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(アラーム音)
(小比類巻祐一) ハァハァ…
亜美!
ハァ…
ハァハァハァ…
(足音)
(最上友紀子) 眠いから 先 寝るね
(小比類巻) おやすみなさい
(最上) おやすみ
(三枝益生) すみません
ちょっと1件 仕事が入っちゃって 遅くなりました
(小比類巻) いや こっちこそ悪いな こんな時間に
(三枝) いえいえ 全然 全然
それで?
(小比類巻) ヴィーザルって知ってるか?
(三枝) あ~ ありがとうございます
あの 御門博士が 菌糸を復元したっていう?
(小比類巻) ああ
いただきます
復元した当時 どんな組織が 研究に携わってたのか知りたいんだ
些細なことでもいい
厚労省のほうで 何か分かってることがあったら――
教えてほしい
複数の省庁が 絡んでたはずなんですけど…
詳しくは…
あっ ただ 研究資金の出どころなら知ってます
それは?
椿財団です
椿…
(椿 文治) 君が挑む相手は私じゃない
人間の欲望そのものなんだよ
ハァ… 椿 文治が どうして?
(三枝) ヴィーザルの胞子が 発見されたのは 南極ですよね
(小比類巻) ああ
(三枝) 南極条約によって――
表向きは 誰のものにも されていない南極ですけど
裏では 多くの国が その利権を奪い合ってるのは――
先輩も知ってるでしょう?
(小比類巻) それが?
(三枝) 椿は――
日本の南極観測事業の 利権を取りまとめてるって――
ウワサがあるんです
まあ 政財界にも顔が利く人だから ホントだと思います
俺が知ってるのは これぐらいですかね
すいません
(小比類巻) いや ありがとう
(三枝) いや
(小比類巻) せっかくだから ゆっくりしてくか?
(三枝) じゃあ 遠慮なく
(小比類巻) 何か つまむか
(三枝) ああ…
(小比類巻) 聡子さんが 作ってくれたイワシのマリネとか
(三枝) ウ~ン いいですねえ
あっ そうだ 先輩
星来ちゃんと 登山 行けそうですか?
ああ なんとか都合つけるよ
(三枝)“しかたない しかたない”
(小比類巻) えっ?
最近の星来ちゃんの口癖なんですよ
“パパは お仕事だから しかたない”って
いつも悪いな
(三枝) いや 俺は何も
(小比類巻) 俺がやってること…
エゴだと思うか?
(三枝) えっ?
亜美のこと…
よみがえったとしても…
それは ホントに 亜美のためなのかって
いや その前に…
俺と星来が生きてる間に…
亜美が よみがえるなんてこと ホントは…
(三枝) なにブレてんスか
先輩が 亜美ちゃんを 冷凍保存したって聞いたときは…
正直 何て言っていいか 分かりませんでした
でも…
そこまでして 星来ちゃんに 会わせたいっていう先輩の気持ちが…
俺は すごいなって思ったんですよ
先輩 言ってたじゃないですか
“科学は光だ”って
(最上) 現代科学は もう 踏み入れてはいけない領域まで来てる
その先は…
闇なの
科学は 人類にとって…
私にとって 光なんです
(奥田玲音) 鈴原大樹 26歳
多摩理科大学にほど近い山中で 発生した土砂崩れにより死亡
死因は 土砂崩壊による 脳挫傷とのことで間違いないようです
ただ――
持ち出した保冷バッグは――
遺体 および 現場周辺からは 見つかりませんでした
(長谷部 勉) ある男が 鈴原に指示を出してたんだ
鈴原は 授業料を滞納してた
金銭目当てで 指示に従ってたんだろう
(最上) あっ こいつ!
(皆川隆司) こちらの女性は どこまで知ってるんです?
(奥田) 皆川隆司 40歳 防衛省の職員です
(最上) 防衛省?
(奥田) 事故を告発しようとした ライターQの記事も――
防衛省の圧力で つぶされたようです
(長谷部) VRと“ビーザル”
どっちにも 防衛省が関わってるってことだ
でも なぜ 橘が研究所にいたんでしょう?
(奥田) …ですよね
橘さんが絡んでたのは VRの一件なのに
(長谷部) 室長
皆川を当たりましょう
必ず何か つかめるはずです
ええ
(皆川) 回収した菌糸を 分析にかけましたが――
既に死滅しており 復元は不可能かと
(桑畑 慎) 探し出せ
(桑畑) ヴィーザルの感染者だ
事故が起きた夜 ほかにも 研究所に誰かいたかもしれない
はい
(長谷部) ですから 皆川を調べれば――
防衛省が なぜ ビーザルを 手に入れようとしていたのか――
明らかになりますし…
(島崎博也) 必要ない
(長谷部) あっ?
(島崎) 皆川と防衛省に関しては もう追うな
何スか? それ
(島崎) 橘の死因の究明だけに 専念しろということだ
圧力ですか?
(ノック) (ドアの開く音)
(小比類巻) 局長 どういうことです!?
(島崎) 何がだ?
(小比類巻) なぜ橘が懲戒処分なんですか?
(長谷部) えっ?
橘を犯罪者として処理する そういうことですか?
(島崎) 処理するんじゃない 処理されたんだ
♪~
~♪
(御門凛子) ハァハァ ハァハァ…
(御門) ハァハァ ハァハァ…
(小比類巻) 鈴原さんの 死亡が確認されました
彼が持ち出した菌糸は まだ見つかっていません
(御門) それを伝えに こちらへ?
動じないんですね
バイオハザード事故があった 湘南真菌研に――
橘が出入りしていたのは ご存じでしたか?
それが聞きたかったんですね
橘は 私にとって…
(御門) 私も 大切な助手を失ったばかりなので
(ブザー)
(皆川) セキュリティー会社の人間から 入館データを入手して確認しました
バイオハザードがあった夜
橘るいのほかに この男が 研究所に入館していました
山井 徹 厚労省の職員です
(シャッター音)
(小比類巻) やっと寝たよ 待たせて悪かったな
(三枝) いえ お疲れさまです
(小比類巻) 昨日は ありがとう
(三枝) 何言ってんですか
それより 聞きたいのって 鈴原さんのことですよね?
(小比類巻) ああ 見かけたんだろ?
(三枝) はい 偶然 駅前で
でも 話かけたら 慌てて どっかに行っちゃって
菌糸を持っていたからか
ほかには?
鈴原さんに関しては 特に
ただ 御門さんが キノコを復元していた湘南真菌研
何かあるみたいです
何かって?
火事がありましたよね? それが どうも怪しいって
お前 それ 誰から?
厚労省の山井さんっていう先輩です
当時 仕事で その研究所に出入りしてたって
その山井さんから 話を聞くことはできるか?
あっ 確か あしたから 新しい部署のはずなんで
はい あの 連絡してみます
助かる
(職員) じゃ こちらです
(御門) 菌類が 多くの動物と同じように――
学習し 記憶するとしても 不思議ではないのです
そこには 意志が 存在している可能性があります
(最上) 質問 いいかな?
どうぞ
あんたの研究室の奥に 何があるの?
講義に関係のない質問は 受け付けません
(最上) じゃ もうひとつ
キノコに意志はないと思うけど?
(ざわめき) (学生) えっ 誰?
どうして…
雨が降るか ご存じですか?
(最上) なんで雨?
まあいいや
雲の中の 水滴や氷の粒が大きくなると――
下から雲を押し上げてた上昇気流が 支えきれなくなって落下する
それが雨
でも 雨のメカニズムは 完璧には解明されてない
おっしゃるとおりです
水滴の核が どんな物質か 明確には分かっていません
(最上) だから なに? キノコの話ししてよ
(御門) 2008年
高度500mの大気中から キノコの胞子が発見されました
それにより キノコの胞子が核となり
雨を降らせている可能性が 出てきたんです
それは知ってるけど――
キノコに意志があるってのは 飛躍しすぎでしょ
こう考えられませんか?
彼らが 自分たちに 都合のいい環境を整えるために――
天候を自在に 操ってるのかもしれない
河川の増水 洪水 土砂崩れは なぜ起こるのか?
彼らは もしかすると――
自分たちに都合の悪い存在を――
駆逐しようとしているのでは ないでしょうか
私は 菌類には意志があると…
信じています
(御門) 随分 突然なんですね 博士も 小比類巻さんも
(最上) 私は そうだけど コッヒーは ふだんは違う
橘るいのことだから…
(御門) 予定が詰まっていますので 手短にお願いします
(最上) さっきまで聞きたいこと 問い詰めたいこと いっぱいあった
けど やめた
(御門) どうしてです?
(最上) 何つうか…
あんな とんでもないキノコ 復元させた あんただから――
言いたくないことも あんのかなって
では 失礼します
あんたさ 向き合いなよ 逃げないで
(最上) まあ 私が言えた立場じゃないけど
(奥田) つながりませんね 山井さん
(小比類巻) 仕事中かもしれません 行きましょう
(奥田) はい
(小比類巻) 急ぎましょう
(ガラスの割れる音)
(職員) アッ… (小比類巻) 大丈夫ですか?
(山井 徹) ウオーッ!
(奥田) もしかして 山井さんに何か…
(小比類巻) 行きましょう (奥田) はい
(山井) アアーッ!
(ヘルメットの落ちる音)
(足音)
山井さん?
(小比類巻) ハァハァ ハァハァ…
山井さん
ハァハァ…
山井さん 何を…
(山井) みんな…
どこ…
(スイッチを押す音)
(ブザー)
寒い
(落ちる音)
(小比類巻) アア… アア…
アア…
ハァハァハァ…
(風の音)
(心電図の信号音)
(桑畑) 完全に失われてしまいました
(島崎) ご苦労だった
(小比類巻) まだ終われません
橘の死と 山井の不可解な行動は――
湘南真菌研のバイオハザード事故に 起因するものと思われます
ついては そこに出入りしていたと 思われる防衛省の人間を――
調べる必要があるかと…
必要ない
以上だ
(長谷部) はい
(小比類巻) あっ すみません
(小比類巻) 結局 私は何も…
室長 ちょっと 休み もらってもいいですか?
皆川の上にいる人間です
恐らく 局長の言ってた 触っちゃいけない防衛省の人間です
居場所も特定したし
ドライブがてら 行ってみようと思ってるんですが
室長も どうです?
(小比類巻) アア…
(ドアの開く音)
お約束は していませんが?
(最上) してないけど あんたと話したくて来たの
ヴィーザル 持ってるんだよね?
(車の音)
(車のドアの開閉音)
(桑畑) すみません 何も お出しできず
(小比類巻) いえ
話を聞きに来ただけですので
あなた方の目的は何ですか?
(桑畑) 目的?
(長谷部) ビーザルを狙う目的だよ
(桑畑) 我々の任務は――
国家公務員法 百条 守秘義務によって――
詳しくお話しすることはできません
(小比類巻) その説明で我々が帰るとは――
あなた方も思っていないでしょう
(御門) 私が ヴィーザルを 持っていると確信しているんですね
(最上) そう
ラボの入り口に モニター あるでしょ
キノコを育てるにしては 異常に高い設定だなって思ったの
(最上) ヴィーザルが生息してた太古の時代
地軸は 今の地球とズレてた
ちょうど あのモニターが 設定していた環境に――
近かったんじゃ ないかなってね
それと あんたの顔
生きた菌糸が見つかったときも 鈴原が菌糸を持ち出したときも――
いつになく取り乱して動揺してた
なのに 土砂崩れで なくなったあとは…
ホッとしたように見えた
あんたがホッとしたのは――
ヴィーザルが危険だって 分かってたからでしょ?
(御門) 3年前
南極のアイスコアから 未知の菌類が発見され
私は 専門家のひとりとして 招集を受けました
当時は“太古の菌類の 正体を知りたい”
その一心でした
(御門) 南極は 地球のタイムカプセルです
私たちは ヴィーザルをひもとけば――
過去 そして 未来の地球環境の 予測にも役立つかもしれないと――
大きな夢ばかり見ていた気がします
(最上) その夢は いつ壊れたの?
(御門) あの男が来てからです
認知戦という言葉をご存じですか?
ええ
(桑畑) では――
我々 民主主義国家が――
認知戦において 圧倒的に不利なことも?
(小比類巻) 理解してるつもりです
(桑畑) 我々が不利な状況の中 発見されたのがヴィーザルでした
認知戦において ヴィーザルは ゲームチェンジャーになりえます
それを手にした者が勝つ
(小比類巻) では――
ヴィーザルが人間の脳に 影響を与えるというのは やはり…
(御門) マウスによる実験で――
ヴィーザルが 脳に影響を与える 可能性があるかもしれないと――
分かった時点で――
私たちは 研究を口外しないという 契約を結ばされました
その条件でしか 研究資金が出なかったんです
橘さんの遺体が見つかったあとも――
ヴィーザルの復元プロジェクトに 誘われました
もちろん断りましたが
ヴィーザルが危険だって 気づいたのは いつ?
バイオハザード事故のときです
あの日 あの研究所に 先に駆けつけたのは――
橘さんだったのでしょう
(ドアの開く音)
(小泉) 夜遅くに申し訳ございません
(橘るい) いえ それで マウスは?
(小泉) こちらです どうぞ
(マウスの鳴き声) (小泉) 突然 何匹も死んで
そこのケージに…
えっ? アア…
(小泉) 橘さん!
(小泉) すぐにPPEを用意します!
(山井) 大丈夫ですか? (小泉) すいません
(小泉) こちらです
(御門) そこに私が駆けつけたのは その数時間後でした
あのとき 初めて 私は ヴィーザルの子実体を目にしました
(小泉) すぐに報告する必要が…
(御門) 朽ちてゆく
(小泉) えっ?
(最上) でも ヴィーザルが 危険なものだと分かっても――
あんたは実験をやめなかった
ええ どうしても やめられませんでした
橘るいは――
なんで あの研究所に 出入りしてたの?
橘さんは ヴィーザルの情報の 秘密保持を担っていました
計画に関するアクシデントに 対応するのが 彼の役割でした
全国の警察官に配布したVR そのエラーが発生した際も――
ヴィーザルの バイオハザード事故の際も
先ほど――
ヴィーザルをゲームチェンジャーだと 申し上げたでしょう
もし そのゲームチェンジャーが――
我々と対立する国々に渡れば 非常に やっかいです
安全保障上 なんとしても 阻止しなければならない
(長谷部) それが あんたらの任務か?
(桑畑) あなた方も 国民を守る立場にある
我々の正義も理解していただけると 思っていますが
(御門) でも ヴィーザルの 本当の恐ろしさを知ったのは――
バイオハザードのあとでした
(ガスの噴き出る音)
(小泉) だぁれ?
(足音)
(小泉) 寒いよ
みんな…
どこ…
(物の落ちる音)
寒い
寒いよ
(小泉) 寒い
(御門) 私には それが彼らの声に聞こえました
(小泉) みんな…
(スパーク音) (爆発音)
(御門) 長い眠りから目を覚まし
仲間もいない孤独な世界に 投げ出されてしまったんです
“寒い みんなは どこ?”
“ここでは生きていけない”
そう ヴィーザルが 叫んでいるようでした
バイオハザードのあと――
小泉さんは ヴィーザルの 危険性を訴えたのに――
私は聞かなかった
だから 彼女は ライターQと名乗り 事故や研究のことを告発しようと…
全ては…
私が ヴィーザルを 目覚めさせてしまったから
(御門) あの夜の土砂崩れ
随分 タイミングがいいと 思いませんか?
鈴原君が 菌糸を持ち出した あの日です
あの現場付近は 水分を多く含んだ土壌で滑りやすく
粘菌類やキノコが 多く生息しています
あの大雨で 土砂崩れが起きたのは…
(最上) それって… (御門) 私には…
彼らの意志が働いたとしか…
(最上) 意志を持った菌類が――
ヴィーザルのために 反乱でも起こしたってこと?
キノコに意志はないって
(最上) それより あんた
あの日 雨が降るって 分かってたみたいだったよね?
(御門) あれは頭痛がしたんです
雨が降る前は いつも そうで
(最上) なんだ 気圧か
(御門) でも…
鈴原くんが あの夜 なぜ あんな場所にいたのか
それだけが分からないんです
じゃ 教えてあげる
(最上) 鈴原は お金欲しさに ヴィーザルの菌糸を持ち出して
防衛省の人間に渡そうとしてた
でも いろんな場所の 監視カメラ見て分かったんだけど――
途中で やめたの
(鈴原大樹) や… やっぱり 僕には… ムリです
(泣き声)
(最上) そんで 走って 走って 走って
あんたのいる大学に戻ろうとしてた
だから あそこにいた
あんたまで もう少しだったのにね
ねえ…
見せてくんない? ヴィーザル
(長谷部) 分かんねえなぁ
何をどう理解しろっつうんだよ?
認知戦?
ゲームチェンジャー?
俺は 悪いヤツ捕まえたくて 警察官になったんだ
あんたらの正義って何だよ?
(桑畑) 橘さんは 我々の正義のもと 立派に殉職されたと思っています
(本をたたきつける音)
(長谷部) 橘は死んで テロリスト扱いされてんだぞ
(桑畑) 私だって不本意です
彼は犯罪者じゃない
この国を思って 必死に働き 死んでいった
それを国民に周知させたい
でも できないんです
(桑畑) それが…
我々の任務なんです
(男性) 随分と にぎやかだな ハハッ…
(ベッドの背もたれが上がる音)
椿 文治
気がつけば 私は 彼らの一部を持ち出していました
ハァハァ ハァハァ…
(御門) 私がいなければ 彼らは 火に のまれ
孤独のまま 死んでしまう
私には それが耐えられなかった
ハァハァ…
ハァ…
(御門) それ以来 ここで管理して 菌糸を培養していました
誰にも見つからなければいいと 無責任にも そう思っていました
でも ある日…
絶対にできないと 思っていた子実体が――
突然 できたんです
夢みたいでした
(御門) 夢みたいに一瞬でした
すぐに なくなったってこと?
その後 また子実体ができて また消えて
その繰り返しは…
彼らが訴えかけているようでした
“ここでは生きていけない”
(解錠音)
(最上) 私もあるんだ
手に負えないものを生みだしたこと
(御門) それはウイルスですか?
あのウイルスが 人類を救うとまで思ってた
でも 違った
欲望が先走り過ぎて…
(最上) 染まってる!
(速水真緒) やったよ 博士
(警報音) (猿の鳴き声)
(食べる音)
(最上) とんでもない犠牲を 払うことになった
(御門) それで そのウイルスは?
さよならしたよ
それが責任の取り方だと思ったから
(最上) これがヴィーザル?
(御門) ええ
(椿) ヴィーザルは 莫大な金になるはずだった
(長谷部) 金?
(椿) 認知戦もビジネスが絡む
科学の進化だって そうだ
利用価値のない研究に 誰が金を出す?
(椿) 利益を得ようとする者が いるから 成立するんだ
いくら 科学者が 理想を追いかけても――
思わぬ形で利用され 立ち消えになる研究は多い
それでも 科学が進化し続けているのは――
人間の欲望が尽きないからだ
平和を求めるがゆえに 兵器が開発され
争いは なくならない
その結果 戦争が繰り返され
科学は進化する
ハハハッ…
科学とは 欲望とエゴでしか 発展しえないんだ
その結果が 今の世界だ
ハハッ…
(せきこみ)
ハァ…
そろそろ失礼するよ
(ベッドの背もたれが下がる音)
(小比類巻) 最後に ひとつ 教えてください
橘が望んだ世界とは どういうものだったんですか?
“人々の笑顔を守りたい”
(桑畑) 彼は ずっと そう言い続けていました
科学は 我々 人類の夢や希望 理想によって進化しているんです
科学は…
光です
(最上) 今!? 今やんの?
(御門) 逃げないで向き合え そうおっしゃいましたよね?
それで逃げていたんだと 気づかされました
(最上) あんたは大丈夫なの?
(御門) モタモタしてると 覚悟が消えそうなので
(最上) そうだよね
私も あんときは しんどかった
(アラーム音)
(最上) どうしても 探求心に負けそうで…
同じだね
(御門) 違います (最上) えっ?
(御門) 美しいと思ったんです
初めて見た あの瞬間から 目が離せなくなって…
(最上) 美しいから?
気持ちいいくらい単純
(御門) ええ
(アラーム音)
(御門) まもなく 完全に朽ち果てると思います
(最上) うん
(御門) ヴィーザルは――
北欧神話の神の名前で “森”という意味なんです
彼らは 強力な力を持っていましたが――
ほかの神々と離れ 森の中で ひっそり暮らしていたそうです
大きな力を持つ者は 誰からも決して干渉されない
孤高の存在なのです
私は このキノコを愛し…
そう命名しました
(最上) なんか似てるね あんたと
(奥田) え~っ? キノコ博士 ヴィーザル 隠し持ってたんですか
衝撃
(長谷部) いや それより 枯らしたことのほうが衝撃だろ
あれは 世界を動かす ゲームチェンジャーなんだぞ
(最上) まあ 危険なキノコだし 良かったと思うけど
(奥田) いやぁ 枯れる前に 見たかったなぁ
(最上) そう言うと思って…
これ
バカにしてます?
(最上) よかれと思ってだよ
なんで絵なんだよ? スマホで写メ撮ればよかったのに
(最上) そもそも ラボにスマホ持ち込めないし
(長谷部) そうなの?
(最上) それに 持ち込めたとしても――
あいつ“私だけの ヴィーザルですから”とか言って――
絶対 撮らしてくんないよ
(奥田) キノコ博士を あいつ呼ばわりですか?
(最上) 親しみを込めてだよ (奥田) 絶対ウソ
ホント そういうとこ 直したほうがいいですよ
(最上) 最近 当たり強いな
(長谷部) …で 室長は?
(最上) ああ~
会ってるのかも
(長谷部) 誰と?
(三枝) うん そろそろ お肉 第2弾 焼けますよ~!
(小比類巻星来) 益生くん ちょっと
(三枝) うん?
えっ それって僕のことだよね?
(星来) うん そうだよ 益生は ここに1人でしょ?
このマシュマロも焼いて
(三枝) え~っ? (星来) フフフフッ… 顔が面白い
(最上) なに? あれ
(小比類巻) 悲しいお知らせがあります
星来が…
ついに…
「サイエンサー」を卒業しました!
(最上) ええ~っ?
えっ? えっ だから オカルト星人って呼ばないの?
(四宮聡子)「サイエンサー」から K-POPに移行したの
クソ 強いなぁ
えっ じゃ なに?
私 「サイエンサー」の配信 1人で見んの?
あ~ そういうことになりますね
(三枝) あっ そっか
これって あの 御門さんのお肉 残しといたほうがいいですよね?
(最上) あっ 要らない 要らない 来ないから
(三枝) あっ そうなんですか?
(最上) 風邪ひいたんだって あいつ ウイルスにやられたの~!
(三枝) めちゃめちゃ 笑ってるじゃないですか
(小比類巻) ウイルスをバカにされたこと――
よっぽど根に持ってるんですね 博士は
(最上) そんなに小さい人間に見える?
(聡子) たまに見えるよね
(三枝) う~ん …ですね
(最上) オカルト星人 もう帰る?
(三枝) 朝まで いますよ!
(聡子) え~っ? そこまで いなくたっていいでしょ
(小比類巻) 星来 来週 休暇取れそうなんだ
山 一緒に行こっか?
(星来) やった! 益生も連れてく?
えっ? 呼び捨ては よくないなぁ
三枝は パパの 大事な大事な親友なんだ
パパも呼び捨てにしてるよ “三枝”って
フフフフッ!
(小比類巻) 三枝くん (三枝) プッ…
(小比類巻) 来週 一緒に山へ行かないか?
(三枝) フフフフッ…
いや! 来週は 婚活で埋まってるんでムリですね
(星来) 私も日曜日はダメだよ 友達のお誕生会だから
(小比類巻) え~っ?
(聡子) 小学生も忙しいのよ
(三枝) 先輩 しかたない しかたない
ハハハハッ…
(最上) コッヒー 私と 「サイエンサー」の配信 一緒に見る?
(小比類巻) 私は 星来と遊びたいんです
(星来) 子供みたい
(笑い声)
(小比類巻) よし! (最上) 食べよ 食べよ
(星来) おいしい!
(三枝・小比類巻) いただきま~す (聡子) どうぞ どうぞ
(最上) 私もチョコつける (聡子) チョコ チョコ
(最上) あっ それ やめなよ! (星来) やめなよ!
(三枝) 攻めますね 先輩!
(最上) ムズい ムズい ムズい!
(小比類巻) あっ イチゴか!
♪~
~♪
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