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あの季節で あのエリアでしたら 3日間 水の中にいたとしたら➡
生存は ほぼ絶望的だと 認識しておりましたので➡
奇跡の中の奇跡だと 正直思っていました。
(大谷)
ああっ! あっ… うっ…。
恭子!
(サイレン)
恭子!
♬~(「星影のワルツ」の鼻歌)
恭子!
恭子!
駄目だ こいづ…。
(船のエンジン音)
お~い! こっちだ!
お~い!
見えねえか。
お~い!
ああ!
ああ…。
寒ぃなあ…。
恭子!
こいづ… うちの屋根か?
うちの屋根か? これ。
ああ…。
(ラジオ)「そして この地震で 宮城県の栗原市では➡
震度7の強い揺れを観測しました。➡
落ち着いて 行動してください。➡
現在 大津波警報が 岩手県 宮城県 福島県に出ています。➡
岩手県は既に 到達と推測されています」。
(サイレン) 恭子!
恭子!
(サイレン) ≪恭子!
恭子!
(恭子)あなた! おう!
大丈夫だったか? よかった 無事で。
しかし 揺れたな。 すごかったね。
さあ 早く避難すんべ。 うん 乗れ 乗れ。
種籾しまっとかねえと。 種籾?
帰ってからで いいでしょう!
大津波警報だよ!
大津波警報たって お前 こんなとこまで来ねえだろうよ。
念のためだ! 高いとこさ 上げておくべ。
私も 手伝う。 いや 一人で大丈夫だがら。
ああ そうか? 早ぐ 運んじまうべ。 せ~の…。
(ラジオ) 「ここで新たに 津波の観測の情報です。➡
宮城県の石巻市鮎川で 午後2時52分 50cmの津波が観測されました」。
50cmか…。 (ラジオ)「宮城県の石巻市鮎川で➡
午後2時52分 50cmの津波が観測されました。➡
そして 岩手県大船渡港では 午後2時54分…」。
そのままでいいから!
おとうさん! 荷物 和室! 分がった!
こいづも入れておいて。 要っか? そいつ。
いいから。 もう かばん いっぱいだ。
ここに… ここに入れておいて。 行こう ほら ほら。
(津波の音)
(サイレン)
逃げなきゃ。
もう間に合わねえ これ。 どうすっぺ?
ちょっと来い!
ここに いろ。
うち頑丈だがら 2階にいれば大丈夫だ。
何? これ結べ。 えっ?
うまく結べねえんだよ… これ…。 あなた 手震えてる。
だから 結べねえんだって!
(ごう音)
お隣? 分がんね。
何か見える? 目ぇ つぶってろ!
(物音)
♬~(「星影のワルツ」の鼻歌)
大丈夫だ 大丈夫だ。
♬~(「星影のワルツ」の鼻歌)
大丈夫だから お前。
大丈夫だ。
♬~(「星影のワルツ」の鼻歌)
心臓の音が聞こえる。
(津波の音)
絶対 離れるな!
ああ…。
何で俺だけ…。
恭子…。
ごめんな…。
種籾なんて放って 逃げればよがった。
何で ちぎれた!
恭子 ありがとな。
ありがとう。
(ため息)
寒ぃなあ…。
もう日が暮れちまう。
[ 回想 ] はいよ。 はい。
気ぃ付けてね。 うん。
よいしょ。
(美穂)「『わたしのお父さん』。➡
きょう おとうさんは いえのやねを しろくぬりました。➡
わたしは 『たいそうぎみたいな しろだね』 といいました。➡
おとうさんは 『みほを おうえんしているからね』といいました。➡
わたしは おとうさんがペンキをぬるとき➡
『フレー フレー おとうさん!』 ということにしました」。
かわいい時もあったね。
美穂さ 高校生になったら➡
「白い屋根は 目立つから嫌だ!」なんて 言ってたけどね。
よし。
(テレビ)「テレビの画面で ご覧いただいているのは➡
茨城空港で 地震が起きた時の様子です。➡
天井から 何か棒のようなものが 落ちました。➡
激しく揺れて 天井の照明が揺れています。➡
そして 天井のパネルが床に落ちました。➡
茨城空港の地震発生時の映像です。➡
これは 東京のJR新宿駅の…」。
☎
(美穂)はい 山口です。 ☎(亮介)やっとつながった。➡
美穂 大丈夫? 亮介? よかった…。
こっちは 大丈夫。 ☎おなかは?
びっくりしたけど 平気よ。 そっちは?
☎こっちも大丈夫。 会社出たところ。➡
すっごい人混み。
気を付けてね。
☎お義父さん お義母さんは?
それが ずっと つながらなくて…。
(ため息)
(ヘリコプターの音)
おい… ヘリだ。 お~い! お~い!
ここだ! お~い! 見えねえか…。
お~い!
お~い! 助けてくれ~!
(海鳴り)
海鳴りか…。
(テレビ)「しばらくお待ちください…。 緊急地震速報です。➡
強い揺れに警戒してください。➡
緊急地震速報です 強い揺れに警戒してください。➡
緊急地震速報が出ました。➡
東北地方 関東地方 新潟県では 強い揺れに警戒してください。➡
テレビの画面では…」。
ああ…。
駄目だ こりゃ…。
(サイレン)
どうなっちまうんだ…。
もう終わりか? これ。
(亮介)ただいま。
お帰り。 (亮介)大丈夫か? おなかは。
うん 大丈夫。 いや もう 5時間かかったよ…。
電車止まってるしさ タクシーもつかまらないし。
えっ ずっと歩いて? そう みんな 歩くよりほかなくてさ…。
大変だったね。
お義父さんとは? 連絡取れた?
まだなの。 ずっと電話かけてるんだけど…。
はい。 ああ ありがとう。
(テレビ)「南相馬市…」。 あっ 福島だ。
「老人福祉施設の ヨッシーランドが倒壊し➡
十数人が建物の下敷きになり➡
このうち 5人の死亡が 確認されたということです」。
うちの すぐそばだ…。 えっ…。
どうしよう…。
「双葉町では 住宅が倒壊し➡
下敷きになったお年寄りの男性 1人が 死亡しました。➡
更に 相馬市では 市内にある スーパーの店内で…」。
寒ぃなあ…。
ああ…。
腹減ったなあ 畜生…。
卵焼き食いてえなあ…。
恭子の飯 うまかったな…。
こんにちは。 ああ こんにちは。 おばちゃん 昨日 ありがとう。
今日は きんぴらごぼうと おみそ汁と➡
あと もう一品 作ってみっぺ。
いいよ そんなたくさん。 しょうが焼きは 覚えたから。
私が 留守の間 毎日 しょうが焼き 食べてるわけにも いかないでしょ?
少しずつメニュー増やしていかないと。
これ にんじんの皮 むいて。
どうやんだ? これ。
前にやったでしょう。 やったことねえ こんなの。
じゃあ 今日は 覚えて。 いい? こうよ。
これ上の方は 残すのか? これ。 反対にしてやればいいでしょ。
砂糖が大さじ…。 2。 2。
で すり切り。 すり切り。 オッケー。
いいね。 あっ ちょっと待ってて。
えっと… マヨネーズを ちこっと入れっと…。
マヨネーズ? 卵が ふわっとすんだ。
マヨネーズ 少々。 少々。
よく混ぜてね。 何で これ ふっくらすんだろうな?
たんぱくが どうのこうの言ってた…。
科学的なこと…。 (笑い声)
あなたに言っても 分からないし すぐ忘れるでしょ。
どう? 何か分かった? ううん。
(亮介)冷めないうちに食べて それから考えよう。 (美穂)うん。
おいしい。
お父さんも 料理の特訓されたんだよ。 特訓?
うん。 お母さん しょっちゅう お兄ちゃんとこの子 面倒見に行くから➡
留守番のお父さんが困らないように。 へえ~。 ああ そうだったんだ。
あっ やっちまった! 焦げてる? これ。 あっ 駄目だ これ。
焦げてる ちょっと代わってくれ これ。 そう?
代わる? この下 焦げてる これ。
この辺は ちょっと焦げたけんど 初めてにしては 上出来だべ。
そうか?
じゃあ…。 (2人)頂きます。
うんめ! んだか? うん!
いけるか! ハハハ… そっか。 うん!
どうした?
卵焼き 今度 お義父さんに 作ってもらおう。
うん そうしよう。
いつの間に…。
沈んじまうぞ これ。
あっ。
あっ… あっ!
うっ。
えっ。
えっ! えっ!
はっ… あ~ あ~ あ~…。
あっ。
このまま沈んじまおっか?
♬~
恭子 励ましてくれてんのか? これ。
んだな。 しんどい時ほど 頑張っぺだな。
(海鳴り)
また海鳴りか?
クラゲだったのか。
原発…。
30kmは流されてきたってことか…。
あっ… あ~。
寒ぃなあ…。
何だ? あれ。
おお! 布団だ!
乾いてる! 乾いてる! 乾いてる!
いや~ あったけえこと。
♬~
恭子 届けてくれたのか。
ありがとな 恭子。
来た 来た 来た…。
いいの見つけた。
♬~
恭子 生き延びろってことだな これ。
あ~… 喉渇いたな!
(ふき出す音)
何でもやるぞ。 クソ… クソ。
出ねえな…。 あ~…。
臭えな…。 参ったな…。
あ~! まだ 死なねえぞ!
(水がはねる音)
トビウオか。 ほうほうほう…。
こっちだ。
駄目か。
(爆発音)
まさか 爆発?
えらいこった これ。
(テレビ)「経済産業省の 原子力安全・保安院などによりますと➡
福島第一原子力発電所で 今日午後4時ごろ➡
1号機の辺りで 爆発音が聞こえたあと 煙のようなものを目撃したという情報が➡
原発にいた人から寄せられました。➡
原子力安全・保安院は まだ詳しいことは 分かっていないということで➡
状況を調べています。➡
東京電力福島事務所は 先ほどから会見し➡
午後3時半ごろ 福島第一原発の周辺で 『ドン』という爆発音がした。➡
その10分後に 白い煙のようなものが 見えるという情報が入った。➡
作業員数人がケガをしていると 話しています」。
恭子 もう 駄目かもしんねえ。
(テレビ)「まずですね 家の中に… 家の中にいてください。➡
外には 出ないでください」。
「大事な事は 家の中にいるということですね?」。
「建物の中に いてください。 そしてですね➡
窓や扉 そういったものは 閉めてください」。
こんな時だけど 食事はしないとね。 残り物で 鍋作ってるから。
レンタカー借りよう。 どうしたの?
南相馬まで 行こう。 えっ 今から?
捜さないと お父さんとお母さん。
ちょっと待って… 家だって どうなってるか…。
がれきの下で凍えてるかもしれない。 原発の爆発も知らせないと。
通行止めだよ 道路は全部。 行けるとこまで 行こう。
まず ごはん食べて 落ち着こう。 そんな のんきに待っていられない。
心配だけど どうしようもないだろ。
自分の親だったら どうする? 考えてみてよ!
いや おなかの子のことも考えてよ。
見捨てろっていうの? 誰かが 迎えに行かないと!
美穂…。 今は 待つしかない。
行けるようになったら 僕が行くから。 それじゃ 遅いって!
やめて。 ごまかさないで。
お義父さんだったら 来るなって言う。
うるさい…。 うるさい。
(泣き声)
♬~
♬「さよならなんて どうしても」
♬~
[ 回想 ] 帰ってからで いいでしょう!
大津波警報だよ! いいから…。 かばん いっぱいだ!
ここに入れておいて。
お隣?
恭子… 許してくれ。
心臓の音が聞こえる。
恭子。
俺も もう 逝くから。
[ 回想 ] 洗濯 楽になったわ。
美穂が嫁いでくれて。
さみしいのか?
あなたこそ ぼ~っとしちゃって。
山でも行ってくればいいのに。 うん…。
私も 連れてってもらおうかな。 ああ。
とうさん! ああ 何じゃ?
しんどい時ほど…! 頑張っぺ! そう!
よいしょ… よいしょ… よいしょ。
わあ~!
しんどかったけど 頑張ってよかった! フフフ…。
ほら おらいの白い屋根だ あれ。
あれ。
あっ 本当だ! うちだ!
ここまで連れてきてくれて どうもありがとう。
何? 今更 お前…。
美穂がいなくなって やっぱ 何か寂しいじゃない?
これからは 2人なんだよね? うん。
これからも 2人で 一緒にやっていこうね。
ああ。
これからも… 2人一緒に…。
恭子の最期…➡
俺が伝えねえとな。
だよな? 恭子。
♬「別れることは つらいけど」
♬「仕方がないんだ 君のため」
♬「別れに星影のワルツをうたおう…」
♬「あんなに愛した仲なのに」
♬「あんなに愛した仲なのに」
♬「涙がにじむ夜の窓」
♬「さよならなんて どうしても いえないだろうな 泣くだろうな」
♬「別れに星影のワルツをうたおう…」
♬「遠くで祈ろう 倖せを」
♬「遠くで祈ろう 倖せを」
♬「今夜も星が降るようだ」
(泣き声)
おい!
おい! ここだ! 助けてくれ!
お~い!
ああ~! おい! おい! おい! おい! 助けてくれ!
(汽笛)
(汽笛)
よかった…。
助かった。
(汽笛)
ありがとう…。 ありがとう…。 ありがとう…。
ありがとうございます。
助かった…。
大丈夫ですか?
大丈夫です。
揺れますよ。
もう大丈夫ですよ。 すみません。 立てますか? 脚と腰がちょっと…。
足元 気を付けてくださいね。 はい。
お名前と年齢 言えますか? 大谷孝志 60歳。
おケガは ありませんか? 大丈夫です。
ほかに どなたか…? いえ…。
飲まれますか? ああ すみません。
どうぞ。 ありがとうございます。
♬~
よいしょ… よいしょ…。
ただいま。
いや 寒くなったな。
暖房 どうすっか 考えねえとな。
卵が 3個だったよな。
砂糖が 大さじ1?
大さじ2だな。
マヨネーズを ちょっと隠し味で入れると。
あっ こんなもんだったかな?
こんなもんだったか?
ほい ほい ほい ほいっと。 こんな感じじゃねえか? おお?
いいんじゃねえか? これ。 おお。
よいしょ。
お~…!
うん! 卵焼きは もう最高だな これ。
フフフフ… 天才的じゃん 俺。
(テレビ)「200人以上が行方不明となっている 福島県で➡
東京電力 福島第一原子力発電所に近い 沿岸部を中心に➡
警察が 一斉捜索を行いました。➡
このうち 浪江町の請戸漁港では➡
およそ60人が 波消しブロックの間を 一つ一つ確認していました。➡
警戒区域にある この地区は 今も立ち入りが禁止され…」。
(やかんの音) 「津波で壊れたままの家や➡
海岸から離れた場所まで流された車などが そのまま残っていました」。
どうかされましたか? ああ すみません➡
これ どこ行けばいいですか? あ~… あっ こっちですね。
あっ すみません。
ではですね こちらにお掛けになって 少々お待ちください。
すみません。
お待たせしました こちらですね。
こちら ご確認ください。
中 見て 確認してください。 間違いありません。 妻のです。
でも 念のため いろいろ荷物入ってるんで 確認してください。
すみません。 妻のです。 間違いありません。
津波は 大切な妻 恭子を➡
一緒に暮らした家を➡
家族の大切な思い出を➡
全てを奪っていきました。
何で 私だけ助かったのか ずっと 自分を責め続けてきました。
私ではなく 恭子が助かればよかった。
そういうことを 毎日 何十回も考えてしまうんです。
けれども 写真の恭子を一目見て 思いました。
恭子は 許してくれてる。
私が助かったのは 本当に 恭子が助けてくれたんです。
振り返れば 恭子との思い出は 本当に ささやかなことばっかりです。
一緒に畑仕事して➡
ひと休みして お茶飲んだり…。
冬は コタツに入って みかん食べながらお茶飲んだり…。
ず~っと続くと信じてた そういう何でもない毎日こそが➡
掛けがえのないものだったんだと 改めて 気付かされております。
今 私にできることは➡
大切な妻への感謝を忘れずに➡
一日一日 大切に生き続けてくことだと 信じております。
恭子…。
ありがとな。
声 震えてたよ。 ヘヘ… 緊張した。
恭子も笑ってんだろ。 フフ…。
大切な妻って 何回言ったと思う? うん?
3回も言ってたよ。 何 数えてんだ おめえ。
いいスピーチだった。 お母さんも きっと 喜んでると思う。
そっか…。
航 葬式の間 泣かなかったな。 本当 いい子だった。
偉かったのう。 それがね 何だか お父さんに似てきたの。
どこが? 顔が?
目か? どこだ? ハハハハ…。
頑固なとこ。 頑固って… そんなこと分かんのか?
頑固なのか? 頑固だよね?
こっち。
(航)よいしょ…。
何にもなくなっちゃったな。
白いトタン屋根の家で 毎年 じいじが ペンキ塗ってたんだぞ。
へえ すごいな。
あの壁 何?
波が来た時に 海が があ~って流れないように➡
止めるように造ってんだ。 へえ~。
(2人)よいしょ よいしょ…。
うわ~!
海だ! うわ~。
すごい。
♬~
よいしょ。
気を付けろ。
あ~…。
うお~! ハハハ…。 すごいな。
♬~
投げるぞ 恭子!
あれから もう10年だ。
これからも 一緒にやっていこう。
♬「別れることは つらいけど」
♬「仕方がないんだ 君のため」
♬「別れに星影のワルツを うたおう…」
♬「遠くで祈ろう 倖せを」
♬「遠くで祈ろう 倖せを」
♬「今夜も星が降るようだ」
≫女子ゴルフの国内ツアー
久しぶりに観客を入れた ことしの初戦です。
優勝を最終組の 3人が争いました。
3位スタート
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