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♬~
♬「山へ行こう 次の日曜」
♬「昔みたいに 雨が降れば」
♬「川底に沈む橋越えて」
♬「胸まである 草分けて」
♬「ぐんぐん進む背中を」
♬「追いかけていた」
♬「見失わないように」
♬「抱えられて」
♬「渡った小川」
♬「今はひらり」
♬「飛び越えられる」
♬「一緒にね いろんな話ししよう」
♬「晴れたらいいね 晴れたらいいね」
♬「晴れたらいいね」
♬~
ひらりは 相撲雑誌の記者という仕事が あることに気付きました。
そして 片っ端から電話で約束を取っては➡
強引に面接を受けていました。
(ひらり)とにかく 私を使ったら絶対に得です。
緑風一門の親方は みんな仲よしですし➡
私のいとこも 梅若部屋に入門したばっかりなんです。
(内藤)なるほど。 知識も すごいんです。
ライバル誌の記者には 絶対負けません。 ふ~ん。
例えば 昭和生まれの大関 言ってみましょうか。うん。
横綱じゃなくて大関言えるっていうのは ちょっと いませんよ。
琴ヶ濱 若羽黒 北葉山 栃光 豊山 清國…。
よく知ってるねえ。 じゃあ 取組中に力士の急所が出ちゃったら?
はい その段階で負けです。
よろしい。 懸賞金について言ってごらん。
はい。 1本6万円 うち 5,000円が手数料に取られ➡
2万5,000円が 確定申告対策用に貯金され 手取りは3万円です。
完璧だ。 使ってもらえますか?
あ 悪いね うちはバイトも社員も 四年制大学しか採らないんだ。
ごめんね。
でも お見事。
面白かった。 ハハハハハハハ!
最初から採る気がないのに 日曜日に呼び出して➡
日曜出勤の退屈しのぎですか?
四年制大学出の記者のレベル っていうのを➡
見せていただけませんか?
大正生まれの大関 言ってみてください。
え? さあ 言ってみてください。
ご存じないんですか? バカ言っちゃいけないよ。 それは…。
言ってみてください。
千代の山。 それは横綱です。
清水川。 それは明治生まれです。
お邪魔いたしました。
♬~
(ゆき子)いいもんね。 日曜日に夫婦で映画を見てランチなんて。
(洋一)いいもんだな。
今度から 月2回ぐらいにしましょうか。
そうだな。
映画 どうだった?
よかったよね。
君は? よかった。 久しぶりだし。
みのりや ひらりは どうしてるかな。
ひらりは 中途採用の試験だって。 ふ~ん。
何もさ こんなとこで 子供の話なんてすることないのにな。
ホントね。
あのさ…。 あの…。
何? 大したことじゃないの。 あなたは?
えっ? いや 今日は暑いなと思ってさ。
ハハッ。 ああ… ねえ。
うちに電話しておくわ。
うん!
(ため息)
(ため息)
(戸の開閉音) ⚟(ゆき子)ただいま。
(みのり)何よ もう帰ってきたの?
あ~ 疲れた。
お父さん 本屋に寄るって。 どうしたのよ。
夕ごはんも食べてくるかもしれないって 言ったじゃない。
昼ごはんで 精力使い果たした。 また けんかしたの?
そんなもん するレベルじゃないの。 何しろ 全然話題がないんだから。
あら…。 お父さんも気の毒だった。
一生懸命 話題探してるの分かるの。 でもね お互いに➡
うちのことや子供のことは 話すのやめようって思ってたから。
でも それ外すと 何にも話すことないのよ。
みのり お水。 はい。
映画の話も そうそう続かないし ホント 参った。
だけど うちにいる時は 話 してるじゃない。
そりゃ うちの時は あちこち 気が散るものがあるから➡
間がもてるの。 レストランのテーブルで 向かい合ったら➡
お父さんの顔見てるか お料理見てるかしかないもん。
はい。 ありがと。
そうだけど つきあってた頃は 話があったんでしょ?
あった。
会えるのが うれしかったし 黙っていても楽しかった。
あのころは やっぱり お互いに 何とか好かれようって思ってたからよね。
私 今だって お父さん 結構 すてきな部類だと思うけどな。
お母さんも そう思うし いい夫だと思うわよ。
だから しょっちゅう反省するの。
お父さんに もっと優しくしてあげなくちゃとか➡
何か かわいそうになることあるのよね。
お母さんだって 結構優しいよ。
反省して優しくしてるのよ きっと。
でも 嫌いじゃないんだから。 もちろん 嫌いじゃないわよ。
でも 26年暮らしてると どこのうちも みんな同じかもね。
なまじ おかみさんに刺激されて もう一度 恋人ムードになろうと➡
考えたのが間違いのもとよ。
何か結婚に絶望するわ。
そうじゃないの。 多分 お互いの性格よ。
死ぬまで熱々の夫婦だっているんだから。
ま 少ないと思うけどね。
ふ~ん。
みのり 誰か好きな人 いるんじゃないの?
ちょっと気になる人は いる。
つきあってんの? まだ全然。 でも 結構いい人。
飾りっ気がなくって 男っぽくって。
思ったとおり言うから 誤解されやすいけど。
(戸の開閉音) ⚟ただいま!
あ~ あったま来た あいつホントに!
あれ? お母さん もう帰ってきたの?
向かい合ったら話題がなくて 疲れちゃったんだって。
そんなもんよ。 それが平凡な家庭の幸せってことよ。
あんた やたら分かってんじゃない。 そりゃ そうよ。
よっぽど いい男か よっぽど やなやつじゃなきゃ➡
26年も一緒に暮らせるわけないって。
よっぽど やなやつって 例えば安藤先生ね。
あれは最悪。
思い出しただけでも脳天腐っちゃう。 あ~!
両国診療所の? そ! 私も嫌いよ。
でも ひらりが言うほど ひどいとも思えないのよ。
あ もちろん嫌いよ。
あいつはね 本人はね 飾り気がない くらいにしか思ってないのよ。
でも あれは 単に態度がでかくて 頭悪いやつよ。
男らしくって 思ったとおり何でも言うなんて➡
自分じゃ 絶対思ってんのよ。
でも あれは単に 礼儀知らずで頭悪いだけね。
ねえ お姉ちゃん。
そうよね。 ま あいつとか➡
今日の雑誌記者みたいなやつとなら 死ぬまで けんかできっけど➡
その前に 同じ空気 吸いたくないね。
みのりも嫌いなの? あの先生。
嫌いよ。 当然じゃない。
そうよ。 力士だって みんな嫌ってんのよ。
あんなやつ好きな女なんて もう信じらんない。
医者だっていうだけで おすがりしちゃうような女。
お母さん 今日 私ね 雑誌社と新聞社 3つも回ったんだけど➡
全部 駄目だったの。 ふ~ん。
また何か ちゃんと探すから もう少しだけ遊ばせてね。
ごめんね。
うん。
あ~ おなかすいたな 何か。
今日は 何だろう!
おっ カレーだね。 う~ん いい匂い~。
ひらりは まさか みのりが 竜太に思いを寄せているとは➡
思いもしませんでした。
そして みのりは 何があっても ひらりには言えない➡
と思っていました。
(公衆電話の電子音)
勇気なかった。 (芳美)例のお医者さん?
うん。 先日 ごちそうになったから お礼に 今度は私がって➡
誘おうと思ったんだけど…。 誘った方がいいと思うよ。
このまま終わっちゃったら 後悔するわよ。
でも 奥さんいなくても つきあってる人 いると思うのよね。
そんなこと思ってたら 何にも動けないじゃない。
うん そうだけど…。
私 どうも好きだって示したりするの 苦手なのよね。
誰かに取られちゃうよ。
世の中には いい女 いっぱい いるんだから。
ね。 うちの妹だったら➡
何だって 思ったとおり やっちゃうと思うの。
同じ姉妹なのにね。
ねえ 妹さんに やり方相談してみれば?
駄目! 妹は 彼のこと大っ嫌いなの。 道端で大げんかしたらしいよ。
危ないな~ みのり 彼は 意外とそういう女に弱いよ。
え? 妹に? そうよ。
早いこと動いた方がいいと思うよ。 うん。
♬~
先日のお礼に 今日は 私に ごちそうさせてください。
(ため息)
先日のお礼に…。
(竜太)おお!
あ… あの どうも 先日は。 先日は どうも。
はい。 じゃ!
♬~
あ~あ…。
お姉ちゃん こっちまで ため息聞こえるよ。
どうしたの?
世の中 思ったとおりには いかないもんだなって。
そりゃ そうよ。 私だって 全然仕事ないのよ。
女って 自分で勝手に ストーリー作っちゃうから➡
そのとおりいかないと ショックも倍なのよ。
例えば 好きな人がいた場合 私の姿を見たら 駆け寄ってきて➡
「この前は 僕が ごちそうしたから 今日は 君が ごちそうして。➡
次は僕 また君 そしたら ず~っと2人で食事できる」➡
って 言ってくれるストーリーを 勝手に どんどん考えちゃうのよね。
例えばよ。
例えばって 随分具体的だね。
え? あっ そう?
私もね ストーリー考えてるよ。
買い物帰りに歩いてたらさ 車が止まったりなんかしてさ➡
出羽海理事長が 窓から叫ぶの。
「君を相撲博物館の館長に任命することが たった今 決まった」って。
現実はさ チャリンコ乗った便所サンダルと➡
擦れ違うのよ。 会ったの?
うん。 目つぶって鼻つまんで隠れてた。
もう大っ嫌い。
竜太が こんな ひらりを 好きになるはずはないと➡
みのりは 少しホッとしていました。
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