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(のぞみ) キャッ!
キャ~!
「君が跳んだ 水たまりへと」
「街の翳が」
「雪崩れてゆくよ」
「手のひらの上に」
「太陽を乗せて」
「心の暗がり照らし出しておくれ」
「Dreaming Girl Dreaming Girl」
「雨上がりの少女」
「Dreaming Girl 君と」
「めぐり逢えた」
「素敵な奇跡」
「Dreaming Girl」
(鶴島) いよいよ 諸君が 全国の 実務修習地へ 飛び立つ日が迫ってきた。
そこで この3か月余りの 研修所での講義成果を確認するために
前期最終講義は 刑事模擬裁判を行う予定だ。
期日は 来週 7月7日 午前10時から。 事案は 傷害事件だ。
捜査記録その他は ここに用意してあるんで
あとで 各自 必要に応じて 取りに来なさい。
じゃあ まず 希望者 募って 役割を決めよう。
裁判官 検察官 弁護人 その他 各役割に決まった者は
実際の裁判を行うつもりで 真剣にやるように。 いいな?
はい! (笑い声)
いい お返事だね 南田さん。 いえ…。
(鶴島) 君の志望は? はい。 弁護士です。
ほう… 弁護士かね。 じゃあ 君 弁護人やってみないか?
えっ? (鶴島) 嫌か?
いえ! やらせていただきます。
おっ! (拍手)
よし! じゃあ まず 弁護人は決まった。 次は 裁判官だ。
(油座) 教官! 何だ?
恐れながら 私に 裁判官を やらせていただけないでしょうか?
お~ 立候補か。 はい。
私 裁判官志望なのですが 43歳という年齢からしても
客観的に見て 任官は無理かと思われます。
ですから たとえ 模擬裁判でも 一生に 一度だけでも
裁判官をやらせていただけねえかと…。
(鶴島) 分かった。 君 裁判長だ。
ありがとうございます! ありがとうございます!
ありがとうございます! (拍手)
ほかに 希望者いないか?
よし。 じゃあ 裁判長。 はい。
(鶴島) 残りの右陪席 左陪席 それから 検察官は 君から 推薦しなさい。
はい! では 単純にいきます。
右陪席には 右に座っておられる 難波さん。
はあ…。 よろしく。
…で 左陪席には 左さに座っている 大野さん どうですか?
分かりました。 あとは 検察官ですが…。
(小声で) よろしく。
星野さん お願いします!
(星野) はい。 ゲッ…。
(油座) 教官 よろしいでしょうか?
よし! じゃあ 被害者は 君。 それから 被告人は 君だ。
(リキ) 司法研修所での 最初のメインエベント 模擬裁判で
弁護人と検察官として 天敵 星野雄治と 真っ向から 闘うことになった
のぞみ嬢ちゃんでありました
(あづさ) 模擬裁判? そう。 実際のね 裁判と おんなじように
修習生だけで裁判を進行させるの。
(薫乃) ああ 教育実習みたいなもんね?
医者なら インターンの 診察みたいなもんかしら?
そう。 それで 弁護士に指名されたの。
えっ!(薫乃) へえ~。 大丈夫なの? できんの?
頑張るわよ。 頑張ってよ。
⚟(優 桃子) お邪魔しま~す。 あら!いらっしゃい!
(あづさ) あら! (優) 飯 まだだよな?
(薫乃) あら 残り物? (桃子) 貸し切りパーティーの残りなんですけどね…。
あっ お義母様 お取り皿 もう少し ありますか?(薫乃) はいはい。
うわ~ おいしそう! でしょう? でしょう? フフフ。
はい どうぞ。 まあ たまには いいとこあるわねえ。
「たまに」じゃありませんわ。 しょっちゅうでしょ お義母様。
のぞみ 学校 どうなんだよ? うん。
あっ 早速ね 弁護人に 指名されたんですってよ。
(優) 何 それ?模擬裁判。 へえ~ すごいじゃないかよ。
…で 何? どんな事件なの? あっ それがね 結構難しい事件なのよ。
あっ こんなの どう思う? えっ?
え~っとね 街を… え~っと そうね 谷中の駅前を
大学生のカップルAが デートしてました。
デート。 そうそう…。
叔父ちゃんと桃子さん はい こっち来て。 えっ? ちょっと待って…。
え~? 私たちがやるの?
カップルA。あ~ じゃあ こうだね。 そうそう…。
それで え~っと その少し離れた所に はい! カップルBが いました。
お母さんたちまで やんの? こう?
いい感じ。 実況見分みたい。 何言ってんの 早くしなさいよ。
はい。 そうね… 例えば 時間は 金曜日の夜 11時頃。
場所は 居酒屋 ジャイアントの前の 路上ね。はいはい。
面白そうじゃない。 ねっ? それで え~っと
中年の酔っ払いが 通りかかりました。
⚟(達也) ただいま! あっ グッド タイミング!
(達也) 腹減った~。 お帰り!
あっ? 何やってんの?
実況中継。 「中継」じゃないの 「見分」。
そうそう…。 今度 のぞみがさ
模擬裁判で 弁護士役やることになったんだよ。
達ちゃんも 手伝ってよ。 俺? 何やんの?
酔っ払いの役。 えっ?いいじゃない!
デート中のね 大学生が ここに 歩いてたの。
すると そこへ 酔っ払いのサラリーマン 43歳が 通りかかり
イチャモンをつけるのよ。 何だよ それ。
イチャモンつけて ほら。 (優) イチャモン イチャモン。
こら てめえら この野郎! えっ?
若いくせにな 酒なんか 飲んでんじゃねえよ!
すげえな おい。 俳優みた~い!
ジャラジャラしてんじゃねえよ!
うまい! すると 女性は 「あっちへ行け 酔っ払い」と言い返しました。
あっち 行けよ 酔っ払い! おお…。
地が出るわねえ。 義母さん!
すると 怒った酔っ払いは 女性の髪をつかんで引きずり回しました。
えっ えっ? てめえ この野郎!
お前 やりすぎだ。 それ やりすぎ…。
こら 達也!
嫌だ もう~。 リアルだろ?
なにが 「リアル」なの! 達也! こら!
よし… ほら!
いてててて! 参った 参った。 ギブ ギブ ギブ! ごめん ごめん…!
(優) どうだ~。 まさに これだわ。
(優) えっ? 髪を引っ張られた女性の恋人は
やめさせようと 酔っ払いに 殴りかかり
通りかかった 別のカップルの男性も 助けようとして 手を出しました。
えっ? だって当たり前じゃない。 だって 達也…
いや この酔っ払いが 悪いんだもの。
ところが 酔っ払いが 手を離して逃げたあとも
腹の虫が おさまらなかった恋人は
追いかけてって 殴る蹴るの暴行を加えて
全治6か月の ケガを負わせたの。
(優) こうだな? ハハハ…。
殴った恋人は 結局 過剰防衛の傷害罪で 懲役1年
執行猶予3年ってとこね。 えっ 俺 有罪になっちゃうの?
そうよ。 助けるためよ。 正当防衛じゃない こういう時。
うん…。 でも 駄目なの。
いくら 助けるためでも 酔っ払いが 手を離したあと
追いかけてって 殴って蹴って 全治6か月じゃ
過剰防衛で 罪になっちゃうの。 (優) え~? 理不尽だな。 そりゃ…。
でも まだ それはいいの。 問題は その次。
私がやる事件の被告人は お母さんなの。
えっ? お母さん? どうして? だって ねえ?
桃ちゃん 助けるために 手ぇ出したのよ。
でも 酔っ払いが 手を離したあと 叔父ちゃんと一緒に追いかけたでしょ。
それはさ 止めに入った勢いじゃないの。
でも 検事は 追いかけたのも 殴ったのと同罪として 起訴したの。
え~? そんなのないわ ねえ! おかしいわよ それは。
おい 変だよな? そうよ! どうかしてんじゃないの?
助けるために 止めに入った通行人が 有罪になるなんて あんまりよね…。
だって 被告人が 手を離したあとは 追いかけただけで
殴ってないんだもんね。
熱心ですねえ。
ええ。 私 負けませんから。
そうですか。 期待してますよ。
こんにちは。 (弥市) ああ… 学校かい?
はい。 じゃあ。 あっ のぞみちゃん!
はい。 何か?
いや… 家族って いいもんだね。
家族だけは 取り替えがきかないよな。
はあ…。
(達也) 姉ちゃん 姉ちゃん。
何? ちょっと… ちょっと来いよ。
すみません。 じゃ 失礼します。
何? どうしたのよ? 来てんだよ。
来てるって 誰が? 決まってんじゃん。 あいつ。
お父さん? どうする? 2人で バックレる?
(あづさ) 千葉へ? (徹) ああ。
臨海に 今度 新しく街が出来たろ?
あそこで 新しく店をオープンするんだけどね
俺も 売り場主任として 行くことになったんだ。
そう。 ああ…。
通勤1時間。 満員電車で通うよ。
誰でも やってることですよ。 えっ? ああ まあ… そりゃそうだ。
いや それの報告とね それから…。
これだ。
ボーナス。 うん。
いいわよ。 お金なんて。
いや でも… これぐらいしか できないだろう。
離婚したのに 養育費も渡せないわけだしさ。
まあ それにね 初めて もらったボーナスだから。
その年で 「初めてもらったボーナスだ」なんて
本当に 情けない。 そう言うなよ。
いや… これ 渡したからって すぐに 家に入り込めるとは思っていません。
当たり前ですよ!
これっぽっちのお金でね 免罪符だと思われたら困るわ。
ますます手厳しいね 母さん。
私 お茶いれます。 あっ あづささん 私が…。
こんにちは。 あっ… やあ お邪魔してるよ。
座りなさいよ。
(あづさ) 達也も。
元気か?はい。 ああ。
おう 達也は? まあ。
いや 会えてよかったよ。 福島に行く前にな
これを 渡しておきたくて。
え~っと のぞみのは こっち。
達也のは こっちだ。 何ですか?
のぞみのは 万年筆。 達也には 腕時計だ。
(徹) いや まあ そんなに 高いもんじゃないけどさ
時計は いくつあってもいいだろう?
それに 弁護士は 書くのが商売らしいな。
あっ 人から聞いたんだけど 今でも 大事な書類は
ワープロじゃなくて ペンらしいな。
まあ… 使い慣れたのが あるかもしれないけども
まあ よかったら 使ってくれ。 餞別だ。
ありがとう。 (徹) うん。
どうも。
あっ 今度は 母さんと それから 君のも 買ってくるよ。
(チャイム) はい。
お母さん 出るわ。
はい。 どうぞ。
あら。 こんにちは。
(タイガー原田) おい! (勝照) ウッス!
の… のぞみさんは いらっしゃいますか? えっ? ええ…。
のぞみ。 ⚟はい。
あっ こんにちは。 ウッス!
福島に行かれると聞いたので… 餞別代わりであります!
あら~。 ありがとう! きれい。
(小声で) 好きです。 えっ?
(小声で) 好き… です。
おい! しっかりしろ!
好きです!
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