All language subtitles for 스파이의아내0412

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Original subtitles

≪(話し声と物音)

(英語)

(文雄)容疑は何ですか。 彼は 生糸を買い付けに来ただけです。

弁明は本部でお願いします。

(英語に通訳)

彼はイギリスの商人です。 政治的なことには関係していません!

♬~

(優作)泰治君。 (泰治)ご無沙汰しております。

これは驚いた。 軍服がそんなに似合うとはね。

この姿 初めてでしたか。 うん。

でもまあ やっぱり 君は君だ。 横浜から?

いえ。 ひとつきほど前に 神戸分隊に配属されました。

その格好からすると 分隊長。

はい。 すごいじゃないか。

一度ご挨拶に伺おうと思っていたのですが 忙殺されておりまして。

我が家を 直接訪問してくれればよかったのに➡

もっと気楽な格好で。 はい いずれ。

六甲山の麓だ 眺めはいいよ。 もともと 山は好きです。

そうだった。 妻もきっと喜ぶ。

聡子さんは お元気ですか? うん 至極。

それはよかった。 うん。 それで と…。

ジョン・フィッツジェラルド・ドラモンド ご存じですね?

仕事仲間で友人だ。 先ほど 軍機保護法違反で逮捕されました。

知ってるよ。 文雄から聞いた。

驚いておられませんね。

電話を受けた時は動転した。 だか今はもう。

彼が英国の間諜だとしても? ハッハハハハハ。

いや どうも…。 何か。

あの太っちょに スパイというのが不似合いで。

彼を信用していらっしゃる。 友人だ スパイとは簡単には信じられない。

人がよすぎるんです 優作さんは。

そうか。 失敬。

今後は世間の見る目も変わってきます。

今までどおりの 人づきあいではいけません。

聡子さんのためにも ご一考下さい。

なるほど。 だが 僕の仕事は 外国人とつきあうことなんだがね。

だからこそです。

妻も路頭に迷うだろう 僕が廃業したら。

こんな格好をしておりますが 捕り物は あまり好きではありません。

だが それが君の仕事だ。 はい。

じゃあ 気になさらず。

とんだ挨拶で失礼しました。 ではまた。

また。

百合子さん どうして。

カット。

聡子 もう一回 頼む。

(聡子)ええ? もう嫌ですよ。 文雄さんのつかみ方 痛いんです。

すいません。 でも 叔母さんが 抵抗する力が強いもので つい。

私のせいだとおっしゃるの? いやいや それこそ迫真の演技。

少々の無理は我慢 我慢。

次は必ず痛みのないような形で。

そこは文雄を信じよう。

もう一回 頼む。

あなたたち また結託して。

あと一回だけですからね。

金庫の番号は? もう覚えました。

いいですか? いきますよ。

(フィルムが回る音)

(駒子)まあ。

(ドラモンド)サンキュー。

(呼び鈴)

(ドラモンド)助かりました。 本当にありがとう。

お礼なんて やめて下さい。

そっちが差し押さえになったら こっちだって困るんだから。

優作さんが罰金を払ってくれました 200円も。

そうだったんですか。 必要経費だ すぐ取り戻せる。

(駒子)どうぞ。 ありがとう。 どうぞ。

それで… 暴力などはなかったですか。

う~ん。 ないと言ったら うそになります。

大丈夫 大したことはありません。

ひどい話だ イギリス人というだけで。

イタリア ドイツには尻尾を振るくせに。

これで 私も 日本に滞在するのは難しくなりました。

帰国されるんですか?

いいえ 上海に行きます。

上海? 共同租界ですか すてき。

おい 別に楽しい話じゃないぞ。 ごめんなさい。

上海には まだ少しだけ 自由が残っていると聞きます。

これを。

お二人には とってもよくして頂いたので。

こんな大層なものを。

もう売ることもできません。

お元気で。 あなたも。

よい旅を。

私 あなたを誤解してました。

え?

友人が捕まったのに 遊びに興じて 薄情な方だと。

ああ。

あなたは いつも 私より ずっと先を見てらっしゃるから➡

自分がバカみたいで嫌です。

君は ちっともバカじゃないさ。

♬~

最上級のものだ。

着物にでもさせて頂きましょう。

いや~ この柄なら 当然 洋服だ。

だって 国民服令が 出たばかりじゃありませんか。

そんなものに従ってたまるか。

♬~

来月 ひとつきほど 満洲に行ってくる。

満洲ですか?

向こうは 何でも安い。 鉄鉱石 穀物 それに医薬品だ。

野崎先生からも 研究用に 是非 手に入れろと念を押されてる。

でも 満洲は 上海に比べて ず~っと危険でしょ?

ノモンハンか。

本当に危なくなる前に 一度 大陸を この目で見ておきたいんだよ。

足踏み~ 進め!

小隊 止まれ!

左向け 左!

右へ ならえ。

直れ!

小隊長殿に 敬礼!

直れ!

休ませ。 休め!

本日は不審者の発見と手荷物検査を行う! 各自 しっかりやるように!

(一同)はい!

気を付け!

左向け 左!

叔母さん こっちこっち。

すっかり手間取っちゃって。

大丈夫ですよ 船はまだ出ませんから。

お湯 入れてもらいました。 ありがとう。

文雄さんも大変ね 重いもの たくさん持たされて。

いえ 志願した以上は 当然です。

おい よせ。 すいません。

聡子 心配するな。

釜山まで出れば あとは鉄道で一本だ。 何ということもない。

向こうで 僕が ソ連のスパイだっていう 場面を撮るらしいんですよ。

そのために これを。

初耳。 大作なんですね。 ええ。

(汽笛)

さあ 叔父さん 行きましょう。 うん。

いざ 王道楽土へ。 ハハ。

優作さん。 おお ここでいいよ。

気を付けて。 行ってくる。

(ラジオ)「近衛首相の言葉のように 日独伊三国条約は➡

9月27日 日本時間で午後8時15分 ベルリンにおいて調印を終わり…」。

旦那様にですか?

満洲へ? ううん 横浜宛てよ。

ああ 旦那様のご実家に。 ええ。

優作さんは 大切な息子だし 文雄さんは お姉様のご子息だし➡

向こうじゃ随分 気をもんでらっしゃるみたいなの。

だから ご心配なくって。

奥様も あと1週間の辛抱です。 ええ。 ありがとう。

♬~

(金村)奥様。 はい。

(金村)電報でございます。 あら どちらから?

それが… その…。

♬~

これが自然薯いうもんですか。 ええ。 するとおいしいのよ。

よう見つけはりましたな。 私 山の子だから。

あっ どうも。 どうも。

すみません 気付きませんでした。

泰治さんも山登り? ええ 氷を取りに。

氷を。 この上に天然の氷が出来るんです。

まあ 存じませんでした。

それは自然薯ですか? ええ。

おひとつ どうぞ。 いえ 男一人所帯ですから。

そう? じゃあ。

あっ 福原から聞きました。

分隊長 おめでとうございます。 やめて下さい。

すっかりお忙しそうで。 いや~。

でも 取った氷をどうなさるの? 男一人で。

ウイスキーを飲むんです。 泰治さんがウイスキー!

嫌だな もう子どもじゃないですよ。 ハハッ そうね お互い。

そうだ。

ウイスキー うちで ご一緒しません? いいのがあるんです。

分かりました 後で伺います。 氷も その時に。

是非お願いします。 では 後ほど。

わあ 滑らか。 普通の氷と全然違う。

優作さんがご在宅でないなら 寄りませんでしたのに。

そんな気がしたので 言わずにおきました。

お飲みになりませんの?

聡子さんは 楽しく過ごされていますか?

夫がいない間は もちろん寂しいです。

それは どういう意味です。 どういう…?

フフッ 表も裏もありません。

そうですね あなたはそういう方だ。 ええ。

お幸せそうで何よりです。

ただ 昔のなじみとして 一つだけ 忠告しておきます。

何かしら?

この家の方々は 皆 洋装をしていらっしゃる。

お気に召しませんか?

ウイスキーも舶来品 日本のものではいけませんか。

私は別に。 でも 福原には こだわりがあるんです。

泰治さんも飲んでみて。 是非 感想を聞きたいです。

これからは 何か言う人間が必ず出てくるでしょう。

あなた方の普通が 誰かにとっては 批判や攻撃や主張と映る。

今は そういう時代です。 ご心配ありがたく。

すみません 僕には 今も あなたが 14の女子に思えて…。

ハハハッ 是非そのまま留め置いて下さい。

さあ お飲みになって。

♬~

ハハハハ…。

♬~

ハハハッ おい 分かった 放せ。

嫌です。

♬~

(拍手)

お粗末! 余興は以上だ。 みんなの協力に感謝する。

(拍手)

え~ 今年もまた 創業以来 何度目かの危機に陥ったが➡

皆のおかげで どうにか乗り切ることができた。

そのお礼に 僅かだが各自に餅と砂糖を用意してある。

(一同)お~! 配給の足しにして正月を迎えてくれ。

皆 本当によく働いてくれた 感謝する。 では 乾杯!

(一同)乾杯!

(拍手)

お疲れさまでした。 ありがとうございます。

ほんま ありがとうございます。

どうぞ。 ありがとうございます 助かります。

ありがとうございます。 どうぞ。

ありがとうございます。 ああ。

(文雄)皆さん!➡

お伝えしなければならないことが あります。

急な話ですが 僕は今年をもって会社を辞めます。➡

そのかわり 小説を書きます。

大陸で実際の戦争を目にして思いました。

いつ呼ばれるか分からぬ身ですから➡

そうなる前に 何か一編でも➡

後世に残せるようなものを したためておきたいと。

ですから しばらく有馬の旅館 たちばなに籠もって➡

処女長編に取り組みます。

皆さん 有馬にお越しの際は 是非お立ち寄り下さい。

茶の一服など おたてしましょう。

文雄さんのこと 私には ひと言おっしゃって頂きたかったです。

すまん。 黙っているように頼まれた。 君に止められると思ったんだろう。

でも文雄さん どこか前と変わってしまった。

冒険心に火がついたのさ 満洲で。

冒険 どんな冒険です?

聡子 僕はアメリカに行くかもしれない。 えっ?

アメリカが 対日輸出制限を始めたことは知ってるね。

いいえ。 そうか。

アメリカが日本の敵になるんですか? いずれなる。 だから行くなら 今だ。

どうしてアメリカへ?

見ておきたいんだよ もう一度。

二十歳の頃 水夫として西海岸までは行った。

サンフランシスコ ロスアンジェルス。 広いぞ~ 君も見たくないか。

見たいです 私も。

それから➡

ニューヨーク 摩天楼。 僕は見る 見ずに死ねるか。

あっ 優作さん 気を付けて。

会社に誰もいないなんて 初めて。

だから 何をやっても許されるのさ。

フフ いやだ 酔ってらっしゃるのね。 ああ 悪いか。

フフフッ。

さあ…。 あっ…。

こんなところで? 他言は無用。

あかんわ…。

ドラモンドさんからですね。

いたのか。 ああ。

重要な知らせですか?

たあいのない内容だ。

私 ちょっと心配です。

何が?

だって ドラモンドさんは敵国の…。

あの男は商売人だ 敵も味方もない。

きれいな方。

急にお呼びたてして恐縮です。 ご存じですか この女。

いいえ。 たちばなという旅館は?

有馬のたちばなですか? 毎年 夏に泊まっています。

今は確か主人のおいが…。 竹下文雄さんが投宿されている。

はい。

そのたちばなで 先日 仲居をしていた草壁弘子が殺されました。

写真の女です。

えっ。 北海道の生まれですが 満洲に渡り➡

隣に写っている軍医と 深い仲になったようです。

それが先月 突然 日本に戻ってきた。 何もご存じないですか?

いいえ 何も。

私を疑ってらっしゃる?

いえ 失礼しました つとめなので。

そういう格好をした泰治さん あまり好きではありません。

それは どうも。 ところで➡

草壁弘子を満洲から連れ帰ったのは 優作さんです。

えっ?

彼が たちばなに 弘子を女中として 使ってほしいとあっせんしました。

安心して下さい。

優作さんが この件について 潔白であることは 既に調査済みです。

でも 竹下文雄は どうだろうか。

何せ 一つ屋根の下に 住んでいたわけですから。

文雄さんが犯人ということなんですか。

痴情のもつれ ありえるでしょう。

ここから事態が どう動くか 今は まだ分かりませんが➡

お呼びしたのは あらかじめ 心構えをして頂きたかったからです。

どんな心構えを?

あなたと あなたのご亭主が これから どう振る舞われるか➡

我々は それを注視しています。

どうだった 聚楽館の映画は。

溝口の新作だろ? やっぱり傑作かい。

どうした どうした さっきから。

伺いたいことがあります。

あなたは 最近 旅館 たちばなに行かれましたか?

何だ 一体。

今日 泰治さんに呼び出されました。

聚楽館というのは うそです。

泰治君が 僕には ないしょで。

どうなんです? たちばなには行っていない。

それでいいか。

では…➡

草壁弘子のことは?

彼女は亡くなりました。

知ってる。

だが それは 君が気にする必要のないことだ。

なぜです。 君に無駄な心配はかけない それが僕の信条だからだ。

だとしたら それは失敗です。

やはり 草壁弘子とは知った仲なんですね。

おい ただ ちょっと向こうで 知り合っただけだ それ以上は何もない。

泰治さんは あなたと文雄さんが その女を連れ帰ったと言いました。

お願いです。 本当のことをおっしゃって下さい。

こんな気持ちは 結婚して以来 初めてです。

私は 急に あなたのことが分からなくなりました。

問わないでくれ 後生だ。 やっぱり…。

僕は 断じて 恥ずべきことは何もしていない。

ただ 僕は 君に対して うそをつくようにはできていない。

だから 黙るしかない。 そんなのうそと変わりません。

君がどうしても問うなら 僕は答えざるをえない。

だから問わないでくれ。 僕という人間を知ってるだろう。

どうだ 信じるのか 信じないのか。

ひきょうです そんな言い方。

信じます。

ありがとう。

信じているんです。

この話は これで終わりだ。 いいな。

♬~

(荒い息遣い)

(足音)

♬~

この氷 どうした?

泰治君は 君にほれている。

神戸にやって来たのも そのためだろう。

君は 本当に気付かないふりをするのが 得意だな。

僕の方は 君に うそをつくようには できていないというのに。

♬~

(弘子)フフ… 優作さんって 本当 うそのつき方がお上手。

そうか?

(笑い声)

(荒い息遣い)

ごめんください。

これは 福原の奥様。

いらっしゃいませ。 どうも。

今日は どういったご用件で?

主人から 文雄さんへの伝言を言いつかって。

そうですか。

文雄さん ほんま見違えましたな。

以前とは だいぶお変わりのようで 驚きましたわ。

この2か月。 はい?

主人も何度もお世話になって。

いえいえ。

いらっしゃい。 どうぞ お好きなところに。

本当のことを教えて下さい。

本当とは何です。

草壁弘子を殺しましたか。 バカなことを。

なぜ満洲から連れてきたんですか?

はあ…。

かわいそうだったからですよ。

放っておけなかったんです。 どちらが?

あなたと主人の どちらが 彼女を放っておけなかったんですか。

これはまた ご自分の連れ合いを疑ってらっしゃる。

優作さんを疑ってなんかいません。 ただ私は 事実が知りたいんです。

事実… ハハッ。

憲兵に入れ知恵されましたか。 愚かだ。

何です!? 愚かだと言ったんです。

愚かで結構。

でも あなたのしていることが 主人の立場を危うくすることなら➡

それは 何としても やめてもらわなければなりません!

やめる? どうやって。

やっぱり。

あなたたちは 何か 危ういことに 関わってらっしゃるんですね。

叔母さん➡

あなたは一度でも 叔父さんのことを 理解しようとしたことがありますか?

どうして叔父さんの本当の気持ちを 分かってあげないんです!

何のこと?

あなたは何も分かっていない。

あなたが安穏と暮らすために➡

叔父さんが これまでされたご苦労も 何もご存じない。

おっしゃってる意味が分かりません。 そのとおり!

あなたは何も見なかった。

あなたには分かりようがない!

私が見なかったものとは何です。

失礼しました。

何も知らない者にこそ➡

僅かな希望があるのかもしれない。

これをあなたに託します。 えっ。

決して開封せず 叔父さん以外の誰にも渡してはいけない。

何です?

僕は ずっと憲兵に監視されています。

ここを一歩も出ることができません。

「英訳が やっと終わった」 叔父さんには そのように。

そう伝えればいいんですね。

ええ。 さあ もう行って下さい。

お元気で。

♬~

去年の2倍 買います。 ですので 仕入れの値段を安くしてくれますか?

分かった。 では… 25%で どうだろう?

(英語での やり取り)

ほな お先に失礼いたします。

社長 失礼します。 うん ご苦労さま。

どうしたんだ。

文雄さんから預かりました 英訳が終わったそうです。

やはり知らなければ 何も信じることはできません。

聞かせて下さい。

何から話せばいいか。 最初から。

僕と文雄は 釜山から鉄道で満洲国へ向かった。

首都の新京は華やいでいたよ。

もう日本では感じることができないような 希望が➡

まだ そこにあるように思った。

それから僕たちは 特別な許可をもらって 関東軍の研究施設へ向かった。

医薬品の便宜を打診する目的でだ。

途中 車の窓からところどころ 小さい山が見えた。

最初それは 廃棄された農作物の山だと思った。

近づくと 山から たくさんの手足が 生えていることに気付いた。

山は煙を出していた。

人間の死体が焼かれていたんだ。

それは ペストによる死体の山だった。

それから僕たちは 行きがかり上 一人の女の命を救うことになる。

君も知る草壁弘子だ。 彼女は看護婦で 軍医の愛人でもあった。

彼女は僕たちに このペストの流行は 関東軍の細菌兵器によるものだと告げた。

ここでペスト菌の人為的な散布による 生体実験を秘密裏に行っていると。

それを内部告発しようとした軍医は 処刑され 弘子の身にも危険が迫っていた。

なぜなら 弘子は軍医から託された 動かぬ証拠を持っていたからだ。

それが あの詳細な実験ノートだ。

君が文雄から受け取ったのは そのノートと 英訳した もう一冊だ。

そこにはペスト菌の散布だけではなく➡

捕虜を使った生体実験の様子まで 克明に記録されていた。

こんなことは 決して許されるものではない!

それで?

英訳したノートをどうするおつもりです。

この証拠を国際政治の場で発表する。

特に そこがアメリカなら 戦争に消極的なアメリカ世論を➡

対日参戦へと確実に導くことができる。 アメリカが参戦すると どうなります。

日本は負ける。 負けますか。 遅かれ早かれ 必ず負ける。

それでは あなたは売国奴ではありませんか。

僕はコスモポリタンだ。

えっ…。 僕が忠誠を誓うのは国じゃあない。

万国共通の正義だ。

だから このような不正義を 見過ごすわけにはいかない。

あなたのせいで 日本の同胞が何万人死ぬとしても➡

それは正義ですか?

私まで スパイの妻と罵られるようになっても➡

それがあなたの正義ですか。

私たちの幸福は どうなります。

不正義の上に成り立つ幸福で 君は満足か。

私は正義よりも幸福を取ります。

ハハハハッ 知ったような口をきく。

当然だ 君は何も見ていない 何も知らない。

僕も君にそれを見せたくはない。

だが それは起こっている。

僕たちの同胞が その悪魔のような所業を かの地で 今も繰り返してる。

僕は見た。 多分 あらゆる偶然が僕を選んだんだろう。

だとしたら もう 何かをしないわけにはいかない。

あなたも文雄さんとおんなじ すっかり変わってしまった。

いや これが本当の僕だ。 いえ 私には分かっています。

あなたを変えたのは あの女です。 あの女が その胸に住み着いたんです!

ええ 私は何にも見ていません。

それが何だというんです。

国際政治がどうとか 偶然が選んだとか そんなの知ったことじゃありません。

それは絶対 そうなんです。

(ドアの開閉音)

帝大で野崎先生の御用を聞いてくる。 はい。

今日は 泊まりになるかもしれない。 聡子に そう伝えてくれ。

承知しました。

行ってらっしゃいませ。

♬~

旦那様は。 行かれました。 今日は お泊まりになると。

そう。

奥様 これは どうも。 社長はお出かけですが。

ええ。 主人が忘れ物をしたので 取りに来ました。

さようでございますか。 お構いなく 場所は聞いています。

ああっ!

♬~

(フィルムが回る音)

♬~

聡子さんの方から連絡を頂けるとは 思っていなかったので 光栄です。

早速ですが…。 その前に一つ お伝えしておきたいことが。

草壁弘子殺しの犯人を逮捕しました。 えっ。

旅館たちばなの主人です。 まあ…。

この男は 仲居として雇い入れた 草壁弘子に恋慕し 強姦しました。

その時に激しく抵抗され 殺して海に投げ捨てたと。

なんて哀れな…。

聡子さんには 無用の心配をおかけしました。

お詫びします。 いえ。

それと もう一つ これこそ お耳に入れておきたかった。

優作さんは 草壁弘子が 看護婦の勉強をする留学先として➡

アメリカ渡航の旅券を申請しました。

ご自分のも含めて2人分。 ご存じでしたか。

存じません。

何か商売の目的があって アメリカに行くのは自由ですが➡

どうして わざわざ この時期に。 しかも草壁弘子を連れて…。

僕は ひとえに あなたのことが心配なんです。

それだけですか。

はい。

では こちらの案件を申し上げます。

身内の恥と思って 今まで言えずにおりました。

何ですか。

ご覧になれば分かります。

何だ これは…。

このノートは満洲から持ち込まれました。

誰が これを。

あっ 山内君➡

日欧貿易の決算書は そちらにある?

あっ え~っと… こちらにはありませんね。

多分 倉庫の方やと思います。 取ってきます。

ああ 僕が行ってくる。 そうですか すいません。

いい いい。

(うめき声)

あ~っ!

(戸が開く音)

福原優作殿。 ご同行願えますか。

理由は?

先ほど 竹下文雄を逮捕しました。

参考人として あなたにもお伺いしたいことがあります。

分かった。

(泰治)福原優作。➡

あなたは連合国側のスパイですか? 違う。

(泰治)では 竹下文雄は? 違う。

(泰治)なぜ 違うと言えるんです? 違うものは 違う。

僕は 文雄という人間を信じている。

理由は それ以外にない。

しかし 残念ながら 竹下文雄は 自分がスパイだと認めました。

ほう。 その上 彼が満洲から持ち込んだ 物品の中に➡

重要な国家機密に関するものが 含まれていたと。

何だか分かりますか?

さあ。

尋問に 随分 時間がかかりましたが やっと自白しました。

彼は その機密を 満洲で 草壁弘子と行動を共にしている時に➡

手に入れたと言っていました。

全て 自分一人の判断であり あなたの関与はなかったと。

なるほど 信じるしかない。

ほかに証拠はないのだから。

君は 拷問による自白を うのみにするのか? いいえ。

では どうして。 通報があった。

通報? 誰から?

おかげで国家の機密は守られました。

善良な市民の力です。

♬~

手を。

♬~

誰が通報した。

あなたも よくご存じの方だ。

私は その人を不幸にしたくない。

まだ間に合います。

心を入れ替えて お国のために励みなさい。

それで この件は終わりだ。

♬~

密告屋!

しかも 泥棒まで。

君は 幼なじみの口車に乗って 僕ら2人を売った。

よくも まあ そんな涼しい顔を していられるな。

文雄さんは 必ずあなたを守る。 私は それに賭けました。

これが 何か分かるか? 文雄の両手の爪だ。

大きな望みを果たすなら 身内も捨てずにどうします?

君のせいで 文雄は地獄行きだ。

大望を遂げるための犠牲です。

文雄さんも お分かりでしょう。

だから あなたは こうして 帰ってくることができたんです。

望みを遂げようにも もう 肝心のノートがない。

ノートは 2冊➡

必要なのは こちらのはず。

だが 原本がなくては 信頼されない。

生き証人だった弘子も もういない。

あなたが私を責めたいのは分かります。

それでも あなたは 私を信用して下さらなくてはなりません。

もう あなたには 私しかいないんです。

君は 見たのか。

ええ 見ました。

扉も。

(フィルムが回る音)

あなたは ここにも ノートを記録しています。

あなたが満洲で見たのは これですね。

ああ。 決定的な証拠だ。

何て むごい。

関東軍による 人体実験の記録フィルムを 再撮影したものだ。

弘子に入手させた。 帰国と交換条件で。

このフィルムと英訳のノートがあれば➡

あなたの志を果たすことはできます。

アメリカへ渡りましょう。 私たち 2人で。

♬~

いよいよの時は ここに隠すつもりだった。

優作さん。

これ以外にも フィルムがあるんじゃないんですか?

え?

映像が あれだけでは➡

女を連れ帰るほどの危険と見合うとは 思えません。

なんて女だ。

あなたが 国際世論を動かせると 判断するぐらいのものが➡

ほかにあるんですね。

そのとおり。

原板は もっと鮮明で 微細で 数十分に及んでる。

それは 上海のドラモンドに預けた。

ドラモンドさんに?

日本に持ち帰るより ずっと安全だと思った。

だが 間違いだった。 先日の手紙で➡

ドラモンドは フィルムと引き換えに 多額の金を要求してきた。

「貧すれば鈍す」だ。

待てよ まさか…➡

彼こそ 本物のスパイなのか?

スパイならば 味方とはなりませんか?

僕は スパイじゃない。

僕は 自分の意志で行動している。

スパイとは 全く違うものだ。 どちらでも結構。

私にとって あなたは あなたです。

あなたが スパイなら➡

私は スパイの妻になります。

それだけです。

満洲での偶然が あなたを選んだとおっしゃるなら➡

それは 私まで選んだということです。

♬~

「昭和16年7月26日➡

日本仏領インドシナ共同防衛の 取り決めに引き続き➡

7月29日 我が陸海の精鋭を 南仏印に増派の旨➡

馬渕大佐によって発表。➡

その日 南シナ海の波穏やかに 仏印防衛の重要任務を担って➡

ひたすら進む 我が平和の前進 大輸送船団は➡

午前9時 早くも その威容を キャップサンジャック岬の沖合に現す。➡

欧米勢力も圧迫に抗して➡

インドシナの一角に きぜんとして守り続けた帝国臣民の➡

今ぞ巡り会う この喜びはいかばかり」。

♬~

アメリカが とうとう 石油の対日輸出を 禁止したそうだ。 まあ…。

ABCD包囲網の完成だ。

これで 正規の手段では アメリカに行けなくなったな。

優作さんは あの女と アメリカに行くつもりだったんですか?

まさか。 単に保護者のふりをして➡

2人分の渡航申請をしただけだ。 その方が怪しまれない。

行くのは 彼女一人だけだ。

まあ もし文雄が行きたいと言いだせば それもいいと思っていたけれどね。

本当ですね。 もちろん。

では やっぱり 優作さんとアメリカに行くのは➡

私ということになりますね。 ああ。 だが どうやって?

方法は 一つしかない。

亡命だ。

ドラモンドへの支払いと 上海からの偽旅券2人分 それと…➡

もろもろの経費を合わせて できれば 1万円は持っていたいな。

1万円! どうします?

日本円では 役に立たない。

会社にある 現金の余剰分を 貴金属に換えよう。 はい。

それと 渡航のルートなんだが 多分 貨物の箱に隠れて➡

サンフランシスコまで 2週間といったことになるだろう。

2週間…。

心配するな。 船内に協力者を手配する。

食事も 水も 用を足すのも 何の不自由もないさ。

分かりました。

でも 上海にいるドラモンドさんから どうやってフィルムを受け取るんですか?

うん。 それで 提案があるんだ。

二手に分かれる。 私とあなたが? ああ。

君には フィルムを託して 貨物船に乗ってもらう。

僕は ノートを持って 上海に渡り➡

ドラモンドから残りを買い戻して そこから アメリカに向かう。

サンフランシスコで落ち合おう。 あそこなら 日本人街もある。

そこで 通訳を雇って 2人一緒に➡

ワシントンを目指す。 嫌です。 おい。

私も一緒に上海に行きます。 危険を分散したいんだ。

貨物船なら 一度 港を出てしまえば それで安全だ。 私一人では無理です。

そんな… 貨物の箱にいて 誰が私を守ってくれますか?

十分に手配する。 船長とも懇意にしてる。

そんなの信じられません!

どこかで誰かを信じるしかない。 この大仕事を➡

2人だけで やり遂げようとしてるんだ。

ああ… 怖い…。

強くなってくれ。

少し離れるだけじゃないか。

こんなことは 大望を遂げるための 犠牲ですらない。

ただの我慢だ。 捕まることも 死ぬことも 怖くはありません。

私が怖いのは あなたと離れることです。

私の望みは ただ あなたといることなんです。

体が離れることは 心まで離れることだろうか。

例えば 今 僕は 塀の中にいる文雄と これまでにない つながりを 感じてる。

文雄の志が 僕を動かしていると言ってもいい。

距離が離れることで これまで以上に強く 深く心が通い合うことがあるんだよ。

僕たちだって そうなれる。

心配するな。 離れても また必ず一緒になれる。

ならなきゃいけない。

僕たちが アメリカで 再び出会うことによって➡

やっと全ての証拠がそろうんだ。

志を果たすことと 僕たちの再会は 全く同じことだ。

どちらも やり遂げよう。

はい。

よし。 じゃあ 早速 明日から動こう。

まずは 貴金属の購入だ。

何がいい?

何と言われても…。

派手な買い物をカムフラージュするために 何かの記念日でも装うか。

無理を言って 野崎先生に借り受けた。

なかなかのものだろう。 あ~ 何だか夢みたい。

あ~ 気持ちいい。

気を付けろよ。 (笑い声)

あ~…。

どうかしら? ああ 似合うよ。

いいかげんに決めよう。 いくらだ?

200円にしときます。 ええ旦那様ですなあ。

最近は 結婚記念日いうても なかなかなあ…。

あら そちらは? これですか?

本真珠です。 こちらも きっと お似合いですよ。

わ~ どうしよう。

どちらもにすればいい。 うわ~。

それは 手首に巻けば 数珠代わりに使えるだろう。 おお。

じゃあ 400円。 あっ まいど。

う~ん…。

いかがですか? アメリカ製は。

海軍の要請で 防水仕様になっております。

まあ 海に入る予定はないけれどね。 悪くない。

これも 試していい? どうぞ どうぞ。

うん。

あ~ スイス製か… いいねえ。

君も選べよ。 女性ものある? はいはい。

フフ 腕に時計だなんて 職業婦人みたい。 アハハハ。

よし。 じゃあ…➡

全部くれ。 全部?

ハハハ… ありがとうございます。 ヘヘヘヘ…。

ほら これも。 それは 持っていけないぞ。

売っちゃいましょ 質屋に。 少し愉快でしょ?

フィルムを買い戻す足しにでも しましょうよ。 おお… それはいい。

どうしました? さっき車を降りた時に見かけた男が➡

また いた。 えっ。 君は見るな。

つけられているんですね。 分からない。

二手に分かれましょう。

あなたは 質屋へ。 私は しばらく ここで➡

あなたを尾行する者がいないかどうか 見張ります。

よし。 誰もいないと分かれば➡

悪いが君は タクシーで帰ってくれ。 はい。

万歳! (一同)万歳! 万歳! 万歳! 万歳!➡

万歳! 万歳! 万歳! 万歳! 万歳! 万歳! 万歳! 万歳!➡

万歳! 万歳! 万歳!

優作さん! おい 何だ。

ああ よかった。 先に帰らなかったのか?

質屋の外を見張ってたんです。

誰も怪しい人はいませんでした。

でも… ちょっと目を離した隙に 優作さん さっさと一人で…。

ああ もう…。 ハハ。

そんなに おかしいか。 アハハハハ。 ばかばかしいと思うか。

だが どれだけ用心しても し過ぎということはない…。

ここに いてくれ。

どうした。 気分が悪いか?

いいえ。

うれしいんです。

やっと あなたと一緒に 生きているという気がして。

質屋の外で 今 私が あなたの目に なってると思ったら もう…➡

うれしくって たまらなくなったんです。

聡子。

君は スパイの妻なんかじゃない。

だから 隠れて生きる必要はない。

僕たちのように考える人間は どこにでもいる。

味方は きっと見つかる。

奥様。 何?

どこか… 遠くへ行かれるんですか?

ううん ちょっとした旅行よ。 2週間ほど。

いつ帰ってこられてもええように 準備しときます。

気にせず行ってきて下さい。

2週間でも 3週間でも…➡

この戦争が 終わるまででも…。

ありがとう。

よし。 やっぱり 私も駅まで。

駄目だ。 君が駅に来ても 僕が港に行ってもいけない。

全て予定どおりに。 はい…。

いいか サミュエルという 船長に頼んであるけれども➡

実際は ボブという大男がやってくれる。

体の人一倍 大きな男が 船のそばにいるから すぐ分かる。

次は いつ会えます? すぐにだ。 心配しなくていい。

きっと2週間後に。

ああ。 きっと。

♬~

留守を頼む。 急ですまない。 いえいえ。

お二人とも ご旅行 お楽しみ下さい。

ありがとう 金村。

お気を付けて。

ありがとう 駒子。

(2人)行ってらっしゃいませ。

♬~

僕は ここで降りる。

第三埠頭にやってくれ。 はい。

(ボブ)サトコ?

ボブ?

(英語で)

(箱をたたく音) はっ!

(汽笛)

(汽笛)

必ず船内にいるはずだ くまなく捜せ!

(一同)はい!

(英語での やり取り)

(戸が開く音)

♬~

異常なし。 異常なし。

(英語で)

♬~

福原聡子。 機密漏洩 国家反逆 外患陰謀➡

あなたに かけられた嫌疑は 立証されれば どれも死刑です。

ただ 我々も あなた一人で これを行おうとしたとは思っていない。

福原優作は どこです?

あれこそ 本物の売国奴だ。

あの男の居場所を白状すれば➡

あなたの刑は ずっと軽くなる はずでしょう。 知りません。

ふむ。

一つ伺ってもいいですか?

どうして あの貨物船のことが 分かったんですか?

通報があった。 通報?

匿名で手紙が届いたんです。

神戸から サンフランシスコに向かう 船の中に➡

密航者が乗っていると。

最初 我々は それこそ 福原優作だと予想しました。

まさか あなただとは。

私にも 大望があります。 もう子どもではありません。

関東軍を告発することですか? ええ。

国家反逆者が ねつ造した文章を どうして あなたは信じるんです。

あのフィルムを見れば分かります。 なるほど。

あなたの大望が どんなものなのか これを見て 判断しましょう。

泰治さん。 あなたは もともと 気立ての優しい方だった。

一緒に山登りもしたし➡

この間は 一緒に ウイスキーも飲みましたよね…。

あなたの本質にあるのは 優しさです!

私は それを知っています。

その あなたが こんなにすばらしい力を手にされた。

時代があなたを変えたと おっしゃるなら あなたの方が➡

その時代を変えることだって できたんじゃないんですか?

はっ!

お前も売国奴だ。

万死に値する。

お待たせしました。

準備できました。 よし 見よう。

ご覧下さい。

これが かの地で行われている所業です。

(フィルムが回る音)

♬~

(ざわめき)

♬~

(ざわめき)

何だ これは。

(泰治)あなたは どうして こんなものを 海外に持ち出そうとしたんですか?

フフ…。

♬~

フフフ…。

アハハハハハハ!

お見事!

♬~

東京が火の海や。

東京だけやないで。

名古屋 大阪… そのうち神戸もやられるわ。

男は みんな 死んでもうた。

女だけで どうにもならん。

これで 日本も終わりやな。

あんた 何涼しい顔してんねん。

何とか言うてみいや! やめとき。

この人 一番おかしなってんの ここが。

(戸が開く音)

284番。 はい。

面会や。

あら。

(野崎)ご無沙汰しておりま~す! 野崎先生 こんなところで何を?

いやね…➡

君ね 外で待っててくれる? はい。

まあ 掛けましょう。

いやねえ 聡子さんの担当が 帝大の同期で➡

先日 たまたま あなたの入院を知りました。

それで 今日は 無理を言って。

まさか またお会いできるなんて。 うん。

いや いろいろと大変でしたね。

お元気ですか? …と聞くのも変か。

いえ 聞いて下さい。 元気です。

うん 確かに お元気そうだ。

薬さえ のまされなければ 頭は はっきりしています。

そうですか。

先生 外の世界のことを教えて下さい。

ここでは 検閲済みの新聞しか 読めないんです。

外も 大して変わりません。

おんなじようなもんです。 福原のことは…。

ん~…。

何かご存じなんですか?

インドのボンベイで見かけたという 知人がおりました。

ボンベイ? ええ。

そのあと ボンベイを出て➡

ロスアンゼルスへ向かった アメリカの客船が➡

日本の潜水艦によって 撃沈されたという情報も聞いています。

もっとも 今 信用できる情報など 何にもありません。

だ… 大丈夫ですか? ええ。

それだけですか?

それだけです。

分かりました。

長い間 ご苦労さまでした。

聡子さんが ここから出られるように なんとか手配してみましょう。

あら どうして?

あなたが こんなところにいるのを 見るのは忍びない。

拙宅でよければ しばらくお世話します。

ありがとうございます。

でも それには及びません。 ほう。

いいのです。

何だか ひどく納得しているのです。

納得というと?

先生だから 申し上げますが➡

私は 一切 狂ってはおりません。

はい。

ただ それが つまり➡

私が狂っているということなんです➡

きっと この国では。

(寝息)

(空襲警報)

(ざわめき)

空襲や! はよ 逃げ!

早く! 早く!

(空襲警報)

(爆撃音)

これで日本は負ける。

戦争も終わる。

お見事です。

≪(悲鳴)

≪(悲鳴)

はあ… はあ… はあ…。

アハハハハハハ…。

(泣き声)

♬~

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