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Original subtitles

<彼の名は 橋田一。 新聞社のシステム部で働くかたわら➡

ギャグマンガを描いている兼業マンガ家。

ただ 彼の会社には 働かざる者たちがチラホラ。

そんな人たちに ほんろうされながらも➡

必死に自分の生き方を 見つけようと奮闘中なんだ。

まだまだブレブレの橋田だけど 最後まで見てね>

困るな。 システムさん。

なんで校閲システムデータ 古いままなんですか?

おかしいですね。

《ヤバい。 完全に俺のミスだ。

この前のシステムリリースのときに➡

マンガのネタを考えながら やってたから》

⦅ヘクソン大統領… ヘクソン大統領⦆

早く直してね。

はい。 あの 明日までには 必ず直しておきます。

<新聞社 編集局 校閲部。

短い締め切り時間の中で➡

記者が書いた原稿の誤りを正す 最後のとりで。

日本語の達人が集う エリート集団である>

ん?

《えっ あの人➡

ただ単に ウィキプディアをメモ帳に貼り付けて➡

読んでいるだけじゃないか。

まさか校閲部にも➡

働かざる者が巣くっているのか》

まあ 校閲部は 変わった人が多いのは事実だね。

無駄に高学歴な 文学少年と少女ばっかで➡

一筋縄じゃいかない連中だよ。

記者側からすると校閲部って➡

聖域って感じなんだよね。

ふ~ん ねぇ はい。 あのさ➡

原稿を正すってさ 具体的に何を見てるの?

う~ん 大きく分けると まず誤字。

あと 言葉の誤用。

これは解釈が割れて 難しいときもある。

それから事実関係。

まあ この辺はネットや資料で わかる範囲でって感じだな。

ふ~ん。 まぁ 更に言うと➡

校閲には そんな上っ面だけじゃない➡

もっと奥深い 奥義があるんだけどな。

奥義? 例えば こんな記事。

ふん? 何がだめなの?

気づかないよな。 まぁ 俺も見落とすわ。

ちょちょちょ… もったいぶってないで➡

何が違うか教えてよ。

目の見えない人たちが 事故現場を➡

見て回ると表現するのは あまりにも残酷だろ。

あ~。 なるほどね。

そういう 「失言だと受け取られる 可能性」に➡

校閲は気づくべきなんだよ。

校閲って奥深い仕事だね。

ちなみに この校閲は 柳瀬さんが若いときに見つけて➡

伝説になったらしいよ。

そうなんだ。 やっぱ 部長になる人ってすごいんだね。

ただの嫌味な おじさんだと思ってたよ。

お待たせです。 つくねです。 おっ うまそう。

わっ デスクからだ。

はい。

あ~ そうですか。 じゃあ会社戻りますね。

あっ はい。 いえいえいえ あの全然近くにいますので。

はい はい すぐ行きます。 はい。

新田くん また つくね食べられなかったね。

だな~。

あっ そういえばさ お前の仕事ぶり久々に見たけど➡

結構しっかりやってんじゃん。 そうかな?

そう見えてるならいいけど…。

けど?

今日もしつこく八木沼さんに コンパ誘われてさ。

⦅どうせお前 家帰ってもやることねえんだろ?

合コン行こうぜ 合コン。 なぁ 橋田。

今日あれだよ お前 CAだよ。 客室乗務員だよ お前⦆

(鴨志田)あの年代は ハッキリ明暗が分かれてるな。

そうだね。 遊んでばっかりの人が➡

俺たちよりも給料高いってのは 理不尽だよな。 うん。

なんで あいつ 毎回 二千円札置いてくんだよ。

《ヤバい。 今日までに直すって言ったのに。

なんとか 柳瀬さんに 見つかる前に終わらせなきゃ》

《うわっ! ウィキプディアのおじさん》

システムの兄ちゃんよ。

どんなに頑張ったって 俺たちは来年には➡

この会社に切り捨てられるぜ。

いや 何を言ってるんですか?

新聞社っていうのは結局 記者のもんなんよ。

システム部も校閲部も いずれ子会社化されて➡

親会社に安い給料で 使われるようになるのさ。

うちが そうなるってことですか? そうとも。

すでに他の新聞社では 子会社化が始まってるよ。

ほら。

そ… そんな!

だからさ 今はウィキプディアでも読んで ゆっくりやろうぜ。

《そこまでして 仕事したくないのかよ》

ちょっとウィキさん 二社面 校閲終わった?

《ウィキさんって 呼ばれちゃってるし》

バッチリ問題なしでした。

柳瀬さん。 ソイツに校閲させるなと➡

何回言えばわかるのかな? あっ すみません。

あと システムさん。 はい。

昨日の古いデータ まだ直ってないんですね?

それは…。 あなた➡

今日までに直すって 言いましたよね?

もっと言葉に責任持ちなさい。 すみません。

言葉に責任か。

いや~ さすが部長さん。

あっ そういえば 聞きましたよ。 あの 柳瀬部長の奥義。

奥義? ほら あれですよ あの…。

あの 視覚障害者の方に対して➡

見て回るは使わないっていう ほら あの伝説のやつ。

さすがですよね。 普通の人は気がつかないですよね。

ねぇ ウィキさん。

そうなんだよ。 コイツは すげぇやつなんだよ。

で いつ直るの?

それが ちょっと原因がよく…。 いつ 直るの?

すみません あの 今日中に必ず直します。

あ~ どうして直んないんだ。

⦅コイツは すげえヤツなんだよ⦆

《なんか すごく悲しそうな顔だったな。

っていうか 柳瀬部長は どうして あんなに➡

ウィキさんを 目の敵にしてたんだろう。

もう定年間近の おじいちゃんなんだから➡

ほっとけばいいのに》

☎

はい システム部です。

少々お待ちください。 橋田。

はい。 内線。

はい。

はい もしもし 橋田です。

ねぇ 最近 マンガ描いてんの?

か 川江さん… あの 今 それどころじゃないんで。

(不通音)

なに? どうせヒマなくせに。

☎

(ため息)

はい システム部です。

はい 少々お待ちください。

橋田。 はい? 内線。

え? ったく…。

だから 今 忙しい…。

あ… 新田くん。

えっ 柳瀬さんとウィキさんが同期?

うん そうなんだって。

今朝 河田部長と 校閲の話になって➡

それで 教えてもらったんだ。

まさか ウィキさんも 94年組だったとは。

(鴨志田)知らなかった。

いや 1人だけ ダントツで おじいちゃんじゃないか。

ああ それだけじゃないんだ。

ん?

24年前➡

ウィキさんは京大を卒業して 校閲部のエースとして活躍していた。

そんなとき ある原稿の中に 絶対に見過ごせない記述を➡

見つけた。

⦅マジか。

お~ よく気づいたな。

でもなぁ…⦆

それは 論説委員長の 神前さんの原稿だったんだ。

神前さんっていったら➡

当時の新聞記者の中で いちばん偉い➡

いわば 神様みたいな存在。

そんな人の記事を 新人のウィキさんが指摘したら➡

神前さんの気分を 害してしまうかもしれない。

それなのに ウィキさんは…。

⦅ちょっと 待てよ お前 やめとけって。

相手は論説委員長だぞ。 相手が誰だろうと関係ないだろ?

正すべきところは正さないと。

(ノック)

失礼します! 失礼します。

何者だ? はい。

あのさぁ じいさんさ この社説なんだけどさ…。

おい! こんな表現 絶対にダメ。

最低。 いや そんなことありませんので。

一応 ご参考までに 持ってきただけなので。

すばらしい。

えっ? どちらが気づいたんだ?

そりゃ…。 私です。

すばらしい着眼点だ 優秀だね。

おい…。 いやぁ 恐縮です。

あっ 神前さん お茶をいれ替えましょうか。

気が利くな。

ちょっと こっちで話そう。 はい。

(柳瀬)あの いつも 拝読しております。

たいへん感銘を受けています⦆

マジか。

それ以来 すっかり 人生の歯車が狂っちゃって➡

今に至ってるって。

えっ じゃあ ウィキさんが 働かない理由って➡

会社や部長に 復しゅうしてるからってこと?

ってことかもね。

そんな幼稚なこと 許されるのかな?

まぁ でも 念願の校閲部に入って➡

仕事が認められたタイミングで はしごを外されるんだ。

同じ校閲として ウィキさんの無念は➡

わかってあげたいけどな。

《念願の仕事に就く。

その喜びを俺は知らない》

髪切った? 切ってないです。

いやいや… 切っただろ。 前 だって もうちょっと…。

《あんなふうになってはいけない と思ってたけど➡

やりたい仕事でもなく マンガのことを考えてミスして➡

そのミスも満足に直せてない俺は もしや➡

すでに ウィキさんや 八木沼さん以下なのか…》

(八木沼)変わってないなんてこと ないよ。

ディーセント・ワーク…。

働きがいのある人間らしい仕事…。

おい 橋田。 はい すみません。

ほ~ら 全然忙しくないじゃん。

で 何? 話って。

どうして 新しいマンガ 更新しないの?

そんなことか…。

いや マンガは少しセーブして➡

仕事を頑張ろうと 思っただけだよ 一応。

一応?

言っとくけど 私たちの世代は➡

上の人たちみたいに お給料も出世も望めないし➡

新聞なんて 終わりかけてる 業界なんだからね。

副業で保険かけたほうが いいじゃん。

あんなマンガ 保険にもならないよ。

そう思うんだったら もっと努力して 上目指せば?

売れてる雑誌に バンバン 持ち込みとか行ってさ。

ほら 映画化なんかされたら 億万長者だよ。

ケツ太郎で映画なんか無理だよ。 それに俺 会社員だし。

アンタの今の仕事 楽しみにしてる人って いんの?

いないでしょ?

でも アンタのマンガなら 少しくらいは いるかもしんないじゃん。

待ってくれる人が。

あっ ねぇ 次のマンガさ ネコ出そ ネコ。

アンタ程度の画力でも 腐ってもネコだから。

あと サラリーマンの社畜あるあるも 入れてこう。

それを明日の朝までに 1本アップ。 いい?

いや そんな無茶な…。 うるさい 黙れ。

約束だから。

明日までにって。

待ってくれる人…。

もしかして それ…。

描き始めると 手が止まらないんだよな~。

俺の中の手塚治虫がうずくぜ。

フッフフフ…。

楽しみにしてる人か…。

⦅絶対に 今日中に直してよね!⦆

はぁ…。

明日には 絶対 なんとかしないと。

⦅こうやって ウィキプディア見てれば 仕事してるように見えるだろ?⦆

んだよ もう!

働きがいのある仕事か…。

《よし これだ これだ!

このコマンドを直せば完了だ!》

え~っ まだ終わってないの?

いったい 何日かかるのかな~。

すみません あの…。 昨日は 今日中に終わるって➡

言いましたよね? あの… もう… 終わりますんで。

はぁ~ 本当に 言葉に 責任持たない人だな~。

ハンッ!

なんですか?

言葉に責任 持つことも 大事だけどよ➡

正しく 仕事することが先決だろ?

急いで 復旧して ミスしたら意味がない。

校閲が いちばん そういう仕事だろ?

ハッハハハ…。

何を… 働かない人間が偉そうに。

ウィンストン・チャーチルは言った。

誠実でなければ 人を動かすことはできない。

柳瀬さん アンタは どうなんだ?

アンタは 誠実か?

とにかく 今日中には直してよね?

はい。

は~っ! 邪魔者がいなくなって清々した!

橋田くんだっけ?

のんびりやりなよ。

ウィキさん ありがとうございました。

別に ウィキプディアで読んだ名言➡

使ってみたかっただけだよ。

あの… 例の盲目の方の校閲➡

ホントは ウィキさんが 見つけたんですよね?

さぁね 昔のことは忘れたよ。

そんな かっこいいセリフ ウィキさんには似合いませんよ。

言うね! すみません。

僕はね ず~っと 校閲に憧れていたんだ。

だから 何をされても 何があっても➡

この校閲を 離れたくないだけなんだ。

校閲は ウィキさんの 生きがいなんですね。

《なら 働け!》

校閲部のシステム修理 大変だったみたいだね。

うん まぁね。

校閲部に長時間 入り浸って わかったんだけど➡

校閲の人たちってさ 自分の仕事が好きなんだよね。

だから ウィキさんもさ➡

自分の好きな 仕事だったからこそ➡

裏切られたショックが大きくて 働けなくなったんだよな。

まぁ そうだよね。

でも そんなに優秀なら よその新聞社に行けばいいのに。

結局 ずっと居座って 給料だけもらって働かないのは➡

年功序列のがんだよ。

あっ… まぁ そ… まぁ そうか。

まぁ いいや この話は。

飲もう 今日は久しぶりに ゆっくり飲めるんだ。

えっ 飲めるの? 珍しいね。

まぁ でも 朝早いとかでしょ?

ううん 全然。 明日は 6時起きだから。

いや いや いや 6時起きは十分早いよ。

そうかな?

ねぇ 新田くんはさ 毎日 忙しくて つらくないの?

まぁ 僕も好きで やってることだからね。

好きでやってることか…。

《俺は 新田くんみたいに 自信を持って➡

自分の仕事が好きとは言えない。

でも そもそも 働くことに➡

好きだという 感情は必要なのだろうか。

好きなことを仕事にすると➡

挫折したときに ウィキさんみたいに なってしまう可能性がある。

それなら 仕事は仕事で 一生懸命 頑張りつつ➡

自分の好きなこととして➡

マンガも一生懸命 頑張ればいいのか。

これ 働くことの 答えになってるか?》

橋田くん?

どうしたの? 固まっちゃってるけど。

いや なんでもないよ ごめん。 ああ…。

じゃあ 久々に 乾杯。 乾杯。

うわっ 珍しい。 八木沼さんが残業ですか?

バカ! そんな むだなことしねえよ!

財布 忘れただけだ…。 じゃあ ついでに この間 貸した➡

500円 返してもらえます? お前 よく覚えてんな…。

たかが 500円 返せ… お前 ちっちゃい人間だよな。

ホントに。 あざ~す。

添田 どうしたんだ? お前 浮かねえ顔して。

キャバでも行くか? キャバでも。

割り勘でって。 これ 見てみろよ。

えっ? んなもん 勤務時間外に パソコンなんか見たくねえよ。

えっ?

来月から 大野が 俺たち 技術局の局長だよ。

♬~

ウッソ~。

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