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(正助)えいっ! 76 00:05:47,610 --> 00:05:50,860 (鶴吉)痛えな… このガキ! 77 00:05:50,860 --> 00:05:52,650 坊ちゃま! (とよ)兄上…! 78 00:05:52,650 --> 00:05:56,010 (鶴吉)なめたことしやがって! 79 00:05:57,060 --> 00:05:58,980 大丈夫ですか? 80 00:05:58,980 --> 00:06:01,000 (鬼吉)このアマ…。 81 00:06:05,250 --> 00:06:09,280 (常吉)なめやがって…! 許せねえ! 82 00:06:11,240 --> 00:06:14,030 (正助 とよ)やった! やった! 83 00:06:19,560 --> 00:06:27,190 (湧田の権蔵)こんな小娘相手に… 何てざまだ! 84 00:06:38,400 --> 00:06:41,590 お前 その年で 2人の子持ちか? 85 00:06:41,590 --> 00:06:42,640 違います。 86 00:06:42,640 --> 00:06:45,630 私がお仕えしている お武家様の子です。 87 00:06:45,630 --> 00:06:47,140 無礼なまねは許しません! 88 00:06:47,140 --> 00:06:48,010 (権蔵)うるせえ! 89 00:06:49,290 --> 00:06:53,510 うちの子分に無礼なまねしたのは…。 90 00:06:54,560 --> 00:06:56,460 おめえのほうだろ! 91 00:06:56,930 --> 00:06:59,390 やめてください! 荷車を壊さないで! 92 00:06:59,620 --> 00:07:03,330 ショバ代 ケチったばかりに とんだ大損だな。 93 00:07:03,960 --> 00:07:07,570 ケチってはいません。 支払ういわれがないと言っています! 94 00:07:08,260 --> 00:07:10,410 減らず口 たたくんじゃねえ! 95 00:07:23,330 --> 00:07:25,820 お百姓に謝りなさい。 96 00:07:28,230 --> 00:07:30,280 お嬢様…! 97 00:07:48,930 --> 00:07:53,180 お嬢… 年は おいくつで? 98 00:07:54,290 --> 00:07:55,320 4歳です。 99 00:07:57,970 --> 00:07:59,210 4歳…。 100 00:08:04,060 --> 00:08:06,150 4歳ですか…。 101 00:08:09,030 --> 00:08:12,510 (鬼吉)おっ… 親分? 102 00:08:14,670 --> 00:08:15,830 てめえら 帰るぞ! 103 00:08:17,370 --> 00:08:18,770 おい! 104 00:08:19,470 --> 00:08:22,340 食え! 拾え! ほら!➡ 105 00:08:22,650 --> 00:08:24,750 ほら 食え! 106 00:08:27,200 --> 00:08:28,580 ほら 食え! 107 00:08:28,580 --> 00:08:31,610 食い物 粗末にするんじゃねえ! 108 00:08:31,610 --> 00:08:32,550 ばか野郎…! 109 00:08:51,140 --> 00:08:53,160 何やら 酒臭うないか? 110 00:08:53,380 --> 00:08:56,570 (重臣)いくらなんでも この席に酒は…。 111 00:08:56,570 --> 00:08:58,750 (斉藤清兵衛)御一同 お見えですぞ。 112 00:09:20,310 --> 00:09:22,810 勝豊。 113 00:09:22,810 --> 00:09:24,490 はっ。 114 00:09:24,490 --> 00:09:28,140 お主は鏑木家当主。 115 00:09:28,140 --> 00:09:31,510 正しく見定めよ。 116 00:09:32,060 --> 00:09:33,800 はい。 117 00:09:36,230 --> 00:09:41,120 (斉藤)では これより 風早市之進に関する詮議を執り行う。➡ 118 00:09:43,250 --> 00:09:45,750 殿。 何だ? 119 00:09:53,870 --> 00:09:56,710 轟 平九郎殿を襲った者が➡ 120 00:09:56,710 --> 00:10:02,430 風早市之進に命じられたと白状した 口書でございます。 121 00:10:08,600 --> 00:10:11,310 白状… したのだな? 122 00:10:11,310 --> 00:10:13,050 (斉藤)はっ。➡ 123 00:10:13,050 --> 00:10:16,880 この一味は 夜な夜な風早家に集い➡ 124 00:10:16,880 --> 00:10:21,190 政をこき下ろし 謀反を企てていたのでございます。➡ 125 00:10:21,460 --> 00:10:26,010 しかも 鏑木のお家に忠義を尽くしておる この私が➡ 126 00:10:26,010 --> 00:10:31,950 江戸屋敷勘定方に命じて 不正に金を動かしているなどと➡ 127 00:10:31,950 --> 00:10:34,880 根も葉もないうわさを 流したのでございます。 128 00:10:34,880 --> 00:10:37,730 ほう…? 129 00:10:39,340 --> 00:10:45,000 これはまさしく 大殿への逆心の証しにほかなりません。 130 00:10:46,060 --> 00:10:50,160 それは… そういうことだな。 131 00:10:51,880 --> 00:10:54,290 おそれながら…。 132 00:10:58,560 --> 00:11:04,010 斉藤様の仰せのとおり 多くの若者が➡ 133 00:11:04,010 --> 00:11:07,230 我が風早家に集っていたのは 事実でございます。 134 00:11:08,630 --> 00:11:12,620 しかし それは お家の勝手向きを憂い➡ 135 00:11:12,620 --> 00:11:14,640 この鏑木家に仕える武士として➡ 136 00:11:14,640 --> 00:11:18,170 何をすべきかを 真剣に話し合っていたからでございます。 137 00:11:18,170 --> 00:11:20,510 それを…➡ 138 00:11:22,370 --> 00:11:27,510 謀反の企てと決めつけられるのは 無念千万…! 139 00:11:36,640 --> 00:11:39,730 国許の材木問屋 日向屋から➡ 140 00:11:39,730 --> 00:11:42,960 多額の金子が じかに江戸屋敷に流れており➡ 141 00:11:42,960 --> 00:11:46,040 それを差配しているのが 江戸家老の斉藤様であることは➡ 142 00:11:46,040 --> 00:11:49,040 勘定方なら誰もが存じております。 (斉藤)まだ言うか! 143 00:11:49,160 --> 00:11:54,920 また その材木問屋 日向屋は 普請方 安坂長七郎殿が➡ 144 00:11:54,920 --> 00:11:58,910 城内で 轟 平九郎殿に斬りかかり 切腹に処された一件にも➡ 145 00:11:58,910 --> 00:12:01,270 関わりがございます。 146 00:12:01,270 --> 00:12:03,500 安坂長七郎殿は➡ 147 00:12:03,500 --> 00:12:08,590 日向屋にまつわる不正を ただそうとしていたのでは ありますまいか! 148 00:12:10,060 --> 00:12:17,550 [ 回想 ](安坂長七郎)私は… その一件に関する 不正の証しを持っております。 149 00:12:23,150 --> 00:12:26,040 [ 回想 ]轟…! 150 00:12:29,000 --> 00:12:32,620 轟殿は 日向屋と深く関わりがございます。 151 00:12:32,620 --> 00:12:35,610 どうか この場に轟殿を呼び 事の次第を明らかに…。 152 00:12:35,610 --> 00:12:37,150 (勝重)もうよかろう。 153 00:12:38,480 --> 00:12:40,510 あの…。 154 00:12:42,170 --> 00:12:45,520 さっさと沙汰を申し渡せ。 155 00:12:45,910 --> 00:12:46,870 しかし…。 156 00:12:49,120 --> 00:12:50,580 切腹じゃ。 157 00:12:56,660 --> 00:12:58,500 はい…。 158 00:13:02,700 --> 00:13:05,410 では…。 159 00:13:06,920 --> 00:13:10,170 (柚木)しばしお待ちを。 160 00:13:10,170 --> 00:13:17,100 ああ… それがし 何やら にわかに 頭がはっきりしてまいりましてな。 161 00:13:17,100 --> 00:13:22,770 確か その安坂長七郎殿から➡ 162 00:13:22,770 --> 00:13:30,010 「材木問屋 日向屋と轟殿に関わる 不正の証しがある」と… 163 00:13:30,010 --> 00:13:31,100 耳にしたような。 164 00:13:31,350 --> 00:13:36,190 (斉藤)何を寝ぼけたことを… 14年も前のことですぞ。 165 00:13:36,190 --> 00:13:39,790 いやいや いやいや いやいや… 方々➡ 166 00:13:39,790 --> 00:13:44,530 ここは 心して かからねばなりませんぞ。 167 00:13:44,530 --> 00:13:49,810 お主 不正の証しとやら 隠し持っておるのではないか? 168 00:13:49,810 --> 00:13:53,460 それは…。 (柚木)正直に申すはずがござらんわ! 169 00:13:53,640 --> 00:13:57,800 風早市之進を切腹に処した後➡ 170 00:13:57,800 --> 00:14:02,680 夜な夜な風早家に集い 徒党を組んでおった輩が➡ 171 00:14:02,680 --> 00:14:08,420 不正の証しを持って ご公儀に訴え出たりしたら…。 172 00:14:08,420 --> 00:14:09,520 ≪ご公儀に…? 173 00:14:10,090 --> 00:14:13,000 (柚木)さよう。 一大事でござる。 174 00:14:17,470 --> 00:14:25,270 殿 ここは 慎重なお裁きが賢明かと存じまする。 175 00:14:28,090 --> 00:14:33,420 では その…。 176 00:14:33,420 --> 00:14:37,020 (勝重)沙汰は据え置く。 177 00:14:42,680 --> 00:14:47,590 不正の証しについて しかと確かめよ。 178 00:14:47,590 --> 00:14:52,910 安坂長七郎ゆかりの者を くまなく調べ上げるのじゃ! 179 00:15:27,760 --> 00:15:29,230 何…? 180 00:15:29,460 --> 00:15:34,390 (権蔵)あとは その壁と… 鬼吉! 格子戸 抜け! 181 00:15:37,580 --> 00:15:39,780 何してるんです! 182 00:15:39,780 --> 00:15:42,900 おめえの家が ひでえあばら家だって聞いたもんでな➡ 183 00:15:42,900 --> 00:15:44,430 ちょいと修理してやろうかと。 184 00:15:44,430 --> 00:15:47,210 結構です…! ≪ごめんよ! 185 00:15:47,210 --> 00:15:50,470 (権蔵)こいつら 俺に借金のある大工だ。➡ 186 00:15:50,470 --> 00:15:52,960 ここの修理をすりゃあ 棒引きにしてやるって➡ 187 00:15:52,960 --> 00:15:56,390 約束しちまったんだ。 いまさら引き下がれねえよ。 188 00:15:56,390 --> 00:15:57,620 信じられません。 189 00:15:57,620 --> 00:15:59,830 ショバ代 取ってるような人の言うこと。 190 00:15:59,830 --> 00:16:01,700 だ… 大体…! おい! 191 00:16:02,230 --> 00:16:06,550 声が大きいよ…! お嬢 まだ寝てんだろ? 192 00:16:08,010 --> 00:16:09,530 そうですけど…。 193 00:16:14,340 --> 00:16:16,520 (権蔵)俺にもいたんだ 娘が。 194 00:16:17,790 --> 00:16:19,340 「いた」? 195 00:16:19,340 --> 00:16:26,540 8年前に死んじまった。 はやり病で あっけなく。 196 00:16:27,900 --> 00:16:33,200 4つだった。 たった4年しか生きちゃいなかった。 197 00:16:36,390 --> 00:16:40,520 「酒飲むな! おっかあに謝れ!」って➡ 198 00:16:41,270 --> 00:16:46,470 娘だけが俺をきちんと叱ってくれた。 199 00:16:46,910 --> 00:16:50,200 きのうのお嬢みてえにな。 200 00:16:52,400 --> 00:16:56,430 俺は何度も 心を入れ替えようとしたが➡ 201 00:16:56,430 --> 00:17:02,290 つい酒飲んで けんかして 相手に大けがさせちまったもんで➡ 202 00:17:02,290 --> 00:17:06,510 しばらく身を隠してた。 203 00:17:06,510 --> 00:17:10,170 ほとぼりが冷めたころに帰ってみると➡ 204 00:17:11,710 --> 00:17:15,010 娘は もう…。 205 00:17:16,180 --> 00:17:18,180 女房にも愛想尽かされて…。 206 00:17:22,650 --> 00:17:30,500 お嬢が 死んだ娘の 生まれ変わりみてえに思えてな。 207 00:17:36,300 --> 00:17:39,720 (椎上節斎)…なら うちの床も頼もうか! 208 00:17:40,270 --> 00:17:41,120 えっ? 209 00:17:41,120 --> 00:17:44,450 うちの塾の床が抜けて 困っておる! 210 00:17:44,450 --> 00:17:47,490 子どもたちのためだ! ついでにやってくれ! 211 00:17:47,490 --> 00:17:50,590 ばかか! おめえらには何の関わりもねえよ! 212 00:17:50,680 --> 00:17:51,720 うん…? 213 00:17:51,720 --> 00:17:53,040 ≪(正助)先生! お骨さん! 214 00:17:53,150 --> 00:17:54,550 (正助 とよ)(節斎)おはよう。 おはようございます! 215 00:17:54,550 --> 00:17:56,380 (舟)おはよう。 216 00:17:56,830 --> 00:17:59,640 お前たち お嬢と親しいのか? 217 00:18:00,080 --> 00:18:02,060 あたしは ここの大家だ。 218 00:18:02,060 --> 00:18:05,450 行き所のないこの子らを助けたのは このあたしだよ。 219 00:18:05,840 --> 00:18:07,420 しっかり修理しとくれよ。 220 00:18:07,420 --> 00:18:13,030 正助が塾に来てる間 とよの子守をしてるのは わしだ! 221 00:18:14,720 --> 00:18:19,340 分かった! 塾の床でも屋根でも任せとけ。 222 00:18:20,050 --> 00:18:23,500 (舟)男だね~。 (権蔵)うるせえ! 223 00:18:23,980 --> 00:18:27,030 本当によく似てる。 うん? 224 00:18:27,030 --> 00:18:28,570 どうしなすったんで? 225 00:18:28,570 --> 00:18:31,140 何でもありません! らくだの親分! 226 00:18:31,140 --> 00:18:35,420 俺は 湧田の権蔵だ。 「らくだ」って…。 227 00:18:39,260 --> 00:18:42,960 (正助)よく似てるでしょ? (舟)そっくりだ…! 228 00:18:42,960 --> 00:18:44,520 菜々! 229 00:18:45,650 --> 00:18:48,870 大事ないか? だんご兵衛さん どうしました? 230 00:18:48,870 --> 00:18:51,830 卑劣極まりない太った馬のような やくざ者に襲われていると➡ 231 00:18:51,830 --> 00:18:53,490 先ほど聞いてな。 232 00:18:53,490 --> 00:18:57,210 馬じゃねえ! らくだだ。 233 00:18:57,820 --> 00:18:59,970 (五兵衛)は…? (正助)見て だんご兵衛さん…。 234 00:19:00,100 --> 00:19:02,220 (権蔵)似てねえだろよ! (正助)似てる! 235 00:19:02,220 --> 00:19:05,360 [ 心の声 ]旦那様 坊ちゃまとお嬢様は➡ 236 00:19:05,360 --> 00:19:11,290 いろいろな方に助けられ 無事に暮らしておられます。➡ 237 00:19:11,420 --> 00:19:18,000 旦那様も どうか ご無事で…。 238 00:19:37,540 --> 00:19:40,150 ここは 日がささんのう…。 239 00:19:41,820 --> 00:19:43,180 どうだ? 240 00:19:44,560 --> 00:19:49,460 薄暗い座敷牢に 閉じ込められた気分は。 241 00:19:49,460 --> 00:19:51,520 何の用です? 242 00:19:51,520 --> 00:19:54,930 ず~っと 日の当たらぬ場所におると➡ 243 00:19:54,930 --> 00:19:59,410 やがて じっとり湿った闇が 心を食い物にする。 244 00:20:00,140 --> 00:20:01,640 戯言につきあう暇はない。 245 00:20:01,640 --> 00:20:05,970 戯言ではない。 お前も直に分かる。 246 00:20:05,970 --> 00:20:08,920 俺とお前は 一つ穴のむじなだからな。 247 00:20:10,550 --> 00:20:12,210 あなたと同じとは思わない。 248 00:20:13,310 --> 00:20:14,380 そうか。 249 00:20:20,570 --> 00:20:23,730 お前の父親が俺の腹違いの兄でもか? 250 00:20:27,710 --> 00:20:32,070 俺は お前の祖父 風早市左衛門が➡ 251 00:20:32,070 --> 00:20:35,300 材木問屋 日向屋の女中に産ませた子だ。 252 00:20:38,490 --> 00:20:42,340 お前の父であり 俺の兄である嘉右衛門は➡ 253 00:20:42,340 --> 00:20:46,020 風早家の当主として執政まで出世した。 254 00:20:47,170 --> 00:20:50,180 一方 俺は…。 255 00:20:51,710 --> 00:20:55,760 風早家の敷居をまたぐことすら許されず➡ 256 00:20:55,760 --> 00:21:01,020 母親は 日向屋に俺を残して姿を消した。 257 00:21:08,920 --> 00:21:11,150 [ 回想 ]喜べ。➡ 258 00:21:11,150 --> 00:21:18,580 お前を養子に迎えてくださる お武家様が見つかった。➡ 259 00:21:18,580 --> 00:21:20,210 轟様だ。 260 00:21:20,560 --> 00:21:24,990 立派な武士になって わしに恩返しをするんだ。 261 00:21:27,430 --> 00:21:31,150 だが 武士としての まっとうな出世の道は➡ 262 00:21:31,150 --> 00:21:33,710 はなから閉ざされていた。 263 00:21:33,710 --> 00:21:36,410 身分の低い轟家ではな。 264 00:21:38,640 --> 00:21:43,700 それで 日向屋の金を使って 大殿に…。 265 00:21:44,500 --> 00:21:47,860 人は 金で転ぶ。 266 00:21:47,860 --> 00:21:50,640 だが あの安坂長七郎は違った。 267 00:21:53,780 --> 00:22:05,390 14年前 安坂長七郎は 屈辱にまみれながら 腹を切った。 268 00:22:08,330 --> 00:22:10,210 [ 回想 ](卜部作左衛門)安坂長七郎➡ 269 00:22:10,210 --> 00:22:15,520 鏑木城普請費用を着服した咎で 詮議いたす。 270 00:22:16,120 --> 00:22:17,140 [ 回想 ]私が…? 271 00:22:17,250 --> 00:22:19,340 [ 回想 ]とぼけても むだじゃ。➡ 272 00:22:19,340 --> 00:22:22,850 勘定方に調べさせたところ お家の金子が➡ 273 00:22:22,850 --> 00:22:25,140 お主に流れたのは明白! 274 00:22:31,740 --> 00:22:35,760 [ 回想 ]おそれながら 私は➡ 275 00:22:36,650 --> 00:22:40,960 その一件に関する不正の証しを 持っております。➡ 276 00:22:40,960 --> 00:22:43,800 金を着服したのは 私ではなく…。 277 00:22:43,800 --> 00:22:44,700 [ 回想 ]控えろ!➡ 278 00:22:46,650 --> 00:22:50,510 此度の不祥事 殿もいたくお怒りである! 279 00:22:52,240 --> 00:22:55,040 [ 回想 ](榊 佐十郎)人は 見かけによらぬものよ。 280 00:22:55,040 --> 00:22:57,370 [ 回想 ] とんだ食わせ者ですな。 281 00:22:57,370 --> 00:22:59,730 [ 回想 ] ≪潔く白状すればよいものを! 282 00:22:59,730 --> 00:23:01,380 [ 回想 ](榊)武士として恥を知れ! 283 00:23:06,110 --> 00:23:09,490 [ 回想 ]謀ったな…。 284 00:23:17,750 --> 00:23:20,710 [ 回想 ]私が なすべきは…。➡ 285 00:23:21,260 --> 00:23:23,220 お家に仇なす者を除くこと! 286 00:23:23,220 --> 00:23:26,000 [ 回想 ]≪何をする! 血迷うたか! 287 00:23:31,110 --> 00:23:33,110 轟…! 288 00:23:37,570 --> 00:23:42,430 やはり 安坂殿は あなたに陥れられたのだな。 289 00:23:42,430 --> 00:23:45,930 その安坂長七郎ゆかりの者が➡ 290 00:23:45,930 --> 00:23:50,220 まだ不正の証しを 持っているかもしれぬという話が➡ 291 00:23:50,220 --> 00:23:52,470 お前の詮議の場で出たそうだな。 292 00:23:54,270 --> 00:24:01,510 長七郎の妻はすでに死んでいるが 娘が 一人いる。 293 00:24:03,460 --> 00:24:06,980 調べは すぐについた。 294 00:24:09,950 --> 00:24:14,960 お前の所にいた あの女中が長七郎の娘だ。 295 00:24:16,810 --> 00:24:19,120 菜々は 何の関わりもない ただの女中だ! 296 00:24:19,530 --> 00:24:22,020 どうかな? 297 00:24:23,510 --> 00:24:27,480 締め上げて 確かめるまでだ。 298 00:24:28,690 --> 00:24:30,340 隅々な。 299 00:24:54,030 --> 00:24:55,360 お弁当でございます。 300 00:24:55,860 --> 00:24:59,000 ありがとう! 行ってきます。 301 00:24:59,520 --> 00:25:02,800 死神先生のおっしゃることを よく聞いてくださいね。 302 00:25:03,730 --> 00:25:06,740 (桂木仙之助)よかった… ご無事で。 303 00:25:06,960 --> 00:25:11,390 桂木様…。 お元気そうで何よりでございます。 304 00:25:12,150 --> 00:25:15,130 もっと早く伺いたかったのですが➡ 305 00:25:15,130 --> 00:25:20,160 私は 市之進殿の一味と見なされ 見張りが厳しく…。 306 00:25:20,160 --> 00:25:22,520 申し訳ない。 307 00:25:24,190 --> 00:25:28,330 坊ちゃま お嬢様 覚えておいでですか? 308 00:25:28,330 --> 00:25:33,510 桂木様です。 旦那様のお仲間の方です。 309 00:25:35,470 --> 00:25:37,520 菜々殿が お二人のお世話を? 310 00:25:39,090 --> 00:25:41,220 菜々 そろそろ行かないと…。 311 00:25:41,220 --> 00:25:43,580 (とよ)死神先生に叱られます。 312 00:25:43,580 --> 00:25:47,570 死神先生…? そうですね。 行ってらっしゃいませ。 313 00:25:47,570 --> 00:25:50,020 (とよ 正助)行ってきます! 314 00:26:01,870 --> 00:26:05,170 座敷牢ですか… 江戸屋敷の。 315 00:26:05,170 --> 00:26:09,400 (仙之助)まだ 詮議が続いているようです。➡ 316 00:26:10,150 --> 00:26:15,520 市之進殿は大丈夫です。 気丈夫な方ですから。 317 00:26:16,420 --> 00:26:19,290 そうですね。 318 00:26:23,460 --> 00:26:25,040 菜々殿。 319 00:26:25,840 --> 00:26:27,010 はい。 320 00:26:27,590 --> 00:26:31,720 あなたは 安坂長七郎様の娘だとお聞きしました。 321 00:26:34,330 --> 00:26:37,360 あっ 市之進殿から伺ったのです。 322 00:26:38,660 --> 00:26:40,210 そうですか。 323 00:26:40,210 --> 00:26:46,020 もし 轟と材木問屋 日向屋に関わる 不正の証しがあれば➡ 324 00:26:46,020 --> 00:26:49,350 市之進殿への疑いを 晴らすことができるかもしれません。 325 00:26:49,900 --> 00:26:54,140 亡くなられる前 お父上は 何か話されてませんでしたか? 326 00:26:55,120 --> 00:26:56,460 何も…。 327 00:26:57,800 --> 00:27:00,680 お父上の遺品の中に そういう類いのものは? 328 00:27:02,650 --> 00:27:07,210 赤村から父が使っていたものを 持ち帰りましたが➡ 329 00:27:07,210 --> 00:27:09,060 ほとんどが和歌集や絵草子で。 330 00:27:10,970 --> 00:27:13,800 そうですか…。 331 00:27:16,400 --> 00:27:18,030 申し訳ありません。 332 00:27:19,540 --> 00:27:23,600 菜々殿が謝ることではありません。 333 00:27:27,000 --> 00:27:30,650 何か思い出したら 私に すぐお知らせください。 334 00:27:31,940 --> 00:27:34,020 はい。 335 00:27:42,360 --> 00:27:44,500 どうぞ。 336 00:27:46,240 --> 00:27:48,560 かたじけない。 337 00:27:54,320 --> 00:27:58,260 何か見逃してるかも…。 338 00:28:36,800 --> 00:28:39,630 安坂長七郎殿の娘は➡ 339 00:28:39,630 --> 00:28:43,500 不正の証しについて 何も知りませんでした。 340 00:28:43,500 --> 00:28:46,000 もうしばらく探れ。 341 00:28:51,260 --> 00:28:52,660 どうした? 342 00:28:55,040 --> 00:28:57,990 もう お許しいただきたい! 343 00:29:00,330 --> 00:29:02,150 お願いします! 344 00:29:07,270 --> 00:29:08,770 [ 回想 ]身の程を知れ。 345 00:29:11,140 --> 00:29:16,300 お前は 風早市之進の命令で 俺に闇討ちしたと白状した。 346 00:29:16,300 --> 00:29:20,910 それは 我が桂木家がお取り潰しになると あなたに脅されて! 347 00:29:20,910 --> 00:29:22,060 それで 私は嘘を…! 348 00:29:22,060 --> 00:29:25,300 そのせいで 風早は江戸送りになった。 349 00:29:35,460 --> 00:29:39,920 仮に 俺との縁が 切れたとしても➡ 350 00:29:39,920 --> 00:29:42,810 お前が裏切ったことは 決して消えぬ。 351 00:29:42,930 --> 00:29:45,290 諦めろ。 352 00:29:45,890 --> 00:29:49,260 お前は裏切り者として 生涯 生きるしかない。 353 00:30:20,970 --> 00:30:24,280 お骨さんより怖い顔してるでしょ? 354 00:30:24,280 --> 00:30:26,530 うん… えっ? 355 00:30:27,210 --> 00:30:30,490 まあ いいや…。 あたしが言ってやるよ。 356 00:30:30,490 --> 00:30:34,520 あんたらの晩ごはん 「どうするつもりだ!?」って。 357 00:30:34,980 --> 00:30:40,290 菜々が やくざ者をやっつけたとき あんな顔だったな。 358 00:30:40,290 --> 00:30:41,860 えっ…? 359 00:30:41,860 --> 00:30:43,570 同じ顔でした。 360 00:30:52,680 --> 00:30:56,620 晩ごはん食ったら とっとと帰っとくれよ! 361 00:31:19,310 --> 00:31:21,220 あっ 晩ごはん…! 362 00:31:21,870 --> 00:31:27,000 いい。 私も とよも お骨さんの所で頂いた。 363 00:31:27,000 --> 00:31:29,010 申し訳ございません。 364 00:31:29,010 --> 00:31:31,010 おいしかった! 365 00:31:31,690 --> 00:31:34,010 そうですか…。 366 00:32:09,130 --> 00:32:11,760 父上の字…! 367 00:32:13,060 --> 00:32:15,510 もしかして…。 368 00:32:17,690 --> 00:32:20,830 ≪(節斎)あ~! うるさい! うるさい! 369 00:32:20,830 --> 00:32:23,860 何事じゃ!? まだ夜が明けたばかりじゃ…。 370 00:32:23,860 --> 00:32:25,460 ここです! この書き込みに➡ 371 00:32:25,460 --> 00:32:28,110 何か大事なことが 隠されているのではないかと…! 372 00:32:28,110 --> 00:32:30,950 私には どういうものか 読み取ることができません。 373 00:32:30,950 --> 00:32:34,250 でも 父が… 私の父が 何かを伝えようと ここに! 374 00:32:35,730 --> 00:32:37,560 どれ…。 375 00:32:40,130 --> 00:32:42,360 ああ~…。 376 00:32:42,360 --> 00:32:48,170 「明珠 掌に在り。 即ち 吾が 家桜」。 377 00:32:48,170 --> 00:32:51,010 「家桜」とは 家の桜で 女房のことだ。 378 00:32:51,010 --> 00:32:53,570 すなわち え~…➡ 379 00:32:53,570 --> 00:32:57,400 「宝物は すでに 己の手の中にある。 380 00:32:57,400 --> 00:33:01,750 それは 私の妻だ」という意味合いだ。 381 00:33:02,050 --> 00:33:08,270 まあ これは 父上から母上への 感謝の言葉というより➡ 382 00:33:08,270 --> 00:33:10,920 まあ 恋文みたいなものだ。 383 00:33:13,070 --> 00:33:17,250 ほほえましい。 そうですか…。 384 00:33:18,190 --> 00:33:21,340 もういいです。 ありがとうございます…。 385 00:33:28,200 --> 00:33:33,240 父上の伝えたいことは ここにあるかも。 386 00:33:34,420 --> 00:33:36,040 えっ? 387 00:34:07,170 --> 00:34:08,350 これは…! 388 00:34:14,510 --> 00:34:18,120 父が残した 日向屋にまつわる不正の証しです! 389 00:34:18,120 --> 00:34:20,530 父上の書物は これだけか? 390 00:34:20,530 --> 00:34:22,830 いえ。 まだ何冊もあります。 391 00:34:22,830 --> 00:34:26,740 大切な遺言だ。 しかと確かめよう。 392 00:34:27,960 --> 00:34:29,640 はい! 393 00:34:33,670 --> 00:34:35,750 桂木様! 394 00:34:42,950 --> 00:34:44,790 菜々殿…。 395 00:34:46,970 --> 00:34:51,290 桂木様のお屋敷に伺うところでした。 396 00:34:51,290 --> 00:34:52,610 えっ…。 397 00:34:52,610 --> 00:34:57,940 おっしゃっていた不正の証しを 見つけました。 398 00:34:57,940 --> 00:35:00,250 これで 旦那様は助かるのですよね? 399 00:35:06,720 --> 00:35:08,990 桂木様? 400 00:35:13,950 --> 00:35:15,510 どうして そこまで…。 401 00:35:17,980 --> 00:35:25,020 市之進殿のお子たちの面倒を見るために 青物売りまでしてると聞きました。 402 00:35:26,450 --> 00:35:28,030 何故です? 403 00:35:32,210 --> 00:35:34,940 約束しましたから。 404 00:35:34,940 --> 00:35:39,570 旦那様と 亡くなった奥様と。 405 00:35:39,570 --> 00:35:43,950 私が 正助様と とよ様を お守りしますと。 406 00:35:46,490 --> 00:35:47,540 約束…。 407 00:35:53,920 --> 00:35:56,560 ただ 約束したからですか? 408 00:35:59,840 --> 00:36:01,120 はい。 409 00:36:09,480 --> 00:36:11,790 そんなことより 一緒に来ていただけますか? 410 00:36:11,790 --> 00:36:13,540 桂木様にお預け…。 お許しください! 411 00:36:29,570 --> 00:36:31,770 あなた様は…。 412 00:36:46,820 --> 00:36:49,350 お主 まだ諦めてはおらんな。 413 00:36:50,960 --> 00:36:54,970 わしは 柚木弥左衛門だ。 414 00:36:54,970 --> 00:37:01,750 14年前 安坂殿の一件を 目の当たりにしながら➡ 415 00:37:01,750 --> 00:37:06,130 我が身かわいさに口をつぐみ➡ 416 00:37:06,130 --> 00:37:11,840 唯々諾々と生き延びた… 腰抜けだ! 417 00:37:19,810 --> 00:37:21,370 一杯やるか? 418 00:37:22,260 --> 00:37:24,040 いえ…。 そうか。 419 00:37:32,030 --> 00:37:34,360 わしにできることは何だ? 420 00:37:35,620 --> 00:37:38,520 取り戻したいのだ。 421 00:37:40,450 --> 00:37:42,630 武士の誇りを。 422 00:37:45,740 --> 00:37:48,270 柚木様…。 423 00:38:00,610 --> 00:38:02,820 では 頂きましょう。 424 00:38:02,820 --> 00:38:05,230 (3人)いただきます。 425 00:38:09,860 --> 00:38:11,990 桂木様! 426 00:38:14,990 --> 00:38:17,840 どうなさいました? 桂木様! (仙之助)逃げて…! 427 00:38:18,520 --> 00:38:21,900 早く逃げてください! 轟がここへ来る。 428 00:38:22,180 --> 00:38:23,280 轟が!? 429 00:38:23,460 --> 00:38:27,560 けさ 菜々殿と会ってるところを 轟の配下に見られ➡ 430 00:38:27,560 --> 00:38:31,500 轟の屋敷で 何を話しているのか 聞かれました。 それで…。 431 00:38:31,500 --> 00:38:32,850 だから こんなひどい…。 違います! 432 00:38:37,190 --> 00:38:45,580 私は今まで ずっと 轟に脅されて 市之進殿を裏切ってました。➡ 433 00:38:47,430 --> 00:38:49,330 申し訳ありません! 434 00:38:55,670 --> 00:38:57,540 とにかく ここを出ましょう! 435 00:38:58,830 --> 00:39:02,050 私は足手まといです。 残るつもりですか!? 436 00:39:02,050 --> 00:39:04,310 駄目です! みんな一緒に行きましょう! 437 00:39:07,090 --> 00:39:10,750 さあ 行きますよ…! 438 00:39:20,120 --> 00:39:21,220 轟…! 439 00:39:31,910 --> 00:39:34,470 安坂長七郎の娘だな? 440 00:39:42,000 --> 00:39:43,680 文書を出せ。 441 00:39:47,390 --> 00:39:48,520 何のことです? 442 00:39:51,040 --> 00:39:53,330 そうか。 443 00:40:05,100 --> 00:40:05,870 親分! 444 00:40:08,450 --> 00:40:15,160 てめえ! 一体 何のまねだ? ええ!? 445 00:40:33,830 --> 00:40:36,780 らくだの親分! 446 00:40:37,310 --> 00:40:38,510 お嬢 逃げろ…! 447 00:40:41,870 --> 00:40:43,340 逃げろ! 早く…。 448 00:40:43,940 --> 00:40:44,920 くどい。 449 00:40:50,610 --> 00:40:51,580 親分! 450 00:40:51,940 --> 00:40:53,510 菜々…。 451 00:40:53,990 --> 00:40:56,240 お嬢…。 452 00:41:03,330 --> 00:41:06,040 早く出せ。 453 00:41:13,350 --> 00:41:19,160 お前が その気になるまで ここにいる者を 一人残らず始末する。 454 00:41:23,390 --> 00:41:27,270 まずは この裏切り者からだ。 37728

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