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完全に放心している竜三を見て➡
おしんは 自分たちが 今 どんな状況に置かれているのか➡
次第に 分かり始めていた。
♬~
昭和42年の春 なつは結婚しました。
それから数か月がたち 季節は また夏になりました。
2人は 西荻窪という町に 家を借りて住んでいます。
♬~
(坂場)早く食べないと遅れるよ。 あとは やっておくから。
(なつ)うん。 もう終わる。
あ~ おいしそう。
頂きます!
どうですか あの不器用なイッキュウさんが➡
こんなに 器用に朝食を作れるのです。
はい これ弁当。 ありがとう。
ねえ また指切ったの? うん。
気を付けてよ。
アニメーターじゃなくて よかった。
どんな仕事をしてても そんなに指を切る人はいないから。
はい… 頂きます。
まあ 人間 そう簡単には変わりません。
うん!
おいしい。 ね。
♬~
♬「重い扉を押し開けたら 暗い道が続いてて」
♬「めげずに歩いたその先に 知らなかった世界」
♬「氷を散らす風すら 味方にもできるんだなあ」
♬「切り取られることのない 丸い大空の色を」
♬「優しいあの子にも教えたい」
♬「ルルル…」
♬「口にする度に泣けるほど 憧れて砕かれて」
♬「消えかけた火を胸に抱き たどり着いたコタン」
なつの今の仕事は➡
専ら テレビ漫画の原画を描くことです。
今 描いているのは「魔法少女アニー」。
奥原さん これ チェックお願いします。 はい。
仕事をする時の名前は➡
奥原なつのままです。
ここ まつげを 目の向きに合わせて直してみて。
はい。 はい。
それから 茜さんも 今は 動画ではなく原画を描いています。
そして もう一つ 茜さんには変化が。
(茜)あっ。 ん?
動いた。 本当?
まるで 魔法にでもかけられたみたいよ。
私が 絵を動かそうとすると➡
こっちも それをまねして よく動くみたい。
へえ~。
キラキラバンバン キラキラアニー! って➡
仕事も出産も 魔法で終わったら楽だけど➡
きっと つまらないですよね。
そっちは どうなの? えっ?
子どもは考えないの?
今すぐは無理ですよ。
でも 考えてるなら早い方が…。
子どもができたら 生活がどうなるのか 想像ができなくて。
イッキュウさんは まだ家で 翻訳の仕事をしてるの?
はい…。
出版社にいる大学時代の知り合いから 翻訳の仕事をもらって➡
それを コツコツ書いてます。
脚本の勉強にもなるって。
(桃代)でも 安定はしてないんでしょ?
うん… 仕事が ずっとあるわけじゃないから。
今のところは 家事は ほとんど やってくれてるけど➡
子どものことまでってなると…。
だから 今は 子どものことは考えられません。
欲しくないの? いや そりゃ 欲しいけど…➡
今は ぜいたくよ 子どものことを考えるのは。
いや ぜいたくという考えは おかしいわよ。
子どもを産んで育てることは 自然なことでしょ。
じゃ やっぱり 女が働くことの方が不自然なの?
それも おかしいでしょ。
でも 実際には そうなってるわよね 子どもができた途端に。
それじゃ 茜さんは やっぱり辞めちゃうんですか?
経済的なことを考えれば 辞めたくはないけど➡
子どもは 一人じゃ育たないしね。
一応 赤ちゃんから預けられる 保育園っていうのを探してるんだけど➡
あったとしても そこも入れるかどうか… 数が少ないから。
そうですか…。
子どものために テレビ漫画を作ってるのに➡
自分の子どもが生まれたら作れないなんて 納得いかないですよね。
なつたちの結婚生活は まだ先の見えない 開拓の途上にあるようでした。
そして まだ独身でいる この人の将来も…。
(咲太郎)また 声を聞いてみて下さいよ。 連れていきますから。
はい お願いします。 それじゃ また よろしく どうぞ!
あ… いやいやいや すみません テレビ漫画の放送が増えましてね➡
声の仕事も そっちが どんどん増えてきまして➡
声優は もう引っ張りだこなんですよ。
(野上)いや 成功してるんですね。 ご立派なことです。
あ~ いやいや まだ貧乏暇なしです。
あ… それで 何でしたっけ? 野上さんのご用件は。
いや そう大した話じゃないんです。
風車は どうされるのかなと思って。 風車が何か?
立ち退きの話 聞いてないんですか?
立ち退き!? あの店がですか? あの辺り一帯が取り壊されて➡
デパートのビルが建つことになったと 聞いておりますが。
本当ですか? 風車は もう 営業できないということですか?
そういう話 聞いてないんですか?
はい… 最近は忙しくて➡
ほとんど 風車には 帰っていなかったもので…。
実は 我が川村屋も 今度 ビルに建て替えることになったんです。
今の店舗を取り壊して 近代化を図ることになったんです。
聞いてます?
えっ? あ はい… ビルになるんでしょ。
その話は やはり聞いてらしたんですね。 えっ?
それで あなた どう動くおつもりですか? 動く?
いつまで待たせるおつもりかって 聞いてるんですよ。
待たせる? とぼけても無駄ですよ。
あなた方が陰で… そういった その… ご関係であるってことは➡
察しがついてるんです。
いつまで そうやって陰で コソコソ コソコソしてるつもりなんですか!
それとも 何ですか? このまま一生➡
けじめは おつけにならない おつもりですか!?
それでは あまりにもあの人がふびんです。 もう若くはないんですから!
野上さん… 野上さん ちょっと落ち着いて下さい。
この風車が無くなるという機会に➡
是非 一度 ご自身の身の振り方を お考えになってはいかがでしょうか?
あっ それ まだ…。 あちちち…! あっつ あっつ…!
(亜矢美)♬「真夏の海は 恋の季節なの」
あら 茂木社長 早いね いらっしゃい。
(茂木)いやいや もう こんな暑くちゃさ➡
いつまでも社長室なんかに 籠もってられませんよ。
ハハ それで 熱々のおでん 食べに来て下さるんだから➡
ありがたい ありがたい。
ママの顔見たら 少しは 涼しくなるんじゃないかと思ってね。
私は お岩さんか。
お岩さんよりも寂しいんでしょ 最近のママは。
えっ?
なっちゃんもいなくなって➡
ここには もう たまの里帰りぐらいしか来ないでしょう。
寂しくなんかありやせんよ ちっとも。
子どもを立派に育て上げた お母ちゃんの気分を味わってますよ。
へえ~。
はあ~… なっちゃんのいない この店のビールは➡
心なしか 気の抜けた味がするね。
じゃ 試してみます?
お~! ハハハハ…。 おいおい…。
(戸が開く音) あ…。
≪ただいま。 お帰り。
あ~ いい匂い!
ちょうど完成したところだよ。 今日は 2時間でできた。
2時間も? うん。
あっ 牛乳使ったんだ?
君のお母さんのノートにあった料理を 作ってみたんだけど。
へえ~。
はい。 あ~ 懐かしい…。
頂きます。 うん。
どう?
おいしい。 子どもの時に食べた味と同じ?
うん 近いかも… でも 牛乳が違うからしょうがないでしょ。
これでも 十分おいしい。
そうか… 牛乳だけじゃないかもしれないな これ。
う~ん…。
いや 大体 君のお母さんのノートには➡
塩は少なめとか しょうゆは多めとか➡
やや少なめとか やや多めとか 曖昧な表現が多すぎるんだよ。
これじゃ どうやって計量していいのか 分からないよ。
しょうがないでしょ 農家で忙しい中 作ってきたんだから。
いちいち計量なんてしてらんないわ。
明日は 私がやる。
頂きます。
で どうすんの?
ねえ 社長 どっか いい物件知りませんか?
えっ 僕が探していいの? 探して頂けるなら助かるわ。
あっ でも あんまり高い所ダメだからね。
でもさ 咲太郎君に頼んだらどうだい?
最近は もうかってんでしょ?
咲太郎には甘えたくないわ。
どうして? 親孝行してもらいなよ これからは。
親じゃないもん。 あの子の負担にはなりたくないの。
負担だなんて思わないって。
大人になったんだから 私たちは 対等でいたいのよ。
咲坊は幸せだな そこまで愛されて…。
ハッ… なっちゃんが幸せになったでしょ。
だから これで やっと 次は 咲太郎の番だからね。
♬「まっ赤に燃えた」
もう一回いきやすか…。 振るなよ 振るなよ 振るなよ ハハハ…。
あ~っと…! いや 振るなよ…。
茜さんが 会社を辞めるかもしれないって。
えっ… 子どもが生まれるから? そう。
まあ 当然 そういうことになるだろうな。
それって 当然なの?
当然 そういう悩みは 抱えるだろうってことだよ。
うちは どうするの? ん?
もし そうなったら…。
(ブザー)
誰だろう? あっ いい。
は~い。
よう。 お義兄さん。 どうぞ。 うん。
お兄ちゃん。 悪いな こんな時間に。
いやいや… どうぞ どうぞ。 入ってよ。
じゃ ちょっと邪魔するぞ。 あっ これ 適当に甘いもん買ってきた。
えっ ありがとう。 ありがとうございます。
どうしたの? ちょっと話があってな。
話? うん… ちょっと大事な話だ。
大事な?
なつ お前 風車の立ち退きの話は聞いてるか?
立ち退き!? やっぱり知らないか。
母ちゃんは それを黙ってるんだな 俺たちに心配かけまいとして。
水くさいだろう?
そこでだ 俺も考えた。 どうすればいいのか…。
どうすれば 母ちゃんは この俺を頼ってくれるのかと…。
頼る? ああ。
それで 俺も けじめをつけることにした。 けじめ?
結婚する。
結婚? 誰と?
川村屋のマダムだ。
(光子)いつも ありがとうございます。
ええ~っ!
「グレートトラバース3」!
日本を代表する三百の頂。
その全てを自らの足だけで踏破する➡
前代未聞の挑戦だ。
挑むのは…
(田中)フォ~!
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