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(茶々)あと10年もすれば 太閤殿下に追いつこう。
それまでの間 秀頼の代わりを➡
代わりを➡
頼みまする。
♬~
さあ 宴の時じゃ。
♬~
(茶々)お千や。 (千姫)はい。
この天下を 艱難辛苦の末 一つにまとめられたのは どなたじゃ?
亡き太閤殿下にございます。
そなたのおじい様は 殿下のご家臣として その代わりを任されていただけ。
秀頼が成長した暁には 天下をお返しくださる約束じゃ。
はい。 (茶々)そなたのおじい様は➡
盗人ではあるまい。
(千姫)おじい様は 約束を守るお方と存じます。
なれど もし その約束をお破りになるなら➡
その時は 戦になっても しかたのないこと。
欲しいものは 力で手に入れる。
(茶々)それが 武士の世の習わしなのだから。
(銃声)
♬~
(阿茶局)殿。
(阿茶)殿?
(徳川家康)ああ…。
(阿茶)江戸より 秀忠様 お着きでございます。
うむ。
憂い事でございますか?
昔のことばかり思い出す。
わしも…➡
そろそろかのう…。
♬~
(本多正信)大坂は➡
関ヶ原で敗れ 牢人となった連中を かくまって 施しを与え➡
また 武具兵糧も集め 戦に備えておりまする。➡
世間は 徳川と豊臣が ぶつかるとのうわさで持ちきり。
(徳川秀忠)この10年 天下の政務を執ってきたのは 我ら徳川。
父上のもと 政を しかと 進めていくことこそが 世の安寧の根本。
仰せのとおり。 もう はっきりさせるべきでござる。
今や 徳川が上 豊臣が下であると。➡
秀頼様には 今度こそ ご挨拶に来ていただきましょう。
3月の天子様のご譲位に絡め 二条城にお出まし願い➡
大御所様にひざまずいて 臣下の礼をとっていただく。
(阿茶)おとなしくおいでくださるとは 思えませぬが。
もし従わぬのなら その時は 力をもって。 ならん。
それは 避けたい。
太閤秀吉は 今も多くの者の心に生きておる。
その遺児 秀頼殿に下手な仕打ちをすれば 万民の怒りは 我らに向く。
(秀忠)では どうすれば…。
よもや 天下をお返しするおつもりでは ございますまい。
うまくやらねばならんと申しておる。
力でひざまずかせては 危のうございましょうな。
(正信)秀頼様には 二条城にお出まし願い 大御所様とお会いしていただく。
ただし その際 上段にお座りいただいて しかと あがめ奉る。
(正純)豊臣を上にするのですか!?
徳川は武家の棟梁。 その将軍家が敬うべき者とは 何じゃあ。
(阿茶)公家。 (正信)さよう。
豊臣は武家ではなく 公家ってことにしちまう。
公家ならば 城だの武力だの 持つべきではありませんな。
父は こんな へ理屈ばかり才がある。
(正信)お褒めにあずかりまして。
寧々様に 間に立っていただこう。
(寧々)天子様のご譲位の折➡
秀頼殿を 二条城にお招きしたいそうじゃ。➡
私は 悪くない申し出ではないかと思うが いかがかの。
つまり 天下は返さぬ。 正々堂々と戦もせぬ。
頭をなでてやるから おとなしくしておれ。
ということでございますな。
(大野)情けない盗人よ。
そのような言い方は控えよ。
我が おじい様と父上が…➡
申し訳ございませぬ!
♬~
(秀頼)そなたの謝ることではない。
(寧々)今 天下を治めているのは 徳川殿。
豊臣家は 徳川殿の庇護の下にあることを 忘れてはなりませぬに。
出てゆけば 何をされるか分かりませぬ。
(足音)
(加藤清正)恐れながら 秀頼様。
お出ましにならぬままなら お心の弱い君と思われるやもしれませぬ。
(大野)無礼でございます。 (加藤)この加藤清正➡
秀頼様のおそばを片ときも離れず➡
命に代えてお守りいたします。
万が一 不穏な動きあらば 幾万の敵であろうと片っ端からなぎ倒し➡
再び この城にお連れいたしまする!
♬~
そろそろ世にお披露目するかのう。
そなたを。
♬~
慶長16年3月28日 この日 豊臣秀頼は➡
大坂城に移って以来 初めて その姿を民の前に現したのでございます。
どけ どけ! 通せ! どけ どけ どけ どけ。
通せ。 どけ どけ。
秀頼公や!
なんと麗しい。 太閤様のお忘れ形見じゃ!
≪我らの殿様じゃ! (正純)外は えらい騒ぎでございますなあ。
やはり 上方の豊臣人気は すさまじい。
お見えになりました。
♬~
ようこそ おいでください…。
(秀頼)大御所様。
わざわざのお出迎え 恐悦至極に存じます。
秀頼にございます。
ようこそおいでくださりました。
さあ。
お入りくださいませ。
大御所様から どうぞ。 いえ。
お先に。
大御所様は 我が妻のおじじ様。 なぜ 私が先に入れましょう。
ささっ いざ。
では 案内させていただきまする。
♬~
(寧々)秀頼殿。
上段へ どうぞ。
めっそうもない。 大御所様こそが…。 いえ。
そういう取り決めでございます。
取り決めどおりになさいませ。 さあ 秀頼殿。
♬~
豊臣は 関白に任じられる高貴な家柄。
武家の棟梁である徳川は 及びませぬ。
上段に座られるのが しきたりというもの。
さあ。
♬~
ほんなら お二人とも上段にお座りになっては?➡
こう 向かい…。 まことに恐れ多い。
秀頼様こそ 上段に…。
意地を張るのも大人げのうございますので 横並びにいたしましょう。
♬~
さあ。
かたじけのう存じまする。
お気を付けて。
♬~
大御所様 長らくの無沙汰 大変ご無礼いたしました。
秀頼 心からお詫び申し上げまする。
何とぞ お許しくださいますよう お願い申し上げまする。
♬~
武家として 徳川殿と手を携えて 共に世を支えてまいりましょう。
♬~
秀頼殿が 父上に ひざまずいてくれたそうじゃ!
これで徳川が上 豊臣が下と はっきり世に示すことができた。➡
いや~ よかった。
よかったのでございましょうか…。
よかったに決まっておろう。 のう? 正信。
えらいことじゃ。
えっ?
ひざまずかせた~! 徳川様が 秀頼様を ひざまずかせたそうやで!
何で 秀頼様が 家康にひれ伏すんじゃ!
徳川何様ぞ! 天下の主は 秀頼様じゃ!
断じて許すな! そうじゃ そうじゃ!
我らも大坂に集うぞ! (一同)お~!
(正純)秀頼は慇懃 徳川は無礼。 秀頼はご立派 徳川は恥知らず。
世間は そう沸き立ち➡
大坂には 前にも増して 牢人が集まってきております。
してやられました。
秀頼様というお方 どう ご覧になりましたか?
涼やかで様子のいい…➡
秀吉じゃ。
♬~
(猫の鳴き声)
♬~
[ 回想 ] わしら上に立つ者の役目は➡
いかに理不尽なことがあろうと 責めを負うことじゃ。
「勅を奉じ 征夷大将軍になすべし」。
(正信)あなた様は 全てが人並み! 偉大なる凡庸。
♬~
(江)またお眠りになれないので?
(江)殿。
♬~
(正純)どうじゃ? 分かるか?
(時計のぜんまいをまく音)
(時報の音)
(正純)おお。 動きました。
これは クロックと申しまして 時を示す道具。
この国と 南蛮とは 時の表し方が異なりますが…。
拙者をお呼びくださったのは このためだけではございますまい?
そなたに用意してもらいたいものが あってな。
新たな船でございますか?
大筒じゃ。 大筒!
エングランドには 優れた大筒があるそうじゃな。
あれは 恐ろしい道具でございます。
私は…。 異国同士が商いをして➡
互いに豊かになるため…。
わしも 同じ思いだ。
大筒は 戦を防ぐためのものじゃ。
大いなる力を見せつければ 攻めてくる者もおらんじゃろう。
♬~
按針。
よろしく頼む。
♬~
(喚声と銃声)
二度と 戦乱の世には戻さぬ。
(石田三成)うぬぼれるな!➡
その乱世を生き延びる あなたこそ➡
戦乱を求むる者!➡
戦なき世など なせぬ…。➡
まやかしの夢を語るな。
お見えになりました。
お通しせよ。
何をやっておる?
時を刻む道具だそうじゃ。
仕組みが知りたくてな。
子供の頃から そういうことが好きであったなあ。
木彫りで 生き物や人形を 夢中で作っておった。
ハハッ…。 フッ… あのころのわしを知っておるのは➡
今や あなただけじゃ。
今川氏真。
没落後は 神の君の庇護の下➡
妻と悠々自適に過ごす日々でございます。
奥方と 歌を詠む日々か…。
(今川宗) 歌とは つくづく奥深いものよ。➡
技や しきたりに果てがなく どこまでやっても極められん。
羨ましい限りじゃ…。
わしは かつて お主に➡
まだ降りるなと言った。
いつか私も あなた様のように生きとうございます。
そなたは まだ降りるな。
そこで まだまだ苦しめ。
(宗)だが まさか➡
これほどまで長く 降りられぬことになろうとはなあ。
だが あと少しじゃろう。
戦なき世を作り 我が父の目指した王道の治世➡
お主が なしてくれ。
わしには… 無理かもしれん。
フ… 何を言うか。
お主は 見違えるほど成長した。 立派になった。
誰もが…。 成長などしておらん。
♬~
平気で人を殺せるようになっただけじゃ。
戦なき世など 来ると思うか?
一つ戦が終わっても…➡
新たな戦を求め➡
集まる者がいる。
♬~
戦はなくならん。
♬~
わしの生涯は ずっと…。
死ぬまで…。
死ぬまで…。
死ぬまで戦をし続けて…。
♬~
家康よ…。
弟よ…。
弱音を吐きたい時は この兄が全て聞いてやる。
そのために来た。
お主に 助けられた命もあることを 忘れるな。
♬~
本当のお主に➡
戻れる日も きっと来る。
♬~
はあ…。
♬~
(時計の音)
(読経)
二条城会見以降 秀頼の活躍目覚ましく➡
豊臣の威光を復活させる大事業を 進めておりました。
かの京大仏の再建は 亡き父の悲願であった。
その十七回忌に 開眼供養ができること 父もお喜びに違いない。
(片桐且元) 諸国の大名 公家 商人に至るまで➡
上下の区別なくお招きいたします。 無論 徳川様も。
(猫の鳴き声)
相分かった。 さよう取り計れ。
これから ますます 輝きを増していく旭日の若君と➡
齢70を超える老木…➡
時が いやおうなく勝負をつけましょう。➡
老木さえ朽ち果てれば あとに残るは 凡庸なる二代目。➡
フッ 比べるべくもない。
あの京大仏の開眼供養だけは どうにかしてくだされ!
間違いなく 豊臣の威光 ますます よみがえります。
正信にも そう申しておるのに…!
う~ん… 立派な大仏を 作っとるだけですからなあ。
(阿茶)うかつに動けば かえって 徳川の評判を落とすことになるのでは?
(秀忠)しかし…。 自信をお持ちになって➡
堂々となさってるのが よろしいかと。
諸国の大名は 秀忠様に従うよう 誓書を取り交わしております。
そんなものが何の役に立つ!
父上。
世間で はやりの歌をご存じですか?
歌?
「御所柿は ひとり熟して落ちにけり➡
木の下にいて拾う秀頼」。
大御所様という柿は 勝手に熟して 落ちる。
秀頼様は 木の下で待っていれば 天下を拾える。
(正純)なんと無礼な…! だが 言い得て妙じゃ。
(正純)父上! (秀忠)この歌に 私は出てきてもいない。
取るに足らぬ者と思われておるのです。
父上が死んでしまったら… 私と秀頼の戦いになったら➡
私は負けます。
負ける自信がある!
(秀忠)秀頼は 織田と豊臣の血を引く者。
私は 凡庸なる者です。
父上の優れた才も受け継いでおりませぬ。
父上が いつ死ぬのかと思うと… 夜も眠れませぬ…。
秀忠。
そなたはな わしの才を よく受け継いでおる。
まさか。 まことじゃ。
どこが?
弱いところじゃ。
そして その弱さを そうやって素直に認められるところじゃ。
わしも かつては そうであった。
だが➡
戦乱の中で それを捨てざるをえなかった。
捨てずに持っていた頃の方が➡
多くの者に慕われ➡
幸せであった気がする…。
♬~
わしは そなたが まぶしい。
それを大事にせい。
♬~
秀忠。
♬~
よいか。
戦を求める者たちに 天下を渡すな。
王道と覇道とは。
徳をもって治めるが王道 武をもって治めるが覇道。
覇道は 王道に及ばぬもの。
♬~
そなたこそが それをなす者と信じておる。
♬~
わしの志を受け継いでくれ。
♬~
(時計の音)
(大野)はっ!
(大野)あ~!
いや あ~ 参りました。
(一同)お~。 はあ~。
手加減してはおらぬだろうな。
残念ながら。 槍も囲碁も もう かないませぬ。
よし 次。 (家臣たち)はっ!
(大野)まこと 逸材をお育てになられましたな。➡
今は亡き 乱世の名将たちを思わせまする。
(茶々)惜しいのう…。
柿が落ちるのを ただ待つのが。
家康を倒して手に入れてこそ まことの天下であろう?
御免。 鐘の銘について ご意見を。
(大野)鐘?
京大仏と共にお披露目する 梵鐘でござる。
どんな銘を刻むか いくつか案を出してきまして。
面白い。
面白いのう。
♬~
鐘? はい 鐘でございます。
そのような銘が刻まれているとのこと。➡
全く聞かされておりませぬ。
「国家安康➡
君臣豊楽」…。
(正純)家康の諱を刻み 2つに切り分けている。➡
更に 豊臣こそが 君であると。
(正純)今 江戸より 皆様が こちらへ向かっております。
江戸から 切れ者たちを連れてまいりました。
羅山。 崇伝。
そなたらの意見を聞きたい。
(2人)はっ。
(正信)とんでもない一手を 打たれたようで。➡
上手に少しずつ力を削ぐ… ということは もはやできませんな。
恐らく…➡
避けられませぬ。
♬~
とうとう…➡
戦か。
♬~
天下を我らの手に取り戻そうぞ! (一同)お~!
穏やかに収めとうございます。
何が起きても不思議はありません。
本当に 戦をしたいのですか? 和睦。
信長や秀吉と同じ地獄を背負い あの世へ行く。
一歩も城に近づけるな! 放て~!
次回 どうする。
戦火に見舞われ 荒れ果てていた京。
豊臣秀吉は 道の整備や寺の復興を行い 今につながる京の街の基盤を築きました。
鴨川には 石の柱を用いた橋が架けられました。
三条大橋では➡
秀吉時代の擬宝珠が 今も使われています。
秀吉が創建した方広寺。
秀吉は この場所に 日本一の 大仏を建立することを夢みていました。
秀頼は その遺志を継ぎ 大仏を完成させます。
一方 家康は 京での活動拠点として 絢爛豪華な二条城を築城。
徳川の威光を世に示しました。
秀頼と この場所で会見した家康は➡
秀頼は賢い人物であると 家臣に言ったと伝わります。
会見の3年後に完成した方広寺の鐘。
鐘に刻まれた8つの文字をきっかけに➡
徳川と豊臣➡
最後の戦いが 幕を開けたのです。
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