All language subtitles for 언덕길의 집2014

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Original subtitles

(杉田りえ子) 私 お金が必要なんです。

(寺島吉太郎)お前たちは 人殺しなんだからな!

どんな事をしてでも 幸せになりたかった。

俺から逃げようとしてみろ。

何をするか わからないからな。

(竜崎朝美) 先生のマンションでしょ?

(川添直樹)誰が これを?

あとは1人でやるから。

(寺島ミツ)全て 台無しにしたんですよ あんたは!

母親をやったように 俺も殺すのか?

〈『坂道の家』 お楽しみに〉

私は後悔してない。

♬~

♬~

(男性)よいしょ!

♬~

♬~

♬~

≪(杉田りえ子)お母さん!

お母さん 助けて!

(杉田鷹子)どうしたの? りえ子。

りえちゃん…。 こっち こっち! 早く来て!

(鷹子)りえちゃん…。

♬~

(鷹子)待って…。

(鷹子)りえ子 待って! 待って! りえ子。

ああっ!

(鷹子の悲鳴)

(カラスの鳴き声)

♬~

♬~

(カラスの鳴き声)

♬~

(店員)なんと 4万8000円です。 ありがとうございました。

(澄元三郎)おおきに。

組合費を きちんきちんと 払うてくれるのは 吉さんだけや。

吉さん 俺たちの時代は もう終わりや。

問屋の残り物を丸々仕入れて→

大安売りで客を集めるという 芸当は→

大型店にしか出来へんさかいにな。

シーツ500円 パイプ枕を100円で売られたら→

俺たち 小売は もうお手上げや。 (寺島吉太郎)おい!

さっさと 表に出て 客引きでもしなさい。

ネットで客が呼べるんなら 苦労ないんだから!

(高橋伴子)はーい…。 (澄元)まあまあ 吉さん。

この不景気に 婚礼セール ってな事をやってるのは→

吉さんとこだけや。 地縁 血縁 人間関係を→

大事にしてきたからこそ 出来る芸当や。

「親から子に、子から孫に 寝具が愛と夢を育てる!」か。

寺島寝具店の 20年後はわからんけど→

まず10年は安泰や。 うん。 フフフ…。

(ドアチャイム)

いらっしゃい。

いらっしゃいませ。 (澄元)いらっしゃい。

♬~

(伴子)いらっしゃいませ。

何か お探しですか? はい…。

この値段は 今日だけですか? はい 本日限りです。

ちょっと 失礼。 今 手持ちがないんですけど…。

あっ…。

社長 このシーツ 割引期間って今日までですよね?

いいんですよ 今度で。 いいんですか?

ええ もちろんです。 ご近所の方ですよね?

ええ 駅前通りを抜けた 青葉タウンの 杉田です。

ああ 杉田さんですか。

お勘定は 都合のよろしい時で 結構ですから。

本当ですか? ご近所ですから。

うれしい。

(寺島ミツ)いらっしゃい。

あら! 澄元さん いらっしゃい!

(澄元)奥さん いつもお元気で。

夜の街にでも繰り出すと思ったら どうも 彼の頭の中は→

商売の事ばっかりで。

家にいても 仕事の話ばっかりで もう 息が詰まっちゃう。

ハハハハハッ…!

お金は なるべく早く持ってきます。

あっ はい…。

(ミツ)そうそう キュウリの浅漬け 食べてってもらわなくちゃ!

熱っ! 熱いな…。

≫(ドアチャイム)

お先でした!

よいしょ…。

ちょっと出てくる。 大事な用事を思い出した。

綿の打ち直しの客が1人来るから 話 聞いといてくれ。

ごはんは? いい。

(ノック)

≫はーい!

あっ…。

あっ ごめんなさい。 明日には お店に伺おうと思って。

いえいえ 違うんです。

近所まで来たついでに ちょっと寄っただけで。

あっ! あのシーツ あなたにサービスしておきます。

いや それじゃ あんまり…。 いや いいんです。

これから ご贔屓 願えるんだったら→

シーツの1枚ぐらいは…。

はい それじゃ…。

お入りになりませんか? せっかく いらしたんですから。

えっ… いいんですか?

どうぞ。 それじゃ…。

♬~

お茶 いれますね。 いや かっ… 帰ります!

いや…。

これ… これ あなたにプレゼントします。

遠慮なく使ってください。

私 理容師なんです。 ホテルのお店で働いてます。

よかったらいらしてください。

そしたら お返しは うんとサービスしますから。

あっ ちょっと待ってください。

ホテルの理容室…。

よろしくお願いします。

どうも すいません。 失礼しました。

♬~

(ホイッスル)

(ホイッスル)

(久保田)先輩! 30ヤード独走でしたね。

さすがOB会の出世頭。 (川添直樹)もう 息切れだよ。

いやいや… 学部長親子も ぞっこんの先輩ですから。

向かうところ敵なしでしょう。 ほら いらしてますよ。

ああ。 おーい!

♬~(店内BGM)

フッ…。

すいません。

あの子 上客には胸ボタン2つ 開けるんだそうだよ。

(男性)ボタン1つで チップが2000円。

2つだと 5000円だそうだ。

(男性)俺が知ってるだけでも 20人ぐらいにボタン開けてるよ。

(男性)その中に あんたも入ってるんだろ?

♬~

♬~

すいません おかわりを。

(店員)同じので? 同じやつ…。

いつ いらしてくれるか わからないから→

あのメモ ずっと ポケットに入れてたんです。

そうだったんだ…。

それより チップもらっちゃって ごめんなさい。

いや…。

あれ 私が考えたんです。

えっ?

1つ外せば 2000円のチップって。

結構な収入になるんです。

あっ…。

(店員)はい 同じのです。

これ 今日の分。

私ね お金をためて→

自分の店が持ちたいんです。

あっ ごめんなさい。

杉田さん… ご出身は?

上越の糸魚川です。

ご両親は?

2人とも亡くなりました。

私 独りぼっちなんです。

♬~

ここで 寝ますか? ここで…。 はいはい… 階段ありますから。

気を付けて。 よいしょ… もうちょっとだ もうちょっと。

鍵 ありますか? 鍵…。

鍵 ここの中にね 入って…。

えーと 鍵はどれだ…?

足 気を付けてくださいね。 はい。 あっ 電気 電気…!

電気 わかりますか? 電気 こっち…。

ここに…。 はい。

はい はーい…。

大丈夫ですか? よいしょ…。

あっ! 痛い。 ああ! ごめんなさい…!

よいしょ! はい 起き上がって!

ベッドのところまで 連れていきますから。

ベッドへね。

よいしょ!

今ね 水を… 水持ってきます。

はい 水ですよ。

これ飲めば…。

しっかりしてください。 杉田さん 杉田さん…。

ああっ!

ごめんなさい。

水 引っかかっちゃった。 すいません すいません。

ぬれちゃった。 ごめんなさい。

ああ ごめんなさい…。 すいません すいません。

ごめんなさい…。 ごめんなさい…。

うん?

♬~

♬~

♬~

♬~

(いびき)

失礼します。

お願いします。

はい すいません。

じゃあ 3000円になりますね。

(店主)りえちゃん! はーい。

ほら あそこで たばこ吸ってる人→

結構 手広く飲食店を 経営してる人なんだ。

りえちゃんに たくさん チップをあげたいんだって。

え? さっき カットしてる時に→

頑張り屋の りえちゃんの話になって→

いつか自分の店を持つのが 夢だって言ったら→

いたく感心したみたいで。 ああ…。

どういう事か わかるだろ?

どうするかは 自分で決めなさい。

私 お金が必要なんです。

君に頼まれてた ホテルの理容室の件だけど…。

来月から来てくれって。

本当? うれしい。

あそこは 金持ちしか来ないから せいぜい 稼ぐといい。

はい。

今日は 箱根でも行くか。 はい。

〈男を その場限りで 使い捨てにしてきた〉

〈避難所に身を寄せる 小舟のように…〉

〈私はきっと この寺島という男を傷つける〉

うわっ!

フフフ…。

フフフ…。

(ミツ)伴ちゃん 水まいて掃かなきゃ。

布団が ほこり かぶるでしょ。 そんな事もわかんないの?

(伴子)すいません。 (ミツ)おかえりなさい。

(ドアチャイム)

で どうでした?

うん ほら…。

川端さんに頼まれてる 綿の打ち直し→

出来上がったかどうか 確認してくれ。

工場には 先々月から 支払ってないんですよ。

申し訳なくて 電話なんか出来ませんよ。

それはそれ これはこれだろ。 何 言ってるんですか!

駅前通りの大型店 羽毛布団 3000円で売ってるんですよ。

同じものを うちは 9000円。

月に何度も 散髪に行ってる暇があったら→

そういう事ぐらい ちゃんと リサーチしてもらわないと!

うちはな あんな ポリエステル使った羽毛なんかは→

売っちゃいないんだよ!

あんな 見てくれだけの店と 一緒にするな!

(ドアチャイム)

開店資金…。

店舗物件の保証金 1650万。

内装工事費に480万。

店内装飾品に350万。

理容器具のバーバーチェアが 160万。

特注のソファ 180万。

シャンプー台 320万。 かみそり はさみ 一式…。

♬~

ルビーの指輪 32万6000円。

ダイヤモンド入りの腕時計が 20万7800円。

(りえ子の声)豚汁 出来たよ。

ブランド物の限定品バッグ…。

えー 16万8000…。

♬~

32万… 理容器具…。

12万5700円…。

組合の寄り合いは いつも 駅前通りなんですか?

伴ちゃんが あの辺で 何度も あんたを見かけてるんですよ。

誰が どうして…。

伴ちゃんのお給金の支払いだって 滞ってるっていうのに。

うるさいな…。

勝手に わめけよ! 俺が稼いだ金だろ!

俺が どう使おうと 俺の勝手なんだよ。

♬~

♬~

〈私は 1人で20年間を生きてきた〉

〈直樹さんの新聞記事を見て→

真っ暗な水の中から顔を出して→

大きく息を吐く気分になった〉

♬~

〈直樹さんに会いたい〉

(川添武洋) 皆さん おはようございます。

(従業員一同)おはようございます。

(川添)皆様のご尽力のおかげでね 先々月 先月 そして今月も→

生産量 販売業績ともに→

右肩上がりとなっております。 我が東新水産の缶詰は…。

お父さん 格好いいね。 うん。

生産量も 全国で3年連続第1位。

これからも 更なる業績の向上を目指して→

大いなる誇りを持って みんなで頑張っていきましょう。

じゃあ 今日も一日 よろしくお願いします。

(一同)お願いします。 (川添)今日も皆さん キレイだよ。

(笑い声)

〈子は親を選べない〉

〈母は 直樹さんのお父さんとも 関係を持った〉

〈母は 自分の体を どうにかしてくれる男なら→

誰でもよかった〉

♬~

♬~

(窓ガラスが割れる音)

お母さん。

(川添勝子)うちの人 返してよ!

≫ひどい女。 ≫最低! 最低よ!

≫働き場所 考えろ!

うちの人 返してよ!

もう返してよ!

〈母とのスキャンダルが 本社に知れ→

直樹さんのお父さんは 遠い町の営業所へ送られた〉

〈あの町の一番大きな工場で→

一番輝いていた父親を葬った 私の母を→

直樹さんは憎んだ〉

♬~

(鍵を開ける音)

(チャイム)

≫(竜崎 明)川添君。

あっ 学部長。 おはようございます。

おはよう。

君さ 来月の京都の学会 一緒に行ってくれないか?

ああ… 教授のお邪魔に ならないようでしたら ぜひ。

実は朝美が 京都なら 一緒に行きたいと言っているんだ。

しょうがないから 同行させようかと思ってる。

君 少し お守りしてやってくれんか?

私でよろしければ。

じゃあ そのつもりでいるからね。

そこで 結婚式の日取りなんかも 相談しよう。

はい。 失礼します。

(カラスの鳴き声)

ああっ!

私 りえ子です。

筒石の杉田りえ子です。

新聞に出ていた顔と ちょっと違う。

新聞 読んでくれたんだ?

いや… りえちゃん 筒石の頃 こんなだったから 別人だよ。

直樹さん 変わらない。 すぐわかった。

ごめんね。 急に来たりして。

お茶でも どう?

ねえ。

ここの傷 残ってる?

ああ…。

オーケー いいよ!

あっ…!

直樹さんの顔見て ビックリしちゃった。

血だらけなんだもん。 フフ…。

家に帰って 親に随分しかられた。

俺さ アメフトやってるんだ。 アメフト?

ほら あの… ラグビーに お面かぶったようなやつ。

ああ…。

けがして引退したけど そのOBの引きで→

今 大学の先生になった。

りえちゃんは?

うん…。

ねえ 見せたいものがあるの。 すぐ近くだから一緒に来て。

どうぞ。 ああ。

私 理容師になったの。 ここ 私のお店。

来月 やっとオープン出来るの。

勤めていたホテルのお店から 独立して。

へえ…!

中に入ると 隠れ家みたいでしょ?

お客さんは 今までのお得意様だけに絞って。

こういうお店 ずっと やってみたかったの。

どうぞ 座って。

えっ?

どうぞ。

いやあ… すごいな。

この店 自分で?

お金 ためたもの。

必死で ためたもの…。

東京へ出てきて15年。

長かった…。

偉いな。 同じ東京にいて こんな事してたんだ。

偉くなんかないわ。

ねえ… 襟足 少し伸びてる。

えっ?

切ってあげましょうか? え?

切らせて。

直樹さんに→

このお店の最初のお客さんに なってほしかったの。

いい? うん…。

♬~

私 新聞記事 見て 本当 うれしかった。

直樹さんは 忘れてたかもしれないけど→

私は一度も忘れた事なかった。

♬~

(時計のベル)

もう こんな時間。

私 行かなきゃ。 え?

ごめんなさい。

今から 税理士さんに 会わなきゃいけないの。

時間の事 すっかり忘れてた。

長い部分だけ そろえておきましたから。

ああ… ありがとう。

迷惑かもしれないけど…。

また会いたい。

このままだと寂しいもの。

ね? お願い。

うん。

♬~

はあ…。 どこへ行ってた?

あっ… ただいま。

また 税理士と打ち合わせか?

うん。

オープンまでの資金繰りは どうなってるんだ?

日東銀行から 融資してもらうのか?

大丈夫。 心配しないで。

あなたから借りてる5000万は 約束どおり 少しずつだけど→

きちんと お返ししますから。

ねえ ちょっと遠いんだけど→

私たちの好みにピッタリの家 見付けたの。

窓から街が見下ろせて すてきなの。

そこをね もう一度 見てきたの。

急な話だな。

あら… 自分の家と目と鼻の先に 住んでたら→

いつか もめ事が起こるって 言ったの あなたでしょ?

その家ね どこかのお金持ちが 保養所として造ったとかで→

どの部屋も凝ってるの。 家具も備え付けで。

そうそう お風呂もね 2人で入れるぐらい広いのよ。

きっと 気に入ってくれると思う。

いくらだよ?

交渉次第だって。 来週にでも見にいってみない?

よし。 場所はどこだ?

うれしい。 ウフフ…。

ここから横浜に出て 西鎌倉のすぐ近くだって。

〈いつか 誰かに連れていかれた 坂道の家があった〉

〈もう 借り手がついていれば それはそれでいい〉

〈私は 嘘つきになった〉

はぁ はぁ はぁ…。

お前 変わった女だ。 うん?

俺が 心臓悪いのを知っていて→

わざわざ こんな坂道のきつい家を選ぶ。

白状しろ。

俺を殺すつもりだろう。

フフフフ…。

吉さんは こんな事で死なない。

裸一貫で 布団の綿打ちから はい上がった人だもの。

体のつくりが違う。

俺は 綿を10年 たたいた。

俺の打ち直した綿は→

新品のように ふかふかだと 褒められたもんだ。

おかげで 店は繁盛。

花嫁道具の布団は 飛ぶように売れた。

ひと月に ふた組も売れりゃ 左団扇だっていう時代に→

10組も20組も出た。

おかげで 私は→

こんな すてきな坂道の家に 住む事が出来る。

りえ子。

お前の欲しいものは なんでも手に入れてやる。

俺の気持ちは わかってくれてるだろ? なあ?

フフッ フフ…。

俺は 大型店なんかには負けん。

赤字が何年続こうが 安売りでは勝負せん。

(鷹子の声)りえちゃん。

キレイでしょ。

キレイ。

お母さんね キレイなものが大好き。

空っぽな心を満たしてくれるもの。

だから りえちゃんも 寂しかったり悲しい事があっても→

キレイなものがあれば 大丈夫なのよ。

お母さんね 本当は こんな町 嫌い。

お父さんも大嫌い。

アル中で病気持ちで。

いつか 空に近い うんと すてきなお家に→

一緒に住もうね。

その時は りえちゃんも 一緒に飛んでいこうね。

今日は泊まっていけるの?

いや 帰る。

うん。

お買い物 行ってくるけど なんか食べたいもん ある?

なんでもいい。 お前が作るものなら なんでも。

うん。 ああ ビール 切れてるぞ。

配達 頼んどいてくれ。 はーい。

行ってきまーす。

あいつは いつか 俺から逃げていく。

私です。 りえ子です。

この間は ありがとう。

お礼が遅くなってしまって。

ハハハ…! 本当?

うん わかった。 うん ありがとう。

それじゃ。

♬~

(店員)お待たせいたしました。

♬~

ごゆっくり どうぞ。

♬~

まさか 大人になって→

こんなところで りえちゃんと食事が出来るとは→

思ってもみなかった。 よく来るの?

うん。 お客さんに連れられて。

うん…。

♬~

(店員)失礼します。

♬~

(店員)失礼いたします。

もっと早く→

直樹さんと再会出来ていたら→

私も 今とは 違う人生だったのかもしれない。

今とは違う人生…?

♬~

♬~

♬~

(せき込み)

≪お母さん!

お母さん 助けて!

りえ子。 どうしたの? りえちゃん。

こっち こっち。 早く来て!

りえちゃん。

♬~

ああっ…!

昔の事 後悔してる?

私は後悔してない。

♬~

♬~

≪(ドアが開く音)

≪おーい!

りえ子 氷 持ってきてくれ!

はーい。

はい。 おかえり。

ただいま。

熱いお湯に冷たい氷。

お前も試してみろ。 皮膚がピカピカになるから。

私は…。

誰に会ってきた?

お店の人たちと。 嘘だ。

ホテルに電話したら 6時に早引けしたと言われた。

男と何を食ってきた?

何を飲んできた!?

相手は誰だ? 毎週来る客か?

香水をくれた社長か!?

私には→

ずっと お店を出すなら援助する っていう人が 何人かいるの。

お酒の一杯ぐらい 飲む事だってあるでしょ!

うあー! あの店の金は俺が出す!

他のやつの援助はいらん。 ああっ…!

俺を心配させないでくれ。

他の誰のとこにも行かないで 俺のそばにいてくれ!

信じてよ! 私はどこも行かない!

あんたのおかげで 来月 店もオープン出来るの。

やっと 私の夢がかなう…!

俺から逃げようとしたら→

殺してやる。

(携帯電話)

もう…。

もしもし?

うん そう。 今 帰ってきたところ。

この前の続きがしたくて うずうずしてるんだ。

「今夜は 組合の寄り合いだ」

何をどうしたって 大型店に対抗する方法なんて…。

「ないのにさ。 ハハハハ…」

あまり飲みすぎませんように。

うん 私は大丈夫。

疲れたから 早めに寝ます。

うん それじゃ。 おやすみなさい。

はあ…。

♬~

♬~

(携帯電話)

はい 川添です。

直樹さん? りえ子です。

ああ…。

あの町であった事を思い出すと→

何もかも 人に しゃべってしまいたくなるの。

お母さんの事 あなたの事…。

「ずっと…」

不安で押し潰されそうだった。

でも 誰も頼る人がいなくて。

♬~

ねえ 今すぐ会いたい。 1時間だけ。

30分でもいい。

♬~

怖いの。

頑張って! あともう少し。

おおっ…。

はぁ はぁ はぁ…。

本当に来てくれると思わなかった。

あの電話じゃ 来ないわけにいかないだろう。

ううっ…! 吉さん あんたには似合わんて。

親子ほど歳が違う 若い女やったらな→

いずれ 飽きられる。

女を取るか 店を取るか。 ええかげんに決めたら どうや?

澄ちゃん。

俺は ずっと コツコツ働いてきて 気付いたら この歳だ。

あの女が 俺に与えられた最後の藁だ。

あいつに取りすがる事が 俺の生きる望みの全てなんだよ!

気持ちはわかる。 わかるけどな 早かれ遅かれ ジ・エンドや。

僕の付き合うてた彼女…。 ここのところ→

妙にウキウキしやがって。

新しい男が出来たに 決まってやがるんだ。

そうはさせるか。

いつまでも あいつを そばに置いて→

あいつの自由を奪ってやるんだ。

えー!?

おいおい…!

≫吉さん! ≫吉さん!

(紅茶を注ぐ音)

(電車の警笛)

ここの坂道 急だよね。

どうして こんなところに住んでるの?

私が子どもの頃 住んでた家は→

窓を開けると すぐ隣の家の板塀で→

年中 魚の腐った臭いがしたでしょ。

大人になったら ここを出ようって いつも思ってた。

出てきたじゃないか こんな高いところに。

あの町を出てから 必死で生きてきた。

どんな事をしてでも 幸せになりたかった。

あの理容室も この家も→

私が手に入れた。

誰に何言われても 平気だわ。

♬~

キレイなものが欲しい。

高いところに飛んでいきたい。

母は いつも 口癖のように そう言ってた。

時々→

似てるなって思う事があるの。

♬~

いろんな事が あの人と…。

♬~

いつか 直樹さんが 私を見付けてくれるって→

ずっと信じてた…!

ずっと ずっと ずっと信じてた!

♬~

♬~

じゃあ これ。 (運転手)はい すいません。

ありがとうございました。

≫(りえ子と直樹の息遣い)

♬~

ああっ…!

♬~

ああっ! 直樹さん 直樹さん!

りえちゃん。

りえちゃん。 直樹さん! 直樹さん!

チックショウ…!

何やってんだ。 とっつかまえやる!

ああっ! ああっ…! ううっ…!

(バケツがひっくり返る音)

ああっ…! えっ…?

♬~

ごめんなさい。 会わせたくない人が来たみたい。

え? 早く 服着て 服着て。

今夜は来ないって言ってたのに…。 早く 着て。

♬~

直樹さん 早く…。

♬~

♬~

何やってるんですか?

バカやろう…!

誰かが いただろう。 え?

誰がいた!? ここに 誰がいた!?

ああ…。

夕方 税理士さんがいらして…。 違う!

たった今 男がいたろ! 声が聞こえたんだ!

ううっ…!

≫(足音)

ハハハッ…!

バカ バカ バカ…!

バカ! バカ バカ…!

どこへ行く?

男のところへ行くのか?

長いような 短いような…。

でも あなたには とても可愛がっていただき→

本当に幸せな日々でした。

私の夢だった お店の応援までしてもらって。

でも さっき来た税理士さんに→

銀行に あと何百万か 預託しておかないと→

運営資金は一銭も借りられない って言われて…。

ふう…。

私…。

もう疲れちゃった。

理容店は諦めます。

この家からも出ていきます。

♬~

俺が→

今まで いくら お前に 金をつぎ込んできたと思ってる?

5760万。

今さら 放り出されてたまるか。

今日は だまされてやる。

今夜 お前は 1人でここにいた。 そういう事にしておいてやる。

だが 言っておく。

疲れたのは俺の方だ。

銀行には あと いくら入れればいいんだ?

言ってみろ。 いくら必要だ?

おい。

他に隠れて どこかに行ってみろ。

どこまでも追いかけて捜し出す。

絶対に…。

逃がさないからな。

♬~

じゃあ ありがとう。

(竜崎朝美)いいえ。

あっ 寄ってく?

ああ… 今日は我慢します。 父と食事だし。

そうか わかった。

じゃあ。

キレイな人ね。

昨日は ごめんなさい。

君が どういう生き方をしようが→

俺には無関係だ。

俺には大学があるし→

うまくやらなきゃいけない。

それでいい。

さっきの人とは うまくやって 幸せになればいい。

私は私で うまく生きる。

浅はかだったかもしれない。

多くの人に すがって生きてきた事も確か。

特別な関係になった相手もいた。

他に道はなかった…。

♬~

(杉田新吉)俺は なんも知らねえよ あいつの事なんか。

「捜索願を出せ」? あの恥さらしが!

どこかの男に付いて 東京にでも行ったんだろ!

捜さなくていい。 放っておいてくれ。

(警察官)そんな事言ったって お前 そんなわけにはいかんだろ。

♬~

お兄ちゃん!

お兄ちゃん!

(りえ子の声)お兄ちゃん!

♬~

僕は あの時…。

君から逃げた。

♬~

ごめん。

謝らないで。

もう何もいらない。

ただ… 直樹さんのそばにいたい。

♬~

♬~

(シャッター音)

どの通帳も 残金なんか ありゃしませんよ。

生保が満期になったやつが あったろ。 150万。

棚の上か?

あれは銀行の返済に使う金だって 言ったでしょ!

どけ! 返済なんか ひと月 待たせばいいんだ!

ううっ…! ああっ!

うちが今 どんな状況か わかってんの?

昨日だって お客が1人も来ない。

言いたくありませんけどね→

私1人だったら もっとうまく やっていけるんですよ!

あんたさえ いなきゃ!

うあー! ああー!

金は どこかで借りる!

その金を その女に くれてやるんですか!

何?

そりゃ悔しかったわよ。

一緒に苦労してためた財産が 日ごとに減ってくんだから。

だけどね→

なんの楽しみもなく→

ただ 働き詰めのあんたを思うと→

女のとこに通うのは 仕方がないって…。

杉田りえ子っていうんでしょ。

♬~

今まで コツコツためてきた お金も信用も→

全て台無しにしたんですよ! あんたは!

こんな女のために!

♬~

あんた その女には 別の若い男がいたんですよ。

♬~

ああー!

(ミツ)うわー!

どうしたんですか? こんな朝早く。

今日は 店へ出るな。 え?

部屋へ戻れ!

うちのが リサーチ会社に お前を見張らせた結果→

このざまだ。

これなんか よく撮れてる。

相手は 明立大学の准教授だそうだな。

かあっ!

この前の男は あいつだったんだな!

そうだろ! おい!

この男の人とは なんでもない。 ただの幼なじみなんだから!

幼なじみ?

幼なじみと なんで そんな事になるんだ!

イヤ…!

クソ!

俺は決めた!

今日から ここに住む!

24時間 お前と一緒にいる!

お前が仕事に行く時も 俺は付いていく。 ずっと一緒だ!

あの店は 女房にくれてやる。

布団屋は もうやめだ!

やめて どうやって生活するの?

お前が働くだろ?

そのために 俺は お前に つぎ込んできた。

一生分 つぎ込んできた。

これからは 俺が楽をさせてもらう。

イヤとは言わさねえぞ。

りえ子!

俺は お前と やっと 一緒になれたんだ!

絶対に お前を離さない。

俺から逃げようとしてみろ。

俺は 何をするか わからないからな。

俺はもう 死に物狂いなんだ。

あー!

そうだ。 1つ お前に聞きたい事がある。

お前の母親の事だ。

(朝美)はい。 ん? 何?

それ 先生のマンションでしょ?

誰が これを?

差出人の名前はないの。

私ね 先生の私生活を のぞきたいとは思いません。

私の目の前にいる先生だけで十分。

だから それは父には見せません。

あさっての京都行き 楽しみにしてます。 フフフフ…。

(チャイム)

≪(水の音)

(シャワーの音)

あの…。

あの…。

明立大学では 他人の家を訪ねるのに→

勝手口から入ってくるのかね? 川添准教授。

どうぞ 玄関へお回りください。

りえ子に 鍵 開けさせますから。

お願い 帰って。

これが 教授のお嬢さんに送られてきた。

先生 どうぞ お上がりください。

その写真の説明 させてもらいます。

酒 出してくれ。 3人で酒盛りといきましょう。

なんで こんな事するの? 卑怯よ! こんなの卑怯よ!

やめろよ こら!

やめろ! 「やめろ」?

先生は 何も知らないから そういう事をおっしゃる。

この写真に いくら かかってると思います?

ハンパな金じゃないんだ。

俺が汗水垂らして 布団を売った金だ。

それだけじゃない!

この家だって 新しい理容室だって→

この指輪だって 全部 俺が金をつぎ込んだ!

それを わかってもらえれば 俺が この写真を見て→

どれだけ悲しい思いをしたか ご理解いただけるはずだ。

だからって こんな写真…。

私 何度も言ったでしょ?

直樹さんは悪くないって。 誘ったのは私だって。

そいつ かばうのか?

そんなに あの先生が大事か!? 大事よ!

子どもの頃から大好きだったの!

たとえ あなたでも…。

この人に何かしたら 私 何するかわかんない!

ほう… どうするんだ?

母親をやったように 俺も殺すのか?

本気で言ってるの?

私が殺したって証拠 どこにあるのよ。

あるんだったら 今すぐ警察に電話しなさいよ!

(ため息)

冷静に話し合おう。

2人とも そんなところに 突っ立ってないで→

座ってくれ。

これが最後の出銭だと→

リサーチ会社に 糸魚川にまで行ってもらった。

死んだと言っていた お前の父親は まだ生きていて→

お前の事を いろいろと しゃべってくれたそうだ。

お前の母親は 雑木林で消えて→

古井戸で死んだ。

遺体は半年後に見付かったが→

事故として処理された。

お前の母親は→

その先生の父親とも 関係を持った。

自分の母親を殺してまで 謝りたかったんだろ?

子どもの頃の先生に。

そして お前は長い事→

母親殺しの罪におびえる事になる。

俺は 警察には言わないよ。

お前を失うような そんなバカな事はしない。

お前は 俺と一緒に ここにいる。

そして 親子のように 水入らずで暮らす。

りえちゃん もういいよ。

この写真は 僕が買い取る。

僕たちは もう会わない事にする。

どうですか?

それで いくらなら この写真売ってくれますか?

ハハハハッ…!

写真は売らない。

どんな約束をしても こいつは あんたのところに会いにいく。

欲しいものは 必ず手に入れなきゃ 気が済まない女だ。

じゃあ どうすればいいんだ!

どうすればいいのか→

俺にも わからないんだ!

ただ1つ はっきりしているのは→

この先 俺はずーっと→

あんたと りえ子を 見張って暮らすって事だ。

死ぬまでだ…。

冗談じゃない!

それだけ大事な りえ子って事なんだよ!

うあーっ! ああっ…!

お前が逃げたりしたら→

お前と この男が 母親を殺したって事を全部→

おおっぴらにしてやる!

お前たちは人殺しなんだからな!

おい これ これ。 これな…。

この写真を全部 のりでつなぎ合わせたら→

晩酌の用意をしろ! 俺は風呂に入ってくる!

ごめんなさい。

今のうち 帰って。 帰って…。

≪りえ子! ぐずぐずするな!

晩酌のあては お前の得意な豚汁にしろ!

行こう。

♬~

(店員)ありがとうございました。

連れ出してくれて ありがとう。

うれしかった。

もう これで十分。

私…。

家に帰ります。

大丈夫。 心配しないで。

♬~

ちょっと待ってて。 うん。

すいません。

♬~

よいしょ…。 ありがとう。

ここまで来れば もう大丈夫。

あとは1人でやるから。

またいつか 会えるといいね。

そうだね。

はい…。

♬~

(携帯電話)

もしもし。

「どうした?」

寺島が死んだ。 今朝 お風呂で。

死んだ?

死んだって…。

「あの男がか?」

今 お医者さんや 警察の人が来てる。

心臓発作じゃないかって。

目が覚めて お風呂に入って…。

もしもし? りえちゃん?

気が付いたら あの人 湯船で…。

≪(与田次男)申し訳ありません。

ちょっと もう一度 詳しい話を お聞かせ願えませんか?

「もしもし?」

(不通音)

(りえ子の声) 「あとは1人でやるから」

♬~

ハハッ… ハハハッ…。

♬~

♬~

(刑事)毎日 朝風呂か。 結構なご身分だ。

(刑事)心臓に 持病があったらしいぞ。

(刑事)あんな いい女 囲ってちゃ 心臓にも悪いだろうよ。

(刑事)女房が 遺体の引き取りを 拒んでたそうだ。

(与田)奥さん…!

(刑事)奥さん…! (ミツ)あんた! あんたー!

あんたー! (刑事)奥さん!

落ち着いて 座ってください。

♬~

♬~

(刑事)次男さん お疲れさまです。

目撃情報 入りました…。

(与田)その中学生が のぞき見してたっていうのか?

これで のぞいてたのか?

ああ…。 で 何を見た?

(紅谷正市)昨日に限って 真夜中にも→

風呂場に電気がついてたんです。 それで 気になって。

あの家の女の人が 氷を割ってたんです。

(与田)氷を?

♬~

♬~

ほら 氷ですよ。

氷だ。 氷ですよ。

はい。 うん。 氷だ…。

ああっ… ああっ! ああっ!

ああっ ああっ…!

ああっ! ああっ…!

ああっ…!

♬~

(操作音)

≪(機械音声)「追い炊きをします」

♬~

♬~

〈自慢の母だった〉

〈缶詰工場に勤めていた母は→

いつも 白いスニーカーを履いていた〉

〈その母と 船乗りの父がいて 私は幸せだった〉

〈父の浮気が原因だったのか→

迷って宙を飛び→

狂って地面にぶつかる 秋のセミのようになった母が→

次々と 行きずりの男たちと 関係を持つようになった〉

〈幸せが消えた〉

〈私は 母を憎んだ〉

〈母殺しの罪を 隠し通す自信のなかった私は→

行く当てもなく 故郷を逃げ出した〉

〈もしかして 直樹さんに 会えるかもしれない〉

〈あとは もう 何も思い出せない〉

〈どうやって 声を上げて悲しめばいいのか〉

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