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Original subtitles

<(ヤス)こら なる!

そがんところで なんばしよっと。

登ったら駄目っち言うたろ!

登ったら駄目っち言うたろ!

ヤスば あれ見て。

ああ 飛行機雲かねえ?

飛行機に乗って 誰か来るのかな?

あんなかけん はよ下りてこんか。

(ヤス)なる!

じいちゃんに言いつくっぞ。

分かった。 下りるから!

分かった。 下りるから!

おっ。

美和ネェが捜しよったけん はよ行けよ。

うん! もう あんなかこっば すんなよ。

およっ!

あん子は…。

ホントに 分かっちょっとかよ?

フフ。

♬~

♬~

やっと着いたな。

ん?

タクシーは?

誰もいない。

次のバスは…。

5時間後!? 嘘だろ…。

徒歩4時間…。

まっ どっかで タクシー 拾えんだろ。

しかし 何もないな…。

人もいないし…。

<(トラクターのエンジン音) <(クラクション)

<(トラクターのエンジン音)

(耕作) 兄ちゃん どこまで行くとか?➡

乗ってけ。

えっ これに?

《第一村人に 頼るしかなさそうだ…》

(トラクターのエンジン音)

(トラクターのエンジン音)

(耕作)東京からじゃ遠かったろ。 でも 運のよかったね 兄ちゃん。

はい? あっ 聞こえん?

おっが通らんかったら 七ツ岳郷までは半日はかかっぞ。

(トラクターのエンジン音)

あの まったく 聞こえないんですけど!

半日歩かんば 目的地には着かんよー!

(トラクターのエンジン音) えっ?

(トラクターのエンジン音) えっ?

ハァ…。 (トラクターのエンジン音)

分からない…。 (トラクターのエンジン音)

(携帯電話)(バイブレーターの音)

《俺の字の何が悪い!》

(川藤)《おい 半田!》 《離せ 川藤!》

(川藤)《おい バカ! お前 何やってんだよ!》

《好き勝手 言いやがって! 俺が どれだけ苦労したかも➡

知らないくせに!》 (川藤)《いいかげんにしろ!》

さすがに まずかったか…。 いや でも…。

さすがに まずかったか…。 いや でも…。

(耕作)おら 兄ちゃん!

うんぞ! うん! えっ?

海!

♬~

都会のもんは こっが うれしかっじゃろ?

都会のもんは こっが うれしかっじゃろ?

どうな?

どうって…。

普通の海だ…。

奇麗に見えないのは 俺の心が すさんでるせいか?

(ブレーキ音) うおっ! いきなり止まんなよ。

おっは 畑に行かんばじゃっけん こっからは 歩いていけよ。

それとな 兄ちゃん。

海んが奇麗に見えんとは➡

海んが奇麗に見えんとは➡

心ん すさんじょっけんじゃなかぞ。

えっ? 午後から 曇っけんぞ。

ああ そういうことか…。

海んは すさんだとっこそ見るもんぞ。

分かっちょらんね。

ハハハハ…。

♬~

♬~

<(鳴き声)

牛?

♬~

♬~

《父さん…》

《俺…》

《しばらく 島で頭冷やしてこい》

《島?》

《お前は書道家の前に➡

人間として 欠けている部分がある》

《取りあえず 来てはみたものの…》

《どうすりゃいいんだ》

♬~

《東京とは まるで違う この島で…》

《東京とは まるで違う この島で…》

やっと着いた。

遠かったな。

えっ ここ?

<あっ 半田先生ですか?

<あっ 半田先生ですか?

待ってましたよ~。

あっ この家を管理してる 木戸です。

あっ どうも。 お世話になります。

東京から ご苦労でしたね。

どうぞ。 ねっ。

今日は 迎えに行けなくて すまなかったね。

これ 家の鍵。

この辺って 電車とかバスって ないんですか?

バスの本数も少ないし➡

タクシーは 電話で呼べば来るけどね➡

タクシーは 電話で呼べば来るけどね➡

台数が あまりなくてね。➡

あっ 街に用があるときは 車 貸すよ。

はぁ…。

取りあえず 1週間は 一人にしてもらっていいですか?

書に没頭したいんで。 ああ 分かってる。

ちょ 貸して 鍵。

すいません。

まあ ホントに ゆっくり書くといいよ。

(鍵の開く音)

飯も心配しなくていい。 うちから届けるから。

飯も心配しなくていい。 うちから届けるから。

この家にあるものは 何でも使って構わないから。

大きい荷物は あした届くからね。

晴れてる。 ハハハ…。

あの ここって 誰も住んでないんですよね?

そうだよ。

何か 妙に生活感が 漂ってるような…。

気のせい。 気のせいだよ。 うん。

先生 部屋 案内する。

先生 部屋 案内する。

ここに 和室が1つ…。

ここが 納戸。

ここが 風呂場。

いわゆる ボットン便所ってやつだね。

やっぱ 無理かも…。

えっ? 何か言った?

いや 別に。 <(物音)

やっぱり! 誰かいる!

ちょっ… 半田先生!

せ… 先生 気のせいですって。

せ… 先生 気のせいですって。

あっ ここにあるね あのう 調理道具やね 食器はね➡

自由に使っていいからね。 うん。

ほら。

いや そういうことじゃ…。

<(物音)

うわーっ!?

な… 何なんだ お前!?

アハハハ 見つかった。

ちょっと 管理人さん。

管理人さんじゃないよ 郷長だよ。

郷長?

自治会の代表やってるもんで。 まあ 世話係みたいなもんです。

何なんですか こいつ。

この村の悪ガキです。

悪ガキじゃないよ。 琴石なるっていうんだ。

悪ガキじゃないよ。 琴石なるっていうんだ。

この家を 何か 基地にしてたみたいで。

基地ぃ?

すいません 出ていくようには言ったんですが。

兄ちゃん イケメンだな。

はっ? 芸能人か? 俳優? アイドル?

こら なる! いきなり 失礼だろ。

こん人は 書道の先生ぞ。

分かった! 字の書けるアイドル!

いや 違うって。 そもそも アイドルって年じゃないし。

アイドルに求めるのは 年齢じゃないって➡

美和ネェ 言ってたよ。 何 ませたことを。

美和ネェ 言ってたよ。 何 ませたことを。

とにかく 出てってくれ。 あっ 何すんだ!

ほら。

<開けろよ! なるたちの基地だぞ!

すみません 聞き分けのない子で。

あっ 郷長さんも 出てってもらっていいですか?

ですね。

違う 違う なる。 なっ 下がれ。

(鍵を掛ける音)

鍵 はやっ。

ったく 何が基地だ。

<(物音)

♬~

増えてる! てか 誰!?

あっ 美和ネェとタマだ。

お前の姉ちゃんか? ううん 近所のお姉ちゃん。

つうか お前 どうやって入った!?

つうか お前 どうやって入った!?

エヘヘ。 エ… エヘヘ…。

トランプしよう。 (美和)おっ よし やるか。

(珠子)七並べがいい。 (美和)よし ぜってぇ負けねえ。

ババ抜きがいい! ババ抜き? 大富豪だろ。

おい! (美和・珠子)じゃんけん。

最初はパー。 みんな 帰れ!

(美和・珠子)ずるい。 何それ。 もう一回 もう一回。

俺を一人にしろ~!!

♬~

(ドライバー)荷物は以上ですね。 ハンコかサインばお願いします。

あのう 運び入れは 手伝ってもらえないんですか?

あ~ うちは そういうのしないんで。

あざーした!

競争する業者がいないと サービスは低下するばかりだな。

競争する業者がいないと サービスは低下するばかりだな。

とはいえ やらないと始まんねえしな。

よーし 戦闘モード。

先生 朝から元気だな。

また お前か。

うわぁ~ ダンボールがいっぱいだ。

俺は荷物の片付けで忙しいんだ。 帰ってくれ。

えー せっかく 遊びに来てやったのに。

1ミリも頼んでないだろ。

なるも手伝うぞ。

なるも手伝うぞ。

まっ 猫の手も借りたいし 仕方ないか。

俺が運んだ箱を開けて➡

中のものを 言うとおりのとこに置くんだぞ。

それなら簡単だ。 んじゃ 頼んだ。

任せろ。

玉手箱?

玉手箱?

ハッ! 先生 浦島太郎!?

商売道具だよ。 そっち 置いといてくれ。

およっ。

ばあさんになるぞ。

フゥ… ハァ… ハァ…。

フゥ… ハァ… ハァ…。

うっ… ハァ…。

こんなん 片付くわけないよ。

だいたい ずっと こっちに 住むわけじゃないのに➡

引っ越しする意味あんのか?

ん?

こんなもん 入れたっけ?

栄華賞んときの…。

(男性)半田君 受賞おめでとう。

ありがとう。 さすが 家元。 格が違うよね。

お父さんも喜んでるだろ。 自慢の息子だよな。

いや 別にそんな…。

(男性)何 言ってんだよ お前。 (清明)息子は まだまだ➡

駆け出しです。 今後とも ご指導のほど➡

よろしくお願いいたします。

よろしくお願いいたします。

(男性)うらやましいよな~。 半田 清明が父親なんてさ。

あっ 俺 ちょっと 飲み物 取ってくるわ。

(男性)おう。

<(男性)やっぱさ 今回の受賞って 親のコネとか使ったのかな?

(女性)あり得るかも。 だって 書道界の重鎮だもん。

(男性)七光 まぶしすぎる~。

半田 館長が呼んでるぞ。

ああ 分かった。

♬~

♬~

お呼びですか 館長。

久しぶりだね 半田君。 ご無沙汰しております。

君 幾つになったんだい?

はい 27になりました。

そうか… まだ若いのに➡

そうか… まだ若いのに➡

ずいぶん 型にはまった字を書くね。

えっ あの それは…。

(館長)手本のような字 というべきか…。

(館長)賞のために書いたもの というべきか…。

実に つまらん字だ。➡

長いこと 展示館の運営をしていると➡

長いこと 展示館の運営をしていると➡

目が肥える。

君は 平凡という壁を 乗り越えようとしたか?

勝手なこと言いやがって…。

俺の字の何が悪い!

(川藤)おい 半田! 離せ 川藤!

(川藤)バカ! お前 何やってんだよ!

好き勝手 言いやがって! 俺が どれだけ苦労したかも➡

好き勝手 言いやがって! 俺が どれだけ苦労したかも➡

知らないくせに! (川藤)いいかげんにしろ お前!

館長 申し訳ありません。

(スタッフ)館長 こちらへ。

(男性)終わったな あいつ。 (男性)ハハッ あいつ…。

ああ… 何だろう この孤独感…。

ストレス。

<タコ~。

浦島…。

締めさば! どんな夢だよ。

浦島の夢 見た。 タイやヒラメがピチピチしてた。

ふーん。 玉手箱は?

あっ あった!

それは書道の道具だって。

違う。 玉手箱だもん。

違う。 玉手箱だもん。

嘘だと思うなら開けてみれば?

でも でも 竜宮城の締めさばが 開けるなって言ってた。

ばあちゃんになっちゃうかも。

じゃあ やっぱり 書道の道具だな。

違う! 絶対 絶対 玉手箱!

おっ 静かになったか。

おっ 静かになったか。

どうだ? 玉手箱じゃなかっただろ。

よっ。

バ… ババアじゃなくて ジジイになった。

ハハハッ なんば言いよっと。

てか どうし… どうしたんですか?

かせに来たよ。

そっとな ほれ かめ。

な… 何ですか? これ。

このもん。 このもん?

漬物たい。 甘うて うんまかぞ。

漬物たい。 甘うて うんまかぞ。

のうなったら また 持ってくっけん。

<(郷長)先生。

(郷長)ああ いた いた いた いた。

先生 うちの妻の朋子です。

お世話になってます。

さっき 変なじいさん 来たろ。 なるのじいちゃん。

あー…。

《第一村人 あいつのじいちゃんだったのか》

あん人 どっからでも 勝手に入るけん 気ぃ付けれよ~。

あん人 どっからでも 勝手に入るけん 気ぃ付けれよ~。

じゃあ お邪魔するよ 先生ね。 あああ… あの…。

(ヤス)ありゃー よか男ん来たね。

あっ… えっ ちょっと…。 かせに来たよな。

手伝いに来たって意味ね。

奥さん 昨日 野菜ありがとな。 (朋子)ああ よかよか。

先生。

なるの友達 陽菜だ。

どうも。 ひっ!

えっ…。 陽菜は人見知りってやつなんだ。

えっ…。 陽菜は人見知りってやつなんだ。

そうか。 じゃあ 2人で外で遊んでこい。

うっ…。 何これ。

陽菜は手伝いに来たんだ。 遊びに来たんじゃない。

そうか ごめん ごめん。 じゃあ よろしくな。

(泣き声)

なぜだ? 陽菜は うれしくても悲しくても➡

何でもなくても泣く。 そんな… 俺にどうしろと?

ヤスば!

大浜 謙太郎 ただ今 参上!

竹馬!? 同級生のケン太だよ。

(美和)こんにちは~。 (珠子)何からやればいいですか?

そういえば 私たちの荷物は? まさか 捨てちょらんよね?

もともとあった荷物なら そこに置いてある。

よかった~。 (美和)うちらの大事な物やもんね。

(郷長)あっ 先生。 取りあえず 箱を家に入れればいい?

あっ はい。

男手が足りんね。 浩志は どうしたっか?

男手が足りんね。 浩志は どうしたっか?

ああ 今日はな 約束あっとかで 来られんとよ。

高3で受験生だってのに 遊んでばっかで。

(ヤス)ケン太。➡

ケン太 こっち手伝え。 (ケン太)およ!

これ 台所でよかね。 (朋子)うん うん。

先生も 仕事 仕事。

あっ… お前が呼んだのか?

誰を? この村人たち。

誰を? この村人たち。

ううん 呼ばないよ。 みんな 勝手に集まってきたんだ。

赤の他人なのに 手伝わせていいのか?

(耕作)先生 こっちの箱 勝手に開くっぞ。

ああ~! それは ちょっと…。

なんが入っちょっとね? (朋子)先生 何か変なもの➡

入っちょっとだ。 (耕作)ああ アハハ…!

ほら 先生も。

(朋子) 先生 中ば見て指示して。 はい。

(朋子) 先生 中ば見て指示して。 はい。

バイバーイ。

(朋子)先生 夕めし 後で届くって。

あっ すいません。

(ケン太)バイバーイ。 ケン太 バイバーイ。

ヤスば バイバーイ。 (ヤス)ほなね。

あれ? お前は?

あれ? お前は?

さあ もどっか。

うん。

先生 じゃあ またあしたな。

ああ。

いや あしたは来なくていい!

ハァ…。

疲れた~…。

疲れた~…。

ハァ…。

♬~

♬~

♬~

うまっ。

とにかく 書くしかない。

とにかく 書くしかない。

♬~

<先生!

来やがった。

お前 来るなって言っただろ。

なるだけじゃないぞ。

なるだけじゃないぞ。

こんにちは~。 (美和)どうも。

ほら どいた どいた。

だから 勝手に上がるな。 ここは もう 基地じゃないんだ。

って おい! 何 張ってんの!?

(美和) 私たち ここを離れる気ないもん。

離れろよ 住人がいるんだから。 (美和)ちょ… 固いこと言うなち。

若い娘と絡めて うれしいくせに。

誤解を招くような言い方すんな。 子供が勘違いすんだろ。

フフ。 タマ 何してる?

フフ。 タマ 何してる?

こら お前もか。 何 勝手に使ってんだよ。

できました。 (美和)お~。

意味分からん。 タマ うまいな。

ホントだ。 漫画家 目指してるだけのことはある。

漫画家のことは言わないでよ。

先生より うまかったりして。

んなわけないだろ。

だって 先生の字 見たことないもん。

なめんな ガキども!

♬~

♬~

(美和たち)お~。

見ろ これが本物だ。

(美和たち)おお~!

(美和)すごい! 何かよく分からんけど すごいよ。

ホントだ。 何かよく分からんけど すごい。

(美和)あっ 夏休みの課題で 習字あったよね。

先生に見てもらおうや。

ナイスアイデア。 先生に習えば金賞も夢じゃないね。

ナイスアイデア。 先生に習えば金賞も夢じゃないね。

まっ お前たちが頑張ればな。

やった! (2人)先生よろしくお願いします。

じゃあ またあした来るね~。

あ~ しまった!

何やってんだ 俺は…。

先生 これは?

ああ 前の仕事のときに 練習で書いた字だ。

へぇ~ これは何て読むんだ?

へぇ~ これは何て読むんだ?

「清舟」 俺の名前だ。

中学生のペンネームみたい。

雅号というものだ。 本名は 半田 清。

ふうん。

先生 習字うまいね。

習字じゃなくて書道な。

もっと書いてよ。 もっと見たいもん。

そうか? うん。

学校の先生が書いた字 みたいだもんな。

《ずいぶん 型にはまった字を書くね》➡

《ずいぶん 型にはまった字を書くね》➡

《手本のような字 というべきか…》➡

《実に つまらん字だ》

そうだ 郷長が 今日の夕ご飯は➡

皿うどんだよって言ってた。

何すんだよ せっかく書いた…。 うるさい!

お前に俺の字の何が分かる!

奇麗な字だから うまいね…。 知ったふうなこと言うな!

もう 帰ってくれ。

先生…。

書展に出す作品に集中したいんだ。

書展に出す作品に集中したいんだ。

頼むから 俺を一人にしてくれ。

♬~

♬~

♬~

(清明) 清 筆はもっと軽く持つんだ。

いいか 腕の力を抜いて 筆の流れを よーく見て。

なっ。 はい。

墨 つけて。

うん うまく書けてるじゃないか。

お手本になるような しっかりとした字だ。

ヘヘヘ。 いいか 清。

字というのは 基本が一番美しいんだ。

もし何か迷いが生まれたら いつでも基本に帰れ。

はい。

僕 大きくなったら 書道家になる!

そうか。 父さんと同じ仕事するか?

そうか。 父さんと同じ仕事するか?

うん! ハハハ。

《父さんに憧れ 自分の将来を書道家と決めて➡

ずっと 夢に一直線で生きてきた》

《基本の美しさを突き詰め 大きな賞も取れたのに》

《何が欠けてるんだ?》

《何が欠けてるんだ?》

《何が足りない?》

♬~

浩志 先生にお昼ば持っていって。

浩志 先生にお昼ば持っていって。

聞いちょっか?

あー。

ちょっ 何すんだ! まだ途中なのに。

あんたは それじゃっけん➡

成績オール3のミスター平凡 なんて呼ばるっとぞ。

ちっとは勉強せれ。

してるっつうの。 息抜きぐらいさせろや。

はい これ ちゃんぽん。 こぼさんようにね。

はい これ ちゃんぽん。 こぼさんようにね。

あー もう めんどくせえ。

昨日一日 先生の顔ば見ちょらんとよ。

えっ?

届けたご飯は 食べちょっごちゃっけど…。

心配じゃっけん 様子ば見てきて。

まあ 今日は持ってってやるけど 少し考えた方がよくないか?

何を? (浩志)よそもんに 飯まで➡

作ってやる必要なかろ。

あんたは なーんも分かっちょらん!

いって!

いって!

先生の世話ば焼っことが➡

どっだけ あたしの張り合いに なっちょっか。

父さんも あんたも なんば作ってん うんともすんとも言わんしね。

あー もう 分かったよ。 行ってきます。

こぼさんようにね。

ミスター平凡って何だよ。

俺だって 頑張ってるっつうの。

(浩志)すいません 昼飯 持ってきたんすけど。

すいません! 木戸です!

おい いるんだろ! 出てこいよ!

てめえ 呼んだら すぐに出てこい…。

うっ! はっ!?

あれ? 浩志? なる いいところに来た!

浩志 お前 先生に何やってんだよ!

何もやってねえ! うわぁ 先生 大丈夫か?

何もやってねえ! うわぁ 先生 大丈夫か?

取りあえず ちゃんぽんを受け取れ。

先生~! ちゃんぽんって言ってんだろ~!

先生 元気になる?

(育江)うん。 睡眠不足だったみたいだけど➡

一晩入院すれば良くなると思うよ。

にしても 何で倒れるまでやんだろうな。

にしても 何で倒れるまでやんだろうな。

んー どこかに出す作品に 集中したいって言ってた。

それで徹夜か。

俺もテスト前は こんな感じだけど…。

まあ 才能のあるこいつと俺じゃ 意味が違うか。

さいのう? 先生は さいのうがあるから すごいのか?

ああ。

世の中にはさ ちょっと頑張れば できるやつと➡

どんなに頑張っても できないやつがいるってことだよ。

どんなに頑張っても できないやつがいるってことだよ。

へぇ~。

きっと こいつは 才能のかたまりだな。

まだ若いのに 島で隠居生活なんて 成功してるやつしかできない。

<(美和)こっちだ こっちだ。

(浩志)おっ みんな 来た。

先生 倒れたって? (浩志)一晩 入院だってさ。

えっ 入院!? マジか。

先生 大丈夫?

あ… あっ はい…。

あ… あっ はい…。

(朋子)もう 先生 具合が悪かったら言うてくれんば。

すいません 心配かけて。

何か欲しいもんはなかな? 食べたかもんとか。

(美和)缶詰は? ミカンの缶詰。

パイナップルの方がいいだろ。 (珠子)それなら 桃一択でしょ。

何なら ミックスフルーツ?

(一同の話し声) あのっ!

あのう… すみません 気持ちはありがたいんですけど…。

もう大丈夫なんで。

あっ… そうね 病室で騒いでたら迷惑よね。

あっ… そうね 病室で騒いでたら迷惑よね。

何かあったら あたしの方から連絡するね。

世話かけるね 育ちゃん。

先生 何かあったら 遠慮せんで育ちゃんに言うてね。

(郷長)この看護師さん 東京にいたこともあるから。➡

困ったことがあれば 相談に乗ってもらったらいい。

バツイチのシンママだよ。 娘が1人。

(育江)ちょっと。 陽菜の母ちゃんだぞ。

ペラペラしゃべんないの!

入院に必要なものは 後で持ってくるから。

じゃ 行こうか。 すいません。

なるは ここに残る。

なるは ここに残る。

いや お前も帰れ。

じゃ 私たち 帰るね。 (美和)こっちだから。

(郷長)気ぃ付けてな。 バイバーイ。

(郷長)気ぃ付けろよ。

浩志 先生の家に行って➡

入院にいるもんば 取ってきてくれんな?

歯ブラシとか タオルとか。

はっ? 俺?

父さんたちは これから 自治会の集まり あっけんさ。

でも どこに何があるかなんて 分かんねえよ。

ああ…。

ああ…。

なる 知ってる! おっ じゃあ 一緒に行って➡

そん後で なるば家まで送ってやって。

分かったよ。

なあ さっき 先生は さいのうがあるって言ってたよな。

ちょっと頑張れば できるやつだって。

ああ うん。

本当に そうなのかな。

本当に そうなのかな。

浩志 見せたいものがあるんだ。

おっ お~ 何だ 何だ。

ここだよ。

何だ この部屋…。

一面 字だらけじゃねえか。

先生はな こんなにたくさん書いても➡

まだ いい字が書けないみたいだ。

えっ…。

一人にしてくれって 言われたんだけど…。

こっそり来て 見ちゃったんだ。

♬~

♬~

♬~

先生はな さいのうがないから➡

こんなにたくさん書いても まだまだなんだな。

なるは 先生のこと すごいと思うけど➡

さいのうって よく分からないな。

さいのうって よく分からないな。

《俺 ここまで真剣に 何かを 頑張ったことなんてあったっけ…》

浩志?

なる。 やっぱり 先生は 才能あるかも。

えっ 浩志には分かるのか?

いや よくは分からないけど…。

いや よくは分からないけど…。

でも 努力できるのが 一番の才能なんだ きっと…。

《あっちゃー…》

(担任)《木戸。 お前もさ もうちょっと頑張ってみろよ》

《いや 頑張ったんすけどね~》

(浩志) 《今日は ここまででいいや》

《浩志 ちゃんと勉強せれ》

《やってるっつうの》

(浩志)《自分なりに 頑張ってると思ってたけど…》➡

《全然 足りてない… 中途半端》➡

《全然 足りてない… 中途半端》➡

《だから 俺は オール3なのか…》

うおお!?

何だよ えっ 何くっつけたんだよ!?

ジャジャーン。 セミの抜け殻。

はっ? 何で?

なるの さいのう。

これ。

これを集めるのは 誰にも負けない。

これって さいのうだろ?

まあ お前が誰にも負けないくらい 一生懸命なら➡

まあ お前が誰にも負けないくらい 一生懸命なら➡

それが才能かもしれないな。

うん!

あっ 俺に見せたかったのって こっち?

うん そうだよ。

半田さん そろそろ消灯ね…。

ちょっと 何やってるんですか。

もう大丈夫なんで 帰らせてください。

何 言ってんの まだ 熱下がってないでしょ。

何 言ってんの まだ 熱下がってないでしょ。

でも 次の書展に出す作品を 書かないと。

過労で倒れたんだから 安静にしててください。

俺は 書いてるときが 一番安らぐんです。

そんな 一日ぐらい書かなくったって 何とかなるでしょ。

書道を始めてから今まで 一日も欠かしたことはないんです。

嘘っ。 そんなに好きなんだ 書道。

分かりません。 分かんないって。

分かりません。 分かんないって。

村に天才芸術家が越してきたとは 聞いてたけど➡

ホント 変わりもんね。

天才なんかじゃありません。

ん?

書いても書いても 正解が分からなくて…。

どう変わればいいか 分からないから 結局➡

今までどおりに書くしかなくて…。

今までどおりに書くしかなくて…。

笑っちゃいますよね。

こんなん続けても 何も生まないのに…。

とにかく 今夜は仕事のことは忘れて➡

しっかり休んで。

ねっ?

(育江)半田さーん お熱 はか…。

(携帯電話)(バイブレーターの音)

もしもし。 (携帯電話)(川藤)おう 半田。

(川藤)島の生活は どうよ。

(携帯電話)どうもこうも…。

(川藤)まあ 館長の顔つぶしたんだ 同情の余地なしだな。

(携帯電話)でも 心配すんな。 お前が島にいても➡

(携帯電話)でも 心配すんな。 お前が島にいても➡

マネジメントは しっかりやるから。

ああ。 でも こっちに 長居するつもりはないよ。

(川藤)そんなに戻りてえなら➡

さっさと館長に謝って 帰ってくりゃいいじゃねえか。

人ごとだと思って…。

確かに 失礼なことをしたとは思うが➡

俺の書に対して あの言葉は許せない。

(携帯電話)それに 賞を取るために書いてるんだ。

基本に忠実で何が悪い。

基本に忠実で何が悪い。

お前なぁ そんな気分で 字ぃ書いてて楽しいか?

えっ?

(携帯電話)ホントは お前が 一番よく分かってんだろ?

今のままじゃ駄目だって。

(携帯電話)変わらなきゃって。

もう少し島でゆっくりしてこい。

じゃあな。

言われなくても分かってるよ。

でも 焦るばかりで うまくいかない…。

(耕作)海んは すさんだとっこそ見るもんぞ。

分かっちょらんね。

《島の人にも…》

アハハハ 見つかった。

アハハハ 見つかった。

お前が呼んだのか? ううん。

みんな 勝手に集まってきたんだ。

《引っ越しのお礼も ろくにせず》

入院!? マジか。 (珠子)先生 大丈夫?

(朋子)具合が悪かったら 言うてくれんば。

《病院に来てもらっても ひどい態度で》

(育江)過労で倒れたんだから 安静にしててください。

俺は 書いてるときが 一番安らぐんです。

《自分のことに いっぱいいっぱいで➡

周りに迷惑かけて》

学校の先生が 書いた字みたいだもんな。

何すんだよ せっかく書いた…。 うるさい!

何すんだよ せっかく書いた…。 うるさい!

お前に俺の字の何が分かる!

《あいつにも ひどいことを言ってしまった》

最低だ 俺…。

何か ちょっと センチメンタルになっちまったな。

そうか。

いつからいた?

センチメンタルって何だ? センチメートルなら分かるぞ。

何の用だよ。 俺は謝んねえぞ。

何の用だよ。 俺は謝んねえぞ。

何で先生が謝るんだ?

なるが 先生の嫌がることを言ったのに。

それでな 字を書いてみたんだ。

先生の字を写し書きしたんだけど やっぱ先生みたいには書けないな。

お前…。

これ…。

ごめんなさい。

ごめんなさい。

おい お前は何も悪くないだろ。

許してくれるか?

あぁ… 許すも何も…。

よかった~。

許してくれてよかった~。

謝るのって すごく怖いな。

でも 謝ってよかった。

その… 俺の方こそ 悪かった。

その… 俺の方こそ 悪かった。

ごめん。

ん?

何でもない。 さっさと立て。

うん。

あっ そうだ 先生 いいもの見せてやる。

こっち こっち。

この壁 登ったら すっごい夕日が見れんの。

ちょっと待て この防波堤 登んのか?

うん。 登らないと見られない。

うん。 登らないと見られない。

いいよ 夕日なんて。 別に大したことないだろ。

登ってみないと分からない。 見ようとしないと見られない。

わあ! 危ない!

大丈夫 大丈夫 ちょっと焦っただけ。

♬~

♬~

♬~

とうちゃーく。

先生も早く来い。

この壁を越えなきゃ 何も見えないぞ。

早く。

♬~

♬~

頑張れ もう少しだ。

んっ!

うっ! うわっ。

♬~

♬~

♬~

なっ 奇麗だろ?

ああ ホントだ。

♬~

♬~

♬~

それにしても 奇麗に模写したな。

うん 書きやすかった。

先生の字 お手本みたいな字だもんな。

あれ?

あれ?

さっき謝ったこと 撤回する。

お前 やっぱ 何で俺が怒ったか分かってないな。

ごめんなさい 分かんないや ヘヘ。

その書 返せ。 やだ 宝物だもん。

ただの練習書きだぞ。

返せって。 やーだ!

あっ…。

あっ おい!

おい!

あっ 先生。

お前 無茶すんなよ いきなり飛び込むなんて。

だって これ 宝物だもん。

服が重くて沈みそうだ。

そんなときは…。

何だそれ。 初めて見た!

Tシャツの裾を ズボンに突っ込んで➡

Tシャツの裾を ズボンに突っ込んで➡

首元をふさいで空気を取り込む。

おお すげえ! あとは 泳ぐのみ!

おっ 進む! 何だこれ! おもしれえ!

うお~! すげえ ほら!

先生 今 楽しいか?

えっ? 初めて見たから 笑ったとこ。

別に楽しいわけじゃねえよ。

アハハハ そういうの 何ていうか知ってるぞ。

ツンデレ~。

ハハハ! ほれ!

(館長)《君は 平凡という壁を 乗り越えようとしたか?》

(川藤)《ホントは お前が 一番よく分かってんだろ?》

《変わらなきゃって》

♬~

♬~

♬~

♬~

♬~

ハァ~。

あー 楽しかった…。

あー 楽しかった…。

♬~

♬~

(育江)あっ 先生。 勝手に出てっちゃ駄目じゃない。➡

心配したんですよ。 この間は すいませんでした。

あら 今日は やけに素直。

島の人が教えてくれたんです。 謝るのは大事だって。

今日は それだけ伝えようと思って。

今日は それだけ伝えようと思って。

それじゃ。

あんまり根詰めて 書かないようにね。

書きますよ。 それが俺の仕事なんで。

う~ やっぱ素直じゃなかね。

ああ こっちで どうにかやっていけそうだ。

(携帯電話)(川藤)そりゃよかった。

それと 今度 見てほしい書があるんだ。

(携帯電話)おっ 新しいの書けたのか?

(携帯電話)おっ 新しいの書けたのか?

ああ。 こっちに来て 初めて書けた作品だ。

<(子供たちの騒ぐ声) (携帯電話)そうか 楽しみにしてる。➡

あっ それと 新しい仕事の依頼で…。

イェーイ。

(携帯電話)わりと かための作品…。 あいつらが来たから切るぞ。

(携帯電話)あいつら? 籠城すんだよ。 じゃあな。

(携帯電話)おい!

♬~

♬~

よし。 これで入ってこれまい。

そうだな。

頼むから 俺を一人にさせろ!

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