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「君が跳んだ 水たまりへと」
「街の翳が」
「雪崩れてゆくよ」
「不意に 微笑う」
「ただそれだけで」
「胸の棘が抜ける気がする」
「手のひらの上に太陽を乗せて」
「心の暗がり照らし出しておくれ」
「Dreaming Girl Dreaming Girl」
「雨上がりの少女」
「Dreaming Girl 君と」
「めぐり逢えた」
「素敵な 奇跡」
「Dreaming Girl」
(リキ) 久方の ありがてえ小春日和です。
達ぼんの泥棒騒ぎも一件落着し
南田家にも のどかな朝が 戻ってきた …はずだったんですが
(あづさ) 早くしなさい!
座りなさい。
(薫乃) どうかしたの?
いいえ。 一度 2人と ちゃんと 話をしとこうと思って。
(薫乃) 「ちゃんと」って 何を? 2人の これからのことです。
(薫乃) あ~ら そんな急がなくったって
あんなことがねえ… あったばっかりなんですから。
(うらら) んだんだ。 昨日の今日でねえか。
だから いい機会なんです。 (達也) 怖~…。
どう考えてるの?
あなたたち これから どう生きていきたいの?
お母さんね 昨日までのことは 一切 言わない。
本当は 言いたいこと 山ほどあるわよ。
どうして予備校に行かないのか ないしょで バイトなんかしたのか
何のために浪人したのか。
どうして相談もなしに 会社を辞めたのか 勝手に 結婚を決めたのか
働くってことを どう考えてるのか…。
でも 一切 言わない。
これまでのことは 一切 責めない。
だから 今日は これからのことを 話しましょう。 いいわね?
(のぞみ) はい。 うん。
じゃあ まず 達也…。 うん?
受験 どうするの? 年が明けたら すぐ 願書の締め切りでしょう?
はい。 分かっております。
あなた どこを受けたいか 全然 言わないけど 受ける気あるの?
うん まあ…。 (あづさ) あなた 本当に 大学行きたいの?
お母さん 「どうしても 大学行ってくれ」 って頼んでるわけじゃないのよ。
きれい事 言うつもりはないけど
大学行かなくても いっくらでも 生き生きできると思う。
でもね 受験勉強がつらいから 逃げで就職するなんてのは嫌。
いつも言ってるけど 自分で選んでほしいの。
じゃあ 今年いっぱい よく考えて
来年 願書が締め切られるまでに 答え 出しなさい。
あづさ そだ 自分で選べったって…。
いいの! この1か月 いろんなことがあって…
私も迷ったけど やっぱり 私は 私のやり方でやる。
自分の生き方は 自分で選ぶの。
つらくても 自分で選ばなきゃいけないの。
自分で選んだら賛成してくれる? えっ?
私 自分で選んだわよ。 えっ?
弁護士になる。
べ… 弁護士? のぞみが? えっ?
決めたの。 私 弁護士を目指す。 (薫乃) いつ 決めたの?
昨日。 (うらら) 昨日!?
達也のために 一生懸命やってくれる 赤松先生を見てて
これなら 心から打ち込める仕事だって思ったの。
んだ… 何だって 一生懸命やんのは いいことだわない。
(せきばらい) 何?
本気で 言ってるの? うん。
「うん」って… なれると思ってんの? はい。
大学の法学部 出たからって なれるもんじゃないのよ。
そんなこと知ってます。 まずは 司法試験に通らないとなれないの。
その試験 どれぐらい難しいと 思ってるの?
そうよ! ねえ? 世の中の試験の中で 一番難しいって聞いてるわよ。
37倍。 ゆうべ 本屋さんで調べたの。 調べた上で 通るつもりなの?
必死で勉強すれば 不可能ってことはないと思う。
はあ… 「必死」って 簡単に言うけど
ひとつきや そこら 必死でやれば いいってもんじゃないのよ。
私だって そこまで ノーテンキじゃないわよ。
何年もかけて勉強して それで やっと 合格する試験だってことぐらい
分かってる。 何年もって 何年ぐれえなんだい?
それは 人によりけりよ。
2年か3年で受かる人もいれば 10年以上かかる人もいるわ。
10年!? はあ 10年… 勉強ばっかし しでるっつうのかい?
うん。 のぞみも 10年やんのかい?
うん… 受からなかったら…。
そりゃあね 10年 20年 受け続ければ なんとかなるかもしれないわね。
じゃあ 聞きますけどね その間の生活は どうするの?
生活? ほかの仕事しながら 勉強なんて無理よ。
うん…。 お母さんが養うの? あなたが通るまで?
お母さん…。 それに 結婚は どうするのよ?
向こうのお父さんとお母さんの お許しが出たら すぐにするって
約束したんでしょう? うん…。
はあ… お母さん 仕事 持ってるから分かるけど
主婦ってね それほど 見てるほど楽じゃないのよ。
御飯炊いて 掃除 洗濯して
その余ってる時間に 勉強しようなんて思ったら 甘いわよ!
それとも あなたが通るまで 待ってもらうつもり? 10年かかっても?
(達也) 10年たったら… えっ 34! 34!?
ああっ やめなさい! 弁護士なんか やめなさい!
あら? あんた 反対すんのかい?
当たり前でしょう! いくら気の長い人でも
10年 待ってくれるわけがないでしょう。 まあない…。
まだ 10年かかるって 決まったわけじゃないわ。
うん。 そりゃ そうよ。 でもね
10年 受け続けたら 受かるって 決まってるわけでもないわ。
あっ ねえ むやみに 反対してるわけじゃないのよ。
あとのこと 考えてないから言ってるの。
迷ってばかりの達也も いけないけど
24にもなって 後先考えないで動いてたら 本当に痛い目に遭うわよ。
あなたのはね 選ぶっていうより ただの思いつき。
これからはね 何でも ちゃんと覚悟が できてから ちゃんと選んでちょうだい!
(ため息)
(優) まあ… これでも食えよ。
は~い。 頂きま~す。
(優) そうか。 義姉さん 久しぶりに ガツンとやったか。
(桃子) 最近 抑えてたからねえ。
パワー復活。 達也なんて シュ~ンよ。 そっちだって ガックリだろ?
まあね…。
しかしな のぞみが弁護士とはな。 やっぱり おかしい?
う~ん おかしいってことはないけど やっぱ 意外だよなあ。
おかしいに決まってんじゃん! 姉ちゃんなんか
どっから見たって 弁護士には見えねえよ。
(桃子) あら~ だけど よく ハリウッド映画なんかだとさ
美人の女弁護士さん 出てくんじゃん。 あれ かっこいいんだよね。
たきつけんなよ。 たきつけなくたって 一緒よ。
一旦 のぞみちゃんが言いだしたら 簡単に諦めるわけないもん。 ねえ?
(優) おいおい おいおい…。 一晩で諦めたら 女が廃るわ!
ほらほら。 じゃあ どうするんだよ? 結婚は。
これから 考えます。 (優) ちょっと待てよ おい。
義姉さん だって 反対してるんだろう?
「覚悟してから決めなさい」って 言っただけよ。
「反対してるわけじゃない」って言ったわ。 それはな お前… 反対ってことだよ。
そう? はあ~ 胃が痛えなあ。
おいしい!
う~ん…。 めげないのが のぞみ嬢ちゃんのいいところ。
小生の愛するところなんですが…
もちろん 反対よ。
やっぱり そうだよな…。
そりゃ のぞみの人生だから 絶対にやめろって 命令はできないけど
まあ 私の気持ちとしては 反対。
まあなあ… 何たって弁護士だもんな。 それに いきなりだったからね。
そうよ! もともと弁護士になりたいって 夢を持ってたんなら別だけど
たまたま失業中に 弁護士さんが 家族を助けてくれたから
弁護士になりたいだなんて ん~ 短絡的すぎるわ!
(恭子) えっ! どうしたの? 恭子ちゃん。
のぞみちゃん 弁護士さんになるんですか?
そうなのよ。 すご~い!
すごかないわよ。 なったわけじゃないのよ。
「なりたい」って言ってるだけ。 いや それでも すごいじゃないですか!
弁護士さんですよ! 言うだけなら 誰でも言えるわ。
そうかなあ? いや 俺 そうでもないと思うんだけどな。
えっ? いや~ 弁護士になりたいなんてことね
やっぱり なかなか 恐れ多くて言えないもんだよ。
え~? 優さん 賛成なの?
いやいや 賛成ってわけじゃないんだけども
「どこでもいいから 就職したい」 って言うやつよりは
ずっといいなと思ってさ…。
でも できると思う? のぞみに弁護士が 務まると思う? 大変な仕事なのよ。
でも 面と向かって 「なりたい」って言われちゃうとねえ
「よくぞ 言ったな」っていう 気になっちゃうんだよ。
そうですよねえ! 私も応援したいわ。
あら 何か 私一人だけ 悪者みたいじゃない。
いや そんなことないよ。 親ってのは そんなもんだよ。
子供だってね 壁があるから 頑張れるんだから。
頑張られたら 困るの! あ~ そうか そうか…。
優さんも恭子ちゃんも 司法試験に通るまで 何年かかると思う?
のぞみ 24よ。 今から勉強 始めたら 一人前になるまで 35過ぎちゃうわ。
35か…。
そりゃ 私も応援してやりたい。
でもね 一時の思いつきで 人生 180度 変わると思うと
いい顔も してられないの。 思いつきかな~?
思いつきよ。 この間まで 弁護士なんて 全然 興味なかったんだから。
でもね 結構 マジな顔してたぜ。
あっ! あっ あっ… 優さん 私を 説得してくれって 丸め込まれたのね?
あっ 違う違う違う! いやいや これね 誓って 違う!
ただね… ちょっと 新鮮だなあと思ってさ。新鮮?
ああ。 若いやつが 何かになりたいなんて 言うの 久しぶりに聞いたなあと思って。
今の若いやつら ほら 元気ないじゃない。
とにかく 失敗するの恐れてさ 人に笑われるぐらいだったら
何も言いたくない やりたくないって感じじゃない?
それに比べたら この のぞみの無鉄砲がね なかなか かわいいなと思って…。
もう~ のぞみには 甘いんだから…。
ただの思いつきだったらさ すぐに冷めると思うんだよ。
だから ちょっとの間 見ててやったら?
親はね かわいいだけじゃ 済まないのよ。
⚟(平川) ごめんください。 はい。
あら こんにちは! (平川) お邪魔します。
実は 交番に このような落とし物が届きまして…。
猫ちゃんね。 かわいそうにねえ…。
このところ ひどい時には 週に一度 こうして 犬や猫が届くんですよ。
週に一度もですか?はい。 最近 みんな 無責任なのよねえ。
あらら 元気なのねえ。 おまけに 相当な きかん気らしく
いきなり 手を かまれました。
あっ どこですか? いや 大したことないんですけどね
ここを ガブッと…。 どうぞ 消毒して差し上げます。
(平川) 違うんです 違うんです。 そのために来たんじゃないんです。
えっ? いや こいつ うちで今度
面倒 見ようかと思いまして 病気がないかどうか診ていただこうと。
「面倒見る」って飼ってくださるんですか?
はい。 いや 何となく ほっとけなくなりまして。
あら お巡りさん 優しいのねえ!
いつもは 大抵 とっとと 保健所に送っちまうんですが
必死で かみついてきたの見たら いじらしいって言いますか
何て言いますか 逆に かわいくなってしまって…。
よかったわねえ! かみついてみるもんねえ。
(鳴き声) あ~。 フフフッ。
失礼します。
こんにちは。 (赤松) ああ 君か。
昨日 ちゃんと お礼が言えなかったので 今日 改めて お礼に伺いました。
これ つまらないものですけど。 ああ そうか。
それから… 少し お話がしたくて…。
何してるんですか? うん? 見りゃ分かるだろ?
はあ… 磨いてるんですよね?
拾ってきたんだ。 今年最後の「燃えないゴミ」だ。
いろいろ 出物があった。 はあ…。
同情せんでもいいぞ。 拾ってきたからといって
別に 金がないから 拾ってきたわけじゃない。
まあ もっとも 金持ちというわけでもないがな。
はあ~ いや 俺はね 新品っていうのが どうも好かんのだよ。
独りが長かったせいか…
人の使ったものの方が落ち着ける。
お~ ついた ついた。 ほら… フフッ 立派についたろう。
…で 何の用だ? はっ?
話があるんだろう? はい…。
母に 考え直せって言われました。
何を? 弁護士になるのを…。
試験に通りっこないって 決めつけてるんです。
これでも 本気で勉強するつもりでいるのに…。
やめとけ。 えっ?
俺も 反対だ。 ええっ!?
君が弁護士になるのは反対だ。
おやおや… 頼みの綱の赤ゲンに 正面切って反対されるとは…。
敵は いつも 思わぬところから 現れるようであります
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