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(桂子)あらあら お色もぴったり!
お肌の色とも相まって
着ていただく日が 待ち遠しいですわね。
《美世:まるで お母様のお着物のような桜色》
(ゆり江)とってもお似合いですよ ねぇ 坊ちゃん。
(清霞)ああ。
あの 旦那様。
こんな立派なお着物を
こんなにたくさんいただけません。
髪紐の礼だ。 受け取っておけ。
は はい。
(桂子/ゆり江)フフフッ。 んっ?
こちらの柄を お選びになったのは
久堂様ご自身なんですよ。
えっ? (ゆり江)ウフフッ。
(ゆり江)よかったですわね 美世様。
はい ありがとうございます。
ん…。
(実)まさかあの久堂殿を 射止めてしまうとはな。
大したものだ。
(香耶)おじさま? いったいなんのご冗談なの。
(実)冗談もなにも 君の姉のことだぞ。
美世が今どうしてるか 知りたくないのか?
んっ。
はっ。
この人って…。
あの時の。 (実)見てのとおりだ。
はっ。 美世は久堂清霞と
うまくやってるらしい。
この方が久堂清霞様。
(実)まさか 彼の嫁が あの美世になるとはな。
(実)正直 こちらとしても 困っている。
《許せない! 許せない 許せない》
真一も大事な君を 悪評の絶えない
久堂家に嫁がせるわけにも いかなかったのだろうが。
んっ? 私 お父様にお願いしてくるわ。
おじさまも お困りなのでしょう?
あ ああ。
ウフフ 任せて。
お父様は私にはとことん優しいの。
《愚かな娘よ。
こちらの動く手間が省けて 本当に助かる》
《旦那様のお計らいにより 花と再会を果たした私は
感謝の気持ちを伝えるべく
協力してくださった 五道様をお招きして
うたげを 催すことにしたのでした》
(五道)いやぁ また美世さんに 会えるだなんて 楽しみだなぁ。
あんまり浮かれすぎるなよ。
お前 明日から夜間巡察だろう。
はぁ~ 美世さんの手料理 何が出てくるのかな~!
なれなれしく呼ぶな!
おや 嫉妬ですか?
そんなわけないだろう。
一瞬 暴力的な衝動に 駆られただけだ。
要するに嫉妬じゃないですか。
何か言ったか? んっ!
(五道)い いえ なんでも。
よし。
さっさと降りろ!
(五道)ちょ 乱暴はやめてくださいよ!
美世さんに言いつけますよ~! ふん!
うげっ!
あたた…。
んっ?
このまま 消えてもらってもかまわんが?
勘弁してくださいよ。
おかえりなさいませ 旦那様。
はっ。
あっ? わぁ 美世さん!
五道様もいらっしゃいませ。
いやぁ 今日はまた一段とおきれいで!
んっ?
んっ?
は…。
旦那様? あの…。
いや きれいだ…。
あ…。 あっ。
ん…。
よく 似合っている。
ん…。
やっぱり俺 帰ろっかな。
あっ も 申し訳ありません 五道様!
どうぞ おあがりください。
アハハ…。
お姉様が私より幸せだなんて
絶対に 絶対に許さないわ。
うわぁ~! いただきま~す!
あむっ… うまい! ん~!
ほんっとに うま~い!
たくさん召し上がってくださいね。
いやぁ こんなにうまい 美世さんの手料理を
毎日食べられるなんて 隊長はうらやましいなぁ!
ふぅ。 (五道)あっ これもいただこう。
あむっ… うま~い!
(五道)ンフフ~。
五道様 お注ぎします。
あっ ありがとうございます!
はぁ~。
五道様 先日は花のこと ありがとうございました。
あ… 俺はただ 送り迎えしただけですよ。
それでも 私なんかのことに
貴重な時間を割いていただいて
本当に感謝しかありません。
んん…。
あっ! 美世さん 俺そんなふうに
言ってもらったのは 初めてです! うれしいです!
こんな鬼隊長とは別れて 俺と結婚しましょう!
ブッ! へっ?
ゴホゴホッ…。
五道 貴様! エヘヘ 冗談ですって。
あの 五道様。 んっ?
お申し出はありがたいのですが
私は旦那様がいいので 申し訳ありません。
あ… そ そんなに 真面目に返されちゃあなぁ。
は…。 (咳払い)
鬼の隊長も 人の子なんすねぇ~。
なにか言ったか。
いえ なんでも! アハハ…。
はぁ~。
まったく アイツは飲み過ぎだ。
これから忙しくなるというのに。
ご迷惑 だったでしょうか?
いや そういうわけでは。
まぁ 五道をもてなしたいと 言いだしたときは驚いたが。
ん…。
お前がやりたかったことは 思うように実現できたか?
はい。 旦那様のおかげで
五道様に お礼をすることができました。
本当にありがとうございます。
(香耶)どうして!? (真一)どうしても何もない。
美世のことは忘れなさい。
だって 私のほうが久堂家の嫁に ふさわしいじゃない!
(真一)ダメだ。 なんで!?
どうして話を 聞いてくださらないの!?
香耶 時間を持て余しているなら
おとなしく花嫁修業でもしなさい。
お父様!
香乃子:あなたはアレとは違うの。
常に姉より 上でなきゃダメなのよ
んっ。
(香耶)幸次さん。 (幸次)んっ!
(幸次)あれ? こんな時間にどうしたんだい?
ねぇ 幸次さん。
お姉様と 婚約したいと思わない?
う…。
はっ! え…。
来ないで…。 助けてくれ…。
はっ! (うめき声)
ああ…。
来ないで…。 ああ…。 はっ。
うっ。
きゃっ! うっ。
は…。
(香乃子)反省するまで わたくしの前に
姿を現さないでちょうだい!
う…。
んっ?
はっ!
う…。
美世!
はっ! 《異能の残し?
だが 結界が破られた形跡はない。
どういうことだ?》
申し訳 ござい ま せん…。
美世 起きろ!
は…。
大丈夫か?
あ れ 旦那様?
は… ずいぶんうなされていた。
悪い夢でも見ていたのか?
夢…。
あ…。
無理に思い出さなくていい。
おかしなことがあれば 遠慮せず いつでも言え。
はい。 いいな。
何があっても 私が必ず駆けつける。
わかりました 旦那様。
んっ。
んっ。
香耶:お姉様と 婚約したいと思わない?
辰石のおじさまが 協力してくださるそうよ。
もちろん 幸次さんも 協力してくれるでしょう?
香耶も親父も いったい何考えてるんだ。
よしっと。
きっと喜ばれますよ。
坊ちゃんったら忙しいと
お食事を 面倒がったりするもんですから
今頃おなかがペコペコです。
お仕事場へ伺って
ご迷惑じゃないといいのですけど。
(ゆり江)大丈夫ですよ。 お支度済みしだい
ご一緒に坊ちゃんのところに お持ちしましょう。
はい。
(ゆり江)美世様。 はい。
巾着は こちらを お使いになってはいかがですか?
そのお着物に合わせた柄を
坊ちゃんが ご用意なさったんですよ。
すてき…。
せっかくですから ぜひ。
坊ちゃんも喜ばれますよ。
はい ありがとうございます。
それでは行きましょうか。
お昼時を逃してしまっては いけませんから
少しばかり急ぎましょうね。
は はい。
父さん ちょっといいかい?
(実)あぁ どうした?
んっ! あら 幸次さん。
香耶 どうしてここに?
どうしてって お姉様と 婚約者を取り替えるのよ。
バカを言わないでくれるかな。
バカってなによ。
幸次さんは私よりも お姉様がお好きでしょう?
う…。
君のお父さんは 許可しなかったんだろう。
家長の許しがないならそんなこと。
じゃあ お姉様ご自身が 「いい」って言ったら?
は…。
フッ。
何をする気ですか。
まぁ 今にわかる。
悪いようにはせん。
お前は見ているだけでいい。
は…。
美世 ゆり江。
二人とも どうした?
旦那様 お疲れさまです。
ご迷惑かとは思ったのですが
その ちゃんとお食事を とられたか心配になって。
差し入れを持ってきました。
そ そうか。 それは 助かる。
この日ざしの中を 歩いてきたのだろう?
中で休んでいくか?
いえ せっかくですけど
お邪魔をしてはいけませんし 帰りますね。
わかった。 では 失礼いたします。
あっ 美世 お守りは持っているか?
は はい ちゃんとここに。
そうか 持っているならいい。
久堂隊長! 今行く!
本当は送っていきたいところだが 少し立て込んでいてな。
大丈夫です。 お忙しいところ お邪魔してしまって
申し訳ありません。
気にするな。 それでは二人とも 気をつけて帰ってくれ。
ウフフ 坊ちゃんったら てれていましたねぇ。
あ あっ!
美世様? どうかしましたか?
えっと あの。
お守り 家に 忘れてきてしまったみたいで。
まあ 大変! ゆり江が 急かしてしまったせいですね。
いえ 私の不注意で。
必ず持ち歩くとお約束したのに。
でしたら 美世様 まっすぐ早めに帰りましょう。
はい!
《私ったら 本当にダメね。
旦那様からいただいた 大切なお守りなのに。
新しい巾着に浮かれて 忘れてしまうなんて》
え…。 (エンジン音)
あっ?
うっ!
うっ あっ!
はっ! ゆり江さん!
はっ! 美世様!? 美世様!
うっ! ゆり江さ…。
美世様! (ドアを閉める音)
きゃあ! うっ!
あぁ…。
美世様~!
香耶も父さんも
いったい美世に 何をするつもりなんだよ。
お姉様に久堂家との縁談を 辞退していただくのよ。
ねっ おじさま。
こちらとしても このまま黙っておられんからな。
ウフッ それじゃあ
斎森の屋敷で お待ちしておりますわ。
(ドアの開閉音)
あの娘を手に入れるためだ しかたあるまい。
今になって どうして。
これは家と家の問題だ。
あの時は 美世が孤立していたほうが
我が辰石にとって 都合がよかったのだ。
はっ なんだって。
お前には理解できまい。
家の存続のためなら 必要なことはなんでもする。
(実)それが辰石家当主たる
私の務めだ。
《幸次:くっ! 許せない》
(幸次)ずっと ずっと…。
ひどい目に遭ってる美世に 手を差し伸べず
傍観し続けたのは
全部 自分の 利益のためだっていうのか!
くっ…。
許せない!
(幸次)く…。
ほう。 異能で私と勝負する気か?
アンタの言うことは もう聞きたくない!
無駄だ やめておけ。
これ以上 美世を好きにはさせない!
なっ! ほう。
お前に ここまでの力があったとはな。
なんで!
動け! 動けよ!
バカ者が。
異能者として ろくに 訓練もしていない未熟者が
私の異能に 抵抗できるわけがないだろう。
くっ!
ぐっ。
あっ! く…。
く…。
私に 盾突こうというのなら
そこでしばらく寝てろ。
くそ なんで なんで…。 (ドアの開閉音)
(車のドアを閉める音)
出してくれ。 かしこまりました。
《実:幸次よ。
欲しいものを得たいのならば 手段を選べ。
何事も無策だから お前はいつまで経っても
二流なのだ》
くっ! ぐっ!
バカだ 僕は。
(一志)そうやって下を向いて
また時が過ぎるのを待つのかい?
兄さん。
う… クソッ。
また何もできなかった。
親父にすら勝てないだなんて。
僕はまだまだ未熟者だ。
なら 諦めるかい?
んっ!
そりゃ 面倒なことは 関わらないほうが楽さ。
でも じゃあそもそもお前は
なんのために 親父に刃向かったわけ?
んっ。
フッ 顔洗ってこい。
お前を待ってる人がいるだろ。
美世。
《諦めない。
美世を救うために》
(ゆり江)すみません 坊ちゃん。
なっ! 美世が かどわかされた!?
私がついていながら 本当に申し訳ありません。
お守りはどうした 持っていたはずだろう?
それが 坊ちゃんとお別れしたあと
ないと気づいて。
くっ。 美世様…。
《十中八九 犯人はわかっている。
美世の居場所は》
おい ここは立ち入り禁止だぞ!
(幸次)放せよ! 俺は久堂さんに 用があって来たんだ!
隊長。 (幸次)くっ 久堂さん!
あっ。
は…。
あなたに こんなことを頼むのは 筋違いだってわかってる。
でも お願いします。
僕だけじゃ 美世を助けられない!
は…。
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