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♬~
おあい
(於愛の方)「元亀三年十月」。
(西郷義勝)行ってまいる。
(於愛)ご武運をお祈りします。
(西郷)子供らのためにも
ここらで一手柄立ててみせる。
♬~
(於愛)「お慕いする人が逝ってしまった」。
♬~
(於愛)「私の心もまた… 死んだ」。
♬~
(お葉)それで… ここで働く間
お子は どうする?
(於愛)父と母は亡くなっておりますので
祖父母に…。
西郷の家の後家ならば
新しい こし入れ先があろう。
もう… どなたかの妻になる気は…。
うそ
(お葉)嘘でも笑っていなされ。
皆に好かれぬとつらいぞ。
♬~
また つまみ食いして!
どうせ また若い おなごを
かどわかしに来たんじゃろ!
いいかげんにしなされよ 女たらし。
♬~
(お葉)殿。 殿。
殿?
(於愛)「天正四年五月二十日。➡
思いがけぬ お話を頂いた」。
(瀬名)よい笑顔じゃ。➡
愛や。 殿のこと➡
よろしく頼みます。
えっ?
そなたのおおらかなところが
きっと この先 殿の助けになろう。
あの… 精いっぱい励みます。
(於愛)「お方様…➡
私の笑顔は 偽りでございます」。
(於愛)「殿のことは
心から敬い申し上げているけれど…」。
(徳川家康)於愛。
(於愛)はい。
(於愛)「お慕いするお方では…➡
ない」。
あ… ハア ハア…。
♬~
そうか… 見つからんか…。
(鳥居元忠)はっ。
ただよ
に
忠世兄ぃと懸命に捜しておりますが➡
一向に見つかりません。
何をお探しなのです?
お手伝いいたしましょうか?
いや なに こっちの話よ。
ところで 於愛
いな
平八郎と稲は まだ納得しとらんか?
ご重臣の姫君を➡
まずは徳川殿の養女にするという形でも
構いませぬが。
はあ。 真田の家風が合わぬとか何とか…。
まあ 無理強いするつもりもないが…➡
戦には しとうないでな。
かい
私が甲斐に戻る前に
平八郎を説き伏せます。
では。
⚟(於愛)稲の方は
もう一度 私から話してみます。
うむ…。
旭は 出立の支度できておるか?
はい。
では 行ってまいる。
於愛 留守を頼んだぞ。
はい。
いつも いい笑顔じゃのう。
都にて
豊臣政権を支えるお立場となった神の君。
ご心労のもとは
じょうらく
上洛を拒む 北条の問題で…。
(豊臣秀吉)やっ! はっ! はっ!
あっ…!
北条は いつ参る。
(酒井忠次)はっ。 近いうちに
殿下のもとに参じるものと存じます。
もう よかろう大納言。 関東を攻めよ。
お待ちを。
北条には 我が娘が嫁いでおり➡
よい間柄を築いてくれております。
北条氏政 氏直父子を
必ずや 説得するものと存じまする。
(榊原康政)
このままでは 必ず戦となります。
(おふう)我が父は 戦を避けたい一心。
どうか 父を信じてくださいませ。
(北条氏政)そうしたいが…➡
徳川殿は 我らとの約束を
果たしてくれておらんでな。
(豊臣秀長)北条と真田の
領地を巡るいざこざは いかな具合に?
こじれたままでは
北条は言うことを聞きますまい。
ご心配なく。
真田には 代わりの領地を与えることで➡
沼田からは手を引かせます。
また 真田の求めに応じ
本多忠勝の娘を我が養女とした上で➡
こし入れさせる用意も進めております。
真田は好きではございませぬ。
(本多忠勝)はあ~。
このとおり しつけもなっとらん
じゃじゃ馬で お恥ずかしい限り。➡
こんなやつを こし入れさせれば
真田との仲が かえって悪くなってしまう。
あいにく父に似てしまったもので。
俺のせいにするな。
やり
稲が幼い頃 槍だの弓だのばかり
私に教えたではありませんか。
だから こんなことに!
関わりあるか!
あほたわけ。
やめんか!
お稲殿。
好き嫌いは脇に置かれませ。
(於愛)北条家に嫁いだ おふう殿のことは
知っておりましょう?
今まさに 戦を避けようと
懸命に北条殿を説得しておいでです。➡
そなたも
同様の役目が求められております。
大事な お役目でございますよ。
すんぷ
旭。 我らは一度 駿府に戻るが➡
おおまんどころ
そなたは このまま 大政所様のおそばに
いてさしあげたら どうじゃ。
おお。 それが ようございます。
私も京勤めとなりましたので。
(旭)なれど 私は 人質でもありますで…➡
徳川の所領におらなならんのでは?
今更 人質などと思っとらん。
我が正室として
京での務めを支えてくれればよい。
ねね
(寧々)よい旦那様でございますな 旭殿。
まこと ありがとうごぜえます。 殿。
ヘヘ…。
(秀長)遅くなり申した。
兄は 今日は戻れんそうで… 申し訳ない。
(忠次)あ… お忙しいですな。
いきけんこう
このごろ より一層 意気軒昂なご様子で。
周りの者の生気を吸い取って➡
自分だけ どんどん血気盛んになる
もののけのよう。
新たな側室に ご執心で
奥に入り浸っておるんだわ。
ねえ
義姉様。 今は よいではござらんか。
兄様は 義姉様のことを
一番大事にしております。
そりゃ分かっておるが➡
あの男は…➡
やまい
病だわ。
何でも欲しがる…➡
病。
♬~
どうぞ…。
ああ… こんなにたくさん…。
さあさ こちらへ どうぞ。
どうぞ。
お… おありがとうございます。
次は そちらで着物を。
あっ ありがとうございます。
長丸 福松。 そなたらも皆へ施しを。
(福松 長丸)はい 母上。
ありがとうございます。
(長丸)こちらもな。
ありがとうございます。 若君。
ぶけ
慈悲深え お方様じゃ…。
徳川様に来ていただいて よかったのう。
私も目が悪いでな
何となく ひと事には思えぬゆえ。
また来月も おいでなさいな。
(口々に)ありがとうございます。
さあ 次の者たちも呼んでおくれ。
は~い ただいま。
ハア… ハア…。
♬~
まさのぶ
(本多正信)御免。
於愛様~ 実は いささか面倒なことが。
(於愛)面倒なこと?
平八郎が➡
真田に娘はやらんと
いきまいておりまして。
えっ?
(大久保忠世)このあほたわけ!
何がしたいんじゃ お主は。
すいません。
(忠世)あ…。
なんとしました?
(正信)殿は 彦殿と忠世殿に➡
かねて
ひそかな役目を命じておられましてな。
ああ そういえば
何やら 探し物を命じておられた。
その探し物とは おなごでございまして。
おなご?
於愛様。
千代という名をお耳にしたことは?
いいえ。
(忠世)どうやら もともとは
武田の重臣 馬場信春の娘で➡
武田滅亡後も行方知れず。➡
築山の件にも関わりがございましたゆえ➡
殿が その行方を
気にしておられましたので。
あれほどの者なら
どこも放っておかんでしょうからな。
真田辺りが拾って使っているのかも…。
(於愛)真田が?
(正信)そんな うわさを
我らはしておったのです。
(忠世)それが つい今朝方
ここにいる守綱が…。
回想
あら… 離れにおられるのか?
はっ!
⚟(元忠のあくび)
⚟(元忠)早いのう。
⚟(千代)あら 遅いお目覚めで。
⚟(元忠)まだ朝寝の時分ではないか。
⚟(千代)あら やだ。
お天道様が見ておいでですよ。
♬~
(於愛)つまり彦殿は➡
千代を見つけておきながら
隠しておられたということで?
そうなります。
彦は 正室を亡くしておりまして…。
それを まあ… 後で こっそり➡
殿にだけ お知らせすれば
よかったものを➡
このたわけは
面白がって言い触らしよって!
すんません…。
おっ。
で➡
平八郎の耳に入って
怒り狂ったという訳で。
(於愛)なぜ そうなりましょう?
(正信)平八郎いわく➡
彦殿は
わな
真田の忍びの罠にかかったのだと。➡
だからこそ
稲のこし入れを執ように迫った。➡
やつは 真田の手先に成り果てていたのだ。
真田は信用ならん と。
殿が お留守である以上
ここは 於愛様のお指図…。
申し上げます! 本多忠勝殿 家来を率いて
鳥居殿の屋敷に向かいましてございます。
(忠世)な…!
(於愛)何ですって!?
(忠勝)ふ~ぬ!
出てこい 彦右衛門!
女を引き渡せ!
さもなくば 力ずくで引っ立てる!
やってみろ! 平八郎。
千代は誰にも渡さん!
(争う声)
(忠世)やめんか! やめんか やめんか!
離れろ。 彦。 よせ! 平八郎!➡
双方 下がれ!
やめ~い!
言うことを聞けんのなら
この守綱様が相手になるぞ!
なぜ お仲間同士で争う…。
(元忠)お前のせいじゃろうが 守綱~!
お前が出しゃばるから…!
(争う声)
(忠世)双方厳しく罰せられるぞ!
♬~
(忠世)直られよ。
♬~
(正信)彦殿。
いつ どこで千代を見つけられた?
きょうらいし
半年ほど前 甲斐の教来石の外れで…。
(忠勝)はあ~
そんなに前から 殿を欺いておったとは。
忠義者と思っておったのに 恥を知れ!
(正信)何故 隠しておられた。
はあ~。
こいつは 恨まれとるに相違ない…。➡
お渡しすれば 処断されるか…
また忍びをさせられるかじゃ。➡
こいつは 野良仕事をしておったんじゃ
もう忍びではねえ。➡
ただ ひっそりと暮らしたがっておる。➡
殿の命だって
従えねえことはあるんじゃ!
(忠勝)まんまと術中に はまっておられる。
徳川重臣が 真田の忍びに操られておる。
真田とは関わりない!
2人ともやめんか。
こいつは わしを…➡
わしを慕っておると言ってくれたんじゃ。
(忠勝)それが罠だと言うておる!
千代。
そなたの言い分は?
ございませぬ。
非道なことを さんざんしてきた
私の言葉に 信用などありますまい。
彦殿を慕う気持ちは まことのものか?
さあ…➡
分かりませぬ。
きっと偽りでございましょう。➡
ずっと そうして生きてきたので。
あなたは私に だまされたのさ。
もう私のことは忘れなされ。
(於愛)千代。
間もなく殿がお帰りになる。
殿のご裁定を待つように。
♬~
回想
(千代)きっと偽りでございましょう。
ずっと そうして生きてきたので。
(於愛)「私の笑顔は…➡
偽りでございます」。
♬~
(於愛)「天正七年九月十五日。➡
恐ろしいことが起きた」。
回想
(万千代)ご自害なさいました。
(於愛)「お方様に続き
信康様も ご自害された」。
(倒れる音)
(於愛)殿!
(万千代)殿!
殿!
(於愛)殿!
殿!
(於愛)「お支えしなければならない。➡
私より はるかに傷ついておられる
このお方を…」。
回想
(康政)何のために
お二人はご自害なさった?
そのようなこと言うでない!
殿が どんなお気持ちで
上様を もてなしておられるか…➡
そなたらに分かるのか。
♬~
(於愛)「笑っていよう。➡
たとえ偽りの笑顔でも
絶えず おおらかでいよう」。
♬~
(於愛)「この方が いつか また
あのお優しい笑顔を取り戻される日まで」。
♬~
あ… ハア ハア…。
♬~
(正信)殿のご裁定である。
鳥居元忠。
徳川一の忠臣である そなたが➡
我が命に背いたること 言語道断である!
わしは 腹を切る覚悟はできております!
ただ こいつだけは…!
彦。 なぜ 妻にしたいと
素直に わしに言わなかった?
こいつがしてきたことを思えば…➡
さようなことは… とても…。
ふう…。
もとより わしは 千代を恨んでおらん。
忍びとして使うために
捜させていたのでもない。
そなたは かつて我らが夢みた世を➡
ばいせつ
穴山梅雪らと共に目指した一人と
心得ておる。
ただただ その身を案じておった。
我らが夢みた世は
忍びなど要らぬ世であった。
忍びの過去を捨て➡
鳥居元忠の妻となるがよい。
今更… 人並みの暮らしが
許されるものでございましょうや。
お情けなら無用に。
情けではない。
幸せになることは➡
生き残った者の務めであると
わしは思うぞ。
♬~
彦を支えよ。
これは 我が命じゃ。
♬~
承知…➡
いたしました。
ありがとうございます。 殿。
♬~
わしは 於愛の助言に従ったまでじゃ。
あ… 私は ただ…。
いばら
人の生きる道とは つらく苦しい茨の道…。
そんな中で 慕い慕われる者あることが
どれほど幸せなことか…。
それを得たのなら
大事にするべきと思うまで。
♬~
平八郎。
異存ないか。
真田の忍びである疑いが
晴れておりませぬ。
真田は 信用なりませぬ。
万が一 その忍びに 徳川重臣が
操られていたとあらば ゆゆしきこと!
寝首をかかれてからでは遅い。
(稲)ならば 私が。
父上。 私が真田に入り込んで
真田を操ればようございます。
彦殿が寝首をかかれたら
私は 真田親子の寝首をかきます。
それで おあいこ。
さようなこと… お前ができるはずがない。
(稲)父上に武芸を仕込まれてきました。
できます。
♬~
めおと
夫婦をなすも また
おなごの戦と思い知りました。
せんじょう
真田家 我が戦場として申し分なし。➡
殿。
謹んでお受けしとうございます。
♬~
平八郎。
お主が あのじゃじゃ馬を
どれほど かわいがっておったか➡
わしも よう知っとるつもりじゃ。
だがな…。
いいかげん➡
手放す時でござる。 観念しなされ。
♬~
父上。 本多忠勝の娘として➡
その名に恥じぬよう
立派に務めを果たしてまいります。
♬~
(すすり泣き)
♬~
こたびのことは そなたのおかげじゃ。
そんなこと…。
さあ 飲め。 胸の痛みも きっと治ろう。
思い返せば…➡
これまでも わしは
そなたに救われてきた。
そなたが いつも笑顔で
おおらかでいてくれたから…。
そうでなければ
わしの心は どこかで折れていたろう。
私の方なのでございます…。
うん?
殿にお仕えしていて…➡
救われたのは 私の方なのでございます。
わしが救ったか?
♬~
こうすることを
いつの間にか 忘れさせてくださいました。
うん?
♬~
殿。
お方様と信康様のこと➡
お話しくださいませんか?
♬~
今まで聞きたくても
聞けずにおりました。
でも…➡
ずっと願っておりました。
いつか殿が お二人のことを➡
笑顔で語られる日が来ることを。
♬~
お二人の たわいない思い出が
聞きとうございます。
♬~
そうじゃな…。
思い出は いろいろあるがなあ…。
愉快であったのは…
フッ そうそう 信康と五徳の祝言じゃ。
祝言?
それがな フフッ もう 思い出すだけで…
フフフ…。
アハハハハ…!
殿 笑っていては分かりませぬ。
こい
いやいや あのな 鯉がな…
あっ 魚の鯉じゃ。
鯉?
フフフ… アハハハハッ!
(笑い声)
鯉が何なのでございますか?
(笑い声)
殿 どちらへ…。
(笑い声)
いや 鯉がおったんじゃ…。
鯉が。
(笑い声)
西郷殿こと於愛の方様
この後 間もなく お亡くなりに…。
そのご葬儀には 多くの民が集まり➡
祈りをささげたとのことでございます。
真田へのこし入れにより➡
北条も重い重い腰を上げ…。
ふう~。
うじのり
我が弟 氏規を遣わす。
ちちうえ
義父上 ありがとう存じます!
あるじ
これにて我が主は 戦を避け
北条は守られましょう。
しかし…。
殿下 何と仰せに…?
(秀吉)だから のう?
北条と真田のいざこざよ。➡
沼田を
真田にも分けてやった方がよかろう。
(井伊直政)それには及びませぬ。 真田は
代わりの領地と婚姻に納得しており➡
かつてのような不平は もう申しませぬ。
それは公平ではない。
真田にも分けてやれ。
それでは 我らの苦労が水の泡。
せっかく北条は 上洛を果たし…。
氏政も氏直も来んではないか!
当主でもねえやつが来ても意味はねえ。
真田と分けよ。
北条は 納得しませぬ。
我が裁定に不服なら➡
滅ぼすまで。
♬~
秀長様…➡
関白様は 初めから戦をすると
お決めだったのですね…。
兄は ますます 己の思いのままに
生きるようになりました…。
もう なまりは使いませぬ…。➡
周りには 機嫌を取り 唆す者ばかり。
厳しく意見できるのは
きたのまんどころ
北政所様と 徳川殿ぐらい…。
秀長殿 あなたがおりましょう。
私は 病を持っとります。
もう長くない…。
♬~
お気を付けなされ。
兄に取り入る者の中には
かなり危うい者もおります…。
(銃声)
フ… ハハハハハッ!
(秀吉)こ~ら 危ねえではないか。➡
またやって~。
どうしようもない おなごだわ~。
でも 当たりましたでしょう?
フフフフフッ。
殿下が あまりにお下手で
見ちゃいられませんで。
おめえさんには かなわんわ もう~。
どうじゃ? 大納言。 驚いたろう。
♬~
お市… 様…?
(秀吉)我が新たなる側室 茶々よ。
♬~
(茶々)ダ~ン!
♬~
フフッ アハハハハッ!
ハッハッハッハッ。
ウフフフフ…。
ダ~ン!
(笑い声)
またお会いでき うれしゅうございます。
殿下にもの申せるのは 徳川殿だけだわ…。
くっそ…。
はっとり
服部党 続け~!
徳川殿。 我が民を よろしく頼みまするぞ。
断じて受け入れられん!
ありがとうございまする。
お主は 江戸。
江戸?
次回 どうする。
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