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(ナオキ) ハルト 何だろう? あれ こっち見てるよね?
(ハルト) うん? ホントだ
でも 目ぇつむってるんじゃない?
(足音)
(ナオキ) ハルト?
(遠藤和馬) おい 多喜川 2人は見つけたか?
(多喜川 仁) スクラップ工場で確保した
これから戻る
(遠藤) 分かった とりあえず中継地点まで連れてこい
(多喜川) ああ
(ガムテープを剥がす音) おい 何してる!?
お前は!
(ナオキ) ハルトを離せ!
ンンッ!
(かみつく音) イテテテッ!
このガキ!
(殴る音)
(多喜川) てめえ 何してんだ!
(ハルト) ナオキに何すんだよ!
危ねえな! お前 離せ!
おい 離せ!
(ぶつかる音)
(激突音)
ハルト? ハルト!
どうしたの? 血が出てるよ
ねえ ハルト!
(ドアの開く音)
(切る音)
(遠藤) 多喜川 何があった?
今すぐ そっちに向かう
(郡山 遼) 逃げるぞ (ナオキ) でも ハルトが…
(郡山) 残念だが この子は もう死んでる
(ナオキ) えっ 死んでる? 死んでるって…
(郡山) ンッ… 行くぞ
ハルト
(爆発音)
(郡山) ハァ… それ やるよ
(ナオキ) 前が見えないけど
(郡山) ハハッ… ほら
ありがとう… ございます
(郡山) おう
(ブレーキ音)
(西田 流) 兄貴!
兄貴
(西田) ウッ… ウウッ…
ウエッ… ウッ…
(石毛典弘) もう1人の少年が見当たりません
(パトカーのサイレン)
(遠藤) チッ… いったん引き揚げるぞ
(西田) はい
(蹴る音)
(車のドアの開閉音)
(小比類巻祐一) 今朝6時ごろ――
千葉県木更津市笹原付近の 交差点で事故が発生
車内から2人の遺体が 見つかりました
助手席に 投げ出されていた――
遺体のDNAを 鑑定したところ――
葛原善治 62歳ということが 判明しました
(長谷部 勉) 葛原って あの衆議院議員の?
(小比類巻) ええ (最上友紀子) 誰? それ
(奥田玲音) 元警察官僚で――
外交官のひき逃げを もみ消そうとしたり――
大物政治家の息子の 女子高生強制性交を――
なかったことにしようとした クズの葛原ですよ
(最上) そりゃクズだね でも 全く知らない
(奥田) えっ わりと有名だと…
(長谷部) いいんだよ 博士は 科学のことだけで
世間の常識は どうでもいいの
(小比類巻) ええ それでいいんです 博士は
なんか引っ掛かるなぁ
(長谷部) …で 交通事故で なんで俺たちが?
(小比類巻) 遺体を見れば 分かります
(柴山美佳) こちらが 葛原善治と思われる遺体です
(長谷部)“思われる”? (柴山) ええ そう思われる遺体です
驚かないでください 私も こんな事態 初めてなんです
(長谷部) それ 毎回 聞いてる気がすんだけど
(柴山) これは前代未聞です
(長谷部) 分かった 分かった (奥田) 早く見せてください
(柴山) 葛原善治 62歳
…と思われる遺体です
(長谷部) いや これ…
(奥田) 少年ですよね
(最上) どういうこと?
(柴山) あの少年のDNAが 葛原善治と完全に一致したんです
(最上) 鑑定に間違いは?
(柴山) 科捜研が 再三 鑑定し直した結果だそうです
(奥田) 室長 これって まさか…
(小比類巻) ええ その可能性が高いです
信じられないけど それしかないね
SFが現実に?
おい 俺も仲間に入れてくれよ 何が起こってんだよ?
全く同じDNA配列を持った 別々の個体だということです
(長谷部) うん?
(最上) 年齢が違う以上 一卵性双生児でもない
(長谷部) うん?
(奥田) まだ分かんないんですか? (長谷部) うん?
考えられる結論は ひとつしか ありません
クローンです
そりゃ前代未聞だわ
知らんけど
♪~
~♪
(長谷部) クローンって あのクローンだよな?
(奥田) はい よく映画に出てくる あれです
(長谷部) うん
(小比類巻) 遺伝子的に 全く同じ個体のことをいいます
(長谷部) コピー人間ってことだよな?
(最上) ヒトだけじゃない 動物や植物のクローンも存在するし
細胞分裂で増殖する単細胞生物――
例えば ミドリムシとか ゾウリムシも クローンだよ
(小比類巻) 無性生殖で 増える場合ですけどね
(長谷部) あいつら 微生物だと 思ってたら クローンだったのか
(奥田) いや 微生物ですよ 人工的なクローンじゃないだけです
(長谷部) うん!? (奥田) 何スか?
奥田 落ち着け
少年と葛原 2人の年齢が 違うということは――
体細胞クローンでしょうね
(小比類巻) 体細胞クローンは――
皮膚などの体細胞から 核を取り出し――
未受精卵に移植して 生み出します
このクローンは 体細胞を提供した人間と 同じ遺伝子を持ちます
つまり 62歳の葛原を オリジナルとして――
その体細胞を使って 生み出されたクローンが――
この少年ということです
本当に そんなこと できるんスか?
技術的には可能です
1996年には スコットランドで クローン羊のドリーが誕生してますし
2018年には 中国で 猿のクローンが生み出されています
(最上) でも ヒトのクローンを作るのは――
人間の尊厳に関わるから 世界中で禁じられてる
越えてはならない一線なの
(奥田) でも 存在してるってことは――
誰かが こっそり 作ったってことですよね?
(長谷部) …だな 何のために作ったんだ?
(柴山) 検視の結果 少年には 最近 手術した痕跡があり
腎臓が1つ取り出されていたことが 分かりました
(長谷部) 腎臓が?
(柴山) それと 手の甲に マイクロチップが埋め込まれてました
(最上) マイクロチップ?
(柴山) 中に 何か情報が 入っているようなんですが
強力なセキュリティーによって 暗号化されてました
(奥田) もしかしたら チップで 管理してたのかもしれませんね
SF映画で よくあるじゃないですか
臓器移植目的でクローンを作って 農場とかで管理するって話
(長谷部) 怖えよなぁ
本人も知らないうちに 埋め込まれてんだろう?
(最上) でも クローンを作って 管理するなんて…
恐らく 背後にいるのは ライデングループかと
(長谷部) ライデングループ?
(小比類巻) 事故を起こしたのは 多喜川 仁 38歳と判明
この男の情報から 仲間の素性が割れました
遠藤和馬 40歳
この2人は 博士を拉致し――
九竜さんを殺した犯人です
(長谷部) こいつらか
(小比類巻) 少年の口と手足には ガムテープによる拘束の跡がありました
多喜川は 少年を拉致しようと していたのではないかと
でも その途中で 事故を起こしてしまったと
(小比類巻) ええ ですが 不可解なことが ひとつ
多喜川の手の甲には バイトマークがついていたのですが
調べたところ 遺体の少年のものと 一致しなかったんです
全体の大きさと 犬歯部分の形からして――
同年代の少年のものと思われます
つまり 車内には もう1人 少年がいたってことか
その少年は どこ行ったんだ?
その行方を捜すことが 事件解決の糸口になるかもしれません
長谷部さんと奥田さんは 葛原について調べてください
私と博士は あの男に会いに行きます
(沢田克也) お待たせいたしました
捜査は打ち切られたと 聞きましたが?
(小比類巻) 今日は 別件で来ました
(沢田) 別件?
(最上) クローンよ
(淀川 聡) クローン? フッ… 何の話ですか?
(長谷部) 葛原さんと同じDNA配列の 人間の遺体が見つかりました
その遺体には 腎臓を 取り出された痕跡がありまして
(奥田) 医療記録を調べたところ 葛原さんは3年前から――
慢性の腎臓病のため 通院していたそうですね
(長谷部) ですが 2週間前――
突如 ドナーが見つかって 腎臓移植を行ったと聞いています
そのドナーが 葛原さんの クローンなんじゃないですか?
(小比類巻) 葛原善治は 警備局外事情報部時代――
ライデングループの薬害問題を もみ消したというウワサがあります
臓器移植のために――
ライデングループに クローンを作るよう 依頼していたとしても不思議ではない
(最上) 亡くなった少年と一緒に この男の遺体が見つかった
多喜川 仁
九竜先生の殺害現場にいた男よ
もうひとりは遠藤和馬
この2人に命令してたのって あんただよね?
(小比類巻) 今回の件も あなたが 背後にいるんじゃないんですか?
(淀川) なかなか面白い話ですねえ
でも 残念ながら違います
葛原先生は 正式なルートから ドナー提供を受けたんです
(奥田) 正式なルート?
ライデングループのことですか?
(淀川) 申し訳ありませんが 詳細については お話ができません
大体 クローンなんて 存在するはずないでしょう
死んだ少年の件は――
DNA鑑定のミスなんじゃ ないですか~?
ハハハハッ…
少年?
俺 “少年”なんて ひと言も言ってねえけど
とにかく 話は以上です
お帰りください
フゥ…
まずいお茶 どうも
(ドアの開閉音)
(沢田) 遺伝子矯正システムの次は クローン人間ですか
科学犯罪対策室の皆さんは 本当に想像力が豊かですねえ
ひとつ 私から忠告を
その想像力をもっと別の方向へ 向けては いかがですか?
これ以上 余計な首を突っ込むと どうなるのか
…という方向へ
あなたが背後にいることは 分かっています
どんな手を使っても 証拠をつかんでみせる
なるほど
次は逃がさないから
楽しみですねえ
(遠藤) はい
少年は見つかったか?
まだです
パクス計画に続き この計画まで 頓挫させるわけにはいかない
なんとしても 少年を確保するんだ
ハァ… 分かりました
それと…
科学犯罪対策室のヤツらが 嗅ぎつけてきた
気をつけろ
(エレベーターのチャイム)
(開錠音)
(郡山) 何もないけど 我慢してくれ
(郡山) ほら 座って (ナオキ) はい
(施錠音)
(郡山) 君 名前は? (ナオキ) ナオキです
ナオキ君か ここなら安全だから ゆっくりするといいよ
(ナオキ) はい
(郡山) 楽にしていいんだぞ
フッ… けど 退屈だよな
何かあったかな?
(郡山) こんなもん見てもな (ナオキ) 何ですか? それ
迷路だけど やったことないか?
ああ 迷路っていうのは 入り口から出口に向かうゲームだ
(ナオキ) 入り口から出口…
(郡山) ここが入り口だろう
こっから この出口につながる道を 見つけていくんだ
道を間違えると行き止まりになる やってみるか?
(ナオキ) はい (郡山) うん
じゃ これ はい
(呼び出し音)
俺だ 少年を1人 保護した
(男性) 少年って… まさか あの施設の少年ですか?
ああ そうだ
この子は 逃げ出してきたんだ
(男性) 誰にも見られてませんよね?
(郡山) ああ
とにかく しばらく隠れててください
また連絡します
ああ 分かった
(郡山) 面白いか?
うん でも 難しくて
あっ また行き止まりだ
欲しいもんあったら言えよ
(奥田) 沢田もですか こっちも知らないの一点張りでした
(長谷部) どう考えても あいつは知ってるけどな
(奥田) 箝口令が 敷かれてるみたいですね
(小比類巻) もう1人の少年については?
(長谷部) 事故現場周辺の 監視カメラ映像を調べましたが 何も
(奥田) もう1人の少年も クローンなんですかね?
(最上) その可能性は高いと思う (奥田) てことは――
ほかにもクローンが いるかもしれないってことですよね
(長谷部) 何人も 管理してるってことか
とんでもねえ話だな
(小比類巻) とにかく ほかにも――
不審な臓器移植の例がないか 調べてみましょう
(電話の着信音)
はい
えっ? 身元が判明した?
誰の?
(小比類巻) どういうことです?
(柴山) 私にも分からないんです
先ほど DNA鑑定を行った科捜研から 検体を取り違えてたって連絡があって
(小比類巻) えっ? (長谷部) 取り違えた?
(柴山) はい そのあと もう一度 鑑定し直した結果――
数か月前に 行方不明者届けが 出ていた少年と一致したっていうんです
(小比類巻)“筧 明人”
(長谷部) 全くの別人じゃねえか (柴山) 私も そう言ったんですけど
遺体は そのまま 筧 明人だと 処理されてしまったんです
(小比類巻) …で 少年の遺体は?
(柴山) 証拠品のマイクロチップと 一緒に どこかに移送されました
これ どうなってるんですかね?
あの少年は 葛原のクローンで 間違いありません
なのに どうして?
(島崎博也) 多喜川 仁が 筧 明人を誘拐した
その途中 交通事故を起こした
それだけだ
それだけって… もう1人の少年については?
(島崎) 最初から存在しなかった
それが警察の結論だ
俺たちの出番は ここまでということだ
(小比類巻) これは明らかな隠蔽工作です
こんなこと許していいんですか? 背後にいるのはライデングループです
(島崎) 言ったはずだ
ライデングループは捜査対象外だと
ですが 局長だって こんなこと…
(島崎) 許せない!
(島崎) 許せるわけないだろう (小比類巻) だったら…
小比類巻
手を引くんだ
失礼します
(葛木信介) 納得いかないって表情だな
葛木さん
葛原は元警察官僚で 現役の議員だ
俺たちよりも上層部の人間が 動いたんだろう
(小比類巻) 一課も手を引くということですか?
警察内部に手が回ってる以上 捜査を続けるのは不可能だな
それじゃ 隠蔽に加担するも 同然じゃないですか
(葛木) だから こうして 会いに来たんだよ
こっから先 動けるのは 科学犯罪対策室しかいない
必ず証拠をつかんでくれ
捜査は続けます
(奥田) えっ? じゃ… (小比類巻) とことんやります
ただ これからは 非公式の動きになるので――
今まで以上に 慎重になる必要があります
(奥田) 室長
(最上) オッキー コッヒーが手ぇ引くわけないじゃん
(長谷部) まあ 俺らにとっちゃ通常運転?
(奥田) やってやりますよ 私がライデングループをつぶします
臓器移植のためだけに クローンを作るなんて許せませんから
(小比類巻) 頼もしいですね (最上) 私は どんな理由であれ――
ヒトクローンを作るのには 賛成できないけどな
(長谷部) なんで俺の上着の上に 座るんだよ!
(最上) いいじゃん
(奥田) 悪用しなきゃ いいんじゃないですか?
SF映画だと 夫が死んじゃった妻の クローンを作るなんての ありますよ
でも それ クローンの人権 無視してない?
あ~ 確かに
えっ 言われてみれば そうですね
寂しさを埋めるためだけに――
奥さんの命を 操作したってことですもんね
ホントだ
なんで気づかなかったんだろう? ショック
もう いいんじゃねえか? その話は
(奥田) よくないですよ いい映画だと思ってたのに
完全に ダニエルの 独り善がりじゃないですか
奥さんを勝手によみがえらせるなんて 最低だな ダニエル
ねえ? 室長
あっ ダニエルっていうのは 主人公の俳優の名前で…
奥田! お前 遠くのコンビニ行って 冷やしバウムクーヘン買ってこいよ
なんで遠くのコンビニなんですか?
(長谷部) この辺にねえんだよ
(奥田) いや… (小比類巻) 奥田さん
クローンは 死者の よみがえりではありません
見た目は同じでも 中身は別人です
本人でなければ意味がないんです
まっ そうだよね
(長谷部) …だな
あ~ くだらねえ映画の話 してんじゃねえよ
(奥田) そんな責めます? 私は ただクローンにも いろいろ…
(長谷部) いいから!
遠くのコンビニ行って 冷やしバウムクーヘン買ってこい
(奥田) イヤです
…てか 何ですか? 大体 冷やしバウムクーヘンって
(奥田) 聞いたことないんですけど (長谷部) 冷やしたほうが――
しっとり うまくなる バウムクーヘンだよ
(小比類巻星来) 科学は 絶えず進歩している!
(最上) 常に 明日の飛躍が 約束されている!
(星来) え~っ! それ 星来が言うやつ!
(最上) だって 言いたかったんだもん
(四宮聡子) 星来 そろそろ 歯ぁ磨こうか
(星来) ヤ~ダ まだ遊ぶ 遊ぶの!
(最上) 寝る前に本読んであげるから 歯ぁ磨いといで
(聡子) 良かったねえ (星来) は~い
(聡子) ありがとね フフッ…
(最上) 平気?
(小比類巻) 平気じゃないですよ 絵本は 私が読みたかったのに
(最上) いや 絵本じゃなくて
(星来) パパ 仕上げして!
(聡子) も~う まだ自分で磨いてないでしょう
(小比類巻) パパの出番です
博士 心配は要りません
私は変わらず 亜美を…
科学の進歩を信じるだけです
分かった
(小比類巻) 星来 ちゃんと自分で磨いたのか?
(小比類巻亜美) ダニエル何とかって俳優さんが――
すっごいカッコよかった
(小比類巻) ハァハァ… 大丈夫?
(亜美) うん ハァ…
せっかく面白い映画だったのに なんで遅れて来たの?
(小比類巻) あっ ごめん 来る途中 すごい雨でさ
(亜美) 雨 たった今 降りだしたばっかりだけど
(小比類巻) あっ 局地的大雨だよ
急に積乱雲が発達して 狭い範囲で 一気に降ったんだ
ちょうど その真下にいたからさ
あっ… ありがとう
もう なに? フフッ…
(小比類巻) ハハッ… (店員) おっ お2人さん
すごい雨だね
(店員) 上がるまで飲んでって (小比類巻) いや…
5時まで サワー100円 チャンスタ~イム
(小比類巻) いや でも… (店員) どうぞ どうぞ
(小比類巻) ハハッ… いただこうか (亜美) フフッ…
(店員) ほら お嬢ちゃん
(小比類巻) ねっ? チャンスタイムだし
おにいさん ずぶぬれじゃん はい 1番テーブル 2名さまね!
(小比類巻) ハァ… なに頼もっか?
(亜美) ねっ?
(アナウンサー) 千葉県木更津市 笹原の県道で――
直進していた乗用車が ハンドル操作を誤り――
道路脇の工事現場に衝突しました
この事故で 乗用車を運転していた――
東京都墨田区の無職 多喜川 仁さん 38歳と――
同乗していた 筧 明人君…
ニュース見たか?
(男性) ええ どうやら 警察内部で 隠蔽工作が行われたようです
もう警察も信用できないと 考えたほうがいいですね
(郡山) いや 全部が 腐ってるとは限らない
もしかしたら…
(男性) えっ? 誰かアテがあるんですか?
(三枝益生) 独り善がり? (小比類巻) ああ
“奥さんを勝手に よみがえらせるなんて最低だ”って
でも それ 映画の話でしょう? 別に先輩の話ししてるわけじゃ…
分かってるよ でもな…
俺は独り善がりだなんて思いません
亜美ちゃんだって 絶対 星来ちゃんに会いたいだろうし
俺だって 妻が そうなったら 同じことしますよ
(小比類巻) 妻いないだろう (三枝) いたらって話じゃないですか
(最上) おいおいおい! こっち こっち
(店員) ごゆっくり どうぞ (三枝) ありがとう
いろいろと調べてみたんですけど
ヒトのクローンを 生み出すなんてことは――
さすがに 日本では 聞いたことがないですね
ただ 今回の隠蔽には ある人物が関わってると思います
ある人物?
元厚労省の役人で――
現在は ライ…
…デングループ 日本支部顧問の 椿 文治
グループ内で 会長と呼ばれてる男です
椿 文治
(三枝) 11年前の薬害問題を隠蔽し
その後 日本支部に 天下りしたといわれています
政治家などの権力者や資産家 警察庁の幹部とも つながりがあり
葛原善治は 大学時代の 後輩に当たります
(最上) つながったね (小比類巻) うん
これだけ大がかりな隠蔽工作が 行われている以上
背後にいるのは 椿で間違いないと思います
そして この椿の 右腕といわれているのが――
日本支部マネージャーの 沢田克也です
(小比類巻) 沢田
(沢田) 少年の行方は?
(遠藤) まだ分かりません ですが 手がかりは得ました
(遠藤) 取材という名目で 日本支部の社員や研究員に――
接触を繰り返していた ジャーナリストがいたんです
調べたところ 郡山 遼という男だと判明しました
この男 どうやらインファ運送にまで 取材を行っていたようです
あの少年をかくまってるのは この郡山かと
(遠藤) ただ まだ居場所までは…
パーティーまで時間がない
必ず連れ戻すんだ
(小比類巻) いったん戻って――
長谷部さんと奥田さんに 情報 共有しましょう
(最上) うん とにかく 早く少年を見つけないと
(郡山) アッ…
アアッ…
(小比類巻) 目的は何だ? (最上) あんた 誰?
怪しい者ではありません
あなた方が捜してる少年について 情報があります
(小比類巻) フリージャーナリスト? (郡山) はい
私は 以前から ライデングループを追っていました
その過程で 科学犯罪対策室という 部署の存在を知ったんです
前回の捜査では かなり踏み込んで ライデングループを調べたようですね
あなたたちは 十分に 信頼できると思ったんです
(小比類巻) それで接触してきた? (最上) …で 情報って なに?
(郡山) 日本支部には 児童養護施設という体で――
ある施設が存在してると 以前からウワサがありました
そこでは――
身寄りのない子供たちを隔離して 育てているようなんです
(小比類巻) 何のために そんなことを?
政治家や資産家などの権力者に 臓器を提供するためです
ただ 肝心の場所が 特定できてませんでした
そこで インファ運送という会社を マークしたんです
インファ運送?
ライデングループの――
ロジスティクスを 担っている子会社です
インファ運送を探れば 必ず――
その施設に関する動きが 見つかるはずだと思ったんです
私は インファ運送のトラックが――
時折 不審なルートを 経由してることをつかみ――
その場所で張り込みをしていました
恐らく その場所は――
施設に何かを搬入する 中継ポイントなんだと思います
やがて 別のトラックが 接触してきました
(シャッター音)
(シャッター音)
(車の音)
おい 施設から2人 脱走した! トラックに乗り込んだらしい
(多喜川) 見かけたか? (運転手) いえ
(多喜川) 捜すぞ (運転手) はい
(多喜川) いたか?
いいから捜してくれ!
(郡山) このまま ここにとどまり 接触してきたトラックを追えば――
施設に たどりつけるかもしれないと 思いました
でも 助けたくなったんです あの少年たちを
(ナオキ) ハルトを離せ! (多喜川) ンンッ!
(車の発進音)
(郡山) 追いついたときには 既に 車は事故で大破していました
でも 車の中を見ると 少年が1人 生きていたんです
私は すぐに その少年を保護しました
その少年は 今どこにいるの?
(郡山) この先のホテルに
その施設のことは どうやって突き止めたんです?
(郡山) 内通者からの情報です (最上) 内通者?
もともと日本支部に所属していて――
今は インファ運送に 飛ばされた男です
ただ 施設の場所は――
社員である彼にも 分からないみたいで
(郡山) 信用できる男です
あなたたちなら会うと言っています
資料をまとめて 記事を出したところで――
もみ消されるのがオチです
力を貸していただけませんか?
その前に あなたの話が本当かどうか 確認させてください
その少年に会わせてくれませんか?
(足音)
(開錠音) (ドアの開く音)
(最上) この子が…
(郡山) ナオキ君です 名字は分からないようです
誰? 僕を捕まえに来たんですか?
(郡山) 違うよ この人たちは おじさんの友達だ
(最上) ちょっといい?
(ナオキ) 本当に 僕を 捕まえに来たんじゃないの?
おじさんたちは 君を助けたいんだ
(郡山) この人たちは味方だ 安心していい
(ナオキ) でも 先生たち 怒ってないかな
(郡山) えっ?
(ナオキ) 僕たち 勝手に 外に出たから
(郡山) 気にしなくていい もう あそこには戻らなくていいんだ
(ナオキ) そうなの?
(郡山) ああ
(小比類巻) 何かあったら ここに連絡を
今は 証拠を集めるのが先決です
公表は しかるべき時が来たら 行いましょう
それまで ナオキ君をお願いします
(郡山) 分かりました
(小比類巻) ナオキ君のあの様子 それに 手の甲
やはり クローンで 間違いないでしょう
どうかしましたか?
何でもない
(小比類巻) 話してください
あの子見てると 思い出して
プロメテウス・ウイルスを――
私が生み出したこと
越えてはならない一線を 私が越えたときのこと
(小比類巻) プロメテウス・ウイルスと ナオキ君とは…
(最上) 違う
そんなの分かってる
でも 頭のどっかで――
存在しちゃいけないんじゃないかって
ごめん 私 ちょっと どうかしてる
彼は今 生きています
たとえ禁じられた存在だとしても――
ひとりの人間として――
生きる権利がある
分かってる
分かってるんだけど…
とにかく今は 彼の命を守ることが先決です
明日 ナオキ君のDNAを 解析しましょう
保育園に 星来を迎えに行ってきます
(シャッター音)
(資料をめくる音)
(シャッター音)
(シャッター音)
(足音)
(遠ざかる足音)
(ため息)
(シャッター音)
(シャッター音)
(資料をめくる音)
(シャッター音)
(ため息)
(男性) お前 ライデングループのこと 調べてるみたいだな
(ナオキ) また行き止まりだ 全然 出口が見つからない
そんな難しいか?
(ナオキ) うん これ…
本当に出口あるのかな
(郡山) あるよ 出口は絶対にある
フッ… 腹減ってるから 解けないんじゃないのか?
何か買ってくるよ なに食べたい?
(ナオキ) 何でもいいです
(郡山) いつも どんなの食ってたんだ?
(ナオキ) いろいろです
(郡山) いろいろって? 何か好きな物とかないのかよ
(ナオキ) 曜日で食べる物が 決まってたし 特には…
あっ 金曜日の白い四角いのが いちばん好きでした
(郡山) 何だよ それ 食パンか? 餅とか?
(ナオキ) 分かりません
でも 先生は 脳と体にいい物しか 食べちゃダメって言ってたから――
そういう物だと思います
(郡山) そうか
よし おじさんが うまい物買ってきてやるよ
ちょっと待ってろ
(ナオキ) ありがとうございます (郡山) ああ
何かあったら すぐ連絡するから
(ナオキ) 何ですか? それ (郡山) えっ?
(郡山) あっ そうか スマホ 知らないか
じゃ 電話使ったことあるか?
ほら こういうの
(ナオキ) 分かります 電話
先生が使ってるところは 見たことあります
(郡山) そうか じゃあ…
お金 見たことあるか?
(ナオキ) お金? (郡山) ああ 見たことないよな
何かあったら こっちの電話に連絡するから
(ナオキ) はい
(郡山) 誰か来ても 絶対にドア開けちゃダメだぞ
うん
(ドアの開閉音)
(郡山) え~ 並と特上を1人前ずつ
(店員) はい 1人前ずつ
かしこまりました 少々お待ちください
あっ すいません 特上のほう サビ抜きにしてください
(店員) 特上サビ抜き 以上で
(郡山) はい (店員) はい
(呼び出し音)
ナオキ 今すぐ そこから出ろ
(ナオキ) おじさん?
いいか? よく聞くんだ テーブルの上にカードがあるだろう
えっ?
うん
(郡山) その裏に住所が書いてある それとお金を持って 1階に行け
そこで 制服を着た人に タクシーに乗りたいって言うんだ
あとは 運転手に そのカードを見せればいい
でも おじさんは?
(郡山) 俺は大丈夫だから 今すぐ そこを
(スタンガンの音) アアッ!
(ナオキ) おじさん どうしたの?
(ナオキ) おじさん! おじさん!
おじさん?
お前がナオキか
(うめき声)
(蹴る音) アアッ…
(西田) ホテルのカードキーっす
(西田) 603ッス こっちです!
(従業員) ご宿泊ですか?
制服の人 タクシー カード渡す
制服 タクシー カード
(エレベーターのチャイム)
(ボタンを連打する音)
(遠藤) 何やってんだよ (西田) すいません
(ボタンを押す音)
(遠藤) アア…
(エレベーターのチャイム)
(遠藤) まだ近くにいるはずだ 捜せ!
(西田) へい!
(ドアの開く音) クソガキ
(エレベーターのチャイム)
おい おい! 10歳ぐらいのガキ見てねえか?
(従業員) 見てないです (西田) 使えねえな!
(従業員) うっせえ客だな
(足をつかむ音) (郡山) 返せ
(蹴る音)
(蹴る音)
(郡山の うめき声)
(蹴る音)
(郡山の うめき声)
(蹴る音) ウッ!
(郡山の うめき声)
(郡山) ンッ!
(刺す音)
おい
(刺す音) おい!
(刺す音)
(遠藤) ハハハッ…
(ドアの開く音)
すいません! 逃がしました
(遠藤) ハハハハッ…
何か見つかったんスか?
(遠藤) ハァ…
(小比類巻) 星来 1つずつ食べて
食べてりゅよ
えっ? ハハハッ…
(ドアチャイム)
(聡子) あら? 誰かしら
三枝君にしたら 遅い時間ね
誰?
(岩崎康介) 彼らの本当の目的は――
臓器移植だけではないかもしれません
消しますか?
科学犯罪対策室が 接触してくるのを待て
いいか? お前ら 徹底的にやれ
(倉敷 学) これ以上 椿のことを調べるのは やめろ
(カール・カーン) 私は誰の味方でもありません
君は生きてる
(最上) それが全部で それでいい
♪~
~♪
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