Afrikaans
Akan
Albanian
Amharic
Arabic
Armenian
Azerbaijani
Basque
Belarusian
Bemba
Bengali
Bihari
Bosnian
Breton
Bulgarian
Cambodian
Catalan
Cebuano
Cherokee
Chichewa
Chinese (Simplified)
Chinese (Traditional)
Corsican
Croatian
Czech
Danish
Dutch
Esperanto
Estonian
Ewe
Faroese
Filipino
Finnish
French
Frisian
Ga
Galician
Georgian
German
Greek
Guarani
Gujarati
Haitian Creole
Hausa
Hawaiian
Hebrew
Hindi
Hmong
Hungarian
Icelandic
Igbo
Indonesian
Interlingua
Irish
Italian
Javanese
Kannada
Kazakh
Kinyarwanda
Kirundi
Kongo
Krio (Sierra Leone)
Kurdish
Kurdish (Soranî)
Kyrgyz
Laothian
Latin
Latvian
Lingala
Lithuanian
Lozi
Luganda
Luo
Luxembourgish
Macedonian
Malagasy
Malay
Malayalam
Maltese
Maori
Marathi
Mauritian Creole
Moldavian
Mongolian
Myanmar (Burmese)
Montenegrin
Nepali
Nigerian Pidgin
Northern Sotho
Norwegian
Norwegian (Nynorsk)
Occitan
Oriya
Oromo
Pashto
Persian
Polish
Portuguese (Brazil)
Portuguese (Portugal)
Punjabi
Quechua
Romanian
Romansh
Runyakitara
Russian
Samoan
Scots Gaelic
Serbian
Serbo-Croatian
Sesotho
Setswana
Seychellois Creole
Shona
Sindhi
Sinhalese
Slovak
Slovenian
Somali
Spanish (Latin American)
Sundanese
Swahili
Swedish
Tajik
Tamil
Tatar
Telugu
Thai
Tigrinya
Tonga
Tshiluba
Tumbuka
Turkish
Turkmen
Twi
Uighur
Ukrainian
Urdu
Uzbek
Vietnamese
Welsh
Wolof
Xhosa
Yiddish
Yoruba
Zulu
(オルゴールの音)
『見上げてごらん夜の星を』
『見上げてごらん夜の星を』
お兄さんはすべて認めてるよ。
金をとろうとして 緒方敏江さん宅に侵入。
現金を見つけて 家を出ようとしたところを
そこへ帰ってきた緒方さんと 遭遇し…。
殺害と…。
違う 違う 違う…
本当だよ 犯人は君のお兄さんだ。
違う あぁ…。
違う…
《直貴 元気ですか?
こっちは なんとかやってます。
そっちはどうだ?
働きながら勉強するって 大変なんだろうな。
本当ならお前
とっくに大学卒業してたかも しれないのに…。
俺が あんなバカなこと したせいだよな。
俺はホントに バカな兄貴だよ》
お待たせしました。
ぐでんぐでんのロックになります。
ぐでぐで言う… アハハ。
新しいバイトさん? はい よろしくお願いします。
マスター 若い人がいるといいねぇ 活気づいて。
こっちもね若返りますよ。
あの かわいがってあげてくださいね。
彼ね こう見えて苦学生らしいから。
あっ そうなんだ。
いらっしゃいませ はい 4名様 あちらのテーブル…。
あっち? はい。 奥空いてるって。
何あれって言うなよ。
失礼します いらっしゃいませ。 焼酎水割り2つと 生2つね。
はい 失礼します…。
あれ? 武島じゃねえか。
あっ 知り合い? 高校のとき同じクラスだったやつ。
へ~ ここでバイトしてたんだ。
あっ 焼酎水割り2つと 生ビール2つ かしこまりました。
うっす。 お願いしま~す。 急ぎね。
若いからいいってもんじゃないよ。 (騒ぐ声)
(騒ぐ声)
すみません。 いや 君が悪いわけじゃないよ。
(グラスの割れる音)
ちょっと武島! 武島! 拭いて 拭いて ほら。
武島 武島。 お前らも拭けよ早くよ。
お前がやったんだよ。 武ちゃん 武ちゃん 生。
君たちさ なぁ もうそのくらいにしとこう。
なっ。 いいじゃないですか 全然。
そうだよ 俺たち一応客なんだし。
君はさ 武島くんの元同級生なんだろう?
ちょっと 彼の気持ち 考えてやってくれよ なっ。
いや 同級生つっても あいつのせいでうちのクラス
すっげぇ微妙な空気になったし。
なんだよその微妙な空気って。
あいつの兄貴が捕まったんだよ。 捕まった?
殺人犯で捕まったの なあ 武島。
ウソでしょう? 武島?
ウソでしょう? いや マジ マジ。
どっかのばあさん 殺しちゃったんだよ。
えっ じゃあ兄貴 今も刑務所にいるってこと?
そうだよ 確か何十年とかって。 うわ~。
マジで? おい おい もういいだろ?
飲もうぜ。 おぉ!
武島くん 生2つだ。
はい。
すみませんでした。
せめて最初から 話してくれてたらな…。
あの…。
クビですか?
誰もそんなことは 言ってないだろう。
じゃあ…。
武島くん よくやってくれてると思うよ。
でも ウソはさぁ…。
《兄貴 元気ですか?
こっちの仕事は順調。
周りもいい人ばかりです。
俺のほうは 何も心配いらないから
兄貴も体には気をつけて
頑張ってください》
聞いた? あの事件。 なんの事件?
俺テレビ見ないからわかんない。
昨日のニュースだよ。
なんの罪もない人が 頭のいかれたやつに殺されたって。
へ~。 そういうやつはね 死刑にしちまえばいいんだよ。
おい ここでそういうこと言うなよ。
あっ…。
マスター お勘定ね。 ありがとうございます。
ごちそうさん。 三番さん おあいそ。
店長。 なんだ?
あの 僕… 今月いっぱいで ここ辞めます。
お世話になりました。
そっか…。
もし 無理に 辞めさせられたとか思って…。
いえ そんな… 思ってないです。
そうか…。
はい。
これから…。 あっ あてはあります。
大丈夫です。
そうか? はい。
そうか 頑張れよ。 はい。
《直貴 手紙ありがとう。
引っ越したって聞いて驚いたよ。
お前 順調っていうのは 本当なんだよな?
手紙には書いてなかったけど
もしかして仕事変えたのか?》
《兄貴 仕事を変えるのは
いろいろな経験を 積みたいからです。
何度も言うけど こちらは なんとかやってるから
何も心配いりません。
追伸 また手紙書きます》
すみません。 すみません。
はい 朝礼はじめます。
今日から一緒に働くことになった 武島くんです。
武島です よろしくお願いします。
挨拶 整理整頓 清掃 報連相。
(一同)報連相。
食べない?
どうも。
武島くんだっけ?
今日の夜 あけといてね。
えっ? 君の歓迎会。
「I want you!」
「I need you!」
「I love you!」
「君に会えて」
「ドンドン近づくその距離に」
おい 新入り。
次 アンタな。
いや 俺は…。 歌えよ アンタの歓迎会なんだから。
寺さんこそ歌えば? プロなんだから。
バカ プロはこういうとこでは 歌わねえんだよ。
へ~。 プロ?
この人バンドやってるの 売れないミュージシャン。
売れないってなんだ! えぇ?
レーベルからオファー来て デビュー決まってるっつの。
へぇ…。
で? 何歌うんだよ。
いや ホントに…。 歌えよ。
歌ってねえのアンタだけだろ。
頑張って。
フッ なんだこれ? 知らないの? 昭和の名曲よ。
しんないんだけど…。 坂本九だよ。
懐かしいなぁ…。
「見上げてごらん夜の星を」
「小さな星の 小さな光が」
「ささやかな幸せをうたってる」
ごめんじゃねえよ!
なあ おい 答えろよ!
やめなさい! なんで そんなバカなことしたんだって…。
離せ おい!
母さんが…。
母さんが昔…。
子どもを 大学に入れるのが夢だって…。
俺 バカだから 勉強できねえから…。
だから せめてお前を…。
お前だけでも大学にって…。
それなのに俺…。
足も こんなんなっちゃって。
もう働けねえから…。
それで…。
バカだったよ。
ごめん。
ひとつだけ お願いがあるんだ。
緒方さん家 行ってくれないか?
えっ…?
あのおばあちゃんの…。
俺の代わりに 線香あげてほしいんだ。
ごめんな… 直貴。
もう いいか?
何で…。
何で すぐ逃げなかったんだ。
緒方さんが帰ってくるまで。
オルゴールが鳴って… あの曲だったから。
あの曲?
見上げてごらん 夜の… なんとかって。
ガキの頃… 直貴 好きだったなって
あ~! 武島君!
社長に無理言って ここ教えてもらったの。
寺さんが 君に話があるって。
どけ。 おおっ。
この前よ… あんたの歌 聴いて ピンときたんだよ。
あんたの声は… 人と違うもんがある。
胸に… ズシンって 突き刺さるっつうの?
要するに 武島君の声に 惚れちゃったみたい。
おめえ うるせぇ!
武島。
俺と一緒にやんねえか?
何を? (寺尾)バンドに決まってんだろ!
ボーカル!
何言ってんだよ 無理だよ。
(寺尾)何でだよ。 何でって…。
無理は無理だ。 だから 何でだよ!
迷惑なんだよ。
なんだ てめえ。 人が頭さげてんだろうが!
やめっ…。 答えろ コラッ!
やめなって! やめなってば! もうっ!
でもさぁ… 寺さんの 言ってることもわかるよ。
だって武島君の歌 大人気なんだもん!
これは 店のママが 撮ってくれたやつなんだけど…。
ほら~っ どんどん 拡散されて 再生回数も
すっごいことになってるよ! ねえ 見て! ほらっ。
~
消してくれ。 えっ?
すぐ消してくれ。 いや 私じゃなくて…。
早くっ!
わかった…。
(由実子)あっ もしもし ママ? なんだ お前 ムキになって。
別に。
他でバンド組んでるだろ。 おい!
だから俺と組めねえんだろ?
おい シカトしてんじゃねえよ! (由実子)ちょっと!
おいっ! 答えろ! やめな! やめなってば! もう。
ああっ… もう。
桜のハンコ?
(寺尾)お前それ… 誰から?
何? ハンコがどうかしたの?
車パクって捕まった ダチがいるんだよ。
ムショから送られてきた そいつの手紙にも
その… ハンコがあった。
(由実子)ムショ?
検閲の印。
だよな?
あんたのダチか?
兄貴だよ。
強盗殺人。
懲役20年。
わかったろ?
俺に関わるの やめてくれ。
~
武島君… 私。 由実子。 (ノック)
さっきは ごめんね イヤな思いさせたよね。
動画のことは 安心して。 もう消してもらったから。
それから… なんて言うか。
(由実子)また明日!
(階段を降りる足音)
(朝美)え~ これまでは 二次関数の定義域が
実数全体でしたが これからは
関数の定義域に 制限がある場合についての
最大値 最小値の 調べ方について教えます。
では 例題を書いていきます。
武島さん。
あなたは すごく成績も良いし… やれば出来る人だと思うの。
だから授業で わからないことがあったら
質問してくれないかな?
漫画とかに逃げるんじゃなくて。
漫画?
教科書で隠して読んでるよね?
すみません。
これです。
すごい…。
これ 独学で?
大学… 行きたいんです。
それで定時制高校に?
いい歳して ちょっと みっともないけど。
そんなことない!
私は… 学びたいっていう気持ちは
いくつになっても 大切だと思うよ。
《直貴 元気か?
志望大学 帝都大学に 決めたんだって?
すげ~よ お前!
数学科って聞いても 俺には よくわかんねえけど。
帝都大が すごいって ことだけはわかる。
奨学金っていうのが うまく貰えれば
働きながら 大学行けるんだろう?
これから ますます 忙しくなるだろうから
無理して 手紙の返事 書かなくていいぞ。
勉強に集中してください。
けど ひとつだけ…。
ちょっと 気になってることがあるんだ…。
緒方さんの線香のこと どうなったかな?》
~
(チャイム)
昼休憩入りま~す!
~
は~っ。
そうそう。 今度の日曜 少し時間もらえない?
いいけど。
うちの両親に会ってほしいの。
いつか 直貴のこと 紹介しなきゃいけないし。
それなら 早いほうが いいかなって。
どう?
そうだね 早いほうが いいかもしれない。
あぁ よかった。
(京子)武島さんは お仕事はアルバイトだとか?
はい。 (京子) どちらで働いてらっしゃるの?
産業廃棄物を処理する リサイクル会社です。
産業廃棄物?
直貴は学生よ。
働きながら うちの 定時制に通ってるの。
あの… 失礼ですけれど そのご年齢で高校?
直貴は十代で ご家族亡くして
高校を中退する ことになってから
ずっと1人で 生計を立ててきたの。
それでも どうしても 大学に行きたいって
一生懸命働いて お金貯めて…。
今は うちの 定時制に通いながら
帝都大学を目指してるの。
帝都大の卒業生… 確か お父さんの会社にも
たくさんいたわよね?
直貴は間違いなく 合格できるくらいの成績よ。
お父さん お母さん。
直貴は 自分の力で 人生を切り開いている人です。
私 こんなに尊敬できる人に 出会ったの 初めてなの。
直貴と出会えてよかったって 心から思うの。
これまで私は 限られた 狭い世界しか知りませんでした。
でも朝美さんは 新しい世界の扉を
開いてくれたんです。
(中条)要するに 朝美といることで
少しだけ 裕福な私の家の扉が
開いたということかな? お父さん!
お二人の気持ちは わかります。
(中条)どうわかるんだね?
私と皆さんとは あまりにも 住む世界が違いますから。
私を理解できなくて 当然だと…。
ほう。 君は どういう人間なんだ? 少し教えてもらいたいな。
私は…。
食べて寝て やがて死ぬだけの人間です。
フッ まるで世捨て人だな。
向上心も野心もない 目的もなく
ただ そこにいるだけの人間が 私の会社にもたくさんいるよ。
どうしたら そういう人間が 会社の役に立つと思う?
本当に知りたいですか? 知りたいね。
時間の無駄になるかもしれない。 お聞きにならないほうがいい。
ぜひ 聞かせてもらいたいね。
4年後 私を あなたの会社にお入れになれば
間近でお見せします。
フフフ…。
覚えておこう。
(玄関チャイム)
(京子)あっ 来たかしら?
(朝美)他にお客さん? (中条)さぁ。
叔父さん こんにちは。 孝文 いつ帰ったんだ?
ついさっき 成田から戻ったばかりです。
(朝美)なんで孝文が来るわけ?
私が呼んだのよ。 にぎやかなほうがいいじゃない。
どうだった? ニューヨーク出張。 いや~ 刺激的でした。
向こうの支店長が くれぐれも専務によろしくと。
会社の金を使って 遊び回ってたんじゃないだろうな。
それはまぁ ほどほどに。 (中条)コイツ!
(笑い声)
(中条)武島くん。 こちら 朝美のいとこの嘉島孝文だ。
(孝文)朝美のお友達? (朝美)武島直貴くん。
私の彼氏。
へぇ~ どうも。
(笑い声)
そうそう。 あのとき朝美が 絶対 孝文君と一緒の部屋がいいって
だだこねちゃって。 子どもの話でしょ それ。
よく言うよ 今でもお子様だろ。 あれは プーケットだったかな。
ハワイですかね。 久々に またみんな一緒に行きたいわね。
そういえば 日本に戻ってくる前に
時間があったので アイスランドに行ってきたんです。
アイスランド? なんでまた?
いや たまたま向こうのテレビで ブルーラグーンの特集やってて
それ観たら いてもたっても いられなくなっちゃって。
迅速果断 孝文らしいな。
ブルーラグーンって たしか 泥パック有名よね。 うん。
(孝文)へぇ~。
ありがとうございました。
朝美のことだけど…。
これ以上の関係になるのは 遠慮してもらえるかな。
俺と朝美は 将来 結婚することになってるんだ。
アイツは まだ子どもだから
よくわかってないのかも しれないけど。
でも 少なくとも 親同士は そのつもりのはずだよ。
二度とあの家には行かないでくれ。
ね?
よっ。 彼女とケンカでもした?
(由実子)それ 彼女の手作り弁当でしょ?
食べないってことは 彼女とケンカでもしたのかな~って。
ケンカするほど仲がいいって 言いますけどね。
熱いね~ このこの。
何それ 今どき… いいなずけってやつでしょ?
住んでる世界が違うのは わかってたから。
でも…。
あのことは言ったの? お兄さんの…。
いや…。
そうだよね ごめん。
本人同士の問題だもんね。
外から口を挟むのは おかしいよね。
(チャイム)
武島くん!
私は 武島くんのこと 応援してるから!
《直貴 元気ですか?
最近 手紙がないんで ちょっと心配してるけど
勉強と仕事で忙しくて 手紙書く暇ないんだなって
考えることにしています。
それでいいよな。 病気とか してるわけじゃねぇんだよな?》
こちらになります。
《でも 本当のこと言うと
葉書でもいいから 送ってくれると安心です。
元気だよって ひと言 書いてくれるだけでもいいんだ。
待ってます》
朝美。 (朝美)何?
ちょっといいか?
はい。 ありがとう。
大事な話があるんだ。
(玄関ブザー)
(孝文)朝美 帰ろう。
(朝美)何しに来たの? お前の目を覚ますために来た。
帰ってよ。 私たちのことに口出さないで!
お前は この男について どのくらい知ってる?
少なくとも あなたより ずっと知ってる。
この男の家族については 聞かされてないんじゃないか?
何言ってんの? 直貴に家族はいないわ。
フフフ… やっぱりそういうことか。
何よ?
お兄さんのこと 話さなくていいのか?
強盗殺人で服役中の 君のお兄さんのことだよ。
何のこと?
投稿元は消されていても 拡散されて広まっていてね。
何これ…。
(孝文)武島くん。
このことについて 説明してもらえるかな?
直貴… ウソだよね?
家族は いないよね?
兄貴がいる。
強盗殺人の罪で… 刑務所に。
ウソ…。
いつかは言おうと思ってた。
ウソ… ついてたの?
ウソついて 私とつき合ってたの?
本当のこと言ったら 俺とつき合ってたか?
あ… 当たり前でしょ そんなこと。
まぁ とにかく まずは ご両親に報告だな。
待ってよ なんで そんなことするの?
なんで? それが筋だろう。
そんなことしても 私は何も変わらないわ!
朝美は変わらなくても 叔父さんと叔母さんはどうかな?
お父さんもお母さんも同じよ。
さて どうなるか見ものだな。
おじゃましました。
どうして 私に話してくれなかったの?
私が話してくる。
(階段を降りる足音)
(玄関ブザー)
隠してた君の気持ちは 十分 理解できる。
また そういう立場でありながら 気丈に生きていることも
敬意を表する。 君は立派だ。
何ですか?
受け取ってくれないか?
朝美のことは諦めてもらいたい。
朝美さんには…。 まだ話してない。
話さないかもしれない。
若いときは 親のやり方については
大抵 納得できないものだ。
だが いずれ わかるときが来る。
受け取れません。
このとおりだ!
頭を上げてください。 どうか 受け取ってくれ!
やめてください こんなこと。
どんなことでもする 娘のためなら。
僕と一緒にいると
彼女は幸せになれないと おっしゃるんですね?
君は 幸せだったか?
事件のあと
いろいろと ひどい目にも あったんじゃないのか?
朝美が君と一緒になれば
その苦労を あの子も背負い込むことになる。
このとおりだ。 頼む 娘とは別れてくれ!
わかりました。
お嬢さんとは別れます。
でもこれは 受け取れません。
受け取ってもらえないと困るんだ。
受け取るかわりに 君に 約束してもらいたいことがある。
約束?
朝美には 今後 一切近づかず 連絡もしないでもらいたい。
おそらく 朝美のほうから 君に近づくだろう。
だが それも無視してほしい。
朝美と交際していたことは
今後 誰にも しゃべらないでもらいたい。
受け取れません。
朝美さんとのことは あちこちで言いふらすつもりです。
だから 受け取りません。
ウソです。
そんなことしません。
誰にも言いません。
お金も いりません。
受け取る理由がないからです。
本当に いいのか?
ええ。
朝美さんに…。
いえ 結構です。
君も 元気で。
「直貴 元気か。
あと1か月もしたら 桜が咲いてる頃じゃないか。
その頃には お前も
立派な大学生に なってるんだろうな。
桜といえば ガキの頃
近所の公園に おふくろと3人で 花見に行ったことあったよな。
あんときのレンコンの天ぷら うまかったよな。
そういや あんとき お前…」。
皆さんを 迎えることが でき
たいへん うれしく思って おります。
上田さん! はい よろしくお願いします。
(拍手)
中原さん! はい よろしくお願いします。
(拍手)
武島さん! はい よろしくお願いします。
(拍手)
高橋さん! はい よろしくお願いします。
(拍手)
~
(由実子)就職 おめでとう!
あぁ~。
みんな驚いてたよ。 真芝電機っていったら
有名企業だって。 大げさだよ。
ううん 寺さんも 「すげぇ」 って連発してたし。
寺尾さん 元気? 元気 元気。
今度 2枚目のCD リリースだって。
そうか 頑張ってんだな。
頑張ってるのは武島君も同じだよ。 お兄さんも喜んでるんじゃない?
ん? 知らせたんだよね?
知らせてないの?
兄貴に手紙書くの やめたんだ。
どうして?
あぁ 彼女のことがあったから?
兄貴とつながってるかぎり 俺は俺として見てもらえない。
だからって そんな…。
会社にも 俺の兄貴は 外国にいるってことで通してある。
本当?
いいんだよ もう。
おぉ。 何かあったんですか?
昨日の閉店後 売り場に泥棒が入ったらしくて。
今日発売だった プレステのソフトが ごそっと持ってかれたって。
あぁ 来た来た。 武島。
仕事中 悪いね。
お待たせしました。
君が武島さん? はい。
君に ちょっと 確かめたいことがあってね。
はあ。
今回の窃盗事件
我々警察としては 共犯者が内部にいると考えてる。
それで 従業員全員の 人間関係について
ある程度 知っておきたいと思ってね。
人間関係?
例えば 暴力団関係者と つながりがないか とか
大きな借金を抱えてないか とか。
それと… 家族に どういう人間がいるか とか。
総務の人に 履歴書を 見せてもらったんだけど
君には お兄さんがいるね。
はい。
課長さんに聞いたところによると 海外にいるそうだね。
音楽の勉強のためとか。
それは 本当のことなのかな?
どういう意味ですか?
こういう仕事をしていると
独特の勘みたいなものがあってね。
で 君の履歴書を目にしたとき
なんとなく ピンとくるものがあった。
課長さんがいると 言いにくいことなのかな。
外そうか。
話してくれないか。
あっ あの…。
武島さんって 今日は お休みなんですか?
はっ? あぁ 友達なんです。
パソコンを買いかえようと 思ってるんですけど
相談にのってもらおうかなって。
あぁ…。
えっ?
ここの仕事は慣れたかい?
うちは 流通システムが生命線だからね。
よろしく頼むよ。
本社の方ですか?
平野… といったら わかるかな。
社長?
武島くんだね。
窃盗犯が捕まったよ。
今回の人事は 不当だと思うか?
君は こう思っているだろうね。
「これは差別だ。 刑務所に入ったのは自分じゃない。
なのに どうして こんな扱いを」と。
これまでも 君は
こうした不当な扱いを 受けてきたんじゃないか?
はい。
そのたびに 君は苦しんだろうね。
差別に対して 怒りもしたはずだ。
苦労したろうな。
だが 私は…。
今回の人事部の処置は 間違ってないと思う。
差別というものは あって 当然なんだ。
差別は いわば 人間の本能だからね。
どういう意味ですか?
例えば このせんべいの中に 1枚の毒せんべいがあったとする。
その1枚の毒せんべいと 取り除いたとしよう。
ほら… こうだ。
残ったせんべいに毒はない。
さて 君は これらのせんべいを 見て どう思う?
食う気になれるか?
嫌だろう?
いくら 毒はないと言われても 体が拒否をする。
それが 人間というもんだ。 君への差別も同じ。
誰だって 犯罪に近しいものからは
遠いところに身を置いておきたい。 たとえ 害はないと言われてもね。
じゃあ 私は差別されて当然だと?
ある意味では そうだ。
そんな…。
これは 善悪の話じゃない。 人間の本性の話だ。
野蛮な我々のね。
お兄さんは罪を犯す前に 覚悟を しなければいけなかったんだ。
罪を犯すと 大切な自分の家族まで 差別されて 苦しむ。
自分が刑務所に入れば 済むという問題じゃない。
君が受けている苦しみも含めて お兄さんが犯した罪の刑なんだ。
差別はなくならない。 いつの時代にも どこの社会でも。
問題は そこからだ。 そこから 君がどう生きるか だ。
私は どうすれば…。
これは ある人から私に届いた 1通の手紙だ。
君について 書いてある。
手紙の送り主は
自分のことは 絶対に 君に 言わないでくれと言っている。
自分が勝手にしたことだから これを読んで
不愉快になったとしても 君を責めないでくれ とも。
送り主は 君が これまで どれほど 苦労し 努力してきたか…。
今も また どんなに悩んでいるか…。
そして 君が人間的に いかに すばらしいかを切々と語っている。
そのうえで どうか 君を 助けてやってほしいと頼んでいる。
私は 武島くんのこと 応援してるから!
送り主の見当はついてるようだね。
これは 君がつかんだ 最初の1本の糸だ。
君がすべきなのは こんな糸を 1本ずつ増やしていくことだよ。
いつか 君を中心とした
クモの巣のようなつながりが できれば
誰も 君を無視できなくなる。
その第一歩を 踏み出す場所が ここだ。
ここから始めるんだ。
(玄関チャイム)
武島くん。
どうしたの?
なんだよ これ…。
俺に無断で 兄貴に 手紙出してたのか…。
俺になりすまして…。
兄貴が 自分に 手紙書いてよこすように…。
ごめんなさい…。 勝手なこと すんなよ!
勝手なことしたとは思ってる。
でも…。
間違ったことしたとは思ってない。
だって 寂しいよ。
兄弟なのに…。
この世で たった2人の家族なのに もう連絡とらないなんて。
兄貴とは もう縁切ったんだよ。 言っただろ!?
そんなことして 何の意味があるの?
意味なんて…。
差別される人間の身にも なってみろよ!
武島くん…。
お兄さんを捨てて それで どうだった?
現実は変わった?
逃げたって 何も変わらないでしょ?
武島くんは お兄さんの弟で
お兄さんは 武島くんの たった一人の家族でしょ?
実はね 私も武島くんと同じだった。
子どもの頃 お父さんが借金をしたの。
返せないくらいの すごく大きいやつ。
毎日 借金取りに追いたてられて とうとう夜逃げした。
逃げた先でも
追っかけられるんじゃ ないかって ビクビクして…。
結局 家族は バラバラになっちゃった。
お父さんのこと 恨んだこともあったよ。
嫌いになろうともした。
でも…。
できなくて。
武島くんも同じでしょ?
どんなに逃げても 無駄。
お兄さんのこと 嫌いになんか なれないよ。
だったら…。
逃げずに立ち向かえばいい。
正々堂々としてればいい。
お兄さんから届いた手紙。
読んであげて。
お願い。
「直貴 久しぶりの手紙 ありがとう。
受け取ったときは うれしくて 叫びそうだったよ。
連絡ない間 お前に 何か あったんじゃ…」。
「就職おめでとう。 真芝電機だって?
大学行くのやめたって 聞いたときは心配したけど
正社員っていうじゃないか。 俺がどんなに喜んだか…」。
「仕事 なかなか大変そうだな。
覚えることが多すぎるって 手紙にあったけど
お前は頭いいから 絶対 大丈夫だ。 自信持ってくれ。
直貴は 会社の中で人の上に…」。
「お前という弟がいて 幸せ者だ。
お前は俺の弟だって みんなに自慢したい」。
ばかだな 兄貴のやつ…。
俺じゃないって なんで すぐ わかんねえんだよ?
勝手なことして ごめん。
でも 私… 手紙を読んで お兄さんが
どんなに武島くんのことを 大事に思ってるか わかったから。
だから 私 どうしても
お兄さんに 武島くんのこと 伝えてあげたくて。
由実子…。
だって…。
あなたは こんなに頑張ってるんだから。
もう 逃げるのはやめよう?
誰の目も気にせず 正々堂々 生きていこう?
ありがとう…。
ありがとう。
今日のお弁当は からあげだよ。 ん…。
パパ しゃべれない。
歯みがき…。 歯 みがいてる からね。
《直貴 手紙ありがとう。
実紀ちゃんは元気か? この前 送ってもらった写真
毎日 眺めてます。
5歳っていうと いちばんかわいいときだよな。
最近は 由実子さんに 似てきたんじゃないか?
将来は絶対 美人になるな。
あの写真を見ると
お前が5歳だった頃のことを 思い出すよ》
おお センキュー。
元気そうだな。 まぁ なんとか。
そっちは? 楽じゃねえわな。
CDが売れない時代っていうだろ。 そうか 大変なんだな。
でも最近は 新しい挑戦もしてんだぜ。
新しい挑戦? うん ボランティアで
介護施設とか刑務所とか行って 慰問コンサートやってる。
一生懸命 聴いてくれんだよ そこの人たちは。
へぇ。 しばらく続けてみようかと思って。
なぁ お前も一緒に やってみねえか?
俺?
もう一度 お前の歌 聴いてみてえなぁ。
しつこいな お前も。 (笑い声)
気が向いたらでいいからさ 連絡くれよ。
わかった わかった。
実紀 今日 何して遊んだんだ?
エミちゃんと セリナちゃんと ぞうさん公園で お砂遊びしたの。
そうか よかったな。
(玄関チャイム)
は~い。 あ いいよ 俺 出る。
よいしょ。 よいしょ。
はい。
夜分 申し訳ありません。
隣に引っ越してきました 人事部の町谷といいます。
それはどうも ご丁寧に。 ご挨拶にうかがいました。
妻と娘です。 こんばんは。
こんばんは。
もしかして… 武島くん?
家電売り場にした武島だよな? 新入社員の頃。
はぁ…。
へぇ ここの社宅にいるとは 知らなかったな。
(物音)
ねぇ 直貴くん。 何?
外から変な音がする。 (物音)
町谷さん?
引っ越しすると ゴミの処分って 大変ですよね。
でも ここは ちょっと まずいかもしれませんよ。
資源ゴミ 金曜日なんです。 ほんの2~3日だよ。
でも ここの人 みんな ルールに厳しいんで
気をつけたほうが…。 うるせえな 偉そうに!
わかったよ。
お父さん 実紀 公園行きたい。 公園?
ああ あの公園か。 うん ぞうさん公園。
よし… よし!
う~ん じゃあ 行くか。 (由実子)実紀!
お父さん疲れてるの。
あとで お母さんが 連れていってあげるから。
いいよ 公園くらい。 俺だって たまにはさ ほら
実紀連れて散歩したいし。 だったら
お父さんとお母さんと実紀と 3人で
他のとこ行こうよ 動物園とか。 やだ!
公園がいい ぞうさん公園! じゃあ…。
あとで お母さんと買い物の帰りに 一緒に行こう。 ね?
噴水公園 やだ!
エミちゃんも セリナちゃんも いないもん。
噴水公園? このところ そっちに行ってるの。
買い物に便利だから。 ね? あっ じゃあ 今日は
お父さんが ぞうさん公園 連れていってあげるか。
やった! 待って 待って…。
それなら 私が連れていくから。 なんで?
あなたは家にいて。 あの… 今日 管理会社から
電話がかかってくるかも しれないから。
ご主人には お家に いてもらってくださいって
言われてるの。 はい 実紀 行くよ。
電話なんて かかってこないじゃんか。
(由実子)ねぇ 実紀 アヒルは? (実紀)いる ありがと。
(子どもたちの話し声)
ねぇねぇ すべり台して 一緒に遊ぼ。
いいよ! エミちゃん セリナちゃん!
(2人)実紀ちゃん! ダメ エミ ダメ!
ダメ セリナ! ちょっと こっち来て!
こっち来て! セリナ!
ねぇ ママ 言ったでしょ セリナ あの子と遊んじゃダメって。
そう 実紀ちゃんと遊んじゃダメ。 ねぇ 言ったよね?
わかる? たこさん公園 行きましょうか。
うん 行く 行く!
実紀 実紀! お砂場行こう ほら はい。
アヒルさんで ほら 遊ぼうよ。
はい はい。 ありがとう。
うん。
いつから?
2~3週間くらい前から。
町谷さんか。
うん…。
奥さんを通して ママ友の間で
お兄さんのことが 広まったみたいで。
途中から変なウワサになっちゃって。
変なウワサ?
もうすぐ お兄さんが出所して うちに同居するってウワサ。
でも 私たちは 何も悪くないんだし
いつもどおり 正々堂々としてよう。
そんなウワサ すぐ消えると思うし。
ご苦労さま。 お疲れさまです。
お疲れさまです。 ご苦労さま。
ここは 協立電機様の製品が 並んでます。
上にあるのが ヨーロッパに向けた 商品です。
こちらです。
武島。
この商品 至急 休憩室 運んでくれるか?
何ですか? これ。 さぁ。
抜き打ちチェックかなんかちゃうか? 頼むで。
商品は そこに置いてくれればいい。
はい。
どうだ 万事うまくいってるのか?
でもないようだね。
前に 社長は こうおっしゃいました。
差別はなくならない と。 うん。
大事なのは そこから 人のつながりを
いかにして築き上げていくかだと。 確かに そう言ったね。
あれから あのお言葉を信じて 頑張ってきたつもりです。
夫婦で話し合い これからは逃げずに
正々堂々と生きようと決めました。
ところが… と言いたそうだね。
私や妻は いいんです。
何があっても 乗り越えようと 覚悟してますから。
でも 今…。
娘まで…。
たった5歳の娘まで つらい目にあっています。
それがどうした?
君は確かに あのときの 私の言葉を理解し 行動した。
その点は よかった。
ただ 今の話を聞いて 残念だと思う部分もある。
君は 私の言ったことを はき違えてしまっている。
厳しい言い方をすれば 君は まだ甘えている。
甘え? そうだ 甘えだ。
どこが甘えなんですか?
実紀が… あんな小さい子が ひどい目にあってるんですよ!
それも受け入れろって 言うんですか!
ある意味では そのとおりだな。
君たち夫婦は 逃げずに 正々堂々としていれば
差別されながらも 道は開けてくる。
そう考えたんだろうね。 はい。
若者らしい考えだ。
しかし それは やはり甘えだ。
自分たちのすべてを さらけだして
そのうえで 周りから 受け入れてもらおうと
思ってるわけだろう?
仮に それで 人と人との つきあいが生じたとしよう。
心理的に負担が大きいのは どちらだと思うか?
君たちのほうか? 周りの人間か?
それは…。
明白だな。
でも じゃあ いったい どうすれば…。
正々堂々というのが 君たち夫婦のキーワードのようだから
あえて言わせてもらう。
それは自己満足じゃないか。
私には ただ選びやすい道を 進んでるだけに思えるが。
正々堂々としちゃ いけないっていうんですか。
悪いが そろそろ 次の予定があるんでね。
ま… 待ってください!
答えを 教えてください。
答えなんてないよ。
答えは 自分で見つけなければ 意味はないんだ。
(バイブ音)
もしもし。
(由実子)ハァ ハァ ハァ…。
直貴くん? ごめんなさい 仕事中に ハァ ハァ。
実紀が… 実紀が…。
すみません 武島実紀です。
武島実紀ちゃん… あちらの311号室になります。
ありがとうございます。
直貴くん! 大丈夫か!?
ケガは!? 私は 大したことない。
でも…。
ひったくりにあって 乗ってた自転車が倒れたの。
それで 実紀も一緒に…。
大丈夫なんだよな?
先生からは 今日は 様子見で 入院しましょうって言われた。
それと…。
実紀の顔の傷
残ってしまうかもしれません って…。
犯人は 捕まったみたい。 20代の男性だって。
直貴くん 本当にごめんなさい。
大丈夫。 ごめんなさい…。
(玄関チャイム)
はい。 突然すみません。
前山繁和の親です。
ひったくりで捕まった 犯人の親です。
このたびは 息子がとんでもないことを…。
せめて一言だけでも おわびをと思いまして
失礼を承知の上で お伺いしたしだいです。
本当に申し訳ございません。
私どもが頭を下げたところで
武島様の 気が済むはずのないことは
重々承知しております。
ですが どうか私でよければ 殴るなり蹴るなり どうか…。
頭を上げてください。
そんなことされても 娘の傷は消えませんから。
(前山)申し訳ございません。
親として 弁解のしようもございません。
こうなったのも すべて私たち 親の責任です。
どうせあれは
刑務所に 入ることになると思いますが
お嬢様や奥様に対しましては
できるかぎりの償いを
させていただきたい と思っております。
本当に 申し訳ございませんでした。
今日 あの2人に会って 2つのことを思ったよ。
1つは あの人たちは とても立派だってこと。
息子が逮捕されて 混乱してるはずなのに
俺たちのところへ わびに来るなんて…。
うん。
少なくとも俺はできない。
いや できなかった…。
そして もう1つは…。
はぁ…。
俺は やっぱり あの人たちを許せない。
頭では あの人たちは 悪くないとわかってる でも
実紀や由実子が 受けた傷のことを思うと
どうしても…。
正々堂々としてればいい なんていうのは…。
やっぱり 間違いだったんだよ。
「武島剛志様。
今日は あなたに 本当のことを話したいと思って
筆をとりました。
これまで私は あなたへの手紙に
本当のことを 書いていませんでした。
うわべだけを取り繕い
当たり障りのないことだけを 書いてきました。
あなたに余計な気遣いを させたくないと思ったからです。
でもそれは 間違いでした。
今からあなたに 本当のことを伝えます。
あなたが 刑務所に入ってからの13年。
私が どんなふうに生きてきたのかを」。
「私は これまで強盗殺人犯の弟 と 言われて生きてきました。
私は 何度も 仕事を変えることになり
思い描いた道を 他人に捻じ曲げられ
やっと見つけた職場でも 左遷されることになりました」。
「私は たくさんの人から遠ざけられ
忌まわしい存在として疎まれ
時には
憎まれてきました。
差別を受けているのは 私だけではありません。
妻や娘までもが 今も殺人犯の家族だと言われ
つらい目にあっています。
これらのことを
私は もっと早く あなたに伝えておくべきでした。
なぜなら
私たちの苦しみを知ることも
あなたが受けるべき 罰だと思うからです。
このことを知らずに
あなたの刑が 終わることはないのです。
ですから これが私があなたへ送る 最後の手紙です」。
「この手紙を投じた瞬間から
私は あなたの弟であることを 捨てるつもりです。
今後は あなたからの手紙は受け取らず
いつか あなたが出所したときも
あなたと 関わるつもりはありません。
これが 家族を守るために 考え抜いた結論です。
どうか 立派に更生されることを 願います」。
「武島剛志様。
武島直貴」。
お待たせいたしました 金竜の舞でございます。
ありがとうございます。 5, 510円になります。
(玄関チャイム)
はい。
突然すみません 武島というものです。
どちらの武島さんですか。
武島剛志の弟です。
(扉が開く音)
突然すみません。
線香をあげさせて いただきたいと思って
参りました。
もっと早くに おじゃますべきと思いましたが
勇気が出ずに 13年も経ってしまいました。
では どうして急に?
それは…。
あなたの問題ですか?
どうぞ。
これは つまらないものですが…。
いや それは持ち帰ってください。
あなたが来たことは
なるべく女房たちには 内緒にしたい。
それに 見たところ 食べ物のようだ。
正直なところ どういう思いで 口にすればいいのか
考えるだけで 憂鬱になる。
わかりました。
あの… 緒方さん。
お線香を…。 それは お断りする。
誤解してもらっては困るんだが 別に 君が憎いからじゃない。
君は 事件とは無関係だろ?
だから焼香をしてもらう 理由がないんだよ。
君の兄さんにも そのように伝えたかったんだが。
兄?
ちょっと待っててくれ。
君の兄さんから送られてくる。
兄が 緒方さんに?
刑務所に入ってから13年間 毎月ね。
正直なところ 私としては 不愉快な手紙だった。
彼が後悔しているのは よくわかる。
だけど いくら反省の弁を聞かされても
母親を殺された無念さは消えない。
それに…。
弟の近況を伝えてくるのも いまいましかった。
刑務所に入ったというのに 幸せを満喫されてるじゃないかと。
何度も もう送ってくるな という手紙を送ろうかと思った。
だけど それさえも ばかばかしくてね。
だから 徹底的に 無視することにした。
そうすれば いずれ届かなくなるだろうと。
しかし 手紙は届き続けた。
やがて 私に迷いがでた。
手紙をやめさせることは 事件の完全な終結を意味する。
それでいいのか と。
白状すると 私は事件の終わりを 受け入れる決心がつかなかった。
でも 先日 この手紙を受け取って
やっと決心がついた。
~
「緒方様。 今日は 重大なことをお伝えするために
手紙を書かせていただきました。
先日 弟から 手紙が届きました。
そこには 強盗殺人の兄を持ったばかりに
これまで 弟が どれだけ苦労してきたか
そして 妻や娘までもが
どれだけつらい目に あっているかが
書かれていました」。
「だから 私とは縁を切る と 弟は言ってきたのです。
これを読んだときの気持ちを 言葉にすることはできません。
弟に縁を切られたことが ショックだったのではありません」。
武島! 何をやってるんだ お前は!
「こんなにも 長いあいだ
私の存在が 弟を苦しめ続けてきた。
そのことです」。
「世界でいちばん大事な 弟を苦しめてきたのは
この私なのです。
私は こんなところにいながら
何ひとつ 更生なんかしていません。
なんの償いもできていません。
そのことに やっと気づきました。
私は 手紙など 書くべきではなかったのです」。
「同時に 緒方さんへの手紙も
きっと犯人の自己満足の
不快で しかたないものだったと 気づきました」。
「そのことを お詫びしたくて
このような手紙を書きました。
本当に申し訳ありませんでした。
追伸 弟にも詫びたいのですが
もう その方法がありません」。
直貴君といったね。
もう これでいいと思う。
これで終わりにしよう。
「広がる道しるべ 僕らの未来さ」
「2人の未来さ」
(拍手)
センキュー。
(ギター)
これから歌うのは 今日 初めてステージに立つやつです。
反町雄大くん。 はい!
(寺尾)そいつは これまで いろいろあって
(寺尾)本当に いろいろあって。
武島実紀ちゃん。 はい! 武島実紀です。
(寺尾)今日 特別な思いで ここに立とうとしています。
(寺尾)そして たぶん
彼にとってこれが
最初で最後の ステージになるはずです。
どうか 拍手で迎えてください。
(拍手)
なんで すぐ逃げなかったんだ。
緒方さんが帰ってくるまで。
オルゴールが鳴って あの曲だったから。
あの曲?
見上げてごらん 夜の… なんとかって。
ガキの頃… 直貴 好きだったなって。
兄貴 違う。
思い違いしてるよ。
あの曲 好きだったの 母さんだったじゃないか
(ギター)
「見上げてごらん 夜の星を」
「小さな星の 小さな光が」
「ささやかな幸せをうたってる」
「見上げてごらん 夜の星を」
「ボクらのように 名もない星が」
「ささやかな幸せを祈ってる」
「手をつなごう ボクと」
「おいかけよう 夢を」
「二人なら 苦しくなんかないさ」
「見上げてごらん 夜の星を」
(泣き声)
「手をつなごう ボクと」
「おいかけよう 夢を」
「二人なら 苦しくなんかないさ」
「見上げてごらん 夜の星を」
「小さな星の 小さな光が」
「ささやかな幸せをうたってる」
「見上げてごらん」
2人:お母さん…
「ボクらのように 名もない星が」
「ささやかな幸せを祈ってる」
~
Can't find what you're looking for?
Get subtitles in any language from opensubtitles.com, and translate them here.