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Original subtitles

(真鍋沙織)拙者 親方と申すは お立ち会いのうちに…。

(探偵)〈ちくしょう キラキラしてやがる〉

相州小田原一色町を お過ぎなされて…。

〈夢とか目標とかを持って 頑張ってる 若い奴らが→

俺は苦手だ〉

(沙織)円斎と名乗りまする。

元朝より大晦日まで お手に入れまする この薬は…。

〈自分が苦手なものを こうして→

見張ってなきゃいけない 羽目になったのは→

こういうわけだ〉

(冴島響子)真鍋祥子さん。 真鍋ホールディングスの社長の奥様よ。

どうも。

(真鍋祥子)あの 実は 娘を捜してほしいんです。

娘さんを? はい この子なんですけど…。

行方がわからないんですか?

お恥ずかしい話ですが 家出したんです。

高校の頃から 演劇にかぶれておりまして→

そういう事は 趣味にしておきなさいと→

言っておりましたんですが→

大学で 悪いお友達に 感化されてしまったらしくて…。

ひと月前の事です。 勤めを辞めて→

芝居に専念したいなどと 言い出しまして…。

(祥子)沙織! やめなさい!

(沙織)もう! お母さんにはわからない!

お金とか 世間体とかしか 目に入らない人には。

現実を もっと ちゃんと見なさいよ!

女優になんて なれると思ってるの!?

現実を見るって何? 面白くもない人生を送る事?

お母さんみたいに 金と地位だけはある男と結婚して→

籠の鳥みたいに…。

旦那が浮気しても じっと我慢して…。

沙織…。

娘が出て行こうって時にも 自分は顔も見せない。

みんな お母さんに押しつけて…。

お母さんも あんな人と 暮らすなんて大変ね。

私は嫌。

それっきり 携帯電話にも出ず→

お友達のところにも 行っていないようですし→

どこにいるのか さっぱり…。

女優になりたいと言って 家出したわけですよね?

だとすると どこかで→

女優の活動を してるんでしょうか?

多分 そうじゃないかと。

うちの事務所は 真鍋さんの会社の 顧問弁護士をしてるの。

その関係で相談を受けたの。

お願いです。 沙織を捜してください。

成人した娘さんが やりたい事をやると言って→

出て行ったんですよね?

やらしてあげたら いいんじゃない…!

大事な娘なんです。

そのうち それなりの相手を見つけて→

結婚させるつもりです。

それまでに 傷でもついたら大変です。

ああ それは大変ですね…。

それに 何か 事件に巻き込まれたりしたら…。

演劇をやるような人なんて→

どうせ ろくな人たちじゃ ないんでしょう?

変な人たちの仲間に 入っていないかと心配で…!

ああ それは心配ですね…。

とにかく ご夫婦は 沙織さんが無事である事→

どこにいるかを知りたいと おっしゃってるの。

親御さんが そう思う事は 無理もない事でしょ?

まあ… それもそうですよね。

怒ってるのか?

乗り気じゃないの?

成人した娘が 何をしようが自由じゃねえか。

真鍋さんは資産家よ。

ギャラがいいのか。 嫌なら 他の人に…。

いやいや やらないとは言ってないよ。

(ため息)

あの女が 夢によく出てくるんだ。

♬~

仕事でもして忘れるか。

そうして。

ああ…。

あのー…。

あっ あの… ちょっと悪いんだけどさ。

ねえ この子 見た事ない?

ない?

〈というわけで 俺は キラキラした若者たちの中に→

入っていく羽目になった〉

この子 見た事ないかな?

ちょっと来て。 早く 早く 早く…。

〈一刻も早く 真鍋沙織を見つけて→

ここから逃げ出したかった〉

ああ…!

いや~ わかんないっすね。

角度変えれば… ほら。 いや わかんないっす。

駄目か。 オッケー わかった。 ありがとうね どうも。

あれ なんかまぶしいな…。 うわっ やっぱり!

(阿南幸一)探偵じゃないか! 何してんだよ!

人捜しですよ。 仕事。

こっちも仕事だ。 紛らわしい… 帰れ!

ちょっと待って。 どんな仕事ですか?

お前に関係ある? はいはい。

すいません 女優をやってる 若い女が殺されましてね→

その事で ちょっと…。 ちょっと! ねえ!

何? その若い女って。 名前は?

なんだよ 帰ったんじゃないのかよ!

教えてくださいよ~。

(阿南) ホテルにカップルが入ったが→

男だけが先に帰った。

そのあとになって従業員が入ると 女が死んでいた。 絞殺だ。

持ち物から 劇団にいた 女優だって事がわかった。

しかし その劇団がいい加減でな 本名を誰も知らないんだよ。

そんな事があるんですか?

あるから 俺たちが こうして聞き込んでるんだよ!

その子 家出してきた子らしくてな。

え? (棟方)家に連れ戻されるのが嫌で→

本名を隠してたそうだ。 ええ?

それ まさか この子じゃないでしょうか?

♬~

違う。

この主演の子だ。

ホッ…。

仕事がなくならなくて よかったな。

ハハ…。 (阿南)あっちにも聞いてみよう。

(ため息)

あれ?

♬~

ラッキー。

♬~

〈匿名探偵〉

〈心優しきトラブルシューター〉

〈ハードボイルドを 身にまとった男の→

本当の名を知る者は いない〉

≪(発声練習の声)

(発声練習の声)

本日から 我が社に 新しい社内規定が施行される。

≫何これ?

(柴田和馬)お待たせしました。 取材ですか?

インフォレストネットという インターネットのメディアです。

私は 安藤ギョウホウ。

はあ…。

紹介しようかと思います。 注目の舞台ですよね?

そうですか。 よろしくお願いします。

まずは 稽古を見せてもらえますか?

もう ぜひ!

何 ボーッとしてんだ! 早く支度しろ!

すいません!

お構いなく。

すいません。 トロくって もう…。

どうして我が社に 社内恋愛禁止の通達が下ったか→

君たちにわかるか? わかりません 課長。

それはな 禁止にしたほうが→

むしろ社内恋愛が促進されると→

社長が考えたからなんだ。 (一同)えっ!?

これは むしろ 社内恋愛促進計画なんだよ!

(一同)おお~っ!

(山西直己)はーいはいはい! 駄目だ 駄目だ!

それじゃないんだよ! 「おお~」が違うんだよ!

音が違うんだよ 音が。 ええ?

これは 会社員の話だ。

お前ら 会社に勤めた事あるか?

ないだろ? じゃあ どうするんだ?

えっ? どうするんだ? 想像するんだ。

(山西)それが全てなんだ。

想像しろ 組織の人間の悲哀を。 ええ?

でも リアルに考えたら 「おお~」とか言うかな?

稽古中に しゃべってんじゃないよ!

すいません。 あの この課長は→

直接 社長と話せる 立場なんでしょうか?

それによって…。

先生に口答えするんじゃない! はい。

おい 伊藤! いい質問だ。 それが想像だ。

自分で考えてみろ!

おい ジン! はい。

お前も 想像力を もっともっと働かせろ。

おい! シーン変えよう。 28ページ 給湯室からやるぞ!

(一同)はい!

大槻 もっとみんなに言っとけ。

台本を もっとよく読み込んで もっと想像するように。

なっ? わかったな? ほら 早くしろ!

始めるぞ 早くしろ!

始めるぞ! よーい… はい!

課長ったら 私たち女子社員に 彼氏がいるかどうか→

こっそり調べてるみたいよ。

それってセクハラじゃない!

社内恋愛禁止法は セクハラ禁止法でもあるはずよ。

許せないわ! でも あなた→

彼氏いないからいいじゃない! ひどい! いるわよ。

5人いるわよ 5人。 5人よ 5人。 すごくない?

私1人なのに 5人の彼氏に対して 私1人的な?

5人なのに1人… ああ もう 体が1つじゃ足りないわよ!

(沙織)5人の私になりたいわよ。 分身したいわよ。

忍者になりたいわよ!

とりあえず 声を張ればいいんじゃない?

新藤きよみさん。 いや… 真鍋沙織さん。

誰? フッ…。

あなたのご両親に頼まれた者です。

稽古中なので…。 逃げたりしないから。

♬~

演劇ってものは 空間の中に存在している。

空間こそが演劇の本質なんだよ。 空間は演劇の本質。

じゃあ 映画は? 映画はなんだ?

時間だよ! 映画の本質は時間なんだ!

(山西)この違いを よく覚えとけ。

見てくれがいいとか 悪いとか…。

沙織。

はい。

芝居がうまいとか まずいとか そんな事は本質じゃない。

すいません せっかく 取材に来て頂いてるのに→

役者たちが 先生を なかなか離さなくて…。

いえ いいんです。

それより あの人は そんなに すごい演出家なんですか?

もちろんですよ。 この劇団では神ですね。

(山西)それが1つの空間になる。 だから…。

すいません 取材の…。 バカ野郎 秋本!

俺が芝居の話してるのに なんだ!

(山西)空間… 劇場が大事なんだ。

あの人 どうも すごい人らしいね。

大きい劇場 小さい劇場…。

(山西)目に見えない空気を 感じ取って…!

(山西)感じ取るんだよ! そして それを表現するんだ!

じゃあ。 (一同)お疲れさまでした!

はい 入って 入って…。

はい はい 入って 入って…。

ちょっと待ってて。 バッグ取ってくるから。

あち~…。 あー かゆい…!

芝居 好きなんだな。

うん。

だけどさ 家出っていうのは どうかね?

頼んだのは父親? 母親?

お母さん。 やっぱり。

心配してたぞ お母さん。

悪いけど 帰るつもりはないから。

俺の役目は 君の居所を 突き止めるところまでだ。

帰るように説得するようには 言われていない。

そう…。

けどさ…。

まあ これ 一人のおじさんとして 言うんだけどな…。

家に帰らないまでもだ 元気でやってる事ぐらい→

親に伝えてやっても いいんじゃないか?

そうだけど…。

そんな事したら 無理やり 連れて帰られるのがオチだから。

うーん そうか…。

お願い! え?

今度の公演が終わるまで→

私の居場所 わからない事にしてくれない?

(ため息)

じゃあ 公演終わったら 帰るのか?

わかんない。

それじゃあ オーケーとは言えないな。

でも やっとここまで来て…。

そんなに 今度の公演は いいものになりそうなのか?

さっきの稽古 見てたんでしょ? わからないの?

すいませんね 素人で。

山西先生の渾身の一作よ。

♬~

(タケシ)サービス。

ええ? おいおい 無理して飲むな。

いや 大人の女を 演じられるようにならないと。

酒飲んで出来るなら 誰も苦労しない。

そっか。 うん。

(2人の笑い声)

でも ありがとう。 ん?

頭ごなしに 帰れって言うのかと思ったら→

親身になってくれて。

普通だよ。 ううん。

うちの親より ちゃんと 私の事 考えてくれてる。

そうか? うん。

父親なんか 私の事→

自分の持ち物くらいにしか 思ってないの。

持ち物だから 話をしようともしない。

みんな母親に押しつけて…。

私の夢の事なんか 想像した事ないのよ。

夢?

大きな舞台で 主役をやるのが夢なの。

スポットを浴びて→

お客さん みんなが 私のセリフを→

息を詰めて聞き入るの。

(ため息)

キラキラしてんな…。

ん? いや なんでもない。

(タケシ)へい お待ち! (男性)うまそう。

(タケシ) いつもありがとうございます。

(タケシ)夢か~…。 なんだ 今かよ?

いいじゃないですか。 俺の夢はね→

このお店を あっちの 人通りの多いほうに→

進出させる事かな。

お前の夢は たったの10メートルか。

10メートルでも大変なんですよ。

わかってるよ。 冗談だって。

夢 いいね。

山西先生は 一流の人だから→

ついていけば きっと引き上げてくれる。

そうしたら 親も納得すると思うの。

プロデューサーの柴田さんも 熱心な人だし。

柴田? うん。

ああ… あの男か。

柴田さんが 何か? ああ いやいや…。

なあ それより 美香っていう子が殺されたろ?

ああ うん… かわいそうに。

よく知ってたのか? ううん それほどでも。

うん…。

食おう。

ちょっと なんなのよ?

すまん。

沙織さんの居場所がわかったのに 教えられない?

意味わかんない! 約束したんだよ。

公演が終わるまでは 待ってやるって。

プロとは思えないわ。

あとひと月 待ってやるぐらい いいだろ。

(マスター) かわいい子に言われたら断れない。

当然だ。

そんなんじゃねえよ。

そんなんじゃないなら 何よ?

あの子は必死なんだよ。

何も手伝えないまでも せめて 邪魔はしないでいてやりてえ。

それだけだ。 甘い事言って。

そのうち この子みたいになっちゃうわよ。

身元 わかったのか…。

ひと月待ってて こんな事になったら→

どう責任取るつもり?

二人芝居で 1人10役やったの。

1人で10役ですか? って事は 20人…。

(沙織)すごい!

≫そうそう…。 ≪見ました。

≪すごかったです。

♬~

はい。

ありがとうございます! はい!

ヒロイン役が決まりました!

(一同)えっ!? マジで?

(沙織)はい。 (一同)おお~っ!

(劇団員)おめでとう! (沙織)ありがとうございます。

(沙織)あっ ちょっとすいません。 すいません…。

(携帯電話)

はい。 (沙織)「私」

どうかした?

配役に変更があって→

私 ヒロイン役になったの。

えっ!?

山西先生が 私のほうがいいって 言ってくれたみたい。

本当かよ!? よかったじゃねえか お前!

ありがとう。

親に言わないでくれたのね。

ああ…。

このチャンス 絶対モノにしてみせる。

頑張るね。

ああ 頑張れよ。

うん。

あっ すいません ごめんなさい。

(劇団員)看板女優 帰ってきたよ。 (沙織)やめてください!

♬~

(阿南)女優をやってる 若い女が殺されましてね。

甘い事言って。 そのうち この子みたいになっちゃうわよ。

(沙織)私 ヒロイン役になったの。

(祥子)何か 事件に巻き込まれたりしたら…。

どういう事ですか?

私なんです。 はあ?

ううん 私なの。 えっ?

あの時 バーで…。

(響子の声)あなたが トイレに行ってる隙に…。

♬~

お母様から 一日も早く 居場所を知りたいと言われて→

放っておけなかったの! だとしてもだな…。

私が無理を言ったんです。

主人は 仕事の事で頭がいっぱいで→

娘の事は みんな私に押しつけてます。

お前が育て方を間違えるから→

芝居みたいな くだらないものに のめり込むんだって。

でも 私は 本当は→

そんなにやりたいんだったら やらせてあげてもいいって…。

でも いつまでも→

居場所がわからないままで いいわけもないですし→

だから 今回のお芝居だけでも…。

あの… まさか 彼女に役がついたのは…。

はい それは…。

♬~

柴田さん! おお… 元気か?

(祥子の声)私 プロデューサーの 柴田さんという方を→

お訪ねしたんです。

すみません 柴田です。 はじめまして 真鍋です。

お忙しいところ すみません。

沙織の事を よろしく お願いしようと思いまして…。

わかりました。 娘さんの事は責任を持ちましょう。

ありがとうございます。

なんなら 山西先生に話をして→

いい役につけさせる事も 出来ない事はないです。

本当ですか? お願いします。

ただ それには…→

多少の費用が…。

お金ですか?

金を要求? いくら払ったんですか?

200万ほど。

親心よ。

しかし 沙織さんは 自分の力で 役を取ったと思ってます。

彼女の夢を 踏みにじる事になりませんか?

夢なんて…。

どうせ 一流の女優になんて なれっこないですし…。

どうしてですか? そんな議論しても仕方ない。

ったく…。

それにしても→

あの柴田って野郎 そういう奴だったのか…。

♬~

〈若い奴の夢を食い物にする…〉

〈同じおじさんとして 許せない奴だ〉

(柴田)はい おはよう!

(柴田)はい おはよう! (一同)おはようございます!

(柴田)おはよう! おはようございます!

(青島一平)うわあ! いいわ! この子 かわいいわ~…。

かわいい…!

ああ もう行く! 絶対行く。

行かなきゃ… 行かない理由が見つからない…。

おい…。

あいつ誰だ?

♬~

かわいい フフフ…。

一平! 一平!

言われたとおり やりましたよ。 どうかな 行くかな?

俺に聞いても わかりませんよ。

なんだよ お前。 冷てえな おい…。

フフフフフ…。

笑ってるよ。 うん。

行くぞ!

(柴田)フフフフフ…。

(相田香織)どうぞ。

(柴田)ああ… おお~…。

お客様 胃腸が弱ってますね。 ああ~…。

使えない奴ばっかりでさ 苦労してんの。

でも儲けてらっしゃるんでしょ? ハハ… なんでわかんの?

おお…。 靴で。

(柴田)ああ…。

あんまりキンキラにすんのも あれだけどさ→

靴はね へへ…。

でも あの靴 フィオレットですよね?

6万はするんじゃありません?

まあ そんなとこ。 フフフフ…。

おお~…。 どういう お仕事なんですか?

う~ん… まあ 夢を売る仕事かな。

(柴田)フフフフ…。 (香織)夢?

(香織)素敵なお仕事ですね。 (柴田)エヘヘヘヘ…。

でも 夢なんてお金になるんですか?

さあ どうかな~ へへ…。

どうなんですか?

どんなものでも 頭の使いよう次第では→

金になるビジネスになるんだよ。

(柴田) 一度 システムを作っちまえば→

自動的に金が入ってくる システムにね。

ヘヘヘヘ…。

(柴田)おお~…。

(香織)ありがとうございました。

またね。 ヘヘヘヘ…。

あれ以上 詳しい事は 聞き出せませんでした。

いや 十分だよ。

ありがとうございます。

悪いな また来る。

♬~

大丈夫 大丈夫。 任しとけば。

ハハハハハ… そうそうそう。

(柴田)で どうよ? 最近は。 ええ?

♬~

(柴田)…じゃねえよ。 ハハハハ…。

やめとけよ。

(松本)放せよ! やめとけ。

え? 俺? いい店見つけたんだ。 アハハハ…。

(松本)すみません。 ありがとうございました。

危うく殺人犯になるとこでした。

どうして あいつ刺そうとしたの?

美香の敵です。

美香?

ああ… あの殺された子か。

あんた あの子の…。

俺も あの劇団にいたんです。

付き合ってました。

劇団の男女関係ってのは 派手らしいな。

あっちこっち兄弟ばっかりで。 ええ?

俺と美香は そんなんじゃない!

真面目に付き合ってたんです。

ああ 悪い。 そりゃ失礼。

俺は 稽古中の事故で足を痛めて→

役者は諦めざるを得なくなって→

あの居酒屋で働き始めたんです。

ああ… そうだったんだ。

働いた金は ほとんど 美香に渡してました。

美香が 柴田に払う金が必要だったんで。

柴田に払う金?

あいつのやり口は こうです。

(松本の声)まず 演劇のワークショップを開く。

あ… ワークショップってなんだ?

(松本の声)まあ 演劇の講習会 兼→

オーディションみたいなものです。

集まった若い連中に いろいろやらせてみて→

よさそうな奴を 劇団にスカウトするんです。

それで 見込みのありそうな奴を 選ぶのか?

そういう体裁をとりながら→

芝居に出してやるからと言って 金を出させるんです。

え?

その上 公演の時には チケットのノルマを押し付ける。

柴田に払う金ってのは それか?

役者たちは みんな貧乏です。

でも 芝居が大好きで→

芝居に出られるなら つい 金を出してしまうんです。

ちょっと待てよ。

芝居ってのは 出て 金をもらうもんじゃねえのか?

そんなのは 一部の一流の役者とか 人気劇団の話ですよ。

要するに あの劇団のお客は 芝居を見にくる観客じゃない。

芝居に出る若者たちなんです。

そういう事か…。

それで 柴田は そんなやり方で儲かるのか?

うまくやれば 1公演で100万は利益が出ます。

劇団をいくつか持って 年に10回 公演を打つだけで→

1000万です。

なるほど。

あいつが言うシステムってのは そういう事なんだな。

で 演出家の山西は その事知ってんのか?

いや あいつはただのお飾りです。

(松本の声)昔は 鬼才とか 呼ばれてた事もあったようですが→

今では すっかり才能も枯れて→

ただ昔の栄光を笠に着て 威張ってるだけのオヤジです。

要するに 若者たちを引き付けておく→

人寄せパンダみたいなもんです。

山西は 柴田に利用されてる 人のいい芸術家って事か。

とんでもない! 山西は山西でひどい奴です。

どういう事だよ?

女です。 あの男は女狂いで…。

(松本の声) 女優を目指してる女の子たちは→

奴の事を 先生 先生と 勘違いして寄ってくる。

なまじ女が寄ってくるもんだから 食いまくりです。

(山西)おい 俺を見ろ。

ちゃんと見ろ。

その顔だよ。

その顔が女優の顔なんだ。

美香も…。

え?

俺 見てしまったんです。

(松本の声)美香が… あの男に…。

(矢部美香)んん…。 ああ…。

(山西)んん…。

くそっ…!

許せるのか そんな事! 許せませんよ!

でも… 美香は役が欲しいから…。

その気持ちは 痛いほどわかるから…。

美香は山西に抱かれて…→

柴田には金を取られ…。

挙句の果てに→

金欲しさに 知らない男に誘われるままに→

ホテルに行って あんな事に…。

(すすり泣き)

俺… 柴田をやって 山西もやるつもりでした。

やめとけ!

お前がそんな事して 刑務所入って それで美香さんが喜ぶか!?

じゃあ どうしろって言うんですか!?

俺は警察じゃねえしよ…。

そもそも あいつらがやってる事は 犯罪じゃねえしな…。

じゃあ… あいつら野放しでいいんですか?

ああ…。

(すすり泣き)

(山西) 社内恋愛は禁止だって言ったろ?

(沙織)社内恋愛禁止法が何よ。

私はもう あなたの事を 好きになってしまったの。

会社の規則なんて関係ない。

駄目だな。

恋する女の気持ちが もう 全然伝わってこない。

さっきは 気持ちを淡々した中に 表現しろと言われましたので…。

淡々と平板は違うだろ。

沙織 お前は→

相手役を見つめるんじゃ ないんだよ。

自分の心の中を見つめるんだ。

んん… よし!

場所を変えて特訓するぞ。 はい。

今からホテルをとる。

え…。

嫌ならいいんだ。

わかりました。 お願いします。

用意しろ。 荷物取ってきます。

どうですか? あの子は。

芝居は まだまだだが 俺が鍛えてみせる。

そうですか… 先生の好きなタイプでしょ?

ん…?

推薦してよかった! うん。

(山西)おーい! お前も一緒に シャワー浴びないか?

(携帯電話)

はい。

ま 俺がどうこう言う事でも ないんだけどさ→

そんな事しなきゃ 一流の女優に なれないと思ってるなら→

そりゃあ 大間違いだぞ?

「そんな事して 演出家に気に入られようなんて…」

女優としての自分に 自信がないって事だな?

今 上のバーにいる。 よかったら来いよ。

ほっといて。

♬~

いらっしゃいませ。

(沙織)ギムレット。 かしこまりました。

フフ…。

(ため息)

女優として自信がないんだろ? なんて言われたら→

ムカつくんですけど。

フフフフ…。

(携帯電話)

どうした?

柴田が 沙織さんのお母さんに また金を要求してきたそうよ。

ええ?

演出家の山西が 配役がまだ決まってないから…。

「沙織さんの役を 確実にするためには→

金が必要なんだって」

(舌打ち)

あの野郎…。

♬~

(ため息) (沙織)私…→

やっぱり自信ないのかも。

ええ?

せっかく役をつかめたって いつ なくなるかわからない。

チャンスをモノにするためには…。

夢のためには 仕方ないっていうのか?

わからない。

〈全てはインチキだと 教えてやりたかった〉

〈しかし それを言えば この子は…〉

(せき払い)

(長山逸朗)駄目…!

あ… すいません。 すいません。

どうしたんだよ? なんだかイライラしてるな。

そうすか? ひげ剃りにくいのよ。

集中してもらわねえと。

(舌打ち) すいません。

はあ… 何があったの?

(ため息)

真実を話せば 相手を絶対傷つける…。

ああ… あるね そういう事。

長山さんだったら どうしますか?

長さんでいいよ。

あ… 長さん。

そうだな…。

誰かに 代わりに言ってもらっちゃうかな。

え?

なんだ それ。

いや 結構いい方法なんだよ。

事情を知らない奴に頼むんだよ。

わかってねえから 言っても心は痛まないんだよ。

うん。 いいのかよ そんな事で…。

どうやったって 誰か傷つくんなら→

一番ましな方法を 選ぶしかねえだろ。

♬~

あんまり わかってないから 心が痛まないってか…。

確かに そうかもな…。

♬~

(山西)お芝居ってものは 間が大事なんだよ。

行間。 間で何を表現するか。

言葉そのものが表現出来る事には 限りがある。

しかし 間は無限の可能性がある。

わかるか? (一同)はい!

おい 大木。 あれ やっとけ。

はい! 了解っす。 集合! はい!

さっきはどうした?

すみません。

お前はあの役でいいか 俺は まだ迷っている。

ホテルは まだとってある。

チャンスは無駄にするな。

よーし… それじゃあ やってくれ。

はーい わかりました。

もう いちいちこんな事で 僕の事 使わないでくださいよ。

いいじゃねえか お前。

餅は餅屋っていうかさ 慣れてる人間のほうがいいだろ。

本当は自分がやりたくないから→

僕に押し付けてるんじゃ ないですか?

人の気持ちを 見透かすんじゃない!

なんだ… 図星か。

「うるさい!」

いきますよ?

よし… いけ!

♬~

く~っ! まっずい!

(メールの着信音)

♬~

ああ~…。

ハハ… 先生 何か?

「何か?」じゃないよ!

これはなんだ!?

ああ? フッ…。

(メールの着信音)

(メールの着信音)

「プロデューサーの柴田は 役を与えると称して→

俳優の親から金を受け取って 私腹を肥やしている」

おい! なんとか言ってみろ!

♬~

これって私の事ですか?

どうなんですか!?

い… いや…。

(山西)お前… やけに この子の事プッシュしたな?

な? おい!

(山西)お前 この子の両親から 金 受け取ってたのかよ!?

(山西)どうなんだよ!? (柴田)やめろよ!

ハア… ハハ…。

それじゃ 言いますよ。

あんたは もう終わってた。

(柴田)それを俺が拾って→

お山の大将に 仕立ててやったんじゃないですか。

なんだと?

俺たちにとって こいつらは ただの駒だ!

俺にとっちゃ 金儲けのね。

俺たちだと!? お前と一緒にするな!

俺は芝居を…。

そう 芝居!

才能が枯れても 芝居を続けられて→

若い女も好き放題 抱けるんだ!

俺に感謝してほしいくらいですよ。

なんだと! なんだよ!

♬~

なんだ この! うわ~…!

♬~

きゃー! 何すんの!

きゃー!

ああ もう! 何やってんすか!

(一同)ああ~!

♬~

フッ…。

ククク…。

〈こうして芝居は中止となり 劇団は解散〉

〈美香を殺した男が逮捕された〉

〈やはり 行きずりの男の仕業だった〉

あなたがやったんでしょ?

さあな。

私を家に帰らせるため?

私の夢を潰して楽しい?

ふーん…。

これぐらいで潰れる程度の 夢なのか。

♬~

(携帯電話)

はい。 「大変!」

どうした?

「沙織さんが また いなくなったのよ」

ええ?

「油断したわ。 こんな事があったから…」

さすがに懲りて 家に戻ると思ってたら…。

「ねえ ちょっと聞いてんの!?」

お前も いつでも 好きなとこに行っていいんだぞ?

(鳴き声)

♬~

〈報告書…〉

〈真鍋沙織の行方は 引き続き捜索中〉

〈しかし 手掛かりはなく 発見は困難と思われる〉

♬~

〈あのキラキラは やっぱり苦手だ〉

〈どこか遠くの→

俺には見えないところで やっててくれ〉

料理評論家の片桐文乃。 脅迫めいた手紙が→

複数送られてきて…。 犯人に心当たりは?

(里美 麗)それは…。

誰かから恨みを買っているような 様子はないか…。

はい そこまでよ。 依頼人がいいって言ったんだから→

これ以上 余計な事しないで! 何やってんだ!

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