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えぇ～！家に帰ってないの？

とりあえず今はウイークリーマンションに｡

じゃあ お母さんとは？

まだ話してない｡➡

納得させる自信なくて｡

まあ 驚くのも無理ないだろうな｡

自分の娘がずっと内科医だと思ってたら➡

麻酔科医だって知って｡でも➡

いつまでも話し合わないわけにはいかないでしょ？

それは そうなんだけど｡

あの親は そんななまやさしい相手じゃないよ｡➡

それに家族だからって １００％わかり合えるとは限らないし｡

真吾が言うと説得力あるよね｡

バツイチだからって？やかましいわ｡➡

これでも典子のこと心配してんだからな｡

わかってるよ｡

もっと自分 信じてあげても➡

いいんじゃないかな｡

誰に何言われたってさ➡

典子が麻酔科医に懸けたいって思った気持ちを➡

典子自身が信じてあげればいいじゃん｡

うん｡ごちそうさま｡

ごちそうさまでした｡ありがとうございました｡

いらっしゃい！

圭吾？どうしたんだ？こんな時間に｡

塾の帰り｡

お母さんは一緒じゃないのか？

うん｡何かあった？

もしもし どうして圭吾といるの？

圭吾が俺に相談があるって来たんだよ｡

相談？今度 学童の登山があるだろ｡

それ行きたいのに お母さんにだめだって言われたって｡

あの子の体のことあなただって知ってるでしょ｡

とにかく そっちに迎えにいくから軽はずみなこと言わないでよ｡

どうだった？

すぐ迎えにくるって｡いや そうじゃなくて➡

登山のこと｡

あのな 圭吾➡

お母さんは 圭吾のことを一番に思って言ってんだからな｡

何で僕だけ行けないの？そりゃ お父さんだって➡

できることなら行かしてやりたいよ｡➡

圭吾だって自分の体のことわかってるだろ｡

ほら 不整脈のこと｡

そうなんだ｡

お母さんも心配するよね｡

圭吾君まだ治療続けてるんだよね？

病院には通ってるんだけど｡

あのさ もし良かったら➡

１度 ＭＭＴの山岳外来に来てみるのはどうかな？

えっ？登山計画の内容にもよるけど➡

もしかしたら 圭吾君の力になれるようなことが➡

あるかもしれないから｡歩｡➡

それだよ｡心強い味方がここにいるじゃないか｡➡

ＭＭＴの皆さん！ＭＭＴって何？

マウンテンにもしかしたら連れてってくれる人｡

ＭＭＴ！おぉ～｡

ピース！ははっ｡

そうかな？うん そうかも！

へぇ～｡イェ～イ！

イェ～イ！はははっ｡

私を引き取ってくれたのは➡

ただ跡継ぎのためだったんですね｡➡

あっ｡

気にせず 今までと変わらないようにやってくれ｡

そう言われても なぁ｡

意識しないわけには｡ねぇ｡

いるだけで圧ありますもんね｡

だ… ど…｡じゃあ まずは➡

鮎川山荘の診療所についてなんですが➡

今後は江森先生にも➡

ローテーションに加わってもらいたいと思ってます｡

ああ｡江森先生 いいんですか？➡

土日泊まりでシャワーなしですよ｡

わかってる｡ＭＭＴが発足する前に➡

山岳診療科でやられてましたもんね｡

じゃあローテーションのスケジュール➡

組み替えておきますね｡うん｡

それから本日の山岳外来の診察についてなんですが➡

循環器内科の江森先生か掛川先生に➡

お願いしたい患者さんがいます｡

でしたら江森先生が適任かと思いますが｡

カルテは？今日が初診なのでまだありません｡

一応 かかりつけの病院からカルテのコピーを➡

提供していただけることになってます｡

そうか｡

じゃあ今から心電図とりますから➡

動かないでね｡

三尖弁 どうですか？

問題なさそうですね｡

あの どうでしょうか？

カテーテル治療をおすすめします｡

手術をすれば不整脈の完治が期待できます｡

手術ですか…｡

手術といっても傷口も ほとんどなく➡

体への負担も少ないので➡

回復が早く短期間の入院で済むと思いますよ｡

圭吾君ゆっくり考えてみてくれるかな｡

はい｡

ねえ 手術って痛いの？

大丈夫｡

さっきの江森先生手術が とっても上手なんだよ｡

それに 先生たちみんな➡

圭吾君が痛くならないように頑張るからね｡

まだ小さいのに手術なんて｡

圭吾の今後のことを考えたら➡

思い切って決断してもいいんじゃないかな｡

はぁ～｡でも あの子 大丈夫かな｡

圭吾の気持ち 聞いてみようよ｡

あのさ 御覚山ってさかぶとむし いるんだって｡

圭吾君 かぶとむし 好きなの？

うん 好き｡

だからさ みんなと捕まえたい｡ははっ｡

すいませんありがとうございます｡

ねえ 圭吾さっきの先生の話だけど➡

圭吾は どう思う？➡

先生の言うように手術 頑張りたい？

それで良くなる？

うん｡ＭＭＴのお医者さんたちは信頼できる｡

手術は きっと成功するし➡

友達とも山に登れるようになるよ｡

じゃあ 頑張る！ははっ そっか｡

でも山で もしものことがあったら｡

あの これはご相談なんですが➡

当日 ＭＭＴの医師が帯同するというのは➡

いかがですか？えっ？

よろしければ１度➡

学童の先生たちと相談してみてください｡

もし 病院にお越しいただければ➡

僕からも いろいろとお話できると思いますし｡

いいのか？歩｡

医師が帯同すれば 何かあってもすぐに対応できるし➡

山に登りたいっていう患者さんに安心して登山を楽しんでもらえる｡

っていうか圭吾君をそばで守れんだろ｡

ははっ｡だって 圭吾｡

うん ははっ｡ははっ｡

それなら心配ないだろ｡学童の先生に相談してみようよ｡

わかった｡やった～！

ははっ 良かったな 圭吾｡うん うん｡

頑張らないと｡うん 頑張る｡

頑張るんだよ｡うん｡

サンキュー｡うん｡

大丈夫だからね先生に治してもらおうね｡

あっ｡

大丈夫です 安心してください｡

江森先生なら心配いりません｡

準備できてます｡

ラボの準備もＯＫです｡よし｡

ＷＰＷ症候群に対するｶﾃｰﾃﾙｱﾌﾞﾚｰｼｮﾝ治療を始める｡

大丈夫 圭吾は強い子だ｡

うん｡

あっ 先生｡

無事 終わりましたよ｡

あぁ…｡ありがとうございます｡

圭吾君 良かったですね｡

ええ そうですね｡

江森先生 ありがとうございます｡

圭吾君 山で友達と➡

かぶとむし捕まえたいって言ってたから➡

これで願い かなえられます｡

学童登山に帯同するらしいな｡はい｡

自分が そばにいれば圭吾君や子供たちを守れます｡

それに ご家族にも安心してもらえると思うんです｡

そうやって登山者の安全を守ることが➡

僕たちの仕事かなって｡

ふっ 随分な自信だな｡

山に登りたいっていう患者さんに寄り添うことが➡

山岳医の務めなので｡

なあ 平｡はい？

君は んんっ あれだよな➡

この病院に入った頃から上司に対しても言葉を選ばず➡

ずけずけと いけしゃあしゃあとう～ん 本音を言うタイプだよな？

いきなり何ですか？仕事のだめ出しなら➡

休憩が終わってからにしてもらえます？

そんな君を見込んで聞く｡➡

私は 周りから気を遣われているのかな？➡

あっ いやいや 江森先生という➡

山岳救命のベテランが加入したにもかかわらず➡

なぜか私はＭＭＴのリーダーのままだ｡

この状況をどう思う？はっきりと言ってくれ！

気を遣われてるんじゃないですか？

はっきりと言うな！➡

あぁ… ごめんなさいごめんなさい すいません➡

ごめんなさい｡まあ まあ 小宮山先生は➡

肩身の狭い思いをしてるんですよね｡➡

気持ちはわかります｡私だって同じですから｡

そうなの？江森先生という➡

循環器内科のベテランがいたら私の立場がありません｡

うん｡でも 良かったじゃないですか｡

えっ？山小屋ﾛｰﾃｰｼｮﾝの間隔も➡

延びたわけですし｡まあ 山のことは➡

山に詳しい人たちに任せて➡

私たちは 病院待機組として頑張ればいいんですから｡

そうだよな ははっ｡➡

いや あの 院長は➡

私のこと本当に評価しているのかな？

気になりますよね副院長になれるかどうか｡

うん｡

あっ｡えっ？

へぇ～ 小宮山先生ってそんなことお考えだったんですね｡

あぁ… 院長！あの いや 今の あの…➡

掛川先生がもう 変なこと言うもんだから｡➡

もう 掛川先生 もう ははははっ｡ははははっ｡

なりたくないんですか？

なりたいです！実は副院長から➡

そろそろ引退しようかと相談を受けてるんですよ｡

えっ？そうなったら➡

次期副院長にはレスキューヘリの導入にも➡

協力的な方に お願いしたいと思ってるんですけど｡

不肖 小宮山太全力でお力添えいたします！

よろしく頼みますよ｡

お任せください ははっ｡➡

お食べください はははっ｡

あっという間だったよ｡頑張ったね 偉いよ｡

うん｡かっこよかったぞ｡

うん｡ははははっ｡

失礼します｡

圭吾君 体調いかがですか？

ははっ｡今日の検査が問題なければ➡

明日には退院できます｡あっ｡

圭吾君 よく頑張ったね｡

後は登山に向けて体力つけて頑張ろうね｡

えっ 山に登れんの？うん｡

だからあとちょっと一緒に頑張ろう｡

はい！ははははっ｡➡

本当にありがとうございました｡➡

あっ 帯同の件もよろしくお願いします｡➡

指導員の方々も頼りにされてるようなので｡

あっ ありがとうございます｡

では よろしくお願いします｡お願いします｡

圭吾君 またね｡バイバイ｡

うん｡じゃあ 俺もここで｡

ありがとう｡

良かったな｡うん｡

ふふっ｡

少しは父親らしいことできたかな？

先日は 母親の件で➡

ご迷惑をおかけしてすみませんでした｡

院長とちゃんとお話できずにいたので｡

ははっ そうね｡

はい どうぞ｡

すいません｡

あなたが内科医だってお母さんから言われたときは➡

正直驚いたけどね｡

ほんとにすみません｡

ははっ｡

村松先生➡

私の父が➡

以前 ここの院長だったのは知ってるでしょ｡

はい｡私もね➡

一時期 悩んだことがあったの｡