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「君が跳んだ 水たまりへと」
「街の翳が」
「雪崩れてゆくよ」
「手のひらの上に」
「太陽を乗せて」
「心の暗がり照らし出しておくれ」
「Dreaming Girl Dreaming Girl」
「雨上がりの少女」
「Dreaming Girl 君と」
「めぐり逢えた」
「素敵な奇跡」
「Dreaming Girl」
(リキ) のぞみ嬢ちゃんが 司法修習生になって 10日がたちました。
春 4月。 本当なら 希望に あふれた 季節なのでありますが…
(あづさ) へえ~。 そんなに 変わった人ばっかりなの? フフフ。
(のぞみ) くせ者ばっかり…。
(薫乃) まあね 検事や裁判官に なろうって子たちだもの
一筋縄では いかないわよねえ。
そのねえ 「子たち」ってのが 大体 間違ってるのよ。
一番上はねえ 43歳なのよ。 (達也) 43!?
変わりませんよ 私と。 20年 受け続けてねえ
やっと通ったんだって…。 へえ~! 何か勇気出るなあ その話。
でも まあ その人は くせ者っていうよりも
面倒見のいい おじさんなんだけどね いっつも ニコニコしてるもんだから
かえって 何か 何考えてるか分かんないのよ。
おまけにね やたら明るい 海南大のバスケ部は
両親が弁護士の超エリートで
一度も 挫折を味わったことないって 顔してるのよ。
それでね 日本橋の呉服屋の若旦那は
見た目と違って いっつも いじけてるし
医学部にいて 現役で司法試験 受かった 超秀才女は
ほとんど 感情見せない ロボットみたいな人なの。
極め付けに 天敵まで 一緒なんだから…。
あ~あ 福島行く前から 気が重~い。
天敵って 星野のこと? そうよ。
あら どうして あの人が天敵なの? えっ?
天敵よ。 だって あの人は 私のこと すっごく バカにしてるんだから。
そうなの~? 受験の時 いろいろ アドバイスしてくれたんでしょう?
でもさ 縁があるんだよなあ 何か 星野と姉ちゃんって。
えっ? (達也) だってさあ 何百人もいる中の
たった6人に選ばれたんだろ?
それは 今年は 希望地に 福島って書く人が 少なかったからよ。
8つの希望の中に 福島って書いた人はね 大体 みんな 福島になるの。
いや 何か 赤い糸を感じるねえ。 ハハハハ!
やめてよ! あの人は 本当に 私の天敵なんだから!
さようでございますか。 何よ! 達也こそ
真紀ちゃんとは どうなってんのよ? どうも なんないよ。
いいかげんに はっきりしてあげなさいよ。
まあ そうよ。 俺は はっきりしてるじゃん!
向こうが 勝手に 付きまとってくるだけだよ。
それより 仕事は どうなの?
んっ? やってますよ。 ちゃんと 考えてます。
だったら いいけど あんた 一生 バイトなんて言ってんの 嫌よ。
はい…。
のぞみもよ。 試験 受かったからって いつまでも 浮かれてたら
取り残されちゃうわよ! は~い…。
「次の風 待ちつつ二羽の 巣立ち鳥」。
ほら! うららさんへの お手紙よ。 手紙?
2人で 文通してるの。 え~?文通!?
そうよ。 こうやってね 俳句を 1つだけ書いて 送るのよ。
ほかには 一切 何にも書かないの。
それだけで 言いたいことを表現し合うのよ。
まあ~ ちょっとした相聞歌でしょう? ねえ?
ソウモンカ? あ~ 嫌ねえ あなた~。 味気ないこと!
お互いの気持ちを 歌に託して 送り合うのよ。
ふ~ん。 気持ち悪い。
あら どうして? だってさ 結構 ケンカしてたくせにさ
ちょっと離れると すぐ こうだもんな。 だから 年寄りは怖いんだよ。
あら。 あ~ こら!
「にぎやかな 朝餉に山も 笑ひ出す」。
うららばあさん こっちは とりあえず みんな 元気でやってますよ
(いびき)
(油座) はっ! (鶴島) 急迫不正の侵害を避ける手段を
正当防衛と言う。 まあ こんなことは とうの昔に ご存じだとは思うが。
この正当防衛の判断は刑法では 最も複雑で 微妙だと言われている。
証言一つで 有罪か 無罪かが 分かれることも まれではない。
今日は この正当防衛が問題となった ある傷害事件の判決文を
諸君に 起案してもらう。 即日起案だ。 (ざわめき)
提出は 4時半まで。 時間厳守。
え~ この正当防衛は 模擬裁判でも 扱う予定なので
そのつもりで 判例を研究しておくこと。
いよいよ来たない。 魔の起案が。 いきなり 即日で 判決文だなんて。
しかも 難物の 正当防衛の起案だ…。
おっ 星野君は 自信ありそうだぞい。
えっ?
やりましょう! 私たちも。 えっ?
「事件は 昭和53年6月…」。
初めて 判決文を書く。
張り切って ペンを握った のぞみ嬢ちゃんではありましたが…
どうやら 結果は 全く駄目だったようであります
(赤松) おい 見せてみろ。 えっ? あっ いいです。
いいから ほら 見せてみろ。 いいですよ。 本当に 真っ赤なんですから。
何を 恥ずかしがってんだ。
仕事となったらな どんな まずい書類だって
それを基に 人は動くんだぞ。 はあ…。
ほれ!
はい…。 うん。
ありゃ…? だから言ったじゃないですか。
あ~ 「講評に及ばず」ってのは フフフ 初めて見たな。
笑わないでください! (ノック)
あっ 私 出ます。 ああ。
あっ…。(星野) よう。 何しに来たんですか?
用がなきゃ 来ちゃいけないの? こんばんは。
おう お前ら おんなじ日に 来るなんていうのは 気が合うんだねえ。
ええ。 え… えっ?
あっ! この真っ赤っかなの 何ですか? あっ ちょっと見ないでよ!
いいじゃないかよ。 え~?
ああ… 教官が講評できんだったら おい 星野に講評してもらえ。
嫌です! 君も 星野を講評すればいいじゃないか。
え~? その方が 2人とも勉強になるだろう。
おい 出せ。 いいですよ。
どうだ?
あっ… よくできてるなと思います。 うん? それだけか?
特に 正当防衛の防衛意思の判断は よく 判例を読んでいるなと思いました。
お前は? はい… 論旨が めちゃめちゃですね。
特に 前半と後半じゃ 別の人間が 書いてるみたいだ。
そうだなあ。 まあ 前半は ともかく 後半は 判断が ゴッチャになっている。
それじゃ 被告人は 首をかしげるぞ。
はあ…。 防衛の意思があるのか ないのか よく分からなくて…。
ああ…。 しかし… まあ よく分からないにしては
判決文の体裁が 最後まで ちゃんと 整ってるじゃないか。
もう とにかく 時間内に 書かなきゃと思って…。
あれか? 「一か八か やっちまえ」って やつだ。
はい。 ああ… それだな。
えっ? 何で「講評に及ばず」とまで書かれたのか。
それは 時間内に 字だけでもいいから 埋めてしまおうという
無責任な態度が 透けて見えたからだ。 はあ…。
そりゃ まあ 試験なら 「一か八か 書いちゃえ」っていうこともあるが
いいか? 実際の判決文は 被告人の人生を 180度 変えてしまうこともある。
その恐ろしさが そこには感じられん。
だったら 時間切れで 途中で出した方が よっぽど マシだ。
はい。
人間が… 出るぞ~。
そういう 決まりきった文章でもな
いや… 決まりきった文章だからこそ 人間の本質が出る。
本質? ああ 大げさに言ってるんじゃないんだぞ。
そこには 君の 思いっきりはいいが 軽はずみな性格が そのまま出てる。
おい お前のは 「間違ってなければ いいだろう」っていう
かたくなな考え方が出てる。
(赤松) 2人とも まだまだだね。
フッフフ… いや~ 若いやつを いじめるっていうのは 楽しいねえ!
意地悪~い。 そうですよ。
おっ! お前ら たまには 意見が合うんだね。 ハハハハ…!
(ノック) はい どうぞ。
(進藤) 赤松先生は? あの~ どちら様でしょう?
あんた! 何度 言ったら 分かるんだ!
これ以上 ひっかき回さないでくれ! 頼むよ…。
私らだって 生活があるんだよ! ああ… 分かりました。
分かってたら どうして 私らまで 何度も 何度も
法廷で 引きずり回したりするんだよ!
ゆっくりと 話は 伺いますから。 ねっ?
おい 客だ。 帰れ。
でも…。
行こう。
いいから。 なっ? 帰りなさい。
お待ち。 はい。
被告人の家族? うん。
取材で 法廷を傍聴した時 見たことあるんだ。
例の埼玉の事件の 逮捕された高校生の親戚。
そう…。 弁護側の証人として
何度も 法廷に出廷しているうちに 嫌になったんだろうな。
でも 親戚なんでしょう?
裁判って 言わなくてもいいこと いろいろ 聞かれたりするから
長引くと きついんだよ。 うん…。
やってけるかなあ 私…。 うん?
突っ走って 試験受けて 首尾よく 修習生には なれたんだけど…。
起案で 自信なくした? それも あるんだけど…。
じゃあ 何?
「人間が出るぞ」なんて言われたら 怖くなっちゃった。
フッ 出たら困るような人間?
意地悪ねえ!
大丈夫だよ。 えっ?
まあ 弁護士になったら 一人ぐらいの心は救えるんじゃない?
たった一人? いいじゃない。 一人 救えれば。
立派なもんでしょう。
それも そうね。 たまには いいこと言いますね。 はい。
何だよ? 急に…。
ねえ 星野さん。 うん?
この間 お父さんの話 ウソだって言ってたけど
本当は 本当なんじゃないですか?
俺の親父さ… 10年前に 有罪判決 受けたんだ。
あっ… 別に いいんですけど ちょっと 気になったから。
はあ… どうかしてた。
女なんかに話したこと なかったのになあ。
彼女とか いないんですか? えっ?
あっ 別に いいんですけど
全く プライベートな話 したことないなと思って。
してほしい? 別に。
彼女は いない。 ふ~ん。
つくる暇 なかった。 暇で 恋愛って するもんなのかなあ?
じゃあ 訂正。 女に 暇 かけるより 早く 司法試験に受かりたかった。
冷たい人。 そんなことないよ。
俺だって 強烈に好きな女はいるんだぜ。
ああ そうですか。 失礼いたしました。
でも 初めてですね 星野さんと こういう話 するの。
お勘定。 えっ?
君 起案 やり直した方がいいよ。 また あんなんじゃ 笑い者だぜ。
はい。 毎度。
分かってますよ。 へい お釣り。
俺と対等に飲んでる暇なんか ないんじゃない?
あっ 書き直したら 見せろよ。 また 講評してやるから。
結構よ!
あ~あ せっかく 友好ムードだったのに 最後は やっぱり この始末。
天敵は やっぱり 天敵なのでありましょうか?
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