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Original subtitles

前にも来たね ここ。

あの時の事 覚えてる?

♬~

なんか言え。

(桃地のぞむ)あっ…。

は… 履いた事ない靴で 靴擦れしてて…。

覚えてんじゃん!

絆創膏 貼ってもらいました。

「逆だよね 普通」って言って。

ハハハ…。 あの時も これ 着てました。

ああ… なんか もう 遠い昔って感じ。

背 高っ…。

そっちもです。

身長差 ツボだったのになあ…。

僕は 少し慣れましたけども…。

♬~

目の前に顔があるのも いい?

♬~

(清掃員)ここ ぶつけるなよ。

(ぶつける音)

(田中マサオ) すいません すいません…。

(従業員)よっと… よっと…。

♬~

ああっ!

ああ…。

(舌打ち)

(反町真二)おおっ… ああっ…!

あ~あ… やっちゃった~ やっちゃった~。

これ もう駄目だわ。

商品 駄目にするの 何回目だっけ? 桃地。

責任取るの こっちなんだよねえ。

(郷田ひと子)ああ ああ ああ…。

(ため息)

ああ 郷田さん 150リットルのゴミ袋→

減ってるから 発注 お願いします。

ありますけど まだ。

速やかに発注を!

シャキシャキやってよね シャキシャキ。

♬~

これ もらっていこう。

(高見沢春斗)わかりました。 今から向かいます。

(生馬忠士) 絶好調だね 『SEIKAの空』。

木之崎。 (木之崎 眞)はい。

(高見沢)お前も一緒に来い。

(木之崎)ええ~ でも 蟹釜先生は 高見沢さんがいらっしゃれば…。

っていうか 高見沢さんだけじゃないと→

ご機嫌が…。

(栗山まりえ)なんで行かないの?

蟹釜先生の担当は 木之崎くんでしょ!

自分は あの2人の邪魔は とてもできないっす。

あんなに しょっちゅう 高見沢さんの事 呼び出すなら→

離婚しなきゃいいのに。

(田村恭平) 夫と担当は 別物なのよ。

でも 若干 エロいですよねえ… 今も。

♬~

おっ… それ 買ったんだ?

(唯月 巴)赤いソファ ずっと欲しかったの→

知ってるでしょ?

あっ! それ イチ松の天むす?

うん。 今 食べる? うん!

あっ そうだ。

リコピンとキャベ次郎の ラブ線の件だけどさ→

あれ 何度繰り返しても いいんじゃない?

別に 寝たり キスしたり するわけじゃないんだし。

うーん…。 もう やる事ないんだもん。

いただきまーす。

うん!

だから やる事ないのよ。

並んで 月も見上げたし 星も見上げたし→

夕焼けも見つめたし→

崖から一緒に滑り落ちたし 川にも落ちた。

あっ 風は? えっ…?

風が吹いて リコピンの髪がなびいて→

キャベ次郎の顔を かすめたら?

風か…。

いいけど 風って 描くの難しいんだよね。

蟹釜ジョーなら できるでしょ。

風ね…。 うん。 じゃあ やってみる。

巴… この程度の話なら 電話で十分じゃないの?

嫌なら来なければいいじゃん。 (ドアの開閉音)

(高見沢)今週号です。

これ アンチのアカウント。

「マディウォーター」ってのが 今まで すごかったんだけど→

「蟹釜絶筆しろ」っていうのも できちゃって。

こんなの見るなよ。

だって 気になるんだもん。

それ そいつらの思うつぼだよ。

こういうの見ると 一人で家にいるのが怖くなるんだ。

大丈夫。 蟹釜ジョーは こんな事じゃ潰れないから。

もっと言って。

あなたは 神に選ばれし者だから。

もっと言って。

100万人の読者が ついてるんだから。

もっと言って! もう来ないから。

これ 来週のおまけね。

(ドアの開閉音)

♬~

(木之崎)高見沢さん。

『SEIKAの空』の7巻 8巻 それぞれ 5万部増刷です。

今 お電話したら 蟹釜先生もお喜びでした。

これからは 君が 先生の相談にのれ。

俺は もう 手を引く。 (木之崎)えっ…?

あの人は 話し相手がいれば 自分で突破できるから→

まめに話し相手になる事。

最近の好物は イチ松の天むす 寿司古森のバラちらし→

パティスリーアキノの バニラロール→

三林牧場の生乳ヨーグルト→

美濃忠の上がり羊羹→

白ワインは ピスラー 日本酒は 九平次 「彼の岸」。

まあ いいや。 あとでメールしておくから。

食べる事は 生きる事。 生きる事は 作品を生む事。

161円のお返しになります。 ありがとうございました。

(男)これ ないんだけど。

あっ… 棚になければ 売り切れです。

今は 本日中だよね?

でも… 棚になければ…。

本日だから 私 来たんだけど。

本日売り切れはないよねえ? 出さないと詐欺ですよ これは!

も… 申し訳ございません。

あなた 私を騙しても平気なの?

お客様って神様だよねえ? 申し訳ございません!

ねえ 私 出るまで帰らないからね。 だって 私 お客様で神様で→

今は本日中だからね! 早くしてくださーい。

申し訳ありません。

他のお客様を怒らせてるのは 誰だ?

お前だろ!

お前のせいだろうが! なあ 出しなさいよ 肉を!

エグゼクティブ真二 もう帰った?

もう! こういう時こそ 本社の エグゼクティブスーパーバイザーの出番だろうに。

(水出清美)ああ…。 ちょっと まだいると思うから見てくるね。

ちょっと 今 肉売り場に…。 逃げるつもりか!?

もう 今 ここですぐ 肉売り場の責任者に連絡しろ!

携帯 出せ! ほら 早く出せ!

早く出せ! 店長に電話しろ 店長にも!

ほら 早く! 店長 肉屋 店長 肉屋!

すいません…。 ほら 早く電話をしろ!

店長 肉屋 店長 肉屋 店長 肉屋!

ほら 早くやれ! 店長 肉屋!

ほら 早くやれ! 遅えよ ほら!

いい加減にせい!

♬~

♬~

あの… あの…。

ん?

さっきは 助けて頂いて ありがとうございました。

ああ… レジの子か。

あの… もしかして これは お客様のものでしょうか?

うん そう。

それ もしかして→

『SEIKAの空』の モヤオですよね?

『SEIKA』読んでるの?

はい!

これ 次の号のおまけ。 欲しい?

えっ…? モヤオじゃ いらないか。

いえいえいえ…! 僕は モヤオが一番好きです。

嘘…?

モヤオは 夢がなくて 目標もなくて→

息してるだけのところが 僕に似てるっていうか…。

だから 一番好きです。

へえ~。 モヤオなんだ? 君。

これ あげる。

えっ…?

これも あげる。

さっき印刷上がった ホヤホヤ。

じゃあね。

♬~

《ああ~ 我慢できない! 読んでしまいたい!》

《いや いけない…》

《『SEIKAの空』は こんな所で読むもんじゃない》

(郷田)お疲れさまです。 お疲れさまです。

(水出)お疲れさまでーす。 (李 善善)お疲れさまです。

(郷田)ねえ ちょっと トマト持って帰らない?

見て これ。 よいしょ。 はあ…。

(水出・李)うわ~!

(郷田)今朝 桃地が 床にばらまいちゃって→

売り物になんないからさ。 (水出)サンキュー。 もらっていく。

(李)ありがとうございます。

郷田さん この国の人 みんな 親切!

エグゼクティブ真二以外は。

エグゼクティブ真二 ケツの穴が小さいからね。

(水出)最低。 大っ嫌い。

「エグゼクティブ真二」 どういう意味ですか?

本部から来る エグゼクティブスーパーバイザーだから。

で 本名 反町真二だから 略して エグゼクティブ真二。

(郷田)今日も 桃地が クレーム客にやられてる時→

どこかに隠れて見てたんだよ 絶対!

(水出)うわ~ 絶対そう…! (真二のせき払い)

郷田さん 150リットルのゴミ袋→

ここに ストック 山ほどあるのに また発注したの?

さっき 発注しておけって言うから 発注しました。

こんなにあるのに なんで また発注するのよ!

だって あんたが 発注しろって言ったじゃない!

そんな事 言った覚えないけどなあ。

まだあるって言ったのに 発注しろって言いました!

言った言わないになっちゃうと 水掛け論で不毛よね。

でも 言いました! 郷田さんの発注ミスという事で→

本社には報告しておきます。

(郷田)桃地! 桃地! あんた 見てたよね?

あっ あっ… いや… あの…。

それから そのトマト 持って帰るのは規則違反なんで→

返却破棄しておいてくださいね。

もったいないじゃない! 食べられるんだから!

規則は規則なんで~。

は~い…。

(真二)はい お疲れさまでした~。

お疲れさまでした。

(真二)はい お疲れさまでした。

トマト 捨てておいて。

♬~

《いつも 僕を助けてくれる郷田さんを→

僕は 今 かばえなかった》

《最低だ…》

モヤオだ…。

《あの人は 誰なんだろう?》

これも あげる。

《出版社の人かな?》

《発売前の 『週刊少年マキシマム』を→

持ってる人…》

《モヤオの限定グッズまで 持ってる人…》

《もしかして… 蟹釜ジョー先生の担当の人?》

《出版社の人なら あんな派手な服は着ないかな?》

《人も蹴らないな》

《あっ そうだ!》

《蟹釜ジョー先生の アシスタントだ!》

《ああ… いや でも アシスタントにしては→

年がいってるな。 服も派手だな。 うーん…》

《まあ また来たら聞いてみよう。 うん そうだ…》

《いやいや いやいや! 聞けないな… 聞けない》

《いや 聞けないでしょう。 いや 聞けるかな?》

《うーん… どうかなあ?》

《蟹釜ジョー先生の アシスタントさんですか? なんて→

いや 聞けないでしょう!》

よし…!

《身を清めて 『SEIKAの空』を読もう》

〈『SEIKAの空』とは→

捨てられた野菜の恨みから 生まれた怪人と→

野菜を守る勇者との戦いを描いた 大ヒット漫画だ〉

〈舞台は 美しい野菜に彩られし セイカ王国〉

〈家族を皆殺しにされた主人公 キャベ次郎は→

魔王ヤオーヤを倒すべく 旅に出る〉

〈なんやかんやとありつつも クールで無愛想なイケメン→

鬼龍院ピーメン→

意地っ張りなヒロイン 紅リコピン→

マッチョなイケオジ 不知火コン乃介→

そして 超絶ヘタレの 豆田モヤオといった→

野菜に選ばれし勇者たちと 出会い…〉

お清め~!

〈ついに 最新号では→

捕らわれしエシャロット姫を 救うべく→

魔王のアジトに たどり着いたのである〉

ああ…。

おお…!

はあ…。

今週も生きててよかった… マジで。

『SEIKA』やべえ~!

〈あれきり あの人は来なかった〉

(郷田)今日も来なかったね。 えっ…?

(水出)フフフフ…。

跳び蹴りのお姉さんに 惚れちゃったでしょ~?

いや…。

(郷田)図星だ。

(水出)でも 年齢から考えて ほぼほぼ人妻だと思うわよ。

不倫は やめておいたほうが いいんじゃない? 罰が当たるよ。

いや そんなんじゃないです。 僕 恋愛とか興味ないし。

(2人)嘘!? じゃあ なんに興味あるの?

漫画です。

家で漫画を読んでる時が 一番幸せなんで。

(李)桃地。

童貞ですか?

そんな日本語 知ってんだ?

うん。 私 勉強家です。

(郷田)トイレ 行ってこよう。 (水出)私も…。

(李)童貞ですか?

トイレ 行ってこよう。

童貞ですね。

(郷田)お疲れさまです。 (清掃員)お疲れさまです。 どうも。

♬~

(木之崎) お疲れさまでございました。

これ 社長から。

蟹釜先生のお好きな ピスラーでございます。

今日のランチ なんか意味あったの?

こんな時間まで引っ張って… もう夕方じゃないよ。

本日は 何度も申しましたけど→

社長の 蟹釜先生への 感謝の会でございまして。

社長 読んでないじゃん 『SEIKAの空』。

キャベ次郎の事 キャベ太郎 キャベ太郎って→

何度も言ったもん。

脇キャラじゃないよ!? 主人公の名前だよ!

社長は いつも 感謝しております 蟹釜先生には。

名前 言うなよ 大声で。 近所にも秘密にしてんだから。

《あの人 蟹釜先生の奥さん…?》

《アシスタントじゃ なかったんだ》

ほら 人が聞いてるじゃん。

君 この前のスーパーの子?

この前は ありがとうございました。

モヤオのグッズ 気に入った?

はい! ありがとうございました。

あっ… これ… あの これ…→

これに 蟹釜ジョー先生のサインを 頂けないでしょうか?

すいません それは ちょっと…。

なんで6巻なの?

ずっと靴ヒモがほどけている モヤオは→

「直すから ちょっと待ってて」って 言えなくて…。

でも やっと 6巻になって 勇気を振り絞って→

キャベ次郎に言えたんです。

その小さな勇気に感動して 6巻をお守りにしてます。

(木之崎)あなたは 何か勘違いされているようですが→

こちらは 唯月さんのお宅ですよ。 近づかないでください。

木之崎くんは もういいわ。

いらっしゃい サインするから。 よいしょ…。

えっ…? (木之崎)先生!

失礼します。

(操作音)

《浪流キャベ次郎 紅リコピン→

鬼龍院ピーメン 不知火コン乃介…》

《豆田モヤオは うちにある》

これでいい? あっ すみません。

座って。 あっ…。

♬~

さっきの話の続きしてよ。 えっ?

『SEIKAの空』の どこが好きかって。

ああ… 好きなところは いっぱいあって。

例えば? えっと… いっぱいあって→

何から話したらいいか わからないですけど…。

《蟹釜先生の奥さんには 話しづらいな…》

選ばれし勇者しか抜けない 伝説の長ネギソードを抜く時に→

キャベ次郎が言った→

「選ばれるんじゃない 俺が選ぶんだ」→

って言ったセリフとか 本当に熱いです。

しかも 長ネギソードよりもすごい→

聖剣万能ねぎカリバーを 抜いちゃって。

あれは もう 震えましたね。

それと リコピンは トマトの汁で 仲間を回復させるので→

出血なのか 返り血なのか トマトの汁なのか→

わからなくなって 仲間を困惑させるじゃないですか。

普通は あれだけ一緒にいたら わかるじゃないですか。

でも 毎回 いつも→

「どっち? どっち?」って なるんです。 そこが逆に良くて。

本当に好きなんだ 『SEIKA』。

はい!

6巻 出して。

あっ… はい!

名前 なんていうの?

桃地です。

モモチ… 何?

桃地のぞむです。

6巻。 サイン欲しいんでしょ?

あっ…。

はい。

♬~

モモは 「桃」ね?

あっ… はい。 それに 地面の「地」に→

「のぞむ」は ひらがな… です。

♬~

はい。 あっ… どうも。

…あっ サインは 奥様がされるんですか?

私に夫はいないけど。

蟹釜ジョーは 男じゃないの。

私なの。

誰にも言わないでよ。

君は口が堅い。 そう見込んだけど 違う?

堅いです。

裏切らないでね 蟹釜ジョーを。

はい…。

《この人が 蟹釜ジョー!!》

♬~

《蟹釜ジョーは女性で 本名は 唯月巴》

♬~

うーん… 読み取れ… ピッ!

いけー! ピシュン!

(携帯電話の着信音) あっ…。

ウェイ! これで うちら友達! ウェーイ!

…ウェイ。

♬~

(桃地の声)「おはようございます」

「昨日はサイン ありがとうございました」

「うれしくて ぜんぜん眠れませんでした」

いやあ… いやいや…。

ええ~?

かあ~っ! くう~っ!

(携帯電話のアラーム)

うーん…。

(携帯電話のアラーム)

…ん? 誰? これ。

…ウェイ。

ああ…。

♬~

(携帯電話の振動音)

♬~

♬~

(李)食べないですか?

私 食べます!

あっ…。

残り物に福ありです。

桃地 青い顔して どこか悪いんじゃないの?

寝不足なだけです。

寝不足なの?

あの人妻のせい? いや…。

恋愛 興味ないって 言ってたけどねえ。

だって 不倫してるとは 言えないもんね 桃地。

いやいや…。 (李)不倫! 私の国にもあります。

どこの国でもしてんだよ そんなもん。

みんな不倫してるですか?

(水出)ウフフ…。 (水出・郷田)みんなっていうか…。

(李)郷田さんも 不倫してるですね。

(郷田)してないよ! 「ですね」じゃないの。

♬~

やばっ…。

(携帯電話の振動音)

えっ…!

《来た!》

(携帯電話の振動音)

えっ…!

《来た!》

(巴の声) 「トイレットペーパー買って来て」

「持てるだけ沢山」

「模様なし 白 2枚重ね ソフトタッチ」

「電球も リビングの天井用」

はい はい はい!

♬~

トイレの棚に詰め込んどいて。

トイレあっち。

♬~

《広っ…!》

《はあ~ ここで蟹釜先生が…》

これ トイレットペーパーと電球代。

えっ… あっ… お釣りが…。

いらない。 えっ…?

≫リビングの電球も替えといて!

♬~

終わりました。

≫うるせえ!

こんな時に電話してくるなんて 馬鹿たれが!

あんたはクビだ!

(ため息)

≫あ~ 腹減った~!

♬~

あっ…。

モヤオのモヤシ炒めだ。

すいません。 お借りしてます。

いただきまーす。 いただきます。

学食の味だ。

うまい!

《信じられない…》

《僕が作ったモヤシ炒めを 蟹釜先生が食べている!》

桃地も食べなよ。

おなかすいてないの?

じゃあ 食べちゃうよ。

う~ん!

桃地 意外に役に立つね。

バイトしない?

えっ あっ… バイトは 今 スーパーで…。

スーパー始まる前にゴミ出しして 終わったら 掃除と買い物。

時々 料理で 1日5万。

どう? いや…。

不足?

私 ハウスクリーニングとか 家政婦とか頼むの なんか嫌なの。

どうしてですか? わかんないけど嫌なの!

私が蟹釜ジョーだって秘密を守り→

5万円分 ちゃんと働いてくれたら→

ご褒美に 『SEIKAの空』の先 読ませてあげる。

フフッ…。

変な顔。

これ 合鍵。

仕事してる時にピンポンされると うるさいから 勝手に入ってきて。

あっ…。

えっ…!

♬~

《変な顔…》

(カメラのシャッター音)

♬~

ハハッ…。

〈こうして 蟹釜先生と僕の 秘密の関係は スタートした〉

フッ… 秘密…。

♬~

(目覚まし時計のアラーム)

よしっ!

♬~

(掃除機の音)

うるせえ!

よし!

(携帯電話の着信音)

(巴の声)「炒め物ばっかで飽きた。 グラタン希望」

グラタン…。

♬~

やっぱり 桃地 人妻と不倫してるね。

毎日 スマホばっか見てるもん。

あれは 押し倒されたね。

押し倒された… どういう意味ですか?

ホホッ…。 アハハ…。

説明しにくいよ! 李ちゃん。

ケチですね 郷田さん。

すいません! すいませ~ん! すいません すいませ~ん。

不倫してます…。

(携帯電話の振動音)

(巴の声)「フラの稽古着 忘れた すぐ持って来て」

はい。

これ? これじゃん?

ここだ。

あっ…。 来た。

すいません。 サンキュー。

≪♬~(音楽)

(女性たち)心を込めて あなたに→

愛を 愛を→

捧げます。

♬~

(女性たち)心を込めて あなたに→

愛を 愛を…。

《蟹釜先生 きれい!》

♬~

で?

ただいま。

さっきは ありがとね。

おっ! グラタンだ!

フラダンス 初めて見ました。

キックボクシング 習ってたんだけど→

きついからフラに変えたの。

ちょっと来て。 えっ?

ここ座って。

あっ…。

《先生の椅子には座れない》

これが 今度の水曜に出る分。

ご褒美よ。

えっ! いいんですか!?

どうぞ。

《蟹釜先生の前で読むなんて 緊張する~!》

(キャベ次郎)「紫キャベツ零式が 見破られた…!」

「(汽笛)」

(ピーメン)「パプリ眼!」

「だめだ。 俺でも 奴の動きは捕えられない!」

(コン乃介)「次は俺だ。 コーン・フレーク 山月切り!!」

(ナスッテ)「5秒先の未来が見える 私に→

あなた達の剣が届くことは 決してない」

「5秒 それは→

ナスビ8個分の距離」

(ピーメン・キャベ次郎・コン乃介) 「ぐああああああっ!!」

(ナスッテ)「…ごめんナスッテ」

(モヤオ)「くそう! 必殺 もやしラプソディ!」

(リコピン)「ばかっ。 野菜生産者の 顔が浮かぶ… なんて技で→

あいつを倒すのは無理よ…」

(ナスッテ)「かわいい技だね。 君は 何がしたいんだい?」

「(蹴る音)」 (モヤオ)「ぬわあ!」

「どうして 俺っちは ここにいるんだろう?」

「皆を守る力もないし むしろ 守られてばかり」

「どうして勇者に選ばれた? どうして…」

もう いいんじゃない?

グラタン食べてるよ。

♬~

(ドアの開く音)

うわあ…。

♬~

♬~

蟹釜先生は天才です。

ありがとうございました。

(操作音)

(ドアの開閉音)

♬~

(店員)ああ~ よくお似合いです。

良い 良い。

ちょっと 着心地が…。

着心地なんか どうでもいいのよ。 おしゃれは我慢なんだから。

じゃあ 次は…。

♬~

見てみ。 はっ?

桃地は私が雇ってるんだから みっともないもの着ないで。

いつも美しくいて。

《美しく…。 変な顔なのに》

美しいという事も 使用人のサービスの一つだから。

いい風。

トイレ行きたいの?

いや ちょっと 靴擦れが…。

ええ~ ダサッ。

嫌だ! 痛そう!

うう~ もう…。

あっ…。

桃地が 私の心配しなきゃいけないのに→

逆だよね。

《すみません…》

はい 終わり!

ありがとうございました。

ネクタイも緩んでんじゃん。

《うっ…!》

なんだよ?

いえ…。

♬~(映画の音楽)

♬~

変な顔。

えっ? フフフ…。

すいません。

(はなをかむ音)

ああ~ 疲れる映画だったねえ。

肩 もんで。 はい。

失礼します。

弱い。 はい。

全然 弱い。 はい!

う~ん!

ああ~! そこそこ そこそこ そこそこ!

もっと強く! はい!

うん…。

うーん…。

あの 僕…→

そんなつもりじゃ…。

そんなつもりじゃなくても→

キスくらい 付き合ったらどうなのよ。

じゃあ どんなつもりで そこに寝っ転がってんだ!

もういい!

もう来なくていいから! 鍵 置いてってね!

えっ…。

えっ…? (ドアの開閉音)

えっ あっ…。

はっ?

《「そんなつもりがなくても キスくらい付き合ったらどうよ」》

《「どんなつもりで そこに寝っ転がってんだ!」》

《わからない… ああ 意味がわからない》

《わからない。 わからない わからない》

《ああ わからない…》

あの 僕…→

そんなつもりじゃ…。

《やっぱり あの時→

キスしておけば よかったのかな?》

(李)桃地 これ 大根のシール。 えっ?

(李)イチゴに大根のシール。

ああ…。

何やってるんですか? すみません。

(郷田)フラれたな あれは。

荷が重すぎたのよ。 あの派手な人妻じゃ。

だよね。

忘れ物。

置いていけって言って 素直に置いていく馬鹿いる?

帰るよ。

えっ? ちょっ…。

《何? 何? 何? 何? 許されたの?》

早く来い!

はい!

♬~

沖縄 行かない? えっ?

東源出版の社長に 沖縄旅行プレゼントされたの。

本 売れてるから。

行くの? 行かないの? 行きます。

じゃあ 1週間 休み取ってね。

えっ あっ… いや 1週間は ちょっと…。

取れって言ってるの! はい。

覚悟して来いよ。

えっ?

《覚悟…》

《覚悟とは なんだろう?》

《沖縄だしなあ…》

《キス…? その先?》

《いやいや いやいや…!》

《どうしたら いいんだろうか?》

何 モジモジしてんの?

いえ。

すみません。

(ため息)

♬~

感じ悪っ。

(機内アナウンス) 「皆様に ご案内致します」

「この飛行機は まもなく離陸致します」

《離陸… ああ どうしよう》

《着陸する時は沖縄だ》

《ああ~ どうしよう…》

(衝撃音)

「那覇空港で 新日本オーシャニック航空の135便→

オーバーラン。 乗客乗員130名の生死は不明」

これ 蟹釜先生の乗ってる飛行機です!

(救急隊員)患者は30代 男性。 血圧110…。

(看護師)わかりました。 こちらへお願いします。

(救急隊員)40代男性。 意識レベル2。

血圧128の60。 脈拍84。

(看護師)桃地さん わかりますか?

飛行機事故だったんですよ。 覚えてますか?

先生。 意識 戻りました。

(医師)点滴 80から50ミリリットルにして。

(看護師)はい。 桃地さん 瞳孔の確認しますね。

《蟹釜先生… 蟹釜先生は?》

(アナウンサー)「先ほど 乗員乗客130名のうち→

4名の死亡が確認されました」

「死亡が確認された方のお名前を 読み上げさせて頂きます」

「サトウミチコさん ヌマタユウスケさん→

ユイヅキトモエさん…」

♬~

蟹釜先生…。

蟹釜先生は どこ?

♬~

♬~

《先生がいない…》

《先生… 蟹釜先生…》

♬~

いい加減にせい!

蟹釜ジョーは 私なの。

学食の味だ。 うまい!

桃地が 私の心配しなきゃいけないのに→

逆だよね。

(巴の声) そんなつもりじゃなくても→

キスくらい 付き合ったらどうなのよ。

♬~

(アナウンサー)「先ほどから お伝えしていますが→

死亡が確認された方のお名前を 繰り返します」

「サトウミチコさん ヌマタユウスケさん→

ユイヅキトモエさん…」

(点滴スタンドを引きずる音)

(点滴スタンドを引きずる音)

桃地…。

私…。

誰ですか?

私よ 巴。

蟹釜ジョー。

どうしよう 桃地…。

気がついたら こんな姿になってたの。

はあ?

♬~

〈このあと 僕は 何度も思う事になる〉

〈あの時 キスしておけば よかったと〉

えっ! 今日は 一緒にいる。

いやいや いやいや…! 駄目! 駄目! 駄目!

ママ~! 私よ! ああ~っ!

出て行ってください。 どうしても信じられないです。

(泣き声)

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