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森野 森野 森野! 今日は いつにも増して➡
テンション高いっすね。 書けたの 小説!
1行だけだけど。 すごいじゃないですか。
事件に首突っ込ませたかいが ありましたね。
うん。
『イップス刑事』?
令和にデカって…。 えっ?
これ あれですよね。 タイトル まだ仮のやつですよね。
さすがに 『イップス刑事』はねぇ。
まあまあ タイトルは 後で考えるとして。
まあまあ タイトルは 後で考えるとして。
え~ 「この刑事は 『イップス』だ」
どう?
あの… 私をモデルにする っつってましたけど➡
浅すぎません? 何か もう➡
ガワしか見てないっていうか 表面的っていうか。
タイトルと 情報かぶっちゃってるし。
出た アンチ。 せっかく書けたんだから褒めてよ!
あの… 作家なんだから➡
もっとよくディテールまで 観察した方がいいと思いますよ。
観察ねぇ。
(秒針の音)
(秒針の音)
(秒針の音)
ハァ…。
この絵は 必ず完成させるから。
必ず。
必ず。
♬~
(スピーカー)それは 得意なことが 突然できなくなってしまう➡
心理的症状。
♬~
(マイク)(女性)私の兄は ホットコーヒーのレギュラーに➡
トールサイズを 注いだだけなんです。➡
ラージならまだしも トールです。 今 着いたんだけど➡
坂浦君 今どこ? 駐車場? (携帯電話)(坂浦)あっ 喫煙所です。
えっ?
えっ?
(マイク)(女性)国は 私たちの声に 耳を傾けるべきです。
え~… おっ!
え~。
ぎゅうぎゅうだね。
(坂浦)ここにしかないみたいで 混んでるんですよ。
坂浦君ってさ たばこ吸うの? 実は そうなんです。 すみません。
こんなに一緒にいるのに 知らないこともあんだなって思って。
僕は ミコさんが いつも 楽屋弁当に入ってる➡
カリカリ梅を残してることまで 知ってますけどね。➡
あれ ご飯に合わないですよね。➡
どのタイミングで食べていいか 分かんないし。
どのタイミングで食べていいか 分かんないし。
坂浦君。
ちょっと気持ち悪いよ。
ちょっとって どれくらい?
傍聴券 当たってよかった~。
この事件 『朝キュン』でも 特集してましたもんね。
死亡事故が起きた原因は➡
大手建設会社による不当な圧力が 原因だったのか? ってね。
ミコさん これを。 んっ? 何これ?
あの超大人気ミステリー作家の 黒羽ミコだってバレたら➡
あの超大人気ミステリー作家の 黒羽ミコだってバレたら➡
大騒ぎになって 取材どころじゃ なくなっちゃいますから。
こんな芸能人丸出しのサングラス 逆に目立つでしょう。
そんな心配しなくても大丈夫だよ。 みんな 裁判に注目してて➡
隣の人のことなんか 見てないんだから。
ライブとか演劇とかだってそうでしょ。 確かに。
たまに 笑いどころが変な人がいて どんなやつか➡
顔 のぞき込みたくなるとき あるけどね。
あります あります。 入り込んでんのに➡
邪魔されんの嫌じゃん。 だから 私は 最初に➡
周りの人の顔を さりげなーく チェックするの。
えっ? 見るんですか? 見ないんですか?
えっ? 見るんですか? 見ないんですか?
私は見るけど 普通は見ないよって話。
はあ。 問題です。
あなたの左隣には どんな人が座ってるでしょうか?
ひだ… えっ?➡
えーと 僕と同年代の男性で。
格好は? スーツ… いや ジャケットだったかな。
うーん… んっ。
(坂浦)本当だ。 ねっ。
(坂浦)本当だ。 ねっ。
法廷画家の人かな。 本物 初めて見た。
(ドアの閉まる音)
(杉本)こちらは 弁21号証の意見書です。➡
この意見書によれば 施工計画書は 何ら無理のない➡
非常に合理的なものではないかと されています。➡
現場独自の判断において➡
施工工程が省略され 必要な足場が組まれないまま➡
今回の事故が起こったと 思われますが いかがですか?
今回の事故が起こったと 思われますが いかがですか?
(渡邉)そっ それは…。 (杉本)ああ 確か➡
梅坂工務店さんは 最近…。 フゥ…。
はっ… うまっ!
(坂浦)法廷画家って テレビ局の 依頼で描くことが多いんで➡
夕方のニュースに間に合うように スピード勝負らしいです。
絵の中に隠された謎を解くミステリー 面白いかも。
それ 絶対いけますよ。
茄子原建設が立てた施工計画は➡
じゅうぶんに 安全に配慮されたものであり➡
計画どおりに進められていたら 今回のような事故は➡
計画どおりに進められていたら 今回のような事故は➡
起こらなかったんじゃ ないでしょうか?
現場を見て 計画どおりには 進まないことが分かったんです。
でも 茄子原建設は➡
下請けの言うことなんかに 聞く耳を持ってくれなくて!
亡くなった被害者には 幼い子供がいたんですよ。
(杉本)裁判長。
(裁判長)検察官は 不規則発言を控えてください。
(杉本)明確な根拠を提示できず➡
感情論に走るのは 分かりますけどね。
もしかしたら 業務上過失致死罪に 問われるのは➡
茄子原建設ではなく➡
茄子原建設ではなく➡
利益のために 安全をおろそかにした渡邉さん➡
そして 被害者である 竹井さんご本人であって➡
茄子原建設には 何らの過失も なかったのではないですか?
(杉本)これも答えられませんか。➡
弁護人からは以上です。
<(ドアの開く音)
(板野)杉本先生 お久しぶりです。
あっ… えーと…。
あっ… えーと…。
板野です。 (杉本)あっ… 板野さん。
(板野)15年前に 法廷で お会いしたんですが。
(杉本)あっ… 15年前ですか。
(板野) やっぱり覚えてないですよね。
ああ… すいません。
私は ずっと忘れられませんでした。➡
相変わらずのご活躍ぶりで 何よりです。
それは どうも。
あの もう よろしいですか? (板野)実は…。
先生にお聞きしたいことがあって。 (杉本)聞きたいこと?
先生にお聞きしたいことがあって。 (杉本)聞きたいこと?
ここじゃ何ですから 場所を変えませんか?
(坂浦) さっきと違って 人 少ないですね。
こっちは テレビで取り上げられるような➡
事件じゃないからね。
ニュースって勝手ですよね。
でも あの人…。
さっきの法廷画家さん。
さっきの法廷画家さん。
<(ドアの開く音)
慧!
しーっ しーっ! 何で? いいじゃん。
フー!
(慧)当時 テレビドラマの 制作現場において➡
アシスタントとして 雑務を担当していた原告に対し➡
ドラマの監督である被告は➡
度重なる暴言および暴力行為を 繰り返していました。
慧さんのこと 描いてるんですかね?
(慧)原告が ギンダラの西京焼き弁当を 発注したところ➡
シャケの塩焼き弁当を 発注してしまったことを口実に➡
シャケの塩焼き弁当を 発注してしまったことを口実に➡
「あれだけ ギンダラが食べたいと言ったろ」➡
「タラとシャケを間違えるなんて このタコ野郎」と言い放ち➡
手にしていた台本で 後頭部を何度も殴打した行為は➡
明らかに パワーハラスメントに当たります。
ひっど! パワハラ野郎なんて ぶん殴ってやればいいのよ!
(坂浦)ミコさん 声がでかいっす。 (裁判長)傍聴人は静粛に!
あっ はい。 (慧)見てください。
こうして 丸めて殴るなら ともかく➡
被告は こうして この硬く鋭利な 台本の背で殴ったんですよ。
被告は こうして この硬く鋭利な 台本の背で殴ったんですよ。
(机をたたく音) 痛っ!
(慧)この 悪質極まりない行為によって➡
原告は 心身ともに深い傷を負いました。
裁判所におかれましては➡
二度と このような悲劇が 繰り返されぬよう➡
厳正なる判決をお願いいたします。
よく言った 慧!
あんなに ちっちゃかったのに こんなに立派になって。 フーフー!
静粛に! あっ すいません つい。
「フー」じゃないんだよ。
(板野)あなたは また 同じ過ちを 繰り返すつもりですか?
過ち?
(板野)妻を殺した犯人を 弁護したときのように➡
今も不当に 罪を軽くしようとしている。➡
私は 法廷に立ち➡
より罪の重い 危険運転致死傷罪の 適用を訴えました。➡
だが あなたの弁護により 認められなかった。
ああ… あなた あのときの。
ああ… あなた あのときの。
画家をしていた あの事件の ご遺族の…。
罪を犯した人間は 正当に裁かれるべきだ。
(杉本) お気持ちは分かりますがね…。
先生 あのときの犯人は たった数年で刑務所から出て➡
また 事故を起こして 死んだんですよ。
はい。 ただ その件は 私には関係のないことで…。
私は 理不尽に妻を奪われ 憎むべき相手も失った。
か… 描きかけだった美幸は 15年前のままだ。
か… 描きかけだった美幸は 15年前のままだ。
(杉本)落ち着いてください。 (板野)何が責務だ!➡
あんたが犯人から 多額な弁護料を もらっていたことは➡
知ってるんだぞ!
あの… 約束があるんで 失礼します。
私が どれだけ苦しんできたか これでも分かってもらえませんか。
(杉本) あの裁判は終わったんです。➡
あなたが死んでも 判決は変わらない。
あなたが死んでも 判決は変わらない。
(杉本)やめましょう。 ねっ。
冷静になってください。
(杉本)うわ~っ!
(衝撃音)
(悲鳴)
(悲鳴)
♬~
では 行きましょう。 (男性)ありがとうございました。
何か これで勝てそうな気しない? はい。
慧さん カッコ良かったですね。 まあね。
(坂浦)さすが ミコさんの弟。 おっ!
いや~ 姉ちゃんの応援のおかげで 裁判官の心証もよかったよ。
それ 絶対いじってるでしょ!
分かる? だって 法廷で あんなに大騒ぎする人いないから。
誕生日が近いから わざわざ プレゼント持ってきてあげたのに~。
(坂浦)おぉ!
誕生日プレゼントって。 俺 今年で31歳だよ。
仲いいな。
(慧)ちょっと開けていい? うん。
(慧)えっ?
慧に似合うかなって思って。 (坂浦)裁判で目立ちますよ これ。
いやいや これ いつすんのよ?
俺 結構 真面目な弁護士なんですけど。
<ありがとうございました。 私は これで。
♬~
♬~
(パトカーのサイレン)
あっ 森野? 何で いるんですか?
はい 森野 森野。
まさか 事件? いや 別に。
森野がいるってことは 事件でしょう。
あの… ここの裏庭で➡
屋上から転落したとみられる 遺体が発見されたんですよ。
殺人? いや あの まだ➡
事故の可能性もあるんで 首の方は 突っ込まないでいただけると…。
こりゃ 首 突っ込ませてもらわないとな。
こりゃ 首 突っ込ませてもらわないとな。
やっぱ 突っ込むか~。 (慧)森野さん。
すいません いつも 姉が ご迷惑をおかけして。
姉? 弟の 黒羽 慧です。
あっ 弁護士の。 あっ どうも。
完全な知人の 森野 徹と申します。 知人って冷たくない?
いや あの ホント お姉さまには お世話になって…。
お世話になってるわけじゃ ないですけども。
まあ こちらが お世話させて もらってるんですけども。
いやいや してるでしょ。 私が いないと事件解決しないでしょ。
何 言ってんすか。 まぐれじゃないですか。
まぐれじゃねえよ。
(酒井)被害者は 杉本 浩紀さん 55歳。 職業は弁護士。
(酒井)被害者は 杉本 浩紀さん 55歳。 職業は弁護士。
水田君 お疲れ。 あ~ お疲れさまです。
お疲れ。 (水田)お疲れさまです。
お疲れさまです。 (水田)お疲れさまです。
(樋口)んっ? ちょっと待って。 ちょっと待って… 待って 待って。
水田君 水田君。 (水田)はい。
ほら 部外者 勝手に入れちゃ 駄目でしょ。
(水田)えっ? ああ すいません! あまりにも自然だったんで。
はい はい 早く出ていってください。
いや でも 姉ちゃんが迷惑かけないか心配で。
僕は ミコさんのドライバーなんで。 (樋口)うん それは➡
理由になってないんで。 はい 出ていってくださーい。
理由になってないんで。 はい 出ていってくださーい。
あぁ~!
酒井君 状況は?
えっ? それ いつも 持ち歩いてるんですか?
うん 事件に遭遇したときに 使おうかなって思って。
(酒井)通報によると 遺体が発見されたのは➡
午前11時30分ごろ。
第一発見者が その直前に…。 (樋口)被害者が➡
転落したときの音を 聞いていました。
発見されたのは 落下した直後か。
死因は 転落した際に 頭部を 強く打ち付けたことによる…。
死因は 転落した際に 頭部を 強く打ち付けたことによる…。
頸椎損傷によるものだと 思われます。
遺体の身元は? 所持品によりますと…。
酒井君! 酒井君 あの… 説明は 相棒の僕がやるから。
ねえ 森野さん。 (酒井)いやいや いやいやいや。
初動捜査で得た情報を伝えるのは 機捜の仕事なんで。
ねえ 森野さん そう思いますよね。 もう どっちでもいいや。
え~ 被害者は 杉本 浩紀 55歳。 (酒井)杉本 浩紀 55歳。
職業は 弁護士…。 (酒井)弁護士です。
あれっ?
(水田)あ~ ちょちょ…! 駄目ですよ! ちょっと もう!➡
(水田)あ~ ちょちょ…! 駄目ですよ! ちょっと もう!➡
あっ ちょちょ…!
あ~ 杉本先生。 (樋口)えっ? ご存じなんですか?
あっ この人 さっきの裁判の弁護士さんだ。
ミコさん 知ってるんですか? うん 傍聴してたの。
(慧)どうして 先生が…。 まったく 何だよな~。
すいません ミコさん あくまでも取材なんで➡
そんな刑事み 出さないでもらえます?
何があったの?
はっ… ここ汚れてる。 ああ 気付きました?
えっ 背中から 落ちたわけじゃないのに➡
何でだろう? うーん…。
事故とか自殺なら もっと真下に 落下するはずなんですけど➡
事故とか自殺なら もっと真下に 落下するはずなんですけど➡
こんだけ離れた場所に 落下するってことは➡
誰かが突き落とした可能性が 高いですね。
これは殺しだね。 ってことは➡
この背中の汚れは そのときに付いたってことか。
杉本先生 結構 恨まれてたからな。 えっ? そうなの?
(慧)うん。 相手に大ケガさせた強盗犯でも➡
多額の被害を出した 詐欺の主犯格でも➡
報酬さえ良ければ➡
どんな事件の弁護も 引き受けてたから。
情報 ありがとうございます。
ということは 怨恨の可能性が高いですね。
(酒井) 森野さん その線で調べましょう。
(酒井) 森野さん その線で調べましょう。
うーん…。
何か気になってるんでしょ。
いや 何で 被害者は 屋上なんか 行ったんだろうなと思って。
うーん…。
たばこが吸いたかったんじゃ? たばこですか?
うん 遺体から においがするの。
ってことは かなりのヘビースモーカー。
裁判が終わった後に すぐに…。 (唇を鳴らす音)
裁判が終わった後に すぐに…。 (唇を鳴らす音)
一服したくなるはず。 だったら 正面玄関の喫煙所➡
行けばいいじゃないですか。 帰り道なんだし。
確かに。
わざわざ 屋上に行くってことは 何か理由があるはずなんですよね。
(シャッター音)
裁判所の屋上なんて 普通 誰も来ないっすよね。
あ~! 殺人事件の現場に ぴったりだ。
それを知っていた犯人は ここを犯行現場にするために➡
杉本さんを 呼び出したんでしょうね。
なるほど。 それで屋上に。
やっぱり。
杉本さんが ヘビースモーカーなのを 利用して➡
ここなら たばこが吸えるって 誘い出したんですね。
あの法廷は7階。 外に行くより近いからね。
犯人は 杉本さんのことを よく知っていて➡
この裁判所にも詳しい人物 ってことか。
あっ 森野さん。
被害者の周辺を調べたところ 気になる人物が浮上しました。
あっ そう。 樋口 やるじゃん。
杉本さん 数カ月前 この裁判所で トラブルに巻き込まれたみたいで。
杉本さん 数カ月前 この裁判所で トラブルに巻き込まれたみたいで。
トラブル? はい。
担当した裁判の 被害者遺族である➡
榊という男につかまって➡
通報した記録が 残っていたんですよ。
《精神鑑定だの 責任能力がないだの➡
あり得ないだろ!》
《榊さん 落ち着きましょうよ。 ねっ》
《貴様! ふざけんな!》
その裁判って?
奥さんと娘さんを 殺されたみたいで。
まあ 動機は じゅうぶんだけど そんな相手と 屋上 行くかな?
まあ 動機は じゅうぶんだけど そんな相手と 屋上 行くかな?
行くかもしれないじゃないですか。 いや 行かないでしょ。
あんな殺人現場にぴったりな場所 普通 警戒するでしょ。
ですよね。 さすが 森野さん。
ちょっと 私のときと違くない? 素人は黙っててください。
やっぱり うちのエースは 森野さんですよ。
何で ずっと 現場 来るの サボってたんですか。
うーん…。
樋口! えっ?
他に分かったことは? あっ!
え~ 遺体の背中の汚れですが 現場の鑑識によると➡
黒鉛ではないだろうか という話でした。
黒鉛? はい。
あの 要は 鉛筆のかすです。 鉛筆。
あの 要は 鉛筆のかすです。 鉛筆。
わぁ~ お上手ですね~。
いや すごい。 顔のところが…。
すいません~。 ああ。
落っことしちゃって。 ありがとうございます。
落っことしちゃって。 ありがとうございます。
あっ 懐かしいですね。
子供のとき よく ここ 鉛筆で汚しましたよね~。
ああ…。 懐かしいな~。
板野 恭二さん 少し お聞きしたいことがあるのですが。
どうして 私の名前を? 警視庁捜査一課の森野と申します。
失礼ですが 調べさせていただきました。
本業は画家さんで 15年ほど前には➡
幾つもの賞を受賞されて かなり ご活躍だったそうで。
刑事さんが 私に何か?
実は 先ほど この近くで 杉本さんが遺体で発見されました。
実は 先ほど この近くで 杉本さんが遺体で発見されました。
杉本さん? 弁護士のですか? ええ。
えっ… ど… どうして?
屋上から 何者かに 突き落とされたとみています。
犯人に心当たりはありませんか? いや さあ…。
そうですか。
もう よろしいですか? 締め切りまで時間がないので。
すいません。 法廷画家さんって スピード勝負ですもんね~。
よくご存じで。
あれっ? でも さっき 板野さん 途中 手 止まってましたよね。
あれっ? でも さっき 板野さん 途中 手 止まってましたよね。
いやいやいや あるんですよね。 過去のこと思い出しちゃって➡
なーんも 書けなくなっちゃうことって。
あなたも 裁判を傍聴しているうちに➡
何かを思い出してしまったんじゃ ないですか?
15年前の奥さまの裁判とか。
何をおっしゃってるんですか? われわれは 今回の事件の犯人は➡
杉本さんに強い恨みを持つ 人物だと考えています。
最初から 私を疑って…。 わ~っ!
ありがとうございます。 何ですか?
ありがとうございます。 何ですか?
あの~ 法廷画家さんとして➡
何度も この裁判所に来てる 板野さんだったら➡
屋上に人が来ないことも 知ってんのかな~と思って。
確かに 私は 杉本さんを恨んでいました。
殺意があったことは 認めるんですね?
殺意と恨みは違いますよ。
では 念のために 確認させてください。
杉本さんが殺されたと思われる 11時30分ごろ➡
あなたは どこで何をしていましたか?
その時間なら 505号法廷で絵を描いていました。
あっ…!
杉本さんが殺されたのって あの裁判やってた時間だったのか。
ミコさん 傍聴してたんですか? うん。 確かに 板野さんもいた。
アリバイ成立じゃないですか。 しかも 目撃者だし。
うん。 まあ これ以上にない 完璧なアリバイだわね。
早く言ってくださいよ。
明らかに疑ってるのに 念のためとか言っちゃいましたよ。
明らかに疑ってるのに 念のためとか言っちゃいましたよ。
しかも 結構なドヤ顔でね。 恥ずかしい。
あっ すいません。
疑いが晴れたみたいで よかったです。
失礼いたしました。
しました!
刑事に疑われてるのに 余裕だなと思って。
完璧なアリバイがあったからね。 ん~ でも あの余裕って➡
杉本さんの死亡推定時刻を 知る前からなんですよね。
確かに。 そもそも あのアリバイ 何か できすぎてる気しない?
確かに。 そもそも あのアリバイ 何か できすぎてる気しない?
うーん…。 あのとき 傍聴してた裁判って➡
法廷画家に依頼が行くような➡
大きいものじゃ なかったはずなんですよね。
ミコさんも 引っ掛かってるんですよね?
うん 遺体には 犯人の指紋は検出されなかった。
犯人が指紋を残さないように 押したとしたら…。
ドーン! 痛っ! いった!
あれだけ鉛筆で汚れた手なら 背中に付いても不自然じゃない。
動機があって 犯人像にも当てはまる。
動機があって 犯人像にも当てはまる。
あとは アリバイさえ崩せれば。
姉ちゃん 大丈夫かな? (坂浦)慧さん 心配いりませんよ。
ミコさんなら 今度の事件も ちゃちゃっと解決してくれます。
まっ 森野さんも一緒だしね。
ミコさんと慧さんって 本当 仲いいですよね。
昔から そうだったんですか?
いや うち 母親が 俺を産んだときに死んじゃってさ。
いや うち 母親が 俺を産んだときに死んじゃってさ。
ずっと姉ちゃんが母親代わりに 面倒 見てくれてたから。
あっ… 何か すみません。 (慧)いやいや。
だから あの人には 誰よりも 幸せになってほしいんだよね。
いた! 何だ ここにいたんだ。
(慧)アリバイ崩しか。 まっ 推理小説で よくあるのは➡
何らかの方法で 殺害時刻をごまかすとか。
何らかの方法で 殺害時刻をごまかすとか。
分かった。 あのとき 複数の人が聞いていた➡
杉本さんの悲鳴は 偽物だったのよ。
偽物? 録音していた悲鳴を流すことで➡
あの時間に杉本さんが転落死した と思わせることができる。
それだ。 検視の結果➡
杉本さんの死亡推定時刻は 11時30分で間違いないそうです。
じゃあ 法廷にいながら 何らかの方法を使って➡
屋上に杉本さんを呼び出して 突き落としたとか。
確かに 何らかの方法を使ったとしたら➡
確かに 何らかの方法を使ったとしたら➡
アリバイは崩れますね。 (慧)なるほど。
何らかの方法を使うなんて 犯人は相当…。
すいません すいません…。 さっきから➡
何らかの方法 何らかの方法って その何らかって何ですか?
そりゃあ 何らかの方法だよ。 答えになってないですよ。
だから 何らかの方法は 何らかの方法でしょ。
要は まったく推理できてない ってことですよね。
ってか 何なの あんた。
さっきから 人の推理 否定してるだけじゃん。
ミコさんの推理が 穴だらけだからじゃないっすか。
犯人は 何らかの方法を使って アリバイを偽装してるってことか。
うーん…。
何してんすか?
何か引っ掛かってるんです。 はい。
どうした? 姉ちゃん。 何か そんな癖あったっけ?
癖? (唇を鳴らす音)
分かったかも。
あ~ 板野さん。 あ~ ちょっと すいません。
まだ 私に何か?
1つだけ お聞きしたいことがありまして。
何でしょう? あの~ 板野さんは いつから➡
法廷画家を やられているんですか?
法廷画家を やられているんですか?
妻が亡くなってからなので もう10年以上になりますかね。
なるほど。 それだけ長くやっていると➡
絵を描くときの癖なんかも ありますよね。
そうですね。
筆の持ち方や 描くときの姿勢は 人によって色々で。
やっぱり。 初めて法廷で見掛けたとき➡
左腕で紙を抱えるしぐさが 印象的でした~。
ええ あれが一番描きやすいので。 あれっ?
でも 杉本さんが殺された時間に 開かれていた法廷では➡
でも 杉本さんが殺された時間に 開かれていた法廷では➡
膝の上に紙を置いていましたよね。
ミコさん それ 証明できるんですか?
えっ? いや 裁判中ずっと➡
見てたわけじゃないですよね? そりゃそうだけど。
たまたまの可能性ありますよね。 んっ! どっちの味方なのよ。
いや 味方とかじゃなくて ちゃんとした証拠がないとね…。
すみません 完成した絵を 届けないといけないので。
あっ…。
もう! あんたのせいで 容疑者 みすみす逃しちゃったじゃない。
まあ 現状では 板野さんを 拘束する根拠に乏しいですからね。
まあ 現状では 板野さんを 拘束する根拠に乏しいですからね。
ホントに事件解決する気あんの? 当たり前じゃないですか。
そんなふうには 見えなかったけどね。
姉ちゃん 何 怒ってんの? (坂浦)いったん落ち着きましょう。
あっ どうせ また 逃げ出そうとしてんでしょ。
ホントに ひきょう者だわ。 ひきょう者ではありません。
だったら あんたが 完璧な推理 考えなさいよ。
ひきょうに逃げ出さないでさ。 それ やめてください。
その ひきょう者ってやつ。 あ~ でも あんたには無理か。
匿名でアンチやってるような ひきょう者だからね。
《ひきょう者》
《ひきょう者ではありません》
♬~
♬~
あれっ? 何で黙っちゃってんの?
あっ 分かった。 また逃げ出そうとしてんだ。
さすが ひきょう者。
ミコさん もう現場には来ないでください。
えっ? 森野さん?
(自動ドアの開閉音) (慧)最悪。
あれは いつものノリで…。
100% 姉ちゃんが悪いんだから 追い掛けた方がいいんじゃない?
100% 姉ちゃんが悪いんだから 追い掛けた方がいいんじゃない?
何で 私が。 あんなんで怒るなんて 小さすぎだよ。
森野さんだって苦しいのに 姉ちゃんのイップスが治ればって➡
事件に 関わらせてくれてるんでしょ。
あれは あいつが私のファンだからで…。
姉ちゃん。
8年前 あの模倣事件を捜査してた人と➡
偶然 会うなんて 運命かもよ。
えっ 私の小説の…。
あれを森野が?
えっ 慧が 何で そんなこと知ってるの?
担当刑事の名前 報道されてなかったんじゃ?
言ったら止めるでしょ。
だから 黙って調べてたんだよ あの事件のこと。
そっか。 ありがとう。
そっか。 ありがとう。
自分でも 悪いと思ってるんでしょ?➡
謝った方がいいんじゃない?
事件を取材できてるのだって 森野さんのおかげなんだから。
何で 私が… そんな…。
まあ でも 小説も書けそうになってきたし…。
仕方がないか。
あ~ めんどくさい。 めんどくさい めんどくさい。
めんどくさいな~。
ハァ ハァ ハァ…。
森野!
さっきは ごめん。
ちょっと言い過ぎたかも。
このまま 事件ほっといていいの!?
もう 森野!
もう 森野!
誰? えっ?
きのこにスーツなのに 何で森野じゃねえんだよ。
きのこ?
ハァ… 森野 あいつ どこに行っちゃったんだよ~。
あっ 酒井君。 あら ミコさん。
また何かあった? この近くの空き倉庫で➡
首をつった遺体が 見つかったみたいで。
また事件!? いや 自殺の可能性が高いかと。
また事件!? いや 自殺の可能性が高いかと。
先に向かった者が ポケットから 遺書を見つけたみたいで。
遺書? 「全て終わった」
「これで妻と娘のとこに行ける」 って➡
これ どう考えても遺書ですよね?
(酒井)じゃあ 自分は これで。
ってことは…。
(樋口)《担当した裁判の 被害者遺族である➡
榊という男につかまって➡
通報した記録が 残っていたんですよ》
《確かに 私は 杉本さんを恨んでいました》
《確かに 私は 杉本さんを恨んでいました》
《みんな 裁判に注目してて➡
隣の人のことなんか 見てないんだから》
《きのこにスーツなのに 何で森野じゃねえんだよ》
(酒井)《「全て終わった」》➡
《「これで妻と娘のとこに行ける」 って➡
これ どう考えても 遺書ですよね?》
はっ…!
急がなきゃ。
(タップ音) (携帯電話)(送信音)
アリバイは崩れた。
アリバイは崩れた。
早く戻ってきて。
急がないと手遅れになるかも!
あ~ もう!
あっ もしもし 慧? ちょっと お願いがある。
(秒針の音)
(秒針の音)
♬~
♬~
♬~
どうして…。
<(ノック)
<(ノック)
<(ノック)
<板野さん! いらっしゃいますか?
<黒羽ミコです! <(ノック)
<(ノック)
あっ よかった~!
どうして ここが分かったんですか?
いつも 板野さんに依頼している テレビ局の人に聞いたんです。
この絵…。
(板野)ひどいですよね。
あっ いえいえ。 でも 何か悲しそう。
(板野)妻と約束したんですが➡
15年ぶりでは なかなか うまくいかずに➡
描き直そうと思って。
うらやましいです。 私は まだ書けないから。
創作者に スランプは つきものですよ。
そうじゃなくて…。
そうじゃなくて…。
イップスなんです。 イップス?
それまで当たり前にできていた 書くという動作そのものが➡
なぜか できなくなっちゃって。
あなたも苦しんでいたんですね。
板野さんは どうして 描けなくなってしまったんですか?
妻を失ったからでしょうね。
その喪失感は克服できましたか?
杉本さんを殺したことで。
杉本さんを殺したことで。
私には アリバイがあります。
あなたが証言してくれた。
それは あなたが書いた筋書きでしょう?
でも 本当のストーリーは違う。
杉本さんが殺された時間➡
あなたは 本当に あの法廷にいたんですか?
(板野)そうじゃなきゃ この絵は描けません。
でも 裁判所で開廷表を見れば➡
担当弁護士が慧であることは 分かりますよね。
慧の顔写真 事務所のホームページに載ってるし。
それを見れば いつでも描けたってことか。
確かに おっしゃるとおりです。 じゃあ この絵は証拠には…。
でも 服装までは 調べられませんよね。
私が この絵を完成させたら 証拠として認めてくれますか?
それなら。
(板野)できました。
やっぱり。
あなたは あの法廷には いなかったんですね。
あなたは あの法廷には いなかったんですね。
この絵を見ても まだ信じてもらえないんですか。
この絵を見たから そう断言できるんです。
慧がしているネクタイ。
裁判が終わった後に 私がプレゼントしたものなんです。
(慧)さすがに 自分で この柄は買わないかな。
裁判のときに してたのは こっちで。
おかしいですね~。
あの法廷で見ていたのなら 間違えるはずがないのに。
あの法廷で見ていたのなら 間違えるはずがないのに。
あなたは 自分の絵で 証明してしまったんです。
アリバイが嘘だったということを。
じゃあ あなたが法廷で見たのは いったい 誰だったんですか?
うーん…。
人は意外と 隣の人のことなんか 見ていないもの。
同じ背格好の人が 同じ服を着て➡
マスクと帽子で 顔を隠していたら➡
先入観から 同じ人だと思い込んでしまう。
先入観から 同じ人だと思い込んでしまう。
法廷画家なんて特殊な人なら なおさら そうです。
杉本さんが殺された時刻 私が目撃したのは➡
あなたに変装した別人物 共犯者だったのでは?
そこまで言うのなら 何か証拠あるんですよね?
ずーっと引っ掛かってたんです。
初めて会ったとき あなたが あのことに触れなかったのが。
初めて会ったとき あなたが あのことに触れなかったのが。
まあ 裁判長に怒られるとか 普通ないからね。
板野さん あの法廷にいたのなら 分かりますよね?
どうして 私が怒られちゃったのか。
(板野)ハァ…。
この絵が完成するまではと 思っていたのですが…。
杉本さんを殺したのは 私です。
(板野) 罪を認め 全てお話しします。
その代わり…。
その代わり…。
最後に妻との約束だけは 守らせてくれませんか?
ありがとうございます。
どうして こんなことを?
妻はね 私の一番の理解者で➡
一番のファンだったんですよ。
一番のファンだったんですよ。
私が絵に専念できるようにと➡
朝から晩まで働いて 支え続けてくれて。
杉本さんを殺したのは 奥さまの復讐のためですか?
絵が売れるようになり➡
初めて 大きな個展を 開くことになりました。➡
これで 苦労を掛け続けた妻に 恩返しができる。
これで 苦労を掛け続けた妻に 恩返しができる。
そう思って 何が欲しいか聞いたんです。
(板野)《やっと プレゼントができるんだからさ➡
ねえ 遠慮しないで 何でも ねだってくれよ》
《じゃあ 私の絵 描いてよ》
(描く音)
《フフ…》 (板野)《ちょっと 真面目に》
《フフ…》 (板野)《ちょっと 真面目に》
(美幸)《ごめん》
《フフフ…》 (板野)《また笑ってる》
でも 絵が完成する直前 妻は…。
(板野)それ以来 私は 自分の絵が 描けなくなってしまいました。
(板野)それ以来 私は 自分の絵が 描けなくなってしまいました。
杉本さんを殺したのは➡
その原因を 取り除くためだったんですか?
妻が事故に巻き込まれたのは➡
私の個展に 向かう途中のことだったんです。
板野さん 被害者遺族である あなたにとって➡
杉本さんの弁護方針は 決して➡
許すことのできないもの だったのかもしれません。
許すことのできないもの だったのかもしれません。
(慧) 杉本さんは 15年前の裁判の後➡
犯罪被害者や残された遺族を 支援する会を立ち上げて➡
多額の私財を寄付してたんですよ。
ハァ… もっと早く このことを知ってれば➡
あなたが犯罪を犯す必要は なかったのに。
知ってますよ そんなこと。 えっ?
知ってますよ そんなこと。 えっ?
それ 私に関係あります?
♬~
♬~
♬~
♬~
♬~
違う。
ハァ…。
違う。
あの人を殺せば 描けると思ったんですが。
(板野)そっか。
(板野)そっか。
もう 妻は帰ってこないんだ。
板野さん…。
ハァ…。
(筆を置く音)
では 警察へ。
では 警察へ。
板野さん。
一緒に行ってもいいですか?
はい。
ハァ…。
ハァ…。
何にもできなかった。 いやいや。
板野さんが最悪の事態に ならなかったで済んだの➡
お姉ちゃんのおかげでしょ。
最愛の奥さんの復讐を果たして➡
死を選んでたのかも しれないんだし。
板野さんは 死ぬつもりなんてなかった。
んっ?
ただ もう一度 描けるようになりたかっただけ。
もがき続けたら…。
もがき続けたら…。
きっと リスタートできるよね。
ありがとね 慧。 どうした? 急に。
あんたがいなかったら➡
私も ああなってたのかなと 思って。
ホント 俺がいて よかったよね。 感謝してよ。
うるさい。
でも さすが ミステリー作家の黒羽ミコ。
ネクタイの柄と法廷での出来事 2重の罠を仕掛けるなんてね。
ネクタイの柄と法廷での出来事 2重の罠を仕掛けるなんてね。
あんなの たまたま うまくいっただけだよ。
板野さんが 自白してくれなければ➡
事件は解決しなかったから。
私一人じゃ➡
確実な証拠は 見つけらんなかったから。
姉ちゃん 何か 森野さんと会ってから変わったよね。
♬~
♬~
あいつがいれば…。
さすが ひきょう者。
ミコさん もう現場には来ないでください。
えっ? 森野さん?
(自動ドアの開閉音)
(自動ドアの開閉音)
(電流の流れる音)
(倒れる音)
(携帯電話)(バイブレーターの音)
(携帯電話)(バイブレーターの音)
(携帯電話)(バイブレーターの音)
(樋口)捜査一課の樋口です。 森野さんが誘拐されました。
『歪な十字架』模倣事件。
『歪な十字架』模倣事件。
どうやら黒羽ミコの小説を模倣した 事件が絡んでいるようです。
これって 私へのメッセージなんじゃ…。
だとしたら 早く助け出さないと!
来週も ご覧ください。
[『イップス』の…]
[そして…]
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