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「君が跳んだ 水たまりへと」
「街の翳が」
「雪崩れてゆくよ」
「手のひらの上に」
「太陽を乗せて」
「心の暗がり照らし出しておくれ」
「Dreaming Girl Dreaming Girl」
「雨上がりの少女」
「Dreaming Girl 君と」
「めぐり逢えた」
「素敵な奇跡」
「Dreaming Girl」
(純一郎) おう!
(泣き声)
何だよ? おい… おい…。 のぞみちゃん…。
のぞみちゃん? (のぞみ) 泣かせてよ~。
どうしたんだよ? 今 泣きたいの。
分かった。 泣けよ。 なっ? 泣け。
(泣き声)
(リキ) この野郎! …と 頭に血が上った小生でしたが
どうやら こいつが のぞみ嬢ちゃんを 泣かせたわけじゃねえようです
ありがとう!
もう よろしいですか?
はい。 おかげさまで すっといたしました。
それは ようございました。
ごめん…。 何でだろ?
純ちゃんの顔 見たら 急に ウルッと来た。
いいんじゃない? えっ?
いや… 理由がなくてもさ 泣きたくなることってあるかなと思って。
へえ~。 純ちゃんも泣くことある?
あるさ。 結構 男って よく泣くんだよ。
ずるいから 何で泣いたか 必死で こじつけの理由考えるけど…。
緊張してたの 今日 朝から。
緊張?結婚宣言! したんだ?
「私 結婚します。 けど 仕事も やらせてください」。
…で 返事は? まだ分かんない。
みんなは 開発部行きは駄目になったって言ってる。
そうか… 何か 責任感じちゃうなあ。
関係ないよ。 私 誰のためでもなく 自分のために そう言ったんだもん。
それで駄目なら すっぱり諦める。
「関係ない」って言われると ちょっと寂しいけど…。
そういうもん? そうさ。
「お前のせいだ」って言われると 「冗談じゃないぜ」って言いたくなるし
「お前は関係ないでしょ」って 言われると
「そうでもないでしょ」って 言いたくなるわけよ。
女々しいわけよ。 何か 今日 本音の人だね。
いつも 茶化してばっかり いられないでしょ。
入社4年目の人間が何してる… だよ。
言われたの そう?
うん… まあね。
担当してる客が大損こいてさ どなり込んできたんだよ。
大損って いくら? 8,000万…。
ええ~っ!?
何だよ? そんなに びっくりすんなよ。
夏を越えてからさ 軒並み 株価が落っこちてるんだ。 珍しかないよ。
ごめん。 最近 私の仕事の話ばっかりしてた。
ああ… あっ 誤解すんなよ。
俺は 別にさ 落ち込んでるわけじゃないんだ。
仕事の話は別にしても いつまでも チャラチャラしてられないでしょ。
結婚すんだし…。 純ちゃん…。
よし! お前んち 行くか。 えっ!? 今から?
「結婚する」って 俺たちだけで 言ってるだけだもんなあ。
こうなったからには 一回 ちゃんと挨拶するよ。
その方がいいだろ?
もしかして「お嬢さんを下さい」 っていうの やってくれるの?
ああ…。 やった~!
私 あれ 結構 憧れなんだ!
ふんふん… なかなか 好青年ではありませんか。
でも のぞみ嬢ちゃんを 下さったりはしませんよ。
ええ! 絶対にやるもんですか!
(吠え声) どうしたの? リキ。
お客さんだよ お客さん。 ほら もう…。 はい こっち。
入って。 オッケー。(吠え声)
しっ! (鳴き声)
ごめんね。 いや…。
どうしたんだろ? いつも吠えたりしないのに…。
アハハ…。 ただいま~! お客さんだよ。
⚟これ見てください。 ハートですよ。 ⚟(笑い声)
(薫乃) 本当にかわいいわね~。
あら? お帰りなさい。 ただいま。
(薫乃) あら! まあ 関口さん…。 こんばんは。
まあまあ…。 いらっしゃい。
(うらら) この方ですか? のぞみの…。
何してんの? ああ 今ね この人が
料理教えてくれるっつうもんでね。 あの… クッキーなのよ。
(真紀) お邪魔してます。
あっ お母さんは? (うらら) 往診さ出てる。
達也は 昼間 出てったきりだわい。
あ… あのね 真紀さんが 達也を訪ねてみえたんでね
ちょうど よかったから お茶に お誘いしたの。
おばあちゃん…。 だってね 私たち2人じゃ 何だか こう
ほら… ねえ。 気詰まりなんですものね。
それより 早く紹介しておくれ。
関口純一郎さん。
福島から出てきた おばあちゃん。
初めまして。 関口です。
こっちこそ 初めまして。 あの… 長沼うららです。
のぞみを末永ぐお願えします。
あ… いや あの… まだ正式には申し込んでないんで…。
あれ? 結婚すんでねえんですか?
ええ… いえ あの… 今日 それを… 申し込みに来たんです。
ああ。 そうですか! それは どうもです。
このうちは座敷がねえもんでない どこで 話 伺ったらええもんだか…。
座敷なら ありますよ。 奥の部屋が…。
だけど あそこは お母さんの寝てる部屋では…。
あっ 構いませんよ~。
あそこには おじいちゃんの仏壇だって あるんですもの。
でもない ベッドのそばで そだ正式な話は…。
いいんじゃありませんか?
別に こう 横になって 話 聞くわけじゃないんですから。
待ってよ。 そんな大げさなこと言ったら 関口さん びっくりしちゃうじゃない。
大げさでいいんじゃないですか? 結婚って 一大事でしょう。
そうねえ…。 んだない。
そ… そりゃ 大げさでもいいけど 場所より 何より
肝心のお母さんがいなくちゃ 話にならないの。
⚟(戸が開く音) あっ あづささん 帰ってきたわよ。
⚟(達也) ああ 勉強しちゃった。 腹減った~。
(達也) 腹減った~。お帰り。 (うらら) お帰り。
お帰りなさい。 よっ。
出た…。 (真紀) お帰りなさい。
今ね クッキー作ってたの。 15分待って。
オーブントースターで できるのよ。 すごいでしょう。
要らねえよ! 言ったろ? やめてくれよ 勝手に上がり込むの。
ごめんなさい。 今日はね おばあちゃんが 「上がりなさい」って言ったのよ。
何でだよ もう! 何だい? あんだの恋人ではねえのかい?
達也!
恋人ですよ 私は。
これ 返す。
絶対 使わねえから。 なっ?
何だよ… ほら ほれ。 あら 手編みでねえか? ぬくそうななあ。
だから嫌なの! 手編みのマフラーとか 手作りの真心クッキーとか
俺 そういうの 一番嫌なの! 押しつけがましくて 気持ち悪いんだよ。
そんな同情引く顔すんなよな。 すぐ ケロッと 平気で出てくんだからよ。
「出る」なんて お化けみたい…。
(すすり泣き)
⚟(あづさ) ただいま~。
ただいま…。
(泣き声)
ああ~っ もう! 達也!
はい。
待ってていいですか?
達也君 てれてるんです。
えっ? なかなか素直になれないんです。
元は お父さんと愛人さんの間に 生まれた子なんでしょ?
屈折してるんですね きっと。 フフッ。
私が 気持ちをとかしてあげます。
森村さん…。 (真紀) はい。
達也は屈折なんかしてないわ。
でも…。 ヘソ曲がりかもしれないけど
私は 素直で 気持ちの豊かな子に育ったと 思ってるの。
ごめんなさい。 継母でも 親バカはあるの。
(純一郎) あの 僕 送ってきますよ。
えっ? でも…。
今日はさ 帰った方がいいみたいだから。
ごめんね…。 いいよ。 またさ 改めて来るから。
すみません。 あっ はい。
じゃあ 間違いなく 駅まで 送り届けますから。
気を付けてね。 お世話になりました。 バイバイ。
あっ そうだ!
うわ~ 似合う!
それじゃ おやすみなさい。
じゃあ おやすみ。 じゃ。
結局 この夜 好青年野郎は
「お嬢さんを下さい」のひと言を 言えねえまま
南田家を後にしたのです
そう。 プロポーズしに来てくれたの…。 うん。
ああ…。 悪いこと しちゃったわね。
でも いいの。 ああいうのはね ストンと終わっちゃうよりも
ちょっと イントロがあった方が 楽しみだもん。へえ~… 意外!
「お嬢さんを下さい」なんて儀式 今の子は嫌がるのかと思ってた。
フフッ どうして? 「下さい」なんて
「私は物じゃないもん」とか何とか 言うのかと思ってた。
そんなことないよ。 てれくさいけど やっぱり うれしい。
ふ~ん。
お母さんは なかったんだよね? ああいうの。
私ができて 結婚したんだもんね。
痛いとこ つくわね。
それで 福島の おじいちゃんに 勘当されたんだよね?
そうよ。 もう ロミオとジュリエットに なった気分で
カ~ッとなって 一緒になっちゃった。
それなのに 何で お父さん 出てっちゃったんだろうね?
私も 知りたいわ。
お母さん まだ お父さんのこと 好き?
正直言うと… 分かんない。
でも… 知りたい。
どうして出ていったのか 知りたい。
知りたいってことは まだ 好きだと思うの。
だから待ってるの。
絶対 惰性や意地で 待ってるわけじゃないのよ。
ごめんね。 変なこと聞いて。 いいわよ。
いつでも 聞いて。
うん。
じゃあ 今日 私 寝るね。 おやすみ。 おやすみ。
とうとう 残り1週間で 我が営業2部は 解散の日を迎えることになった。
しかし 悲観して幕を下ろすのは やめようと思う。
我々は やるだけのことは やった。
(拍手) そうだ!
これからは 各自とも 次なる部署で 企業人としての爪を磨いてくれたまえ。
本当に ご苦労さん。 ありがとう。
(ひとみ) 最後の業務連絡をします。
今日午後 本部長より 各自に 正式に 異動の内示が出ます。
デスクに在席 お願いします。
はい。
のぞみ嬢ちゃんの運命や いかに?
小生 いささか 胃が… 胃が… 痛くなってまいりました
(ノック)
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