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<刑事にとって頭が痛いのは➡
事件の周りで起きる 事件である>
(足音)
(向田)あっ 真野さん。
こないだ渡した鑑定結果 目を通してくれた?
(真野)ええ もちろん。 役に立ちそう?立ちます。
そう よかった。
暇なんですか? 私? 暇じゃない。
とても そうは見えませんけど。 見えなくたって暇じゃない。
ずっと こんなところに突っ立って?
あなただって 突っ立ってるじゃないの。
あっ 今…。 県議会議員の先生がいらしてるとか。
そう。 佐藤…。 佐藤光世先生ですね。
ジェンダーギャップ問題に 力を入れていらっしゃる。
そう。 最新の著書は「ガラスの天井が砕ける時」。
あっ 詳しい。 えっ それで向田さんは…。
私? つまり アテンドっていうか➡
大学の先輩なのよ。 佐藤先生が!?
そう。 前に私の職場のことを話したら…。 視察したいとおっしゃったわけですね?
男だらけの警察組織による 男女格差をぶっ潰したいと。
別に そこまで過激なことは…。 そうだったんですね。
で 後ろに何隠してるの? 何も。
不自然じゃない? ずっと こんな…。 何も隠してません。
ああ…。
サインぐらいなら頼めるけど。
♬~
♬~
(宇田川)どうして落としたんですか。 (谷崎)俺が?
受け取るはずのお前が 手 引っ込めたから 落ちたんだ。
だから どうして僕が受け取る前に 手を離したんですか。
だって ほとんど受け取る 寸前だったじゃないか。
はい まだ寸前でした。
まさか あそこで 手 引っ込めるとは思わないだろ?
僕だって まさか受け取る前に 手を離すとは…。
人間 あそこまでいったら 手 離すよ。
とっくに… 最終段階だったよ! それは警部が決めることじゃありません。
何!? 映画でも そうじゃないですか。
終わったと思ったら もう一波乱。 エンタメの基本です。
じゃあ 何か? 今 俺とお前の間で起きてるのは➡
エンタメってことか? こんなの ただの事故ですよ。
そうだよ。何で急に エンタメの話が出てくるんですか。
お前が始めたんだろ! (ため息)
真野さんって 勝負事が好きな割に弱いから…。
回想 (真野の鼻歌)
これは彼女にとって 数少ない成果なんです。
(鼻歌)
♬~
(鼻歌)
そうだったのか。
だから やはり ここは あそこにあるハンカチで受け取ろうと…。
それで いったん 手を引っ込めたわけか。 はい。 だって 指紋をつけちゃ悪いから。
しかし こうなったことは しかたがない。 正直に謝れ。
う~ん… そうします。 事情を一から説明して。そうだな。
まず最初に 真野さんのデスクから➡
僕の制止を振り切り 谷崎警部が時計を手に取り…。
そこは省いていいんじゃないか。
まず最初に 谷崎警部が時計を手に取り…。 おっと まだ省き足りないぞ。
そこを省いたら 僕は一体 誰から時計を受け取ろうとしたんですか?
受け取るくだりはいいからさ 単に 落として滑ったことにすればいいんだよ。
「正直に謝れ」って言ったのは警部です。 俺が言った「正直」ってのはさ…。
ん?
真野だけじゃない。 え?
ほら いたろ? 同率3位が。
いや あの大会で僕が覚えてるのは 苦痛だけで…。
⚟(真野の鼻歌) 真野さんだ。
警部 真野さん… 真野さんです。 壊したことは まだ黙ってろ。
時計は元どおりにして返すから。 でも 元の場所になかったら…。
俺が戻るまで なんとかしろ! 警部 警部 警部。
ちょっと 何してる! 離せ!
♬「言いたい事も言えない こんな世の中じゃ POISON」
(鼻歌)
おかえり。
いつになく ラフな感じですね。 僕の椅子が壊れてて。
じゃあ 自分のデスクに 座ればいいじゃないですか。
それじゃあ 自分のデスクが使えない。
いつもだったら 引きずり降ろすところだけど➡
今日の私は許します。 ああ 視察でいらした議員の。
サインもらっちゃった!
売る時は注意が必要だよ。 業者によっては落書き扱いだからね。
売りませんよ。 それがいいと思う。
宇田川さんも ぜひ読んでみて下さい。
せっかくだけど 僕は まだ生きてる著者の本は読まないんだ。
だって それが100年後も読み継がれる 価値ある本かどうかなんて➡
まだ誰にも分からないだろ? 日本社会では 性別の違いから➡
いかに理不尽なことが まかり通っているかが よく分かります。
性別関係なく 理不尽な行動をとる人間は 一人でも多く減らしたいね。
人のデスクに座りながら 言わないで下さい。
⚟(大勢の騒ぐ声)
何だろう。 見てくれば?
じゃあ 本を置きたいんで どいて下さい。 じゃあ 行かなくていい。
⚟(大勢の騒ぐ声)
すごいね ここまで聞こえる。
⚟(大勢の騒ぐ声)
見に行くことを許されなかったので 騒ぎの正体を教えて下さい。
言ってしまえば 自分たちの既得権益を守りたい市民団体。
佐藤議員は その解体を進めてるから。
車をぐるっと囲んで 乗せないようにしてるんだから…。
やりすぎよ。
議員は 今 どこに? 相変わらず応接室。
本部の警備部に 応援を要請したそうだけど。
佐藤先生のスケジュールは分刻みです! そんな悠長なことを言われても困ります!
そんな 私に 秘書みたいな立場で 言われたって 私だって困る!
(落ちる音) あっ。
(徳大寺)谷崎警部! びっくりした…。
つかぬことを伺いますけど もしや それ 真野さんの時計じゃ…。
お前 どうして こんな破片で…。
真野さんの所持品なら たとえ粉砕されていようと分かりますよ。
気持ち悪いなあ。
警部! どうして警部がそれを?
お前には関係ない。
追尾開始。
⚟どうして ついてくるんだ!
来ないですね 警備部。 もう これ以上は待てない。
直ちに解散するように言ってきます。 あなた一人で?
相手は大人数の上に あの興奮状態だ。 危険だよ。
そう思うなら宇田川くんも…。 僕は行けません。 人を待ってるんです。
ええ いいです! 私一人で。
誰か男の人も 一緒に行った方がいいって。
どうして女一人じゃダメなんですか? ダメってことはないけど…。
こんな時に 「女の方が男の方が」言ってたら➡
佐藤先生に笑われます。 別に佐藤さんだって➡
何でもかんでも男女平等にって 言ってるわけじゃ…。
もちろん分かってます。
でも 危険だから男がいた方がって 引き止められるのは違和感があります。
危険と隣り合わせなのは 警察官を目指した時から覚悟してるから➡
その覚悟に 男女の差はないはずです。
うん…。 真野さんに任せるよ。 僕らの負けだ。
あなたは最初から行くつもりないでしょ?
どいて下さい 本を置くんで。
預かるよ。
真野さん…。
(ため息)
あっ やっと下りた。 早い話が ここにあるはずの➡
マラソン大会の副賞の時計がないのを 隠してたわけですよ。
ああ あの3位の時計? あっ 知ってます?
うん。 だって 私も同じもの持ってるから。 え?
え? 何で真野さんのはないの?
うん? ん?
⚟(大勢の騒ぐ声)
時間がないんだ 早くしろ。
緊張で 手が…。
じゃあ 俺がやるよ。 いえ 真野さんのプレートは俺が。
じゃあ 早くしろよ。
いや ダメだ! (荒い息遣い)
じゃあ 俺がやるよ! いえ 真野さんのプレートは俺が!
ぐわ~っ! それ 窃盗ですよ。
(ドアの開く音)
話して分からない人たちじゃ ありませんでした。
ちゃんと言葉を使って話したの?
「解散するから5分待ってほしい」と。 5分か。 それは警備部にも伝わってる?
警備部? 今さっき到着したんだよ。
♬~
ちょっと待って下さい!
危ないですよ。 下がって下さい。
ちょっと話を聞いて下さい!
あ~あ…。
宇田川 これ! 警部。
(向田)返して!
(向田と谷崎の奪い合う声)
(向田)返して!
話を聞いて下さい!
あと5分待つって約束したんです! 下がって!
あっ! (落ちる音)
おい 灰色のスーツ! お前 今 真野さんに何をした!➡
おい 押すな… 灰色!
待って下さい! 待って下さい!
⚟(怒号)
私の…。
♬~
真野さん ごめん。 実は その…。
まだまだ頑張らないとですね。
3位ぐらいで満足してる場合じゃない。
真野さん。
真野…。
3位くらいで… たかが3位で… 3位ごときで。
(向田)もう その辺りにしてくれないかな。
私のだし…。
え?
♬~
突入!
真野さんに テイクアウトしてやりたいだけなんだ!
(小声で)真野さん。 邪魔!
ホシがジャニスのカニクリームコロッケを 食べたというタレコミが。宇田川さん。
がぜん 興味が湧いてきた。
事件によ。
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