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(美世)ここは…。
(美世)えっ。
誰か…。
誰か 助けて! 誰か!
(香耶)あら お姉様 もうお目覚めだったのね。
(香耶)ご機嫌はいかが?
いい夢は見られたかしら?
(幸次)もっと急いでください!
(清霞)そう焦っても 状況は変わらん。
少しは落ち着け。 (幸次)ん…。
ずいぶん冷静なんですね。
あなたの婚約者が
今どんな目に遭っているかも わからないというのに…。
本当に 間違いないのだな?
(幸次)ええ 美世は 斎森にいるはずです。
(香耶)なかなか お目覚めにならないから
ついに心の臓が
止まってしまわれたのかと 思ってしまったわ。
ど どういうつもりで こんなことを…。
(香乃子)本当に いまいましい。 は…。
(香乃子)あなたは おとなしく 使用人をしているか
どこぞで野たれ死んでいれば よかったのよ。
この身のほど知らずが!
(香乃子)あなた 久堂様の婚約者から
今すぐ降りなさい。 え…。
いいこと? 久堂様に あなたの口から
「縁談をお断りします」 って言うのよ?
やっぱり お姉様に久堂様の妻は 荷が重すぎると思うのよねえ。
フフッ。
そんなきれいなお着物なんか 身に着けちゃって…。
分不相応だとは思わないの?
(香耶)ねえ 断るって 約束してくれないかしら?
でないと この大事な大事なお着物を…。
お姉様に似合うように
仕立て直さなきゃ いけなくなってしまうわ。
(香耶)ウッフフ。 こ~んなに高価な着物を
買ってもらう お願いができるんだもの。
縁談をなかったことにするのも 簡単でしょ?
私が 久堂様と婚約したら
お姉様には 幸次さんを 返してあげるわ。
さあ お姉様。
久堂様には なんて言うのかしら?
や…。 (香耶)や~?
やめて…。 (切る音)
は…。
い いやあ…。 違うでしょ?
(香耶)私が聞きたいのは そんな言葉じゃないわ。
ちゃんと お姉様の口から 聞かせてちょうだい?
縁談を 断るって。
《どうして… どうしてこんなこと…》
《ここで諦めてしまうのは きっと簡単…。
でも これだけは…。
これだけは 誰にも譲りたくない》
どうしたの? 声が出ないの?
お姉様は 本当にダメね。
~
で す…。 ん~?
いやです。
そんなお願いは 聞けません!
なっ!
(香乃子)生意気な!
この…。 (香耶)お母様。
私に任せて。
あ…。
お姉様は やっぱり 地べたがお似合いね。
う う…。 ね~え。
お姉様は出来損ないでしょ?
私と違って 見鬼の才もなければ 長所の一つもないじゃない?
そんな家の恥のお姉様が
久堂様の妻になんて 初めから どうかしていたのよ。
おい! 開けろ! (香耶)いいと思わない?
この斎森のおうちも 幸次さんも手に入るのよ?
お姉様はそれを ずっと望んでいたでしょう?
私…。
私が…。
旦那様の 久堂清霞の婚約者です。
絶対に譲れません。
なによ それ…。
いい加減におし!
その年まで 育ててやった恩を!
嫁に行った途端に あだで返そうだなんて!
(香乃子)本当に いやらしい子ね!
あなたなんかに わたくしの人生が
狂わされて たまるものかしら!
《今までの私なら きっと謝っていた…。
早く嵐が去るように そうやって生きてきた…。
そのほうが 楽だったから…。
でも 諦めたく ない…》
《もう 何もできなかった 昔の私とは違う。
私は… 旦那様の元へ…》
おい 少し下がってろ。
えっ。
なんて諦めの悪い…。
(雷鳴)
なに? は…。
な なんてことを…。
行くぞ。 え… あ はい!
(真一)何事だ!?
く 久堂殿 待ってくれ!
これはいったい…。
美世はどこだ 斎森殿。
(真一)美世? (実)美世ならば
もう久堂家には戻らぬ。
父さん… あなたって人は!
(実)久堂清霞。
これほど早く来ようとはな。
私の婚約者はどこにいる。
美世はもう あなたには会わぬ 戻らぬと言っている。
本人の意思は 本人に聞いて確かめる。
言わないなら そこをどけ。
断る。
無理にでも通ると言うのなら こちらとて黙ってはおれん。
ならば 力ずくで押し通る。
ま 待たれよ!
いったいどうなっている!? 辰石!
あとで娘に話を聞くことだな。
(実)正門は木っ端みじんだ。
このまま侵入を許せば この屋敷も破壊されかねんぞ。
それが嫌なら お前も手を貸せ。
ん… くっ。
(実/真一)はっ!
あ…。 さすがは久堂家の当主だ。
ふん…。
はあ!
無駄なことを…。
な…。 本物の 化け物か…。
邪魔だ どけ。
(実/真一)うああ! ああ!
ああ… あ…。
《幸次:戦いにすらならない。
大人と赤子ほどの実力差だ…》
《幸次:これが
当代最強といわれる 異能者の実力なのか…》
なんなの 今の?
う… み 見苦しいのよ!
う…。 早く言いなさい!
久堂家との縁談を お断りします と!
いや です…。
こんの~! う ぐ…。
(香乃子)いい加減 立場を わきまえろと言っているのよ!
もう 決して 譲らない…。
私を信じてくれる 旦那様のために!
美世…。
蔵? (幸次)はい。
今は ほとんど使われていない 古い蔵があります。
もしかしたら 美世はそこに…。
案内しろ。 はい。
あ…。
行かせるか~!
父さん!? こんなところで炎を使うとは
どこまで愚かになれば気がすむ。
なんて ことを…。
んん~!
美世は渡さん!
そこまでだ。
は… うああ~!
~
あ…。 気絶させただけだ 急ぐぞ。
なぜ こんなことに…。
いい加減に言いなさいよ!
縁談を断るって! う…。
早く!
《以前の私は 命が尽きる瞬間を待っていた》
《毎日が苦しくて 悲しくて…。
心を殺したまま 生きるのにも疲れて…。
自分の居場所なんて どこにもないと思っていたから》
《でも…》
《違った…》
私がお前に… ここにいてほしいんだ
《居場所はあった… あの人のそばに…》
(香耶)言え! 早く!
絶対に 言いま せん…。
言え~!
私は… 旦那様のおそばに…。
(扉が開く音)
~
は… 久堂様?
は…。
美世! あ…。
《本当に 来てくれた…。
旦那様…》
《私 諦めませんでしたよ…》
美世…。
だん な 様…。
もう 大丈夫だ。
私なんかのために こんな所まで…。
ありがとうござい ます…。
~
さっきから いったい何の…。
はっ。
そんな… いや…。
いやあ~!
こんなふうになるまで 何をした。
無抵抗の人間に これほどの傷を負わせてまで
何をさせようとした。
私は 悪くありませんわ!
(香耶)私はただ 間違いを正そうと そう思っただけで…。
間違い?
(香耶)お姉様は 見鬼の才はないし
見た目も貧相で 使用人としても使えない。
そんな人が 久堂家に 受け入れてもらえるだなんて
何かの間違いでしょう!?
お父様もお母さまも 私を一番だと言ってくれるわ!
お姉様と大違いだって!
すべてにおいて 私のほうが…。
黙れ。 は…。
これ以上 お前のたわごとは聞きたくない。
~
どうして どうして わかってくださらないの。
ひどいわ!
お前のくだらん自慢話は もうたくさんだ。
私がお前のような 傲慢な女を選ぶことなど
天地がひっくり返ってもありえん。
どけ。
~
く…。
どうして… どうしてこうなるの…。
(幸次)香耶 僕たちも避難しよう。
私は間違ってないわ…。
(香耶)離して! ねえ 放っておいて!
うるさい! は…。
な なによ…。
幸次さんは お姉様が好きなんでしょう?
私のことなんて構わずに
さっさと逃げればいいじゃない!
ああ そうさ。
君の言うとおり 僕が一番大事なのは美世だ。
でもね 君なんかでも 死んだら 美世は悲しむ。
また傷を増やすことになるんだ。
君の… いや 僕たちのせいで!
だから 絶対に置いていくもんか!
あ…。
(澄美)大きくなったわね 美世。
お母様…。
(澄美)いろいろと 辛い思いをさせてしまって
ごめんなさい。
自分を信じるのよ。
あなたの中の その力を。
えっ?
私の… チカラ?
(杯の割れる音)
(今上帝)いとわしい…。
憎らしい…。
ほんに 目障りなことよ…。
辰石の役立たずめ。
このままでは 薄刃の血は 久堂のものではないか。
(新)陛下…。
(新)そろそろ 例の許可を賜りたく存じます。
どうか 我々に悲願成就の機会を お与えください。
(新)あるべきものを あるべき場所へ。
(今上帝)近く状況は動く。
行動を許可しよう。
ただし 時期を見誤らぬことだ。
かしこまりました。
では 予定どおり
行動を開始させていただきます。
必ずや あの異能は潰すのだ。
ん…。
旦那 様?
あ… 美世!
旦那様…。 ああ 私だ。
う…。 無理をするな 寝ていろ。
あの でも…。
本当に 大丈夫か?
はい。 あの 旦那様…。
今回は 私の不注意のせいで…。
お前のせいではない。
決して なに一つ…。
お前は悪くないのだ。
ありがとうございます 旦那様。
(ゆり江)美世様! あ…。
(ゆり江)あ… ああ!
ゆり江さん…。
美世様! よかった!
意識が戻られて…。 ゆ ゆり江さん… あの…。
顔を上げてください…。
もし美世様に何かあったらと
ゆり江は ゆり江は…。
フッ。 あ…。
本当に 美世が無事でよかった。
はい!
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