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「君が跳んだ 水たまりへと」
「街の翳が」
「雪崩れてゆくよ」
「手のひらの上に」
「太陽を乗せて」
「心の暗がり照らし出しておくれ」
「Dreaming Girl Dreaming Girl」
「雨上がりの少女」
「Dreaming Girl 君と」
「めぐり逢えた」
「素敵な奇跡」
「Dreaming Girl」
(あづさ) 私… 子供たちに 20年間 ウソをついてきました。
恐らく… 主人は ある日 ふらりと 家を出て以来
20年間 何の音沙汰もない… そう お聞きになってると思います。
(裕子) ええ。 そう聞いております。
それで その後 その… ご主人と つきあっていたという女性が現れて
「妊娠している」と告白なさった。 はい。
そして 主人の帰りを待つうちに 女性は子供を産んで 亡くなったと…。
(裕子) …で おばあ様と お母様が お引き取りになった。
子供たちには そう言ってきました。
(裕子) 違うんですか?
どう違うんですか?
だって…。(あづさ) 確かに主人は
ある日 ふらりと 家を出ていきました。
でも それは その女性が 妊娠を告げに うちに来た翌日でした。
主人は 私と 女性と おなかの子供から 逃げ出したんです。
その女性は… 私と同郷の 一番仲のいい友人でした。
死んでおりません。 今も 生きております。
(裕子) じゃあ… どうして お子さんを?
(薫乃) それは 私が… 引き取ったんです。
「産んだものの 一人では育てられないので
どこかへ養子にやりたい」と 言ってるのを聞いて
「だったら うちへ」と 嫁には無断で 私が引き取りました。
(薫乃) この人のこと 考えたら
よくも そんなまねができたものだと 思いますけど
私にとっては… やっぱり 血を分けた孫。 ましてや 男の子。
養子に出されるのは とても 黙って見ていられなかったんです。
(裕子) 戸籍は どうなってるんですか?
主人の行方が分かりませんので 認知はしておりません。
父親の欄は空白のまま
その友人から 私ども夫婦の戸籍に 養子縁組み いたしました。
母親は その後 別の男性と結婚したって 聞いておりますが
一度も連絡をとっておりません。
でも 私… この子を見て
主人への恨み つらみを 思ったことはありません。
むしろ 助けられました。 (裕子) そんな…。
私… この子を引き取ることで
主人を待っているという気持ちを…
自分の気持ちを 確かめることができたんです。
帰ってきてくれって 言いたかったんです。
主人からは 家を出て 1年後 離婚届が送られてきました。
私は 出しませんでした。
そして その1年後 また 離婚届が送られてきました。
役所で 離婚届が受理されていないのを 分かったからでしょう。
(裕子) それで? 出しませんでした。
その次の年も その次の年も 毎年 離婚届は送られてきます。
(裕子) 毎年? じゃあ 今も?私は…
主人は無事を知らせる代わりに 離婚届を送ってくるのだと思っています。
ですから… ですから 私は
待ち続けてることを伝えるために… 出さずにおります。
(達也) バッカじゃねえの。
なにが無事を知らせるためだよ! 向こうは別れたがってんじゃねえか。
それを勝手に いいように考えて 待ってるなんて バカみてえ。
さっさと出しゃいいじゃねえかよ!
お母さんは待ちたかったの… お父さんを待ちたかったのよ。
ハッ… ハハハ…。
一人の人を待つのが そんなに おかしい?
簡単に割り切って さっさと離婚届出して
新しい誰かと再婚したら… バカじゃないの。
そんな男じゃねえだろ! 親父はよ おふくろを捨てたんだろ?
おふくろだけじゃねえよ その女や 俺を捨てたんだろ!?
見ろや ひきょうな男じゃねえか。
ずるくて 自分勝手な 最低な男じゃねえか!
何で そんなやつ 待たなきゃいけねえんだよ。
(ものを蹴る音)
なにが「家族にウソつくな」だよ。
てめえが そんな でっけえウソ ついてんじゃねえかよ。
ごめんなさい。 (達也) 口は… 便利だよな。
(のぞみ) 達也…。 (達也) 姉ちゃん!
おふくろに ウソついたことあるかよ? あるよな 俺 知ってるぜ。
去年よ 大学ん時の友達と スキー行くっつってよ
本当は こいつと行ったんだ。 達也!
俺だってさ 本当はね 今までね いっぱい ウソついたこと あるよ。
学校 サボったし タバコ吸ったし。 (薫乃) やめなさい 達也。
でも その度にさ 「あ~あ。 ウソついちゃった」と思ったよ 俺。
ほんのちょっとだけどさ 胸が痛んだよ。 姉ちゃんだって そうだろ?
でも 本当は そんな罪の意識なんか 感じること 全然 なかったんだよな!?
(うらら) やめて… やめておくれ。 (達也) 俺が 19年間でついたウソ
全部 足したってよ おふくろの 今のウソには かなわねえからな!
まあ ゆっくり これからもさ 「待つ女」やってよ。
30年でも 40年でも待ってさ 純愛 貫き通してよ。
(達也) どうも お騒がせしました。
こんな家庭ですけど 姉ちゃんは 結構いい女なんで
よろしくお願いします。
それじゃ 皆さん ごゆっくり。
⚟(戸の開閉音とリキの吠え声)
すみません… ごめんなさい。
私… こんなつもりじゃ なかったんですけど…
あの… お子さんには もう何もかも お話しになってるってふうに
聞いてたもんですから… だったら 私の方も
はっきり お聞きしといた方がって…。 あの… 私…。(すすり泣き)
どうぞ。 すみません… すみません…。
(優) あの… とりあえず…
乾杯… というのは まあ 後回しにして… あの… 食べませんか?
せっかく 作ったんですから。
そうね! あの… いかがですか? せっかくですから。
(泰明) はあ…。 あっ それじゃあ せっかくですから…。
はい。 今日は リキ ごちそうですよ。 特別な日ですからね。
(リキ) …んなこと言ったって食べられません。
さっきの一件で 胸いっぱいなのであります
これ 夜 食わないよな? そうねえ。
(うらら) うまそうだけっどもない。 いやいや いいよ 無理しなくて。
もったいないから 持って帰るからさ。
お代 払わなきゃね。 本当に1万2,000円でいいの?
えっ? あ… いいよ。 よくないわよ。
材料費は とってもらわないと。 いや いいって いいって。
なっ いいよな? (桃子) えっ ああ いいですよ お義姉さん。
いや そんな… ねえ お義母さん。 うん…。
いや だって これ ほら あの… オードブルにして出せばさ
ちゃんと金 とれるから。 そうだね。
だけど これ あれだな… みんなの唾 結構 飛んでるかもしれないな。
やめてよ まあちゃん。 ハハハ… まあ いいか。
(真紀) 何かあったの? えっ?
今日は 怒んない。 何にもねえよ。
本当? ああ…。
(サチ) 男前ねえ…。 えっ? いや ハハハ…。
ハハハ! いや おやじさんもだけど 今の若い子。
えっ?アハハハハ! ああ…。
ご苦労さま。 じゃあね。
失礼します。
待って。 私も リキの散歩に行くから。 (優) えっ?
あっ…。 元気~?
どうして ここが? 初めて会った時 資料送るからって
住所書いてもらったじゃないの。 でも…。
ごめんなさい。 こないだ 私 冷たくしちゃったでしょう。
でも あの時 決まった人って 全然 駄目だったの!
それでね やっぱり 人選しなくちゃってことで
会社案内 持ってきたの。 ちょっと いいかしら?
いや 今 ちょっと…。 玄関でいいのよ。
いや でも… あっ…。
あら~ すてきなお宅ねえ。 えっ うちがですか?
ええ 由緒ある造りって感じ。 今や 東京で こんなおうちないもの。
(リキの吠え声) まあ! 庭もあるのねえ。
あらら… かわいい ワンちゃんもいるんだ。
一難去って また 一難。 よりによって こんな時に
押しかけてこなくたって いいんじゃないか!?
…とは思いますが 来客とは そうしたもんであります
こんばんは。 お邪魔してます。
どうぞ 散らかってますけど…。
まあ ここが客間なの?
すみません。 食堂 兼 客間 兼 居間なんです。
あっ ううん ううん! オープンなお宅なのねえ。
あっ お客様?
あっ うん… 何て言ったらいいんだろ あの… 職安に行った時に…。
突然 すみませんね。 どうしても お嬢さんのことが忘れられなくて。
はあ? あっ 申し遅れました。
私ですね…。
こういう者でございます。
「能力発掘センター」…。
お聞きになったこと ございません? いいえ。
ああ… 最近 新聞や雑誌で
結構 取り上げて いただいてるんですけれどもねえ…。
あっ どうぞ…。 あっ おばあちゃまたちも どうぞ。
要は… 人間の能力を 開発する教育を行う所なんです。
表現力 判断力 瞬発力 決断力 自己実現能力 その他もろもろ。
はあ…。それらの能力があれば 人間の運は 大きく開けます。
それが 娘と関係あるんですか?
大ありです! お嬢さんに そのセミナーに 来ていただきたいんです。
それ 勧誘ってことですか? お金が要るんでしょ?
高度な能力を開発するわけですから はっきり言って 費用は かかります。
ま… また~。 もう こういう話すると すぐ 押し売りみたいな顔するんだから。
いえ 違うんですよ。 私はね お嬢さんを そこの講師にどうかと思って…。
講師? はい。
はっきり言いますけどね ああいう講師は ブスじゃ駄目なの。
どう? この人なんてね うちで 一番の 人気講師なんですけれどもね
28歳で 年収2,000万。
待ってください。 いきなり 2,000万なんて 極端な例 見せられても 困ります。
お母様… 極端ではないんですよ!
2,000万が日常なの。
この仕事はね 自分の実力と努力次第で
いくらでも レベルアップできる仕事なんです。
実力と努力次第?
お嬢さんは 若い割には 人の心を 思いやる能力があると思うんですよ。
これは 人と人との関係において
もまれた経験が あるんじゃないかと思うんです。
私が見込んだのは そこなんですよ!
何の苦労もなく育ったお嬢さんには 用はありませんからねえ。
あの… その教室っていうのは どこにあるんですか?
あっ それはね こちらに 書いてございますね。 本校は…。
何か変だな… と思いながらも
自分を認めてくれる者に すがりつきたい。
そんな のぞみ嬢ちゃんなのでした
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