All language subtitles for 후루하타 닌자 부로 스페셜 모든 각하의 소행(2004 년)

≫僕は
古い人しかできないんですよ。

まあ、このああ…。

≫田中角栄さん。

でも、僕ぜひ
聞いていただきたいんですけど

伊藤アナが
えなりかずき君のものまねが

うまいらしくて。

≫おかしいですよ！

(古畑)えー 今回の犯人は
常に ﾌｪｱﾌﾟﾚｰを好む ｽﾎﾟｰﾂﾏﾝです｡

人を殺したと いうこと以外は
実に 公明正大な人物です｡

そして ｱﾒﾘｶ大ﾘｰｸﾞで活躍する
ある日本人野球選手と➡

全く同じ名前で
顔も そっくりです｡

しかし 別人です｡
お間違いのないように｡

♬～(ﾃｰﾏ ｿﾝｸﾞ)

♬～

♬～

♬～

♬～

(ﾘﾎﾟｰﾀｰ)｢ｲﾁﾛｰ選手が こちらに
到着しだい つなぎますので➡

よろしく お願いします｣
(司会)｢よろしく お願いします｡➡

さて ｼﾗｲさん｡ ｲﾁﾛｰ選手
５年連続 200本安打を達成し…｣

(川崎)そう｡ 案の定 ﾎﾃﾙの前は
ﾌｧﾝやﾏｽｺﾐで いっぱいらしい｡

裏から回って 地下の駐車場から
入る道が あるそうだ｡

そっちで いくぞ｡

(ｲﾁﾛｰ)僕が そういうこと嫌いなの
知ってるでしょ？

堂々と行こう｡ 正面から｡

♬～

(ﾘﾎﾟｰﾀｰ)ｲﾁﾛｰ選手が
到着したようです｡

(歓声)

(川崎)すいません｡
下がってください 下がって｡

(ﾘﾎﾟｰﾀｰ)今 ｲﾁﾛｰ選手の姿が
見えました｡➡

たくさんのﾌｧﾝに
笑顔を振りまきながら➡

今 ｲﾁﾛｰ選手が わたしの前を
通っていきます｡

(今泉)やっぱ すごいですね
ｲﾁﾛｰは｡

君に ｲﾁﾛｰさんの すごさが
分かるのか？

分かりますよ｡
こないだの ｼｰｽﾞﾝだって➡

大活躍だったじゃないですか｡
守って よし｡ 打って よし｡

あんな選手 ほかに いませんよ｡
浅いね｡

何がですか？
悲しいぐらい 浅いね｡

そんなこと ないですよ｡
痛っ｡

あの方の すごいところはね
ｱﾒﾘｶの 大ﾘｰｸﾞ 行ってさ｡

周りは 外国人ばっかりなんだよ｡
はい｡

その中で ちゃんと結果が出せる｡

そういうところが すごいって
言ってんだよ｡

そんなの 分かってますよ｡
だいたいな｡

おい 今泉｡ 今泉｡
はい｡ はい｡

気安くな ｲﾁﾛｰなんて
言うんじゃないよ｡

ｲﾁﾛｰさんって 言いなさい｡
ｲﾁﾛｰさんって｡

年下だから
ｲﾁﾛｰで いいじゃないですか｡

(西園寺)まもなく 到着します｡

♬～

♬～

向島君｡
(向島)今泉さん！

どうも｡ ごぶさたしてます｡
(向島)古畑さんも！

元気でしたか？
(向島)はい！

(今泉)元気だった？

(向島)いやあ 来てくれるとは
思いませんでした｡

(西園寺)古畑さん
向島さんが退職してから➡

ずっと あなたのこと
気にされていたんですよ｡

(向島)うれしいな｡ まあ どうぞ｡
座ってください｡ 狭いですけど｡

どうですか？ 新しい職場は｡
(向島)何とか 頑張って➡

やってますよ｡
そうですか｡ よかった よかった｡

(今泉)ねえ？ ﾎﾃﾙの保安課って
どんなことやるの？

言ってみれば
用心棒みたいなもんです｡

警備みたいな仕事もするし➡

柄の悪い お客さまが
お見えになったときは➡

力ずくで 帰っていただくことも
あります｡

大変だぁ｡
でも やりがいが あります｡

こっちのほうは どうなの？
こら こら こら こら｡

やっぱ 警官やってるときよりも
いいの？

ねえ？ いくら もらってるの？

あんまり 立ち入ったこと
聞くもんじゃないよ｡

だって 気になるじゃないですか｡
どうなのよ？

まあ そこそこ｡
そこそこだって｡

ちくしょう｡
僕も 転職しようかな？

あれ？ ちょっと待って
ちょっと待って ちょっと待って｡

ここさ このﾎﾃﾙさ
あの人 泊まってるんじゃないの？

ｲﾁﾛｰさんが｡
あっ ええ｡

だよね？ ﾜｲﾄﾞｼｮｰで やってた｡
(向島)今朝 ﾁｪｯｸｲﾝを｡

ﾎﾝﾄ 大変な騒ぎだったらしいね｡
(向島)大変でした｡

ｲﾁﾛｰさんに会った？
ええ まあ｡

どんな感じだった？
別に｡ ｲﾁﾛｰは ｲﾁﾛｰですよ｡

(今泉)やっぱ ｸｰﾙな感じ？
ﾃﾚﾋﾞで見たまんまですよ｡

表と裏を使い分けるほど
器用なヤツじゃないんで｡

あのさ ｲﾁﾛｰさん まだ ここに
いらっしゃるんだよね？

はい｡ このﾎﾃﾙで あした
ﾁｬﾘﾃｨｰの催しがあって➡

それに ｲﾁﾛｰが ｹﾞｽﾄで
呼ばれてるんです｡

じゃあ 今 泊まってんだ？

古畑さんは ほら｡
ｲﾁﾛｰさんの 大ﾌｧﾝだから｡

そうでしたっけ？ 今日の夜は
記者会見があるって言ってました｡

向島君さ｡
はい｡

君には 随分 面倒 見てきたよね｡
ええ｡

外国にも 連れてってあげたし
あっちこっちね｡

一生の思い出です｡
楽しかったでしょう？

はい｡
君に頼みがある｡

ｲﾁﾛｰさんの ｻｲﾝが欲しい｡

古畑さんが こんなこと
お願いするなんて➡

めったに ないことですよ｡
(向島)はい…｡

力を貸していただけませんか？
西園寺君｡

(西園寺)はい｡
えー はい｡

西園寺君｡ えー はい｡
はい｡ はい｡

できれば これに｡
(向島)しかし…｡

(今泉)ダメなら ダメって
言ったほうがいいよ｡

向島君｡ わたしが頼んでるんだよ｡
はい｡

(ｲﾁﾛｰ)あれ？ お客さん？

(向島)この人たちは
身内みたいなもんだから｡

ｲﾁﾛｰだ｡
(西園寺)古畑さん！

(ｲﾁﾛｰ)あのさ めっちゃくちゃ
部屋 乾燥しててさ➡

加湿器 用意してほしいんだけど｡
(向島)自分で 電話しろ｡➡

部屋から ９番に掛ければ
ｺﾝｼｪﾙｼﾞｭに つながる｡

(ｲﾁﾛｰ)言っといてよ｡
(向島)甘えるな｡➡

前の職場の上司だ｡ 古畑さん｡
はじめまして｡

どうも はじめまして｡
ｲﾁﾛｰです｡

古畑です｡ 握手を｡ どうも｡

(向島)こっちは 今泉さんと
西園寺君｡

(西園寺)どうも｡
(今泉)背 高いですね｡

(ｲﾁﾛｰ)こんちは｡
(今泉)こんちは｡

(向島)ｲﾁﾛｰ 申し訳ないが これに
ｻｲﾝしてやってくれるかな？

(ｲﾁﾛｰ)いいよ｡
(西園寺)すいません｡

あのう｡ ｢古畑さんへ｣って｡

(西園寺)｢古畑さんへ｣と
お願いします｡

(ｲﾁﾛｰ)ﾌﾙﾊﾀさん？
はい｡ 古時計の ｢古｣に➡

火に 田んぼのほうの ｢畑｣です｡
(ｲﾁﾛｰ)はい｡

はい｡ その形になります｡
(ｲﾁﾛｰ)はい｡

ありがとうございます｡
飯 食い 行かない？

(向島)今からか？
(ｲﾁﾛｰ)うん｡ 行こうよ｡

(西園寺)すいませんが
握手をしていただいて➡

よろしいですか？
(ｲﾁﾛｰ)もちろん｡

(西園寺)ありがとうございます｡
光栄です｡

(今泉)僕も｡

あのう｡ ついでに
おでこ はたいてくれますか？

えっ？ マジで？
はたいてやれ｡

いきますよ｡

ありがとうございました｡

(ｲﾁﾛｰ)何かさ この辺に
うまい飯屋 ないかな？

俺 朝から カツ丼 食いたくてさ｡
表は まずいだろ｡ 大騒ぎになる｡

(ｲﾁﾛｰ)大丈夫だって｡ 全然
そういうの 気にしないから｡

お前が よくても
周りが迷惑するんだよ｡

ｶﾞｰﾄﾞする ｽﾀｯﾌの気持ちも
考えてやれ｡

(ｲﾁﾛｰ)はい はい｡
昔から こんな感じですよ｡

俺が 唯一 頭の上がらない人｡

(向島)カツ丼なら
俺が 出前 取って➡

後で 部屋に持っていってやるよ｡
悪い｡

(向島)あんまり ﾎﾃﾙん中
うろうろ するんじゃねえぞ｡

(ｲﾁﾛｰ)はい はい｡ じゃあ 後で｡
(向島)おう｡

(向島)ああいうところ
あるんですよ｡

自由気ままっていうか｡

さっきから 聞いてると｡

二人のやりとり
ｲﾁﾛｰさんと君の やりとり➡

おかしくない？ 何かな？
(西園寺)はい｡

何か 仲よすぎない？
どういう関係なんですか？

えっ？ どういう関係？

今まで隠していて
すみませんでした｡

実は 弟なんです｡
弟？

(向島)腹違いですが｡
えっ!? 兄弟？ ｲﾁﾛｰさんと君と？

隠していて すいませんでした｡
驚いたなぁ｡

何で もっと早く
言わないんだよ？

兄弟｡ そうだった…｡
何やってんだ？ 君｡

何やってるんだ？
これに ｲﾁﾛｰのｻｲﾝ 頼めるかな？

頼む｡ 一生の宝にするから｡
頼むよ｡ ねっ？

(ｲﾁﾛｰ)あっちは どうなった？
(向島)うん？

(ｲﾁﾛｰ)例の男｡
(向島)ああ｡

名前 何だっけ？
郡山｡

会うの？
しょうがない｡

向こうが 会いに来るんだから｡
やめとけよ｡

そうもいかん｡

今度は いくらって
言ってきてんの？

お前には 関係ない｡
関係あるね｡➡

兄貴が 苦しんでる姿は
見たくないんだ｡

どうしても 今日中に
まとまった金が いるらしい｡

いくら？
1, 000万｡

どうすんの？
もちろん そんな金はない｡

兄貴…｡

お前には これ以上
迷惑は掛けられん｡

(向島)食い終わったら
ちゃんと 器を洗っとけよ｡

♬～

♬～

(ｲﾁﾛｰ)俺が会うよ｡

(向島)お前は 出ていくな｡
これは 俺の問題なんだ｡

兄貴の問題は 俺の問題だ！

そいつは 人間のクズだ｡
死んで 当然だよ｡

でも 兄貴は 死んじゃダメだ｡
何を言ってる？

兄貴の考えてることぐらい
分かるよ｡

(向島)よせ！
これは？

ｽﾄﾘｷﾆｰﾈだ｡
毒薬だよ｡

警察にいたときの 知り合いから
くすねてきた｡

預かっとく｡

そんなクズのせいで
兄貴が 死ぬことないよ｡

これ以上 お前に
迷惑は掛けられん｡

(ｲﾁﾛｰ)死なれたほうが 迷惑だ｡

俺が 殺人罪で逮捕されてみろ？
お前のｷｬﾘｱに 傷がつく｡

捕まらなきゃいい｡
やるなら 完全犯罪だ｡

俺がやるよ｡
(向島)何を言ってる？

(ｲﾁﾛｰ)俺のほうが うまくやれる｡
バカなことを！

(ｲﾁﾛｰ)昔から そうだったろ？➡

兄貴は 肝心なところで
ヘマすんだから｡

ここは 俺に任せてくれ｡
むちゃ 言うな｡

言ったろ｡
兄貴の問題は 俺の問題だって｡

兄貴を ここまで追い込んだんだ｡
俺は 絶対 許さん｡

俺が 片をつける｡

♬～

♬～

(ﾁｬｲﾑ)

郡山さんですね？

(郡山)ﾃﾚﾋﾞで見るのと
変わらないですね｡

どうぞ｡

♬～

(ｲﾁﾛｰ)誰にも
見られてないでしょうね？

(郡山)忍び込むのは
職業柄 慣れてるもんで｡➡

しかし 光栄です｡ まさか
ご本人に お会いできるとは｡➡

わたしも ついてるわ｡

(ｲﾁﾛｰ)兄が よろしくと
言ってました｡

(郡山)うちの おいっ子が知ったら
泣いて 悔しがるでしょうね｡

あなたの 大ﾌｧﾝでして｡➡

こんなこと お願いしたら
怒られるかもしれませんが➡

後で ｻｲﾝを お願いしても
よろしいですか？

おいっ子に
自慢してやりたいんですわ｡

しかし さすがは 世界の
ｲﾁﾛｰ選手ですなぁ｡➡

泊まるﾎﾃﾙも 豪華だ｡➡

わたしなんか
一生 縁のない場所ですよ｡

ガスが 切れちゃったようです｡➡

これ お借りしても
よろしいですか？

できれば ﾀﾊﾞｺは｡
(郡山)あれ？

僕は吸わないので｡
すみません｡

灰皿が 置いてあったもんで｡
(ｲﾁﾛｰ)最初から あったんですよ｡

(郡山)失礼いたしました｡➡

最近は もう どっち向いても
吸わない人間ばっかりで➡

わたしみたいに ﾀﾊﾞｺを 指に挟んで
生まれてきたような男は➡

随分 肩身が狭くなりました｡➡

体に悪いってのは
分かってるんですが➡

これだけは どうにも｡

記念に いいですか？
どうぞ｡

(ｲﾁﾛｰ)本題に 入りましょう｡
(郡山)すみません｡

(ｲﾁﾛｰ)写真は？
(郡山)持ってきてます｡➡

ここには ありません｡
すみません｡

わたしも 用心深い性格なもんで｡
約束が違うな｡

ご心配なく｡
車に置いてきました｡

もらうもん もらったら
５分で 持ってきますよ｡

で… お金のほうは？
1, 000万でしたね｡

(郡山)助かります｡
あしたから 海外なもんでね｡➡

やっぱり ｲﾁﾛｰさんに
出てきてもらって よかった｡➡

話が早いわ｡
正直 申し上げて➡

お兄さん相手だと らちが
明かなくて 困ってたんですよ｡

これが 最後ですね？
もちろんです｡ これ以上は➡

びた一文 もらおうなんて
思っちゃいませんから｡

ご安心ください｡ やっぱり
そのお金は ｲﾁﾛｰさんが？

だから わたしは
あの人に言ったんですよ｡

１日も早く 弟さんに
相談しなさいって｡ ねえ？➡

弟さんにとっちゃ 1, 000万なんて
大した額じゃ ないんだから｡➡

しかし あなたも➡

いいお兄さん孝行に
なったんじゃないんですか？

僕は 兄に
大きな借りが あるんでね｡

それじゃあ
いただくもん いただいて➡

すぐに 退散するとしましょう｡

(ｲﾁﾛｰ)金は もうすぐ
ここに 届くことになってる｡

今は いただけないんですか？
後で 車に持っていきます｡

疑うわけじゃないんですが➡

今夜中に
いただけるんでしょうね？

何しろ あしたから ﾌｨﾘﾋﾟﾝに…｡
車で待っていてください｡

(郡山)地下の駐車場です｡
Ａの19｡

♬～

♬～

♬～

(ｲﾁﾛｰ)何だ それ？

(向島)下の売店で
色紙を買ってきた｡ 100枚ある｡➡

ﾎﾃﾙのｽﾀｯﾌに 買ってきてもらった｡
みんな お前のｻｲﾝを欲しがってる｡

それから こっちの色紙は もう
すでに お前のｻｲﾝが入ってる｡

昼の間に 俺が書いた｡
兄貴が？

ああ｡

うまいな｡

(向島)実は お前には
黙っていたが➡

ふだんも よく
代わりに書いてるんだ｡➡

人に頼まれたとき いちいち
お前を煩わせるのも悪いと思って｡

そっくりだな これ｡

(向島)こっちも
ちょうど 100枚ある｡

お前は 今夜 ここで ずっと
ｻｲﾝを書いていたことにする｡

ｱﾘﾊﾞｲか｡

(向島)部屋から
一歩も 外に出なかった｡➡

この 100枚のｻｲﾝが その証拠だ｡
(ｲﾁﾛｰ)考えたな｡

(向島)もしものときのためだ｡
俺にできるのは これくらいだ｡

悪いけど 俺には必要ない｡

こんな細工は いらないよ｡
しかし…｡

俺は いつだって
ﾌｪｱﾌﾟﾚｰで いきたいんだ｡

(向島)警察に聞かれたら
どうする？

(ｲﾁﾛｰ)警察は来ない｡➡

身分を証明するものは
全部 始末してくる｡

俺たちとあいつを つなぐものは
何もない｡

行ってくるよ｡

(向島)ｲﾁﾛｰ！ すまん｡

俺は そのまま 記者会見に出る｡
終わったら 飲みに行こうよ｡

(ｲﾁﾛｰ)お待たせしました｡
車の中で｡

(郡山)散らかってますが｡
(ｲﾁﾛｰ)結構｡

椅子 引いちゃってください｡
狭いですから｡➡

すると 早速なんですが
忘れないうちに｡

(郡山)ﾎﾃﾙの売店で
買ってきました｡➡

ご存じでしたか？ あなたが
来てるっていうんで➡

ｲﾁﾛｰ祭り やってましたよ｡

商売上手っていうのか
何ていうのか｡

売り上げは ﾁｬﾘﾃｨｰに
寄付されるって 聞いてます｡

ここに ｢繁さんへ｣って｡
商売繁盛の 繁｡

今日の日付も お願いします｡

ありがとうございました｡
写真は？

ここに｡
ネガは？

もちろん 一緒です｡
確認させてもらう｡

申し訳ないが もらうもんが先で
よろしいですか？

(郡山)うっ!? ううう…｡

♬～

バカなマネしなさんな｡
あんた 天下の ｲﾁﾛｰだろ？

人殺しなんて 似合わないぜ｡

悪いが これは 殺しじゃない｡
ｹﾞｰﾑだよ｡

ｹﾞｰﾑ？

俺は どんなときも
ﾌｪｱな勝負しかしない｡

だから お前にも ﾁｬﾝｽを与える｡

はちみつ 好きか？ お前｡

どっちかには はちみつが入ってる｡
そして もう一方は ｽﾄﾘｷﾆｰﾈ｡

何だ？
毒薬だ｡

奥歯でかめば
一瞬で あの世行きだ｡

どうかしてるぜ｡

(郡山の うめき声)

選ばせてやる｡ 残ったほうが俺だ｡
(郡山)はあ？

だから 言ったろ｡ これは ｹﾞｰﾑだ｡
あんた 正気じゃないぜ｡

運試しだ｡ 選べ｡

♬～

口に入れろ｡

奥歯の間に挟め｡

挟んだか？
(郡山)ああ｡

三つ 数えたら 思い切り かめ｡
なあ？ ｲﾁﾛｰさん｡ やっぱり…｡

(ｲﾁﾛｰ)１｡ ２｡ ３｡

♬～

♬～

♬～

♬～

♬～

♬～

♬～

♬～

(ｻｲﾚﾝ)

(ｼｬｯﾀｰ音)

≪(自転車のベル)

♬～

(古畑)遠いね ここ｡

(西園寺)古畑さん｡
お疲れさまです｡

ここ 東京都？
しかし １日に 二度も➡

このﾎﾃﾙに来ると
思いませんでしたね？

二度って？
ほら｡ ここ 昼間来た ﾎﾃﾙですよ｡

昼間？ あれ？ 向島君の？
ええ｡

えーっ!? こんな 遠かったの？

裏から入ったから
全然 気づかなかったよ｡

ｲﾁﾛｰさんは まだいるの？
ええ｡

しばらくは
ここに滞在するみたいです｡

今は ちょうど 記者会見を｡
記者会見｡ あっ そう｡

(ｲﾁﾛｰ)技術だけでは うまく
できないことが 多いです｡➡

僕が いつも心掛けていることは
常に 平常心でいること｡

結果を出すために
最も必要なことは 平常心です｡➡

平常心を保つには
練習しかありません｡

ありがとう｡

(ｲﾁﾛｰ)日々の 積み重ねの
練習の中に➡

目的を持つことが
大切だと思います｡

ありがとう｡

(ｼｬｯﾀｰ音)

(西園寺)自殺と見て
間違いなさそうですね｡

死因は？

毒物の入ったｶﾌﾟｾﾙを 口の中で
かみ砕いたもようです｡

検視官の話では
ｽﾄﾘｷﾆｰﾈではないかと｡ 猛毒です｡

誰かに 無理やり
口を こじあけられて➡

毒入りのｶﾌﾟｾﾙを 飲まされた
可能性もありますが➡

それほど 争った形跡もないので
やはり 自殺の線が濃厚ですね｡

何者？

(西園寺)それが 身分を
証明するものが 一切ないんです｡

車は？
(西園寺)それも 調べたところ➡

盗難車でした｡ 今 指紋を
照合しているところです｡

ﾎﾃﾙの お客さん？

どうも そうでは
なさそうですね｡➡

詳しいことは これからですが➡

この駐車場は ﾎﾃﾙ内のﾚｽﾄﾗﾝや
バーのお客さまも 利用するので｡

名前も分からないので
背景も不明｡

ですから 自殺の動機も
今のところは｡

うーん｡ 今夜は解散だね｡

よろしいですか？
うん｡

お願いします｡

ｲﾁﾛｰさんさ
まだ 記者会見やってんのかな？

さあ どうですかね｡

ﾎﾃﾙのﾏｯﾁですね｡
やっぱり 泊まってたんじゃないの？

この手のものは ﾌﾛﾝﾄに行けば
もらえますから｡

何か？
うん？ いや 別に｡

何か 気になりますか？
いやいや いや｡

随分と ほら｡ これ見よがしに
置いてあったからさ｡

まるで 手に取ってくれと
言わんばかりに｡

あれ？ 何か落ちてるよ｡
何だろう｡

よいしょ｡ ダメだ｡

ちょっと 君 取ってくれ｡
(西園寺)はい｡

紙が落ちてんだろ？ そこに｡

(西園寺)あっ はい｡
今 つかみました｡

駐車券です｡
日付は 今日になっています｡

ここのですね｡

何で こんな くしゃくしゃなの？
さあ｡

だってさ 穴も開いてるよ｡
(西園寺)ええ｡

誰かがさ これ 落ちてるの
知らずに 椅子を動かしたんだね｡

ああー それで挟まったんだ｡
うん｡

ということは？
そう｡

しかも 一度
椅子を動かしただけでは➡

挟まった駐車券は
下には 落ちません｡

椅子を動かして さらに元に戻した
人間が いるということですね？

そういうことになるね｡

もう一人 誰かが乗っていたんだ｡
その人物も 車に乗って ここへ？

ここに着いてからだね｡
車に乗ったのは｡

だって ほら 駐車券が｡

あっ そうか｡
椅子を引いたのは 止まった後｡

待ち合わせを
していたんじゃないの？

二人は 車の中で話し合い
やがて その人物は立ち去り➡

男は 命を絶った｡
もしくは その反対｡

男が死に もう一人が去る｡
うん｡

いずれにしても その人物は事件に
大いに 関係がありそうですね｡

ひょっとしたら 殺人の可能性も｡

(今泉)ねえ！ ねえ！
これ 見てくださいよ｡

ｲﾁﾛｰさんのｻｲﾝですか？

向島君がもらってきてくれたんだ｡
こりゃあ 値打ち出るぞ｡

何してんの？ うん？
現場検証です｡

西園寺君｡
はい｡

これ｡

(西園寺)ﾀﾊﾞｺの吸い殻ですね｡
ほとんど 吸ってませんね｡

どうしたら こういう形になる？
火をつけて すぐに 足で消す｡

例えばさ 誰か待っててさ 相手が
時間になっても 来ないので➡

いらいらして
ﾀﾊﾞｺに 火をつける｡

すると ひょっこりと
その人物が現れて 慌てて消した｡

やはり 誰かと
待ち合わせを していたんですね｡

ねえ？ ねえ ねえ？
これ 何て書いてあるのかな？

(西園寺)デコさんへ｡

何で 僕がデコさんて呼ばれてるの
ｲﾁﾛｰ 知ってんのかな？

向島さんが
教えたんじゃないですか？

何か？

おかしいね｡
はい？

ﾀﾊﾞｺの吸い殻があるのに
擦ったﾏｯﾁが 落ちてない｡

ﾗｲﾀｰは？

ﾗｲﾀｰ持ってる人間が
ﾎﾃﾙのﾏｯﾁをもらう？

何の話？

今 事件について
調べているところなんです｡

じゃ 僕も入れてよ｡

♬～

ちょっと待って｡

♬～

♬～

いいよ｡ ありがとう｡

どう思う？
ﾏｯﾁは落ちてない｡ ﾗｲﾀｰつかない｡

じゃ 彼は
どうやって 火をつけたのか？

もう一人の人物から
ﾗｲﾀｰを借りたというのは？

想像だけどさ
その人は ﾗｲﾀｰ持ってない｡

どうして 分かるんです？
ﾀﾊﾞｺが嫌いだから｡

だってさ その人が来たらさ 彼は
慌てて ﾀﾊﾞｺ消してるんだよ｡

お話の途中 すいません｡

ねえ 君たち｡ バカじゃないの？
バカ？

あ… ああ｡
何で あれに気がつかないのよ？

車についてるじゃない｡
ﾀﾊﾞｺに 火をつけるやつ｡

ほら ﾊﾝｺみたいなさ｡
ｼｶﾞｰﾗｲﾀｰ｡

(今泉)これで
つけたんじゃないの？

普通は そう考えるけど｡

可能性はあるね｡
ていうか それしかないでしょう｡

解決？

まだ 考えてる｡

そうなると
また 疑問がわいてきますね｡

ﾏｯﾁがあるのに なぜ わざわざ
ｼｶﾞｰﾗｲﾀｰを使ったのか？

そのとおり｡

停車していたわけですから
ｴﾝｼﾞﾝは切っていたはずです｡➡

この手の車は
ｼｶﾞｰﾗｲﾀｰを使うには➡

もう一度 ｴﾝｼﾞﾝを動かす必要が
あります｡➡

普通なら そんな面倒な事はせずに
ﾏｯﾁを使いますね｡

ようやく 謎が解けました｡
どういうことでしょうか？

彼は どうして
ﾏｯﾁを擦らなかったのか？

ﾌﾌﾌ｡
(西園寺)火がつかない｡

このﾏｯﾁ 湿ってます｡
今だって こんな湿ってんだ｡

１時間前は もっと ぬれてたはず｡
どこかに 落としたんでしょうか？

にしても
不思議な ぬれ方してるね｡

こっちだけ湿ってる｡

まるで 霧吹きで
こっちだけ 水を吹きつけ…｡

(西園寺)今夜 加湿器を
貸し出している部屋を➡

知りたいのですが｡
(ｺﾝｼｪﾙｼﾞｭ)加湿器でございますね？

ただいま 三つのお部屋に
貸し出しております｡

教えていただけますか？

303の大石さま｡ 402の磯田さま｡
そして ｽｲｰﾄﾙｰﾑの 2503｡

ｽｲｰﾄﾙｰﾑ？
(ｺﾝｼｪﾙｼﾞｭ)はい｡

それは ひょっとして…｡
野球選手のｲﾁﾛｰさまでございます｡

ちょっと いいか？
(ｲﾁﾛｰ)うん？ 何？

お前に お客さんだ｡ 古畑警部補｡
警部補？

昨日 一度 会って 話したって｡
(ｲﾁﾛｰ)ああ｡

何だか 聞きたいことが
あるそうだ｡

悪いけど 帰ってもらってよ｡
会いたくない｡

しかし…｡
ただの ﾐｰﾊｰだって｡

あっ｡

(古畑)ただのﾐｰﾊｰで
申し訳ございません｡ ﾌﾌﾌﾌ｡

確かに 私 ﾐｰﾊｰです｡

しかし 今日は
ちょっと お仕事で➡

どうしても ｲﾁﾛｰさんに
伺いたいことがございまして｡

仕事？
はい｡

何か 事件ですか？
えー そうなんです｡

あっ｡ ９時から 部屋でﾐｰﾃｨﾝｸﾞな｡
了解｡

どうも｡

お忙しいところ
申し訳ございませんです｡

とんでもないです｡
何かあったんですか？

そうなんです｡

あのう｡ 何ですか
ｼｰｽﾞﾝじゃないときも こうやって➡

常に 体は
鍛えてらっしゃるんですか？

こんなのは
鍛えるうちに入んないですけどね｡

ほう｡
朝の ｳｵｰﾐﾝｸﾞｱｯﾌﾟです｡

ああ なるほど｡

やりながらでも いいですか？
どうぞ どうぞ｡

えーと 実はですね
昨日のことなんですが➡

このﾎﾃﾙの駐車場で➡

男性の遺体が 発見されまして｡
ええ｡

で まだ
身元は分かってないんですが➡

盗難車の運転席で 毒を飲んで
亡くなってました｡

そうですか｡
あのう｡ 昨日も思ったんですが➡

ﾃﾚﾋﾞで拝見するより
がっしりされてますね｡

もっと 小柄な方かと
思ってました 私｡

ふだん ｱﾒﾘｶの選手といることが
多いですからね｡

ああー｡
あいつら やたら でかいですから｡

そうですね｡
で どうして 僕のとこへ？

はい あの｡ 初めはですね
この事件ですね➡

ただの自殺だと
思われていたんですが➡

どうも そう単純な話では
ないらしいんです｡

自殺じゃないんですか？
ええ まぁ…｡

ｲﾁﾛｰさんに聞けば 何か
分かるんじゃないかと思いまして｡

あの 全然 分かんないんですけど｡
はい？

どうして 僕？
はい｡

その名無しの権兵衛氏 亡くなる
直前に 誰かと会ってるんです｡

誰と？
それは まだ｡

どうして そう思ったんですか？
えー 例えばですね➡

その人物はですね そう｡ 車の
助手席の椅子を 動かしています｡

それから 駐車場の床に
捨ててあった ﾀﾊﾞｺ｡

まだ ほとんど 吸ってない状態で
足で もみ消してありました｡

それで 誰かと会ってたことに
なるんですか？

はい｡ 可能性はありますね｡

ああいう場所って 禁煙でしょ？
日本は違うのかな？

えー 確かに禁煙です｡ 日本も｡

ﾀﾊﾞｺを吸ってたら 警備員に
注意されたんじゃないんですか？

はい｡ それも考えました｡

しかし そういうときは
足で消したりしません｡

普通は灰皿に｡ でないと ほら
警備員さんに しかられます｡ ﾌﾌﾌ｡

で そろそろ
種を明かしてもらえますか？

どうして 僕のところへ？
はい そこなんです｡

まさか またｻｲﾝですか？
今日は 残念ながら違います｡

えー 実はですね 車の中に
ﾎﾃﾙのﾏｯﾁがございまして｡

ﾎﾃﾙのﾏｯﾁ？
はい｡ しかしですね➡

彼自身は このﾎﾃﾙ 泊まってない｡

えー ﾎﾃﾙﾏﾝにですね 遺体の写真を
見せて 確認してます｡

では どこで
ﾏｯﾁを 手に入れたのか？

ﾌﾛﾝﾄ？
はい｡ わたしも 最初➡

そう考えました｡
しかし それは ありえないんです｡

どうして？
湿っていたから｡

では 湿ったﾏｯﾁは どこに行けば
手に入れられるのか？

あー これがですね
普通のぬれ方じゃないんですよね｡

片側の それも表面だけが
湿っていた｡

それで思い出したんです｡
加湿器 ありますよね？ 加湿器｡

部屋 乾燥しないように
お湯が霧になって 吹き出るやつ｡

うちにも １台あったんです｡
以前 あの前にですね➡

新聞 置いといたら ﾋﾞﾁｮﾋﾞﾁｮに
なったことが ございまして｡

で ひょっとしたらですね➡

あのﾏｯﾁも 加湿器の前に
置いてあったんじゃないかと｡

で ﾎﾃﾙの方に伺いまして｡

あのう｡ ｺﾝｼｪﾙｼﾞｭさんって
いうんですか 伺いましてですね｡

で 加湿器を貸し出してる
部屋を ﾘｽﾄｱｯﾌﾟして➡

朝から 手分けして
当たってるというわけです｡

面白いですね｡
えー｡ で ですね➡

ぶしつけな質問で
恐縮なんですが｡

あの｡ あまり気持ちのいいもんじゃ
ありませんけど ご勘弁を｡

あの｡ この方なんですけども➡

ゆうべ あなたの部屋に
来ませんでしたでしょうか？

そして そのとき ﾏｯﾁを
持って帰ったなんてことは？

いかがですか？

おっしゃるとおりです｡
彼は 僕の部屋に来ました｡

ああ…｡

どうして そんなに
驚いてるんですか？

いや いや｡
素直に お認めになったんで｡

僕は 言っておきますが
嘘が嫌いなんです｡

助かります｡

世の中には もう警察ってだけで
やたらと 警戒しちゃって➡

何も しゃべってくれない人が
多いんですよ｡

僕は違います｡
さすが ｲﾁﾛｰさんです｡

で ｲﾁﾛｰさん｡
この方 ご存じなんですね？

はい｡
はい どなたさまですか？

郡山という ﾗｲﾀｰです｡
郡山さん｡

郡山 繁つったかな？

で ｲﾁﾛｰさんとは
どういった ご関係ですか？

えー ゆうべ
どういった理由で➡

郡山さんは あなたの部屋を
お訪ねになったんですか？

古畑さん｡
はい｡

僕は 嘘はつかない｡
しかし言えないこともあるんです｡

うーん｡ 調べれば いずれ
分かることなんですが｡

だとしてもです｡

僕に話せるのは ここまでだ｡
お引き取りを｡