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♬~
♬「山へ行こう 次の日曜」
♬「昔みたいに 雨が降れば」
♬「川底に沈む橋越えて」
♬「胸まである 草分けて」
♬「ぐんぐん進む背中を」
♬「追いかけていた」
♬「見失わないように」
♬「抱えられて」
♬「渡った小川」
♬「今はひらり」
♬「飛び越えられる」
♬「一緒に行こうよ」
♬「‘こくわ’の実 また採ってね」
♬「かなり たよれるナビゲーターになるよ」
♬「一緒にね」
♬「いろんな話ししよう」
♬「晴れたらいいね 晴れたらいいね」
♬「晴れたらいいね」
♬~
(洋一)何やってんだ ゆき子は。 (みのり)お父さん➡
ああだ こうだ言わないでよ 今日は。 お母さん 入り口係に選ばれて➡
張り切ってんだからさ。 何だ その入り口係ってのは。
よく分かんないけど… 入り口に立ってるんじゃないの?
ああ ああ 受付のことか。
(ひらり)ううん 受付とは違うんだって。 で 出口係も また別にいるんだって。
ふ~ん。 へえ~。
結局 あれだろ? 何か みんなに役をやらせるんだろ?
んなもん どこが張り切るの。 お父さん そう言っちゃ➡
身も蓋もないでしょ。 お父さん 昼休みでも会社抜けて➡
ちょっとでも展覧会見てあげてよ。 うん。うん。
褒めてあげてよ。
でも あんまり 褒めまくっちゃダメだよ。 わざとっぽいからね。
素人の芸事に そこまで気ぃ遣えないよ。
(ゆき子) おじいちゃん おはようございます。
今日 ちょっと早く出かけますので あと よろしくお願いします。
(小三郎)あ~ ちょ… ちょっと。
今日は ゆき子の通う刺繍教室の 文化祭の日です。
きれいだ。 ゆき子は 徹夜続きで仕上げた大作を出品して➡
大張り切りでした。
お母さん 入り口係のミーティング あるからさ もう出かける。
あっ ちょっと…。
ほかに向いてる人いると思うんだけどね。 出かけるね。 行ってきます。
ああ…。 あと よろしくね。
行ってらっしゃい。
ちょっと…。 力いっぱい けばくなかった?
ちょっとばっか 目がチカチカした。
入り口係に 向く向かないなんて あるのかねえ。
分かった。 呼び込み?
キャバレーか もう。
言えてるか。
あ お父さん 私 今日 ちょっと急ぐから ごめんね。うん。
いらっしゃ~い。 すてき~!
楽しみだ~!
あった~! うわ~!
あ~ あれね!
(にぎわう声)
お母さん!
ごめんね。
ねえ お店は? うん お昼休み。
私も抜けてきた。 なかなかの会だね。
ねえ どう?
う… うん。 お母さんのが 一番色がきれいだよ。
(洋一)ホントだねえ。 きれいだねえ。
(みのり)でも みんな すごいね。 どれもこれも 手が込んでる。
きれい! きゃ~ やめて やめて!
(笑い声)
作品より生徒の華やかさに圧倒されるよ。
作品は素人の趣味だから。
僕は こういうのって いいと思うよ。 作品が どうとかよりも➡
楽しんで作って 楽しんで着飾る場まであるんだから。
きれいでしょ? うん。
こっちも大したもんだな。
(会場のけん騒)
すみれさん どちらへ? (蛭田)すみれさん 飯か?
(すみれ)はい 今日 お昼出られませんでしたから。
あ すみませんでした 私のために。 どうぞ ごゆっくり いらしてくださいね。
社長 そんなに ゆっくり お昼なんて食べられませんよね。
⚟☎ あ 出ます 出ます。
☎ はい リーチ商会でございます。
いつも お世話になっております。 はい 少々お待ちください。 社長。
もしもし 代わりました。 はい あ お世話になっております。
その件は はい 了解しております はい。 よろしくお願いいたします。 失礼します。
どうした? あ せっかくの ひらりちゃんのお土産を…。
私に 辞めてほしいのかな。
いや 俺 誰かを あの いじめたりするのっていうのは➡
別に 相手が憎らしいってわけじゃ ないと思うんだよ。
自分のためっていうか 生きがいなんだね。
生きがい? うん。 あの 意地の悪いやつ見てるとね➡
共通することが 一つあるんだ。 あの 毎日が楽しくないってこと。
だからさ あいつ 結構 いい目にあってないんだよ。
亭主に女ができてね 1年前に離婚して で 今 5歳の女の子抱えてんだ。
え そうなんですか? うん。
近所の人に女の子預けてね 働いてんだ。
知らなかった…。
だからさ しばらく あの 生きがいに つきあってやってよ。 ね。
今日は また口をきかなかった 新記録樹立とか➡
ノートか何かつけてさ ね! で ゲーム感覚でいこうよ。
ウ~ッス 分かった。 もう 好きなだけ いじめろってんだ。
こっちは いじめられると もう 面白がっちゃう。
私って 耐えてる女よ けなげな女よって。
もう ほら こう 演歌のノリでいきましょう。
強がりで きたね。
は~ もう それしかないですからね。
いや 俺も仕事教えるしさ 2号店3号店って出すつもりだから➡
その時 頼むよ。
はい。
すみれに 少しくらい嫌な目に遭わされても➡
先を夢みると ひらりは元気が出てくる気がしました。
(ため息)
元気ないな。
展覧会が終わって 気が抜けたか。
じゃなくて… もう やめる ああいう教室。
何か 恥ずかしかった。 女子大の謝恩会みたいに➡
着飾って大声で笑って はしゃいで。 ああいう中に入りたくないと思った。
僕は いいと思うけど。 着飾って 出かける所があるというのは。
だけど そのためのお稽古事だったら 悲しくない?
ぜいたく言ってるよ。 分かってるけど➡
私 何のために生きてんのかなって 思うことあんの。
不幸ってことじゃないのよ。 家族だって大事だし 楽しいし。
楽しそうじゃない言い方だな。
親方と おかみさんが 何で あんなに いつまでも仲がいいのか➡
少し分かったの。
相撲部屋って 親方と おかみさんと二人で もり立てていくからよ。
おかみさんも いなくちゃ大変で ちゃんと居場所があって➡
そして 夫婦の共通の話題が 山ほど あるんですもの。
仲よくて当然よね。
今更 僕には どうにもできんね。
また すぐ そういう言い方する。
いや だって お前の言ってることは ないものねだりだよ。
一つの例として言っただけじゃない。
言っとくけどね 50を前にして むなしかったり焦ったり➡
何のために生きてきたんだって 考えるのは➡
女だけじゃないよ。 男には仕事があるじゃない。
仕事だって 突然 横を向く時があるんだよ。
あなた 仕事 うまくいってないの?
いや こんなものだろうと思ってる。
家庭もね。
ま… できるだけ 夫婦で何かやろう。
残りの人生を楽しくするためにですな。
残りの人生って言い方 嫌い。
もう一度 ひらりみたいに ドキドキして生きてみたい。
悪あがきは みっともないぞ。
いいの。 私ね これから あらゆることに手を出して➡
その中から 自分に一番合った生き方を見つける。
このまま 展覧会おばさんで 半端に終わりたくないもん。
とにかく 刺繍はやめる。
ああいう着飾ったおばさん集団の中には 絶対に入らない。
お好きに どうぞ。
僕はね 君が毎日 楽しそうに暮らしてくれれば➡
それで 何にも文句はないよ。
冷たいんだか 温かいんだか 分かんない人ね あなたって。
おっ どれどれ 一家団らんの ティータイムと しゃれこむか。
うん。
あ?
ねえ また けんかしたの?
何もしてないよ。
⚟(戸が開く音) ⚟(竜太)こんばんは。
はい。 ⚟(竜太)安藤です。
⚟(戸が閉まる音)
⚟(竜太)あ すいません。 はい。
⚟(ゆき子)こんばんは。 ⚟(竜太)どうも。 突然 お邪魔しまして。➡
あの 刺繍展の案内状が 郵便受けに入ってたんですが➡
今まで気付かなくて。 便所サンダルだ。
⚟(ゆき子)そんな わざわざ。 ⚟(竜太)では。
⚟(ゆき子)あ お上がりになりません?
⚟(竜太)いえ おわびにあがっただけですから。
⚟(ゆき子)ちょっとだけでも。 これから お茶にするとこだったんです。
え。⚟(竜太)あ~。 ⚟(ゆき子)ひらり みのり。
はい。 (ゆき子)安藤先生よ。
どうぞ。 どうぞ どうぞ。 はい。 あ じゃあ。
いや あの 玄関で失礼しようと 思ったんですが。
いや 展覧会の通知が 郵便受けに入ってたんですけど➡
たった今 気付いたもので。 誰が配ったんだ?
あ あの 私が 町内の全部に入れて回ったの。
ほら お母さん お客さん少ないと かわいそうでしょ?
あ~ そっか。 いや 僕だけかと思って➡
こら 申し訳ないことをしたって 謝りに来たんです。
やだ 僕だけなんて そんなこと ありっこないじゃないですか。
1丁目から5丁目まで もう全部ですよ。
母のためなら 郵便配達も シュッシュッシュッてなもんです。
ま お座りください。 今 郵便配達がお茶いれますね。
ああ。 あ どうぞ どうぞ。
(竜太)じゃ ちょっと。
少し好きになった 安藤先生。
へえ 何でまた?
礼儀知らずの ただのパアプリンだと思ってたけど➡
いちいち謝りに来る辺り 見直したよ。
俺も あんた ちょっと好きになった。
へえ~ 何でまた?
(竜太)俺のよさに気付く辺り まんざらバカじゃないって見直した。
プッ アハハ! (竜太)フフフフ。
あ すいません。 実は この町に来た初日から➡
彼女とは どうも相性が悪くて。
仕事 真面目に取り組まない男 大っ嫌い。
僕には僕の事情があってね。
医療現場の第一線から 離れるのってのは➡
手に汗かくほど 怖いんですよ。
あ~ そら よく分かりますよ。 何の仕事でも そうですが。
だからって 力士に当たり散らすことないのよ。
さっさと病院帰ればいいのよ。
命令蹴飛ばす元気もないくせに。 グチグチ 愚痴ばっかり。
(ゆき子)ひらり。
さっき 「少し好きになった」って 言わなかった?
あ 忘れてた。 アハハハ!
(竜太)アハハじゃないだろう お前。 (みのり)アハハハハハ!
アハハハハ。 (竜太)ったく もう 参ったな。
ずっと気になってたんだけど みのりの好きな人って…。
安藤先生だな。
いや おかしいと思ったんだよ。
このごろ 必ず診療所の前通って 駅まで行くしさ。
うまくいかせてあげたいわね。
どうも ひらりがいると みのりは かすむんだよなあ。
みのり 町内全部に 通知 配ってるわけないもん。
腹ん中全部ケロっと言ってしまうひらりと 差があり過ぎる。
両方とも かわいいんだけどさ。
みのりのよさは気付きにくいのよ 男の人は。
♬~
ひらりと竜太の間に 何の恋心もないことは➡
よく分かっている みのりでした。
でも この先 何かが起こりそうで たまらなかったのです。
♬~
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