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Original subtitles

(鳥のさえずり)

(鐘の音)

(医師) 134cm

(ホイッスル)

(ホイッスル)

(教師) まっすぐ まっすぐ はいはい もうちょい

(教師) はい 次いこう

(ハルト) ナオキ ナオキ

(ハルト) 今日の夜も 探検行こう

(ナオキ) えっ?

うん

(教師) はい いけるね 次

(教師) いいね いいよ いいよ

(誘導員) どうぞ!

お気をつけて お進みくださ~い

(カーステレオの音楽)

(運転手) おい おい! いつまで待たせんだよ?

(別所壮太) あっ すいません (運転手) 早く通せよ

(別所) もう少々お待ちください (運転手) なに? どんぐらい待てば…

(誘導員) すいません ご迷惑おかけしております

(誘導員) 別所君 大丈夫? (別所) え… ええ

(誘導員) 申し訳ございません もう少々お待ちいただけますでしょうか

(運転手) ずっと待ってんだよ こっちは (誘導員) 申し訳ございません

(運転手) 人待たせてんだよ 早くしろよ

(誘導員) 申し訳ございません

向こうからのOK来ましたら すぐに お通ししますので

(運転手) あと どんぐらいだ?

(誘導員) 申し訳ございません もう少々お待ちいただけますでしょうか

(別所) ウウッ… ウワーッ!

(誘導員) 別所君?

(別所) ウワーッ!

(殴る音)

(激突音)

(激突音)

(女性の悲鳴)

(誘導員) やめろよ!

おい! やめろ!

お前 何してんだよ!

(たたきつける音)

(蹴る音)

(たたきつける音)

(蹴る音)

(別所) おい!

ンンッ! ンンッ!

(衝撃音)

(殴る音)

(真鍋日奈子) ご苦労さまです 板橋警察署の真鍋です

(小比類巻祐一) 科学犯罪対策室の小比類巻です

こちらは長谷部警部

(長谷部 勉) よろしくな (真鍋) お願いします

(長谷部) …で? バケモンが出たって?

(真鍋) まあ 先に見てもらったほうが…

(真鍋) こちらが現場です

(長谷部) 何だ これ…

(真鍋) あちらに未回収の遺体が

こちらが 犯人と見られる 青年の遺体です

お願いします

(長谷部) こんな細いのが 1人で これだけやったのか?

ありえねえだろう

(小比類巻) 凶器は見つかったんですか?

(真鍋) それが 犯行は全て 素手で行われたようで

(小比類巻) 素手で?

(長谷部) …で なんで犯人まで 死んでんだよ?

(真鍋) 分かりません 私たちも何が何だか…

(小比類巻) なるほど

確かに これは 我々の出番のようですね

(呼び出し音)

(携帯電話のバイブレーター)

(最上友紀子) よし

(最上) こっち やった? (小比類巻星来) やってるよ

(最上) こっちやって (星来) こっち?

(最上) うん (星来) やってない

あっ こっちが おっきいし やっとこう

(最上) どうしたの? (四宮聡子) う~ん

これ なかなか 実がつかないのよね

(最上) へえ そうなんだ? なんでだろう?

(星来) これ ママが植えたんだよ そうだよね?

うん 結婚してすぐにね

祐一さんと私も手伝ったのよ

(最上) へえ!

(小比類巻) ハァ… 本当に ここまで育つのかな?

(小比類巻亜美) ここなら 日当たりもいいし

すぐ大きくなるはず

夏は緑のカーテン 秋には紅葉が楽しめるはず

ブドウが食べたいだけでしょう

(亜美) それも あるけど

でも 家でブドウ狩りが できるなんて最高でしょう?

(小比類巻) そこまで育てばな

(亜美) 子供ができたら 一緒にブドウ狩りしよう

(小比類巻) ハハッ… いろいろとさ 気が早いよ

(笑い声)

(亜美) 大丈夫? いいよ

(小比類巻) なんかね 取れないんだ これ

ハァ… ブドウ狩りなんて 難しそうね

(星来) ブドウ狩り?

(最上) 確かに これ 元気ないな

病気かもね

(星来) 人じゃないのに 病気になるの?

(最上) そう 植物も風邪ひくの

葉っぱに黒い点々がついてたり――

白いカビみたいのが ついてるの 見たことない?

じゃあ 四つ葉のクローバーは?

(星来) あれ 病気なの?

(最上) そう 遺伝病って説があるの

(星来) 遺伝病? 病気だから 3つが4つになるの?

(最上) そうかもしれないの

でも ほかにも理由はあって――

赤ちゃん葉っぱのときに 人に踏まれて 傷ついて――

3つに分かれるところが 4つに分かれたまま育つこともある

(聡子) ふ~ん たくましいのね

このブドウも そうだといいけど

(星来) ブドウ狩り できない?

(最上) なんとかするよ とりあえず 様子見てみよっか

脚立ある?

(聡子) うんうん 物置にあると思うけど

(星来) 星来 場所教えてあげる! (最上) おっ…

ありがとう

(聡子) ありがとね (最上) うん?

星来 あなたが来てから とっても楽しそう

いつも遊んでくれて ありがとう

私が楽しいから遊んでるだけだよ

(携帯電話のバイブレーター)

もしもし?

お義母さん 最上博士は いますか?

(聡子) うん いるけど?

“事件です”とお伝えください

人間の脳には 骨や筋肉の 損傷を防ぐため――

ふだん無意識にリミッターが かけられています

ですが 何かの きっかけで このリミッターが外れると――

通常では ありえない力が 解放されることがあるんです

(長谷部) 火事場の 馬鹿力ってことかなぁ?

いやぁ でも あそこまではな

(島崎博也)“加速度的に 進歩しております”

(島崎)“最先端科学が 絡む事件に対応するには――”

“専門部署が必要であります”って しつこくてさ

(小比類巻) そんな口調で 言った覚えはありませんが

(長谷部) 局長 誰ですか?

(島崎) ああ お前には まだ言ってなかったな

今日から科学犯罪対策室に 配属になった奥田玲音巡査だ

(長谷部) 新人ですか

(小比類巻) 室長の小比類巻です

(長谷部) 俺が長谷部だ よろしくな

(奥田) 奥田です

(島崎) 実は 以前から 配属希望者を募集していたんだが

応募してきたのが 奥田1人だった

(長谷部) え~っ? ウチ そんな人気ねえのかよ

ちなみに なんでウチに?

(奥田) えっと

SFが好きなんで

何だ それ

けど 俺の時代にもいたな

“「あぶ刑事」が好きなんで 刑事になりました”ってヤツ

のんきだよな

“あぶでか”って何ですか?

(長谷部) 知らねえのかよ 今度 DVD貸してやるよ

(奥田) いや 結構です

(長谷部) 遠慮すんなって フッ…

お前は 見たところ…

ユージ派だな

(奥田) はぁ?

(長谷部) ちなみに 俺は タカ派だから

俺のルーツはタカだから

ホントはサングラスかけて 仕事したいくらいだから

でも 見えねえから

(島崎) まあまあ まあまあ

新人なんで お手柔らかにな

(長谷部) お疲れさまでした (島崎) おう

(ドアの閉まる音)

(奥田) ああ “あぶでか”って 刑事ドラマなんですね

昭和か

(長谷部) 昭和 ナメんなよ

室長 えらい華奢な子来ましたけど 大丈夫なんスかね?

(小比類巻) 心配しないでください 長谷部さん

実は 奥田さんには ある特技があるんです

(長谷部) 特技?

(最上) コッヒー! 人間が凶暴化したってホント?

(ドアの閉まる音)

あんた 誰?

あなたこそ誰ですか?

(誘導員) おい! やめろ!

(たたきつける音)

(蹴る音)

(たたきつける音)

(蹴る音)

(殴る音)

(たたきつける音)

(誘導員) ウワッ!

アア… アア…

(奥田) 死んだ

まるで エネルギー切れでも 起こしたみたいですね

人間が突如 凶暴化

♪~

~♪

(小比類巻) 被疑者は 交通誘導員の別所壮太 18歳

5年前に傷害致死事件を起こし 少年院送致の処分を受けています

(奥田) 5年前ってことは13歳

少年法が適用されたってことですか

(小比類巻) 家族や職場の人間の話によると――

ここ最近は 心を入れ替えて――

温厚で優しい性格だったと いうことです

それが 昨日の晩 突如 凶暴化

運転手1名 同僚の交通誘導員4名

計5名を素手で惨殺した

映像を見たかぎり 相手を見境なく襲ってたよね

前例がないわけではありません

2012年 アメリカで――

突如 凶暴化した人間が 被害者を生きたまま食べるという――

“マイアミゾンビ事件”が 発生しました

これは バスソルトという――

ドラッグを摂取したことが 原因だといわれています

(長谷部) バスソルト? (奥田) マイアミゾンビ事件

あっ これか

(長谷部) ウエッ! (奥田) これはエグい

(長谷部) 消せ消せ ハンバーガー食えなくなっちゃうよ

別所は何らかの危険なドラッグを 摂取してたってこと?

(小比類巻) その可能性が高いですね

とりあえず 遺体解剖の 結果待ちってことね

ええ

長谷部さんと奥田さんは――

薬物関係の線も含めて 別所周辺の聞き込みに行ってください

了解!

よ~し 新人 ついてこいや!

私 あの人と組むんですか?

いってらっしゃい

(ドアの開閉音)

今日から俺が教育係だ

今から 聞き込みの お手本を見せるから――

俺の背中をしっかり見とけ

長谷部さんの背中に 何があるんですか?

いや 背中には何もないよ 例えだろう 例え

あっ 別所って SNSとか やってなかったんですかね?

やってたら 関係者から あぶり出せんのに

なにがSNSだよ

被疑者の人間関係を洗い出すにはな 足を使う必要があんだよ

しっかり見とけ 俺だけを見とけ

ハァ… マジ昭和

(柴山美佳) こんなの見たことありません

全身の筋肉が筋断裂を起こし

粉砕骨折している箇所もある

体中に考えられない負荷が かかっていたみたいです

(小比類巻) 死因は?

(柴山) 心筋断裂による 心原性ショックです

血中から 異常な量の ドーパミンとアドレナリン

それからミオグロビンが 検出されました

(最上) 暴れ過ぎたのが 原因ってことか

(小比類巻) そもそも 別所は どうして凶暴化したんでしょうか?

(柴山) まだ分かってません

ただ 腕に数か所 注射の痕が見つかって

注射の痕?

(瀬川哲太) 別所ですか?

いやぁ ありえませんよ

(長谷部) 違法薬物を やってた仲間がいたとか?

(瀬川) まあ あっ…

(奥田) オレンジジュースで

(瀬川) 確かに 悪いヤツらと つるんでたことは ありましたけど

最近は 心を入れ替え 真面目に働いてました

(長谷部) でも 別所の腕には 注射の痕があったんですよ

(奥田) 先ほど 室長から 転送されてきました

(長谷部) これなんですけど

(瀬川) ああ これは ワクチンじゃないですかね

(長谷部) ワクチン? (瀬川) はい

1年ぐらい前 受けたって言ってました

(長谷部) どこで?

(瀬川) 別所の保護観察官と 協力して――

健康診断とかを面倒みてる 医師がいるんですよ

(長谷部) その医師の名前は?

(瀬川) え~っと

(瀬川) あっ コンちゃん (社員) はい

(瀬川) あれ 別所の掛かりつけの先生 名前 何ってったっけ?

こないだ 一緒に釣り行ったって 言ってたよな?

(社員) クリュウ先生のことですか

(瀬川) あっ そうそう クリュウさんです

クリュウ… 漢字では どう書くんでしょうか?

(瀬川) 漢字? えっ 確か…

(長谷部) なっ? こんなこと ネットじゃ分かんねえだろう?

やっぱり 足なんだよ 結局

あとは そのクリュウって医師の 素性を調べれば…

(奥田) この人ですかね?

(長谷部) うん?

(奥田) 別所の同僚のSNSに――

九竜先生という人物が タグづけされてたんで――

そっから たどりました

(長谷部) タグ?

(奥田) 今はネットで 大体のことが分かるんで

そこまで足を使う必要はないかと

(小比類巻) 詳しくは 調べてみたものの――

別所の体内から 薬物反応は出ませんでした

(真鍋) これで ドラッグの線は消えましたね

(長谷部) こっちも ワクチンを 打ってたことが分かったぐらいで――

別所が凶暴化した要因は 何も見つかんなかった

(小比類巻) まずは そのワクチン接種から――

掘り下げて調べてみましょう

(最上) …で そのワクチンを 打った医師ってのは?

(奥田) 九竜洋一 58歳

アメリカのモールデン工科大学で 生命工学…

(最上) えっ 九竜先生?

博士 知ってるんですか?

うん アメリカ時代に すごくお世話になった人

(研究員) ヘイ ユキコ

(英語)

(最上) イエー シュア

あれ?

あれ? どこやったっけ?

(九竜洋一) 相変わらず 君は口が達者だな

(最上) あっ そういえば 先生

こないだ 私のパソコン 勝手に触ったでしょ

(九竜) うん? な… 何の話だ?

ハァ… 何だ? このグチャグチャなデスクトップは

ンンッ…

(最上) ほら また 私のファイル 勝手に消してる

復元すんの メチャクチャ大変だったんだから

最上君

何をした?

勝手にデータを消去しようとすると パソコンのインカメラが起動して――

自動的に録画するよう プログラムしたの

犯人を見つけるためにね

フゥ… また妙なことを!

その労力を 研究に向けたらどうだ?

科学は日々 進歩してるって 言ったのは 先生でしょう?

こうやって私も日々 進歩してるの

相変わらず 君は…

“口が達者” でしょ?

ああ

こっちに連れてきて 本当に良かったよ

えっ?

君のひらめきが いつか 科学の進歩に必要になるだろう

フフッ… 大げさ

最上君 私は 見る目だけはあるんだ

あっ じゃ 私と一緒だ

(笑い声)

おお~!

(最上)“科学は日々 進歩してる”

“それを使う私たち人間も 日々 進歩しなければ――”

“いつか 科学に 振り回される未来が訪れる”

そう教えてくれたのは 九竜先生だったの

博士に そのような恩師がいたとは…

(長谷部) …で その九竜先生は 今どこにいんだよ?

(最上) さあ? 日本に帰ってきたとは聞いてたけど

(奥田) あっ それなら分かってます (長谷部) えっ?

(奥田) 帰国したあと――

ライデングループ日本支部の 研究機関に所属してます

あのライデングループ

(奥田)“ライデングループは 中国に本社を構える巨大企業で――”

“最先端テクノロジーを 世界の 富裕層 権力者に提供して急成長”

“アジア圏に いくつか研究機関があり――”

“日本にも その支部がある”

“過去に 薬害問題で――”

“集団訴訟を起こされそうに なったことがあるが――”

“厚労省の調査委員会と 法務省の肩入れにより――”

“強引に 和解に持っていった”

なんだか きなくさい所ですね

(長谷部) もう スマホばっかり見て

室長 まさか こいつの特技って スマホで検索ですか?

(小比類巻) そんなわけないじゃないですか

奥田さんの特技は…

(沢田克也) お待たせいたしました

ライデングループ日本支部 シニアマネージャーの沢田と申します

(小比類巻) 今回 事件を起こした別所は――

九竜さんが担当していた 患者だということが分かりました

そのことについて 九竜さんに 直接 お話を伺いたいのですが

(沢田) 協力したいのは やまやまですが――

我々も 九竜博士の 居場所が分からないんです

(長谷部) どういうことですか?

(沢田) 実は ここ数日 九竜博士と連絡が取れないんです

アア… まあ 自由な方ですから 我々も そこまでは心配してませんが

(最上) ねえ 九竜先生って ここで何の研究してたの?

(沢田) あなた 最上友紀子博士ですよね?

そうだけど

やはり

九竜博士から よくお話は伺ってます

アメリカ時代 九竜博士と一緒に 画期的な研究をしてたとか

昔ね

…で? 質問に 答えてもらってないけど

大変 申し上げにくいんですが お教えすることはできないんです

九竜博士の研究は 弊社の企業秘密でして

お役に立てず申し訳ありません

(小比類巻) 沢田さん

九竜さんの患者が 凶暴化した原因について――

何か 少しでも心当たりがあれば…

(沢田) もちろん お話ししますよ

心当たりがあればですが

九竜博士が戻ったら すぐに ご連絡します

(小比類巻) 分かりました

お忙しいところ ありがとうございます

(小比類巻) 九竜さんのことが 心配ですか?

(最上) うん ちょっとね

(奥田) 逃げたんじゃないですか? その九竜って人

(最上) えっ?

(奥田) 九竜洋一は 今回の事件と 同じタイミングで失踪してます

事件に関わってると考えるのが 妥当だと思いますけど

(長谷部) おい 博士の恩師だぞ

(奥田) 私は 最上さんと違って 九竜洋一のことは知りません

フラットな立場で 意見を言っているだけですけど

(長谷部) フラットって お前 (最上) いいよ ハセドン

この子は事件を解決したいだけ …でしょ?

(奥田) はい

(小比類巻) 事実を突き止めればいいんです

まずは 九竜さんが何を 研究していたのかを調べましょう

(呼び出し音)

最上友紀子が 首を突っ込んできた

(沢田) 面倒なことになりそうだ

(遠藤和馬) 最上友紀子

(沢田) ああ そうしてくれ

(三枝益生) えっ!?

正面から突っ込んだんですか? ムチャしますねえ

あそこは アンタッチャブルなんですよ

アンタッチャブルなのか? ライデングループって

(三枝) 名前 出さないでくださいよ ここ 厚労省 近いんですから

(三枝) ハァ…

あそこが 過去に薬害問題を 起こしてるのは知ってますか?

(小比類巻) ああ

厚労省の調査委員会と法務省が だいぶ肩入れしたって

はい その当時の官僚たちが 今は あそこに天下って役員してるんです

あそことウチの関係を 告発しようとした官僚が――

失踪したってウワサもあります

正直 俺 あそことは 関わりたくないんスよ

(最上) オカルト星人 消されちゃうか

(三枝) ちょっと 冗談でも やめてください

(小比類巻) …で 九竜さんは――

ライデ…

その会社で 何の研究をしてたんだ?

(三枝) どうやら ゲノム編集や――

ワクチン開発の研究を 行っていたようです

ゲノム編集?

これしかないのか? ほかには?

いや データは全く残ってないんです

いや これでも俺 頑張ったんですよ

えっ?

いやいやいや 先輩 俺 消されますって

ありがとう

“ありがとう”? 俺 まだ何も言ってないのに?

いや ズルッ!

ハァ… 分かりましたよ やりますよ

(小比類巻) 凶暴化した別所の DNAを解析した結果――

配列に異常があることが 分かりました

もしかしたら 九竜さんが別所に――

何かしらのゲノム編集を 行った可能性はないでしょうか?

(最上) 九竜先生は 新しい技術の すばらしい側面 恐ろしい側面の――

両方を知るべきだって言ってた だから そんなことするはずない

(小比類巻) ですが 念のため――

別所の全ゲノムの DNA解析を依頼しましょう

分かった でも それ 私にやらせて

えっ?

もし九竜先生が関わってるとしたら 私が直接 確かめたい

分かりました

(シャッター音)

(シャッター音)

(足音)

(シャッター音)

(三枝) アッ… すいません!

すいません ホントに

あっ…

ありがとうございます すいません

失礼しました

(小比類巻) ライデングループは ゲノム編集や――

ワクチン開発の研究などを 行っていました

そのプロジェクトリーダーだったのが 九竜さんです

(長谷部) あの

まず そのゲノム編集ってのは?

読んで字のごとく ゲノムを編集することです

そこじゃないんだよ

室長 お願いします

まず ゲノムですが これは遺伝情報という意味です

そして ゲノム編集は 遺伝情報に変化を加え――

生物に影響を与える 技術ということになります

ぼんやり分かりました

ぼんやりって SFじゃ定番のネタですけどね

じゃ なにか? SFの定番は常識なのか? ええ?

(奥田) 続けてください

(小比類巻) ゲノム編集には 2種類あります

1つ目は 受精卵の段階で 遺伝子を編集するもの

もう1つは 既に生まれている 生物の遺伝子を編集するものです

九竜さんが 研究していたのは後者で――

クリスパー・キャスナインを 用いたものになります

(長谷部) クリスキャー? 何スか? それ

クリスパー・キャスナインは 2012年に――

エマニュエル・シャルパンティエ博士と ジェニファー・ダウドナ博士が発表した――

画期的なゲノム編集ツールです

(小比類巻) 簡単に言えば DNAを切断するためのハサミです

DNAの特定部分を切断して 働きを失わせたり――

逆に 別の遺伝子の情報を入れて 改変したりすることができるんです

おい どうやって体ん中に ハサミなんか入れんだよ?

バカなんですか? ハサミは比喩ですよ

バカ?

(小比類巻) クリスパー・キャスナインには 極めて小さい酵素が使用され――

ナノマシンと同じように注射1本で 体内に入れることができます

この手軽さから さまざまな研究に 使われているんです

(奥田) まさに夢の技術ですよね

(小比類巻) ただ その反面――

クリスパー・キャスナインには 懸念点もあります

オフターゲット効果です

室長 長谷部さんが キャパオーバーみたいです

(長谷部) ノー ノー ハハッ…

誰がキャパオーバーだよ そんなわけないよ 分かってる

ギャスパーだ なっ? オフターゲットだ

“ハァ!” みたいなことだよな?

絶対 知りませんよね

室長 お願いします

そもそも ゲノム編集は 百発百中で 行われるというわけではありません

(小比類巻) 時には 狙った遺伝子とは別の遺伝子を――

間違って編集してしまうことがある

それがオフターゲット効果です

(長谷部) 間違って編集? そうなると どうなるんですか?

(小比類巻) 生物が 想定外の 変異を起こす危険性があります

クリスパー・キャスナインは 手軽に行える反面――

ほかのゲノム編集ツールに比べ――

オフターゲット効果が起こる確率が 高いといわれているんです

(長谷部) つまり――

別所が凶暴化したのは それが原因だったってことか

(奥田) それは どうなんですかね

そもそも 九竜洋一が――

どんなゲノム編集を行っていたのか まだ不明ですよね?

ええ なので今 最上博士には――

別所のDNA解析を 行ってもらってるところです

(最上) ごめんね 馬場ちゃん 急にお願いしちゃって

(馬場桜子) とんでもない!

(馬場) 最上博士の頼みなら 何でも引き受けます

ありがとう

(馬場) あっ すいません

(コードを切断する音)

(星来)♪ きらめき全開

♪ メガマックス

(小比類巻・星来) ♪ 科学戦士サイエンサー

(星来) 全然 違う

やっぱ ユッキーじゃないと 合わないなぁ

えっ? 今の完璧だっただろう

どこが? ねえ ユッキー いつ帰ってくるの?

まだ仕事が忙しいんだよ 今日 遅くなるんじゃないか

つまんないなぁ

(小比類巻) ちょっと前までは “パパ パパ”って甘えてたのにさ

女の子の成長は ホントに早いんだな

なあ 亜美

博士 解析が終了しました

(最上) 見せて

(最上) えっ?

(馬場) あっ 停電? (最上) データは?

(馬場) オートセーブされてるはずなので 大丈夫だと思います

(最上) ブレーカーが落ちたのかも ちょっと見てくる

(馬場) はい

(足音)

(遠ざかる足音)

(足音)

(足音)

(足音)

(衝撃音)

(最上) ウッ…

(注射器を刺す音)

(タイピング音)

ハァ…

博士?

(真鍋) 別所の 事件前1週間の行動記録です

会議までに 追加の資料 プリントアウトしますんで――

少々 お待ちください

(呼び出し音)

博士とは まだ 連絡つかないんスか?

ええ 日東理工科大学にも 連絡したんですが

途中でいなくなってしまったようで

いなくなった?

しかも 昨日は 家にも帰ってきてません

こんなの 初めてですよ

(奥田)“うち”? (長谷部) 何やってんだ? あいつは

(奥田) ちょっと いいですか? (長谷部) うん?

いや まさかとは思いますけど

最上さんって 室長と一緒に 暮らしてるんですか?

(長谷部) そうだよ (奥田) えっ?

それは つまり そういうことですよね?

何か誤解をしてるようですが 私と博士は…

大丈夫です 私 公私混同を 責めたりしませんから

(奥田) 大人なんで (小比類巻) いろいろあるんです

(真鍋) ちょっと 何なんですか? (手塚祿郎) どけ

(手塚) 科学犯罪対策室の 小比類巻警視正ですね?

最上友紀子の所在を 確認しているんですが

(小比類巻) あなたは?

(手塚) 公安の手塚です (真鍋) 公安?

(手塚) 最上友紀子が 今回の事件に 関与してる可能性があります

(小比類巻) どういうことですか?

(手塚) 我々は 以前から――

九竜洋一を重要参考人として マークしてきました

九竜は アモックと呼ばれる 精神錯乱現象についての――

研究を行っていました

(長谷部) アモック?

(手塚) 人間が突然 凶暴化し 人を襲う現象のことです

東南アジアでは 古くから確認されていますが――

原因は分かっていません

(長谷部) 似たようなことが ほかでも実際に起こってたのか

(手塚) 凶暴化するのは ほとんどが男性で――

人間ではない何かに 変貌するといわれている

(奥田) 人間ではない何か?

(手塚) この事件に そっくりだと思いませんか?

(小比類巻) それと最上博士に どういう関係が?

アメリカ時代 最上は このアモックの研究に――

ウイルス学の観点から 参加していました

これは 2人が 何か違法な実験を行い――

その結果 別所が凶暴化したことを 裏付けるものです

(奥田)“人体実験”

(長谷部) なんで警察の内部資料が?

(手塚) この書類は――

昨日 最上が九竜に送ったメールに 添付されていました

(奥田)“実験を本日未明に実施し 凶暴化させることに成功”

“最上友紀子”

(手塚) 最上は 九竜の協力者です

今ごろ 九竜と落ち合ってるはずです

ハァ…

もう一度 聞きます 最上友紀子は どこですか?

分かりません 私も知らないんです

同居してる女を かばってるだけなんじゃないですか

(長谷部) いいかげんにしろよ ホントに何も知らねえんだよ

(手塚) お前は?

(奥田) 私は 着任して2日目です 最上さんの連絡先すら知りません

(手塚) フッ…

アア…

何か分かったら すぐに ここに連絡ください

(小比類巻) そうですか

もし 最上博士から連絡があったら こちらにも お知らせください

はい では 失礼します

(奥田) すごっ…

えっ 最上さんって何者なんですか?

俺も よく分かんねえけど あっちの世界じゃ有名人らしいな

じゃ ホントに やってたかもしれませんね

ああ?

九竜洋一と共謀して ヤバイ研究してたってことですよ

別所が凶暴化したのだって もしかしたら 最上さんが…

博士が そんなこと するわけねえだろう

何にも知らねえのに 口挟むんじゃねえよ

(奥田) 確かに 私は 最上さんのことは何にも知りません

だからこそ フラットな立場で 意見が言えるかと思いますけど

お前も しばらく 博士と仕事すりゃ分かるよ

(奥田) じゃ まだ今は 分かんないんで フラットな立場で

(島崎) 小比類巻 すぐに最上博士の行方を追え

もちろん 事件の詳細を知る 重要参考人としてだ

(長谷部) 局長 まだ博士が やったって決まったわけじゃ…

(小比類巻) 分かりました (長谷部) えっ?

(小比類巻) 博士が昨日いた 日東理工科大学の監視カメラは――

何者かによって切断されていました

まずは大学周辺の監視カメラを調べ 博士の足取りを追いましょう

(長谷部) 室長 博士を疑うんですか?

(小比類巻) 違います

ただ 博士と九竜さんが 旧知の仲だったのは事実です

可能性があるのであれば まず そこをつぶすのが当然かと

小比類巻は 事実を 客観的に見てるだけだ

は~い

(電話の着信音)

(小比類巻) もしもし

えっ? たった今ですか?

(島崎) どうした?

九竜さんが ライデングループの 研究所に現れたそうです

(手塚) 九竜研究室は どこだ?

(警備員) 2階になります (手塚) 案内しろ

(手塚) ハァ… あなたたちですか ジャマだけはしないでください

(警備員) こちらです

(沢田) ええ 順調です

パクス計画は 予定どおり行います

(最上) 九竜先生

(警備員) こちらの部屋です

(手塚) 開けろ (警備員) はい

(扉の開く音) (手塚) 警察だ!

最上友紀子 ナイフを捨てろ

(小比類巻) 博士

九竜洋一殺人未遂の容疑で 現行犯逮捕する

(窓ガラスの割れる音)

(捜査官) 下に回ります!

(捜査官) 姿がありません 逃走しました!

(長谷部) 奥田 救急車! (奥田) あっ はい!

(手塚) 危険なものと分かりつつ 探究せずには いられない

それが 科学者の サガなんじゃないですか?

そんなはず ありません

パパが なんとかする

絶対だよ

(小比類巻)“パクス” ローマ神話に登場する――

平和と秩序の女神か

偶然にしては できすぎだよな

私が ここに来た理由は 言わなくても分かるでしょう?

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