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Original subtitles

やっぱ、今は我慢なんですよ。

みんな我慢してるから。 ≫やっぱあのカウンターで

大将と向かい合って 本来なら。

≫すっと出てきたやつを、すっと。 ビールを…。

ああ!みたいな。

≫何すか?それ。 ≫大したことなくて、すみません。

≫ツッチーはどうしてんですか 食事とか。

≫普通です。 コンビニとかで買ったりとか。

さすがだな 古畑さん。

(イチロー)心配ないって。➡

たとえ 郡山の身元が 分かったとしても➡

兄貴との つながりまでは 調べようがないよ。

お前は 古畑さんを知らないから そういうことが言えるんだ。

あの人は すご腕の刑事だ。

あの人が出てきたということは いずれは すべてがバレる。

そんなに すごいのか 古畑は? 最高の刑事だ。

あの人のほかに 一体 誰が➡

マッチだけで ここまで たどりつける?

(アナウンサー)「2005年も 大活躍だった イチロー選手が 昨日…」

まさか イチロー選手で ヒットすると 思いませんでした。

あの人が 何らかの形で 事件に関係しているのは➡

間違いなさそうですね。 (古畑)そのようだね。

何を隠しているのか気になります。 ちょっと待ってよ。

イチローが犯人だって言うの!? それは まだ分かりませんが。

バカなこと 言うもんじゃないよ。

イチローが 犯罪を犯すわけ ないじゃないか。

(西園寺)僕も そう思いますが すべてを疑って かからないと。

とりあえず 向島さんに会って 少し 話を聞いてきます。

何か分かるかもしれない。

被害者の身元も すぐに洗って。 分かりました。

あのね 言っとくけど イチローは 盗塁はしても➡

人の命を とったりはしませんからね。

(西園寺)今泉さん。 シャレたことを 言うのはいいんですが➡

言った後に 得意そうな顔を するのは やめてもらえませんか。

してた?

(リポーター)「今 イチロー選手の姿が 見えました。➡

たくさんのファンに 笑顔を振りまきながら➡

今 イチロー選手が わたしの前を 通っていきます」

昨日は イチローは チェックインしてからは ずっと 部屋にいたはずですよ。

外出はしていない? ええ。

夜の記者会見まで 部屋から出てないと 思います。

車で どこかに出かけた なんてことは ありませんか?

わたしの知るかぎり ないですね。

そして 彼のことで わたしの 知らないことは ありません。

ありがとうございました。

(今泉)まさか あんたが イチローの兄さんとはなぁ。

隠していて すみませんでした。

似てないね。 そうですか?

鼻の形とか 結構 似てると思うけど。

名字も違う。 いろいろ ありまして。

そういえば 君は いつから 東国原から 向島に戻ったの?

いろいろ ありまして。

数奇な人生 歩んでるねぇ。 はい。

そうだ。 申し訳ないんだけど これ また サイン 頼めるかな?

うちの おばあちゃんが イチローの大ファンでさ。

どうしても サインボールが欲しいって きかないんだ。

お預かりします。

(古畑)ええー 郡山さんのことが 分かりましたので ご報告を。

西園寺君。 (西園寺)はい。➡

郡山 繁さん 44歳。 フリーのジャーナリストです。➡

といっても 男性週刊誌に➡

風俗関係の記事を書くのが 主な仕事。➡

暴力団がらみの取材も 多かったようです。

いかがですか? そろそろ 教えてはいただけませんか?

郡山さんは何が目的で 死ぬ直前に この部屋を 訪れたのか。

ええー 秘密は お守りします。

古畑さん。 それは わたしから お話しします。

兄貴。 (向島)いいんだ。

この人に 隠し事はできない。

(向島)郡山は わたしに会いに来たんです。➡

あの男は 恐喝屋でした。

(西園寺)ゆすられて いたんですか?

元はといえば わたしが いけないんです。

警察にいたころ ある暴力団の 組員と 仲よくなりまして➡

最初は 足を洗いたいというので➡

新しい職場を 世話してやってたんです。

結局 そいつは 組を抜けることは できなかったんですが➡

それからも いろいろと 相談に乗るようになって。

あるとき 組同士でやる 草野球の試合に➡

ピンチヒッターとして出てくれと 頼まれました。

警察官が 暴力団の野球大会に 出るのが どういうことか➡

わたしにも よく分かっていました。

断ればよかったんですが 何というか➡

わたしも 根っからの野球好きで。

兄貴は 甲子園に 出たこともあるんです。

向島君が? はい。

といっても 補欠ですが。 初めて聞いた。

自慢になるんで。 うーん。 続けて。

それで 決して 身分を明かさない 条件で 試合に出ました。➡

30年ぶりの試合でした。➡

わたしは 満塁ホームランを打って チームは勝ちました。

楽しかった。

それ以来 試合のたびに わたしは呼ばれました。

そして 雑誌の取材で 組を 取材していた➡

あの男と 出会いました。

郡山さんは あなたが 警察官でありながら➡

組の野球大会に 出場していることを知り➡

脅してきたんですね?

悪いことに わたしの素性を調査し 腹違いの弟が 野球選手となって➡

メジャーリーグで 活躍していることまで 調べ上げました。

最初は 記事にするつもりだったのが➡

弟のことを知ってからは それをネタに➡

わたしを ゆするほうが 金になると 思ったようです。

金は 支払ったんですか?

あいつは わたしが ホームランを打って 仲間の組員たちと➡

抱き合う瞬間を 写真に撮っていました。

金を払わなければ それを マスコミに ばらまくと脅されました。

わたし自身は どうなっても かまわない。➡

しかし 弟の名前に 傷をつけるわけには いかなかった。

(向島)わたしは その男に 言われるままに➡

金を払い続けました。➡

しかし あいつは さらに 多額の金を 要求してきました。

警察官の給料では とても払いきれない額でした。

それで 転職されたんですね?

(向島)すいませんでした! 今まで 隠していて。

昨日のこと 聞かせてくれる?

(向島)郡山は 何か 悪いことに 手を染めて➡

警察に 追われているようでした。➡

近々 海外へ 逃げると言ってました。➡

そして そのために 1, 000万円 要求してきました。

(イチロー)そこからは 僕が話す。

ゆうべ 僕は 兄貴に相談を受け 郡山に会いました。

うーん。 それで ここへ呼んだわけですね。

(イチロー)はい。 はい。

で お金は 支払ったんですか? まさか。

僕らは ここで 30分ほど話し合い あの男が出てったのが 確か➡

8時すぎでした。

(西園寺)遺体が発見される 1時間前です。

(向島)すいません 隠していて。

で 殺したの? やめてください!

ちなみに 向島さん。 死亡推定時刻の➡

午後8時半ごろは どちらに いらっしゃいましたか?➡

向島さんに こんなこと 聞きたくなかったんですが。

言ってあげなよ。

申し訳ないが 兄貴には アリバイがある。

昨日の 8時から 9時の間は 確か 保安課の控え室にいた。

そうだよね?

うーん。 そこで 何を?

僕のサインを 書いてもらってました。 サイン?

(イチロー)はい。 兄貴には よく書いてもらうんですよ。

僕の代わりに。 本当は いけないことなんですけど。

ゆうべも ここのホテルの スタッフのために➡

100枚のサインを 書いてもらってました。

調べてもらえば 分かることです。

そうなの? (向島)はい。

そういうことって よくやるの?

代筆ですか? 代筆。

弟も 忙しいので。

やっているうちに こっちも どんどん上達して。

それも 実は 僕が書きました。 (今泉)えっ!?

これも お前が書いたのか? すみません。

(西園寺)向島さんが サインを書いているときに➡

そばに 誰かはいましたか? (向島)いいえ。

(イチロー)いなくたって 証明は できるはずだよ。➡

言ってたじゃない。 スタッフから 色紙を受け取ったのは 8時で➡

9時には もう できあがって みんなに 渡してたんだろ?➡

途中で 郡山を 殺しに行ってたとしたら➡

1時間じゃ とても 書き上がる数じゃない。

(西園寺)一応 裏は取っておきます。 うん そうしてくれる。

向島君ねえ。 すいません。 ちょっと サイン 書いてくれる?

♬~

(西園寺)そっくりに 書けるもんですね。

どうして あんなことを! 兄貴が 疑われたからだろ。

そういうこと言ってるんじゃない。 何 怒ってんだよ?

あれほど 嘘は嫌いだと 言っていたくせに➡

なぜ 古畑さんの前で嘘をついた!? しょうがないだろ!

兄貴を守るためなんだから。 最初で 最後の嘘だよ。

すまん。 別に。

ただ 古畑さんは 嘘を見抜く 天才だから。

それにな ふだん つき慣れてない人間が➡

嘘をつくとな 必ず ほころびが生まれる。

それだけが 気になる。

これ サインしてやってくれ。 今泉さんに頼まれた。

ここで 心配したって しかたないよ。

世の中 なるようにしか なんないんだから。

俺は こんなことで お前の 野球人生➡

終わりにさせたくないんだ。 俺のせいで。

気にすんな。

俺にはな 兄貴。 野球よりも 大事なものが あるんだ。

(イチロー)こうやって 二人で話してると 思い出すなぁ。

子供のころ よく 兄貴と一緒に 暗くなるまで 遊んだ。

ああ。

腕が痛くなるまで キャッチボールを。

兄ちゃん。

♬~

♬~

(副支配人)はい。 間違いないです。➡

8時に 色紙を渡して 9時には できあがっていました。

これが そうですか? はい。

(今泉)うまく書くもんだなぁ。

これで 100枚ですか? (副支配人)はい。

確かに これ全部を 1時間で 書き上げるのは➡

骨が折れそうですね。

(副支配人)イチローさんの サインじゃないんですか?

残念ながら。 向島が書いたんですよ。

これもね。 最低ですよ。

しかし 向島君も 自分から言いだしといて➡

どういうつもりなんでしょう? すいません。

それは どういうこと? はい。

もともと この色紙は 向島君から 用意するようにと言われたんです。

イチローさんが スタッフ全員に サインを プレゼントしたがってると。

向島君のほうから 言いだしたことなんですね?

(副支配人)そうです。➡

あれ? 何か?

(副支配人)あっ これは違うな。 どういうことですか?

(副支配人)この色紙は わたしが用意したもんじゃない。

スタンプが押してない。 スタンプというと?

はい。 わたしは 向島君に言われて➡

ロビーの売店で 色紙を 100枚 購入したんですが➡

せっかくの記念なんで 彼に渡す前に➡

イチローさんの 似顔絵のスタンプを 全部に 押したんです。

スタンプを?

(副支配人)昼間 チャリティーの会場で 売ってたやつです。➡

わたし あのう。 前もって いただいたものですから。

これです。 これを こうやって 1枚ずつ 隅に 押したんです。

どれも スタンプはありませんね。 古畑さん これは 一体…。

すり替えたんでしょう。 どういうことですか?

あらかじめ 別の色紙を 用意しておいて➡

先に 100枚 サインしておいたんですね。

そうすれば 8時から 9時までの間は 自由に動ける。

ということは…。 向島のヤツ やりやがったな。

≪(自転車のベル) (古畑)イチローさん!

どうも。 ええー。 朝から精が出ますね。

あのう 実は お話ししたいことが ありまして。

後にしてもらえますか。

あのう。 あんまり 人には 聞かれたくないたぐいの話でして。

あれ? イチローさん。 イチローさん!

(イチロー)ということは?

(古畑)お兄さんのアリバイは 崩れました。

あのサインは 前もって 書かれたものでした。

ええー お兄さんの立場は 微妙ですね。

ただ わたし 一つ 分からないことがございまして。

昨日 みんなの前で お兄さんに➡

サインを1枚 書いてもらいましたよね。

実に 手慣れたものでした。

僕より うまかった。 そう。 そして 速かった。

イチローさん本人よりも 彼は 速く書けるんです。

そうです。 うーん。

あのスピードならば 100枚 書くのに そう 20分も かからないでしょう。

で? つまりですね。

8時から 9時までの アリバイ工作にしては➡

枚数が 少なすぎるんですよ。 300枚なら よかったんですよ。

お兄さんが 1時間 フルに使って 書いたと 誰もが思ったはずです。

しかし 実際は 100枚。 どうして 100枚?

自分の書くスピード 分かってるはずなのに。

ええー。 そこで ひらめいたんです。

あの100枚は そもそも 自分の アリバイのために用意したんじゃない。

人のためだった。 それを 急きょ 自分のために利用した。

この推理 いかがですか?

いいと思いますよ。 はい。 そこで問題。

では 誰のために書いたのか。 誰のアリバイを つくろうとしたのか。

ああ…。

♬~

(少年)あっ! イチロー選手だ! (少年たち)ああっ! すげえ!

(少年)すげえ すげえ。 かっこいい。 (少年)野球 教えてください!

野球? 野球やるか? (少年)はい!

(イチロー)よし。 ちょっと じゃあ 振ってみろ。

(少年)いいなー! やりてー!

(少年)いいなー。 ちょっと構えて。

これを返さないで そのまま ピッチャーに…。

分かる? こう。

(イチロー)ここを見せない。 ピッチャーに。 この肩を開かない。

このまま このまま。

ちょっと貸してくれる? はい。

イチローさん。 わたしも高校のころ 野球をね。

ピッチャーで 4番 打ってました。 ハハハハ。

わたしの球 打てますか?

よろしいですか? いきますよ。

(少年)ストライク!

さあ もう1球 いきますよ。

(打つ音) (少年たち)おおーっ! すげえ!

お見事です。 ハハハハハ!

(少年たち) ありがとうございました!

イチローさん 一生の思い出です。 僕もですよ。

イチローさんね わたし 思うんですよね。

今回の犯人ほど 手ごわい相手 いません。

どうして? はい。 現場に落ちていたマッチ。

あれを 見つけたときですね➡

非常に不思議な 感じがしたんですよね。

不思議? はい。 まるで➡

見つけてくれとでもいうように あのマッチは➡

椅子の上に 置いてありました。 わたしが すぐに見つけたように➡

犯人だって 分かっていたはずなんです。

なのに なぜ 置いていったのか。 さあ。

ええー。 我々に対する 挑戦だったんじゃないでしょうか。

挑戦? はい。 この事件の 犯人はですね➡

非常に フェアプレーを好む人間のような 気がするんですよね。

僕の大好きな言葉だ。 はい。

つまりですね 犯人はですね ワンサイドゲームになるのが嫌だった。

だから わざと 手がかりを残した。 そこから➡

何を かぎ取るかは 我々しだい。 まさに フェアプレーの精神です。

なるほど。 しかし 変わった人物です。

わたしが 今まで 会ったことのない タイプのです。

会ってみたいですね。 ええー そしてですね。 イチローさん。

もう一つ 面白い話があるんですよ。

どうぞ。 彼はですね➡

嘘をつくのを 非常に嫌うんですね。

わたしが知るかぎり この一件で 嘘をついたのは たったの一度だけ。

それも 自分のためじゃない。 ある大切な人を 守るためだった。

ということはですよ 仮にですよ➡

わたしが 彼に こう聞いたとしましょう。

「事件があったとき あなた自身は どこにいたんですか?」と。

すると 彼は こう答えるはず。 「殺人現場にいました」と。

そして わたしが 「犯人は あなたですね?」と 尋ねたら➡

彼は きっと➡

「そうです」と答える。

多分 そう答えるでしょうね。 フフフフフ。

しかしね イチローさん わたしは 決して そんなことは聞きません。

向こうが フェアプレーで 勝負するんだったら➡

わたしだって受けて立つ。 そのかわり どんな手を使っても➡

彼を 追い詰めてみせます。 そして 最後には 自白させてみせます。

大した自信ですね。 はい。

この試合 負けるわけにはいきません。

試合の結果が 楽しみですね。 楽しみです。

♬~

あっ 古畑さん。 郡山のことが➡

だんだん 分かってきました。 かなりの ワルだったみたいですね。

何を しでかしたの? 郡山は このところ➡

麻薬の売買に 深く かかわっていて 近く 任意で➡

取り調べを 受けることに なっていました。

それを 事前に察知して 海外に 高飛びするつもりでいたようです。

部屋も すでに 引き払っていました。

ゆすりに 麻薬 手広く やってたわけだ。

(西園寺)ええ。 それから 事件当日の動きも➡

かなり 見えてきました。 夜の6時に ホテルに到着し➡

このラウンジで 食事をしています。 そして 8時20分 死ぬ直前に➡

ロビーの売店の イチロー祭りで イチローグッズの 買い物をしています。

何を買ったの? 野球のボールです。

ボール? (西園寺)イチローの ロゴ入り。

ボール。 (西園寺)ただ 不思議なことに➡

車の中に ボールはありませんでした。 どこに 行ってしまったのか?

おとといの 記事が出てるよ。

(西園寺)イチローさんは 何を着ても かっこいいですねえ。

デコは? 今泉さんは 向島さんが➡

逃げないように マークしています。 君で いいや。 つきあって。

はい。

(西園寺)被害者の車が 止まっていたのが あの場所です。

いちばん近い 出入り口は?

あそこになりますね。

何を 探してらっしゃるんですか?

♬~

♬~

ここだ。 上って。

♬~

♬~

今泉さん。

(西園寺)ありました!

ああっ。 はい ありがとう。

しかし 何で また こんなところに?

決まってるじゃないか。 犯人が 隠したんだよ。

犯人? このボールは 犯人と➡

被害者をつなぐ 重要な 証拠だからね。

ある意味 野球のボールほど 処分に 困るものはない。

持ってても かさばるし 体に フィットした服を着てるときは➡

なおさらだ。 表に捨てても すぐに 拾われてしまう。

あとは 誰も手の届かないところに 隠すしかない。

しかし どうやって あそこに? 簡単だよ。 ほうり投げたんだよ。

あそこに? 恐らく 1回で。

人が来ると 困るからね。 向島さんに そんなマネが➡

できるでしょうか? 彼には 無理。

ということは? 犯人ではない。

じゃあ…。 犯人は 世界で➡

最高の肩を 持った男だ。

♬~

しかし 古畑さん。 イチローさんは 事件があったとき➡

自分の部屋に いたと言っています。 彼は ひと言も➡

そんなこと 言ってません。 エージェントが そう証言してるだけ。

そうでしたっけ。 あの人はね➡

嘘が つけない人なんだよ。 いずれにせよ➡

あれだけ 顔を知られた人が 誰にも見られずに➡

駐車場まで 行くだなんて 僕には 不可能に思えるんですが。

イチローさんが? そんなわけ ないだろう?

古畑さんは そう お考えです。

イチローさんが 人を 殺すわけがないですよ。

わたしが これまで会ってきた 犯人はね 誰もが➡

人を殺すようには 見えなかったよ。 だけど イチローさんに限って。

(西園寺)この上には 展望室と バーがあります。➡

ここのエレベーターは 大抵 今みたいな感じです。➡

イチローさんが 乗ったら すぐに バレますよ。➡

あと 階段ですが 25階を 一気に 駆け下りるのは➡

イチローさんでも 大変だと思います。

犯人は 向島だと思うけどな。

♬~

ちょっと すいません。 (客室係)あっ はい。

あのう。 従業員の方 いつも ここを 通ってるの?

あっ 警察の者です。 地下駐車場の 事件を 捜査しているところです。

(客室係)ああ。 この奥に スタッフ用の エレベーターがあるんです。

で あなたたちは それで 移動を? (客室係)はい。 スタッフは➡

お客さまの エレベーターを使っては いけないことになってますので。

このドア どうやって開けるの? もう1回 やってみてくれる?

(客室係)あっ はい。

3ケタの 暗証番号を 押すだけです。

んー。 番号を知ってるのは? (客室係)スタッフだけです。➡

あっ はい。

ここを使ったと おっしゃるんですか?

可能性はあるね。 暗証番号は?

今泉君ね。 はい。

あの陰に隠れて わたしが 合図したら 扉の向こうに➡

駆け込んでみてくれる? えー。

急いで。 ああ…。

はい。 もう一度 お願いします。 (客室係)あっ はい。

中に入って。 はい。

確かに 可能性はありますね。 しかも 相手は 盗塁の名手だよ。

今泉君。 もう1回。 あー。 やっぱり➡

無理があるように思うんですけど。 やってみてくれる?

早く もう1回 やってみてくれる?

はい。

もう一度 お願いします。 (客室係)はい。

(電子音)

(ぶつかる音) (今泉)痛っ!

今泉君。 お見事。 ≪(今泉)はい!

えー 断っておきますが この物語は フィクションです。

ここだけの話 最初の想定では 犯人の名前は ハチロー選手でした。

しかし イチロー選手自身が 自分を 演じたいと 申し出てくれました。

んー 物語の中の イチロー同様 本物の イチロー選手も➡

人生という ゲームを 楽しむ男でした。

あー。 しかし 誤解のないように。 決して 人は殺しません。 フフッ。

では ここで 問題です。 わたしは いつ どの段階で➡

イチロー選手に 疑いを 持つようになったか?

古畑 任三郎でした。

古畑さんが? 完全に イチローを疑ってるんだ。

ホントのこと 話してくれよ。

このままじゃ イチローが 捕まってしまうんだよ!

(西園寺)そんなはずはない!

ですから 郡山を 殺したのは わたしです。

そんなの ありえない。 わたしなんです。

あなたは 真犯人を かばって! 違います!

(今泉)いいじゃない! 自白してるんだから!

古畑さん。

甲子園に 行ったそうだね? 補欠ですが。

ポジションは? ピッチャー。

今でも 投げられる? 多少は。

野球選手として 最高の肩を 持ってる?

どういうことでしょうか? 向島君ねえ。

向島君。 君に この犯罪は 無理なんだよ。

あなたもね 警察に 身を置いていた人間だ。

無実の人間が 罪をかぶり 本当の犯人が 逃げ延びる?

こんなことを 許していいのかい?

わたしが 殺しました。

わたしが!

(西園寺)古畑さん!?

♬~

どういうことだ? 古畑が?

分かった。 今すぐ 行く。

♬~

おい! ちょっと待て お前!

(サイレン)

♬~

♬~

お兄さんは すべてを 自供されました。

郡山さん殺害を 認めました。

兄貴は 殺してない。 ご自分で➡

そう おっしゃったんです。 兄貴は 誰も殺してない!

えー 自供がなくても 遅かれ 早かれ 逮捕には➡

踏み切るつもりでした。 彼には 動機があります。

そして アリバイを偽装した。 さらにですね➡

犯行現場にいたという 動かぬ 証拠があります。

(イチロー)そんなものはない。 実はですね お兄さんですね➡

犯行直前に 被害者に頼まれて サインをしたんですよ 車の中で。

えー あなたの名前と 日付。 そして ご丁寧に➡

「繁さんへ」と 被害者の名前まで書いた。

えー 彼が 事件当夜 被害者と 会っていたという 動かぬ証拠です。

それは 違う。 お兄さんが➡

あなたの代わりに書いた ほかのサインと 比べてみました。

全く 同じと言っていい。 ありえない。

なぜですか?

落ち着いて 考えれば 分かることですよ!

相手の目の前で 兄貴が 僕の代わりに➡

サインなんか するわけがない。 恐らく 郡山さんは➡

あなたのサインを もらってくるように 誰かに 頼まれていたんでしょう。

ところが あなたに断られて 手ぶらで 帰るわけにもいかず➡

結局 お兄さんに頼んだ。 作り話だ。

作り話? どうして そう言い切れるんですか?

簡単なことですよ。 それを書いたのは 僕だから。

はい? 僕が 書いたんだ!

筆跡鑑定でも 何でも やってください。

これは 正真正銘 僕の字だ。 兄貴のじゃない。

あなたの字? そう 僕の字だ。

んー では そのサインは あなたが 書いたものだと➡

お認めになる? 認めますよ。

はい。 そして 現場にいたことも お認めになる?

認めたことになるんですよ。 ならない。

あなたは 犯行を 認めたことになるんですよ。

何を 言ってるんです!? まだ お分かりになりませんか?

犯行現場に そのボールがあったこと どうして あなたが知っていたのか。

はい。 わたしは サインボールとは ひと言も 言ってないんですよ。

お兄さんは 被害者に頼まれて サインをしたと 言ったんです。

そうだよね? 西園寺君。 はい そのとおりです。

はい。 誰も サインボールとは 言ってないんですよ。

にもかかわらず あなたは 真っ先に そのボールを 手に取った。

サイン入り色紙も あったのに わざわざ その ボールをです。

ちなみに 西園寺君。 君が持ってるのは?

イチローさんの サイン入り バットと サイン入り グローブです。

はい。 確かに ここには➡

あなたの サインが入った ボールが 隠してありました。

しかし そのことを知ってるのは イチローさん。 うーん。

隠した 本人だけなんです。

しかし ボールを 確認したからって 犯行を 認めたことにはならない。

部屋で サインしたかもしれない。 えー ホテルの 売店の店員が➡

8時20分に 被害者が ボールを 買ったのを 覚えています。

ここにも ちゃんと 残ってるんですよ 売り上げ記録。

えー 郡山さんが 殺害される 直前です。

あなたの部屋を 出た直後です。

えー それとも ボールを買った後 再び あなたの部屋へ戻ったと➡

嘘を おつきになる おつもりですか?

お分かりに なりましたでしょうか?

ゲームセットかな。

ええ そのようです。

ちょっと ヒートアップしすぎました。

冷静に考えれば あなたのワナに 気づいたのに。

試合に勝つために いちばん 大事なのは 平常心だって➡

いっつも 言ってたのに まだまだ 修業が足りない。

そうなんです。 冷静な あなたなら➡

こんなワナ 絶対に 引っかかるわけなかった。

ですから わたしは まず あなたの 平常心を 奪う必要があった。

それで わざと 兄が捕まるところを 僕に?

お兄さんを ダシに使って 申し訳ありませんでした。

すぐに 釈放されますよね? (西園寺)そうなればいいんですが。

(イチロー)罪に なるんですか? (西園寺)ええ。

ちょっと 待ちなさい。 彼が 何をした?

殺人ほう助を。 確かに 兄は 弟のアリバイを➡

偽造しようとした。 しかし 弟は それを断ってるんだよ。

兄に 罪はない。 (西園寺)しかし!

あなたが… あなたが お兄さんを 救ったんです。

いつから 気づいてたんですか?

最初に あなたを訪れて タバコの話に なったときです。

(イチロー)何か ヘマしました?

被害者が 駐車場で タバコを 吸っていた話をしたら➡

イチローさんは 当然のように そこが 禁煙だと思って 話をされた。

確かに 地下の駐車場は どこも 禁煙ですが➡

しかし どうして 駐車場と聞いて 地下だと思ったのか。

ご自分の車は 外の駐車場に 止めているのに。

あなたが マッチのヒントだけで 僕のとこに やってきたとき➡

僕は うれしかった。

最高の対戦相手が 現れたって。

光栄です。

♬~

まいりましょう。

一つ 伺っても よろしいですか? どうぞ。

なぜ そこまでして お兄さんを かばおうと されたんですか?

兄だからです。 しかし…。

僕に 野球を教えてくれたのは 兄だった。

二人で始めた キャッチボールが すべての 始まりでした。

だから 兄を救うためには 僕は 何でもする。

ペン ありますか?

♬~

♬~

古畑さん。 はい。

あなたの名前と 今日の日付を 入れときました。

値打ちが出ますよ。

♬~

♬~

♬~

♬~

♬~

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