
さっぱりわかんないし
419
00:20:48,380 --> 00:20:52,060
肉体を縛る鋭い音の後に
420
00:20:52,060 --> 00:20:54,400
ポスッと地が揺れる
421
00:20:54,410 --> 00:20:56,100
分かるおてめえは
422
00:20:56,100 --> 00:20:57,720
一生死んでる
423
00:20:58,480 --> 00:21:01,360
意地と無意識の幅で
424
00:21:01,360 --> 00:21:03,480
意識としながら歩み
425
00:21:03,480 --> 00:21:06,240
ゆっくり立ち上がる通りを出る
426
00:21:06,320 --> 00:21:09,400
手に持ったサンドローベランダに出て
427
00:21:09,400 --> 00:21:11,480
しっかりと歩く歩み
428
00:21:11,480 --> 00:21:13,960
早く隣のベランダに
429
00:21:13,960 --> 00:21:15,040
乗り移る
430
00:21:15,100 --> 00:21:18,220
カーテン越しに中を覗き込む
431
00:21:18,220 --> 00:21:20,400
部屋を閉める
432
00:21:20,400 --> 00:21:22,340
部屋のカーテンの中で
433
00:21:22,340 --> 00:21:25,560
黒のネザーに身を包み
434
00:21:25,560 --> 00:21:27,180
ハイヒールを履き
435
00:21:27,180 --> 00:21:30,120
男女王女様風に
436
00:21:30,120 --> 00:21:31,520
女装した男が
437
00:21:31,520 --> 00:21:34,660
メニュースーパンドを装着し
438
00:21:34,660 --> 00:21:37,640
真っ赤なオンテージを身につけた
439
00:21:37,640 --> 00:21:40,280
女は足で押さえ
440
00:21:40,280 --> 00:21:42,040
ガソリンをかけて
441
00:21:42,820 --> 00:21:44,440
化粧をしている
442
00:21:44,840 --> 00:21:46,860
歩みの頭にかすかずの
443
00:21:46,860 --> 00:21:49,060
男と女の邪魔のような
444
00:21:49,060 --> 00:21:50,200
イメージがある
445
00:21:50,740 --> 00:21:53,160
歩みの瞳の中に
446
00:21:54,660 --> 00:21:56,520
のようなお釜と
447
00:21:56,520 --> 00:21:58,760
おしべさの姿が映る
448
00:21:58,800 --> 00:22:00,800
三段の帽が着れる
449
00:22:04,120 --> 00:22:06,120
男と目が合う歩み
450
00:22:06,120 --> 00:22:08,380
男だけに言わないながら
451
00:22:08,380 --> 00:22:10,120
大いにみんなが
452
00:22:11,040 --> 00:22:12,200
いらっしゃいませ
453
00:22:12,340 --> 00:22:14,640
何かの分量にありますかと
454
00:22:14,640 --> 00:22:15,900
一度寝入れて
455
00:22:15,900 --> 00:22:17,500
自然に笑っている
456
00:22:17,980 --> 00:22:20,340
ガソリンの缶を手に取り
457
00:22:20,340 --> 00:22:22,440
歩みの上にひっくり返すが
458
00:22:23,300 --> 00:22:24,700
中身がもうない
459
00:22:24,700 --> 00:22:28,180
歩みの肌を思いっきり蹴り
460
00:22:28,180 --> 00:22:29,720
男性の中から
461
00:22:29,720 --> 00:22:31,840
チップのタオルを持ち出す
462
00:22:31,840 --> 00:22:33,240
歩みの前で
463
00:22:33,240 --> 00:22:36,000
自分の隙間にあてて
464
00:22:36,000 --> 00:22:37,880
立ち込みを行きたいなら
465
00:22:38,540 --> 00:22:40,280
女のあんたと
466
00:22:40,280 --> 00:22:41,060
お客さんと
467
00:22:41,060 --> 00:22:47,320
あんたとってくれない
468
00:22:47,880 --> 00:22:48,800
じゃああんただけ
469
00:22:48,840 --> 00:22:50,620
あんたが静かに
470
00:22:50,620 --> 00:22:52,380
ちょっと言いながら
471
00:22:53,780 --> 00:22:56,260
ランスから川を持ってきて
472
00:22:56,260 --> 00:22:57,080
ねえあんた
473
00:22:57,080 --> 00:22:58,920
あたしのことを殺したい
474
00:22:59,840 --> 00:23:01,820
それに部屋を物を
475
00:23:01,820 --> 00:23:03,320
即死しながら
476
00:23:03,660 --> 00:23:04,740
男を見つけ
477
00:23:06,160 --> 00:23:07,400
あんたは
478
00:23:07,400 --> 00:23:08,120
あんたの目が女
479
00:23:10,260 --> 00:23:12,020
の口に粒子をつめていく
480
00:23:12,680 --> 00:23:15,580
女の耳にヘッドモードを
481
00:23:15,620 --> 00:23:17,720
ボリュームを最大にして
482
00:23:17,720 --> 00:23:20,620
心臓とこの下に女の顔を
483
00:23:20,620 --> 00:23:23,140
浮かないように縛る
484
00:23:23,680 --> 00:23:25,740
苦しむ女の肩に
485
00:23:25,740 --> 00:23:28,000
七本だけ自分の三段を
486
00:23:28,000 --> 00:23:29,160
かせてやる
487
00:23:29,160 --> 00:23:30,660
毛類を上げて
488
00:23:30,920 --> 00:23:32,460
男女の口音が
489
00:23:32,460 --> 00:23:34,720
女の叫び声のように
490
00:23:34,740 --> 00:23:37,560
きれいに行き渡る終わり
491
00:23:39,220 --> 00:23:40,020
じゃあもう一回
492
00:23:40,020 --> 00:23:41,450
ラショーも今度
493
00:23:44,200 --> 00:23:46,220
はさっきより上手く言ってくださいはい
494
00:23:51,200 --> 00:23:52,240
ラショーも
495
00:23:52,240 --> 00:23:54,920
ある日の暮れ方のことである
496
00:23:55,100 --> 00:23:56,760
一人の藤原人が
497
00:23:56,760 --> 00:23:58,840
ラショーもの下で
498
00:23:58,900 --> 00:24:00,760
雨上げをなっていた
499
00:24:03,240 --> 00:24:04,960
広い門の下には
500
00:24:04,960 --> 00:24:06,740
この男の他に
501
00:24:06,740 --> 00:24:07,900
誰もいない
502
00:24:07,900 --> 00:24:11,340
上ところどころに栗の
503
00:24:12,260 --> 00:24:14,340
出た大きな
504
00:24:14,340 --> 00:24:16,200
もろを柱に
505
00:24:16,200 --> 00:24:18,360
切りくずらり止まっている
506
00:24:18,360 --> 00:24:19,900
ラショーもが
507
00:24:19,900 --> 00:24:21,960
戦略を発見ある以上
508
00:24:22,520 --> 00:24:24,400
この男の外にも
509
00:24:24,400 --> 00:24:25,660
雨上げをする
510
00:24:25,660 --> 00:24:27,600
一面傘や
511
00:24:27,600 --> 00:24:29,360
伸び道帽子が
512
00:24:30,310 --> 00:24:31,720
もう二三人は
513
00:24:32,260 --> 00:24:33,960
有様なものである
514
00:24:34,900 --> 00:24:37,000
それがその男の外には
515
00:24:37,000 --> 00:24:38,280
誰もいない
516
00:24:38,280 --> 00:24:40,520
なぜかというと
517
00:24:40,540 --> 00:24:48,340
この三年京都には地震とか地震とか風とか地震とかという
518
00:24:49,400 --> 00:24:51,720
災害が続いて起こった
519
00:24:51,720 --> 00:24:53,200
なぜかというと
520
00:24:54,360 --> 00:24:56,260
ラショーもの
521
00:24:56,260 --> 00:24:57,440
周囲など
522
00:24:58,240 --> 00:24:59,880
大人より誰も
523
00:25:01,000 --> 00:25:05,500
主に京都の町は一方にならず
524
00:25:06,560 --> 00:25:08,080
偽装していた
525
00:25:08,080 --> 00:25:11,000
今この庶民が
526
00:25:12,200 --> 00:25:13,820
使われていた
527
00:25:13,820 --> 00:25:16,740
主人から着物が据えたのも
528
00:25:16,740 --> 00:25:18,780
この鋭みの小さな
529
00:25:18,780 --> 00:25:20,940
何もわからない
530
00:25:20,940 --> 00:25:22,460
日から日々が
531
00:25:22,460 --> 00:25:24,240
雨を止めまっていた
532
00:25:24,240 --> 00:25:25,600
というよりも
533
00:25:25,800 --> 00:25:28,140
雨に降りこもれた日々が
534
00:25:28,140 --> 00:25:29,520
行きどころなく
535
00:25:29,520 --> 00:25:32,700
とこめくれていたという方が
536
00:25:33,720 --> 00:25:35,920
適当だとその声
537
00:25:37,820 --> 00:25:39,640
少しずつこの
538
00:25:39,640 --> 00:25:41,240
平安帝の
539
00:25:41,920 --> 00:25:43,900
国民に言うとした
540
00:25:44,820 --> 00:25:48,400
国民から言うとした雨は
541
00:25:48,400 --> 00:25:50,520
未だに上がる気配を
542
00:25:50,520 --> 00:25:51,380
しつこれ
543
00:25:51,590 --> 00:25:54,060
国民は何を超えても
544
00:25:54,060 --> 00:25:55,080
差し当たり
545
00:25:55,080 --> 00:25:56,660
明日の暮らしを
546
00:25:56,660 --> 00:25:58,060
どうにかしようとして
547
00:25:58,060 --> 00:26:01,520
今どうしようもないことを
548
00:26:01,520 --> 00:26:03,180
どうしようとして
549
00:26:03,180 --> 00:26:05,720
行き止めのない考えを
550
00:26:05,720 --> 00:26:07,040
たどりながら
551
00:26:07,040 --> 00:26:09,420
さっきから頭上の端に
552
00:26:09,420 --> 00:26:10,980
降る雨の音は
553
00:26:10,980 --> 00:26:12,320
聞くこともない
554
00:26:12,320 --> 00:26:15,740
雨は場所を思っていて
555
00:26:16,120 --> 00:26:20,320
遠くからざらっと雑草を振る
556
00:26:20,320 --> 00:26:23,360
草は汚れに皿を隠して
557
00:26:23,360 --> 00:26:24,720
逃げてると
558
00:26:24,720 --> 00:26:25,760
本を読んだ
559
00:26:25,760 --> 00:26:28,860
同じ朝の先から
560
00:26:29,680 --> 00:26:33,240
僕薄い雲を浮かべる
561
00:26:33,240 --> 00:26:34,880
どうしようもないことを
562
00:26:34,880 --> 00:26:36,640
どうにかするために
563
00:26:36,640 --> 00:26:38,160
手段を選んでいる
564
00:26:38,280 --> 00:26:41,120
叶わない選んでいれば
565
00:26:41,980 --> 00:26:44,440
その下から道端を進むと
566
00:26:45,180 --> 00:26:47,220
羨ましくばかりである
567
00:26:47,310 --> 00:26:51,360
そうしてこのままの運命をもつときて
568
00:26:51,360 --> 00:26:53,060
犬のように捨てられて
569
00:26:53,060 --> 00:26:54,640
しまうばかりである
570
00:26:55,060 --> 00:26:56,740
選ばれないこっちで
571
00:26:56,740 --> 00:27:01,500
君とだから何度も同じ道を
572
00:27:01,500 --> 00:27:03,660
展開した誰によって
573
00:27:03,660 --> 00:27:05,680
心の屋上で
574
00:27:05,680 --> 00:27:08,880
到着したしかしどうすれば
575
00:27:08,880 --> 00:27:11,020
その今になっても
576
00:27:11,020 --> 00:27:12,260
結局すれば
577
00:27:12,260 --> 00:27:15,800
選ばない人間は素直にならない
578
00:27:15,930 --> 00:27:18,900
ということを考えているみなさんの
579
00:27:18,900 --> 00:27:23,120
身体をそれが味方をつくるために
580
00:27:23,120 --> 00:27:26,080
気候でその土地につきあがることさ
581
00:27:26,080 --> 00:27:27,300
進みるという
582
00:27:27,300 --> 00:27:28,660
仕方がない
583
00:27:28,660 --> 00:27:31,120
ということを積極的に
584
00:27:31,120 --> 00:27:32,820
すべてのルーティンは
585
00:27:32,820 --> 00:27:34,460
重ねたみたいだ
586
00:27:35,440 --> 00:27:38,180
犬は大きな重ねをして
587
00:27:38,180 --> 00:27:40,320
それから大気性に
588
00:27:40,320 --> 00:27:41,440
持ち上がった
589
00:27:41,780 --> 00:27:43,820
汚れの空虚とは
590
00:27:43,820 --> 00:27:46,770
もう一番激しいと思う
591
00:27:58,160 --> 00:27:59,260
じゃあ青井さんどうぞ
592
00:28:10,640 --> 00:28:10,800
はい
593
00:28:11,380 --> 00:28:11,880
いただきます
594
00:28:19,800 --> 00:28:20,100
心
595
00:28:21,760 --> 00:28:22,880
先生と私
596
00:28:24,900 --> 00:28:25,620
私は
597
00:28:25,960 --> 00:28:27,000
その人を常に
598
00:28:27,000 --> 00:28:28,200
先生と呼んでいた
599
00:28:30,040 --> 00:28:33,100
だからここでもただ先生と書くだけで
600
00:28:33,480 --> 00:28:34,560
本名は打ち明けない
601
00:28:36,460 --> 00:28:37,240
これは世間を
602
00:28:37,240 --> 00:28:39,120
はばかる遠慮というよりも
603
00:28:39,340 --> 00:28:40,920
その方が私にとって自
604
00:28:41,460 --> 00:28:42,260
然だからである
605
00:28:44,100 --> 00:28:45,020
私はその人の
606
00:28:45,020 --> 00:28:46,800
記憶を呼び起こすことに
607
00:28:46,800 --> 00:28:49,020
すぐ先生と
608
00:28:49,020 --> 00:28:49,760
言いたくなる
609
00:28:51,900 --> 00:28:53,020
笛を取っても
610
00:28:53,280 --> 00:28:56,020
心持ちは同じことであるよ
611
00:28:56,580 --> 00:28:57,300
そよさしく
612
00:28:57,920 --> 00:28:58,860
頭文字など
613
00:28:58,900 --> 00:29:00,560
とても使う気にはならない
614
00:29:02,320 --> 00:29:03,400
私が先生と
615
00:29:03,400 --> 00:29:04,260
知り合ったのは
616
00:29:04,960 --> 00:29:05,700
鎌倉である
617
00:29:07,240 --> 00:29:09,500
その時私は若々しく
618
00:29:10,560 --> 00:29:11,660
写生であった
619
00:29:13,160 --> 00:29:15,060
初中休暇を利用して
620
00:29:15,160 --> 00:29:17,280
海水浴に行った友達から
621
00:29:17,840 --> 00:29:19,220
ぜひ来いというはがきを
622
00:29:19,220 --> 00:29:19,960
受け取ったので
623
00:29:20,840 --> 00:29:22,860
私は多少の金を苦面して
624
00:29:23,560 --> 00:29:24,620
出かけることにした
625
00:29:26,480 --> 00:29:27,860
私は金の苦面に
626
00:29:27,860 --> 00:29:29,200
二三日を費やした
627
00:29:31,260 --> 00:29:32,100
ところが私が
628
00:29:32,100 --> 00:29:33,180
鎌倉に着いて
629
00:29:33,800 --> 00:29:35,180
三日と経たないうちに
630
00:29:36,160 --> 00:29:37,860
私を呼び寄せた友達は
631
00:29:38,600 --> 00:29:40,200
急に国元から
632
00:29:40,200 --> 00:29:42,160
帰れという電報を
633
00:29:42,160 --> 00:29:42,880
受け取った
634
00:29:44,720 --> 00:29:45,560
電報には
635
00:29:46,060 --> 00:29:47,580
母が病気だからと
636
00:29:47,780 --> 00:29:48,800
断ってあった
637
00:29:49,720 --> 00:29:50,980
けれども友達は
638
00:29:50,980 --> 00:29:52,520
それを信じなかった
639
00:29:54,160 --> 00:29:55,380
友達はかねてから
640
00:29:55,380 --> 00:29:57,160
国元にいる親たちを
641
00:29:57,200 --> 00:29:59,400
勧まない結婚を強いられていた
642
00:30:01,400 --> 00:30:03,920
彼は現代の所感から言うと
643
00:30:04,560 --> 00:30:05,400
結婚するには
644
00:30:05,400 --> 00:30:07,140
あまり年が若すぎた
645
00:30:08,760 --> 00:30:09,680
それに肝心の
646
00:30:09,680 --> 00:30:10,800
トーニングが気に入らなかった
647
00:30:13,120 --> 00:30:14,580
それで夏休みに
648
00:30:15,140 --> 00:30:16,420
当然帰るべきところを
649
00:30:17,100 --> 00:30:17,900
わざと避けて
650
00:30:18,240 --> 00:30:19,380
東京の近くで
651
00:30:19,380 --> 00:30:20,380
遊んでいたのである
652
00:30:23,180 --> 00:30:25,880
彼は電報を私に見せようと
653
00:30:26,220 --> 00:30:27,580
兄子と相談をした
654
00:30:29,440 --> 00:30:31,740
私にはどうしていいかわからなかった
655
00:30:33,020 --> 00:30:35,220
けれども実際彼の母が
656
00:30:35,220 --> 00:30:36,460
病気であるとすると
657
00:30:37,000 --> 00:30:39,220
彼は元より帰るべきはずであった
658
00:30:40,160 --> 00:30:43,140
それで彼はとうとう帰ることになった
659
00:30:44,720 --> 00:30:46,520
せっかく来た私は
660
00:30:47,000 --> 00:30:47,940
一人取り残された
661
00:30:50,400 --> 00:30:51,420
学校の授業が
662
00:30:51,420 --> 00:30:52,420
始まるにはまだ
663
00:30:53,020 --> 00:30:54,520
だいぶ日数があるので
664
00:30:55,600 --> 00:30:57,200
鎌倉にいてもよし
665
00:30:57,200 --> 00:30:59,260
帰ってもよいという境遇に
666
00:30:59,580 --> 00:30:59,980
私は
667
00:31:01,040 --> 00:31:03,220
当分元の役に留まる覚悟をした
668
00:31:03,880 --> 00:31:05,400
海へはごく近いので
669
00:31:06,020 --> 00:31:07,300
海水旅行をやるには
670
00:31:08,300 --> 00:31:09,980
ごく便利な地位を占めていた
671
00:31:12,100 --> 00:31:13,100
私は毎日
672
00:31:13,100 --> 00:31:14,760
海へ入りも出かけた
673
00:31:15,980 --> 00:31:17,300
この辺にこれほどの
674
00:31:18,060 --> 00:31:20,600
特愛人種が住んでいるのかと思うほど
675
00:31:21,440 --> 00:31:23,740
秘書に来た男や女で
676
00:31:23,740 --> 00:31:25,480
砂の上へ動いていた
677
00:31:27,400 --> 00:31:29,060
あるときは海の中が
678
00:31:29,740 --> 00:31:30,640
銭湯のように
679
00:31:30,640 --> 00:31:32,300
黒い頭で
680
00:31:32,620 --> 00:31:34,480
ごちゃごちゃしていることもあった
681
00:31:36,280 --> 00:31:37,840
その中に知った人を
682
00:31:38,480 --> 00:31:40,560
一人も持たない私も
683
00:31:41,020 --> 00:31:42,340
こういうにぎやかに
684
00:31:42,340 --> 00:31:43,560
景色に包まれて
685
00:31:44,500 --> 00:31:46,520
砂の上に寝そべったり
686
00:31:46,600 --> 00:31:48,420
見たり膝頭を
687
00:31:48,420 --> 00:31:49,860
海に打たれたり
688
00:31:50,420 --> 00:31:51,860
そこいらをはねまわるのは
689
00:31:51,860 --> 00:31:52,700
愉快だった
690
00:31:54,780 --> 00:31:56,760
私は実に先生を
691
00:31:56,780 --> 00:31:58,300
この雑草の間に
692
00:31:58,300 --> 00:31:59,300
見つけ出したのである
693
00:32:01,980 --> 00:32:03,860
そのとき海岸には
694
00:32:05,120 --> 00:32:05,960
かけ茶屋が
695
00:32:05,960 --> 00:32:06,940
二軒あった
696
00:32:10,420 --> 00:32:11,080
私は
697
00:32:11,400 --> 00:32:12,640
ふとしたはずみから
698
00:32:13,320 --> 00:32:15,220
その一軒一軒の方に
699
00:32:15,500 --> 00:32:16,420
行きなれていた
700
00:32:17,460 --> 00:32:19,240
海水着を持たない私にも
701
00:32:20,320 --> 00:32:22,340
持ち物を盗まれる恐れがあったので
702
00:32:25,040 --> 00:32:26,500
私は海へ
703
00:32:26,500 --> 00:32:27,260
入るたびに
704
00:32:28,280 --> 00:32:28,940
その茶々へ
705
00:32:29,330 --> 00:32:31,260
一切をにぎしていることにしていた
706
00:32:35,980 --> 00:32:36,440
私が
707
00:32:37,100 --> 00:32:38,020
そのかけ茶屋で
708
00:32:39,140 --> 00:32:40,400
先生を見たときは
709
00:32:42,360 --> 00:32:44,220
先生がちょうど着物を脱いで
710
00:32:45,360 --> 00:32:46,260
これから海へ
711
00:32:46,260 --> 00:32:48,000
入ろうとするところであった
712
00:32:48,740 --> 00:32:50,480
私がすぐに先生を
713
00:32:50,480 --> 00:32:51,420
見つけ出したのは
714
00:32:52,780 --> 00:32:54,020
先生が一人の
715
00:32:54,340 --> 00:32:56,320
西洋人を連れていたからである
716
00:32:56,320 --> 00:32:58,140
そのとき私は
717
00:32:58,800 --> 00:33:00,060
ポカンとしながら
718
00:33:01,140 --> 00:33:02,800
先生のことを考えた
719
00:33:02,800 --> 00:33:04,200
そのときの私は
720
00:33:04,760 --> 00:33:07,440
くったくがないというよりむしろ
721
00:33:07,780 --> 00:33:09,120
無礼に苦しんでいた
722
00:33:09,480 --> 00:33:11,740
着物の下に置いてあった眼鏡が
723
00:33:12,300 --> 00:33:14,360
板の隙間から下へ落ちた
724
00:33:18,360 --> 00:33:19,160
先生は
725
00:33:19,580 --> 00:33:20,760
塩ガスの上に
726
00:33:21,480 --> 00:33:22,820
エコ帯をすめてから
727
00:33:23,660 --> 00:33:26,000
眼鏡の膜になったのに気がついたとみえて
728
00:33:28,860 --> 00:33:29,620
私はすぐ
729
00:33:30,400 --> 00:33:31,480
腰掛けの下へ
730
00:33:31,900 --> 00:33:33,260
首と手を突っ込んで
731
00:33:33,940 --> 00:33:35,320
眼鏡を拾い出した
732
00:33:37,980 --> 00:33:38,780
先生は
733
00:33:39,520 --> 00:33:40,660
ありがとうと言って
734
00:33:41,060 --> 00:33:43,340
それを私の手から受け取った
735
00:33:46,740 --> 00:33:48,160
次の日私は
736
00:33:48,760 --> 00:33:50,460
先生の後に続いて
737
00:33:51,600 --> 00:33:52,680
海に飛び込んだ
738
00:33:55,420 --> 00:33:58,040
そうして先生と一緒の方角に
739
00:33:58,060 --> 00:33:59,140
泳いでいった
740
00:34:04,500 --> 00:34:05,640
青空の色が
741
00:34:05,900 --> 00:34:06,920
ギラギラと
742
00:34:07,680 --> 00:34:09,060
目を緩むように
743
00:34:09,780 --> 00:34:11,380
鋭烈な色を
744
00:34:11,380 --> 00:34:13,080
私の顔に投げつけた
745
00:34:15,380 --> 00:34:16,219
愉快ですね
746
00:34:17,980 --> 00:34:20,560
と私は大きな声を出した
747
00:34:23,159 --> 00:34:24,020
しばらくして
748
00:34:25,040 --> 00:34:26,850
海の中で起き上がるように
749
00:34:27,840 --> 00:34:29,860
姿勢を改めた先生は
750
00:34:31,480 --> 00:34:32,739
もう帰りませんか
751
00:34:33,580 --> 00:34:34,340
と言って
752
00:34:35,219 --> 00:34:36,760
私を促した
753
00:34:39,780 --> 00:34:41,420
比較的強い体質を
754
00:34:41,420 --> 00:34:42,620
持った私は
755
00:34:44,699 --> 00:34:46,300
もっと海の中で
756
00:34:46,300 --> 00:34:47,860
遊んでいたかった
757
00:34:49,239 --> 00:34:50,580
しかし
758
00:34:51,170 --> 00:34:53,100
先生から呼ばれたとき
759
00:34:55,159 --> 00:34:56,320
私はすぐ
760
00:34:56,620 --> 00:34:58,340
ええ帰りましょう
761
00:34:58,340 --> 00:35:00,700
と心よく答えた
762
00:35:01,940 --> 00:35:05,040
私はこれから先生と
763
00:35:05,040 --> 00:35:06,460
公園になった
764
00:35:10,180 --> 00:35:12,320
私は若かった
765
00:35:14,840 --> 00:35:15,320
けれども
766
00:35:16,180 --> 00:35:17,990
すべての人間に対して
767
00:35:19,800 --> 00:35:21,280
若いちが買う
768
00:35:21,330 --> 00:35:23,280
素直に働こうとは
769
00:35:24,080 --> 00:35:24,940
思わなかった
770
00:35:33,900 --> 00:35:36,080
なぜ先生に対してだけ
771
00:35:36,120 --> 00:35:37,800
こんな心持ちが起こるのか
772
00:35:37,800 --> 00:35:38,620
わからなかった
773
00:35:42,700 --> 00:35:43,640
それが
774
00:35:44,140 --> 00:35:46,400
先生の亡くなった本日になって
775
00:35:48,220 --> 00:35:49,800
初めてわかってきた
776
00:35:55,520 --> 00:35:56,920
先生は初めから
777
00:35:58,260 --> 00:35:59,820
私を嫌っていたのでは
778
00:35:59,820 --> 00:36:00,820
なかったのである
779
00:36:05,900 --> 00:36:06,840
先生が
780
00:36:07,740 --> 00:36:08,860
私に示した
781
00:36:13,180 --> 00:36:14,320
時々の
782
00:36:14,740 --> 00:36:16,760
そっけない挨拶や
783
00:36:19,680 --> 00:36:21,260
冷淡に見える動作は
784
00:36:23,460 --> 00:36:25,280
私を遠ざけようとする
785
00:36:26,720 --> 00:36:28,260
不快の表現では
786
00:36:28,260 --> 00:36:29,620
なかったのである
787
00:36:35,360 --> 00:36:38,140
痛ましい先生は
788
00:36:39,280 --> 00:36:42,160
自分に近づこうとする人間に
789
00:36:43,680 --> 00:36:46,310
近づくほどの価値のないものだから
790
00:36:47,200 --> 00:36:48,120
よせよよ
791
00:36:48,940 --> 00:36:51,050
警告を与えたのである
792
00:36:56,340 --> 00:36:58,080
人の懐かしみに
793
00:36:58,080 --> 00:37:00,000
応じない先生は
794
00:37:06,220 --> 00:37:08,160
人を軽蔑する前に
795
00:37:09,580 --> 00:37:10,760
まず自分を
796
00:37:10,940 --> 00:37:14,240
軽蔑しているものと見える私は
797
00:37:15,260 --> 00:37:15,800
なんだか
798
00:37:16,540 --> 00:37:17,720
卒の顔をして
799
00:37:18,860 --> 00:37:20,520
往来を歩き始めた
800
00:37:27,580 --> 00:37:28,800
物欲しそうに
801
00:37:28,820 --> 00:37:30,060
自分の部屋への行動を
802
00:37:30,060 --> 00:37:31,520
中を見渡した
803
00:37:35,400 --> 00:37:37,540
私の頭には再び
804
00:37:38,600 --> 00:37:39,780
先生の顔が
805
00:37:39,780 --> 00:37:41,200
浮いて出た
806
00:37:44,020 --> 00:37:48,520
ここではまた先生に会いたくなった
807
00:37:53,840 --> 00:37:54,800
初めて
808
00:37:55,480 --> 00:37:57,120
先生の家を訪ねた時
809
00:37:58,840 --> 00:38:00,840
先生は留守であった
810
00:38:03,720 --> 00:38:04,960
二度目に行ったのは
811
00:38:05,560 --> 00:38:08,180
次の日曜だと覚えている
812
00:38:10,620 --> 00:38:11,940
これと風呂から
813
00:38:12,020 --> 00:38:15,360
身につけずこのように感じられる
814
00:38:16,140 --> 00:38:17,780
いい日和であった
815
00:38:23,460 --> 00:38:24,380
遠い日も
816
00:38:24,560 --> 00:38:26,520
先生は留守であった
817
00:38:28,720 --> 00:38:30,460
鎌倉にいた時
818
00:38:32,260 --> 00:38:33,540
私は
819
00:38:34,440 --> 00:38:36,440
先生自身の口から
820
00:38:36,600 --> 00:38:41,840
いつでも大抵家にいるということを
821
00:38:42,280 --> 00:38:42,860
聞いた
822
00:38:44,860 --> 00:38:48,040
むしろ外出嫌いだということも
823
00:38:49,100 --> 00:38:49,620
聞いた
824
00:38:51,720 --> 00:38:52,580
二度来て
825
00:38:52,580 --> 00:38:53,700
二度とも
826
00:38:54,300 --> 00:38:55,940
会えなかった私は
827
00:38:57,380 --> 00:38:59,420
その言葉を思い出して
828
00:38:59,700 --> 00:39:01,580
わけもない不満を
829
00:39:01,580 --> 00:39:03,190
どこかに感じた
830
00:39:14,720 --> 00:39:15,980
私はすぐ
831
00:39:16,980 --> 00:39:17,860
玄関先を
832
00:39:17,860 --> 00:39:18,560
さらなかった
833
00:39:20,460 --> 00:39:21,640
下女の顔を見て
834
00:39:21,640 --> 00:39:23,400
少し躊躇して
835
00:39:23,650 --> 00:39:25,260
そこに立っていた
836
00:39:31,780 --> 00:39:33,800
すると奥さんらしい人が
837
00:39:33,860 --> 00:39:35,300
変わって出てきた
838
00:39:37,160 --> 00:39:39,240
美しい奥さんであった
839
00:39:42,460 --> 00:39:43,960
私はその人から
840
00:39:44,620 --> 00:39:45,440
丁寧に
841
00:39:46,360 --> 00:39:49,660
先生の出先を教えられた先生は
842
00:39:50,460 --> 00:39:52,240
正月その日になると
843
00:39:53,160 --> 00:39:54,360
雑誌がやの
844
00:39:54,360 --> 00:39:55,240
母子にある
845
00:39:57,280 --> 00:39:57,560
ある
846
00:39:58,440 --> 00:39:59,540
跡形穴を
847
00:40:00,620 --> 00:40:01,760
抜けに行く
848
00:40:06,060 --> 00:40:07,860
習慣なのだそうである
849
00:40:09,420 --> 00:40:11,060
たった今出たばかりで
850
00:40:12,620 --> 00:40:13,700
十分になるか
851
00:40:13,860 --> 00:40:15,140
ならないかでございます
852
00:40:16,860 --> 00:40:18,860
奥さんは気の毒そうに言ってくれた
853
00:40:23,120 --> 00:40:25,060
私はえしゃくして外へ出た
854
00:40:31,080 --> 00:40:31,740
にぎやかな
855
00:40:31,740 --> 00:40:32,860
街のほうへ
856
00:40:33,560 --> 00:40:34,660
一丁ほど歩く
857
00:40:35,200 --> 00:40:35,300
と
858
00:40:39,220 --> 00:40:40,920
私も散歩がてら
859
00:40:41,900 --> 00:40:43,160
雑誌側へ
860
00:40:44,040 --> 00:40:45,560
行ってみる気になった
861
00:40:49,280 --> 00:40:51,420
先生に会えるか
862
00:40:51,420 --> 00:40:52,620
会えないかという
863
00:40:52,770 --> 00:40:54,440
好奇心が覚えていた
864
00:40:57,700 --> 00:40:58,920
それですぐに
865
00:41:02,720 --> 00:41:03,400
目ぶらした
866
00:41:12,420 --> 00:41:13,780
向こうのほうで
867
00:41:14,700 --> 00:41:16,260
でこぼこの地面を鳴らして
868
00:41:17,800 --> 00:41:19,900
新墓地をつくっている男が
869
00:41:21,720 --> 00:41:22,940
桑の手を休めて
870
00:41:24,200 --> 00:41:25,700
私たちを見ていた
871
00:41:30,380 --> 00:41:32,660
私たちはそこから
872
00:41:33,800 --> 00:41:36,480
左へ切れてすぐに
873
00:41:37,020 --> 00:41:39,200
外へ出た
874
00:41:40,580 --> 00:41:42,320
お宅へお帰りですか
875
00:41:43,760 --> 00:41:46,400
別に寄るところもありませんから
876
00:41:48,500 --> 00:41:50,060
二人はまた黙って
877
00:41:51,260 --> 00:41:53,160
南のほうへ坂を降りた
878
00:41:57,480 --> 00:41:59,380
先生のお宅の墓地は
879
00:41:59,540 --> 00:42:01,160
あそこにあるんですか
880
00:42:01,960 --> 00:42:02,220
と
881
00:42:03,720 --> 00:42:05,000
私がまた口を
882
00:42:05,000 --> 00:42:06,240
聞き出した
883
00:42:07,780 --> 00:42:08,640
いいえ
884
00:42:11,910 --> 00:42:14,380
どなたかのお墓があるんですか
885
00:42:16,460 --> 00:42:17,860
ご親類のお墓ですか
886
00:42:19,780 --> 00:42:20,560
いいえ
887
00:42:23,420 --> 00:42:25,320
先生はこれ以外に
888
00:42:26,300 --> 00:42:27,400
何も答えなかった
889
00:42:29,540 --> 00:42:30,060
すると
890
00:42:30,620 --> 00:42:32,380
一丁ほど歩いたあとで
891
00:42:33,960 --> 00:42:34,980
先生がふうに
892
00:42:34,980 --> 00:42:36,240
そこへ戻ってきた
893
00:42:40,760 --> 00:42:41,600
あそこには
894
00:42:42,520 --> 00:42:45,080
私の友達の墓があるんです
895
00:42:49,680 --> 00:42:51,760
お参りなさるんですか
896
00:42:53,340 --> 00:42:53,840
そうです
897
00:42:56,940 --> 00:42:57,920
先生はその日
898
00:42:58,720 --> 00:43:00,460
これ以外を語らなかった
899
00:43:00,700 --> 00:43:03,680
お墓お参りでもいいから
900
00:43:04,220 --> 00:43:06,540
一緒に連れて行ってください
901
00:43:08,140 --> 00:43:11,570
私もお参りをしてますから
902
00:43:18,480 --> 00:43:20,740
実際私には
903
00:43:22,020 --> 00:43:24,820
母さんと三歩との区別が
904
00:43:24,860 --> 00:43:26,360
ほとんど無意味のように
905
00:43:26,360 --> 00:43:28,820
思われたのであ
906
00:43:31,880 --> 00:43:34,060
先生の眉が
907
00:43:34,880 --> 00:43:36,220
ちょっと曇った
908
00:43:41,220 --> 00:43:43,060
天のうちにも
909
00:43:43,560 --> 00:43:44,980
異様の光が出た
910
00:43:47,160 --> 00:43:47,580
それは
911
00:43:49,260 --> 00:43:50,060
迷惑とも
912
00:43:50,060 --> 00:43:51,600
太陽とも
913
00:43:52,440 --> 00:43:53,140
ルフとも
914
00:43:53,560 --> 00:43:54,720
片付けられない
915
00:43:56,580 --> 00:43:58,680
微かな不安らしいものであった
916
00:43:59,090 --> 00:44:01,380
あなたに話すこともできない
917
00:44:02,480 --> 00:44:04,200
ある理由があって
918
00:44:05,700 --> 00:44:06,820
人と一緒に
919
00:44:07,400 --> 00:44:09,080
あそこへ墓参りには
920
00:44:09,080 --> 00:44:10,940
行きたくないのです
921
00:44:13,200 --> 00:44:14,600
自分の妻さえ
922
00:44:14,610 --> 00:44:17,460
まだ連れて行ったことがないのです
923
00:44:17,760 --> 00:44:20,860
先生は突然私に向かって聞いた
924
00:44:24,720 --> 00:44:26,320
あなたは誰と
925
00:44:26,320 --> 00:44:28,980
私の両親の
926
00:44:28,980 --> 00:44:29,680
女の子と
927
00:44:29,680 --> 00:44:31,720
行くのですか
928
00:44:33,900 --> 00:44:34,920
何でですか
929
00:44:36,460 --> 00:44:37,680
そんな特別な
930
00:44:38,580 --> 00:44:39,680
意味はありません
931
00:44:41,160 --> 00:44:43,920
しかしお邪魔なんですか
932
00:44:45,680 --> 00:44:48,100
邪魔だとは言いません
933
00:44:49,700 --> 00:44:51,960
先生と同局の
934
00:44:52,520 --> 00:44:53,780
学生などには
935
00:44:54,660 --> 00:44:55,360
時たま
936
00:44:55,960 --> 00:44:58,380
座敷で増度する場合もあったが
937
00:45:01,660 --> 00:45:03,300
彼らのいずれも
938
00:45:05,180 --> 00:45:08,120
私ほど先生に親しみを持っていないように
939
00:45:08,120 --> 00:45:08,960
見受けられた
940
00:45:13,060 --> 00:45:15,260
私は寂しい人間です
941
00:45:17,560 --> 00:45:18,680
と先生が言った
942
00:45:27,620 --> 00:45:28,300
ゆきりり
943
00:45:28,300 --> 00:45:28,600
ゆきりりです
944
00:45:28,940 --> 00:45:30,460
よろしくお願いします
945
00:45:42,120 --> 00:45:43,140
古い話である
946
00:45:46,360 --> 00:45:47,440
僕は偶然
947
00:45:48,740 --> 00:45:49,920
それが明治13年
948
00:45:49,920 --> 00:45:51,880
の出来事だということを記憶している
949
00:45:52,740 --> 00:45:54,540
上城に下宿している者は
950
00:45:55,500 --> 00:45:57,320
大抵医科大学の学生ばかりで
951
00:45:58,980 --> 00:45:59,940
その他は大学の
952
00:45:59,940 --> 00:46:01,960
付属病院に通う患者などであった
953
00:46:03,780 --> 00:46:05,260
大抵どの下宿屋にも
954
00:46:05,840 --> 00:46:08,100
特に別に幅を利かせている客があるので
955
00:46:10,020 --> 00:46:11,100
そういう客は
956
00:46:11,360 --> 00:46:12,560
第一金回りが良く
957
00:46:14,240 --> 00:46:15,220
小費が利いていて
958
00:46:16,740 --> 00:46:18,000
おかみさんが
959
00:46:18,140 --> 00:46:19,420
箱ひばもんを
960
00:46:20,700 --> 00:46:22,320
控えて座っている前に
961
00:46:22,840 --> 00:46:23,900
廊下を通るときには
962
00:46:25,660 --> 00:46:27,640
きっとこう声をかける
963
00:46:31,480 --> 00:46:34,720
時々はその箱ひばちの向こう側にしゃがんで
964
00:46:35,420 --> 00:46:36,820
世間話の一つもする
965
00:46:39,760 --> 00:46:41,060
部屋で酒盛りをして
966
00:46:41,270 --> 00:46:44,200
わざわざ魚をこしらえたり何かして
967
00:46:45,460 --> 00:46:46,960
おかみさんに面倒を見させ
968
00:46:48,320 --> 00:46:50,120
わがままをするようでいて
969
00:46:50,800 --> 00:46:52,460
わがままをするようでいて実は
970
00:46:53,180 --> 00:46:53,720
茶葉に
971
00:46:54,740 --> 00:46:55,860
得のつくようにする
972
00:47:04,940 --> 00:47:07,960
この男は岡田という学生で
973
00:47:08,480 --> 00:47:10,660
僕より一学年若いのだから
974
00:47:11,420 --> 00:47:12,220
とにかくも
975
00:47:12,220 --> 00:47:14,080
卒業に手が届いていた
976
00:47:16,360 --> 00:47:18,360
岡田がどんな男だということを
977
00:47:18,360 --> 00:47:19,440
説明するには
978
00:47:20,480 --> 00:47:21,840
その手近な
979
00:47:21,840 --> 00:47:23,580
際立った性質から
980
00:47:24,280 --> 00:47:26,160
語り始めなくてはならない
981
00:47:28,420 --> 00:47:30,520
それは美なんだということである
982
00:47:32,760 --> 00:47:33,980
色の青い
983
00:47:34,840 --> 00:47:37,220
ひょろひょろした美なんではない
984
00:47:39,440 --> 00:47:40,880
血色がよくて
985
00:47:41,560 --> 00:47:43,420
体格ががっしりしていた
986
00:47:45,920 --> 00:47:47,760
僕はあんな顔の男を
987
00:47:47,760 --> 00:47:48,560
見たことが
988
00:47:49,220 --> 00:47:50,100
ほとんどない
989
00:47:52,660 --> 00:47:54,300
強いて求めれば
990
00:47:54,860 --> 00:47:56,900
だいぶあの頃から
991
00:47:57,520 --> 00:47:58,380
後になって
992
00:47:59,620 --> 00:48:01,340
僕は青年時代の
993
00:48:01,640 --> 00:48:04,100
川上美山と心やすくなった
994
00:48:06,380 --> 00:48:07,360
あのとうとう
995
00:48:08,180 --> 00:48:09,880
急遽に落ち入って
996
00:48:10,800 --> 00:48:11,800
悲惨の最後を
997
00:48:11,800 --> 00:48:13,760
遂げた文章の川上である
998
00:48:17,840 --> 00:48:19,680
あれの青年時代が
999
00:48:20,940 --> 00:48:22,400
ちょっと岡田に似ていた
1000
00:48:25,340 --> 00:48:26,280
もっとも
1001
00:48:26,720 --> 00:48:29,700
当時競争の選手になっていた岡田は
1002
00:48:30,980 --> 00:48:33,340
体格でははるかに川上なんずに
1003
00:48:33,340 --> 00:48:34,720
勝っていたのである
1004
00:48:37,780 --> 00:48:39,580
やるだけのことをきちんとやって
1005
00:48:41,260 --> 00:48:42,620
急の注意より
1006
00:48:43,380 --> 00:48:44,900
下には下らずに
1007
00:48:45,400 --> 00:48:46,180
進んできた
1008
00:48:47,780 --> 00:48:49,080
遊ぶ時間は
1009
00:48:49,080 --> 00:48:50,240
極まって遊ぶ
1010
00:48:51,820 --> 00:48:52,640
夕食後に
1011
00:48:52,640 --> 00:48:54,380
必ず散歩に出て
1012
00:48:54,900 --> 00:48:57,390
十時前へは間違いなく帰る
1013
00:49:00,180 --> 00:49:01,380
日曜日には
1014
00:49:01,480 --> 00:49:03,260
船を漕ぎに行くか
1015
00:49:03,900 --> 00:49:05,060
そうでいないときは
1016
00:49:05,060 --> 00:49:06,420
遠足をする
1017
00:49:07,740 --> 00:49:09,220
競争前に
1018
00:49:09,500 --> 00:49:11,240
選手仲間と向こう島に
1019
00:49:11,240 --> 00:49:12,580
泊まり込んでいるとか
1020
00:49:13,340 --> 00:49:14,280
初中休暇に
1021
00:49:14,280 --> 00:49:16,320
故郷に帰るとかのほかは
1022
00:49:17,100 --> 00:49:18,630
壁どなりの部屋に
1023
00:49:18,680 --> 00:49:20,880
主人のいる時刻と
1024
00:49:21,000 --> 00:49:23,000
留守になっている時間とは
1025
00:49:23,000 --> 00:49:23,980
狂いがない
1026
00:49:25,540 --> 00:49:27,070
岡田さんをごらんなさい
1027
00:49:27,640 --> 00:49:28,840
という言葉が
1028
00:49:29,740 --> 00:49:31,120
しわしわ岡美さんの
1029
00:49:31,120 --> 00:49:32,100
口から出る
1030
00:49:36,220 --> 00:49:37,440
どうせ僕は
1031
00:49:37,440 --> 00:49:39,180
岡田くんのような
1032
00:49:39,360 --> 00:49:41,340
わけにはいかないさと
1033
00:49:42,240 --> 00:49:43,380
先を越して
1034
00:49:43,380 --> 00:49:44,660
いう学生がある
1035
00:49:46,580 --> 00:49:47,880
核のごとくにして
1036
00:49:48,660 --> 00:49:49,900
岡田はいつとなく
1037
00:49:49,900 --> 00:49:51,580
上城の標準的
1038
00:49:51,580 --> 00:49:53,180
下宿人になったのである
1039
00:49:54,980 --> 00:49:56,160
中門を出てから
1040
00:49:56,160 --> 00:49:57,920
本郷通りを歩いて
1041
00:49:58,500 --> 00:50:00,480
泡餅の曲付けをしている
1042
00:50:00,480 --> 00:50:02,100
店の前を通って
1043
00:50:03,080 --> 00:50:05,460
神田明神の境内に入る
1044
00:50:06,920 --> 00:50:10,960
そのところまで目新しかった眼鏡橋を降りて
1045
00:50:11,980 --> 00:50:13,860
柳原の片側町を
1046
00:50:13,860 --> 00:50:14,840
少し歩く
1047
00:50:17,040 --> 00:50:19,280
それからおなり道へ戻って
1048
00:50:20,180 --> 00:50:22,140
狭い西側の横丁の
1049
00:50:22,140 --> 00:50:23,490
どれかをうがって
1050
00:50:24,360 --> 00:50:26,100
やはりから立寺の
1051
00:50:26,100 --> 00:50:27,060
前に出る
1052
00:50:28,560 --> 00:50:30,580
これが一つの道筋である
1053
00:50:32,600 --> 00:50:34,320
これより他の道筋は
1054
00:50:34,320 --> 00:50:35,540
めったに歩かない
1055
00:50:37,400 --> 00:50:39,120
この散歩の途中で
1056
00:50:39,480 --> 00:50:41,820
岡田が何をするのかというと
1057
00:50:42,420 --> 00:50:44,280
ちょいちょい古本屋の店を
1058
00:50:44,280 --> 00:50:46,640
覗いて歩くくらいのものであった
1059
00:50:47,020 --> 00:50:49,180
岡田が赤門へから出て
1060
00:50:49,580 --> 00:50:50,780
右へ曲がることの
1061
00:50:50,780 --> 00:50:52,060
めったにないのは
1062
00:50:53,020 --> 00:50:56,640
一体守川町は街幅も狭く
1063
00:50:57,380 --> 00:50:58,580
窮屈なところで
1064
00:50:58,580 --> 00:50:59,960
あったからでもあるが
1065
00:51:00,720 --> 00:51:02,580
当時古本屋が西側に
1066
00:51:02,580 --> 00:51:04,320
一軒しかなかったのも
1067
00:51:04,600 --> 00:51:06,140
一つの理由であった
1068
00:51:06,880 --> 00:51:08,360
人付き合いのあまり良くない
1069
00:51:08,360 --> 00:51:09,480
立ちであったから
1070
00:51:10,380 --> 00:51:12,800
学校の校内でよく会う人にでも
1071
00:51:13,240 --> 00:51:14,600
用事がなくなっては
1072
00:51:14,600 --> 00:51:15,440
話をしない
1073
00:51:16,340 --> 00:51:19,040
それが岡田と少し心やすくなったのは
1074
00:51:19,840 --> 00:51:20,620
古本屋が
1075
00:51:20,620 --> 00:51:22,200
仲立ちをしたのである
1076
00:51:24,040 --> 00:51:26,290
奥の散歩に歩く道筋は
1077
00:51:27,280 --> 00:51:28,240
岡田のように
1078
00:51:28,240 --> 00:51:30,040
極まってはいなかったが
1079
00:51:30,780 --> 00:51:31,920
足が達者で
1080
00:51:33,360 --> 00:51:34,300
重要に
1081
00:51:34,640 --> 00:51:36,720
本郷から下や
1082
00:51:36,740 --> 00:51:38,800
神田をかけて歩いて
1083
00:51:39,560 --> 00:51:40,960
古本屋があれば
1084
00:51:41,280 --> 00:51:42,560
足を止めてみる
1085
00:51:44,320 --> 00:51:45,620
そういう時に
1086
00:51:45,620 --> 00:51:46,620
たびたび
1087
00:51:46,620 --> 00:51:48,620
岡田を見せ先で落ち合う
1088
00:51:50,180 --> 00:51:51,820
よく古本屋で出
1089
00:51:52,600 --> 00:51:53,020
くは
1090
00:51:54,600 --> 00:51:59,200
ずじゃないかということをどっちから言い出したのが
1091
00:51:59,800 --> 00:52:02,180
親しげに物を言ったはじめである
1092
00:52:06,100 --> 00:52:06,300
2
1093
00:52:09,200 --> 00:52:12,580
その頃から無縁坂の南側は
1094
00:52:12,580 --> 00:52:14,380
岩崎の屋敷であったが
1095
00:52:15,300 --> 00:52:16,300
まだ今のよう
1096
00:52:18,360 --> 00:52:18,460
な
1097
00:52:21,420 --> 00:52:23,360
かかってはなかった
1098
00:52:24,920 --> 00:52:26,060
汚い石垣が
1099
00:52:26,060 --> 00:52:27,180
気付いてあって
1100
00:52:27,900 --> 00:52:30,260
焦げ蒸した石と石との間から
1101
00:52:31,180 --> 00:52:33,060
下や杉永が覗いていた
1102
00:52:34,540 --> 00:52:36,240
この石垣の上あたりは
1103
00:52:36,240 --> 00:52:37,160
平地だが
1104
00:52:37,740 --> 00:52:39,880
それとも小山のようにでも
1105
00:52:39,880 --> 00:52:41,040
なっているのか
1106
00:52:41,740 --> 00:52:43,400
石垣の上のところに
1107
00:52:44,580 --> 00:52:45,540
雑木が生えて
1108
00:52:45,540 --> 00:52:46,980
痛いほど生えて
1109
00:52:47,060 --> 00:52:49,880
育ちたいほど育っているのが
1110
00:52:51,200 --> 00:52:51,700
往来
1111
00:52:52,620 --> 00:52:53,940
根まで見えていて
1112
00:52:54,500 --> 00:52:56,260
その根に茂っている草も
1113
00:52:56,260 --> 00:52:58,400
滅多に枯られることができなかった
1114
00:53:00,200 --> 00:53:01,960
この話の出来事のあった
1115
00:53:01,960 --> 00:53:03,200
年の9月頃
1116
00:53:03,290 --> 00:53:05,960
岡沢郷里から帰って間もなく
1117
00:53:06,680 --> 00:53:09,000
夕食後に例の散歩に出て
1118
00:53:09,220 --> 00:53:11,840
下州の古典の古い建物に
1119
00:53:11,840 --> 00:53:13,980
仮に解剖室が置いてある
1120
00:53:13,980 --> 00:53:15,060
あたりを過ぎて
1121
00:53:15,700 --> 00:53:18,060
ぶらぶら無縁坂を降りかかると
1122
00:53:18,640 --> 00:53:20,700
偶然一人の湯帰りの女が
1123
00:53:21,580 --> 00:53:23,640
下野市建物の隣の
1124
00:53:23,940 --> 00:53:25,620
寂しい家に入るのを見た
1125
00:53:27,080 --> 00:53:29,660
もう時効がだいぶ明らしくなって
1126
00:53:30,540 --> 00:53:31,600
人が進みにも
1127
00:53:31,600 --> 00:53:33,240
出ぬ頃なので
1128
00:53:33,940 --> 00:53:35,460
一時人通りの絶えた
1129
00:53:35,460 --> 00:53:37,840
坂道へ岡沢が通りかかると
1130
00:53:38,500 --> 00:53:39,420
ちょうど今例の
1131
00:53:39,420 --> 00:53:40,700
寂しい家の
1132
00:53:41,100 --> 00:53:43,050
滑走路の前へ帰って
1133
00:53:43,920 --> 00:53:46,000
扉を開けようとしていた女が
1134
00:53:46,900 --> 00:53:48,920
岡沢の下駄の音を聞いて
1135
00:53:49,540 --> 00:53:51,540
ふいと滑走路に
1136
00:53:51,540 --> 00:53:52,840
触れた手を止めて
1137
00:53:52,900 --> 00:53:55,240
振り返って岡沢との顔を
1138
00:53:55,340 --> 00:53:56,640
見合わせたのである
1139
00:53:57,560 --> 00:53:59,100
今までネズミ色の
1140
00:53:59,100 --> 00:54:01,300
闇に閉ざされていた背景から
1141
00:54:02,160 --> 00:54:03,300
白い顔が起き出した
1142
00:54:05,620 --> 00:54:07,260
しかもその顔が
1143
00:54:07,640 --> 00:54:08,400
岡沢を見て
1144
00:54:08,400 --> 00:54:10,260
微笑んでいるのである
1145
00:54:12,360 --> 00:54:15,020
それからは岡沢が散歩に出て
1146
00:54:15,520 --> 00:54:17,600
この家の前を通る度に
1147
00:54:18,260 --> 00:54:19,900
女の顔を見ぬことは
1148
00:54:20,020 --> 00:54:20,740
ほとんどない
1149
00:54:23,200 --> 00:54:25,220
岡沢の空想の量分に
1150
00:54:25,560 --> 00:54:26,860
折々この女が
1151
00:54:26,860 --> 00:54:28,200
侵入してきて
1152
00:54:28,540 --> 00:54:31,480
次第にわが物顔に立ち振る舞うようになる
1153
00:54:33,360 --> 00:54:35,560
女は自分の通るのを
1154
00:54:35,560 --> 00:54:36,700
待っているのだろうか
1155
00:54:37,960 --> 00:54:39,380
それとも何の意味もなく
1156
00:54:39,380 --> 00:54:40,740
外を見ているので
1157
00:54:41,560 --> 00:54:42,900
偶然自分と顔を
1158
00:54:42,900 --> 00:54:44,860
合わせることになるのだろうかと
1159
00:54:44,870 --> 00:54:46,260
いう疑問が起こる
1160
00:54:47,500 --> 00:54:50,960
そこで湯帰りの女の見た日を
1161
00:54:50,960 --> 00:54:52,720
前に遡って
1162
00:54:53,540 --> 00:54:54,700
あの家の窓から
1163
00:54:54,700 --> 00:54:57,220
女が顔を出していたことがあったか
1164
00:54:57,940 --> 00:54:58,880
どうかと思って
1165
00:54:58,880 --> 00:55:00,060
考えてみるか
1166
00:55:01,000 --> 00:55:01,800
無縁坂
1167
00:55:02,320 --> 00:55:04,100
の片川町で
1168
00:55:04,600 --> 00:55:05,800
一番騒がしい
1169
00:55:05,800 --> 00:55:08,200
仕立て者氏の家の隣は
1170
00:55:08,740 --> 00:55:10,780
いつもきれいに掃除をしてある
1171
00:55:10,900 --> 00:55:12,880
寂しい家であったと
1172
00:55:12,880 --> 00:55:14,900
いう記念の外には
1173
00:55:15,380 --> 00:55:16,420
何にもない
1174
00:55:17,860 --> 00:55:19,800
どんな人が住んでいるだろうかと
1175
00:55:19,800 --> 00:55:20,800
疑ったことは
1176
00:55:20,800 --> 00:55:22,180
確かにあるようだが
1177
00:55:23,220 --> 00:55:25,520
それさえ何とも解決がつかなかった
1178
00:55:27,080 --> 00:55:28,600
どうしてもあの窓は
1179
00:55:29,060 --> 00:55:31,040
いつも障子が閉まっていたり
1180
00:55:31,620 --> 00:55:33,420
すだれが降りていたりして
1181
00:55:34,340 --> 00:55:36,860
その奥はひっそりしていたようである
1182
00:55:38,620 --> 00:55:39,740
そうしてみると
1183
00:55:40,120 --> 00:55:42,880
あの女は近頃外に気をつけて
1184
00:55:43,680 --> 00:55:45,160
窓を開けて自分の
1185
00:55:46,640 --> 00:55:49,180
通るのを待っていることになったらしいと
1186
00:55:51,440 --> 00:55:53,460
岡田はとうとう判断した
1187
00:55:56,440 --> 00:55:57,280
通るたびに
1188
00:55:57,280 --> 00:55:58,460
顔を見合わせて
1189
00:55:59,360 --> 00:56:00,340
その間には
1190
00:56:01,000 --> 00:56:02,940
こんなことを思っているうちに
1191
00:56:02,940 --> 00:56:05,240
岡田は次第に窓の女に
1192
00:56:05,240 --> 00:56:06,300
親しくなって
1193
00:56:06,940 --> 00:56:09,120
二週間も経ったころで会ったが
1194
00:56:09,980 --> 00:56:11,240
ある夕方例の
1195
00:56:11,240 --> 00:56:12,820
窓の前へ通るとき
1196
00:56:13,640 --> 00:56:15,860
無意識に棒を脱いで礼をした
1197
00:56:17,580 --> 00:56:21,560
そのときおのじろい女の顔がさっと赤く染まって
1198
00:56:22,200 --> 00:56:23,800
寂しい微笑みの顔が
1199
00:56:23,800 --> 00:56:25,380
華やかな笑顔になった
1200
00:56:27,080 --> 00:56:29,580
それからは岡田は極まって
1201
00:56:29,920 --> 00:56:31,920
窓の女に礼をして通る
1202
00:56:39,380 --> 00:56:42,680
長い間自分では全然
1203
00:56:42,680 --> 00:56:45,420
安心することができることであった
1204
00:56:46,520 --> 00:56:49,060
それで窓の前から
1205
00:56:50,140 --> 00:56:51,980
女性が出入りされている
1206
00:56:52,080 --> 00:56:53,960
顔を持っていたが
1207
00:56:54,580 --> 00:56:56,840
そういう機会がなかったので
1208
00:56:57,480 --> 00:56:59,240
何よりも恐怖になった
1209
00:57:01,340 --> 00:57:03,440
そうし始めてから
1210
00:57:04,480 --> 00:57:06,160
熱心になり
1211
00:57:06,230 --> 00:57:07,620
仲間にもされて
1212
00:57:07,620 --> 00:57:09,980
選手になるほどの進歩をしたのは
1213
00:57:10,600 --> 00:57:12,600
岡田のこの一面の意思が
1214
00:57:12,600 --> 00:57:14,020
発展したのであった
1215
00:57:16,120 --> 00:57:18,740
岡田は窓の女に
1216
00:57:18,740 --> 00:57:20,820
委釈をするようになってから
1217
00:57:20,820 --> 00:57:22,900
よほど親しくなっても
1218
00:57:22,940 --> 00:57:24,800
その女の身の上を
1219
00:57:24,800 --> 00:57:26,800
探ってみようともしなかった
1220
00:57:28,120 --> 00:57:30,120
無論家への様子や
1221
00:57:30,120 --> 00:57:31,900
女の身なりで
1222
00:57:31,900 --> 00:57:33,940
かっこいいものだろうとは察した
1223
00:57:36,700 --> 00:57:40,220
しかし別段それを不快にも思わない
1224
00:57:41,240 --> 00:57:42,440
名も知らぬが
1225
00:57:42,440 --> 00:57:44,220
強いて知ろうともしない
1226
00:57:45,420 --> 00:57:46,820
表札を見たら
1227
00:57:47,240 --> 00:57:48,460
名がわかるだろうと
1228
00:57:48,460 --> 00:57:49,900
思ったこともあるが
1229
00:57:50,380 --> 00:57:52,100
窓に女のいるときは
1230
00:57:52,100 --> 00:57:53,460
女に遠慮する
1231
00:57:55,300 --> 00:57:56,780
そうでないときは
1232
00:57:56,780 --> 00:57:58,040
近所の人や
1233
00:57:58,090 --> 00:58:00,680
往来の人の一目をはど
1234
00:58:02,840 --> 00:58:03,640
とうとう
1235
00:58:04,000 --> 00:58:05,680
日差しの陰になっている
1236
00:58:05,680 --> 00:58:07,340
小さき木札に
1237
00:58:07,340 --> 00:58:09,180
どんな字が書いているか
1238
00:58:09,180 --> 00:58:10,740
見ずにいたのである
1239
00:58:14,760 --> 00:58:17,080
折々見たことのある女である
1240
00:58:18,940 --> 00:58:19,940
土ぶ板の
1241
00:58:19,970 --> 00:58:21,760
いつも壊れ果てている
1242
00:58:21,760 --> 00:58:22,480
あたりに
1243
00:58:23,060 --> 00:58:25,120
年中戸が半分閉めてある
1244
00:58:25,540 --> 00:58:27,260
薄暗い家があって
1245
00:58:27,260 --> 00:58:30,180
夜その前を通ってみれば
1246
00:58:30,560 --> 00:58:31,760
軒下に車に
1247
00:58:31,760 --> 00:58:34,120
ついた屋台が引き込んであるので
1248
00:58:35,120 --> 00:58:36,060
そうでなくても
1249
00:58:36,060 --> 00:58:37,300
狭い路地を
1250
00:58:37,580 --> 00:58:38,940
体を斜めにして
1251
00:58:38,940 --> 00:58:40,580
通らなくてはならない
1252
00:58:42,660 --> 00:58:44,500
貧しそうな家には水
1253
00:58:45,240 --> 00:58:47,910
この娘がいつも身綺麗にしていて
1254
00:58:48,460 --> 00:58:50,200
着物は小さっぱりとした
1255
00:58:50,200 --> 00:58:51,500
ものを着ていた
1256
00:58:52,520 --> 00:58:53,680
戸口にいても
1257
00:58:53,730 --> 00:58:55,240
人が通るとすぐ
1258
00:58:55,240 --> 00:58:57,880
薄暗い家の中へ引っ込んでしまう
1259
00:58:58,800 --> 00:59:00,680
当時の流行語でいうと
1260
00:59:01,320 --> 00:59:02,380
開花というものが
1261
00:59:02,380 --> 00:59:04,720
襲ってきたのか
1262
00:59:05,200 --> 00:59:06,340
半分壊れて
1263
00:59:06,340 --> 00:59:08,740
半分跳ね返っている
1264
00:59:08,740 --> 00:59:11,000
土ぶ板が張り替えられたり
1265
00:59:11,000 --> 00:59:14,700
入口の模様替えができて新しい
1266
00:59:15,740 --> 00:59:17,900
指導が立てられたりした
1267
00:59:19,080 --> 00:59:21,680
ある時入口に靴の脱いでいる
1268
00:59:21,680 --> 00:59:23,340
あるのを見た
1269
00:59:23,380 --> 00:59:25,280
それから間もなく
1270
00:59:25,280 --> 00:59:27,600
この家の戸口に
1271
00:59:27,750 --> 00:59:31,340
新しい表札が打たれたのを見ると
1272
00:59:31,780 --> 00:59:33,360
巡査何の何がしと
1273
00:59:33,360 --> 00:59:34,460
書いてあった
1274
00:59:35,660 --> 00:59:37,740
製造は松永町から
1275
00:59:37,740 --> 00:59:39,660
中岡町町へかけて
1276
00:59:40,380 --> 00:59:42,540
いろいろな買い物をして回る
1277
00:59:42,540 --> 00:59:44,920
間にまた探る
1278
00:59:44,920 --> 00:59:46,380
ともなしに
1279
00:59:46,640 --> 00:59:49,120
飴屋の爺さんの家へ
1280
00:59:49,120 --> 00:59:50,940
向こう入りのあったことを
1281
00:59:50,940 --> 00:59:51,840
確かめた
1282
00:59:53,220 --> 00:59:54,940
表札にあった巡査が
1283
00:59:54,940 --> 00:59:56,520
その向こうなのである
1284
00:59:57,880 --> 00:59:59,800
お玉を目の玉よりも
1285
00:59:59,800 --> 01:00:01,100
大切にしていた
1286
01:00:01,100 --> 01:00:04,220
爺さんは怖い顔のお巡りさんに
1287
01:00:04,220 --> 01:00:05,680
娘を渡すのを
1288
01:00:06,140 --> 01:00:08,940
天狗にでもされるように思い
1289
01:00:08,940 --> 01:00:10,320
その向子殿が
1290
01:00:10,320 --> 01:00:13,100
自分の家へ入り込んでくるのを
1291
01:00:13,340 --> 01:00:15,580
この上もなく窮屈に思って
1292
01:00:16,540 --> 01:00:18,160
平静心やすくする
1293
01:00:18,160 --> 01:00:20,400
誰かに相談したが
1294
01:00:21,060 --> 01:00:23,120
一人も断ってしまえと
1295
01:00:23,120 --> 01:00:24,960
はっきり言ってくれる
1296
01:00:24,960 --> 01:00:26,580
ものがなかった
1297
01:00:27,560 --> 01:00:29,340
それを見たことが
1298
01:00:30,560 --> 01:00:32,300
こっちとらが
1299
01:00:32,300 --> 01:00:35,300
いいところへ世話をしようと言うのに
1300
01:00:35,780 --> 01:00:36,980
一人娘だから
1301
01:00:36,980 --> 01:00:40,480
出されぬのなのと
1302
01:00:40,480 --> 01:00:42,660
面倒なことを言っていて
1303
01:00:43,100 --> 01:00:46,680
とうとうそんなことを二回
1304
01:00:47,660 --> 01:00:49,340
娘さんが来るようになった
1305
01:00:49,340 --> 01:00:50,580
というものもある
1306
01:00:51,600 --> 01:00:52,920
お前方の方で
1307
01:00:52,920 --> 01:00:53,840
嫌なのなら
1308
01:00:53,840 --> 01:00:55,660
遠いところへでも
1309
01:00:55,660 --> 01:00:58,100
越すより他あるまいか
1310
01:00:58,820 --> 01:01:00,460
相手がお巡りさんで
1311
01:01:00,460 --> 01:01:02,400
見るとすぐに
1312
01:01:02,400 --> 01:01:04,600
どこへ越したということを
1313
01:01:04,600 --> 01:01:06,640
調べてその先へ
1314
01:01:06,640 --> 01:01:07,900
駆け合う
1315
01:01:09,000 --> 01:01:12,060
だろうからどうも逃げ押せることは
1316
01:01:12,060 --> 01:01:14,920
できまいとなんすように
1317
01:01:16,560 --> 01:01:17,800
いうものもある
1318
01:01:18,740 --> 01:01:20,220
中にも一番
1319
01:01:20,220 --> 01:01:23,700
わかりのいいという
1320
01:01:26,520 --> 01:01:27,740
評判のおかみさんの
1321
01:01:27,740 --> 01:01:28,700
話がこうだ
1322
01:01:29,860 --> 01:01:32,060
あの子はあんないい気量で
1323
01:01:32,060 --> 01:01:34,240
お師匠さんも芸ができると
1324
01:01:34,240 --> 01:01:35,900
言って褒めておるだから
1325
01:01:36,070 --> 01:01:38,500
早く芸者の下仕込みを
1326
01:01:38,500 --> 01:01:39,160
お出しと
1327
01:01:39,720 --> 01:01:42,240
私がそう言ったじゃありませんか
1328
01:01:43,540 --> 01:01:44,300
一人ものの
1329
01:01:44,300 --> 01:01:46,200
お巡りさんと来た日は
1330
01:01:46,220 --> 01:01:48,540
一軒一軒見てまわるのだから
1331
01:01:48,540 --> 01:01:50,860
小柄のいいの
1332
01:01:50,860 --> 01:01:52,340
家に置くと
1333
01:01:52,340 --> 01:01:54,200
嫌おうなしに
1334
01:01:54,200 --> 01:01:57,080
連れて行ってしまいなさる
1335
01:01:57,900 --> 01:01:58,900
どうもそういう
1336
01:01:58,900 --> 01:02:00,900
方に見込まれたのは
1337
01:02:01,030 --> 01:02:02,820
不運だと諦めるより
1338
01:02:02,820 --> 01:02:04,320
しかたがないね
1339
01:02:04,320 --> 01:02:06,960
というようなことを言ったそうだ
1340
01:02:10,880 --> 01:02:13,860
さっさと引っ越すのだというのである
1341
01:02:15,360 --> 01:02:16,620
ばあさんはそれが
1342
01:02:16,620 --> 01:02:17,700
嫌でならぬので
1343
01:02:17,700 --> 01:02:20,480
知らぬ人にも夫の壁を
1344
01:02:20,480 --> 01:02:24,340
訴訟するこの家なんぞもまだこんなに
1345
01:02:24,340 --> 01:02:25,440
きれいなのに
1346
01:02:25,520 --> 01:02:27,640
もうゴスと
1347
01:02:29,060 --> 01:02:30,920
ございますよと言って
1348
01:02:31,480 --> 01:02:33,560
家中を細かに見せてくれた
1349
01:02:33,790 --> 01:02:35,460
どこからどこまで
1350
01:02:35,560 --> 01:02:38,680
かなりきれいに掃除がしてある
1351
01:02:39,440 --> 01:02:41,480
製造はちょっと
1352
01:02:42,460 --> 01:02:43,280
どうも
1353
01:02:43,960 --> 01:02:45,660
しききんてやちん
1354
01:02:45,660 --> 01:02:48,220
とのさはいのなとを
1355
01:02:48,520 --> 01:02:49,760
手帳に書き
1356
01:02:49,760 --> 01:02:50,980
とめて出た
1357
01:02:51,300 --> 01:02:53,540
いまひとつは無縁坂の
1358
01:02:53,540 --> 01:02:54,920
中ほどにある
1359
01:02:54,920 --> 01:02:56,140
小家である
1360
01:02:57,620 --> 01:02:58,860
それは普段も
1361
01:02:58,860 --> 01:03:00,800
何も出ていなかったが
1362
01:03:00,810 --> 01:03:03,180
売りに出たのを聞いて
1363
01:03:03,180 --> 01:03:04,560
見に行った
1364
01:03:05,280 --> 01:03:07,720
着物なんぞはどうでもしてやる
1365
01:03:07,830 --> 01:03:11,840
待てよばかな手にを使ってはならないぞ
1366
01:03:11,840 --> 01:03:13,440
土流れになって
1367
01:03:13,440 --> 01:03:15,200
立派なものがある
1368
01:03:18,460 --> 01:03:19,800
そこで清掃には
1369
01:03:19,800 --> 01:03:21,660
この他にこれという
1370
01:03:21,660 --> 01:03:22,900
道楽がない
1371
01:03:24,020 --> 01:03:25,440
減少日なんぞに
1372
01:03:25,440 --> 01:03:27,350
かかり合ったこともなければ
1373
01:03:27,700 --> 01:03:29,860
料理屋を飲んで歩いたこともない
1374
01:03:31,760 --> 01:03:34,000
お玉さんのばかりならいいが
1375
01:03:34,000 --> 01:03:36,060
チーさんの支度までして
1376
01:03:36,060 --> 01:03:38,200
やらなくてはならないことになった
1377
01:03:39,480 --> 01:03:39,900
これは
1378
01:03:40,480 --> 01:03:42,540
これには中に居たって
1379
01:03:42,540 --> 01:03:45,300
口をきいたばあさんも
1380
01:03:46,120 --> 01:03:46,780
スコール
1381
01:03:47,560 --> 01:03:48,260
切るし
1382
01:03:49,700 --> 01:03:50,560
だが
1383
01:03:51,240 --> 01:03:52,360
チーさんの
1384
01:03:52,360 --> 01:03:53,840
言うことは
1385
01:03:53,840 --> 01:03:56,620
娘が一文にもなく同意するので
1386
01:03:56,620 --> 01:03:57,920
それを強いて
1387
01:03:57,920 --> 01:04:00,780
抑えようとすると
1388
01:04:00,780 --> 01:04:02,100
根本的に
1389
01:04:02,100 --> 01:04:04,380
断端が破裂しないにも限らぬ
1390
01:04:04,380 --> 01:04:06,280
という状況になったから
1391
01:04:06,280 --> 01:04:07,320
仕方がない
1392
01:04:07,320 --> 01:04:09,620
チーさんの申し分は
1393
01:04:09,620 --> 01:04:11,040
ずっとこうであった
1394
01:04:11,110 --> 01:04:13,220
お玉は私の大事な
1395
01:04:13,220 --> 01:04:14,200
一人娘で
1396
01:04:14,270 --> 01:04:17,200
それもよその一人娘とは違って
1397
01:04:17,200 --> 01:04:19,440
私の身寄り
1398
01:04:19,440 --> 01:04:23,540
というものはあれより他に一人もない
1399
01:04:24,380 --> 01:04:27,620
私は亡くなった女房一人を頼りにして
1400
01:04:27,620 --> 01:04:29,040
寂しい生涯を
1401
01:04:29,040 --> 01:04:30,180
送ったものだが
1402
01:04:30,460 --> 01:04:33,180
その女房が三十を越してう
1403
01:04:34,580 --> 01:04:36,880
いさんでお玉を産んでおいて
1404
01:04:36,970 --> 01:04:38,960
とうとうそれがやぶつきで
1405
01:04:38,960 --> 01:04:40,660
亡くなった
1406
01:04:45,600 --> 01:04:46,980
育っていると
1407
01:04:46,980 --> 01:04:49,160
やっと四月ばかりになった時
1408
01:04:49,160 --> 01:04:50,840
江戸中に流行った
1409
01:04:50,840 --> 01:04:51,980
ハシカになって
1410
01:04:51,980 --> 01:04:54,040
お医者が見切ってしまったの
1411
01:04:54,110 --> 01:04:57,320
私は商売も何も投げ出して
1412
01:04:57,320 --> 01:05:00,520
逮捕してやっと命を取り留めた
1413
01:05:01,680 --> 01:05:04,180
世間は物騒な最中で
1414
01:05:04,180 --> 01:05:08,880
愛愛様がお殺されになって
1415
01:05:09,840 --> 01:05:13,640
二年目七脱ぎで西洋人が
1416
01:05:13,640 --> 01:05:15,340
斬られたという年であった
1417
01:05:15,340 --> 01:05:17,740
それからというものは
1418
01:05:17,920 --> 01:05:20,960
見せも何もなくしてしまった私が
1419
01:05:21,800 --> 01:05:22,360
何
1420
01:05:26,200 --> 01:05:28,960
死んでしまうかと思ったの
1421
01:05:28,960 --> 01:05:30,700
小さい手で
1422
01:05:30,700 --> 01:05:32,200
私の胸を
1423
01:05:32,700 --> 01:05:36,760
大きい目で
1424
01:05:38,680 --> 01:05:41,140
私の顔を見て笑う
1425
01:05:41,400 --> 01:05:42,820
可愛いお玉を
1426
01:05:43,380 --> 01:05:46,740
一緒に殺す気にならない
1427
01:05:46,740 --> 01:05:48,740
ばかりにできない
1428
01:05:48,740 --> 01:05:49,700
我慢をして
1429
01:05:50,820 --> 01:05:53,100
一日一日
1430
01:05:55,980 --> 01:05:57,600
命を繋いで
1431
01:06:02,560 --> 01:06:03,560
私はこれまでにして
1432
01:06:03,560 --> 01:06:05,140
動けた頭を
1433
01:06:05,140 --> 01:06:05,960
見せれば
1434
01:06:05,960 --> 01:06:06,980
この少女やら
1435
01:06:06,980 --> 01:06:09,820
両手で女物質の子供を
1436
01:06:09,820 --> 01:06:11,560
慰めようとして
1437
01:06:12,860 --> 01:06:13,980
私は
1438
01:06:14,600 --> 01:06:17,140
悔しくて悔しくてなかった
1439
01:06:19,600 --> 01:06:21,340
幸せの人には
1440
01:06:21,340 --> 01:06:23,560
いい娘だと言って
1441
01:06:23,560 --> 01:06:25,320
このままでいて
1442
01:06:25,330 --> 01:06:27,140
くださるあなただから
1443
01:06:27,300 --> 01:06:28,880
どうか借りな人に
1444
01:06:28,880 --> 01:06:30,140
やりたいと思っても
1445
01:06:30,140 --> 01:06:32,700
私という親があるので
1446
01:06:32,700 --> 01:06:34,820
何ももらうとは言ってくれない
1447
01:06:35,580 --> 01:06:37,400
それでも囲い物や
1448
01:06:39,660 --> 01:06:40,720
寝かけには
1449
01:06:41,380 --> 01:06:42,660
どんなことがあっても
1450
01:06:42,660 --> 01:06:44,420
出せないと思っていたが
1451
01:06:44,560 --> 01:06:47,700
固い旦那とお前さん方が
1452
01:06:47,700 --> 01:06:48,980
おっしゃってから
1453
01:06:48,980 --> 01:06:50,600
お玉も来年は
1454
01:06:50,600 --> 01:06:52,720
二十歳になるしあまりに
1455
01:06:55,400 --> 01:06:58,120
立たないうちにどうかして
1456
01:06:59,060 --> 01:07:00,100
やりたさに
1457
01:07:00,100 --> 01:07:01,300
とうとう私は
1458
01:07:01,800 --> 01:07:05,080
折れあったのだ
1459
01:07:06,160 --> 01:07:07,820
そうした大事なお玉を
1460
01:07:07,820 --> 01:07:08,880
あげるのだから
1461
01:07:10,780 --> 01:07:12,020
ぜひ私が
1462
01:07:12,020 --> 01:07:13,940
一緒に出て旦那に
1463
01:07:13,940 --> 01:07:16,080
お目にかからなくてはならぬ
1464
01:07:16,080 --> 01:07:17,420
と言うのである
1465
01:07:18,480 --> 01:07:21,280
この話を持ち込まれたとき
1466
01:07:21,400 --> 01:07:22,360
スエゾウが
1467
01:07:22,360 --> 01:07:25,600
自分の思惑の少し違ってきたのを
1468
01:07:25,600 --> 01:07:26,780
飽きたらず思った
1469
01:07:27,600 --> 01:07:28,720
それはお玉を
1470
01:07:28,720 --> 01:07:31,120
松原に連れてきてもらったら
1471
01:07:31,120 --> 01:07:33,000
世話をするばあさんをなる
1472
01:07:33,440 --> 01:07:35,200
だけ早く返してしまって
1473
01:07:35,200 --> 01:07:37,200
お玉と差し迎えになって
1474
01:07:37,200 --> 01:07:38,820
楽しもうと思った手が
1475
01:07:38,820 --> 01:07:40,580
外れそうになったからである
1476
01:07:41,340 --> 01:07:43,400
どうも父親が一緒に
1477
01:07:43,400 --> 01:07:44,360
来るとなると
1478
01:07:44,500 --> 01:07:47,540
意外に晴れがましいことになりそうである
1479
01:07:48,300 --> 01:07:49,740
スエゾウ自身も
1480
01:07:49,740 --> 01:07:51,580
一種の晴れがましい心を
1481
01:07:51,580 --> 01:07:52,660
持ち合しているが
1482
01:07:53,620 --> 01:07:55,660
それほど物堅い親子が
1483
01:07:55,660 --> 01:07:57,400
揃ってくるとなると
1484
01:07:57,500 --> 01:07:59,640
松原での初対面は
1485
01:07:59,640 --> 01:08:00,820
なんとなく向こうが
1486
01:08:00,820 --> 01:08:03,180
中途に検査する
1487
01:08:03,400 --> 01:08:05,520
というふうになりそうなので
1488
01:08:05,960 --> 01:08:07,840
その方角の変わった
1489
01:08:07,840 --> 01:08:09,170
晴れがましさは
1490
01:08:09,360 --> 01:08:10,860
スエゾウの念した
1491
01:08:11,420 --> 01:08:14,120
頭に一尺も
1492
01:08:14,120 --> 01:08:16,040
冷静浴びさせたのである
1493
01:08:16,540 --> 01:08:18,000
しかしスエゾウは
1494
01:08:18,000 --> 01:08:21,060
あかまで立派な実業家だという
1495
01:08:21,680 --> 01:08:22,859
触れ込みを
1496
01:08:25,359 --> 01:08:26,580
してはならぬ
1497
01:08:26,580 --> 01:08:27,979
と思っているので
1498
01:08:27,979 --> 01:08:29,500
先方へは
1499
01:08:33,020 --> 01:08:36,120
とうとう二人の支度を引き抜けた
1500
01:08:36,920 --> 01:08:38,000
それにはお玉を
1501
01:08:38,000 --> 01:08:39,340
手に入れた上では
1502
01:08:39,399 --> 01:08:41,939
どうせ親父の身の上も捨てては
1503
01:08:41,939 --> 01:08:43,240
置かれぬものだから
1504
01:08:43,240 --> 01:08:45,060
ただ後でするが
1505
01:08:45,060 --> 01:08:46,880
先になるにすぎぬという
1506
01:08:46,880 --> 01:08:48,460
あきらめも手伝って
1507
01:08:48,460 --> 01:08:51,080
スエゾウに決心させたのである
1508
01:08:53,939 --> 01:08:56,040
初めて座ったときは
1509
01:08:56,040 --> 01:08:58,100
少し熱いように思ったが
1510
01:08:58,100 --> 01:08:59,880
しばらくたつと
1511
01:09:00,160 --> 01:09:03,779
台所や便所のあたりを通って
1512
01:09:03,779 --> 01:09:05,220
いろいろなものが
1513
01:09:05,220 --> 01:09:07,960
かすかに帯びた風が
1514
01:09:07,960 --> 01:09:09,420
廊下の方から
1515
01:09:09,939 --> 01:09:11,720
追い追い吹いてきて
1516
01:09:11,720 --> 01:09:13,460
そばに序中の置いていた
1517
01:09:13,460 --> 01:09:15,520
汚れた内輪の
1518
01:09:15,520 --> 01:09:18,420
手に取るに及ばぬくらいであった
1519
01:09:19,140 --> 01:09:19,920
スエゾウは
1520
01:09:19,920 --> 01:09:21,939
床の間の柱に寄りかかって
1521
01:09:21,939 --> 01:09:23,720
煙草の煙を
1522
01:09:24,939 --> 01:09:26,569
に吹きつづく
1523
01:09:27,720 --> 01:09:29,720
苦しんできたのに
1524
01:09:30,500 --> 01:09:32,040
色の浅黒い
1525
01:09:32,040 --> 01:09:33,720
鋭い目に愛嬌のある
1526
01:09:33,720 --> 01:09:35,580
木造が上品に
1527
01:09:35,620 --> 01:09:37,600
目立たぬ好みの支度を
1528
01:09:37,600 --> 01:09:38,760
しているのを見て
1529
01:09:38,760 --> 01:09:40,899
捨てた命を拾ったように
1530
01:09:40,899 --> 01:09:41,939
思ってこれを
1531
01:09:41,939 --> 01:09:43,920
あせつなの満足を覚えた
1532
01:09:43,920 --> 01:09:46,600
スエゾウは爺さんに
1533
01:09:46,700 --> 01:09:48,740
ずっとあっちへお通りなすって
1534
01:09:48,740 --> 01:09:50,859
くださいと丁寧に言って
1535
01:09:50,859 --> 01:09:53,319
座敷の方を呼びさしながら
1536
01:09:53,319 --> 01:09:54,800
目をお玉さんの方へ
1537
01:09:54,800 --> 01:09:56,480
移してさーっと
1538
01:09:56,480 --> 01:10:00,700
促したそして二人を座敷へ入れて
1539
01:10:00,700 --> 01:10:03,280
置いて世話をする
1540
01:10:04,580 --> 01:10:06,940
お母さんを肩かげに
1541
01:10:06,940 --> 01:10:07,460
手を読んで
1542
01:10:07,460 --> 01:10:10,320
紙に包んだものを
1543
01:10:10,320 --> 01:10:12,840
手に握らせて
1544
01:10:12,840 --> 01:10:14,940
なにやらささや
1545
01:10:14,940 --> 01:10:18,020
いたお母さんは
1546
01:10:18,020 --> 01:10:19,920
おはぐを剥がした
1547
01:10:19,920 --> 01:10:22,420
あとの汚い歯を見せて
1548
01:10:23,100 --> 01:10:25,760
ああ真面目な人を
1549
01:10:25,760 --> 01:10:28,300
馬鹿にしたような笑いを
1550
01:10:28,960 --> 01:10:30,300
笑い合いをして
1551
01:10:30,820 --> 01:10:32,240
頭をむさんで
1552
01:10:34,600 --> 01:10:35,380
そしてその
1553
01:10:36,880 --> 01:10:38,600
引き返していった
1554
01:10:39,970 --> 01:10:41,020
座敷に
1555
01:10:43,160 --> 01:10:45,440
座敷に帰って
1556
01:10:47,200 --> 01:10:47,720
ああ
1557
01:10:48,240 --> 01:10:50,140
座敷に帰って
1558
01:10:50,140 --> 01:10:53,420
親子のものを遠慮して
1559
01:10:54,240 --> 01:10:56,120
入り口にひとかたまり
1560
01:10:56,120 --> 01:10:57,620
になっているのを見て
1561
01:10:58,240 --> 01:11:00,320
スエゾウは愛想をよく
1562
01:11:00,320 --> 01:11:01,720
咳をすすめさせて
1563
01:11:02,260 --> 01:11:04,160
待っていた女中に料理の
1564
01:11:04,160 --> 01:11:06,620
呪文をしたまもなく
1565
01:11:07,640 --> 01:11:11,100
まもなくお年をそっと
1566
01:11:11,820 --> 01:11:13,380
酒が出たので
1567
01:11:13,430 --> 01:11:16,140
ジェイフに杯をすすめて
1568
01:11:16,140 --> 01:11:17,880
物を言ってみると
1569
01:11:17,880 --> 01:11:19,000
物はさしさ
1570
01:11:20,380 --> 01:11:22,040
そう安心な暮らしを
1571
01:11:22,040 --> 01:11:23,360
しただけあって
1572
01:11:24,440 --> 01:11:26,360
あらかにみなりを
1573
01:11:26,360 --> 01:11:28,000
知られて座敷へ
1574
01:11:28,000 --> 01:11:30,220
通った人のようでなかった
1575
01:11:30,820 --> 01:11:33,480
最初はじいさんを邪魔にして
1576
01:11:33,480 --> 01:11:34,480
いらだたしく
1577
01:11:34,480 --> 01:11:38,080
いらだたしたような
1578
01:11:38,080 --> 01:11:39,560
心持ちになっていた
1579
01:11:39,560 --> 01:11:41,840
スエゾウも次第に感情を
1580
01:11:41,840 --> 01:11:42,920
誘惑させられて
1581
01:11:43,420 --> 01:11:45,080
全く予想しなかった
1582
01:11:45,620 --> 01:11:48,200
しんみりした話をすることになった
1583
01:11:48,760 --> 01:11:49,940
そしてスエゾウは
1584
01:11:49,940 --> 01:11:51,460
自分の持っている限りの
1585
01:11:51,460 --> 01:11:53,420
あらゆる善良な性質を
1586
01:11:53,420 --> 01:11:56,030
持っていらすことを務めながら
1587
01:11:56,080 --> 01:11:58,560
心の奥はおとなしい木立ての
1588
01:11:58,560 --> 01:12:00,360
お玉に信頼する根を
1589
01:12:00,360 --> 01:12:02,580
おこさしめるには
1590
01:12:02,580 --> 01:12:05,680
この上もない適当な
1591
01:12:07,280 --> 01:12:08,260
木ぐらいが
1592
01:12:08,260 --> 01:12:10,700
偶然に生じてきたのを喜んだ
1593
01:12:11,400 --> 01:12:14,000
料理が運ばれた頃には一座は
1594
01:12:14,000 --> 01:12:15,540
なんとなく一家のものが
1595
01:12:15,540 --> 01:12:17,240
湯煎に出ていて
1596
01:12:17,880 --> 01:12:20,400
料理屋に
1597
01:12:20,630 --> 01:12:22,000
立ち寄ったかと
1598
01:12:22,000 --> 01:12:24,120
思われるような様子になっていた
1599
01:12:35,700 --> 01:12:36,700
スエゾウは
1600
01:12:36,700 --> 01:12:37,820
自分の持っている
1601
01:12:38,430 --> 01:12:39,000
根をおこさしめるには
1602
01:12:39,040 --> 01:12:41,420
適当な木立ての
1603
01:12:41,430 --> 01:12:41,790
お玉に信頼する根を
1604
01:12:41,820 --> 01:12:42,080
湯煎に出ていて
1605
01:12:42,080 --> 01:12:42,140
料理屋に立ち寄ったかと
1606
01:12:42,140 --> 01:12:42,140
思われるような様子
1607
01:12:46,180 --> 01:12:50,040
になっていたスエゾウ
1608
01:12:53,880 --> 01:12:55,630
は自分の持っている
1609
01:13:20,080 --> 01:13:24,060
根をおこさしめるには
1610
01:13:52,760 --> 01:13:52,980
スエゾウは
1611
01:13:52,980 --> 01:13:53,060
お玉に信頼する根を
1612
01:13:53,060 --> 01:13:53,100
お玉に立ち寄ったかと
1613
01:13:53,100 --> 01:13:53,510
スエゾウは
1614
01:14:18,160 --> 01:14:19,220
ス
1615
01:14:20,140 --> 01:14:20,380
エゾ
1616
01:14:20,940 --> 01:14:22,220
ウはお玉にお玉に立ち寄ったかと
1617
01:14:22,940 --> 01:14:23,660
スエゾウは
1618
01:14:40,660 --> 01:14:40,900
司会者さん、ただしつき間違いに 気づ
1619
01:14:40,900 --> 01:14:41,300
かず、2日目の撮影を続けようとしています。
1620
01:14:41,300 --> 01:14:41,500
司会者さん、早速じゃあ撮影を始めましょうか。
1621
01:14:41,500 --> 01:14:48,580
撮影中の撮影のみが長い
1622
01:14:48,580 --> 01:14:48,660
のですが、 長くなってきたのはどうでしょうか?
1623
01:14:50,300 --> 01:14:52,940
1日終わって今、撤収中なんですけども、
1624
01:14:53,380 --> 01:14:55,100
撤収しながら柿してもらおうかな
1625
01:14:56,440 --> 01:14:57,610
と思っているんですけども、
1626
01:14:58,220 --> 01:15:00,760
完全にこっちはもうマグロみたいな感じで、
1627
01:15:01,870 --> 01:15:06,000
襲っちゃうくらいの感じでやって欲しいなと思うんですけども。
1628
01:15:06,000 --> 01:15:06,600
あ、私が襲うんです。
1629
01:15:06,760 --> 01:15:07,700
そう、もう30分くらいです。
1630
01:15:09,520 --> 01:15:09,780
いいですか?
1631
01:15:10,180 --> 01:15:10,320
はい。
1632
01:15:11,200 --> 01:15:11,720
じゃあお願いします。
1633
01:15:11,960 --> 01:15:12,120
はい。
1634
01:15:12,620 --> 01:15:12,920
どうぞ。
1635
01:15:31,080 --> 01:16:22,000
はい。
1636
01:16:24,780 --> 01:16:25,660
気持ちいいですね。
1637
01:16:26,940 --> 01:16:27,040
はい。
1638
01:16:40,380 --> 01:16:41,180
ちょっと水をちょうだい。
1639
01:16:41,320 --> 01:16:42,200
水をちょうだい。
1640
01:17:07,500 --> 01:17:08,340
はい。
1641
01:17:47,240 --> 01:17:47,440
水
1642
01:17:48,640 --> 01:17:48,640
をちょうだい。
1643
01:17:58,380 --> 01:17:58,620
はい。
1644
01:18:38,000 --> 01:18:38,980
出来た。
1645
01:18:39,880 --> 01:18:40,140
はい。
1646
01:18:40,300 --> 01:18:40,880
私も飲みます。
1647
01:18:42,400 --> 01:18:42,480
はい。
1648
01:18:44,400 --> 01:18:45,020
おいしいね。
1649
01:18:48,660 --> 01:18:48,760
はい。
1650
01:18:58,120 --> 01:19:00,050
気持ちいいですね。
1651
01:19:12,960 --> 01:19:13,420
ごめんなさい。
1652
01:19:13,900 --> 01:19:14,540
はい。
1653
01:19:34,440 --> 01:19:36,600
気持ちいいですね。
1654
01:19:46,280 --> 01:19:47,420
気持ちいい。
1655
01:19:47,420 --> 01:20:05,600
なんで?
1656
01:20:22,940 --> 01:20:42,220
気持ちいい。
1657
01:20:42,220 --> 01:20:43,380
ちょっと水をちょうだい。
1658
01:20:56,160 --> 01:20:57,000
はい。
1659
01:21:12,240 --> 01:21:30,460
ビビるって。
1660
01:21:31,020 --> 01:21:31,140
はい。
1661
01:21:31,600 --> 01:21:31,800
食べて。
1662
01:21:53,620 --> 01:21:54,880
ここで食べて。
1663
01:21:55,140 --> 01:21:55,920
ここで?
1664
01:21:58,560 --> 01:21:58,960
食べ
1665
01:21:59,480 --> 01:22:00,000
るよ。
1666
01:22:24,140 --> 01:22:38,140
ごめんなさい。
1667
01:23:03,100 --> 01:23:03,920
ご
1668
01:23:04,580 --> 01:23:06,980
めんなさい。
1669
01:23:18,320 --> 01:23:18,560
ああ、
1670
01:23:29,640 --> 01:23:31,000
もっときつく飲んで。
1671
01:23:37,520 --> 01:23:40,160
腰が止まれん。
1672
01:23:40,160 --> 01:23:40,700
気持ちいい。
1673
01:23:42,100 --> 01:23:42,860
ああ、イヤー。
1674
01:23:43,900 --> 01:23:47,400
腰が止まる。
1675
01:24:57,400 --> 01:24:57,980
ああ
1676
01:24:58,940 --> 01:24:59,420
・・・
1677
01:25:02,620 --> 01:25:04,800
気持ちいい・・・
1678
01:25:28,000 --> 01:25:31,500
💐💀💩💥💫💥💩💥💫💪💜
1679
01:25:35,700 --> 01:25:37,100
♡💬💙💪💀
1680
01:25:42,360 --> 01:25:42,920
💥💩💨💗💥💥💥…!
1681
01:25:42,920 --> 01:25:46,880
ああああああああ 4日
1682
01:25:51,730 --> 01:25:54,620
をああああああs 2
1683
01:25:54,620 --> 01:25:54,820
あーーーメア
1684
01:25:56,200 --> 01:25:57,260
ううん
1685
01:25:59,480 --> 01:26:01,080
ああああ
1686
01:26:01,760 --> 01:26:01,860
ああ
1687
01:26:02,460 --> 01:26:02,640
me
1688
01:26:03,460 --> 01:26:03,700
な
1689
01:26:06,060 --> 01:26:07,720
った ああああああ
1690
01:26:13,180 --> 01:26:14,700
ああああああ
1691
01:26:15,700 --> 01:26:21,420
ああああああああああああああ
1692
01:26:22,340 --> 01:26:26,440
あああああああああ
1693
01:26:27,460 --> 01:26:28,100
あああああああ
1694
01:26:29,090 --> 01:26:29,890
ああああああああああああああ
1695
01:26:31,080 --> 01:26:32,620
あああああああああああああああああ
1696
01:26:33,440 --> 01:26:36,560
あああああああああああ
1697
01:26:40,840 --> 01:26:40,940
あ
1698
01:28:11,440 --> 01:28:12,480
ああああ
1699
01:28:14,580 --> 01:28:16,420
あああ
1700
01:28:20,660 --> 01:28:21,360
ia
1701
01:28:22,180 --> 01:28:25,140
ああああああ
1702
01:28:27,040 --> 01:28:27,300
ん
1703
01:28:28,360 --> 01:28:28,520
あ
1704
01:28:30,140 --> 01:28:31,540
あああああ
1705
01:28:32,380 --> 01:28:32,540
ね
1706
01:28:34,600 --> 01:28:35,100
っん
1707
01:28:38,220 --> 01:28:38,880
nach
1708
01:28:39,480 --> 01:28:40,840
あって
1709
01:28:44,150 --> 01:28:51,520
ああああああああああ εあいっ
1710
01:28:53,640 --> 01:28:58,380
うん fuerを
1711
01:29:30,240 --> 01:29:30,340
じゃあ、
1712
01:29:31,480 --> 01:29:32,580
お疲れ様。
1713
01:29:33,340 --> 01:29:34,320
お願いします。
1714
01:29:57,720 --> 01:30:00,520
今、ホットエンターテイメントでは、もの
1715
01:30:00,520 --> 01:30:02,660
すごく人材が不足しているんですよ。
1716
01:30:03,180 --> 01:30:04,860
監督候補生だとか、
1717
01:30:06,240 --> 01:30:07,400
インターネット関係、
1718
01:30:08,680 --> 01:30:11,940
それとかそういう制作の段取りができる人や、
1719
01:30:12,760 --> 01:30:15,640
とにかくうちの会社は映像を作って
1720
01:30:15,640 --> 01:30:18,320
いる会社なんですけども、そういう新しいクリエイター、
1721
01:30:20,140 --> 01:30:22,500
そういう優秀なクリエイターが
1722
01:30:22,500 --> 01:30:24,380
ものすごく必要としているんですけども、
1723
01:30:25,500 --> 01:30:29,040
この業界でうちの場合は、
1724
01:30:30,360 --> 01:30:32,960
今のところ中堅ですけども、
1725
01:30:35,250 --> 01:30:37,580
やる気さえあれば稼げるので、
1726
01:30:38,880 --> 01:30:41,440
うちの会社は他のAV会社と違うところは、
1727
01:30:42,280 --> 01:30:44,940
スタッフはテレビ界の人間や映画界の人間、
1728
01:30:45,180 --> 01:30:48,300
監督もそういうAVを問わずに、
1729
01:30:49,880 --> 01:30:51,340
テレビやVシネマ、映画、
1730
01:30:51,460 --> 01:30:53,780
いろんな監督も集まっているので、
1731
01:30:54,460 --> 01:30:56,640
ただAVをやりたいという人以外にも、
1732
01:30:56,800 --> 01:31:01,000
映画の世界で活躍したいという人ならば、
1733
01:31:01,260 --> 01:31:05,020
一番の投入門というか、やりがいがあると思うんですよね。
1734
01:31:06,780 --> 01:31:09,880
今、ハローワークとかそういうところにも頼んでますけども、
1735
01:31:10,380 --> 01:31:13,480
ただ仕事がないんじゃなくて、バカ
1736
01:31:13,480 --> 01:31:15,320
が多いんですよ、すごいバカな連中が。
1737
01:31:15,860 --> 01:31:17,420
だからバカじゃなくて、
1738
01:31:17,940 --> 01:31:19,520
仕事できなくてもいいですからね。
1739
01:31:20,040 --> 01:31:23,440
やる気のある奴、稼ぎたいやる気のある奴、将
1740
01:31:23,440 --> 01:31:26,260
来にちゃんと夢を持っている奴に来てもらいたい。
1741
01:31:28,040 --> 01:31:31,400
この業界も3年もやっていれば、相当
1742
01:31:31,400 --> 01:31:33,840
手に触がついて稼げるようになるし、
1743
01:31:35,480 --> 01:31:37,040
ましてやうちみたいな、
1744
01:31:38,140 --> 01:31:40,280
他のメーカーは大体発売
1745
01:31:40,280 --> 01:31:42,600
だけしてますけど、うちは制作もしてますから、
1746
01:31:43,380 --> 01:31:45,980
月に10何本以上アダルトビデオ
1747
01:31:45,980 --> 01:31:48,180
も撮ってますし、一般作も撮っているので、
1748
01:31:49,100 --> 01:31:49,700
そういう部分で、
1749
01:31:50,640 --> 01:31:54,420
本当にやる気のある人は電話を欲しいんですよね。
1750
01:31:56,320 --> 01:32:02,520
電話をしてもらって、面接を受けて入ってもらいたいなと。
1751
01:32:03,920 --> 01:32:04,560
全国の
1752
01:32:05,880 --> 01:32:09,280
ビデオ並びDVDを見ている方に、ぜひ
1753
01:32:09,800 --> 01:32:12,160
うちで働いてみたいという人は、
1754
01:32:12,920 --> 01:32:15,700
本当は映画監督になるのは
1755
01:32:16,880 --> 01:32:17,620
才能じゃないですか。
1756
01:32:18,600 --> 01:32:20,300
執念と根性さえあれば、
1757
01:32:21,060 --> 01:32:24,000
映画監督にでも、AVの監督にでもなれます。
1758
01:32:25,480 --> 01:32:26,020
そういう、
1759
01:32:27,460 --> 01:32:31,400
俺やってやるぜみたいな奴がいたら、ぜひ電話してきてください。
1760
01:32:31,920 --> 01:32:32,300
お願いします。
1761
01:32:40,940 --> 01:32:42,760
中野駅から歩いて4分、
1762
01:32:43,560 --> 01:32:46,560
中野のディープな像にオープンした、アダ
1763
01:32:46,560 --> 01:32:49,140
ルトコンビニホットパワーズをご紹介します。
1764
01:32:50,260 --> 01:32:53,120
ホットパワーズは、新感覚のアダルトコンビニ。
1765
01:32:53,940 --> 01:32:56,460
明るい店内には、あなたをワクワク
1766
01:32:56,460 --> 01:32:58,100
ドキドキさせるものがいっぱいです。
1767
01:32:59,140 --> 01:33:01,280
ここでは、大人の癒しを売っています。
1768
01:33:03,060 --> 01:33:04,800
まずは、アダルトグッズの紹介です。
1769
01:33:05,580 --> 01:33:07,040
バイブやローターもちろん、
1770
01:33:07,600 --> 01:33:10,580
話題のオナホールグッズは充実の品揃えです。
1771
01:33:12,460 --> 01:33:14,100
一番人気のつぼみちゃんから、
1772
01:33:14,680 --> 01:33:16,700
話題の高級ホールさゆりまで、
1773
01:33:17,400 --> 01:33:19,460
各メーカーの人気グッズが
1774
01:33:20,080 --> 01:33:21,320
バッチリ揃っています。
1775
01:33:22,220 --> 01:33:24,220
もちろん、定番グッズの
1776
01:33:24,520 --> 01:33:26,420
SMグッズやレアモノもあります。
1777
01:33:27,300 --> 01:33:27,860
それから、
1778
01:33:31,000 --> 01:33:32,420
エッチな気分を向上さ
1779
01:33:32,440 --> 01:33:34,200
せるアロマグッズもありますよ。
1780
01:33:35,000 --> 01:33:38,140
これは、あなたの部屋にやってきた彼氏や彼女
1781
01:33:38,140 --> 01:33:40,120
をその気にさせるマルヒナアイテム。
1782
01:33:41,080 --> 01:33:44,080
見えない力があなたを密かにサポートします。
1783
01:33:44,980 --> 01:33:46,860
バイブやローターは、カラフル
1784
01:33:46,860 --> 01:33:49,020
なデザインのものが今大人気。
1785
01:33:50,000 --> 01:33:52,780
女性のお客様でも気楽に買えるから安心です。
1786
01:33:53,900 --> 01:33:56,320
このアメリカから直輸入のセクシー
1787
01:33:56,320 --> 01:33:58,400
ランジェリーは、メンズも用意しています。
1788
01:33:59,020 --> 01:34:00,760
カップルのお客様に好評です。
1789
01:34:01,780 --> 01:34:02,820
ホットパワーズには、
1790
01:34:03,440 --> 01:34:05,860
ここのお店でしか手に入らない
1791
01:34:06,300 --> 01:34:08,260
自身のオリジナル商品があります。
1792
01:34:09,240 --> 01:34:09,680
それが、
1793
01:34:10,380 --> 01:34:15,320
この大好評発売中の女優衣装コンプリートセットです。
1794
01:34:17,060 --> 01:34:22,820
このセットは、女優さんが本当に撮影で使った衣装や下着、
1795
01:34:23,380 --> 01:34:23,540
靴、
1796
01:34:24,360 --> 01:34:27,660
それにバイブやローターなどのアダルトグッズなども、
1797
01:34:28,220 --> 01:34:31,980
当店スタッフが直接撮影現場でゲットしたものです。
1798
01:34:32,760 --> 01:34:37,540
普通ならなかなか手に入らない、そんなお宝の一品と、
1799
01:34:38,200 --> 01:34:41,280
その女優さんがその衣装を着けて出
1800
01:34:41,280 --> 01:34:44,600
演した新作DVDをセットにしました。
1801
01:34:46,440 --> 01:34:49,920
さあ、今日からあなたもホットパワーズで快感革命!
1802
01:34:50,720 --> 01:34:53,020
満足納得の品揃えで、あなた
1803
01:34:53,020 --> 01:34:55,140
のご来店、心よりお待ちしています。
1804
01:34:57,200 --> 01:34:58,320
ホットパワーズはここ。
1805
01:34:58,980 --> 01:35:00,170
ご来店お待ちしています。
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