All language subtitles for (2013.09.27)_屍活師~女王の法医学~

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Original subtitles

(男性)ヒット!

♬~

♬~

♬~

(店員)はい 大盛り天丼とカツ丼 お待ち。

(ユキ)いただきます。

[TEL]

(真崎)死因は おそらく 溺死だろうと。

(村上)道具もねえし 釣りに来てたわけじゃねえな。

みたいですね。

所持品は この携帯と 現金2万6,000円入りの財布です。

へえ スマホじゃねえんだ。

今や 村上さんですら スマホですからね。

第1発見者 待ってもらってますから。

「ですら」って 何だよ。 「ですら」って。

(男性)だから シーバスやっててさ 当たりが きたと思ったら…。

死体を釣っちゃった。

最悪ですよ。 久しぶりの釣りだったのに。

来ました。

♬~

♬~

あっ これ お宅さんのですよね?

嫌だよ いらないよ。

捨てちゃってよ そんな 死体に触った物なんか。

♬~

ああ もう こっちには来なくていいから。

解剖室 準備しといて。

あっ せっかくのところ あれですけど➡

事件性は なさそうですんで。

誰が言ったの?

「僕は ただの事故で死にました」って➡

このご遺体本人が そう言ったの?

いや あっ いや…。

私が じっくり 話を聞かせてもらうわ。

ご本人から。

(一)《法医学とは➡

犯罪捜査や裁判などの 法の適用過程で必要とされる➡

医学的事項を 研究 または 応用する➡

社会医学である》

《それは 応用法医学と 基礎法医学に 分けられ➡

一般には 応用法医学のうち 刑事に関連するもの➡

特に 司法解剖に関連する分野として➡

認知されている》

《すなわち 法医学とは➡

医学的解明助言を必要とする 法律上の 案件 事項について➡

社会的で公正な医学的判断を 下すことを 目的とする➡

医学である》

《で あるんだが 俺は…》

(一)俺は 嫌だ。

うわ。 すんません。

(井畑)何ですか?

ちょっと 朝のバイトが長引いて 遅れました。 すいません。

で だから 何?

ああ 医学部4年の 犬飼 一と 申します。

(霞)学生? (井畑)ああ 聞いてる 聞いてる。➡

大学の 1年から4年まで➡

ず~っと 表 裏 表 裏 表 裏って やってきたんだって?

(霞)野球みたい。

その前に 2浪してますけどね。 うわ!

これ ドラフト圏外。

ご苦労さまです。

いや あの それでですね ちょっと お話が 桐山准教授に。

私に 何か?

(井畑)桐山先生。 (霞)おはようございます。➡

早いですね。 (井畑)解剖室 準備できてます。

あっ 僕 今日から 法医学教室の研究コース➡

ってことには なったんですけど。 ご遺体は?

届いてます。

ラッキーだね。 初日から 司法解剖 見れるよ。

えっ? いや あの…。

じゃあ 後 よろしく。 (真崎)ちょっと 村上さん➡

解剖には 立ち会わないと。

分かってるよ。 ≪すいません あの 僕 ホントは➡

外科の臨床コースを 希望してたんですね。

でも 成績順で はみ出ちゃって。

で それでですね あの…。

で 桐山准教授に お願いすれば➡

今からでも 臨床コースに 変更してもらえるかなと➡

思いまして。

(井畑)おい これ 着けて。

はい。

すいません。

え~ 取りあえず ん~… 犬?

犬?

あっ 犬飼… 犬飼 一です。

ワンコちゃんは 今日は 見てるだけでいいから。

ワンコ? 始めます。

どうぞ。

え~ 皮膚の色は 蒼白。

顔面に 若干の赤み。

うっ血は見られるが 水圧によるものかは 不明。

[TEL]

はい。 えっ? (真崎)村上さん。

お~ 分かった。 了解。

どうしたんですか? 応援要請だ。

6歳の男児が誘拐され 犯人が 身代金引き渡し場所を➡

指定してきた。 誘拐?

川辺町 うちの管轄だ。 頭数がいる。

(真崎)こっちは どうすんですか? 誰か 代わり 呼んどけ。

(真崎)ちょっと 村上さん。

いい? あっ すいません。

よろしくお願いします。

(井畑・霞)お願いします。

さあ 私には聞かせて。

あなたに何があったのか。

何でも話して。 遠慮は いらないわ。

(ワンコ)《何 言ってんの? この人》

(井畑)皮下脂肪 1.5cm。 (霞)はい。

《「屍活師」》

♬~

♬~

(甲本)あっ!

(甲本)くそ。

♬~

♬~

(捜査員)このビルに入りました。

(岡野)おう! 出口 固めろ! (捜査員)はい。

(捜査員)裏 お願いします。 (捜査員)はい。

≪(甲本)あ~!

あっ!

(岡野)何てこった。➡

救急車… 救急車! (捜査員)はい。

駄目だ もう逝っちまってる。

(岡野)えっ?

まずいぞ こいつは…。➡

まずいよ! どういうこと?

(霞)左肺 520gです。

やっぱり 気管支内に泡沫がない。

(井畑)てことは これは…。 ≪(ドアの開く音)

(真崎)村上さん お早いお戻りで。

誘拐犯が 子供を どっかに監禁したまま 死んだ。

犯人は 携帯以外 何も持っていなかった。

衣服からも 監禁場所を 特定できるものは 何も出てない。

だから? 令状は取ってある。 緊急の解剖を。

(井畑・霞)えっ? (井畑)いや➡

いくら何でも それは…。 お手上げなんだよ。

最後の望みだ。 おい! (捜査員)はい。

どんなことでもいい。 こいつから 監禁場所に関する手掛かりを➡

見つけてほしい。 (井畑)手掛かりって…。

(霞)そんな…。 子供は 小児糖尿病だ。

インスリンを打ったあと 食事をする前に 誘拐された。

一刻も早く 低血糖を防がないと 命に関わる!

仮止めして こちらのご遺体と入れ替えて。

急いで! (井畑)了解。 霞ちゃん。

(霞)はい。

また 後で。

《解剖で その人のいた場所の 特定なんて…》

携帯の発信記録から 基地局は判明してる。

監禁場所は 川辺町を中心に 半径2km。

(真崎)ローラー作戦をしたとしても…。 6時間は かかる。

直接死因は おそらく 頭部打撃による脳挫傷。

血液?

(井畑)頭から流れたものが 付着したんでしょう。

子供が 最後に インスリンを打ったのは?

朝7時半。

てことは 低血糖で 命を落とすまで➡

長くて あと4時間。 (ワンコ)えっ?

手順は飛ばす。 まずは 胃の内容物から。

(霞)はい。

よろしくお願いします。 (井畑・霞)お願いします。

胃の内容物? (井畑)食べた物や➡

それらの組み合わせで➡

食事をした場所や店まで 特定できる場合がある。

そのかいわいに 1軒しかない店の➡

げてもの料理でも 食べててくれればね。

(霞)消化されてなければ いいけど。

俺たち 現場に戻る。 何かあったら 表に パトカー 待機させてある。

村上さん。 何?

言っとくけど そちらの ご遺体➡

やっぱり 死因は溺死じゃないから。

(真崎)えっ?

取りあえず 途中報告。

あっそ。

何か?

(真崎)村上さん 前から気になってるんですけど➡

あの桐山准教授とは 以前 何かあったんですか?

別に。

胃の中は 空っぽ。

(井畑)じゃあ 手掛かりなし。

気管を開く。 (井畑)気管ですね。 了解。

食べ物で駄目なら 空気。

空気?

《物言わぬ死体を調べて➡

どこまで 何が 分かるっていうんだ》

《やっぱり 俺は臨床医になりたい》

《死にかけている人なら もしかしたら➡

その死から 引き戻してあげられる 可能性がある》

《そのための努力ができる》

《でも 死体は 何をどうしたって 死体だ》

監禁されてる子供は➡

おそらく もう 低血糖を起こし始めてる。

(霞)これって…。

気管内に 出血を伴う裂創。

(井畑)地面に激突したときの 衝撃で?

じゃないわね。

♬~

♬~

♬~

《何やってんだ? この人》

あの…。 ワンコ➡

現場にいた捜査員 呼んでもらって。

えっ? 走れ!

あっ…。

《見てるだけでいい っつったのに》

すいません。 あの… あの…。

(捜査員)雑居ビルの外階段を 駆け上がったので➡

それを追って 私も屋上に。

彼は どうしてた?

(捜査員)ん~… 隣のビルに 飛び移ろうと思ったのか➡

こう 柵を越えて➡

そしたら 何か 急に うずくまって➡

こう 手を 口に当てて 何か むせるような感じで…。

(甲本の せき)

せきこんだ。 はい。 かなり苦しそうに。

それで そのまま バランスを崩して…。

(甲本)《あっ あっ あ~!》

激しい せきこみで 気管が傷ついた。

でも 何で そんなに せきを?

気道を摘出して 気管内を見てみよう。

ひどく腫れてるわね。

何かに 過剰反応 起こしたんだ。

んっ?

きらきら光ってる。

金属粉かな? (井畑)それが原因物質ですか?

(霞)金属で こんなにも 反応を起こさせるもの…。

霞ちゃん 成分分析。 (霞)はい。

この人の職歴は? (捜査員)職歴?

捜査本部に問い合わせて。 身元が分かってんなら➡

それぐらいの調べは ついてるはずでしょ?

早く! (捜査員)はい。

(捜査員)職歴 分かりました。➡

高校を卒業してから 職業を転々としてて➡

食品加工業 運送業 宅配ピザ 金属加工工場 コンビニの…。

(井畑)金属?

≪(霞)分かりました。 金属粉は ベリリウムです。

(井畑)ベリリウム。

金属加工業ね。 (捜査員)えっ? はい。

そういう工場で➡

微量なベリリウムに さらされてるうちに➡

まれに その粉で 喉の腫れや➡

呼吸困難を起こす 体質になる場合がある。

(井畑)その後 数年は 何か別の仕事に 就いて…。

今回 久しぶりに そのベリリウムに接した。

先生。

川辺町を中心に 半径2km以内 ベリリウムを扱ってる工場。

あっ…。 急ぎなさいよ! 走れ!

あの… あの 僕は… 僕はですね…。

僕は こんな 犯罪捜査みたいな ことがしたくて➡

4回の裏まで 医学部に 通ってきたわけじゃないんです。

僕が 医者を目指してきたのは➡

病気やケガで 苦しんでる人たちを 救うためであって➡

死体なんかを いじくるために➡

医者を目指してきたわけじゃ ないんです。

桐山先生。

東京湾で揚がったご遺体の方 続けるよ。

(井畑)了解で~す。 あの!

帰っていいから。 えっ?

「死体なんか」とか言うやつ➡

法医学以前に 医者の資格ないから。

(井畑)お疲れ。

[テレビ](キャスター)現場 どうぞ。

[テレビ](リポーター)はい。 容疑者が死亡して➡

病状が 大変 心配されていた 高橋 浩介君が➡

先ほど 警察官によって 無事 救出されました。➡

警察官に抱かれて出てきた 浩介君は➡

少し 苦しそうでしたが 意識は しっかりしており➡

病状が悪化する前に 救出されました。➡

浩介君を監禁したまま 容疑者が死亡し➡

警察は 監禁場所を 全力で捜していましたが➡

死亡した容疑者の遺体を 司法解剖した結果➡

この監禁場所が特定できた ということです。➡

法医学が 貴い命を救ったのです。➡

今 浩介君は 病院に搬送されて 治療を受けているということです。

(霞)右 150ミリ…。

(霞)あら?

「医者を志す資格もない」なんて 言われて 帰れませんから。

4回の裏で さよなら負けなんて しゃれになりませんから。

じゃあ 肝臓と横隔膜 切離するから➡

右葉下縁 持って。

はい?

早く。 はい。

≪(電子レンジの音)

冷たい。

≪(ドアの開く音)

「死因は溺死ではない」ってのは 確かか?

まず 気管支内に泡沫がない。

つまり 水は たまってなかった。

で ん~と…➡

皮膚の外側では 判別できなかったけど➡

めくった内側には 絞めた痕… つまり 索溝があり➡

それより上の部分の うっ血が 強かった。

よって 死因は絞殺によるもの。

どうして 外側に 絞められた痕がなかったんだよ。

例えば 幅の広い柔らかい布で 絞めたら 痕は少ないし➡

長時間 水に浸かっていたから➡

外側からは 痕は ほとんど判別できない。

じゃあ どこか よそで絞殺され➡

その後 海に 投げ込まれた ってことか?

事件性 あり。 そういうこと。

まあ 死後2日から3日ってとこね。

(井畑)いつも 舌を巻くわ 桐山先生には。

私立探偵にでも なればいいんじゃないです?

何 言ってんの?

これ ほら 見てよ。

この美しい縫合。

ご遺族のことを きちっと思ってのこと。

なかなか まねできることじゃないよ~。

あの 解剖中 桐山先生 何か…。

≪(ドアの開く音)

「また赤字だ」って 事務局が ボヤいてました。

赤字?

(井畑)解剖謝金で 7万円だしね。

解剖謝金?

ご遺体を司法解剖して 鑑定書の作成。

それに対して 国から支払われる 謝礼金と。

謝礼金。

(井畑)1体7万の謝金でさ➡

ホルマリン代とか 組織標本の検査代➡

臓器保管料 施設使用料 その他 必要経費 もろもろ➡

これ いったい どっから捻出すんの? って話。

解剖すればするほど 病院が損するのよね。

へ~。 そういうとこ 桐山先生➡

全然 無頓着だからな~。

まあ オタクだからね。

オタク…。 解剖オタク。

解剖マニアっつってもいいかな。

桐山先生って➡

解剖がしたくて 医者に なったんじゃないかってぐらい。

(井畑)世の中には いるから いろんな人が。

あっ そうそう 聞きたかったんです。

解剖中に 桐山先生➡

何か 急に 動きが ぴたっと止まって。

何なんすか? あれ。

時々 あるんだよね。

こう 何か 考え まとめてたり するんじゃないの?

よく分かんない。

いや 何か こう 何かを見てるみたいな。

そう? (井畑)何が見えるっての。

いや 分かんないんすけど。

お電話で申し上げましたとおり➡

携帯電話から 身元が分かりまして。

(初江)和磨。

和磨 和磨… 和磨!

和磨… 嫌~。 起きて。 [TEL](バイブレーターの音)

息子さんの 笠井 和磨さんに 間違いありませんね?

和磨~!➡

あ~ 嫌~! 嫌~!

どうぞ お茶です。

えっ?

本当か?

間違いありません。 笠井 和磨は 6年前に殺人事件を起こし 服役。

3日前に 刑務所を仮出所したばかりでした。

5年ぶりの しゃばか。 どうりで スマホじゃねえわけだ。

てことは お前 出所した直後に 殺されたってことか?

そういうことですね。

ここに 名前 書いていただければ 終了です。

笠井さん。

(初江)はい。

すいません。

あの 一応 確認ですが…。

息子さんの和磨さんは➡

6年前 慶明大学に通う クラスメートの女性を 殺害。

えっ? (井畑)その事件 知ってますよ。

その被害女性の司法解剖も 確か うちで。

(真崎)3日前に仮出所した…。 そうなの?

(真崎)間違いありませんね? 3日前…。

あの子 刑務所を出てから すぐに うちに電話をかけてきたんです。➡

これから すぐ そっちへ 顔 出すからって。

でも 来なかった。

(真崎)え~ 通話記録によると 息子さんは 出所後➡

お母さん以外に 一度だけ ある人物と通話しています。

遠山 俊平 ご存じですよね?

現在は 慶明大学 理学部で 講師をしているようです。

息子さんが通っていた 大学ですね?

和磨の 大学時代のお友達です。

6年前 息子さんは➡

その遠山さんが交際していた クラスメートの➡

鈴原 美弥子さんを 殺害。

(真崎)和磨さんは 出所後 すぐ➡

自分が殺した女性の 交際相手に 連絡を取った➡

ということになります。

あらためて 謝罪でもしたかったんですかね?

私には分かりません。

あの…。 はい。

和磨を連れて帰っても いいんですよね?

(真崎)えっと… どうなってますか?

あっ はい。

ご自宅まで運ぶよう 手配してますけど。

ありがとうございます。

(鈴の音)

本当に どうも ありがとう。 助かりました。

あっ いえ。 では 失礼します。

あなた 警察の方じゃないから 聞いてくれるわよね?

えっ? ああ はい。

6年前の事件 あれは 冤罪だったの。

冤罪?

この子が 人殺しなんか するはずがない。

できるはずないの。

真犯人は きっと 他に いるんです。

えっ?

当時 白木田先生も ご尽力くだすったんですけど。

白木田先生?

あっ この子が通ってた 慶明大学の 教授です。

この子の恩師なんです。

そうなんですか。

やっと 出てこられたのに…。

いったい どうして こんなことに。

もしかして 6年前の事件と 何か関わりが?

もういい。 いや でも…。

いまさら 6年前の真実が 分かったとしても➡

和磨が 生き返ってくれるわけじゃ ないから。

(泣き声)

(真崎)遠山 俊平は このところ ずっと➡

研究員と共に 大学に泊まり込んでたんですが➡

体調を崩したと 2日前から休みを取ってます。

2日前から?

2日前といえば 笠井 和磨が 殺害された…。

(真崎)白木田さんっていう ゼミの教授から 話が聞けますが。

(白木田)確かに 遠山 俊平君には➡

今 私のゼミで 講師をしてもらってますが。

先日 笠井 和磨という青年が 何者かに殺害され➡

東京湾で 遺体で発見されました。

(白木田)はい 新聞で読みました。 驚きました。

ご存じなんですね? 笠井 和磨君のこと。

(白木田)いや それは。 笠井君 出所していたんですね。

(真崎)3日前に。 (白木田)3日前?

じゃあ 笠井君は 出所して すぐに…。

そうです。

そのことと遠山君と 何か関係が?

こちらが それを知りたいんです。

確かに 笠井君と 遠山君は➡

私の研究室の学生で 友人でもありました。

でも 6年前に あんな事件があったので➡

2人の関係は もう 断たれているとばかり。

あんな事件というのは➡

笠井 和磨君が 遠山さんの交際相手であった➡

鈴原 美弥子さんを 殺害した事件のことですね?

はい。 当時のことを➡

あらためて 詳しく お聞かせ願えませんか?

(白木田)当時 笠井君と 遠山君と 鈴原君は➡

とても 仲が良さそうに見えました。➡

3人で一緒にいるところも よく見掛けました。

しかし 6年前の事件というのは➡

鈴原 美弥子さんを巡っての 三角関係が 原因だったと。

私には とても そんなふうには見えなかった。

鈴原 美弥子さんが➡

遠山 俊平さんと 交際を始めた直後に➡

事件は起こった。

2人の関係に嫉妬した 笠井 和磨が➡

鈴原 美弥子さんを 殺害。

その直後 笠井 和磨は 自らの手首を切って 自殺未遂。

あのときのことは 今も…。

おとといから 遠山さん お休みしてるようですが➡

ここ最近 彼に 何か 変わった様子は?

まさか 遠山君を疑ってるんですか?

いや 断定は できませんが➡

友人である 笠井 和磨に 恋人を殺されてるんです。

動機はあるでしょ。

笠井 和磨が 出所するのを 待っていた。

復讐するために。

そうは考えられませんか?

私には信じられません。

この6年 遠山君が そんなことを考えていたなんて。

遠山は 3日前まで この大学に 泊まり込んでいた。

複数の学生たちからも 証言がとれてます。

つまり 遠山 俊平には 3日前までのアリバイはある。

笠井 和磨が 殺されたのが 3日前だとしたら。

遠山は シロ。

冤罪? はい。

笠井さんのお母さんが そう言ってました。

(霞)ん~ 身内なら そうも思いたくなるかも。

(井畑)母親なら なおさらかな。

ん~ そうなんすかねえ。

≪(ドアの開く音)

笠井 和磨が 殺害されたのが いつなのか➡

正確な死亡推定時刻を 知りたい。

(井畑)え~? (霞)それは…。

2日前か3日前かで 大きな違いがある。

水死体の場合 正確な死亡推定時刻を出すのは➡

難しいんですよ。 桐山准教授➡

あんたなら 割り出せるだろ。

無理。 あっ?

水に浸かってた遺体は キャスパーの法則により➡

空気中よりも 腐敗が 約2倍 遅くなる。

夏場とはいえ 水温は 気温よりも低いから➡

死後変化の誤差の範囲は さらに広がる。

よって 死亡推定時刻の絞り込みは 難しい。

らしくねえな 簡単に白旗か。

法医学にも➡

できることと できないことが あると言ってるの。

(真崎)やっぱ 無理だったじゃないですか。

それを 桐山先生なら できるはずだって 村上さんが…。

いいから。

ご期待に沿えず すいませんね。

(真崎)村上さん➡

やはり 遠山 俊平について 白木田教授から➡

もう少し 詳しく…。 白木田教授?

白木田教授を知ってんのか? あっ ていうか➡

笠井さんのお母さんが 6年前 白木田先生も➡

息子さんの冤罪を 立証しようとしてくれたけど➡

駄目だったって。

君 ずいぶん 首 突っ込んでるみたいだね。

あっ いえ そんなことは…。 そういえば➡

当時の週刊誌に 出てたけども➡

6年前 確か その白木田教授が➡

笠井 和磨の 自殺を 食い止めようとしたとか。

(白木田)《鈴原君》

《もしもし。 救急車。 救急車だ!》

≪(男性)《うわ~!》

《どうした?》

(白木田)《笠井君》

《笠井君! 笠井君!》➡

《おい しっかりしろ!》

笠井 和磨は 一命を取り留めた。

だが 鈴原 美弥子は 搬送された病院で 死亡。

その後 笠井 和磨は 警察の調べを受け➡

鈴原 美弥子殺害を 自供。

(和磨)《どうしても 許せなかったんです》

自供? その殺された女性➡

妊娠してたんですよね? ああ。

しかも DNA鑑定の結果➡

それは 当時 彼女が交際していた 遠山 俊平の 子供ではなく➡

笠井 和磨の 子供だった。

笠井 和磨は➡

鈴原 美弥子が 自分の子供を 宿したにもかかわらず➡

遠山 俊平と 交際を始めたことに 逆上。

美弥子を殺害。

(井畑)ということは 遠山 俊平は 笠井 和磨の 出所を待って 復讐?

捜査本部も その見方です。

行くぞ。

ねえ➡

これ 誰か直せない?

もう おなか すいたんですか?

あっ ワンコ 暇なら直しなさい。

えっ? 直しなさい ハハ。

あっ。

遠山です。

あ~ ちょっと。

(真崎)遠山 俊平さんですね?

体調不良で休んでる って感じではないですねえ。

だんまりですか。

取りあえず お気持ちは 分かりますと 言ってるんですが。

(遠山)何がですか? あんたが➡

笠井 和磨が 出所するのを 待ってまで➡

復讐を果たしたい っていう気持ちだよ。

(遠山)フッ。

それじゃ まるで 僕は ピエロじゃないですか。

ピエロ?

刑事さん 知ってるんでしょ?

美弥子のおなかに宿っていたのは 僕の子じゃなかった。

女に 二股かけられたら 男のプライドが ずたずただ。

刑事さんの言ってること 僕にも分かりますよ。

本当に憎い相手は➡

法の裁きに委ねるより この手で殺してやりたい。

そういう気持ちになりますよ。

(遠山)もう帰っていいですよね? これ 任意の聴取でしょ?

≪(ドアの開く音)

(真崎)証拠が出ないのを いいことに 悔しいっすね。

何か 腹に抱えてんな。 えっ?

あ~ もう!

こんなの 分かんねえっつうの。 も~。

☎

はい 法医学研究室ですけど。

はあ。 あっ 犬飼は僕ですけど。

えっ?

1人だと心細くて。

私も まさか 和磨君が こんなことになるとは。

白木田教授は 6年前➡

笠井 和磨さんの 罪は 冤罪ではないかと➡

色々 ご尽力してくださったと。

(白木田)とにかく あの事件には 不可解なことが多過ぎる。

私は どうしても 真犯人は 他に…。

こうして 和磨君が➡

刑期を終えて出てきた途端に 殺害されたということは➡

何者かが 和磨君の口を封じた という見方もできる。

やっぱり 遠山君が?

遠山 俊平さんが 6年前の真犯人で➡

その発覚を恐れて➡

仮出所してきた 笠井 和磨さんを 殺した。

つまり 笠井君が殺されたのは 怨恨ではなく 6年前の口封じ。

口封じ…。

和磨は やっぱり 無実だったんですね?

冤罪だったんですね?

お気持ちは分かりますが 臆測だけでは…。

てことは あれですか? 6年前 鈴原 美弥子さんを 殺したのは➡

笠井 和磨ではなく 遠山 俊平だと。

少なくとも 笠井さんのお母さんは そう思ってます。

(真崎)いや しかし それは…。

その方が 辻褄が合うんです。

遠山 俊平が➡

自分の恋人が 友人の子供を 妊娠してると 知ったら。

殺したくもなるか?

ていうか… はい。

笠井は 犯行を自供してるんだよ。

そのことは どう説明つけるの?

それは…。

まっ 1つの参考意見として 聞いとくよ。

(真崎)何なんですかね あの青年は。➡

よほど 笠井の母親に 同情しちゃったんですね。

しかし 今の話が 真相だとすると➡

6年前の事件は 冤罪だったってことになる。

上に報告しますか? いや まだ いい。

どた勘だけどよ➡

このヤマには まだ 先があるような気もしてんだよ。

(真崎)えっ?

当時 笠井 和磨は➡

なぜ 鈴原 美弥子殺害現場の すぐ近くで 自殺を図ったのか。

(真崎)えっ?

しかも すぐには死ねない 手首を切るという方法を使って。

未遂のまま 誰かに発見されるのを 想定していた。

そうは思えねえか?

村上さん。

何かある。 何かあんだよなあ。

♬~

≪(チャイム)

遠山君。

6年前のこと➡

お母さんは ずっと 変だって思ってるんですよね?

美弥子を殺したのは 和磨君ではないんじゃないか。

本当は僕なんじゃないかって。

どこに行ったのかと思えば➡

何 刑事みたいな立ち回りしてんのよ。

すいません。

でも あの 笠井 和磨さんの お母さん 見てると➡

どうしても ほっとけなくて。

何さまのつもりよ。

いい? あんたは 法医学の勉強をしてる➡

ただの学生よ?

年は食ってるけど。

一言 余計です。

それに あの 僕は 自分で望んで ここにいるわけでは…。

自分で望んで 願いが かなって➡

自分がいたい場所に いたいように いられてる人間が➡

この世の中に どれだけ いると 思ってんの?

先生が そうなんじゃないんすか?

そう見える?

見えるも何も 先生 見てると➡

解剖マニアっていうか 解剖オタクっていうか…。

あっ そうそう 聞きたかったんすけど➡

先生は 解剖中 何か こう 感じるっつうか➡

何かが見えるみたいなこと あるんすか?

何 言ってんの? あっ いえ すいません。

君には 2つ言っておく。 2つ?

何事においても 思い込み過ぎるのは➡

真実を見えなくする。

逆に 余計なものが見えたりね。

余計なもの? 特に 法医学者を志す者は。

だから 僕は 別に法医学者には…。

それと もう1つ➡

今 あなたに課せられてる 義務は…。

あれを直すこと。

えっ?

えっ?

(警察官)下がってください。

うっす。 (警察官)ご苦労さまです。

(警察官)こちらです。

うわ…。

遠山。

遺体が相手なら 殺さなくて済むからね。

(白木田)遠山君は 自殺したっていうのか?

これは この世に最後に残した メッセージなのよ。

法医学も 人の命を救える。 ご遺体とは いつも 一期一会よ。

世の中に 同じ遺体なんてないの。

≪(警察官)こちらです。

うわ。

ほら ワンコ 何 ぼやっとしてんの。

こっち 介助して。 はっ はい。

(警察官)立ち入り禁止です。 お下がりください。

教え子なんだ 遠山君は 私の。 (警察官)どうぞ。

写真。

(シャッター音)

(井畑)直腸温 26度。

んっ?

≪(警察官)どうぞ。

白木田教授。

(白木田)ホントですか? 遠山君が自殺を…。

まあ そういう状況です。 何てことだ。

今 調べ中なんで。

白木田教授。

やっぱり 笠井 和磨さんの お母さんが➡

思ってたとおりだった ってことなんすかね?

6年前に 美弥子さんを 殺してしまったのは➡

ホントは遠山さんで➡

それで…。

それで 良心の呵責にさいなまれて 遠山君は 自殺したっていうのか?

分かんないですけど。

何か分かったら 連絡しますんで。

とにかく 真実を明らかにしてください。

よろしくお願いします。

♬~

何だろうね これ。

インクですかね?

科捜研に回します。

それと ここ 少し内出血してるわね。

(井畑)ああ こっち おんなじものが。

どうなの?

とにかく 解剖して調べる。

どう見ても 首つり自殺だろ これは。

素人が 勝手に 決め付けないで。

プロの刑事だ。 経験で 物 言ってんだよ。

首つり死体は 何度も見てきた。

ご遺体とは いつも 一期一会よ。

世の中に 同じ遺体なんてないの。

へ理屈 言いやがって。

そこ 邪魔。

(真崎)村上さん 捜査会議です。 分かってる。

(真崎)幕引きですね。

捜査本部の見立ては あくまで 遠山による復讐殺人。➡

で 良心の呵責にさいなまれ 遠山は 首つり自殺。➡

それで 上がり 締めです。➡

余計なことは もう…。

(課長)被疑者の自殺という 残念な結果になってはしまったが➡

これにより 笠井和磨殺害事件は➡

6年前 笠井に 鈴原 美弥子を 殺害された➡

遠山 俊平の 怨恨であった ということで➡

間違いないだろう。

ちょっと いいっすか? 何だ? 村上。

遠山 俊平の 司法解剖の結果を 待ちませんか?

(課長)遠山 俊平は 首つり自殺に間違いないという➡

報告が 来ている。

司法解剖は その確認作業だと聞いてるが。

結果を待ちませんか?

(シャッター音)

首の索溝以外は 目立った外傷はなし。

(井畑)そうですね。 (霞)直腸温 30度です。

(井畑)かすかに 紅斑があるけど➡

これも 暴行を受けて できたようなものでは➡

ないですしね。 うん。

両肩辺りにも 新しい小さな傷が 認められるけど➡

これも 誰かと争ったときに できるようなものとは 違うわね。

(シャッター音)

首の皮下出血の状況 見てみよう。 (井畑・霞)はい。

首内部に 外表と一致する圧迫痕。

皮下出血を伴う 甲状軟骨上角の骨折。

(霞)顔面の うっ血。➡

眼瞼結膜に 溢血点もありますから…。

(井畑)典型的な 首つりに見られる 所見ってことですね。

(真崎)やっぱり 自殺ですよね?

直腸温…。

30度?

(井畑)《直腸温 26度》

(井畑)あと 気になるのは ここの かすかな皮下出血。➡

それと 指に付着している あれが 何か。

指。 皮下出血。

♬~

♬~

えっ?

♬~

♬~

心臓の中 調べよう。

(井畑)えっ? (真崎)心臓の中を?

どういうことだ?

右心房。 (霞)はい。

左心房。 (霞)はい。

次は 胃を開く。

(霞)えっ? はさみ。

(井畑)先生 まさか これって…。

その「まさか」かも。

やっぱり。

確かに 死因は 首をつったことによる窒息。

ただ 心臓血の左右の色調差➡

胃粘膜の多発性出血斑➡

それと 体の幾つかにある紅斑は➡

軽度の凍傷によるもの。 凍傷?

直腸温が 発見時に 26度だったのが➡

時間が経過して 30度にまで上昇していたのは➡

外気温に影響されたため。

つまり➡

首をつった時点では すでに 低体温による仮死状態だった。

仮死状態?

この真夏に 凍傷とか低体温とか…。

どこかの冷凍庫。 かもね。

氷点下の冷凍庫の中で 意識を失い 仮死状態に。

その後…。

♬~

この人は 自殺なんかじゃない。

死にたくなんかなかった。 大学および近隣の➡

冷凍庫のある施設だ。 (真崎)はい。

(井畑)心臓血を 緊急生化学検査に回してきます。

(霞)連絡します。

いいんだな? 殺人事件として発表しても。

それは こっちの質問。

捜査本部の意見とは 180度 違うけど?

だから 何?

先生。

遠山さん 寒そうに こうして…。

俺 見えました。

しかばねは 生ける師なり。

えっ?

しかばねは 生ける師なり。

もう4年か あんたが ここに来て。

このまま ずっと 自分を殺してくつもりか?

脳外科 辞めて 法医学者になって よかったか?

遺体が相手なら 殺さなくて済むからね。

(井畑)何か おかしな展開になってるよねえ。

6年前に殺された恋人の 恨みを 晴らすために➡

遠山 俊平が 笠井 和磨を 殺したんだって思ってたら…。

その遠山さんが 自殺に見せ掛けられて 殺された。

どうなってんだ?

≪(電子レンジの音)

あっ。

直ってないじゃん。

(井畑)駄目じゃん。

いや 無理ですって。

食べるんすか?

そもそも 6年前 笠井 和磨は➡

どうして 鈴原 美弥子の 殺害を 自供したのか。

硬っ。

(真崎)この低温実験室➡

この大学の いろんな学科が 共同で使ってるそうなんです。➡

遠山さんの指紋も 出ました。 出たのか。

あっ まあ 普段から 研究に使ってますから。

出て当然じゃねえかよ。 ですよね。

どんな研究してたの? 遠山は。

(真崎)ん~ よく分かんないんですけど➡

遠山さんが属していた 白木田教授チームの➡

研究テーマは➡

酵母菌の酸化ストレスを どうのこうの?

酵母? はい。

酵母ね。

♬~

[TEL](バイブレーターの音)

はい。

はあ?

どうした? 笠井 初江が 出頭してきました。

えっ?

で どうしたんですか?

遠山君が 亡くなる前の日に うちに来て。

《遠山君》

《6年前 僕は 美弥子のことは殺してないです》

《それに 和磨が犯人だとも どうしても思えない》

《だって 美弥子は 和磨の子供を 妊娠していたんですよ?》

《じゃあ 誰が 美弥子さんを?》

《そのことについて 確かめたくて➡

何度も 刑務所に手紙を出したり 面会を申し入れました》

《でも 和磨からは 何も返答がなくて》

《そうだったの?》

(遠山)《でも…》

《和磨は 刑務所を出て すぐに 僕に電話をくれて》

[TEL](和磨)《これからは➡

過去は 振り返らないで 生きてくつもりだよ》

《和磨 お前 それ どういう意味だよ》

《お前 やっぱり 何か隠してるんじゃないのか?》

《誰か かばってるのか?》

《犯人は俺だよ》 《和磨》

《もう二度と 会わないようにしよう》

《元気で》 《和磨?》

[TEL](通話の切れる音) 《和磨》

遠山は➡

和磨君が 誰かを かばっていることに➡

気付いていたということですか?

そういうふうにも感じました。

《本当に憎い相手は➡

法の裁きに委ねるより この手で殺してやりたい》

(初江)遠山君は ずっと 信じてくれていたんです。

なのに 私 遠山君のこと疑ってしまって。

冤罪…。

村上さん。

和磨は どんな理由であれ 人を殺すなんて あり得ません。

命の大切さを 誰よりも知ってる子だったんです。

どうして そう断言できるんですか?

和磨は 子供のころに 骨髄性白血病にかかって➡

「このままじゃ 二十歳まで 生きられない」って言われて。➡

でも それも運命として 受け入れるしかない。

そう思ってました。

ところが 和磨が中学生のときに 奇跡が起きたんです。

奇跡?

和磨に適合するドナーが 見つかって➡

骨髄移植を受けることが できたんです。

あの子は 命拾いをしたんです。

そうだったんですか。

そんな経験をした和磨は➡

誰よりも 命の大切さを 知ってたはずです。

《ありがとうございます》 (和磨)《ありがとうございます》

そんな和磨が 人を殺すなんて 信じられません。

その上 自殺するなんて。

しかし 和磨君は 鈴原 美弥子さん殺害を 自供し➡

自殺未遂に関しても 自らの意思で 手首を切った。

そう供述しています。 嘘です。

和磨は嘘をついたんです。

そんな。

そのことを… そのことを 警察の方が➡

もう少し 察してくれていたら…。

どうして そんな嘘をつく必要が あるんですか?

事実 裁判に関しても➡

一度も控訴することなく 刑に服してます。

それは…。 どう説明なさるんですか?

分かりません 分かりません。

(初江の泣き声)

≪(戸の開く音)

(店員)はい いらっしゃい。

こんな時間に昼飯か?

そういう そっちは?

こんな時間に昼飯。

サバ塩定食。 (店員)はい。

科捜研からの報告 そっちにも行ってんだろ?

指先に付着していたのは トリパンブルーっていう…。

酸化ストレスに さらして➡

死んだ酵母と 生き残った酵母を 見分けるための➡

液体だ。 勉強してんね。

研究には いつも 使ってるもんだから➡

遠山の指に付いてても 全然 不思議じゃない。

捜査は 手詰まり。

素人が 決め付けんなよ。

笠井 和磨は 子供のころ 骨髄性白血病だったらしい。

それが?

13歳のときに 幸運にも ドナーが現れ➡

骨髄移植を受けられて 助かった。

ふ~ん そう。

どう思う? 何が?

その話が ホントなら➡

6年前の事件も 冤罪かもしれねえよなってな。

奇跡的に ドナーが見つかって 骨髄移植を受けられた。

新たな命を 授かったようなもの。

レシピエントとなった 笠井 和磨は それを痛いほど感じていた。

命の貴さを。

そんな人間が➡

恋人に 背を向けられた というだけの理由で➡

果たして その人 殺せんのか?

しかも 彼女は 自分の子供を妊娠していた。

ああ。

妊娠?

何? どうした?

ごちそうさま。

(店員)はい ありがとうございました。

ワンコ! はい。

6年前の鈴原美弥子殺害事件の 鑑定書の控え➡

取ってきて。 えっ?

走れ! はい。

あの…。

先生は どうして 法医学の道に 進もうと思ったんすか?

やっぱり どう考えても➡

医者を志す者が 法医学に行くってのは➡

何か うん…。

ねえ。

はい?

笠井 和磨さんの ご遺体 まだ火葬されてないわよね?

えっ?

笠井 和磨さんの ご遺体から 毛髪のサンプル 頂いてきて。

えっ? 切っては駄目。

ちゃんと 毛根が残るように 抜いて。

抜く?

走れ!

え~?

お願いします。

この子の 髪の毛を どうするんですか?

はい 僕も よく分からないんです。 まだ 使いっ走りの身で。

あなた 医学部の学生さんよね?

はい 年は だいぶ食ってますが。

普通 お医者さんといえば➡

ケガや病気を治してくれる 命を助けてくれるものなのに➡

それを目指すはずなのに➡

いったい どうして こういう…。

はい… ですよね。

そうですよね。

でも 大事なことよね。

誰かが この役目を負わないと。

この先も生きてかなきゃいけない 遺族のためにも。

どうぞ。

♬~

失礼します。

♬~

♬~

ありがとうございます。

和磨ね 高校時代までは 文学部を目指してたの。

そうなんですか。

それが 高校3年生になってから 突然➡

「どうしても 慶明大学の理学部に 進みたい」って言いだして。

へえ どうして また。 さあ。

あのパソコンを 何度も何度も 見てましたわ。

何を? さあ。

私は 機械のこと 全然 分からないから。

抵抗は されなかった? お母さんに。

いえ。 何か 逆に励まされました。 「あなた方のような➡

お医者さんたちが いてくれるから➡

残された人たちは 生きていける」って。

笠井 和磨さん 文系志望だったのに➡

高校3年になって 急に 理系に変わって➡

慶明大学の理学部に。

ふ~ん。

何か パソコンで 見つけたらしいんすよ。

自分の人生を方向付ける 何かを。 パソコン?

よほど 心 揺さぶられる 何かを 見つけたんでしょうね。

うん。

でも あなただって それなりの志を持って➡

医学部に入ったんでしょ?

子供のころからの 憧れだったんです。

人の命を助けられる医者に なりたいって。

2浪した上に 8年かかって 医学部4年になって。

それが 法医学で 死体を扱う仕事じゃ➡

話が違うってわけね。

すいませんでした。

「死体なんか」なんて言った自分が 今は 恥ずかしいです。

実は あの誘拐事件で 思い知りました。

犯人の遺体を 解剖したことによって➡

子供の命を… 別の命を 助けられた。

法医学も 人の命を救える。

どんな分野の医学でも 「医学」と名の付くかぎり➡

それは 人の命を救うことが 目的であり 使命。

そうでも思わなきゃ やってらんないわよ。

何か 先生も人間だったんすね。

ねえ さっきの パソコンって➡

笠井 和磨は 何を見つけたの?

さあ そこまでは…。

でも 「何度も見てた」って。

☎(呼び出し音)

桐山です。

さっき お願いした件で…。

毛髪のサンプルが届いたので これから お届けします。

急ぎで DNA鑑定を。

DNA鑑定?

よろしく。 「あしたの朝一までに」って。

えっ? いや 朝一は それは無理じゃ…。

私 行くとこできたから。 じゃ。

えっ? いや ちょっと…。

えっ?

≪(チャイム)

こんな時間に 申し訳ありません。

何か?

(真崎)マスコミが 書き始めてるらしいです。➡

6年前の事件は 冤罪だったんじゃないかって。

鬼の首を取ったようにか?

あと 鑑識から追加の報告が。 何?

慶明大学の低温実験室の 扉の内側から➡

ごく微量ですが 血液反応が出たそうです。

んっ? え~…。

血液型は 遠山と同じA型。

まあ 事件と関係があるかどうか 疑問ですけど。

≪(拍手)

≪(ドアの開く音)

おはようございます。

えっ 泊まりだったんすか?

あの 鑑定結果 出たんすけど。

[TEL](バイブレーターの音)

はい。

んっ?

大事な話がある。 こっちにも あるんだ。

とにかく 警察の人に 立ち合ってほしいから。

詳しいことは 現場で話す。 じゃ。

♬~

どういうこと?

あっ。

(白木田)何ですか?

ちょっと お時間を頂いても よろしいですか?

すいませんが 私 これから 講演会がありますので 時間が…。

大事な お話があります。

(白木田)手短に お願いします。

笠井 和磨さんと 遠山 俊平さんが 亡くなりました。

痛ましいことです。

そのことで 幾つか伺いたく。

これを見てください。

何だ? それ。

殺された 笠井 和磨さんが➡

高校時代から使っていた ノートパソコンです。

高校時代? ここには➡

12年前 2001年に行われた➡

白木田教授の ネット配信された動画が➡

保存されています。

私の? 12年前?

あなたは この中で ある体験談を話しています。

(白木田)ああ… さて 何だろう。

その部分を。

(白木田)「今から3年前の 9月のことでございます」➡

「私が登録しておりました➡

骨髄バンクから 連絡がございまして➡

私が ドナーとなって➡

首都圏に住む 骨髄性白血病の男子中学生の➡

移植手術を行いました」 (白木田)ああ。

(白木田)「手術は 見事に成功いたしまして➡

男子中学生は 健康な体を 取り戻すことができました」

「誠に喜ばしいことでございます」

≪(拍手)

これが何か?

あなたのホームページに アップされていた この動画を➡

見つけたのは➡

当時 高校生だった 笠井 和磨さんです。

えっ?

移植手術の地域と時期から➡

それが自分のことだと 確信できたんでしょう。

《この人だったんだ》

白木田教授が 笠井 和磨の ドナーだったということか?

そう。 笠井 和磨さんは➡

その命の恩人であった 白木田教授を 慕い➡

恩返しをしたく思ったんでしょう。

それまでの進路を変えてまでして この慶明大学の理学部に 入学。

(白木田)《大腸菌は 核を持たない原核生物だ》➡

《これに対して 酵母の方は…》

助けてもらった命を➡

その恩人である 白木田教授のために➡

生かしたいと願った。

たとえ 殺人事件の 身代りになることであっても。

何を言いだすのかと思ったら…。

私の 何の身代りを?

鈴原 美弥子さんを 殺したこと。

はっ? おい。

私が どうして 彼女を 殺さなくてはならないんだ?

理由がない。 動機がないでしょう。

6年前 鈴原 美弥子さんは➡

いったい 誰の子供を妊娠していたのか。

えっ?

おそらく あなたでしょ。

ハハハ… 申し訳ないが➡

話が とっぴ過ぎて ついてゆけないが。

あなたは 講演会でも人気だし テレビのコメンテーターとしても有名。

学内でも 女子学生の支持が高い。

そんなことと 何の関係があるんだ!➡

第一 あの子の おなかの中の 赤ん坊は➡

笠井 和磨の 子だと➡

当時の司法解剖で 証明されてるでしょ?

そんな彼女を 私が殺す?

論理的に おかしいでしょ そんなこと。

こちらは まさに その➡

6年前 鈴原 美弥子さん殺害事件の際の➡

鑑定書です。

美弥子さんの体内の胎児から 採取したDNAを 調べた結果➡

笠井 和磨さんと 親子である可能性は➡

99.999%という結果を 示しています。

ほら… ほら。

ところが こちらは 最近 調べた資料です。

こちらは 可能性0%。

えっ? どういうこと?

こちらの結果は➡

笠井 和磨さんの 髪の毛根から 採取したDNAで➡

調べたものです。 髪の毛根?

血液由来のDNAでは 親子関係が証明され➡

髪の毛からのDNA鑑定では 可能性0%。

まさか 同じ人間から 2つのDNAなんて…。

それが あり得るの。

骨髄性白血病だった 笠井 和磨さんは➡

白木田教授からの骨髄移植で 助かった。

骨髄性白血病の患者に 骨髄移植をすると➡

受ける側の血液 それは ドナーと同じものになる。

へえ そうなんだ。

しかし それ以外の体組織は 骨髄由来ではないから➡

元の自分のDNAのまま。

つまり 笠井 和磨さんの 髪の毛は➡

本来の 和磨さん本人のDNAを 持っていることになる。

人間の精子も 髪の毛と同様➡

もともとのDNAを 持っているから➡

美弥子さんの胎児のDNAと➡

笠井 和磨さんの DNAは 一致しない。

ということは➡

美弥子さんの おなかの中にいた子は➡

笠井 和磨さんの 子ではない ということになる。

こちらが正しい結果です。

そんなこと…。 認めたくはないでしょう。

こんなことは 論理的に…。 極めて論理的な話です。

ホントのことを お話し願えませんか?

ここまでの証拠を前に もう 言い逃れはできませんよ?

こんなものが証拠といえるのか? 「こんなもの」とは 何だ!

笠井 和磨さんが➡

これは この世に最後に残した メッセージなのよ。

笠井 和磨さんは➡

あなたの罪をかぶってでも あなたに恩返しをしたいと思った。

あなたの… あなたから もらえた命に➡

感謝してたの。

過ちだったんですよ。

鈴原 美弥子さんと 関係を持ったことを➡

認めるんですね?

彼女も 「知られたくない」って言ってた。

言ってたのに➡

妊娠しただなんて言ってきて➡

産むなんて言いだすから…。

殺した。

殺したんですね?

不可抗力なんだ。

《君には 申し訳ないと思ってる》

(美弥子)《やっぱり 産んではいけませんか?》

《赤ちゃん》

《妻と別れるわけには いかないんだ》

《私 そういうこと 言ってるんじゃないんです》

(白木田)その やりとりを 笠井君に見られていた。

(美弥子)《赤ちゃんは➡

1人で産んで 1人で育てますから》

《しかし それは…》

《それも 許していただけないんですか?》

《赤ちゃんを殺すことなんて…》

《鈴原君》

《だったら 私 赤ちゃんと 一緒に 死にますから!》

《やめろ! やめろ!》

(美弥子)《嫌… 嫌! あ~!》

(白木田)《あっ!》

(和磨)《美弥ちゃん… 美弥ちゃん!》➡

《美弥ちゃん!》

《先生》

《何とか 落ち着かせようとしたんだ》

《でも もみ合ってるうち…》 《分かってます》

《もう おしまいだね》

《やっと 私の研究が➡

日の目を見ようとしていた というのに➡

まさか こんなことが起きようとは》

♬~

《白木田先生》

《今が 恩返しを すべきときなのかもしれません》

《僕にしかできない恩返しを》

《笠井君》

そこまでしてくれた笠井さんを➡

何も言わずに罪をかぶって 仮出所してきた 笠井さんを➡

どうして 殺したりしたんすか?

ずっと ふに落ちなかったんだよ。➡

だって おかしいじゃないか。

血液鑑定で➡

彼女の おなかの子は 笠井 和磨の 子だと➡

判明したんだ。 えっ?

私は 2人に… 鈴原 美弥子と 笠井 和磨に➡

はめられたと思ったんだ。

(白木田)2人は 最初から 私をゆする気で…。

だって そう思うだろ!?➡

こんなことがあるなんて 誰が思う!?

彼は 出所して すぐ 私の前に現れた。

《出所したとは知らなかった》

《一目 お会いできればと思って 会いに来ました》

《そう》

《今後は 母と一緒に どこか別の土地に移って➡

静かに暮らしていくつもりです》

《安心してください》

《僕は 絶対 誰にも言いません》

《ただ 遠山君が…》

《遠山君が?》

《獄中の僕に 何度も 手紙をよこして》

《あいつ 先生を疑ってます》

《もし あいつから何か言われても 動じないでください》

《僕さえ 口をつぐんでいれば 大丈夫です》

《もう二度と 先生の前には 現れません》

(白木田)この男は これから先➡

一生 私をゆする気だと 思ったんだ。➡

だから…。

(和磨)《あれ?》➡

《先生 何もありませんよ?》

♬~

♬~

そこで 新たな計画を思い付いた。

これを 遠山による復讐殺人に 仕立てればいい。

これで 奇麗に事が済む。

《では やはり 僕が想像していたとおりだ➡

ということですか?》

《私の人生は もう ここで終わりだ》

《きちんと 裁きを受けないとね》

《教え子の君に 合わせる顔がない》

《先生》

(白木田)《私の これまでの研究成果の全てを➡

君に託してから➡

自首をしようと思ってる》

《見てくれ》 《これは…》

(白木田)《ついに 結果が出たんだ》

《すっ すごい。 これ どっ どうやって?》

《ある条件下では 酵母は 酸化ストレスによる死滅はしない》

《ある条件下?》

《君に ぜひ 見てもらいたいんだ》

《来たまえ》

《ある条件下というのは?》

《これだ》

(遠山)《あれ? でも これは 今までと同じ…》

(遠山)《あれ? 先生》➡

《先生》

≪(扉をたたく音)

(ため息)

自業自得ってことか。

後は 署の方で話しますか。

ああ。 かばん いいですか?

その前に…。

白木田教授。

あなたのDNAを 採取させてください。

あなたの血液から得たDNAと➡

6年前に殺された 鈴原 美弥子さんの➡

胎児から得たDNAが 一致するかどうか➡

証明しておきたいので。

断る。

しかし 実に残念だ。

あの 鈴原 美弥子君は➡

とても優秀な研究者になる 資質があった。

なのに 私生児でもいいから 子供を産みたいなどと➡

とても 論理的とは言い難い。➡

やはり 本当の目的は 私をゆすろうと…。

(白木田)うっ! おい!

痛っ。

(白木田)あっ…。

頂きました。

こんなやり方 裁判で証拠能力ねえぞ。

私が自己解決できれば いいの。

《たぶん このときだ》

《「僕は この人の犬になっても いいかも」って思っちゃったのは》

勘違いしないで。

こういうのは 法医学の範疇 超えてるから。

分かりますから それくらい。

♬~

熱っ。

和磨さんは知ってたわけね。

自分のドナーである白木田と➡

自分の血液のDNAが 同じだってこと。

それで 手首を切って 血液からDNAを採らせた。

そうすることで➡

自分が 美弥子さんの子供の 父親だと判定される。

≪ワンコ!

ハァ~ これ まだ直んないの?

(真崎)実験室の扉の裏に付いてた かすかな血液。

あれ どういうことだったんすかね?

遠山は 凍えて 仮死状態になったはずじゃ…。

分かんねえのかよ。

《誰か! 誰か!》

お前も 少しは 法医学の勉強しろ。

はあ。

あっ 6年前の冤罪について 本部長の謝罪会見が 始まります。

見に行きますか?

どうでもいい。

(作動音)

直った?

今度こそ…。

先生!

先生?

先生 どうしたんすか?

うわ!

びっくりした。

直った?

たぶん。

んっ?

熱っ。

やればできんじゃない。

熱っ。

前にも言いましたけど 実は 僕にも見えてたんすよ。

何が?

遠山さんの解剖中 先生が見たのと同じ…。

こうして 寒そうに…。

だから 両肩に痕が…。

何 それ。 えっ?

どうかしてんじゃないの?

はあ。

♬~

《取りあえず しばらくは ここに いてみることにしよう》

あっ そこじゃない。 十二指腸下部。

すいません。

《この解剖室の 女王さまのもとに》

あっ。 あっ。

ちょっと もう 何やってんのよ。 ちゃんとクランプしてよ。

すいません。

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