All language subtitles for 神様のカルテ#04

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Original subtitles

<グランドオープンまでに 間に合うのか?>

<気になる続きは カミングスーン!>

グランドオープンへ向けて どんなね ナイスな料理が完成するのか➡

これ 続編を…。 これ でも見られるのね 今後。

そうだね 今後ちょっと 絶対見たいよね。

それでは 来週も夜6時25分から 空港でお会いいたしましょう。

せ~の…。 (2人)『YOUは何しに日本へ?』。

君は 医局には 馴染まない男らしい。

<福士蒼汰主演 『神様のカルテ』 今夜は いよいよ最終回>

大学医局の改革だ。

<舞台が大学病院に変わり 新たな仲間たちと➡

大きな試練に立ち向かう>

家族が一緒にいる それだけのことが➡

貴重なことだったなんて…。

<更に 難病患者の治療に挑む一止>

私 絶対勝ちますよ。 <感動の↴

<私 栗原一止は 信州は 信濃大学 医学部附属病院➡

第四内科 第三班に属する 10年目の消化器内科医である>

栗原先生 ヘリから救急部に 二報入りました。

急患は 66歳 男性。

<新発田大里 4年目の消化器内科医。

日本茶が好物ゆえ 利休とあだ名している>

利休 北条先生へ連絡は?

北条先生 やっぱり つかまりません。

<臨床の教授陣の前で 病理学希望だと自己紹介したとか。

以来 お嬢と呼ばれている。

10年目の私 栗原 4年目の利休➡

研修医のお嬢。 ここにはいないが➡

鬼切りと異名を持つ 北条先生を班長とする➡

4人が 第四内科 第三班の 概要である>

<医者は山のようにいる。

私は 気楽に眺めていればよい…>

宇佐美先生 ご相談が。

< というものでもない>

もちろん 承知していますが…。

<気詰まりな仕事が 1つある。

大学の医学部に附属する病院 大学病院には➡

600床のベッドと 1, 000人を超える 医者がいる。

大学医学部 各科の 教授陣を頂点に➡

准教授 講師 助教 大学病院所属の医局員➡

大学院生 研修医 非常勤の医者たちが➡

巨大なピラミッドを形成し 私は 限りなく下っ端の➡

大学院生という身分なのだが➡

最先端医療を施す大学病院は➡

身分差 規則 慣例 建て前 理不尽 不条理 矛盾➡

そこに 権威という大屋根がのった 伏魔殿だ。

ちなみに 私の話しぶりが いささか古風なのは➡

学童期から敬愛する 夏目漱石先生の影響である。

ああ やっと着いた>

(ノック)

電話で回答したとおりだ。

消化器内科病棟に 現在 空きベッドはない。

しかし 吐血の急患が 現に ヘリで運ばれてきてるんです。

救急部のベッドは? 満床です。

救急部には先週 内科の患者のために➡

ベッドを3日も借りた恩があります。 なので 今回はなんとか。

栗原くんは ここに来て どれくらいになる?

えっ あ… 本庄病院から こちらに来て 4年目ですが。

ああ そうか。 君にはまだ パンの話をしてなかったかね。

宇佐美先生…。 ここに 10人の飢えて死にそうな➡

子どもがいる。 手に入るパンは1つだけだ。

君なら どうするかね?

さあ…。

< これは 宇佐美准教授の 十八番である。

耳にタコです などと 絶対に遮ってはならない。

ちなみに 宇佐美准教授のあだ名は パン屋である>

10人の子どもに 1つのパンを 10等分して与えるか➡

それでは 一人も助からない。

では いちばん弱っている子どもに すべてを与えるか。

それでは 残り9人の子どもが 助からない。

私なら 助からないと 判断した子どもには➡

パンを与えない。 余力のありそうな子どもにも➡

パンを与えない。 では 誰に与えるか。

私だったら そのパンによって➡

確実に今を生き延びられる 子どもだけを選んで与える。

そして… 次のパンが手に入るのを待つ。

なるほど。

ここは 本庄病院ではない。

特別なパンを持つ 特別な病院で あることを忘れないように。

以上だ。

しかし 吐血の患者が 現に今…。 (バイブ音)

私だ。 どうした? 利休。

また急患が?

CTで腎臓には病変は見られず 血液検査の…。

< この日 毎週木曜日の朝は 消化器内科と腎臓内科の➡

合同カンファレンスが行われる。

我が 第三班の北条班長は いずこに…>

いた。

<鬼切りとあだ名される↴

<鬼をも切るらしい刀の切れ味を 私は いまだ知らない。

むしろ アルコール依存症ではないかと 疑っている>

ずいぶんとまた 後ろの席に。

おはよ クリちゃん。

朝からヘリで吐血が来て 次は 急性胆管炎だって?

引きの栗原伝説は 大学でも健在だね。

今朝は どちらに いらっしゃったのですか?

あ~ 気持ち悪い。

ニューヨーク。 駅前の新しいキャバクラですか。

で ベッドは?

吐血のほうは どうにか確保しました。

しかし 胆管炎のベッドが どうしても…。

北条先生から 宇佐美先生に 話を通してもらえませんか?

う~ん… 9時半に 東病棟7階にベッドをとっておく。

(ため息)

何? あっ いや➡

患者に振り回されるのは かまいません しかし➡

ベッドの確保に振り回されるのは 非常に疲れます。

要は パン屋の御し方次第よ。

♬「君とは 年季が違うのよ~」 先生? 先生…。

先生 先生!

あ~ 気持ち悪い。

♬~

ただいま~。 ととちゃん ただいま。

こういうときは おかえりだ 小春。

おかえりなさい イチさん。

ただいま ハル。

小春 何して遊んでた?

<諸君 過日は心配をおかけした>

⦅ハル!

ハル! ハル どうした!? 大丈夫か!?

大丈夫です。

実は 赤ちゃんが…。

あ 赤ちゃん?

はい。 あ 赤ちゃんができたのか?⦆

<ハルはその後 山岳写真の仕事を すべてキャンセルし➡

出産に臨んだ。

そして今 私に天使を 抱かせてくれているのである>

おいしい! 小春。

おっ 金も時間も自由もない 大学院生が➡

日暮れ時に帰ってるとは 珍しいな 小春。

夕餉をとれば 当直アルバイトだ 男爵。

なんと 今宵もか。

大学院生に月給はない。

アルバイト勤務と当直で せいぜい稼がねば➡

授業料すら払えない。

アルバイトが命綱か。 うん。

そんな貴君に 相談がある。 ん?

大家さんの息子が画策する 御嶽荘取り壊しの件だ。

男爵 喫緊の課題ではあるが 今の私には重い話題だ。

いやいや いやいや しかしだな おい。

出来ましたよ。 男爵様もどうぞ ご一緒に。

榛名姫は 心配ではないのですか?

社会の底辺たる我々が その底辺からも➡

追い立てを食らう危機なのですぞ。

かかちゃ~ん! 小春。

明日の心配は 明日します。

ね? 小春。

そうだよな! そうだな。

よし 小春。 よし 小春 食べよう。

ごはん食べようか…。

<日々の勤務に当直アルバイト。

必然 実験のための検体作りは 日曜日となる。

大学院生である 私の本来の仕事は➡

学位取得のための実験と論文だ。 が しかし➡

検体作りにかかるには まず➡

おびただしい道具の洗浄と 消毒が必要だ>

< しかも これは 北条先生の分である。

先日の 急性胆管炎患者の ベッド確保のお礼のため➡

なかば強制的に 押し付けられている>

失礼します。 おお どうした? 利休。

実は 1週間前 誤嚥性肺炎で 僕が緊急入院させた➡

高齢の患者さんなんですが。 急変か?

いえ 肺炎治療と胃ろうの 造設も済み 経過は順調です。

ただ これ以上の入院は ベッドがないと。

パン屋です。 即刻 退院させなさい って 利休先生に。

宇佐美先生がおっしゃるには➡

そもそも胃ろうの患者が➡

大学病院に 入院していること自体おかしい。

余計な患者だと。

余計? そうです 余計です!

患者に 余計も何もないはずです!

違いますか? 栗原先生。 そのとおりだ。

まさか お前… そう パン屋に?

気がついたら 言い返してました。

今より もう少し言葉を 選ばなかったかもしれませんが。

選べ。

言葉選ぶ前に 言い返しちゃダメだって。

《意外と よく見ている》

僕は 間違っていますか?

お前の考えは正しい。

しかし 相手が宇佐美先生の場合➡

言い返した行為は 間違っている。

大学病院のベッドは 特別なパンだ。

パン屋を怒らせると 二度とパンをもらえないぞ。

栗原先生からだけは その言葉 聞きたくなかったです。

若者の理想を 優しく握りつぶしてあげるのが➡

俺たち先輩の仕事だ。

よく言ったよ クリちゃん。

北条先生 起きていたなら 何か言ってくれても…。

よう 一止。 ひさしぶり。

頼みがあるんだが。 断る。

お~い! このごろ 元気ないな。

よし 俺が とびっきりの 砂山ブレンド入れてやる。

(砂山)外科の患者なんだけど➡

二木美桜 29歳 女性。

安曇野の農家の主婦だ。

旦那さんと7歳の娘がいる。

ああ。 確定診断のために 私が内視鏡検査をした患者だ。

おととい 外科で 進行性膵癌だと確定した。

手術はできるのか?

大動脈周辺のリンパ節に 転移があった。

MRIで肝転移の疑いも出た。

診断は ステージ4。

切除は不可能だと結論して➡

うちの教授がICした。

二木さん夫婦に➡

あとは抗がん剤治療か 緩和ケアだけだが➡

どうするかって聞いた。

ステージ4の患者に 「どうするか」?

どう… するか。

長期の入院なら 転院先に紹介状は書きますので。

ここで 内視鏡をしてくださった先生に➡

診ていただきたいです。

第四内科の 栗原一止にですか?

はい。

栗原先生は 私の話を しっかり聞いてくれて➡

内視鏡の説明も丁寧でした。

栗原先生に診ていただきたいです。

29歳の進行性膵癌患者 ステージ4!?

外科の患者を なんで第四内科で 引き受けるんだよ!

これだけリスクの大きい症例を➡

合同カンファにも掛けずに 引き受けちまったのか? 三班は。

どうせ カンファに掛けたって➡

こんなふうに 文句言うでしょ 皆さんは。

三班班長 もっと大きな声で。 やだよ 目立つの苦手。

入院の長期化は目に見えている。

第四内科にベッドの余裕はない。

それが 医者のいうこと…。 ですよね~!

三班…。 三班班長!

ハハハハハハ。

お嬢さん 「ですよね」は どうでしょうね?

すみません 柿崎先生。

<第四内科 第一班班長 柿崎先生である>

29歳の進行性膵癌は 確かに 対応が大変です。

しかし 若い医局員には 貴重な経験になると思いますよ。

出た 菩薩のカッキー。 ありがたい説法だね~。

俺も柿崎先生に賛成だ。

<第四内科 第二班班長 安田先生である>

患者本人が第四内科希望なら 俺たちの面目躍如じゃねえか。

受けなきゃ恥ですぜ。 形勢逆転なるか~!?

柿崎先生は一班。 安田先生は二班の班長です。

当事者の三班班長は…。

休みじゃない? あなたです。

それに リスクの大きな症例を➡

第四内科で 引き受けて差し上げたら➡

外科も感謝してくださるでしょう。

<第四内科の長 水島教授である>

承知しました。

ベッドは 私が都合をつけよう。

ゴール! アハハ!

若いヤツには ホントに いい勉強よ。

大学病院で 20代の患者を みとるなんて経験 そうそう…。

みとると 決まったわけではありません!

あ…。

みとると決まったわけではない。

抗がん剤四剤併用の FOLFIRI-NOX。

現段階でできる 最強の化学療法です。

これなら完治ができるんですか?

断言はできません。

副作用は過酷ですが➡

膵癌診療ガイドラインでも 体力のある患者の 第一選択です。

それに耐えられれば いい方向に向かうかもしれません。

栗原先生にお会いするのは ホントは これが三度目です。

三度目? 9年前に本庄病院で。

心不全で運ばれた父を 先生がみとってくださいました。

あ… 私がお父上を。

9年前なら まだ研修医のころです。

どれほどの治療が施せたのか…。

いいえ。 その時も 「やまない雨はない。

明けない夜はない」と言って➡

私たち家族を 励ましてくださいました。

栗原先生 改めて よろしくお願いします。

こちらこそ よろしくお願いします。

栗原先生! 岡さんが トイレで大量下血です!

うわ~!

岡さんは ステロイド抵抗性の潰瘍性大腸炎で➡

紹介されてきたばかりだったな。

バイタルは? 血圧110 脈拍94。

意識レベル 落ちてません。 バイタルは正常だ。 ADAは?

今 投与していますが まだ改善は見られません。

まずは血液検査だ。 それと大腸カメラ。

内視鏡室を緊急で押さえて…。 (バイブ音)

パン屋のところに 顔を出してから行く。

栗原先生 1人にしないでください!

お嬢。 岡さんは お前が初めて担当する患者だな?

はい! 研修医には荷が重過ぎます!

腹に力を込めて 患者の前では 堂々としているのだ。

医者のうろたえが 患者にいちばんこたえる。

負けてはならん。

はい…。

なぜ呼ばれたか わかるかね?

第三班の新発田くんだ。

胃ろうの患者を やっと転院させたと思ったら➡

別の患者を また長々と入院させている。

君が 新発田くんの患者を担当して➡

ベッドの回転を速めたまえ。

ああ~ 頑張ってるねぇ。

あ…。

北条先生は 今までどちらに?

ロンドンよ。 もう へろへろのくたくた。

ロンドンとは 駅前の老舗のキャバクラでは?

正解。

ストレス溜まってるねぇ クリちゃん。

まぁ 今は とにかく パン屋の顔を立てて 頑張れや。

利休を守ってやらないと➡

アイツ 僻地に 飛ばされちゃうかもよ?

先生 なんてことを…。

利休 いつからそこに…。

新発田です。 病棟回診の時間です。

栗原先生は 納得されてるんですか?

何をだ? 利休。

ベッドを回すために 患者の治療を変更したり➡

無理やり 転院させたりすることです。

たしかに 内科や救急部は満床です。

でも 眼科や皮膚科 他の科のベッドは空いてるんです。

なのに借りようともしない 貸そうともしない。

患者にしわ寄せが行ってます。 そのとおりだ。

まことに理不尽だ 理不尽極まりない。

それが大学病院だというなら➡

大学病院とは何だと叫びたくなる。

しかし 私たちは医者だ。 叫んではならない。

叫びたいのは患者のほうだろう。

だから私は 考えている。

何をですか?

大学病院で 医者はどうあるべきか➡

考えている。

今はまだ 考えてる最中だ。

おかげで 頭痛に悩まされている。

今度 オトギリソウを 煎じて持ってきますよ。

オトギリソウ?

頭痛に効きます。 僕の大好きなお茶です。

今の答えで 納得してくれたのか?

納得はしませんが➡

珍しく栗原先生が 真面目に答えてくれたので➡

少し救われました。

私は いつも真面目だが。

いつも奇妙な物言いなので➡

無理にふざけて お茶を濁していると➡

不満に思っていました。

かの明治の文豪 夏目漱石は こんな言葉を残している。

「真面目とはね 君 真剣勝負の意味だよ」。

変人栗原って 本当だったんですね。

あのな 利休…。 ハハハハハッ…。

いきなり出るのよ。 これ死ぬぞってくらいの血便が。

出たか また出たかって…。

そのたび恐怖でね。

私が絶対死なせません。

絶対に治します。

医者が絶対なんて言っていいの?

いいんです!

薬が効かないなら 他に原因があるのかもな。

他にも?

いろいろ検査してみましょう。

大丈夫。 ここは大学病院ですよ 岡さん。

私に任してください。

必ず治します!

オトギリソウもいいが➡

ハルの淹れてくれるコーヒーが やはり世界で一番おいしい。

そういえば 今日➡

大家さんの息子さんが 来られました。

立ち退きをせよと?

いいえ ご挨拶でした。

ずっと東京のお役所に 勤めてたそうですが➡

お父さんのお年を心配して 信濃に戻ってこられたそうです。

それで 御嶽荘が まだ建っているのを見て➡

大層驚かれたと。

そうか 大層驚かれたか。

築100年だそうですよ 御嶽荘。

はぁ~ なるほど 大したものだ。

耐震が全然で 地震が来たら危険だそうです。

それはやはり 立ち退きの依頼ではないか? ハル。

そうなんですか?

気づきませんでした。

《二木美桜さんの 化学治療を開始して➡

2週間が過ぎた》

骨髄抑制がひどい。

利休 二木さんの状態は?

体重が少し落ちましたが 食欲は戻ってきました。

骨髄抑制以外の副作用も まったくありません。

でも先週から面会禁止です。 家族にも会えないなんて…。

感染症対策だよ。 免疫力が落ちてるから➡

軽い風邪でも命取りになるんだ。

だけど 病室からも出られないなんて。

薬を変えませんか?

《大胆なことを さらりと言う娘だ》

それはできないよ。

FOLFIRI-NOXは 一番強力なレジメンだし➡

まだ2週間 やっと1クール目を終えたところだ。

効果を確認するためにも 2クール目に入るべきだと思います。

でも効果がないんだったら➡

ムダに病室に 閉じ込めてるだけですよ?

ムダって…。 もう少し言葉を選びなさい。

利休 北条先生はどこだ?

二木さんのMRIです。 ご主人と理沙ちゃんと一緒です。

北条先生 今日は珍しく やる気ですね。

そりゃ三班の班長だから… って お嬢!

発言する前に 3秒でいいから考えなさい。

北条先生は仮にも上司だよ?

理沙ちゃん?

ママ 治る?

お医者さんは 魔法使いではない。

だから 絶対に治すとは 約束できない。

しかしながら…。

やれることは全力を尽くしてやる。

それだけは約束する。

昼に お嬢に頼まれて 岡さんのCTを撮った。

膵臓に2センチ大の腫瘤がある。

3か月前 初診の地方病院で 撮られたCTには➡

腫瘤はありませんでした。

お嬢が闇雲に 検査オーダー連発したのが➡

当たっちまったんだよ。

この形状は 膵癌…。

うん 俺もそう思う。

二木美桜さんに続き 岡さんも。

第四内科三班に 2人目の進行性膵癌だ。

(バイブ音)

私だ。

岡さんが また下血?

《二木美桜さんと 岡さんの腫瘤は➡

非常に似た形状だった》

こんな時間まで 研修医を働かせているのかね?

岡さんの下血で 先ほどまで処置を。

君も当然知っていると思うが➡

全国の大学病院では➡

研修医の過酷な労働環境の 改善のために➡

研修医労働管理ガイドラインを 制定している。

研修医は 決められた当直回数以外は➡

夜間は一切働かせてはならない。

気をつけたまえ 栗原くん。

第四内科が過酷だという 噂が広まれば➡

来年度のうちの入局希望者に 影響が出る。

入局希望者が減れば 宇佐美先生も窮地に立たされる。

君は おもしろい男だな。

あっ 失礼しました。 寝不足でつい…。

《パン屋に八つ当たりをした。 これは反省である》

(宇佐美)刻々と変わる ベッドの状況は➡

アナログのほうが把握しやすい。

書けば 頭によく入る。

それを毎日 やられているのですか?

私がせねば誰がする?

二木さんかね?

あ いえ 潰瘍性大腸炎で入院中の 岡さんです。

先ほど 進行性膵癌も発見されました。

あさって外科と 岡さんのカンファをします。

おそらく岡さんのベッドも しばらくは 空きません。

膵癌の発見が遅すぎる。

3か月前にはなかった腫瘤です。

それに 岡さんは 今月 入院されたばかりで…。

ステロイドはどうなんだ? 自己免疫性膵炎の可能性は。

IgG4は正常範囲内で➡

自己免疫性膵炎の可能性は 極めて低いです。

だったら なぜ すぐ スクリーニングでCTを撮らなかったんだ。

ですから…。

3か月前のCTには何もなく…。

もういい。

私がお相手を…。 いや結構。

我々としてはだね➡

第四内科第一班班長 柿崎先生のご意見を伺いたい。

《容赦のない 出鼻のくじき方である》

膵臓の第一人者 柿崎先生は なんとおっしゃってる。

柿崎先生は ボストンの 国際学会に出られていて不在です。

戻られるのは 早くても3日後だと。

あぁ。

ならば カンファは そのあとだな。 あ いや しかし!

進行性膵癌なら 早く手を打たないと。

結論は 柿崎先生が戻られてからが妥当だ。

いや しかし…。 ここで内科を押し返して➡

やっぱり手術となってから 慌てて準備を始めたら➡

ずいぶん前に相談を受けてたのに なんてざまだって➡

外科が笑われませんか。

砂山。

だったら どうする。

俺が内科と連携して 岡さんの術前検査を始めます。

そうすれば 確定診断後 すぐ オペできます。

わずか2日前に 見つかった 膵癌なんです。

ここで全部結論出そうなんて ぜいたくな話ってもんですよ。

ではそれでいこう。 今日のカンファは終了だ。

次郎 礼を言う。 おい よせよ。

俺とお前の仲だろ。

《大学病院から 権威と駆け引きを除いたら➡

塵芥しか残らない。

のではないかと 激しく落ち込んでいる。

駆け引きは 私の 最も不得手とする分野である》

ハァー。

私も若い時分に 東京の料亭で 修業したことがありました。

武者修行だと意気込みましてね。

ところがです。

仕込みから盛り付けまで まったく通用しませんでした。

手順が全然違ってたんですよ。

嫌気が差して もう料理人を 辞めちまおうと思いつめたとき➡

ふいと気付いたんです。

悩むのは 成長してる証しじゃないかと。

証し…。

明石のタイです。

ハッ フッ。

(バイブ音)

はい 栗原です。

柿崎先生!?

そうです。 まだボストンですよ。

栗原先生 岡さんの腫瘤ですが➡

膵癌ではありません。

岡さんの腫瘤ですが➡

膵癌ではありません。

おそらく 自己免疫性膵炎の 2型だと思いますよ。

2型? 2型なんて初めて聞きますが。

そうですよね。

2型の症例は あんまり見られませんから。

実際に拝見するのは 私も初めてですよ。

拝見?

皆さんのおっしゃるところの パン屋さんが➡

メールでこちらに CTとデータを送ってこられたんです。

気になる画像だから 一度見てもらいたいと。

宇佐美先生が!?

⦅潰瘍性大腸炎で 入院中の岡さんです。

進行性膵癌も発見されました⦆

あの一瞬で…。

大学病院っていうところは➡

これまで見たこともない 病気を抱えた患者さんが➡

いらっしゃいます。

そして その画像をひと目見ただけで➡

診断を絞れる医者も またいるんです。

各分野のオタクのような医者が 角突き合わせて答えを出していく。

それが大学病院ですよ 栗原先生。

それが大学病院!

早朝から散歩ですか 二木さん。

あ 見つかっちゃった。

この時間なら人もいないし 病室出ても大丈夫かなと思って。

褒められた行為では ありませんが➡

見つけたのが私で幸いです。

たまには気分転換も必要ですから。

ナイスボール!

ここを見つけてくれたのは 主人なんです。

ここからなら理沙の元気な様子 見せられるからって。

主人 入り婿なんです。

ちょっと頼りないところは あるんですけど➡

こまめで 優しくて。

私 理沙と遊んであげられる日が また来るでしょうか。

骨髄抑制が収まれば キャッチボールでも バスケットボールでも➡

なんでも一緒にできます。 でも 収まらなければ➡

永遠にここから出られない。

家族が一緒にいる。

たったそれだけのことが こんなに難しくて➡

貴重なことだったなんて。

元気なときには 全然気付きませんでした。

私 悔しいです。

《岡さんは その後➡

自己免疫性膵炎2型の 確定診断がつき➡

内科で投薬治療継続となった。

私は 二木美桜さんの抗がん剤を➡

二剤併用の ジェムとパクリタキセルに変更した。

骨髄抑制は改善され 体力も回復。

加えて胆管閉塞予防のため ERCPでステント留置を行った》

開いて。 はい。

《2週間後。

晴れて退院となった》

今後は通院で 引き続き抗がん剤投与をします。

私 絶対勝ちますよ 栗原先生。

その意気です。

理沙。 ママ。

あぁ ハハハハハハ。

理沙 大きくなったね。

栗原先生が四剤併用から 二剤併用に変更したときは➡

ちょっと不安だったけど➡

結果的に成功でしたね。

僕らが立てる治療方針は➡

正解か不正解か イエスかノーかの二者択一じゃない。

患者が いちばん大事にしているものを➡

僕らも一緒に大事にして 第三の道を探す。

完治を目指して探すんだ。 臨機応変に。

きっとたぶん それが医者の…。

それが医者の な~に?

失礼しました。 偉そうなこと言いました。

ねえねえ 利休ちゃん。

それが医者の何?

ん?

な~に?

真剣勝負です!

カーッ ハハッ 恥ずかし~っ!

真剣勝負ね。

栗原先生が言うから。

なに笑ってんだよ お嬢!

《その わずか1週間後のことである》

大丈夫。

栗原先生。 どうも。 状態は?

今朝から40℃の発熱だそうです。 血液検査は 高度の炎症所見あり。

胆管道系酵素の上昇も。

CTは? これです。

ステントが詰まって胆管炎発症。

敗血症になりかけている。

膵癌には よくあることです。 緊急ERCPでステントを交換する。

X線造影室は? すでに押さえてます。

でも 二木さんが どうしても入院はイヤだと。

なぜです? 二木さん。

今度 入院したら もう家へは帰れない。

また病院に閉じ込められて 死ぬんなら➡

家で死にたい。

美桜… なんてこと言うんだ。

救急車も 主人には 呼ばないでほしいって…。

せっかく退院できたんです。 このまま帰らせて。

お願いです。 家で死なせて。

(理沙)ママ!

ママは死なない。 大丈夫だ 理沙。

美桜 頼むよ。 治療を受けてくれよ。

入院は 絶対にイヤ。

では 入院なしでいきます。

(2人)はぁ!?

これからERCPで 胆管のステントを交換し➡

麻酔が覚めたら 即帰宅でいかがでしょう?

そんなことできるんですか? できるわけないよ。

先生。

終わったら… 帰れるんですね?

帰れます。

X線造影室で ERCPだ。

僕は反対です。 若い女性のERCPは 急性膵炎のリスクが高く➡

まして二木さんは進行性膵癌です。

せめて1日入院させて 抗生剤を入れないと。

帰宅させたら 急変しても対応できません!

あの… ERCP終わって そのまま入院とか どうですか?

旦那さんに承諾してもらって あとは適当にごまかして。

そんなことをしたら 私たちは二木さんの信用を失う。

次は通院すら拒否されるだろう。

でも 処置後 すぐ帰宅のほうが 全然 無責任だと思います。

処置後ではない。 麻酔が覚めたら 即帰宅だと言った。

(2人)は?

麻酔は 通常2~3時間で醒めてしまう。

しかし 4年目の若い内科医が➡

うっかり麻酔を多く投与して しまうことは… あると思う。

あっ 僕? そうだ。

多めの麻酔で鎮静状態を引っ張り 明日の午後まで稼いで➡

抗生剤をバンバン入れる。

術後管理は 救急部の 処置室で行うゆえ入院ではない。

バイタルが安定すれば 帰宅だ。

麻酔を多めって…。

それって 詐欺?

だが 10年目の私のミスでは 策略が見え透いてしまう。

研修医のお嬢を 矢面に立たせるのも まずい。

どうだ 利休。

わかりました。 しっかり… いえ うっかり➡

麻酔多めに投与します。

利休先生。

あっ お嬢は 帰宅してよろしい。

なんで私だけ ハブるんですか?

研修医の労働環境に パン屋がうるさいのだ。

詐欺的治療に加担させたとなれば その報復は想像を絶する。

イヤです。 私も加担させてください。

お嬢 私を助けると思って…。

イヤです!

私 ずっと病理希望でしたけど➡

三班の研修で わかったことがあるんです。

患者は 顕微鏡の中じゃなくて 目の前にいる。

加担を許可する。

開いて。 はい。

♬~

目が覚めましたね 二木さん。

お熱も平熱に戻りましたよ。 血圧も。

少ししたら 栗原先生が確認に来られます。

栗原先生…。

昨夜 一晩 栗原先生たち つきっきりでした。

一晩…。

必要な処置は 全部終わったそうだよ。

家に帰ろう 美桜。

ありがとう 先生。

《二木さんは 通院治療に戻った。

自己免疫性膵炎2型の岡さんも➡

内科的治療で劇的に回復。 退院となった》

いやぁ~。

ありがとうね 鮎川先生。 無事 生還した気分だよ。

ヘヘヘ いや私 何も たいしたことしてませんけど➡

でも 岡さんは 私の最初の患者さんですから➡

一生 忘れません。

へぇ~ そうなの?

最初? 最初!?

フフフ…。

《医者と患者は苦楽を共にする。 担当患者が退院する日は➡

医者にとって すべての苦労が吹き飛ぶ日だ》

皆さんに ご報告があります。

北条先生。 二木美桜さん 岡信弘さんという➡

極めて厳しい症例を 2つも退院させた➡

第三班班長の 北条先生でありますが➡

このほど 先生の論文が➡

国際ジャーナル パンクリアティックメディスンに アクセプトされました。

(拍手)

え~ パンクリアティックメディスンは 言うまでもなく➡

膵臓研究の 世界的権威あるジャーナルです。

北条先生は 世界の一流であると 認められました。

のみならず 我々 第四内科の存在意義をも➡

大きく高めてくれたのです。

北条先生 どうぞ。

え~ では これも みんなが➡

きつ~い臨床を 支えてくれてるおかげです。

ってことで 今夜は パーッと 俺のおごりで飲みに行こうぜ。

(拍手)

《諸君は神様を信じるだろうか。

もし慈悲深い神様が 存在するなら➡

絶対に起こりえないことが 医療では しばしば起こる。

この日から ほどなくして➡

二木さんに抗がん剤が 効かなくなったのである》

腫瘍がふたまわり 大きくなっています。

肝臓内にも 新たな転移がありました。

腫瘍マーカーは 以前の5倍。

今は まだ 過酷な症状は出ていませんが➡

これからは 週単位で 悪化していくと思われます。

もう手はないんでしょうか?

サードラインの抗がん剤に変更します。

残された時間は 思っていたより 短いかもしれません。

ママと ご本を読んでたんだよ。 そう よかったね 理沙。

じゃあ 車まわしてくるね。 うん。

気分はどうです? 二木さん。

とってもいいです。

難しい話 終わりました?

私は まだまだ元気ですよ 先生。

主人と理沙が そばにいてくれるんですから。

まだまだ戦えます。

でもね… 死ぬときは家で。

先生にお願いしたいのは ホントに それだけです。

ただいま。

イチさん おかえりなさい。

小春は? こっち。

ドクトル 紹介しよう。

こちらが 我らがお目通りを 待って待って待ち続けた➡

大家さんのご子息だ。

はじめまして 大岡です。

はじめまして 栗原です。

いや お奉行様 杯が空ですぞ。

ささささ もう一杯。 もう結構。

大岡さんで お奉行様か。

精一杯 ご歓待せねばと。

なにを ボーッと突っ立っておる。 あぁ すまん すまん。

我らが待ち焦がれたお目通りが ついに叶ったのだぞ。

お奉行様とともに 喜びの酒を 酌み交わそうではないか。

その呼び方 やめてもらえますか。

お父上は お変わりありませんか?

えぇ。 ただ 高齢になって➡

そろそろ借家の経営が重荷に なってきたと言い出しましてね。

それで私が。 実に ご立派!

ねぇ この古びた御嶽荘を 取り壊すのは容易なこと。

それをこうして ご実家に戻られて➡

御嶽荘の経営を 引き継がれようとはね。

引き継ぐつもりはありません。

ハハハハハ! ハハハハハハハ! これはまた戯言を!

例えば あなた 男爵さん?

ご職業は画家だと伺いましたが 年収は いかほどで?

年収…。

それから あなた 栗原さんは 定職にはおつきですか?

はっ? 夜更けや夜明けに 帰ってくることが➡

多いと聞きましたので。

それは しかたがありません。 病院に行っているので。

あぁ… 失礼ですが どこか健康状態に問題でも?

いやいや 通院ではなく 労働を提供しています。

う~んと… えっ?

ドクトルは医者なのですよ お奉行。

えっ? それも ただの医者ではございません。

信濃大学病院にその人ありと その名もとどろく➡

少壮辣腕の名医でありますぞ!

えぇ~ いや 驚いたな。

《物事には 流れというものがある》

いかにも 医者です。

さあ お奉行 一献 ねっ。

どうも すみません。 あ~ おっとっとっと…。

いや~ 驚いたな。 こんなボロ家に 大学病院の先生が。

いやいや 恐るべし御嶽荘。

まだ平の部類です。 ご謙遜を。

大学病院のお医者様ですか。 えぇ。

いただきます。

おっ! あ~! 甘露 甘露。

< お奉行は 無類の芝居好きと判明した。

酔いが回るほど お互いに 肝胆相照らす仲となり➡

御嶽荘立ち退き問題は ついに立ち消えとなった。

この騒動に熟睡とは なかなかの豪傑である>

朝から40℃近い高熱です。 血圧 95の40。

前回のステントトラブルのときと同じです。

でも病院には行きたくない 救急車も呼ぶなと ご主人に。

困ったご主人から さっき医局に電話がありました。

放置すれば死んじまうって ちゃんと説得したのか?

ご主人からきつく。 しかし二木さんは➡

家で死ぬから このままでいいと 頑なだそうです。

おう… じゃ しかたないな。

しかたない?

班長! 三班として ちゃんと話し合いたいから➡

北条先生を捜して 集まったんですよ。

静かに頼むよ 二日酔いでね。

利休 二木さんの家は 安曇野のほうだったな。

はい 救急車だと30分くらいです。

私が出向いて 背負って連れてくる。

おい クリちゃん いくら医者でも そんなことは許されないぜ。

では向こうで 死亡診断書を書きます。

どっちにしても医者が入り用です。 大学病院の医者が➡

医局の許可なしに往診はできない。

今 医局に申請して 許可が出るのは何時頃です?

3日後だ。

ただでさえ三班は パン屋のブラックリストに載ってるんだ。

これ以上 ルールを無視した行動は 俺が許さん。

残念ながら ルールを無視したことはありません。

二木さんのERCPのとき 必要以上に麻酔をかけた。

それは 僕のミスです。 すみませんでした。

相談してくれてよかったよ。

俺も これ以上 お前たちの暴走を見逃せない。

パン屋を怒らせれば ベッドがもらえないだけじゃない。

飛ばされる。

私は 二木さんの主治医です。

三班の班長は俺だ。

瀕死の患者の救命より ルールが大事な医局なら➡

どこへ飛ばされようが悔いはない。

利休 地図だ。

僕も一緒に行きます。 騒ぎを大きくしてどうする。

私が留守の間 お前には病棟を頼む。

しかし… けど!

だったら私が一緒に行きます。 あのな お嬢。

はぁ~ もういい。 連れてけば。

は? 1人行くなら2人行くのも同じだ。

勝手にしろ。

地図 出してきます。 はい。

(扉が開く音)

本当に変わった人ですね…。

栗原先生は。

皆が そう言います。 困ったものです。

病院には 行きません。

今度は入院になりますが ステントを交換し 熱が下がれば…。

そんな理屈 もういいんですよ。

理屈 とは?

この薬が何%効果があるとか➡

どんな副作用があるとか➡

あとどれくらい 生きられるかとか。

そんな理屈より お医者さんなら➡

どうして私が こんな病気になったのか➡

教えてください。

私は まだ29です。

理沙は まだ7つです。

どうして こんなことに?

何がいけなかった?

また病院に閉じ込められて➡

主人や娘に会えないまま 弱って死ぬくらいなら➡

私は ここで死にます。

ここは私の家です。

死ぬのは怖くない。

また入院して➡

帰ってこれないのだけが怖いの。

必ず帰らせます。 ウソです。

私だって それくらいわかります。

今度入院したら もう➡

帰ってくる力は… なくなる。

(隆)向こうに見えるのが うちの畑です。

そば畑です。

毎年 実を採って そば粉にして➡

僕ら そばを打つんです。

今年も打とう 美桜…。

一緒に 打ちたての そばを食べよう。

だから 頼む…。

治療を受けてくれ。

美桜さん。

あなたに あと どれほどの時間があるか➡

医者の私にも わかりません。

しかし もし あと3か月なら➡

今を生きることは 意味がないですか?

あと 1か月なら 今 死んだほうがマシですか?

私は 断言する。

そんなことは 断じてない。

私は 理沙ちゃんと約束をした。

医者として やれることには全力を尽くすと。

理沙。

必ず… 必ず ここに帰らせます。

理沙。

ママ お熱下げてくるね。

お嬢 救急車を。

はい。

なぜ呼ばれたか わかるかね。

君は 医局に無断で往診した 医局の規律を破った。

よって 君を処分せねばならない。

はい。 栗原一止くん。

本日より 6か月間の アルバイトを禁じる。

《兵糧攻め?》

お言葉ながら 無給の大学院生から アルバイトまで取り上げて➡

一家3人 どうやって暮らせと?

もう結構!

こんな病院 こっちから辞めてやる!

栗原くん…。 パン屋が!

栗原くん…。 このパン屋が! パン屋! パ…。

《という妄想に逃げ込んだとき》

(ノック)

失礼します。 ん?

君を呼んだ覚えはないが。

呼ばれた覚えもありませんが。

宇佐美先生 もう少し 軽い処分になりませんかね。

ならんな。

クリちゃんを処分するなら➡

一緒に行った お嬢 鮎川研修医も➡

規則にのっとり処分しなきゃ 片手落ちです。

けど… 研修医を処分すりゃあ➡

ヤツらの間で 第四内科の評判は ガタ落ちです。

だって 断然かっこいいのは➡

今回のクリちゃんと お嬢の行動ですからね。

俺たち 悪役ですぜ。

まぁ 悪役くらいなら 屁のかっぱだが➡

来年度 研修医から第四内科に 何人 入局希望者があるか。

下手すりゃあ 前代未聞の希望者ゼロ。

《それで あのとき お嬢に許可を。

まさか 往診の言い訳にするために 私と言い合い➡

お嬢を暗に けしかけた?》

アルバイトは 1か月の禁止とする。

助かります。

栗原くんに 渋々従い 同行させられた 鮎川研修医は➡

北条先生から 口頭注意で結構だ。

では…。

《鬼切り》

北条先生 助かりました お礼を言います。

いや いい。

あぁ 内科医 3年目の春だった。

尾弥方村っつう 陸の孤島の病院に 飛ばされたことがあってな。

その辺りじゃ たった一つの病院だった。

毎日 患者が 押しかけてくるんだよ。

軽症も重症も 病人っちゅう病人が 泣いて詰めかけてくる。

医者は 院長と俺の 2人だけだった。

その院長も 過労で倒れた。

毎日が修羅場だ。

未熟だったし 患者も たくさん死なせた。

俺は 初めて医局に泣きついた。

ちょっと 時間は かかったが 半年後➡

医局は 医者を2人派遣して やっと修羅場は収まった。

死ぬ患者も減った。

医療崩壊してた 尾弥方村を救ったのは➡

泣きわめいていた 俺じゃない。

理不尽と矛盾だらけでも 絶大な権力を持つ 大学医局だ。

医局の力が 医者のいない 地方の医療を支えてる。

北条先生。

だから 俺は 医局で のし上がると決めた。

上に おべっか使っても 下の理想を握りつぶしても➡

論文積み上げて のし上がる。

この 権威主義を ぶっ壊して ドーンと風通しよくしてやる。

大学医局の改革だ。

だから それまでは パン屋と ぶつかるな。

俺が改革するときにゃ➡

クリちゃんみたいな 真面目な医者が 右腕にいるんだよ。

あっ この場合の 真面目っちゅうのは➡

ルールを守るっていうことじゃない。

真剣勝負って意味だぜ。

ってことで じゃあね。

あっ 先生 どちらに。

教えな~い。

イチさん。

どうした?

そろそろ 山岳写真のお仕事を 始めようかと思います。

打ち合わせに行くときは 小春を連れて行きます。

山に行くときは イチさんに 小春をお願いします。

いいですか?

もちろんだ。

無給のうえ 1か月とはいえ アルバイト禁止。

細君に カネの心配をさせる。

己の不甲斐なさが身に染みる。

すまん。

大丈夫です。

大丈夫じゃないことも イチさんと私と小春➡

3人揃えば 全部 大丈夫です。

7×3 21? うん。

7×4 20…。

21に 7 足して。

28? うん。

《二木美桜さんの膵癌は➡

悪化の一途をたどっていた。

このまま 抗がん剤で 体力を奪い続けていいものか…》

バイバイ。

あっ 先生 これから宿題なの。 さようなら。

大変だね。 車に気をつけて帰りなさい。

はい。

栗原先生。

調子は いかがですか? 二木さん。

調子悪いように見えます? 見えません。

入院して 2週間。 そろそろ 家に帰ると騒ぎ出し➡

誠実な主治医を 困惑させるのではと➡

内心 疑ってはいますが。

その兆候もない。

じゃあ ご褒美に散歩に 連れて行ってください 先生。

喜んで。

前に 先生と ここで お会いしたの いつでしたっけ?

ずいぶん経った気がしますが ほんの 2か月前です。

2か月… ホントに ずいぶん 経った気がしますね。

理沙ったら 宿題が増えたと 泣き言ばっかり。

あの子 私を元気づけるために 頑張って 普通にふるまって。

あなたも普通にふるまってる。

いや 悟りを開いたように 落ち着いておられる。

先生を信じると決めたからです。

私は 一人じゃない。

主人や理沙がいる。

だから 1日でも 力を尽くして 生きなくちゃいけない。

それを教えてくれた先生を 信じると決めたからです。

勇気とは 重圧のなかでの気高さである。

なんです それ?

ヘミングウェイの言葉です。

あなたは 間違いなく勇敢だ。

私 家に帰れます?

帰れます。

普通なら もっと食事が とれるようになってからですが➡

退院後の生活へ 準備を進めましょう。

抗がん剤は?

やれば 帰れなくなります。

ありがとうございます。

もうちょっと 散歩しましょっか。

《私は しぜんに答えていた。

治療中止に 迷いがないわけではなかったが➡

対話を重ねるうち 逡巡は消えた》

二木さんの退院カンファレンスを行う。

お前たちも出席し 訪問看護部への➡

要望を提出するように。

治療をやめるんですか?

そうだ。

完治を諦めるんですか?

そうだ。

医療って何のためにあるの…?

何のために入院させて…。

何のために きつい薬を投与して…。

二木美桜さんの退院は 難しいというのが➡

私たち 訪問看護部と ソーシャルワーカーの市原さん➡

ケアマネージャーの沢田さんの結論です。

これは 地域連携室の 最終判断でもあります。

理由を伺いたい。

最大の問題は 第一介助者の 不安が強すぎることです。

ご主人の二木隆さんですよ。

私たちとの面談で ご主人は 奥さんを家で看る➡

自信がないと漏らされました。

しかし 何かあれば 僕たち 第三班が対応しますから。

当院の現在の 退院ガイドラインに照らすと➡

推奨できません。

ガイドライン その1 患者が退院を希望した場合➡

それが 冷静な判断に 基づいているか➡

慎重に見極めること。

二木美桜さんは 以前 感情的に➡

入院を拒否したことがありますね。

冷静な判断力が あるとは思えません。

ガイドライン その2 第一介助者が 安心して看ることのできる➡

環境か否か。

先ほど申し上げたとおり ご主人の不安は相当なものです。

そうですよね 沢田さん。 あっ はい。

やはり 精神的負担が 結構あるようで➡

それに 私たちも あんなに若い➡

末期の患者さんを 自宅でケアなんて。

大学病院としては 治療を中止した患者さんを➡

いつまでも 入院させることはできません。

第四内科のベッド状況改善に 地域連携室もご協力ください。

なので 退院ではなく転院で。

(2人)転院?

それは どういう意味です?

二木さんの自宅近くに 梓川病院があります。

ベッドは 今 空いていて 看取りも行うそうです。

そんな…! 二木さんは 家に 帰りたいと言ってるんですよ!

もし 先生方から 二木さんに お話ししにくいようでしたら➡

ソーシャルワーカーの私から お伝えしてもいいですよ。

あなたたちは バカなんですか?

(2人)バカ? 利休…。

二木さんは 家に帰りたいと 言ってるんです。

それが どうして 看取りで 転院なんて話になるんです!

言葉に気をつけてください。 新発田先生。

ガイドラインではなく 二木さんを見てください!

二木さんが望んでいるのは たった1つ 退院なんです!

当院の退院ガイドラインでは ノーです。

だから アンタらは バカだ。

大バカ野郎だ!

水を飲め 利休 医者が スタッフを➡

バカ呼ばわりするのは 穏やかではない。

今の暴言は撤回する。

面と向かって 言ってよい言葉ではない。

いくら相手が バカでもだ。

なんですって! あなたね。 聞きなさい!

今の状態下で二木美桜さんが 感情的になるのは当たり前だ。

冷静ではないなどと言い放つ 君たちの言葉こそ 暴言である!

ご主人の不安も 至極もっともだ。

愛する細君が死ぬ。 7歳の娘が残される。

不安でないわけがない。

不安で押しつぶされそうな毎日を ご主人も生きているのだ!

だから ここ! だから必要なのはガイドラインではない。

そういう状態の若い夫婦に➡

大丈夫だ 我々がついていると 告げることだ!

美桜さんは冷静ではいられない。 ご主人は不安にかられて➡

たまらない。 だから退院できない ではない!

それでも退院させるのが 我々の仕事である!

しかし 実際問題として このケースは 地域連携室の手に余ります。

それが私たちの結論です。

そうか。

若い 膵癌患者を引き受けたって➡

風のうわさには聞いてた。 でもな➡

下手に助けると大学の医局から うちがにらまれる。

医者の補充が できなくなっちまうんだよ。

クリちゃん。 そこを なんとか➡

お願いします。

お願いします。

(ノック)

失礼します。 おう。

ご用ですか? 板垣部長先生。 外村看護師長!

栗原先生! ご無沙汰しております。

去年 救急部から 本庄病院で新しく立ち上げた➡

訪問看護部に移籍したの。

実は相談なんだけどさ 外村ちゃん。

クリちゃんが退院カンファで大学の 訪問看護師とやりあって➡

八面六ぴの大活躍… を し損ねて四面楚歌らしい。

あら すてき。

うちの訪問看護部で その患者さんを引き受けましょう。

板垣先生。 待ってください。 外村看護師長…。

外村元看護師長。 どんな症例かも聞かずに➡

簡単に引き受けるのは軽率です。 引きの栗原が困ってるんでしょ?

引き受ける理由なら それで十分。

じゃあ あとは 往診をどうするかだ。

とはいえ うちは相変わらず 医者不足だからな…。

よし 俺がやる!

大狸先生!

(笑い声)

焦った? 俺って芝居うますぎ?

先生! お~ 東西 久しぶりだな。

元気にやってるか? ええ 元気よ。

ついに三十路を越えちゃった。 当たり前だ。

いきなり四十路を越えられては 驚く。 先生は?

聞くまでもない。 私とお前は同い年だぞ。

そうじゃなくて。 大学で 悪目立ちしてるって うわさよ。

へき地に飛ばされるんじゃないか って みんな心配してる。

なんじは なんじの道を行け。

人々には 言うに任せよ。 変わってないわね…。

《翌日から 外村元看護師長は 辣腕を振るった。

本庄のソーシャルワーカーを連れて 信濃大学病院へ乗り込み➡

二木さん夫婦と面談を重ね ケアマネージャーを選び直し➡

訪問看護のスケジュールから 緊急時の応対まで➡

事細かく決定した。

1週間後 二木美桜さんは退院》

じゃあ…。

どうぞ お大事に。

何かあったら即 ご連絡くださいね。

はい。

どうしました?

ロウソクの火は 消える前に 一瞬大きく燃え上がるでしょう?

今が そのときなのかなって。

二木さん。 そのときなのかなって 思うことが➡

何度もありました。

でも 私のロウソクは消えません。

燃え上がるたび かすかになって でも消えません。

そのたびに 先生が こうやって➡

かすかな火を 囲って守ってくれたから。

大きな風も 小さな小さな風も➡

先生の手が囲って守ってくれた。

ありがとうございます。

栗原先生。

私 しっかり生き尽くします。

うちに帰ろう 美桜。 はい。

理沙ちゃん。

頼みたいことがある。

どんなに大変なことがあっても➡

ママの前では できるかぎり 笑顔でいるように。

あっ。

ソバの実が取れたら そばを打ちます。

先生方も お時間のあるとき 食べにいらしてください。

はい! 絶対伺います。

私も おそば大好きなんです。

参ります。 楽しみです。

なぜ呼ばれたか わかるかね。

いえ。 地域連携室から クレームが来た。

君が無理やり推し進めた➡

二木美桜さんの 退院の件についてだ。

いいかね ここに10人の 飢えて死にそうな子どもがいる。

手に入るパンは 1つだけだ。

君なら…。 君なら どうするかね?

《これは妄想ではない》

このパンは小さくはない。 むしろ大きく➡

しかも実は たんまりとある。

それらのパンは大学病院で 後生大事に抱え込まれている。

だが配り方は複雑怪奇。 医者は規則にがんじがらめで➡

たった1人の膵癌患者を 退院させることすら容易ではない。

さて 君なら どうするかね。

栗原。 私なら➡

それらのパンを ぶんどって 飢えた子どもたちに与えます。

大学病院は 貴重な特別なパンを➡

配ること自体を忘れている。

自分が何を言ってるのか わかってるのか?

はい。 パンの話はもう結構です。 宇佐美先生。

私は 患者の話がしたいのです。

君は 医局には なじまない男らしい。

下がりなさい。

《この日以降 不気味なほど静かな日が続いた》

《時折 外村元看護師長から➡

二木美桜さんの 経過を知らせる電話が入った。

そして》

もう食事はとれない。

半日ごとに悪化している。

座るのも難しく ベッドで寝たきりだ。

理沙ちゃんと たまにあやとりをして➡

過ごしているそうだ。

飲めよ 一止。

⦅二木さんの血圧が…。

かなり下がってきた。 今日は 80を切ってる。

もうすぐ 板垣部長先生も到着する。

意識はあるけど もう会話は無理。

たぶん 朝までもたない。

来ちゃだめよ先生。

来ても美桜さんの 最後の時間をかき乱すだけ。

家族との最後の時間なの。

わかってます⦆

(メールの受信音)

♬「春は名のみの」

♬「風のさむさや」

♬「谷のうぐいす」

いってらっしゃい イチさん。 ととちゃん おかえり。

こういうときは いってらっしゃいだ 小春。

ハル 今日は小春を連れて 学食でランチをしよう。

大学のですか?

昨夜 宇佐美先生から 通達が入った。

本日 一番に 水島教授室に来るようにと。

おそらく 人事異動の沙汰だ。

ハルと小春に 私の勤めた 大学を見せておきたい。

はい。 ではお昼に行きますね。

では 行ってまいる。

いってらっしゃい。 《細君は 顔色ひとつ変えない。

私もかくあろうと思う》

(ノック)

失礼します。

なぜ呼ばれたか わかるかね。

来年度の人事の件だ。 はい。

栗原一止先生。

君を来年度 第四内科の第一班班長に任ずる。

はい。 はい?

一班班長 柿崎先生は来年度➡

内視鏡センターのセンター長に昇格する。 それに伴う人事異動だ。

えっ? 来年度 第四内科は➡

例年より はるかに多くの入局希望者を得た。

鮎川くんも第四内科に入局希望だ。

お嬢が 臨床に。

いろいろあったが この点については➡

水島教授も私も 君の仕事を大いに評価した。

以上だ 下がってよろしい。

地域連携室からの 抗議は いいんですか。

よくはない。 しかし 水島教授のご判断だ。

大学病院には さまざまな医者が集まっている。

実に バラエティー豊かで➡

まとまりのない まとまりきれない集団だ。

同感です。

私はね 栗原くん。

多くの医者が一丸となった 医局より➡

まとまりきれない困った医者が たくさんいる医局のほうが➡

優れた医療を 提供できると信じている。

それこそ 第四内科の武器であり➡

君が加わり更に強力になった。

宇佐美くんは これからもパンの話をするだろう。

君は これからも 患者の話をしなさい。

二木美桜さんのご遺族から 我々 第四内科に届いた。

《小さな葉書の一面に➡

美桜さんのご主人 二木隆さんの きちょうめんな文字で➡

私たちに対する 感謝の言葉がつづられていた。

細君を亡くしたばかりで なんという心遣いか。

そして その最後に》

栗原くん。

あっ はい。

ご苦労だった。

初めて来ました。

広くてきれいな大学ですね。

ハル 人事異動のこと 何も聞かないのか。

興味はありますが 心配はしていません。

家族が一緒なら どこへでも行きます。

そうだな。

栗原先生 聞きましたよ!

逃げるぞ ハル。 えっ?

捕まっては面倒だ。 走れ 走れ。

なんで逃げるんですか。 ホント変人だな。

先生 栗原先生! 走れ~。

お嬢捕まえて!

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