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(典雄のもがき苦しむ声)
(典雄)《美智留…!》
(恭子) 《私 取り返しのつかないこと…》
《人殺しのくせに》
《人殺しのくせに》
(麻生)《蒲生 典雄さんの 司法解剖の結果を➡
知ることができました》
《農薬を2種類 飲んでいたようなんです》➡
《一種類目が HGZという農薬》➡
《そして もう一種類が パラゾメチルという農薬です》
《あなたのお父さんは 私が見たことも➡
聞いたこともない 農薬を飲んで死んだ》
《あなたのお父さんを殺したのも 本当は あなたなんでしょ》
《私じゃないわよ》
《だって パラゾメチルなんて農薬…》
《だって パラゾメチルなんて農薬…》
《私も知らないもの》
許せない。
どうぞ。
ねえ みっちゃん。
この前 変なこと言って ごめんね。
変なこと?
みっちゃんのお父さんが飲んだ 農薬は 2種類あったとか。
そんな ささいなことに こだわってしまって…。
許してくれる?
もちろんよ。
よかった。
よかった。
本当は どっちが殺したかなんて➡
どうでもいいことよ。
私たちの友情の方が ずっと大切。
そうよね。 私も そう思う。
ねえ みっちゃん。
私たち 一緒に暮らさない?
ん? 実はね…。
ん? 実はね…。
ここの最上階 予約してきちゃった。
よさそうじゃない。
でしょ? あと半年で完成なんだけど➡
私の今のアパート 今月で 契約 切れちゃうし➡
うちの親が 顔見せろって うるさくて➡
しばらく 実家に住むことに なっちゃって。
あっ うちの親 今 東京にいるんだけど➡
みっちゃん 一緒に来てくれない?
うちの親も みっちゃんに 挨拶したがってたし。
うちの親も みっちゃんに 挨拶したがってたし。
みっちゃんが一緒に住んでくれたら 私も心強いしさ。
ずいぶん 一生懸命ね。
えっ? いや… だって みっちゃんと一緒にいたいから。
いいわよ。
久しぶりに 叔父さんと 叔母さんと➡
う~ん それから… 何て名前だっけ? 弟の。
ああ 弘樹? そうそうそう。
ああ 弘樹? そうそうそう。
弘樹君 元気? あいつは ろくなもんじゃないわ。
就職できなくて 家の仕事 手伝ってるけど➡
世間をなめてるから。 そうなの?
そんなことは どうでもいいの。 じゃあ 決まりね。
♬~
♬~
♬~
♬~
♬~
ただいま。
<(孝之)何とか言え 弘樹!➡
もっと真面目に 仕事に取り組めって➡
いつも言ってんだろ! 危険が隣り合わせの仕事なんだぞ。
偉そうに 何だよ。 こんな仕事…。
こんな仕事とは 何だよ。 (照枝)2人とも 落ち着いて。
(弘樹)7年前に 会社 リストラされて➡
母さんの実家に 転がり込んだだけだろ。
うるせえ! 俺はな 一国一城のあるじとして➡
この仕事に 誇り持ってやってんだよ!
(弘樹)何が一国一城のあるじだよ。
(弘樹)何が一国一城のあるじだよ。
今じゃ 破綻寸前じゃねえかよ。
何だと… もう一遍 言ってみろ!
やめてよ! お客さん 来てるんだから。
叔父さん 叔母さん ご無沙汰しております。
弘樹君も久しぶり。
えっ?
いとこの美智留よ。 忘れちゃった?
みっちゃん?
最後に会ったのは 小学生のころだったもんね。
見違えちゃった。
見違えちゃった。
また よろしくね。
ここが 私が来たときに 使ってる部屋。
へぇ~。
みっちゃんに使ってもらう部屋は こっち。
ここ 使って。 普段は 誰も使ってない部屋だから。
ここ 使って。 普段は 誰も使ってない部屋だから。
分かった。
(照枝)じゃあ 食べましょう。 (孝之)いや~ よく来てくれたね➡
美智留ちゃん。 (照枝)どんどん食べてね。
はい。
いただきます。 (孝之)そういえば➡
恭子が病気したとき ホントに 世話になったね。
いえ とんでもないです。
《私のHLA型を調べたら 恭子と適合した》
《私のHLA型を調べたら 恭子と適合した》
(孝之)その上 今は そちらの事務所にお世話になって。
いつか 挨拶に行かないといかんと 思ったんだが 遅れてしまって。
ご挨拶が遅れてしまったのは こちらです。
恭子さんがいてくれて ホントに 助かってるんですよ。
私も みっちゃんと一緒に働けて すごく楽しい。
(照枝)みっちゃんに 色々してもらったのに➡
典雄さんが亡くなったときは 何もしてあげられなくて➡
ごめんね。 本当は 私たちが➡
ごめんね。 本当は 私たちが➡
親代わりとして 名乗り出るべきだったんだけど…。
そのお気持ちだけで 十分です。
奨学金があったので ホントに 一人で大丈夫だったんですから。
そうよね。 だって その年で 経営者だもんね。➡
すごいわ~。 さすが みっちゃんよね。
大したもんだよ 美智留ちゃんは。
それに比べて 弘樹は まだ若い盛りだっていうのに➡
覇気ってもんがない。
覇気ってもんがない。
取りあえずは 家の仕事を手伝わせてるが➡
独立独歩の気概がねえ。 (弘樹)あ?
(照枝) やめてよ 二人とも 食事中よ。
お父さんは そう言うけど 弘樹だって頑張ってるじゃない。
(孝之)はぁ?
ずっと やりたいことがあるのよね。
ほら マスコミに就職したいって 言ってたじゃない。
記者になりたいって。
ああ そうだよ。
俺は 社会正義のために 闘いたいんだ。
惜しいところまでいったのよね。
惜しいところまでいったのよね。
まあ… 東都新聞の 2次試験までいった。
あそこは 5次試験まであるんだろうが。➡
2次試験いったぐらいで 偉そうに。
何だよ! 偉そうにしてんのは そっちだろ。➡
大して稼げてもないくせに。
俺にも 小遣い程度の給料しか 出せてねえじゃねえか。
おい。 立て こら。 ああ!?
(言い争う声) やめなって。
ねえねえ… 危ないから!
(孝之)若いのに覇気がないって 言ったとおりだろうが。
(孝之)若いのに覇気がないって 言ったとおりだろうが。
弘樹。 ねえ。
作業場の中って こんなふうなんだ。
(弘樹)姉貴…。 おじいちゃんが生きてたころは➡
ここ 入ったことなかったからさ。
弘樹 すごいね。 こんな機械 毎日 動かしてるんだ。
そりゃあ 仕事だから。
ていうか こんなとこいたら 服に においがついちゃうぞ。
いいわよ。 どうせ 洗濯するんだから。
それより 弘樹の仕事場が見たくなったの。
別に 面白い場所じゃないだろ。
人が働く場所は どこでも面白いわ。
人が働く場所は どこでも面白いわ。
そこで お金を稼いで 自分や家族を養う。
そうするとね どうしても仕事の内容で➡
人間性が変わってくる。
私みたいに コンサルタント業をする者にとっては➡
どんな仕事も興味深いものよ。
ふ~ん。
姉貴は いいな。 仕事 楽しそうで。
弘樹は 仕事 楽しくないみたいね。
弘樹は 仕事 楽しくないみたいね。
なんせ 90番目の 希望職だったからね。
就職試験に落ち続けて 89社。
それで 有無を言わさず 家の手伝いしろって親父が。
そうだったわね。
本当は 弘樹 留年して➡
もう1年 就職活動したかったのよね。
そうなんだよ。 それなのに あいつは…。
私ね 弘樹みたいに 正義感の強い人は➡
私ね 弘樹みたいに 正義感の強い人は➡
記者になるべきだって 今でも思う。
俺さ➡
世の中の不正とか 隠れた悪とかをさ➡
白日の下に さらしてやりたかったんだよな。
人間のごみみたいなやつらを 一掃したかったんだよな。
結局 本物のごみと 格闘することになっちまったけど。
諦めるのは まだ早いわ。 えっ?
ごみみたいな人間を 罰することができるの。
どういうこと?
私の味方になってくれない?
(携帯電話)(後藤)お待たせしました。 神谷署刑事課の後藤です。
ああ お忙しいところ すいません。
(携帯電話)盗作被害者の会 代表の 大島 美奈さんの➡
死亡事件についてでしたよね? (麻生)はい。
死亡事件についてでしたよね? (麻生)はい。
詳しい状況を知りたくて。
《あなたは 何か知っているんじゃ ありませんか?》
《急用を思い出したんで》
(携帯電話)大島 美奈には 自殺するような理由が➡
見当たらなくて。 彼女が代表を務めていた➡
盗作被害者の会は 武田 良平というライターと➡
もめていたんです。➡
事件当日 武田を 現場付近で見たという➡
事件当日 武田を 現場付近で見たという➡
証言も取れていたので 武田を逮捕しました。➡
でも 心神喪失状態で 責任能力がないと判断され➡
起訴できなくて。
武田は 取り調べの際 何か言っていませんでしたか?
例えば 蒲生 美智留という 女の名前…。
(携帯電話)どうして その名前を? (麻生)えっ?
(携帯電話)確かに 何度か その名前を言っていました。
(麻生)武田さん。 あなたは 蒲生 美智留に➡
操られていたんじゃないですか?
大島 美奈さんを殺害したのも 蒲生 美智留なんじゃないですか?
そのとおりです。
俺は 美智留さんが 大島 美奈を突き落とす➡
証拠の動画も撮っていますから。
どこにあるんですか? その動画は。
(武田)ここです。
(武田)ここです。
えっ?
(武田)いいでしょ。 こんな傑作 俺にしか書けませんよ。
蒲生 美智留はね 俺が考えたキャラクターなんですよ。
最高でしょ 悪魔みたいで。
ハハハハハ!➡
ハハハハ…。
この前の話 どういうことなの?
その前に 聞きたいことがあるの。
みっちゃんのこと どう思った?
どうって…。
すごく きれいよね。
見詰められると 吸い込まれそうな瞳をしていて。
まあ 確かに。
でもね あの女は ごみ。
いや 悪そのものなの。
いや 悪そのものなの。
悪? ねえ 弘樹。
今から話すことは 誰にも言わないで。
あの女は 近寄ってきた 多くの人たちを➡
破滅させ 殺してしまうの。
あの女の正体は 恐ろしい殺人者なの。
まさか…。 本当よ。
今まで 何人もの人を殺してきたの。
私 この目で見たの。
私 この目で見たの。
もし それがホントなら 警察に行った方が。
駄目よ…。
そんなことしたら あたしも捕まってしまう。
えっ?
あたしは あの女の 巧妙な口車に乗せられて➡
殺人の手助けをしてしまった。
あたしは 共犯者に させられてしまったの。
だから 私ね➡
あの女を倒したい。
あの女を倒したい。
倒すって どういう意味?
殺すってこと。
美智留は 莫大な資産を 隠し持ってる。
私は あの女のやり方を 全部 見てきた。
あたしなら 社長の座を 奪うことができる。
今まで 美智留に奪われてきたものを➡
お金で取り戻したいの。
だから 弘樹に協力してほしいの。
だから 弘樹に協力してほしいの。
たった一人の 血を分けた弟だもの。
心から信頼できるのは 弘樹だけ。
何言ってんだよ。 いくら姉貴の頼みでも➡
人を殺す計画に協力する…。
蒲生 美智留は 人間じゃない。
悪魔よ。
それにね これは 弘樹の夢を かなえる方法でもあるの。
えっ? 美智留を殺せば➡
何億もの金を自由にできる。
何億もの金を自由にできる。
弘樹も この家から出られるのよ。
嫌々 今の仕事 続けることない。
自分で 出版社を つくることだってできるし➡
何でも やりたいことができる。
人生 一発逆転できるのよ。
ねえ 弘樹君。 俺 用事が…。
どうして 逃げるの? 逃げてないです。
じゃあ 来て。
私 もっと 弘樹君のことが知りたい。
やっぱり 俺…。
私のことについて 何か 恭子が言ったの?
ハァ… やっぱり。 また 嘘をついたのね。
嘘?
私 誰も殺してない。
あの子 ホントに かわいそうな子でね。
あの子 ホントに かわいそうな子でね。
嘘をつく病気なの。
病気?
私のせいなの。
私が 恭子をかわいそうに思って➡
言うことを 聞きすぎてしまったから。
あの子は ますます 自分の妄想が正しいのだと➡
強く思い込んでしまった。
私が あの子を 怪物にしてしまったの。
私が あの子を 怪物にしてしまったの。
恭子のこと 許してあげて。
えっ?
私たちで 恭子を 治してあげましょう。
(孝之)おい 弘樹! 何 ぼさっとしてんだ。
また 種類の違う廃油が 一緒に置いてあったぞ。➡
また 種類の違う廃油が 一緒に置いてあったぞ。➡
いっつも 散々 言ってんのに まだ分からないのか バカ!
ちょっと間違えただけだろ! バカって何だよ。
バカだから バカっつってんだろ。
爆発でもしたら どうすんだよ! お前に責任取れんのか!
こんな簡単なこともできないで➡
いったい 何だったら まともにできんだ? お前は。
うるせえ!
(孝之)お前みたいな覇気のない 筋力もないやつに➡
俺が負けるわけねえだろ。
俺が負けるわけねえだろ。
ハァー…。
(弘樹)《このまま家にいたら 負け犬のままだ》
《美智留を殺せば 何億もの金を自由にできる》
《弘樹だって この家から出られるのよ》
やっぱり やるしか…。
<弘樹君?
<弘樹君?
大丈夫?
血が出てるじゃない。
弘樹君 あなたのつらさ 私には分かる。
えっ?
えっ?
パパは あたしをよく殴ったの。
手が出るだけじゃなくて 暴言も ひどいものだった。
弘樹君 エディプスコンプレックスって 知ってる?
言葉だけは 聞いたことがある。
かいつまんで説明すると 男の子にとって 父親とは➡
かいつまんで説明すると 男の子にとって 父親とは➡
乗り越えるべき存在であってね。
父親殺しっていうんだけど➡
一度 自分の中で 父親を殺す という通過儀礼を通して➡
大人の男になっていく。 そういう話。
父親殺し…。
私にとっては パパこそが 乗り越えるべき壁だった。
乗り越えたの?
うん。 毎日 家の中で 戦争を繰り広げたもの。
《ああーっ!》
《ああーっ!》
おかげで 負けん気が育てられたから➡
う~ん それは パパのおかげかな。
みっちゃんは 強いな。
人は なりたいものになれる。
なれなかった人は どこかで それを拒否してしまった人よ。
拒否してしまった人?
そう。 自分の人生を 自分で 捨ててしまった人。
そう。 自分の人生を 自分で 捨ててしまった人。
弘樹君に必要なのは それなのかもね。
何者にも負けない意志。
邪魔するものを乗り越え 排除していく力。
たとえ それが 親しい人であったとしても。
俺には 無理だな。 みっちゃんみたいにはなれない。
俺には 無理だな。 みっちゃんみたいにはなれない。
そんなことない。
弘樹君には 力がある。
でも ちゃんと見極めてね。
あなたの敵は 誰なのか。
♬~
♬~
バカ野郎! 何度言ったら分かんだ。
バイト感覚でやってるから つまらんミスを繰り返すんだ。➡
たく… バイトのが よっぽどましだ。➡
お前 仕事 何だと思ってんだよ。➡
お前 仕事 何だと思ってんだよ。➡
ガキの遊びや 暇つぶしじゃねえんだよ!➡
そんなんだから どこの会社でも 雇ってもらえないんだよ。➡
お前さ 生きるってこと なめてんだろ。 いいかげんにしろ!
(弘樹)《俺は 自分の人生を 取り戻したい》
(照枝)ねえ 弘樹。 覚えてる?➡
茨城にいたとき 隣に住んでた 林さん。
この前 久しぶりに 電話 もらったんだけど➡
息子の敏則君が 今度 東京本社に栄転だって。
息子の敏則君が 今度 東京本社に栄転だって。
すごいわよね~。
(弘樹)《あんたも 俺を この家に 縛り付けようとする 敵だ》➡
《敵だ》➡
《敵だ!》
うわっ!
あたしよ。
ほら。 姉貴…。
昔 そんなの 気にしてなかったじゃん。
そんなことより いいアイデアを思い付いたの。
知りたいでしょ? 美智留をこの世から抹殺する方法。
死体が 絶対に 見つからないようにすればいいの。
死体が見つからなければ 事件にならない。
事件にならなければ 警察も動かない。
事件にならなければ 警察も動かない。
罪に問われることもない。
そんな方法 どこにあるんだよ。
うちに いいものがあるじゃない。
あれで 死体を焼いてしまえば 跡形も残らない。
でも…。 あの女の話は 全部 嘘。
だまされちゃ駄目。
あの女は 地獄の業火のような人よ。
近づいても 焼け死ぬのが落ち。
近づいても 焼け死ぬのが落ち。
あたしは 弘樹のことを 心配して言ってるの。
ねえ…。
子供のころ 2人で 迷子になったことがあったでしょ。
「お姉ちゃん 怖いよ~」って 弘樹 泣いてた。
そのとき 絶対に 私が 弘樹を守らなきゃって思ったの。
それは 今でも変わらない。
弘樹は 私にとって たった一人のカワイイ弟よ。
《あの女の正体は 恐ろしい殺人者なの》
《あの子 ホントに かわいそうな子でね》
《嘘をつく病気なの》
《ちゃんと見極めてね》
《あなたの敵は 誰なのか》
《あなたの敵は 誰なのか》
《あの女は 地獄の業火のような人よ》
《近づいても 焼け死ぬのが落ち》
♬~
ハァ…。
<(ノック) <恭子 入るわよ。
どうぞ。
どうぞ。
あら すてきね。
最近 また 一段と きれいになったんじゃない?
そうかな? みっちゃんに そう言われると うれしい。
服も化粧品も… 恭子って 研究熱心だから➡
私 負けちゃいそう。
まさか。 あたしは ずっと あなたに憧れてるのよ。
だから 毎晩 同じパックも使って。
少しでも あなたに近づきたいの。
嘘つき。
嘘つき。
ホントよ。
ふ~ん。
あっ そうだ。
私のお気に入りの口紅が どこかにいっちゃったの。
そうなの? 恭子 知らない?
知らない。
そう。
そう。
あっ そうだ。 私のお古でよければ あげようか?
悪いわ それは。 そうよね。
みっちゃんにお古なんて 駄目よね。
弟だったら お古でもいいから もらいたいわ。
えっ?
弘樹君 いい子じゃない。
あんなに いい子だと思わなかった。
今でも 記者に向いてると思うって 弘樹君に言ったんでしょ?
今でも 記者に向いてると思うって 弘樹君に言ったんでしょ?
すごく 喜んでたわ。
へぇ~ そんなことまで 話してるんだ。
弘樹と仲良くしてくれて ありがとう。
どういたしまして。
(ドアの開閉音)
例の件 決心してくれた?
ああ。 じゃあ…。
やっぱ 人殺しなんて 無理だから。
あんな危険な女 野放しにするつもり!?
そんな夢みたいな話… みっちゃんが そんなことするとは➡
思えない。 だから それがあの女の手口なの!
もし 本当なら➡
警察に行くべきだよ。
はぁ?
ちょちょ… 弘樹! ねえ 待ってって。 ねえ!
《弘樹に 協力するつもりがないなら➡
私が 一人でやるしかない》
♬~
♬~
♬~
♬~
♬~
♬~
♬~
♬~
《これからも➡
ずーっと一緒だよ》
《これからも ずっと一緒だよ》
《これからも ずっと一緒だよ》
《あなたのお父さんを殺したのも 本当は あなたなんでしょ》
《私 全ての罪をかぶるわ》
《あなたを守るために》
《あなたの秘密は…》
《あなたの秘密は…》
《私が 必ず守るから》
《私が 必ず守るから》
(刺す音)
<(拍手)
素晴らしいわ。
え…。
どうして…。
恭子が考えることなんて 最初からお見通しよ。
恭子が考えることなんて 最初からお見通しよ。
この家に来ないかって 誘われたときから気付いてた。
恭子は 私を殺そうとしてるんだって。
うれしかったわ。
恭子が こんなに面白いことを 考えれるようになったなんて。
面白い?
今まで あなたは 流されるように生きてきた。
17年も 私から逃げ続けて➡
17年も 私から逃げ続けて➡
再会してからも 私を怖がるだけ。
でも やっと 私を受け入れて あなたは 少しずつ変わったわ。
自分の意志を持つようになった。
意志のない人間なんて 人間じゃない。
ただの人形よ。
そして あなたは ついに 強い意志を持ち➡
あたしを殺そうとした。
あなたは 人形から 人間になったのよ。
ホントに素晴らしいわ。
ホントに素晴らしいわ。
ふざけないで!
しーっ。
あんまり大きな声を出すと あなたの家族が起きちゃう。
娘が人を殺そうとした なんて知ったら➡
叔父さんと 叔母さん どう思うかしら。
二人っきりになれる場所に 行きましょう。
ここなら 思いっ切り話せるわよ。
さあ 恭子。
弘樹に 何を吹き込んだの? 別に 何も。
嘘よ。 あたし 見てたのよ。
嘘よ。 あたし 見てたのよ。
恭子の実家に来れたのが うれしくて➡
叔父さんや 叔母さん それから弘樹君と➡
仲良くしたかっただけよ。 ホントに いい子よね。
どこが? 弘樹は 社会から 不必要だと烙印を押された人間よ。
ただのごくつぶし。
要するに ずうたいの大きい 寄生虫みたいなもんよ。
そんな弘樹をだますなんて➡
あなたには 赤子の手を ひねるよりも簡単でしょ。
ひどい そんな言い方…。
ひどい そんな言い方…。
もう その手には乗らないから。
あなたのせいで あたしの人生 めちゃくちゃよ!
ずっと 人を殺したと思って➡
17年間も罪の意識に さいなまれてきたのよ。
どれだけ… どれだけ苦しかったか!
あなたは それをゆすりのネタにして➡
あたしを利用した!
ホントは あなたが殺したのに!
ホントは あなたが殺したのに!
どうして そんなこと言うの? あたしは 誰も殺してない!
嘘をつくな! 嘘じゃない!
あたしは ホントに殺してないの 信じて!
あんたなんか 生きる資格ないのよ この殺人鬼!
あっ…。
あたしの心の傷は こんなもんじゃないのよ!
あんたなんか 人間じゃないのよ!
最低 最悪の悪魔よ!
あっ!
この 悪魔!
この 悪魔!
ごめんなさい 許して!
黙れ!
黙れ!
♬~
<(足音)
弘樹君 よく ここにいるの?
(弘樹)ここ 落ち着くんだよ。
ほら この廃材の燃える音。
この音を聞いてると 何だか 落ち着くんだ。
これに似た音 あたしも聞いたことがある。
これに似た音 あたしも聞いたことがある。
へぇ~ どこで?
火葬場。
えっ?
パパの死体が焼かれてる最中➡
ずっと 焼却炉の横に立っていたの。
そのときの音に そっくり。
人間も廃材も 焼けるときは 同じ音がするのね。
この前 私が パパを 乗り越えたって話をしたでしょ。
それには 続きがあってね➡
乗り越えたには 乗り越えたんだけど➡
本当の意味で 決別できたのは そのときだったの。
パパが 焼かれて 灰になっていく音を聞きながら➡
やっと 私は 自分を縛っているものから➡
解放されたと思った。
解放されたと思った。
悪い娘よね。
本来なら 泣いて 悲しまなきゃ いけないところなのに。
そんなことない。
みっちゃんの気持ち 俺には分かるよ。
でもね パパから解放されても それで終わりじゃなかった。
今度は パパ以外のものが 私を縛るようになったの。
うっとうしい人生よね。
うっとうしい人生よね。
絶対に 私を自由にさせてくれない。
いつも いつも 邪魔な存在を用意して➡
私の目の前に置いていく。
それを突破したと思うと また 次の邪魔者。
きっと そういう生き方をする 運命なの。
パパ以外のものが 縛るようになったって➡
それって つまり…。
昨日の夜 見てたでしょ?
やっぱり 姉貴が?
やっぱり 姉貴が?
やめましょ。 恭子の弟の弘樹君に こんなこと言うべきじゃない。
構わないよ。 あんなクソ女。
俺のこと 寄生虫呼ばわりして…。
あんなやつ きょうだいでも何でもない。
昔から そうだった。
俺が 学校で 先生に怒られると➡
必ず おふくろや親父に ちくりやがった。
就活に失敗すると 陰で笑ってた。
就活に失敗すると 陰で笑ってた。
し… 知ってるんだ 俺は。
あいつは 俺の邪魔ばかりするんだ。
だから あいつは 肉親なんかじゃない。
他人だ。
いまさら みっちゃんから 何を聞かされても動じないよ。
最初は 中学3年生のとき。
最初は 中学3年生のとき。
私が パパから DVを受けているところを➡
恭子に見られたことがあって。
そのあと 恭子は 私が父親から 性的虐待を受けていると➡
あることないこと 周りに吹聴した。
やがて パパは その噂を知り それを苦に自殺した。
でも 恭子は パパが死んだのは 私のせいだと責めたわ。
でも 恭子は パパが死んだのは 私のせいだと責めたわ。
私を守るために やったんだからって。
そんなの… 悪いのは姉貴じゃないか。
あの子に そんな理屈 通用しないの!
弘樹君 知ってるでしょ?
私が 恭子に 骨髄移植したこと。
うん。
あれも恭子に 脅されてのことだった。
えっ?
検査をして 私の骨髄が適合するならよこせ。
検査をして 私の骨髄が適合するならよこせ。
どうせ 一部を移植したって➡
死ぬわけじゃないから いいだろって。
絶対に 逆らえなかったの。 あたしは 恭子の奴隷だったから。
もしかして みっちゃんが あいつを雇ったのも…。
そう… 脅されて。
最近では 社長の座を譲れって 言いだしてきた。
あなたは 私のために 一生 身を粉にして働けって。
あなたは 私のために 一生 身を粉にして働けって。
それだけじゃない。
あいつは みっちゃんのことを…。
殺そうと たくらんでる。
そんな…。
大丈夫? みっちゃん。
あの子の病気は もう あたしには治せない。
あの子の病気は もう あたしには治せない。
このままじゃ 私 恭子に 何もかも奪われてしまう。
いえ 殺されてしまうわ。
助けて。
ねえ…。
俺に任せて。
みっちゃんのためなら 何でもする。
弘樹君…。
弘樹君…。
俺 やっと分かった。
本当の敵が 誰なのか。
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