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♬~
♬「山へ行こう 次の日曜」
♬「昔みたいに 雨が降れば」
♬「川底に沈む橋越えて」
♬「胸まである 草分けて」
♬「ぐんぐん進む背中を」
♬「追いかけていた」
♬「見失わない ように」
♬「抱えられて」
♬「渡った小川」
♬「今はひらり」
♬「飛び越えられる」
♬「一緒にね いろんな話ししよう」
♬「晴れたらいいね 晴れたらいいね」
♬「晴れたらいいね」
♬~
梅若親方は 東京見物を理由に 久男を引き止めました。
その何日かの間に 力士になることを 決心させてみせると➡
ひらりも思っていました。
(ひらり)エディよ。 ハワイから来た新弟子。
エディ しっかりしろ!
もういっちょ!
(ぶつかる音)
(ぶつかる音)
♬~(歌声)
(銀次)へいっ。
⚟おじいちゃん。
(金太郎)おう しらり。➡
何だい 久男と一緒か。 うん。
ねえ おじいちゃん 今日 空いてる? 年中 空いてらあな。
空いてねえよ。 トビはスペシャリストだかんよ➡
忙しいんだい。 バカヤロー。ん?
孫の前で 見栄張ってどうすんだい。
私さ ついてってほしいとこあんのよ。
力士の化粧まわし職人の仕事場。 何だよ それ。
私さ 銀ちゃんみたく スペシャリストの仕事を持ちたいわけよ。
嫌みか アホ。
そんでさ 力士の化粧まわし職人に 弟子入りすることに決めたの。
(金太郎)弟子入りって お前 先方はいいって そう言ったのか。
うん 電話で頼んだらさ 話だけ聞くって。
そんでさ まあ 職人の世界は やっぱり➡
おじいちゃんに ついてってもらうと心強いのよ。
おい 銀次 聞いたかい。 (銀次)ああ?
いざって時は あのうすらトンカチの 小三郎じゃなくて この俺だとよ。
泣かせるじゃねえか。
両方好きだよ。 ハハハハ…。
(金太郎)聞いたか 銀次。 あのバカにも花持たせるあたり➡
しらりも 人間が出来てきたよな。 ああ 出来た 出来た。
よし 任せときな。 一緒に行ってやる。
うん! なっ。 よしよし。うん。
久男も行こう。 (久男)行かない。
いいから行こうよ。 めったに見れないんだよ。
行こう 行こう…。 行かない!
久男 まわし職人はな おめえに 相撲取りになれなんて言わねえから➡
一緒に行こう。 なっ。
よ~し 決まった! よし 3人で行こう!
行こう! よし! よし…。
(銀次)おい! うすらでくのぼう!
ほら あんたのことよ。 行きなさい。
行きなさいよ ほら。
あの… 僕のことですか。
おめえしか いねえだろうよ。
んん? まあ いいから そこ座れ。
おい おめえ 本当に 相撲取りになんねえのか。
はい。 なりません。
まあ 好きにしな。
けどよ 人間っつのは もっと 熱っぽく生きなきゃ駄目だぜ。
ああ? 会社継ぐんでも ひらりみてえに 職人 目指すんでも➡
な? 誰かの女房やるんでもよ。➡
確かに生きてきたっつう 証しを残すのが人間だ。
はい。 だろ? どういう仕事に就こうが➡
どういう生き方をしようが。 な?
いつだって 熱っぽく立ち向かうやつが 最後には 勝つんだよ。
はい。 分かりました。 (銀次)ああ そうだい。 ん?
しかし おめえ 何だな。 ん?
そうやって寝てる時が 一番 いいこと言うな。
おいらはよ 立つとな 脳みそが 足の方に下がっちまうんだよ。
おお おお。 俺も それ 感じることあるよ。
おい 久男! おめえも ちょっと そこで寝て考えろ 少し。 ええ?
はい…。 (金太郎)ほら 寝ねえかよ ここで。
はい…。 (金太郎)寝ろ。
化粧まわしは 十両以上の力士にだけ許されており➡
これをつけて土俵入りをすることを 力士はみんな 夢みています。
こいつは 大変な仕事だ。
しらり 見たろ。 一針一針だ。
手仕事ってえんだな こういうの。
ねえ 橋本さん これ何でしょう。
糸の色が気に入らなかったら 自分で染めるんでしょ?
(橋本)はい。
お前たちね この仕事じゃ この刺繍が 一番難しいと思ってんだろ?
ところがどっこい。 この仕立てってのが また これが大変なんだな これが。
ねえ 橋本さん。 はい。
これをね 馬簾ってんだがな こいつを 化粧まわしの裾につけるだろ。
それで こいつをつける。 更に こいつを後ろに曲げる。
寸法を考えてみな。
10センチにはなるよ。 えっ。
こいつを縫い付けるっていうのは お前 なまはんかなことじゃねえんだよ。 ねえ。
(橋本)はい。
(太鼓の音)
(場内アナウンス)「ただ今より 幕内土俵入りになります。➡
先導は…」。
(歓声)
おじいちゃん。
(小三郎)都合の悪い話だな。
どうして分かる?
必ず 蔵の中に引っ張り込む。
ちょっとね かっこ悪い話なのよ。
ちょっと 来て。
はい おじいちゃん。
私ね 職人になるってあんだけ騒いだけど やっぱ 駄目だわ。
化粧まわしか。 うん。
何かね 刺繍してる手を見てたら➡
簡単に 職人になるなんて 言っちゃいけないと思ったの。
だって ものを作ることに ものすごい こだわり持ってて➡
全然 気を抜かないのよ。
あのな 落語の古今亭志ん生が 言ったそうだよ。
「芸と商売は 別っこなもんです。➡
毎晩 毎晩 高座で芸をやってたんじゃ こっちの体がもちませんや」って。
まあ こういう遊び心を 職人も 少しは 持った方がいいのかもしれないなあ。
でも 私には 職人ってすごすぎる。
だって 自分でも技に満足して➡
使う人にも満足してもらわなきゃ ならないんだもの。
お母さんの刺繍なんか➡
お母さんだけが満足してりゃ それでOKなわけよ。
でもね 職人となれば 技と商売の両方だもん。
しかし 職人の仕事ぶりを見たことは 無駄じゃなかったよ。
お前も頑張れ。
でも 相撲関係の仕事って ほかに 何があるだろう?
焦るな。
少し 頭冷やして ゆっくり考えろ。
う~ん でも…。
今 ひらりにしかできない➡
相撲関係の大仕事が 一つある。
えっ?
久男を 梅若部屋に入れること。
分かった。 今は それだけ考える。
(みのり)フフフッ…。
(恵子)ん? ううん 3人とも いつもながら➡
キャリアウーマンみたいな格好 してんなあと思って。
知らない人が見たら すごい仕事してんのかと思うよ。
(芳美)洋服はキャリアウーマン。 仕事は雑用。
この差が 女に哀感を与えんのよ。
せめてさ 外見ぐらい 明るく 格好よくしてなきゃ 格好つかないよね。
つかない つかない。 それじゃなくったって➡
やっぱり 丸の内のOLは どっか違うって言われるもん。
丸の内じゃなくてもいいからさ もっと こう 別な生き方したいなあ。
どんな? 分かんない。
分かりゃ やってるわよ。 うちの妹って すごい行動派なの。
思ったとおりのこと ガンガンやるのよ。
そばにいて 嫌んなっちゃう。
私らみたいにさ はたから見て 格好いいOL 一度やっちゃうとさ➡
なかなか 下手には動けないんだよね。
そうそう。 どんなに転職しても ここより落ちるって思っちゃうもんね。
私の格好見るとさ ご近所のおば様たちが言うわけよ。
「恵子ちゃんは いい仕事あり 恋人あり 将来の展望ありでしょ」って。
どれもこれもないっての。
それでも 見栄張って こういう格好して➡
どれもこれもありって顔を しちゃうのよね。
(恵子 芳美)うん。
(ゆき子)はい これ。 お見合い。
(銀次)何だ またかよ。
いい子だよ 銀次君。 はい…。
何だ おめえの知り合いか。
んじゃ それだけで お断りだ。 おい 銀次 帰ろう。
(ゆき子)待ってよ お父ちゃん。 また けんか。
おじいちゃんたち いっつもそうなんだから。
こちとらな 腕一本 すね一本の仕事師だ!
生まれてこの方 宵越しの銭は 持ったことねえんだい。
宵越しの金は持たねえだのと 粋がってる御仁に限って➡
一円の金に泣く。
ケッ 何を言ってやがんだい。
大正時代の郵便局の標語みてえなこと 言いやがって。
ズレてんだよ お前は。
銀次 帰ろう。 (銀次)お騒がせしました。
(金太郎)冗談じゃねえや。 (ゆき子)銀次➡
それなら せめて 工務店か何か入って 安心させてよ。
あ~… おいらはよう 喜んで 父ちゃんの跡 継いでんだよ。
潰れる仕事は はなっからパスなんていう やぼじゃねえよ。
俺はよ 世の中の人ってのは トビなんて もう先がねえと思ってるよ。
おじいちゃんには 悪いけども 質屋だって同じですよ。
けどよ おいらはそうやって 何でもかんでも この 何だい➡
時流に合わねえとか何とかって 切り捨てるのは 俺 性に合わねえんだ。
おう 銀次 おめえ 今日は立ってても いいこと言うじゃねえか。
(ゆき子)銀次 人は食べて 生きていかなきゃなんないの。➡
あんたみたいに トビが好きだの 誇りだのって言ってたんじゃ➡
仕事になんないのよ。 もう少し安全に生きること考えてよ。
姉ちゃんよう 人ってのはな いつか 安全な天国 行くんだよ。
娑婆にいる間は 多少危なかろうが 好きに生きりゃいいんだよ。
(金太郎)ヘヘヘヘ…。 (小三郎)よ~し 分かった。
(銀次)どうも いろいろ すいません。
いいって。 オヤジさんに言ってやんなさい。
バカなオヤジより よっぽど骨のある息子だってな。
やい 銀次 そこに座ってる ジジイに言ってやれ。
バカな野郎に せがれを褒められたって ちっとも うれしくねえって。
どうも すいません。 お騒がせしました。 どうも すいません。
(戸の開閉音)
ったく 銀ちゃん 言いたい放題言って帰っちゃったよね。
うん… でもさ あれじゃ 質屋 継がなかったお父さんの立場ないよ。
うん…。
ん? どした? 元気ないね。
まあ…。 どっか 具合悪いの?
いや…。
娑婆にいる間は 危なかろうが 好きに生きりゃいいのかなって…。
そうよ。 久男 力士になろうかなって 思ってんじゃない?
そうじゃないよ。 ただ 言っただけ。
すぐ そういう言い方するんだから 頭 来る。
何よ はっきりしない男!
プライドばっか高くて 意地になっちゃって。
ケロッと 力士やりたくなったって 言っちゃえば済むじゃないの。
もう やめて。
ケロッと言えないタイプだって あるのよ ひらり。
煮えきらないやつ 大っ嫌い!
じゃあ 煮えきってやる。 俺は 力士なんか 死んでもならねえからな。
どうぞ。 さっさと秋田に帰んな。
帰る。 明日 帰るよ。 (みのり)あっ ちょっと…。
女であるために 相撲の仕事に就けない ひらりは➡
男なのに グズグズしている久男に➡
八つ当たりしている自分を 感じていました。
それと同時に 帰られては困ると 焦ってもいました。
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