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♬~
♬~
混ざる!
おい 秘密基地行こうぜ。
はい カット オーケー。
カット オーケーです。 杉野さん お楽にお待ちください。
杉野くん 杉野くん ちょっといいかな?
いや お疲れさまです。
お疲れ 最近 ホント いい感じじゃない?
ホントですか? 加藤さん 身内に甘いからな。
いや… 最近 ホントいい芝居してるよ。
その証拠に一つ とんでもないオファーが来てるから。
はい これ 企画書。
えっ? 俺が主演… ですか?
そう これで 海外進出だよ。
気鋭の若手俳優から 一気に➡
日本を代表する俳優に 仲間入りだよ。 ねっ?
あの 加藤さん。 ん?
実は俺 ホラー苦手なんですよ。
だから これ ちょっと 無理かなって思う。
杉野くん 俳優には➡
ターニングポイントになる 作品ってのがあるの。
ここ 頑張りどころだよ。 でも…。
頼むよ。 杉野くんには ホント期待してんだから。
ここは やるって約束して。 ねっ?
いや 杉野くん 事務所の看板になるわけだから。
ねっ?
わかりました。
やります。 よし!
じゃあ 今度のラジオのゲストの 清野とおるさんの漫画ね。
これ 収録までに 必ず目通しておくように。
はい。
《『東京怪奇酒』… 変なタイトル》
♬~
< これがすべての始まりだった>
『杉野遥亮の今度は長ズボン』。
今週も 皆さん よろしくお願いします。
それでは早速 本日のゲストをお呼びしましょう。
漫画家の清野とおるさんです。
どうも はじめまして。 はじめまして。
(2人)よろしくお願いします。 すみません。
漫画 楽しく 読ませていただきました。
『東京都北区赤羽』 あれ 最高っすね。
どうもありがとうございます。 なんかね ホントにおもしろかったな。
「赤羽」だけですか? いや えっと…。
『東京怪奇酒』っていう 作品があるんですけど。
はい 最新作です。 最新作。
ちょっと この作品 気になってて。
はい ありがとうございます。 あれは清野さんの➡
実体験なんですか? 漫画に関しては 完全に➡
実体験ですね。 いや ホントですか? はい。
いやいや… 何やってんですか。
すみません もう今年 40歳になったんですけど。
あっ 今年 41か。 はい ホント申し訳ないです。
なんて言ったらいいんですかね 簡単に言うと➡
心霊現象や怪奇現象が 起こったといわれる現場で➡
お酒を飲むことですね。
僕のこだわりとして 必ず体験した本人から➡
直接 話を聞くようにしてるんですね。
わざわざインタビューしにいく ってことですか?
そうです。 だから なるべく その怪奇現場には➡
一人で行って お酒を飲むことを 心がけてるんですよ。
っていうのも 怪奇酒は お化けとの戦いではなく➡
己との戦いだと思ってるんですよ。
《この人は 何を言ってるんだろう》
自分の脳みその 想定外の行動をとると➡
脳みそってびっくりするんですよ。 そのびっくりした分だけ➡
それまでになかった 新しい価値観が➡
得られるというか 広がるというか。
《理解不能なことを ずっと楽しそうにしゃべってる》
いちばん大きい感情は 恐怖ですけど➡
よくわかんない感情が 同時多発的に➡
湧き上がってくるんですけど。 それらの感情と➡
お酒による酔いとが こうなんか… 混ざり合うっていいますかね。
あ~ 混ざる? はい。
《なんて複雑で 先細った趣味なんだ》
なるほどねぇ なんか興味深い話ですね。
《苦手なホラーの 克服になると思ったけど➡
こんなの絶対に無理だ》
(清野)いや ホント 杉野さんも 怪奇酒➡
マジでやってみてくださいよ。 恐怖心ありきの怪奇酒なので。
怖がりっていうなら なおさら➡
楽しめるタイプの人なんじゃないかな と思いますけどね。
なるほど。 たぶん素質ありますよ 絶対。
吉本の芸人さんで チャンス大城さんって方なんですけど。
この人 見たことありませんか? あっ 待ってこれ➡
「ドキュメンタル」出てた人だ。 そうですそうです…。
LINE交換しませんか? すぐ紹介するんで。
LINE? はい フルフルしましょう。
フルフル? LINE。 えっと…。
フルフルしましょう。 フルフル? はい。
< こうして俺は チャンス大城さんと会うことになった。
正直 怪奇酒には それほど興味を持てないまま>
♬~
♬~
♬~
《チャンス大城さんだ》
こんにちは あの 俳優の杉野遥亮と申します。
チャンス大城です。 よろしくお願いします。
よろしくお願いします。 その人形 何ですか?
あっ あの エミリーちゃんですね。 エミリーちゃん?
はい あの… エミリーちゃんね 一緒に ネタやってるんですよ。
はい あの 今日ライブ終わりでして。 ライブ終わりで? あ~。
今日は 怪奇酒に向いている 場所のお話?
いくつか思いついたんですけど…。 そんな あるんですか?
やっぱ僕が 前 住んでたアパートかな うん。
どれくらい前に住んでたんですか。
えっと 2年前くらいですかね。
この居酒屋の 近所のアパートなんですけど。
アパートの 201号室に住んでまして。
ほんで そこが 結構 霊現象が起こるんですよ。
霊現象? はい 寝てたら➡
手がお尻触ってくるんですよ にゅって。
ほんである日 触ってくるだけじゃなくて➡
ここに うわ~。
あれは ビビりました。
おそるおそる振り向いたら➡
誰もいないんですよ 夜 寝てたら キシキシって➡
足音する音が聞こえたり。
ギーって廊下から 引っかいたような音鳴ったり。
いきなり ここの壁が➡
バーンってなったりするんですよ。
2階に住んでるんですけど 1階から階段でね➡
ダダダダダダって 誰か上がってきたんですよ。
で 僕の部屋のドアを ドンドン ドンドンってノックするんです。
出たら 誰もいないんですよ。
そういうのが続きまして。
でもね そこのね 家引っ越してから➡
テレビの仕事増えましたよ。 なんで。
わかんないですよ 『人志松本のすべらない話』とか。
はいはい…。 はい とんねるずの➡
「細かすぎて伝わらないモノマネ」。 はいはい… とか?
優勝したり。 え~ あっそう!
でね ある日ね BBゴローさんっていう➡
稲川淳二のモノマネする芸人さんいて。
泊まりに来てね。
で 僕 共同便所で 部屋出て 廊下歩いたら便所なんですね。
で BBゴローさんがトイレ行きまして 戻ってきたら➡
白い服着たおばあさんが➡
歩いてたよ おーちゃんって言うんですよ。
そんなおばあさんおらんよ ここ➡
住んでないよって。 隣人に たくみくんっていう➡
大学生の子がいるんですけど 留学するから➡
引っ越すんです いうて 最後挨拶しに来てくれたんですよ。
で 大城さん よく 夜中にね➡
白い服着たおばあさんが 歩いてるんですけど➡
あれ 誰だったんですかねって 言うんですよ。
BBゴローさんと 同じこと言うんですよ。
で ある日ね 三浦マイルドっていう 後輩の芸人がいるんですよ。
僕の部屋が散らかってたから➡
こう 掃除してくれましてね。
記念に きれいくなった部屋の➡
写真を撮ったんですよ。
ほな はっきりと 黒い影が 写ってるんですね。
で なんや この黒い影思うて。
これが その写真なんですけど。 ウソだ!
この ブラックホールみたいなの。 加工じゃなくて?
はい 霊媒師の友達がいて 1回 部屋に来てもらったんですよ。
黒い影が霊穴や いうて。 霊穴?
はい 霊の穴って書いて。
えっ どういうことですか?
僕の部屋が あの世と この世の 境目になってるって。
この穴の前に 人気ラーメン店くらい➡
霊がズラーって並んでるって 言われましてね。
管理人さんには 話しておきましたんで。
僕の部屋に入らなければ 大丈夫だそうです。
今はもう 誰も 住んでないみたいなんですけど➡
自由に使ってください。 はい。
これ お酒とかさっきの話に合う➡
つまみも選んでおきました。
はい ありがとうございます。
では。 えっ…。
<怖い気持ちはあったけど➡
せっかく 話も聞かせてくれたわけだし➡
俺は チャンス大城さんが かつて住んでいた➡
アパートに向かったが…>
< やはり そこは薄気味悪くて 嫌な空気が漂っていて➡
いかにも何か出てきそうな 雰囲気だった>
《はぁ やっぱ やめようかな》
⦅僕も怪奇酒を始めてから 夢見もよくなったし➡
目覚めもよくなったし。
運勢が上がって 仕事が増えましたね。
一気に日本を代表する 俳優に仲間入りだ ねっ!⦆
《わかりました。 わかりましたって》
♬~
やっぱ帰ろうかな。
ダメだ やっぱ 中 シャレになんない ダメだ こりゃ。
しばらく外で待ってよう。
(足音)
よかった。 ほら やっぱ 普通に人も歩いてんじゃん。
《なに 今の人 怖っ! なんで こっち見て笑ってた?》
うわっ!
うわ~っ! (バイブ音)
(バイブ音)
いや もうビックリした! (急ブレーキ音)
《なんで お札!?》 (ガラスが割れる音)
なになに!?
《もう畳みかけてくるじゃない!
いきなり 「リング」に 放り込まれたじゃない!
もう嫌! 絶対 帰る! すぐ帰る!
何やってんだ 俺は。 帰れよ 今すぐ。
1人で心霊スポットで酒飲むなんて 頭おかしいって!》
ホントに住んでたんだ。
⦅引っ越してから 運勢が上がって 仕事が増えましたね⦆
《2階 行ってみるか》
♬~
♬~
♬~
こんなとこで 酒…。
こんなとこで お酒なんて 飲めるわけねえだろ!
ここに いるだけで 精一杯の場所だよ…。
バカじゃねえの?
⦅引っ越してから 運勢が上がって➡
仕事が増えましたね⦆
わかったよ 1杯だけだぞ。
⦅引っ越してから 運勢…⦆
ってか 大城さん しつこい。
《さっきよりも闇が深まったな。
シーンとしすぎて耳が痛い》
《これが霊穴の境界線の空気か》
乾杯。
乾杯。
《あれ? うまい!
いつもよりも断然うまい!
キレもコクも寒さで 研ぎ澄まされてるし➡
暗闇だから味覚以外 何もなくて 味に集中できる。
のどを染みとおっていく爽快感。
体中に広がる幸福感。
うますぎる!》
(物音)
《なになに 今の!?》
⦅白い服着た おばあさんが➡
歩いてたよ おーちゃんって いうんですよ⦆
《ってことは 白い服を着た おばあさんの霊。
怖っ!》
⦅さっきの話に合う つまみも選んでおきました⦆
《さけれるチーズとビーフジャーキーって なに このチョイス》
⦅僕が昔 住んでたアパートの場所で➡
牛裂きの刑っていうのが 行われていたんですね。
牛裂きの刑っていうのは➡
昔の拷問ですね。 重罪犯した罪人の両手両足に➡
縄を 4頭の牛につないで➡
一気に牛が走り出すんですね。
罪人の体がブシャブシャ ブシャー。
ギャー うわぁ!⦆
《牛裂きの刑だから さけれるチーズとビーフジャーキーって…。
不謹慎すぎる》
まだ30分も経ってないのか…。
⦅僕が思うに 怪奇酒っていうのは➡
お化けとの戦いでもあり➡
己との 戦いでもあると思うんですよね⦆
《己との戦いって 何!? そもそも 戦う必要あるっけ?》
⦅お化けマンションで飲むのは 攻めの飲酒です。
わかりますか?⦆
《わかりました わかりました。
杉野 攻めます》
《あぁ 日本酒 うまぁ。
ちょっと酔ったな…》
♬~
《バカ バカ バカ なんか見えたら どうすんだよ!》
《プハー。
もし ここがホントに霊穴なら 霊の行列が目の前に…》
《俺のこと 踏んづけちゃったりしてたり?
あぁ 怖い。
でも ドキドキする!》
なんだろう この気持ち。
《いろんな感情が溢れてくる。
不謹慎なことを してはいけないと止める自分と➡
やっちゃえと背中を押す自分?
俺は今 禁断の境界線上を 行ったり来たりしてる》
《こっ これが怪奇酒か 怪奇酒ってやつなのか!?
えっ えっと…。
杉野 踊りま~す!》
♬~
《暗闇だと 大胆にもなれるな。 いいぞ 杉野》
ハア 刺激的なんですけど…。
《やっべえ 何この感覚。
怖いし うまいし ゾクゾクするし ちょっとドキドキ ワクワクするし➡
この感情 何?
ひと言じゃ 言い表せないんですけど》
⦅怪奇現場の…。 よくわかんない感情…⦆
《感情のダムが決壊して 俺の中のすべての感情が…》
あぁ 混ざる!
み~つけた。
⦅僕の部屋に入らなかったら 大丈夫みたいです⦆
《もっと もっとくれ。
俺にくれよ》
《俺は この先に…》
《この先に…》
《いきたいんだ!》
うぎょ ホホホホ!
ウハー!
<ドアを開けた瞬間➡
俺は たまらなく走りたくなった。
マンションから一歩 表へ出たとき➡
あの世からこの世へ 生還できたような安堵感を抱き➡
先ほどまで なんとも思わなかった 街の景色が➡
とても美しく 尊いものに見えた。
俺は あの瞬間…>
いっ 生きてる!
俺 生きてる!
<「怪奇酒」のあとは 開運飯>
お待たせしました~。
はい こちらは 豆乳味噌の温奴です。
これ お豆腐と納豆と豆乳。
これ 3つとも原料が豆なんですよ。
大豆。 豆。
(関)豆っていうのは 昔は 魔を滅するって字をあてて➡
魔除けにした食材なんですね。
魔除けのトリプルで…。
いただきま~す。 (一同)いただきま~す。
豆腐がしっかりされてますね。
あっ おいしい。 めちゃくちゃおいしい。
えっ 納豆とひき肉を…。 (関)ひき肉とソース… 赤味噌とネギ。
う~ん…。
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