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「君が跳んだ 水たまりへと」
「街の翳が」
「雪崩れてゆくよ」
「手のひらの上に」
「太陽を乗せて」
「心の暗がり照らし出しておくれ」
「Dreaming Girl Dreaming Girl」
「雨上がりの少女」
「Dreaming Girl 君と」
「めぐり逢えた」
「素敵な奇跡」
「Dreaming Girl」
(のぞみ) こんにちは。
(リキ) 大変なことになりました
家を出て1か月の のぞみ嬢ちゃんと
家を出て20年のパパさんが ばったり鉢合わせ。
知らせを受けた あづさ先生と 薫乃ばあちゃんが
駆けつけることになったのです
(うらら) 頑張ってない…。 はあ~ 気ぃ付けてない。
(薫乃) はい うららさん。 あの~ お夕食ね 冷蔵庫に魚が入ってますから…。
そだごとは心配しなくたって いいぞい!
(あづさ) 達也! 本当に 行かないのね?
(達也) 行かねえよ。 修羅場 見たくねえもん。
(あづさ) そう。 じゃあ 話が ひととおり 終わったら 電話するから 後で来なさい。
ああ…。 出かけちゃ駄目よ。
分かってるよ。 じゃあ お母さん お願いね。
ああ。 じゃあ 行きましょう。
(優) さあ お待たせしました。 これが 当ジャイアント自慢の
え~… 16文ハンバーグです。
(桃子) 2人で ちょうどいいぐらいだから 仲よく分けて食べてね。
どうぞ。
あっ 今 コーヒーいれてくるわね。 あっ それとも ワインの方がいいかしら?
コーヒーでいい。 帰ったら 勉強しなきゃいけないから。
あっ そりゃ そうだね…。
あっ じゃあね カプチーノデラックスか何か いれるから。
あっ そうね。 ゆっくり 食べてて… あの… 2人でね。
(徹) あれ? 食べないの?
今 おなか すいてないんです。 (徹) あれ? そう…。
本当に すいてないんです。 それだけです。
うん… いや~ もっと いっぱい 食べるのかと思ったよ。 ハハッ。
背が高いからって いっぱい食べるわけじゃありません。
うん… 牛乳が よかったのかな?
牛乳? うん…。 ハハハ。
福島のおばあちゃんが ほら 牧場から送ってくる牛乳…
水代わりみたいに飲んでたもんな。
覚えてません。 全然 覚えてません!
(徹) フフフ…。 一つ 聞いてもいいですか?
「フフフ」って 何が おかしいんですか?
えっ… あっ いや…。
私は とても笑う気になれないんです。
そちらは もっと そうなんじゃないですか?
の… のぞみ… 「そちら」っていうのは 何か 変なんじゃないか?
いや いいんだよ そんなの…。 いいよ 呼び方なんて どうでも… なあ?
ハハッ…。
いや… おかしいわけじゃないんだよ。
あの~ 怖くて… つい ニヤニヤしてしまうんだな…。
怖い? ああ。
「弁護士になりたい」なんて言うからさ
どんなふうに とっちめられるかと思って…。
何か… 何か 卑屈な言い方!
おい のぞみ…。 のぞみ… まあ 座れよ…。 なっ?
お母さん。
お義母さん…。
2人? まあ 奥へ入ってよ。 狭い店だけど…。
ああ 知ってるか…。
しばらくです。 しばらく…。
それだけ? (優) 母さん!
(あづさ) 達也は 連れてきませんでした。 あんまり急なので 驚いてるみたい。
ひととおり 話が終わるまで うちで待つように言ってあります。
うん…。
「しばらく」に 「うん」じゃないでしょう! 謝りなさい! まず謝りなさい!
人を 何だと思ってるの!
ごめんなさい。
すみません!
(うらら) 行がねぐって いいのかい?
俺だけ 親父に会ったことないんだぜ。 おふくろだって困るでしょう。
親父をさ 「このバカ!」って どならなきゃならないわ
初対面の俺に 「ここに おわすが あなたのお父様よ」って
紹介しなきゃならないわじゃ 大変だよ。
会ったことねえがら みんなと一緒に
ドド~ッと会っちまった方が いいんでねえかって言ってんだ。
ドドッと ドドッと。
茶化すんでねえの!
お膳立てされて 取り繕ったお父さんに 「初めまして」なんて 言われてえかい?
私はない もし 一緒にやってくんだら
みんな 裸のとこから始めた方が いいべって思ってんだ。
人間 取り繕ったって 知れてんだかんない…。
やめよう。 お義兄さん… やめましょうよ。
おかしいわよ。 今どき 土下座なんて。
今も昔も ありません。 悪いものは 悪いのよ!
でも…。 やめてよ! 早く 顔 上げてよ!
そうだよねえ。
ひきょうよ!
スタンドプレーよ!
そんなことされたら 誰も 何も言えなくなっちゃうじゃない!
それも そうだな…。
よし…。
いや すまん! 今日 会うとは 思ってなかったから
何にも用意してないんだよ。 金も… それから 言葉も…。
いや もっとも 日を改めたところで 威張るほどの財産も 何にもないけどね。
ハハハ… あっ…
いや せめて… 正直になるしか できないってわけです。
何でも 言ってください。
じゃあ… 言わせてもらうわ。
あっ… どうぞ。
私が 一番苦しかったのは いつか 分かる?
さあ? 簡単に答えないで。 考えて。
いや それは… 出てった時だろう? 違うわ。 この半年よ。
あなたの居所が分かってからの半年。
手紙 読んだ? はい。
どうして 半年も 返事 くれなかったの?
(徹) いや それは… 書けなかった。
帰るのか 帰らないのか すぐには決められなかったんだよ。
「すぐには」って 半年もあったじゃない!
いや もちろん 「すぐ帰ろう。 今すぐ 帰ろう」
そう思う気持ちもあった。 でも… それと同じだけ
「帰るのが怖い」って気持ちも あったんだよ。
また 「怖い」? (徹) ああ 怖いね。 怖いんだよ。
責められるのが 怖い。 居場所のないのを知るのが 怖い。
それから… いっぺんに 4人もの家族を抱えるのが 怖いって。
なにが いっぺんになの?
あなたはね 戸籍上は ず~っと 家族を抱えてるのよ。
連れ子 ババつきの未亡人と 再婚するってわけじゃないのよ!
(徹) すみません…。 いや 情けないけど
今日は せめて 正直に 誠実に 答えようと思ってさ。
離婚届は どうなの?
お母さんが言ったとおり 無事を知らせる便りだったの?
はっきり答えるんでしょう?
ああ 半分は そうだ。
お母さんが いつまで 俺を待っててくれるか
試したいような気持ちがあった。
残りの半分は? (徹) うん…。
「別れるんなら もう さっさと 引導を渡してくれ」って気持ちだった。
もう さっさと ややこしいことなしに
もう すっきりしてしまいたいって 気持ちだったんだ。
そう…。
(優) いいんじゃないのかなあ。
あの… 完璧に 何の曇りもない 気持ちなんて… ないもん。 なあ?
うん! そうよ。 洋服一つ買うのだって
「欲しいけど 似合わなくなっちゃったら どうしよう」とか
「お金も なくなるしな」とか いろんなこと考えるもの…。
洋服と一緒にしなさんな!
あなたはね いつも たとえが変なのよ。 はい。 はい すいません。
私… 嫌!
お母さん 嫌じゃない!? こんなに はっきりしないの。
のぞみ!
はっきりしてよ! お父さんは どうなの? 帰りたいの? 帰りたくないの?
どっちかにして。
「はっきり」か…。
出てって! すぐに「帰りたい」って 言えないような気持ちなら
もし 帰ってきたって うまくいきっこないわ!
その程度の気持ちなら 何かあったら また すぐに出ていくに決まってるもん!
なにが「正直に」よ!
「正直に答える」って 開き直ってるだけじゃない!
ちょっとでも 私たちのこと 思う気持ちがあるなら
ウソでも強がりでも
「お父さんは お前たちのことを 20年分 守ってやるぞ」ってぐらい
言うべきでしょう!? それぐらいじゃないと
ついていけないわよ!
行ってよ! 行っちゃってよ!
分かった…。
それじゃあ…。
待ちなさい!
逃げ出すの? 娘に ちょっと 言われたぐらいで 逃げ出すの!?
だったら さっきの土下座は何だったの!?
格好だけだったの!? 母さん…。
(ドアが開く音)
達也です。 そうか…。
いや せっかく来てもらったのに 申し訳ないけどな…
今… お母さんと お姉ちゃんと おばあちゃんに怒られてな…
逃げ出すところなんだ…。 じゃあな。 またな。
なじょしたんだい? 何か あったのかい?
お母さん 離婚して!
のぞみ… もう いいよ。 お前の気持ち 分かったから!
お願い 離婚して!
たったの ひと言も はっきり 「帰りたい」って言えないような人
待ってても 無駄よ!
私 もっと マシな人かと思ってた。
お母さんが待つくらいだから もっと もっと 男らしい人かと思ってた。
あんな人 待つ価値ない!
20枚の離婚届 全部に ハンコ押して 出して!
そこまで言うな! 決めるのは お母さんだよ…。
もう 決着つけて! 向こうが はっきりしないなら
お母さんが はっきりさせて!
こんにちは。
ああ… 家賃は 月末までに入れてくれよね。
あっ 今 持ってきます。 そう?
はい。 ちょっと待ってください。
さんざん 鋭い言葉を みんなに ぶつけてきた のぞみ嬢ちゃんでしたが
その言葉の一つ一つは 全て
自分の胸の奥も 深く傷つけていたのでありました
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