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(アナウンス) 本日も島忠(しまちゅう)ホームズに―
ご来店いただきまして誠に…
(男性)ねえ (田村たむら裕次郎ゆうじろう)はい
(男性) カラーボックスってどこ?
(裕次郎)こちらです
(アナウンス) 当店に ご来店いただきまして 誠にありがとうございます
(アナウンス終了のチャイム)
(裕次郎) こちらの商品はネジが見えなくて 見た目もきれいですし
背面に木目シートも貼ってあるので 自由にレイアウトが…
(男性)ああ そういうのいい
これでいいや
(物音)
(日和ひより)ふっ
よっ… んっ… う…
あっ…
(裕次郎)こちらですかね?
(日和)すいません
あ… あの
本棚とかに付けても 耐えられますか?
問題ありません
最短寸法時の耐圧荷重が 1.5トンなんで
(日和)1.5トン
(アナウンス)業務連絡いたします 3番レジ お願いします
(日和)あの…
家具を傷つけたりとかは…
(裕次郎)接地面が高密度の ウレタン素材になってるので
天井や家具を 傷つけることはありません
(日和)ウレタン…
あの…
簡単に取り付けられますか?
位置を決めるのに 穴を開けるタイプのものもありますけど
そちらの商品は穴開けが不要で
最後の増し締め部の グリップ性もいいから
女性でも簡単に 取り付けられます
ご丁寧に ありがとうございます
(カラスの鳴き声)
(日和)うーん
(スピーカーから流れる音楽)
(裕次郎の筋トレの息)
できたよ
(裕次郎)アレクサ 音量3にして
(アレクサの応答音:音量が下がる)
(シェイカーを振る音)
(裕次郎)これ 取り寄せんの やめようかな
ちゃんと振れば ダマにもなんないし
72種類配合で―
日常生活に不足しがちな成分 補ってくれるんだけど
たんぱく質含有量が 少なめなんだよね
(日和)ゆう君は 筋肉重視だもんね
そうそうそう
味も そこそこいいし
フレーバーの種類も 豊富だから残念なんだけど
日和 今日は?
クリーニング行って 網戸拭いて お風呂のカビ取りかな
んっ 昼はキーマカレーがいいな
これ ブランチでしょ?
(裕次郎)これは朝食 昼ごはんは別
いい意味で
もう~
(アナウンス) 従業員の皆さん
(アナウンス) 従業員の皆さん (裕次郎)よいしょ
(裕次郎)よいしょ
(裕次郎)よいしょ おはようございます
おはようございます
おはようございます (裕次郎)はい~ (男性従業員)あ こっちです
(裕次郎)はい~ (男性従業員)あ こっちです
(裕次郎)はい~ (男性従業員)あ こっちです ただいま 開店15分前です
ただいま 開店15分前です
ただいま 開店15分前です (裕次郎)はい~っと
ただいま 開店15分前です
ただいま 開店15分前です 焦らず でも急いで
焦らず でも急いで
焦らず でも急いで 本日も お客様に 安心 安全に―
本日も お客様に 安心 安全に―
本日も お客様に 安心 安全に― (裕次郎)ゴー! (小清水まや)はい ありがとうございます
本日も お客様に 安心 安全に―
お買い物 いただけるよう
お買い物 いただけるよう (裕次郎)うわっ (男性従業員)ありがとうございます
(裕次郎)うわっ (男性従業員)ありがとうございます
(裕次郎)うわっ (男性従業員)ありがとうございます 開店の準備を進めて ください
開店の準備を進めて ください
開店の準備を進めて ください (まや)ああっ
開店の準備を進めて ください
ただいま 開店15分前です
ただいま 開店15分前です (裕次郎)はいっ はいはい
ただいま 開店15分前です
ただいま 開店15分前です (まや)ああ すいません (裕次郎)よーし 急せかして ごめん
(まや)ああ すいません (裕次郎)よーし 急せかして ごめん
(まや)ああ すいません (裕次郎)よーし 急せかして ごめん (アナウンス終了の チャイム)
(アナウンス終了の チャイム)
(アナウンス終了の チャイム) (まや)断じて そんなことないです
(まや)断じて そんなことないです
(裕次郎) まやちゃん “断じて”って
(まや)ああ ほんとすいません (裕次郎)はっはっは
(裕次郎)はい ゴーゴーゴー (まや)あっ はい
(配送業者の女性) 田村さん 納品完了です サイン
(裕次郎)ご苦労さん (配送業者の女性)まいど
(裕次郎) 超硬ロータリーバー プラス4
(若槻わかつき広人ひろと) 超硬ロータリーバー プラス4
(裕次郎)六角軸回転ヤスリ 3
(若槻)六角軸回転ヤスリ 3
(裕次郎)六角軸ダイヤモンド ロータリーバー 3
(若槻)六角軸ダイヤモンド ロータリーバー 3
(若槻)たむ君 (裕次郎)あ?
(若槻)バイトの汐音しおねちゃんって たむ君に気ぃあるんじゃないっすか?
(裕次郎)はあ?
(若槻)既婚者なのに モテるって ずるいっすよ
何言ってんだよ お前だって もうすぐ既婚者だろ
それとその“たむ君”っていうの やめなさい
勤務中は “田村さん”か“副店長”
(若槻)はーい
(裕次郎)六角軸軸付砥石といし 2
(若槻)六角軸軸付砥石 2
(裕次郎)じく… 軸付とい…
(若槻のため息)
何だよ?
俺 マリッジブルーかも しれねえっす
マリッジブルー?
はい
静しずかさん 怒ったら鬼のように キレそうだけど いい人じゃん
じゃなきゃ こんな弁当 作んないよ
なんか重くて
結婚して いざ家族になるって 想像したら
急にエッチする気 失うせたんすよね
だんだん彼女の体が ただの肉の塊に見えてきて
うちだって 2年半してないよ
2年半? マジすか
そもそも セックスレスによる イライラや落ち込みは
脳内物質セロトニンの 不足からきてる
つまり セロトニンさえ増やせば セックスなんてなくていい
ちなみにセロトニンを増やすには
日光浴とか 適度な運動 炭水化物の摂取
結婚すると―
問題の本質から目を背けて 笑いにして ごまかすんですかね?
ごまかしてねえよ
てか これ見てくださいよ
“旦那”“スペース”って 入れると ほら
(裕次郎)“旦那”“死んで”
“死ね”じゃなくて “死んで”なんだ
妻の意に反して 病気とか事故で
“死んで”しまえって ことっすよね?
怖っ
(蓑山みのやま)うちは5年よ
(若槻)え?
(蓑山)セックスしてない年数
えっと… 逆に5年前までは してたってことっすか?
(若槻)ああ いや (裕次郎)すいません
(蓑山)2人はさ 知ってる? これ
(裕次郎・若槻) “旦那 デスノート”?
(蓑山)たまりにたまった 旦那の不満を書き込むサイトなの
へえー あ… 蓑山さんもやってんすか?
私のはね
これ
(蓑山の声)“うちの旦那 爪の中が真っ黒で汚い”
“指切り落としたい”
(若槻)ミノヤマ…
本名で!?
(蓑山)コソコソしないの 私
(裕次郎)すげ… (若槻)すげえ
(蓑山)特にねえ この人の投稿が ちょー面白いのよ
“とある休日の夜明け前”
(腕が当たる音) (女性)いったあ…
(蓑山の声) “寝相が悪い旦那の裏拳を これ以上 受けないように”
“腕を枕にして押さえつけても”
(男性のいびき)
(蓑山の声) “殺人級のいびきで眠れない私は―”
“早朝から部屋中の 掃除を始めました”
“すると ようやく 起きてきた旦那が…”
(男性)うるさくて起きちゃったよ
あ…
あれ? ごはん まだ?
(蓑山の声)“私は あなたの 飯炊きマシンではありません”
いるいる こういうやついる
(蓑山の声) “なぜ私が すべての家事を―”
“担当しなければ いけないのでしょうか”
“私だって働いているのに”
“あげくの果てには”
(男性)昼はキーマカレーがいいな
(蓑山の声)“と のたまう”
(女性)これ ブランチでしょ?
(蓑山の声)“と 意見しても”
(男性)これは朝食 昼ごはんは別
(裕次郎)いい意味で
(日和の声)“そうですね おなか すきますよね 人間ですから”
“承知いたしました ご注文のキーマカレーに―”
“栄養満点 冷凍マウスのミンチを 入れてさしあげます”
(蓑山)うっひっひっひっひ…
ねえ? 最高でしょー?
(蓑山の笑い声)
(蓑山)あっ やばっ!
(女性社員)お疲れさまでーす
(電話の着信音) (社員たちの応対の声)
(工藤 茜あかね)はい ご登録していただいた お電話番号を入力していただきますと―
携帯電話に SMSメールが届きますので
そちらから再発行 よろしくお願いいたします
はい
はい さようでございますか それでしたら…
(日和)大変申し訳ございません
お客様のクレジットカードの 本人認証パスワードを―
カード会社のホームページから 取得していただいて
それからチャッチャのアプリに…
(男性)そっちでできないの?
こちらはチャッチャの窓口ですので
お客様のクレジットカードのことは システム上 分かりかねます
(男性)また システムか?
はい?
(男性)お前ら とりあえず システムって言っとけば―
何とかなると思ってんだろ?
いえ そのようなことは…
(男性)しばくぞ ボケが!
大変申し訳ございません
(小杉こすぎ正)このたびは 大変申し訳ございませんでした
今後ともチャッチャを よろしくお願いします
担当 小杉がご案内しました
(葛城かつらぎ周作)小杉さんさあ
(葛城)何回 同じミスすれば 気が済むわけ?
チャージの限度額は 25万だって教えたでしょ?
(小杉)すいません
“すいません”じゃなくて “すみません”でしょ?
毎日スーツで来ても こっちは ごまかされないから
見た目より 実力重視なんだからさ~
ちゃんとセルフインスペクション やってってよ~
申し訳ありません
(葛城)ふっははっ
違うよ ははっ 違う 違う ふっ
田村さん!
今の田村さんのことじゃ ないからね
(日和)今の受電で メンタルやられただけです
(葛城)あ… (茜)システムおじさんっすか?
うん
システム システムわめいて 最後に必ず―
“しばくぞ ボケが!”って 関西弁で
私 まともに 受けすぎちゃうのかなあ
(葛城)まっ 肩の力 抜いて
そんなね ディストピアに 生きてるようなやつには―
適当でいいから いい意味で
あ?
私 “いい意味で”って 苦手なんです
ほんと都合のいい言葉だから
旦那さんとケンカでも したんですか?
今度 旦那さんの愚痴 聞くよ もちろん いい意味で
はっはっはっは
(店内で流れる音楽)
(塚越つかごし達也)「旦那デスノート」の投稿を 是非うちで出版させてほしいんです
本になるってことですか?
はい
7名の投稿を 1冊にまとめたいのですが
弊社としては チャーリーさんを 一番の推しと考えてます
はあ…
あっ
あっ すいません
すいません
(塚越) 急に言われても困りますよね
でも チャーリーさんの投稿が 群を抜いて評判がいいんです
共感する声も多いでしょ?
(日和)まあ… はい
(塚越)安心してください
チャーリーさん名義ですから 旦那さんに知られることは―
まず ありませんよ
田村さん
はい
あなたにしか書けない文章で―
日本中のダメ旦那を 成敗しませんか?
考えさせてください
(幻想の日和) “食べながらしゃべるの やめていただけますか?”
“あなたとのキスも嫌だけど 飛沫ひまつも勘弁してください”
“旦那の最低な口癖”
“「やっぱ 管理職って大変だよな~」”
“「ヒラは言われたことやってりゃ いいんだから楽なもんだよ」と”
“遠回しに私の仕事上の立場を ディスってきます”
“とはいえ 旦那は ただの副店長”
“つまり 店長のサブ 控え 代理 補欠 なんです”
“ソファーの背もたれの隙間から 汚れた靴下の片方だけ見つけました”
“この臭さで窒息する気分は いかがですか?”
(裕次郎)ううっ くっ
あいっ…
てえっ たっ… てい~…
(玄関のドアが開く音) (裕次郎)つぉ~
(ドアが閉まる音) (日和)ただいま~
(裕次郎)ぐっ… でっ
おお ああ…
ああ おかえり~
(日和)チャーリーに ごはん あげてくれた?
(裕次郎)ごめん まだ
(日和)あ いいよ いいよ 私 あげるから
(裕次郎)うん
(裕次郎)うん (チャーリーの 鳴き声)
(チャーリーの 鳴き声)
(チャーリーの 鳴き声) (日和)チャーリー ちょっと待っててね ん~
(幻聴:日和の声) “期待して 失望して”
“失望するから 期待することをやめました”
“そろそろ 病院に送り込んでやろうか?”
“ヘタレ!”
(水道の水が流れる音)
(幻聴:日和の声) “期待して 失望して…” “ゴミですよね”
“こびりついた…” “頭に筋肉 詰まりすぎ…”
“踏んでしまいたい” “意味が分かりません”
“なぜ食器を…” “カラカラと…”
“トイレットペーパーが…” “脱力感”
“空のスライスチーズの…” “ヘタレ!”
え… 何?
ううん 何も
(幻聴:日和の声)
(幻聴:日和の声) “栄養満点 冷凍マウスのミンチを 入れてさしあげます フッ”
(チャーリーの鳴き声)
(日和の声) “私より先に帰ってきているのに”
“なぜペットに 餌を与えないのでしょうか?”
“あなたが飢え死にして いただけますか?”
(猛毒散布もうどくさんぷの声) “分かります”
(さんなすびの声) “ウケる!”
(逆立さかだちクジラの声) “マジ同意”
(通天閣つうてんかくの声) “何でも妻任せの旦那 死刑にしたれ”
(巨大きょだいレンゲの声) “チャーリーさん タダシイ オモウ”
(日和)ん? うん (チャーリーの鳴き声)
ゆう君 今日 日曜だから遅い?
(裕次郎)いや 今日 早番だから
(日和) あっ じゃあ ごはん 作っとくね
(裕次郎)うん
(日和)もう終わりにしよっか?
え?
よくないんでしょ? これ
うん… うん
ああ やめよう
(日和)うん (裕次郎)うん
(浦島うらしま)田村君 若槻の結婚式 日和さんと参列すんだよな?
(裕次郎)はい
(浦島)スピーチ 君に頼んだって ウワサで聞いたけど
(裕次郎)そうです
(浦島)彼は どうして 店長の私に頼まないんだ
(裕次郎)俺が2人の仲 取り持ったからじゃないすかね?
気ぃ遣ってんのかな?
ぶっちゃけますね
縁起悪いんですよ 店長 バツ3だから
すいません すいません
(若槻)あ… 副店長 おはようございます
(裕次郎)副店長はやめろ
(若槻)え? だって そう言えって (裕次郎)うるさい
(若槻)何なんだ いったい
おはようございまーす
おおっ?
(若槻)もしかしてっすけど
昨日の“デスノート”って 日和ちゃんっすか?
マジか…
何か話したんすか?
うちらの結婚式 大丈夫っすか?
(若槻)はあ~っ (足音)
(蓑山)あれ~ やめたんじゃなかったの?
日和ちゃん 知ってんの?
内緒です
(蓑山)何かあったな?
何もないっすよ うちは円満っすから
(アナウンス) 本日も島忠ホームズにご来店 ご利用いただきまして
誠にありがとうございます
お客様に駐車場の ご利用について…
(まや)こちらになります
(男性)お薦めってありますか?
(まや)お薦めですか
あ~ お薦め…
少々お待ちください
(裕次郎)お客様
え~と… こちらの商品
すっきり折り畳めて 未使用時に場所を取りませんし
洗濯物を引っ張ると このローラーが回転します
ギュッと抱き締めて 一気にスパッと取り込めます
(男性)スパッと
“スパッとハンガー”です
買います
(裕次郎)ありがとうございます
(まや)ありがとうございます
田村さん かっこいいです
え~? どこが?
説明が めっちゃ上手です
(裕次郎)ギュッと (まや)ギュッと
(裕次郎)スパッと
(まや)スパッと これ使います 私
(裕次郎)ギュッと 一気にギュッと (まや)あははっ
(倉持晶あきら)デレ~ってしちゃってさ
LINE 見ながら にやにやしてるわけ
(日和)で?
(晶)で スマホ盗み見たら―
男の名前なのに 中身は完全に女なの
それって やましい自覚あるから 男の名前に変えたってことじゃん?
マジ こそく
(日和)うひゃー
(晶)日和も気を付けたほうがいいよ
夫婦なんて 所詮 他人なんだから
すぐ裏切るよ すぐ
こっちは子育てに追われて 自分の時間なんて全然ないのに
マジ 腹立つ
(陸りく)ブウ~ (晶)あ…
(晶)りっく~ん ごめんね~
今のはウソだっぴょーん
晶…
私 本出すかも
え? 本?
“デスノート”の
ほんとに? えっ すごいじゃん!
出版社の人が 私をメインにするからって
まだ決めたわけじゃ ないんだけどね
(晶)“待てば海路の日和あり”?
何? それ
(晶)自分で書いたくせに 覚えてないの?
(日和)えっ? (晶)高校の卒業文集
私 そんなこと書いたっけ?
どれだけ待っても いい時期なんて やってこないんだから
やっちゃいなよ
えいっ
(晶)どうぞ
ははははっ
(晶と陸の遊ぶ声)
(日和)いつもすいません (駅のホームの 雑踏音)
(駅のホームの 雑踏音)
(駅のホームの 雑踏音) (田村千鶴ちづる) いいのよ 水くさい 日和ちゃん 梨 好きでしょ?
(日和)ありがとうございます
(千鶴)最近も仕事 忙しいの?
(日和)あ… はい まあ はい
(千鶴)そう
でも 日和ちゃんも もう若くないんだし
仕事は裕次郎に任せて
ねえ? そろそろ… (発車の メロディー)
(発車の メロディー)
(発車の メロディー) あっ お義母かあさん ごめんなさい 電車乗らなきゃ
(千鶴)あっ そう? じゃあ 切らなきゃね
(千鶴)あっ そう? じゃあ 切らなきゃね (アナウンス) …行き 発車いたします
扉が閉まります ごめんなさい すいませーん
ごめんなさい すいませーん
(扉が閉まるチャイム)
アレクサ 音止めて
(アレクサの応答音)
(携帯電話の振動音)
(日和)もしもし
(塚越)田村さん 突然すみません えー 塚越です
今晩 “デスノート”の 出版メンバーで集まるんですが
え… 今からですか?
(塚越)はい
(日和)ええっ… それは さすがにちょっと
(携帯電話の通知音)
(日和)あ… ちょっと 待ってください
(裕次郎の声) “今日 遅くなる 夕飯いらないわ”
(店員)失礼いたします
メニュー お決まりになりましたら お呼びください
大丈夫になりました
(電子音)
(歓談の声)
(猛毒散布)うちの旦那 ちょっと ごはん粒 落ちてるだけで
“きったねえな ちゃんと掃除しろよ” とか 偉っそうに言うくせに
“きったねえな ちゃんと掃除しろよ” とか 偉っそうに言うくせに (女性たち)ええ~
(女性たち)ええ~
(女性たち)ええ~ 自分はトイレ行って 手も洗わないわけ!
自分はトイレ行って 手も洗わないわけ!
自分はトイレ行って 手も洗わないわけ! (女性たち) ええ~っ!
(女性たち) ええ~っ!
(女性たち) ええ~っ! どの口が言ってんだっつーの!
どの口が言ってんだっつーの!
(女性たち)分かる~!
(さんなすび) ふだんは役立たずのくせに
自分の両親の前でだけ いいとこ取りして
自分の両親の前でだけ いいとこ取りして (女性たち)ああ!
(女性たち)ああ!
(女性たち)ああ! “いつもやってます感”醸し出すの めっちゃウザい!
“いつもやってます感”醸し出すの めっちゃウザい!
(逆立ちクジラ) 私が子どものおむつやら ゲロったのとか片づけてると
顔しかめて 近寄ってすら来ないのに
顔しかめて 近寄ってすら来ないのに (女性たち) やばーい!
(女性たち) やばーい!
(女性たち) やばーい! ちょっと子どもと遊んだだけで イクメンぶるの マジでやめろ!
ちょっと子どもと遊んだだけで イクメンぶるの マジでやめろ!
(巨大レンゲ)ワタシ 思います
ニホンのオトコ みんな ヤサシイのサイショだけ!
ニホンのオトコ みんな ヤサシイのサイショだけ! (女性たち)あ~あ
(女性たち)あ~あ
(女性たち)あ~あ セックスさせたらクズなる! ケッコンしたらゴミなる!
セックスさせたらクズなる! ケッコンしたらゴミなる!
セックスさせたらクズなる! ケッコンしたらゴミなる! (女性たち)いや~
セックスさせたらクズなる! ケッコンしたらゴミなる!
コドモ出来たらいなくなる!
(女性たち)うわー! 分かる~!
(通天閣)しつこいから エッチさせたったら
私がイク顔 見たい言うねん!
私がイク顔 見たい言うねん! (女性たち) ええ~っ?
(女性たち) ええ~っ?
(女性たち) ええ~っ? こっちは全部 演技で
こっちは全部 演技で
お前のテクで イったことなんかないわ!
(女性たちの笑い声)
ほんまさっさと あの世逝け!
(女性たち)分かる~!
(盛り上がる声)
(塚越)どうですか?
なかなか頼もしいでしょ
(日和)はあ
(塚越)いやいやいや… そんな
ええっ
塚越さんは 結婚されてるんですか?
(塚越)独身です
え? は?
興味ないから カモフラージュです
え?
結婚なんて家族巻き込むし
引っ越しだ 戸籍がどうだとか いろいろあって
実は別れるのを困難にさせる
面倒なやり取りでしかないと 思うんです
皆さん見てて確信しました
正直ですね
建て前とか うんざりしてるんで
みんなに好かれようとしても しかたないですから
(女性)遅れてごめんなさ~い
(塚越)あっ
皆さん ご紹介します
いつも本名で ご投稿されてる MINOYAMAさんです
(拍手) (女性たちの歓声)
お初でーす んふふふ
(塚越)ああ よかった 今日 全員 そろいましたね
ははは…
(男性)なあ 家行ってええやろ
(女性)えー なんで?
(男性)えー なんで あかんの?
(女性)え~ いいけど…
(男性)いいの? (女性)えへへへ いいけど…
(男性)いいって言うたで (女性)ええ~ でも ちょっと待って
(女性)なんか めっちゃ見られてんだけど
(男性)え?
(女性)もう 行こう (男性)行こうか
(裕次郎)あ…
(日和)あ…
初めて パフェに 手ぇ合わせてる人 見ました
“ふんばりくん”どうですか?
(日和)簡単に設置できました ありがとうございます
カレーですか?
(裕次郎)日本にカレーが 伝わってきたのって
どこからだか知ってますか?
(日和)え… インドですか?
インドで生まれたんですけど
実は日本にカレーがやってきたのは 明治時代 イギリスからなんです
「西洋料理指南」っていう本に 書かれていて
その当時の具は カエルが使われていたそうです
ちなみに海上自衛隊の 金曜日の料理のメニューは―
必ずカレーなんです
ずっと海上で生活しているから
曜日の感覚が 失われないようにするために
やりたいこと これといってなくて なんか…
無駄な知識ばっか ついちゃって
こんな話 どうでもいいですよね
どうでもよくないです
そんなこと言ってくれるの あなただけです
(日和)あの…
(裕次郎)裕次郎です 田村裕次郎
(日和)杉本すぎもと日和です
(裕次郎)就活ですか?
(日和)はい ただでさえ 中途採用で厳しいのに
中学の時に
クラス対抗で 演奏会があったんです
でも 私は楽器とか苦手だから
シンバルなら たたけるだろうって ガシャーンってやつ
(裕次郎)うん
(日和)シンバルって たたくだけですけど 私一人で
(裕次郎)うん
(日和)曲中に たたくとこは 7回あったんですけど
何回も何回も練習して でも 本番になると
ここで たたかなきゃ たたかなきゃって 思えば思うほど
手が固まっちゃって
何とか たたいたんですけど パニックになって
最終的に私
37回 たたいたんです
(裕次郎)37回?
(日和)はい
(裕次郎)緊張をほぐす方法 知ってますか?
(日和)何ですか?
(裕次郎)肘をね 自分の舌で なめようとするんです
肘ですか?
(裕次郎)はい
(裕次郎)ははは
人間って肘を自分の舌では 絶対に なめられないんだって
(日和)えーっ? (裕次郎)言ったでしょ
(裕次郎)なめようとするって できるとは言ってない
そうですけど
肘をなめるなんてバカバカしくて 緊張なんて どうでもよくならない?
なります
(裕次郎)37回
ひどい
今 笑えるってことは その経験は無駄じゃないんだよ
田村さんのうんちくも 無駄なようで 無駄じゃないですね
ちなみにパフェの語源は パーフェクト
これ 完璧なんだ
(日和・裕次郎)ふふっ
(裕次郎)お…
(鈴見すずみ汐音)あ! 副店長
あれ お一人様ですか?
(裕次郎)うん 汐音ちゃんも?
(汐音)私 よくここで ごはん食べながら 漫画 読むんです
いいですか?
(裕次郎)うん
(汐音)田村さんとこ 結婚して何年でしたっけ?
(裕次郎)もうすぐ4年かな
(汐音)4年かあ
4年って花婚はなこん式っていうんです
花が咲き実がなるように
夫婦の間にも 子どもが出来るようにって
へえ~ すごいね よく知ってんね
(汐音) そりゃあ したいですもん 結婚
好きな人と結婚できるって いいなあ
まだ 汐音ちゃん若いんだから
今時 結婚が女にとって 最上の幸せだなんて思ってません
だけど
できないってなったら したいって思うじゃないですか
できないってどういうこと?
え… 何? 相手が既婚者とか?
田村裕次郎 ダメー!
ダメー!
(カバンが落ちた音)
(日和)ああ~ ははっ (蓑山)あ…
あ~あ ああ ああ~
(蓑山の笑い声)
(蓑山)でも まさかチャーリーが 日和ちゃんだったなんてねえ
(日和・蓑山)ふふふ
(蓑山)あれ? これって
守れなかったんだって
私が悪いんだって気持ちが
ずっと消えないんです
(蓑山)うん
うん…
出来たこと
親にも友達にも 報告してなかったから
誰にも打ち明けられなくて
でも そんな時に
あの人は そばにいてくれませんでした
(蓑山)そばにいてほしかったって
田村君に伝えた?
ゆう君を傷つけたいわけじゃなくて
私はただ
“デスノート”で吐き出してさえいれば それでいいんです
(蓑山)ほんとにそれでいいの?
ああ…
田村君 “デスノート”のこと 気付いてるかもしれない
ごめん! 私 日和ちゃんだと知らずに
チャーリーの投稿 見せちゃったよ~
(携帯電話の通知音)
(汐音の声) “田村さんとお食事できて とってもうれしかったです”
“楽しくて あっという間だったけど おなかは しっかり満たされました”
“また田村さんと おしゃべりしたいです!”
(物音)
そうだ
買ってきたよ ご祝儀袋
あ… ありがとう
その日 どうしても仕事入ってって 頼まれたけど 何とか断ったよ
冠婚葬祭でも 入ってって言われるの?
マジか
俺が ちゃんと働くから
そんな仕事 いつ辞めてもいいよ
(裕次郎)サランラップって
最初 食べ物包むためじゃ なかったって知ってる?
えっ どういうことかな
もともと軍事用で 靴の中敷きとかに…
…じゃなくて
もしかして私の仕事が
誰にでもできる
代わりは誰でもいいって バカにしてるのかな?
そんなこと言ってないでしょ
俺はただ…
ああ… もう
(裕次郎のため息)
(ドアの開閉音)
(日和のため息)
(ドアの開閉音)
(携帯電話の通知音)
(汐音の声) “えっ あしたですか?”
“もちろん行きます! 楽しみにしてます”
(日和)“きたろう”
んん?
(裕次郎の寝息)
(日和)もしもし 蓑山さん?
ちょっと お聞きしたいんですけど…
(チャーリーの鳴き声)
(裕次郎)おう
なっ!
何なんすか?
(蓑山)何もないよ
(店員)お待たせいたしました
(汐音)ありがとうございます
(携帯電話の振動音)
いいんですか?
いい いい… いい はい
(汐音)はい (裕次郎)はい
(汐音)はい (裕次郎)ふふっ… 乾杯
(汐音)かんぱーい
(携帯電話の呼び出し音)
やっすい
(足音)
(葛城)あっ
ははっ
あ…
(葛城)あ~… おお
妻からの電話を ガン無視したんですよ ガン無視
そんなの そのまま乗り込んで―
派手にケンカしちゃえば よかったんじゃない?
ケンカできるほうが よっぽど健全かもしれないですね
このままだったら田村さんが―
一方的に我慢する生活が 何十年も続くわけでしょ?
夫婦っていうシステム 維持するためだけに
そんなんで ほんとに幸せ?
システムって本来 乗っかっちゃえば 楽なはずじゃないですか
なのに なんでだろ?
まっすぐ歩いてたつもりなのに
いつの間にか 軌道がずれてたっていうか…
(店内で流れる音楽)
それは人間が―
思考じゃなくて
感情で動く動物だからだよ
(手を重ねる音)
(日和)また~ 葛城さん
誰にでも こんなこと やってるんじゃないですか?
いやいや そんなこと ないない
田村さんだけだよ~ ははっ…
はははっ… ははっ…
感情で動く動物?
(裕次郎) 会社なんて たくさん あんだから どんどん受ければいいよ
ニール・アームストロングが 月面で最初に踏み出した1歩は 左足
ほら
ニール・アームストロングが 月面で最初に踏み出した1歩は 左足
ニール・アームストロングが 月面で最初に踏み出した1歩は 左足
(裕次郎)ふっ (日和)ふふふ
(裕次郎の声)人は南極では どんなに寒くても風邪をひかない
あまりの寒さで ウイルスが存在しないから
(日和の声)ほんとですか?
(裕次郎の声)実は とうもろこしの粒の数は 必ず偶数
(日和の声)誰かが数えたんですね
(裕次郎の声) 石川啄木(いしかわたくぼく)は 高校時代 カンニングがバレて退学した
(日和の声) 啄木 やっちゃいましたね
(裕次郎の声)ルイージの本名は “ルイージ・マリオ”
そして マリオの本名は “マリオ・マリオ”
(日和の声) ふっ… “マリオ・マリオ”
(裕次郎の声)ひらがなで 文字の線が一番長いのは“ぬ”
(日和の声)“ね”じゃないんだ?
(裕次郎の声)僅差で“ぬ”
(子どもたちの遊ぶ声)
地面に落ちる前にキャッチしたら とんでもない幸せが やってくる
(裕次郎)うわあ~っ (日和)うああ~っ
(2人の笑い声)
(裕次郎)ちょっ… ダメだー!
(2人の笑い声)
(日和)ふふふふっ ふふふふ…
ふふっ ふふっ ふふっ… ふっ…
(子ども1)あっ チューしてる! (子ども2)ふふふっ
(子どもたちの笑い声) (子ども3)チューしてる!
(子どもたちの笑い声)
(日和)ふふっ… え? (裕次郎)すっごい付いてる
(日和)ふっ… ふふっ
はははっ… すっごい見てるよ
ふふふふ…
(虫の鳴き声)
(電車のブレーキ音)
(雨の降りだす音)
(日和の声) “いい ご身分ですね”
“残業と称して浮気ですか”
“ベタな不倫ドラマみたいで ヘドが出そうです”
“いよいよ 離婚の足音が 近づいてまいりました”
(ドアが開く音)
(裕次郎)どういうことだよ これ!
このチャーリーって 日和なんだろ?
こんな ひどいこと書いといて よく いつも笑ってられるよな
こんなこと書いてるから 笑えてんのよ
こんなね…
ネットの書き込みは一方通行なの
一方的に傷つけて 反論させない
あれだろ なんか どうせ“いいね”とか もらって いい気になってんだろ?
そうだよ “いいね”もらえて うれしかった
こんな汚い書き込みしてる私を みんなが肯定してくれるんだよ!
だからって 直接 向き合うことから 逃げたら違うだろ!
(雨音)
(裕次郎)は…
そもそも
結婚した時に “家事は私がやるから―”
“ゆう君は仕事に集中して”って 言ったの そっちだろ?
そんな考え とっくに変わってるよ
流産した時
私が どんな気持ちだったのか ゆう君には分かんないもんね?
ゆう君は筋トレや 仕事に集中してれば―
なかったことにできるもんね
なかったことになんか してない!
私のことなんて ほったらかしだったじゃん!
違う
ほったらかしてなんかない
そっとしといたんだよ
そんなの一緒だよ!
じゃあ どうすりゃ よかったんだよ?
“お前の気持ち分かるよ”とか 言ってほしかったっていうの?
そんなの余計むかつくだろ
ただ…
一緒に嘆いてほしかったんだよ
直接 向き合うことから 逃げてたのは ゆう君じゃん
(立ち去る足音)
(雨風の音)
(チャーリーの鳴き声) (日和)ん… チャーリー んん…
(霧吹きを押す音)
(チャーリーの鳴き声)
(ドアが開く音) (日和)ん…
(裕次郎)あれ 若槻のやつ… (日和)分かってる
スピーチするのに 妻が行かないってなったら―
世間体 悪いもんね
(裕次郎)そんな言い方 ないだろ
(配送業者の女性)田村さん (裕次郎)はい
(配送業者の女性)お願いします
(裕次郎)はい ご苦労さん (配送業者の女性)まいど
(裕次郎)おう
うわあっ!
日和と連絡 取ってますよね?
俺 蓑山さんがチャーリーに コメントしてるの知ってるんで
うちら夫婦のことなんで もう関わらないでください
っていうか 田村君 私を責める資格ある?
(窓をたたく音)
(晶)あははは
(晶)よいしょ… ほら
あははは… ヤッホー ヤッホー ヤッホー
(晶)まだ踏ん切り つかないの?
そもそもさ
私に 本出すかどうかの 相談してる時点で―
背中 押されたいんでしょ?
日和ってさ 人の意見に左右されやすいよね?
結局 受けるんだから さっさと やっちゃいなよ
“デスノート”勧めたのも 私なんだし
あっ! あー やっちゃいましたね~
いやー しょうがないなあ
晶の言いなりになってるなんて 決めつけないでよ
子ども いるからって そんなに偉いわけ?
結婚して子どもがいないと かわいそうなの?
人間として下なの? 欠落してるの?
晶 子どもがいることで 家族として 完璧って思ってるかもしれないけど
完璧なことなんて 何一つ ないんだからね!
(陸の泣き声)
どしたの?
日和 なんか怖い
(陸の泣き声)
正式に お断りさせていただきます
えっ?
あ?
あ… 執筆料も印税も入るんですよ
単行本だから1冊1500円として 10パーセント
そのうちの7割が田村さん 10万部 売れたとしたら 1050万です
ふぅ…
あなたの旦那だけでなく―
一緒に 世の旦那を 木っ端みじんにしましょうよ
(日和)世間に向かって 書くんじゃなくて
私は―
私の旦那に向かって書ければ それでいいんです
はっ… さんなすびさん
(さんなすび)ねえ マー君 結婚記念日 どこ連れてってくれる?
(さんなすびの夫)ええー
(さんなすび)今年は海外行きたいなあ (さんなすびの夫)ふっ ふふっ
(キーボードを打つ音)
(チャーリーの鳴き声)
ふっ ふっ ふっ ふっ
(チャーリーの鳴き声)
(チャーリーの鳴き声)
ふっ ふっ
(チャーリーの鳴き声)
(裕次郎)ふっ ふっ ふっ
(裕次郎) なんで お前がヘコんでんだよ
(蓑山)若槻君の場合は 奥さんにリアルに殺されるって…
(蓑山)あ~あ…
(浦島)ヨッ ヨッ
ヨッ 明日は楽しい結婚式
飲めや歌えや大騒ぎ
祝福 祝福 大祝福
だぁ・けぇ・どぉ
明日が2人の最期の日
あとは落ちる一方
転げ落ちる一方
結婚は人生の墓場~
(裕次郎)“若槻君が入社し 私たちと共に働くようになったのは”
“今から6年前のことでございます”
“明るく… 明るく 人当たりのよい…”
(ウインカーの音)
(蓑山)ちょっと! (日和)え?
(蓑山)ちょっと… ちょっと (日和)何 何…
(日和)何 どうしたの? (蓑山)ちょっと ちょっと…
ほい…
(裕次郎)何 何 何… (蓑山)ちょっと ちょっと
若槻君たちが来ないのよ!
(日和)えっ? (裕次郎)マジすか?
(蓑山)ほんとに 何やってんだか
(裕次郎)ウソだろよ (蓑山)はぁ…
(車のブレーキ音)
(裕次郎)あっ
新婦の静さん
(来栖 静)あっ まいど
さっさと降りろ ほら!
なんで お前を搬入せな あかんねん 今日 仕事ちゃうぞ
ふんっ
この期に及んで お前 何さらしとんじゃ ハゲ!
ああん?
若槻君 “デスノート”見て 結婚に絶望しちゃってんだよね
(静)さっさと歩け! (日和)ええ?
(静)おら!
(浦島)ほっ… (静)ちゃんとサインせえよ
納品書と ちゃうからな
(牧師)なんじ 新郎 広人さんは
新婦 静さんを妻とし
健やかなる時も 病める時も
豊かな時も 貧しき時も
あなたを愛し あなたを慰め―
命のあるかぎり 真心を尽くすことを誓いますか?
(牧師)誓いますか?
言いました “はい 誓います”って言いました
いきまーす!
(女性たち)わーっ!
(女性たちの歓声) (汐音)まやちゃん すごーい
(女性たちの話し声)
(蓑山)日和ちゃん
(女性たちの祝福する声)
(司会者)それでは ここで 新郎の お勤め先のご上司―
田村裕次郎様から お祝いの言葉をいただきます
(蓑山)田村君 (司会者)田村様
(浦島)頼むぞ (司会者)お願いいたします
(裕次郎)よしっ
あ…
(裕次郎の息を吸う音)
(タクシー無線) 200 1260 224 了解
(司会者)田村様…
(蓑山)田村君…
(浦島)何やってんだ あいつ…
ご紹介あずかりました えー
一緒に 若槻君と―
ホームセンターで働いています 田村裕次郎です
若槻
静さん
結婚… ご結婚 おめでとうございます おめでとうございます
えー…
あの… はい
(咳せき払い)
ホ… ホームセンターでは―
昔と違って 商品の種類も3倍に増えまして…
(ビール瓶の栓を抜く音)
(ビール瓶の栓を抜く音)
栓抜きだけでも 当店には10種類近くありまして
握りやすい形状のものや
ワインオープナーや缶切りなどの 多用途機能を兼ね備えたものや
アウトドアや旅行などに 携帯しやすいように
キーホルダーが付いているものや
強い力を使わずに開けられる
ソフトオープナータイプのものも ございます
(出席者たちのひそひそ話す声)
(出席者たちのひそひそ話す声)
(出席者たちのどよめき)
(男性1:小声) なめてるんですかね?
(男性2:小声)ひ… 肘 なめてるよ
(出席者たちのざわめき)
(裕次郎の忍び笑い)
はははっ… ふふっ…
ふーっ
(裕次郎の深呼吸)
うちの栓抜きは あえて定番の 柄えの長いものを使っています
お風呂場の珪藻土けいそうどのバスマット
水だけで汚れが落とせる シンク用万能スポンジ
フィルター交換が不要な空気清浄機
LEDで広配光な電球
部屋干しができて なるべく無添加な洗濯用洗剤
くっつきにくくて 焦げ付かない セラミックのフライパン
無香性のトイレの消臭剤
オートロックバルブ式で サイズはLLの布団圧縮袋
生地はコーデュロイで―
丸みのある重厚感が かわいい 緑色のソファー
それらすべてを 私は―
妻と一緒に決めました
(裕次郎)ささいでも かまいません
生活に必要なものを―
是非 じっくりと 夫婦2人で選んでください
2人の長い結婚生活の中で
相手を思いやることを 忘れてしまって
お互いを けなし合ってしまう時も あると思います
すごい つらくて
逃げ出したくなってしまう時も あると思います
そんな時は どうか―
一緒に生活を始めた最初の瞬間を 思い出してください
何にもないところから―
2人で積み上げていく ワクワクで 胸が いっぱいだったこと…
そんなことが―
すべてだと思います
え~ そういうことで
静さん 若槻のことを よろしくお願いします
若槻 おめでとう
(静)ふっ…
ありがとうございます
(若槻のすすり泣き)
ありがとうございます
(若槻)ふふ… ごめんね
(静)ふふっ
(若槻)や… やめてよ
(静)ふふふっ… (若槻)恥ずかしい ちょっと…
(若槻)やだ… (若槻と静の笑い声)
(男性1)よかったよー! (男性2)よかったよー!
(男性3)よかったよー! (男性4)よかったよー!
(男性5)よかったよー! (男性6)最高!
(拍手)
(男性たち)わっしょい わっしょい (若槻)お~っ わ~ 落ちる落ちる
わっしょい わっしょい
(一同)わっしょい わっしょい
(まや)田村さん
…の奥さんですよね
(日和)あ はい
(まや)ほら
(汐音)鈴見汐音といいます
あの… 蓑山さんから―
私のせいで 田村さんと奥さんが…
私… 田村さんと まやが あまりにも仲いいから
まやを取られるんじゃないかって 怖くなって…
(まや)私たち…
(汐音)だから 田村さんに わざと近づきました
問題になって 職場にいられなくなったらいいって…
でも 信じてください
田村さん 私が どんなに 色目使っても びくともしませんでした
ありがとう 話してくれて
おふたりみたいに 法律で認められた夫婦って
私たちからしたら 羨ましいです
これからも仲よしでいてください
(一同)わっしょい わっしょい
(一同)わっしょい わっしょい (若槻)もういいよ~!
(一同)わっしょい わっしょい (若槻)止めて~!
(一同)わっしょい わっしょい わっしょい
(女性たちの笑い声) (一同)わっしょい わっしょい
(若槻)誰か助けてー! (一同)わっしょい わっしょい
(裕次郎)あの… (運転手)結婚式ですか?
(運転手)めでたいですねえ
(咳払い)
(足音)
(日和)緑色のソファー
(裕次郎) フィルター交換不要の空気清浄機
(日和)セラミックのフライパン
(裕次郎)猫型のツボ押しローラー (日和)ふっ…
(裕次郎)ふふふっ
(日和)ふっ… あっ ギョーザのクッション
(裕次郎・日和)ふふっ
(裕次郎)マグカップ
(日和)マグカップ おそろいの ふふっ…
(日和)チャーリー (チャーリーの鳴き声)
(チャーリーの鳴き声)
(裕次郎)チャーリー (日和)チャーリー
(チャーリーの鳴き声) (裕次郎・日和)チャーリー
(チャーリーの鳴き声) (日和)あ~
(チャーリーの鳴き声) (裕次郎)ただいま
(日和)ふふっ (裕次郎)ふっ
(チャーリーの鳴き声)
(裕次郎)ホラー映画 「13日の金曜日」の―
ジェイソンの武器はチェーンソー
…のイメージだけど
ジェイソンは 劇中 一度も チェーンソーを使っていない
(日和)確かに
(裕次郎)ムンクの「叫び」は 叫んでるんじゃなくて
叫びに耐えかねて 耳を塞いでる様子を絵にしたもの
(日和)ほんとに?
(裕次郎) チャーリーみたいな猛きん類は―
一度くっつくと 二度と離れない
(日和)ふふふ (塚越)田村さん!
はぁ 田村さん
(日和)塚越さん…
(裕次郎)ん? (日和)あ… 出版社の
(裕次郎)ああ…
(塚越)田村さん もう一度 考え直してもらえませんか?
もう お断りしたはずです
はぁ… 出版に向けて―
会社も他の執筆者たちも 動きだしてるわけですよ
紙媒体が厳しい中
企画 通すだけで どれだけ大変か あなた分かってます? はぁ…
期待させてしまったことは謝ります
本当に すいません
(塚越)はぁ…
はぁ… はぁ…
謝って済むような状況じゃ ねえんだよ!
(裕次郎)お前 何なんだよ
(塚越)こっちは素人の文章 出版してやろうってのに
偉そうな口 きいてんじゃねえよ
(裕次郎)ふざけんなよ!
(塚越)てめえが ダメ旦那だから こんなことなんだろうが!
ハリボテ夫婦が どうせ すぐ 別れんだろうよ 壊れんだろうよ!
(裕次郎)うっ ああっ! (日和)あっ えっ!
(塚越)うっ あっ… はぁ はぁ…
(塚越)うっ (裕次郎)だっ いてっ!
(裕次郎)いって!
(塚越)うっ… はぁ はぁ… あっ あっ
(塚越)うっ… むむっ… 離せ (裕次郎)んだよ
(塚越)あっ… はぁ はぁ 離せっ (裕次郎)何だよ
(裕次郎)おい! (塚越)離せ…
(裕次郎)なん… (日和)やめて やめて…
(裕次郎)あっ… (塚越)ああっ… はぁ…
あ… はぁ はぁ はぁ…
(裕次郎)あ… (日和)大丈夫?
(千鶴)あのぐらいのケガ 大したことない
(千鶴)あ… ありがとう (日和)どうぞ
(千鶴)まだお父さんが 生きてる時にね
お父さんと一緒に 釣りに はまっちゃって
(日和)へえ~
(千鶴)朝早いから―
私が夜遅くに起きて お弁当 作ったりして
(日和)えー (千鶴)ふっ
あれ… 何て言うの こう…
(千鶴)あっ ルアーって言うの? (日和)ああ はいはい…
(千鶴)なんか変な形の いっぱい集めてた
(日和)へえー 楽しそうですね
で…
どうなの?
子育て 考えて この部屋にしたんでしょ?
(裕次郎)ちょっと母さん (千鶴)ああ 裕次郎 大丈夫?
ゆう君
もう いいから
(千鶴)よくないわよ~
へこたれちゃダメよ たった1回 失敗したぐらいで
え?
どうして知ってるんですか?
え?
話したの?
事実を話しただけだよ
(千鶴)ふっ 流産なんて 珍しいことじゃないんだから
まだ若いんだし
そういうことじゃありません
1回とか 2回とか
数じゃありません
(日和の口笛)
(口笛)
(シンクを洗う音)
(チャーリーの鳴き声)
(鳥の鳴き声)
(アナウンス)ただいま 電話に出ることができません
(浦島)私たちは 快適な住まいと暮らしを提案する―
スペシャリストを 目指さなくてはいけません
そのために必要なことは
(浦島)お客様への愛です (若槻)たむ君!
(裕次郎)おはようございまーす (従業員たち)おはようございます
(裕次郎)はい はい (若槻)どうしたんすか? たむ君
(裕次郎)うっ… 触んなって ちょっとバーンって
(若槻)ちょっとバーンって… (裕次郎)ちょっとバーンでいい…
(裕次郎)はい 今日も頑張りましょー (若槻)頑張りましょうって
(浦島)あのね… (若槻)そんな…
(裕次郎)おはようございます 見すぎ!
(従業員たちの笑い声)
(鳥の鳴き声)
(裕次郎)ん…
アレクサ 日和 どこにいるか知ってる?
(アレクサの応答音) (アレクサ)分かりません ごめんなさい
(裕次郎のため息)
(笑い声)
(裕次郎)これが 車の塗装前後に 研磨するのに使うやつなんだけど
(アルバイト1)はい (裕次郎)これ ホワイト車用と
メタリック車用があるのね
(アルバイト1)はい (裕次郎)これ 間違えないようにね
(アルバイト1)はい
(裕次郎)これはどっち? (アルバイト1)えー メタリック
(裕次郎)正解 ふふっ (アルバイト1)あっ
(裕次郎)それと… (アルバイト1)はい
(裕次郎)園芸コーナー (アルバイト1)はい
(裕次郎)これこれ
これ 庭のさ…
(アルバイト2)あっ きたろう
(きたろう)除草剤ってあるかしら? (アルバイト3)あ はい こちらです
(きたろう)ありがとう
おお たくさん置いてあるねえ ふーん
あっ…
これ あれよ 海外では禁止になってるよ
(きたろう)撤去しなさいよ 撤去 撤去っきょ んんっ
えー… あっ これこれ
これはね
地球にもね 生き物にも優しいのよ うん
ふふ… ふふっ ふっ
大事なのは思いやりよ い・た・わ・り
(ボトルにキスする音)
(裕次郎)わっ (蓑山)わあっ
(裕次郎)ちょ… びっくりしたー! (蓑山)こっちこそ びっくりしたわよ
(裕次郎)何なんすか いったい (蓑山)そっちこそ 何なのよ
はぁ…
(裕次郎) 夫婦って 何だと思いますか?
(蓑山)何? いきなり
(裕次郎) 分かんなくなっちゃいました
(蓑山) “分かんない”ってのは正解かもね
ウナギの つかみ取りかな
(裕次郎)ウナギ?
(蓑山)触れたと思ったら ヌルッと すり抜けちゃうじゃない?
相手のことが分かったと思った瞬間に また分からなくなる
でも つかむ努力を忘れたら もっともっと 分からなくなるんだ
うちの旦那ね―
5年前に脳卒中になって 今でも入院してるんだ
“デスノート”ってさ―
普通は旦那に隠れて コソコソ やるんだろうけど
私は率先して旦那に見せてんの
“お前 好き勝手 書いてるなあ”って ゲラゲラ笑ってるわよ
当たり前に 一緒に いれて 当たり前に 不満 持てて
それって 全然 当たり前なんかじゃないんだよなあ
はぁ…
(裕次郎)んっ…
ほい… ああっ
(裕次郎)うっ… ああ…
ああっ
(女性)すみません (裕次郎)はい
(女性)こういうのに合う 地震対策の棒のやつ探してて
(裕次郎)あ はい こちらです
すいません
“スーパーふんばりくん”です
設置面が一番 広いですし 高気密ウレタン素材で
天井や家具を傷つけることも ありません
さらに従来の“ふんばりくん”は―
最短寸法時の耐圧荷重が 1.5トンなんですけど…
(日和)1.5トン
“スーパーふんばりくん”は…
2トンなんです
(女性)え?
(裕次郎のすすり泣き)
(女性)ちょっと… えっ?
俺も もっと 変わらなきゃいけないんです
(女性)ちょっと… え?
逃げないで… ちゃんと 受け入れなきゃいけないんです
(裕次郎のすすり泣き)
(アナウンス) 本日も島忠ホームズにご来店―
ご利用いただきまして 誠にありがとうございます (裕次郎の すすり泣き)
(裕次郎の すすり泣き)
(裕次郎の すすり泣き) 当店より 小さいお子様連れのお客様に―
当店より 小さいお子様連れのお客様に―
ご案内 申し上げます
お子様の お一人での…
(裕次郎のすすり泣き)
(裕次郎の息切れ)
(荒い息)
(荒い息)
(社員たちの応対の声)
(社員1)ねえねえ 田村さん
なんか今 “田村 出して”って人から―
かかってきたんだけど
(日和)えっ 誰ですか? (社員1)聞き返したけど―
答えてくんない
(社員2)それ 俺もあった (社員3)私も
(社員4) “お繋つなぎできません”って返した
(電話の着信音)
(操作音)
お電話ありがとうございます
チャッチャ カスタマーサポート 窓口担当 田村です
お客様?
(裕次郎)俺だけど
あっ はい? もう一度よろしいでしょうか?
(裕次郎)俺だよ!
なんで かけてくんのよ?
(裕次郎)一方的に消えるって どういうことだよ!
大きい声 出さないでよ
いいかげんにしてよ 職場に こんな電話かけてきて
嫌がらせするなんて ありえないよ
(裕次郎) ありえなくて かまわないよ
(葛城)田村さん
(葛城)大丈夫? (日和)大丈夫です
お電話ありがとうございました 担当 田村が…
(裕次郎)待ってくれよ!
(日和)担当 田村が… (裕次郎)待てって!
担当 田村がご案内いたしました
(ドアが開く音)
(裕次郎)待てって言ってんだろ!
(葛城)何ですか あなた
(社員たちのどよめき)
なんで職場に来んのよ!
(葛城)あんた 何なんだよ (裕次郎)挟まってたんだよ
ソファーの所に!
(日和)何がよ (裕次郎)日和の靴下!
5本指のじゃなくて ノーマルなやつ!
どうだっていいんだけど そんなこと!
私も悪いってことでしょ?
違う! そうだけど そうじゃない!
俺 その靴下 見つけた時 笑えたの
お前もじゃんって 笑えたんだよ いい意味で
(日和)何なの それ (裕次郎)えっ?
“いい意味で”って何なの? 私 ほんとに それ嫌い
何でもかんでも自分の都合に合わせて いい意味にしないでよ!
今 そういうこと 言ってんじゃないよ
(葛城)いやいや… お前 いいかげんにしろよ!
お前 誰だよ!
(葛城)上司だよ 分かるだろ! (小杉)はい…
(裕次郎と葛城のもめる声) (小杉)申し訳ございません
(葛城)おいおい どこ行くんだ 暴れんな 暴れんな…
(裕次郎)離せよ! (葛城)危ない はい 触ってない…
やめろ!
(葛城)ほら
(日和)葛城! おめえだよ!
えっ? 俺?
こっちは旦那と話してんのよ!
それを夫婦の“ふ”の字も知らない 赤の他人が 何様なの?
どんな女でも落ちると思ってる辺りが すこぶる イタイんだよ!
た…
(茜)そうよ!
ヤルだけヤッたら 態度 変わりやがってよ!
(日和)えっ? (茜の荒い息)
てめえは なんちゃって イケメンなんだよ
イケメン風ふうなんだよ 風ふう!
お前ら いったい 何なんだ おい!
ここ どこだと思ってんだ 会社だぞ 会社!
(立ち上がる音)
(社員5) でかい面して 偉そうにすんな
(社員6)陰でセクハラまがいの パワハラしてんの
こっちは知ってんだぞ!
(社員7)自尊心 保つために 他人を見下してんじゃないわよ!
(社員8)こんな仕事 将来 AIに乗っ取られんだろ!
(社員9)PCガンガン使って 温暖化に貢献してんじゃないわよ!
(社員10)うちのマンションの家賃 払ってください
(社員11)コールセンター勤務って マッチングサイトでモテないんだよ!
(社員12) もう満員電車 乗りたくないよ~!
お前ら…
お前ら 全員クビだああ~!
(社員13) ふ… ふざけんじゃないよ!
(社員たちの詰め寄る声)
(男性)またシステムか
お前ら ちょっとは 自分の頭で考えろよ
システムって言っとけば 何とかなると思ってんだろ
しばくぞ ボケが!
(机をたたく音)
お客様の おっしゃるとおりでございます!
全部 システムが悪いんです!
どうして 私が慰謝料 払わなきゃいけないんだ!
お前の都合で 別れたいって言ったんだろうが!
それもこれも システム システム システム!
システムなんて クソ食らえ~!
(倒れる音)
(電話の着信音)
そうなのよ
結婚っていうシステムに のみ込まれてた
妻だとか 夫だとか 勝手なイメージで くくって…
システムに 乗っかっちゃえば楽だけど
それは自分が消えちゃうってこと
俺たちは俺たちで よかったのにな
夫婦なんて 所詮 他人なんだから
ちゃんと言わなきゃいけなかった
どんなに みっともなくても
ありのままの自分を さらけ出すことが大事なんだって
頭では分かってるけど できなかった
ちゃんと私を見てよ
…なんて 恥ずかしくて 怖くて 言えなかった
日和の言うとおり―
俺 逃げてた
肉体改造に逃げて
仕事に逃げて
何も考えないように 頭 空っぽにしてた
俺…
ちゃんと日和のこと見てなかった
(裕次郎のすすり泣き)
チャーリーみたいな猛きん類は 一度くっついたら
二度と離れないはずなのにな
ふっ… それ 違うよ?
えっ?
確かに ワシやタカや ハヤブサは そうだけど
猛きん類の中でもフクロウは―
繁殖期以外は バラバラに過ごしてんだよ?
繁殖期じゃない時は
関係性が解消されたり 希薄になったりするんだよ
俺たちより ひどいじゃん
くっ ふふふふ…
(日和)ふふ… (裕次郎)ふふふふ
ははははは…
(日和)ふっ ふふっ
チャーリー 前より ごはん食べるようになったんだけど
盲腸フンが さらに臭くなったよ
(裕次郎)ふふふっ
こっちは きたろうが買い物に来た
えっ?
(裕次郎)除草剤と ダブル粘着のコロコロ買ってった
そうなんだ
マウスって 動かす単位 1ミッキー 2ミッキーって言うんだよ
(日和)ほんとに? (裕次郎)ふふっ
なんで バカみたいに ののしり合って 泣いてたのに…
今 笑ってんだろうって?
(裕次郎)こんな どうでもいいことを 毎日 ただ日和に話したくて
聞いてほしかったんだと思う
この紙切れ 提出したら―
世間から 離婚だとか バツイチだとかって
レッテル貼られるけど
そんなの ほんと マジ 鼻クソ並みに どうでもよくて…
俺は ただ…
お互い もう一度 一人の人間に戻って…
日和と一緒にいたい
日和は俺と一緒にいたくない?
(日和のすすり泣き)
(走る足音)
(裕次郎と日和の荒い息)
(2人の荒い息)
(裕次郎)ふーっ
んっ…
んっ んっ… んんっ…
(日和)うっ… はぁ…
(男性1)おお すげえ (女性)ねえ あの…
(男性2)ん? (男性3)何? あれ
(日和)うっ…
う… はぁ…
うっ…
ふーっ…
んんっ… んっ
くっ… ぐううっ…
ぬううう…
ううっ
うう…
(裕次郎の力み声)
いいいいっ…
くううっ…
いいっ… くあああっ…
ぐおおっ…
(裕次郎の力み声)
ぐあああ~っ!
ぐううっ!
(日和)あ…
ぐうう… あああ!
う… うう…
あっ…
はぁ… はぁ…
うっ
やった
やった
(チャーリーの鳴き声)
素直なままでいたい
そんなことすら
うまくはできなくて
あたたかい 毛布みたいに
やさしくそっと 包んでいたいのに
わからないことばかりで
困るなまったく
わかったふり
だけじゃだめだよな
君と僕だけの世界
誰がどうだとか忘れて
2人でしかわからない
そんなことだらけで いいじゃないか
ゆれる
心の ままに
どんなことがあっても
最後は必ず
笑えるから
明日へ向かうんだ
君と僕だけの世界
誰がどうだとか忘れて
2人でしかわからない
そんなことだらけで いいじゃないか
ゆれる
心の ままに
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