Afrikaans
Akan
Albanian
Amharic
Arabic
Armenian
Azerbaijani
Basque
Belarusian
Bemba
Bengali
Bihari
Bosnian
Breton
Bulgarian
Cambodian
Catalan
Cebuano
Cherokee
Chichewa
Chinese (Simplified)
Chinese (Traditional)
Corsican
Croatian
Czech
Danish
Dutch
Esperanto
Estonian
Ewe
Faroese
Filipino
Finnish
French
Frisian
Ga
Galician
Georgian
German
Greek
Guarani
Gujarati
Haitian Creole
Hausa
Hawaiian
Hebrew
Hindi
Hmong
Hungarian
Icelandic
Igbo
Indonesian
Interlingua
Irish
Italian
Japanese
Javanese
Kannada
Kazakh
Kinyarwanda
Kirundi
Kongo
Korean
Krio (Sierra Leone)
Kurdish
Kurdish (Soranî)
Kyrgyz
Laothian
Latin
Latvian
Lingala
Lithuanian
Lozi
Luganda
Luo
Luxembourgish
Macedonian
Malagasy
Malay
Malayalam
Maltese
Maori
Marathi
Mauritian Creole
Moldavian
Mongolian
Myanmar (Burmese)
Montenegrin
Nepali
Nigerian Pidgin
Northern Sotho
Norwegian
Norwegian (Nynorsk)
Occitan
Oriya
Oromo
Pashto
Persian
Polish
Portuguese (Brazil)
Portuguese (Portugal)
Punjabi
Quechua
Romanian
Romansh
Runyakitara
Russian
Samoan
Scots Gaelic
Serbian
Serbo-Croatian
Sesotho
Setswana
Seychellois Creole
Shona
Sindhi
Sinhalese
Slovak
Slovenian
Somali
Spanish
Spanish (Latin American)
Sundanese
Swahili
Swedish
Tajik
Tamil
Tatar
Telugu
Thai
Tigrinya
Tonga
Tshiluba
Tumbuka
Turkish
Turkmen
Twi
Uighur
Ukrainian
Urdu
Uzbek
Vietnamese
Welsh
Wolof
Xhosa
Yiddish
Yoruba
Zulu
(猫が鳴く)
(青年)おいで→
おいで ほら こっち こっち→
おいで こっちだ 大丈夫 大丈夫 おいで ほら
〈(麻子)行け…〉
〈行け! 思い切って跳んじゃえ〉
〈そっか…〉
〈無理か〉
〈無理かもね アンタには〉
(不動産屋)桂木さん ちょっと こっち→
こっちも見てくださいよ はい 今 行きます
ああ すいません
ドアも ホテル式のオートロックだから 気をつけてくださいね
鍵は 必ず持って出てください はい
じゃあ こっちです はーい
〈27歳になって 職を失った〉
〈ある日 突然だ〉
(岡村)ホントに皆さん 申し訳ありませんです
この会社は…
ウチは…
明日で倒産いたします
〈思い返せば 今までも〉
〈かなり 行き当たりばったりの 人生を送ってきた〉
(喜代子)このご時勢に この成績で 出版社なんか受かるわけないわ→
ねえ 今 世間で何て言われてるか 知ってる? 就職氷河期よ 氷河期
知らないわけないでしょうが もうッ
編集なんて いつから やりたかったのよ?
ママ 初めて聞いた だから 何ていうか…
ただ 何となく… あッ 本も好きだし
ただ何となくで世の中 通ったら 誰も苦労しないわよ ねえ 麻子…
〈偉大なる母の予言どおり…〉
よろしくお願いします
〈就職は全滅〉
お願いします
〈肩身の狭い思いで 実家に居座り〉
〈フリーターを2年〉
〈それからやっと 小さな編集プロダクションに就職した〉
〈でも それも父のつてでだ〉
はい もしもし アセントプロダクションです
クリスマスの過ごし方で 具体的なもの ないかな? 桂木さん どう思う?
〈編集の仕事は 大変だったけど 楽しかった〉
〈弱小だけに 仕事を任されるのも早く〉
〈1年目には 広報誌の料理ページを 担当することになった〉
(涼子)こうやるとね おいしく見えんの
こうやって 焼き目つけんの やってみる?
いや ちょっと 怖い…
〈このとき 自分を知った〉
〈私は おいしいものに弱い〉
〈色気より 食い気だ〉
料理の作り方 写真つきにすると分かりやすいね
〈文字どおり おいしい仕事に 夢中になっているうち〉
〈気がつくと…〉
〈周りの友人は うまいこと結婚相手を見つけ〉
〈新しい人生を歩み始めていた なぜだ?〉
〈いつの間に?〉
〈ウソ!? ユカチンまで?〉
〈まあ いいや〉
〈やっと仕事も 面白くなってきたところだし〉
〈他人は他人 私は私〉
〈そう思った矢先の出来事だった〉
すべて 私の不徳のいたすところです
ホントに申し訳ありませんでした
〈しかし そのことを知らなかったのは〉
〈私だけだったらしい〉
私だって 知ってたわよ 前から噂になってたもの
知ってて しらばっくれてんのかと思ってた
これ ちょっと食べてみて
ねえ 麻ちゃん アンタ これからどうすんの?
そうなんですよね ホント 困っちゃいますよね
あッ これ おいしいです 最高
もうッ お嬢ちゃまは これだから お気楽でいいわね
ゆきちゃん これ オーブン 入れて (ゆき)はい
生まれてこのかた 電気代とか 水道代とか
気にして暮らしたこと 一度もないでしょ?
お水は 蛇口からタダで出てくる って 思ってない?
そんなことはないですけど まったく 全然…
〈図星です〉
あなたみたいな お嬢ちゃまは しばらく ご自宅で のんびり
花嫁修業でも なさったら? それが お似合いかもね
先生 今どき 花嫁修業なんて言葉 死語だと思いますけど
あ~ら 失礼 それが嫌だったら…
一人暮らしでもしてみることね
あなたみたいな人は 一人暮らしでもしないことには
本当の大人にはなれないわよ
へえ~ 意外と広いですね
でしょう? こっちは 物干し場になってるんです
〈見るだけ 見るだけよ〉
ここは 風通しもいいし 洗濯物だって すぐ乾きますよ
あッ こっちのスペースでは ひなたぼっこだってできますし
夜 星をながめながら ビールを飲む なんて ロマンチックじゃありませんか
えッ 真冬に?
いやあ 毛布を持ってきて ホットウイスキーなんてのも いけます
〈こういう誘い文句には 要注意 要注意〉
今どき こんな屋上を自由に使える アパートなんて そうそうないですよ
〈要注意 要注意〉
今なら キャンペーン中で
敷金30%オフです
えッ?
〈「30%オフ」 私が一番好きな言葉だ〉
≪(喜代子)部屋を決めてきたって どういうこと?
だから まあ
試しに 一人暮らしでも してみようかなあと思って
会社 倒産したのよ もう お給料 出ないのよ 分かってんの?
だって いい部屋だったんだもん
まさか お家賃を援助しろってこと?
そんなこと ひと言も言ってないでしょ
貯金だって あるし 仕事だって 探すわよ ちゃんと
まったく どうしてこのタイミングで 一人暮らししなきゃいけないのよ
どうかしてるわよ
(郁夫) 男でも できたんじゃねえの?
(喜代子)えッ!? 何それ? アンタ 彼氏がいるの?
ねえ その人と暮らすの? 怒んないから正直に…
〈ていうか もう 怒ってるし〉
違うわよ まったくお前は 余計なこと…
(紀夫)麻子 えッ?
やっぱり 男なのか?
だから 違うってば
(佐藤・妻)あッ… (佐藤・夫)すみません こんにちは
(ロックがかかる)
(マキ)はーい
あッ あの… 私
今日 お隣に越してきた 桂木麻子と申します
(マキ)はい どうも こんばんはー
あの つかぬことをお伺いしますが うん
あの…
(マキ)そうそう そこをしっかりつかまって
ああ 下 見ちゃダメよ はい
大丈夫 私 何度も やってっから 何度も!?
うん そのうち慣れるから ほい 行って!
そうそう そうそう もう これ 行ったようなもん
はい よしよし
はい ジャンプ おお…
はい ああ すいません
助かりました ありがとうございました
いえ どういたしまして それじゃあ おやすみなさい
あのさ!
はい? あなたって 犬派 猫派 どっち?
はッ?
猪熊さんって おっしゃるんですか?
〈イノクマかい〉
本名は猪熊マキ でも 忘れて 名字のことは
〈イノクマ… 忘れたくても 忘れられない〉
マキって呼んでくれればいいから 呼び捨てが嫌なら マキさんでもいい
でね さっきの質問なんだけどね 私は断然 猫なのね
〈いくつだろ?〉
〈30? 33?〉
〈38? 40!?〉
で どっち? えッ 何がですか?
だから 犬と猫 ああ そうですね…
どちらかといえば 犬かな
じゃあ 桂木さんは 犬で決まりね
〈何だ? 決まりって〉
統計とってんの このアパートの住人で 犬派と猫派のどっちが多いか
今んとこ 猫の勝ち ああ…
あの奥の部屋の夫婦に会った? 昼間 ちらっと会ったご夫婦かな
たぶんそう あの夫婦はね 佐藤さんっていうんだけどね
夫が猫で 奥さんが犬なのね だから折衷案で今 亀 飼ってんの
2階のチャーリーはね 猫 チャーリー? 外国人ですか?
うん アメリカの男の人 でもね
イタリア人のね… 彼氏がいるの
アウレリオっていうの
〈なぜ そんなことまで 知っているのだ?〉
〈ここは 長屋か?〉
うん? いえ お詳しいんだなあと思って
うん 統計だから
いただきまーす どうぞ
あーッ…
というわけで私 帰ります
じゃあね あッ…
ありがとうございました
それでは 桂木麻子さんの 一人暮らしを祝して
乾杯!
おめでとう! おめでとう 麻ちゃん
うーん… ありがとう
あーッ…
ふーッ…
(携帯着信)
誰だよ?
はい [TEL](由香)アチャコ? 今ちょっといい?
〈私を 「アチャコ」と呼ぶ女は この世に ただ一人〉
〈幼なじみの由香だ〉
〈半年前 語学留学したロンドンで〉
〈現地の日本人商社マンと 電撃結婚し〉
〈わざわざ日本へ帰ってきて〉
〈私の前で結婚式をあげた あの女〉
ユカチン 少しは時差のこと考えてよ こっちは夜中なんだから
[TEL]実は 今さ
[TEL]日本なの えッ!?
助かったー!
実家に帰りにくくてさ
あーッ 寒かったー
それにしても すごいタイミング アチャコが引っ越ししてるなんて ねえ
何があったの? 祐介さんは? 一緒じゃないの?
うん…
そのことについては おいおい話す
ねえ いい部屋じゃない
ホントに一人? えッ?
男は? いないわけ?
ああ…
いないんだ ふ~ん…
〈悪いかよ〉
ねえ アチャコ…
お願いがあるんだけど
1週間だけ
ここに おいてくれない?
えーッ… ウエルカム・シャンパン 持ってきたし ねッ?
ああ よかった!
〈それ 意味違ってるし〉
(鳥のさえずり)
ユカチン どうしたの?
死にたい
〈あれから1週間〉
〈ユカチンは 涙の訳を話そうとはしない〉
〈話したくないものを 無理やり 聞き出すわけにもいかないし〉
あッ こんにちは (アウレリオ)チャオ
(チャーリー)どうもー こんにちは
誰? 超イケメンじゃない 二人とも
確かに…
でも 好きになってはいけない相手よ
えッ?
そういうことなんだって
うんッ おいしい うんッ おいしい
焼き豆腐 いいね 焼き豆腐 いいでしょ
その節は ホントに すいませんでした
やめてください 社長 こんな所で 変です
いやいや 何といっても 僕の責任なんです
たくさんの人に迷惑をかけて ホントに情けない
そんなことないですよ 少なくとも私は
社長にずっと お世話になってきたんですから
そんな優しい言葉を かけてくれるのは 麻ちゃんだけ
世の中って 冷たいからね
僕 生きている資格 ないのよ
ホント 死にたいと思ったんだけどね
〈死にたい? ここでも…〉
そしたら 女房に 「アンタ 死ぬ資格もないわよ」って
軽~く言われちゃってさ
厳しいんだ ウチの奥さん
あッ こんな話 してる場合じゃないよね
肝心なこと言わなきゃ あッ はい
あのね 僕の出版社時代の後輩でね
今 小さな広告代理店 やってるやつが いるんだけど
工藤っていうんだけどね
そいつが 麻ちゃんの 例の涼子先生の料理の連載記事
あれ 愛読してて 面白いって 君に興味を持ってね
仕事を頼めないかって言うんだよ ホントですか?
アチャコー お帰りー!
(マキ)過去…
ねえ 今ね マキさんに 占いしてもらってたの
へえ~ そんなこともできるんですか?
自己流だけどね 昔 バリで 勉強してたことあるから
へえ~
そうだ ユカチン マキさんに自己紹介したの?
居候の由香です 結婚して ロンドンに 住んでるんだけど 少しの間…
その話は聞いた でも由香ちゃん 離婚したんでしょ?
離婚!?
どういうこと? 私 聞いてないよ 離婚なんて
だって 聞かれてないから 何も言ってないだけ
それに まだ正式じゃないし
そういうことってさ…
えッ?
〈先に言えよ まず最初に 親友に〉
(丸川)ハハハハッ… ホントですか 帰れなかった?
手取りで17万… ですか? フルタイムで
(工藤)まあ最初は そのぐらいから 始めてもらいたいってのが
正直なところかな はあ…
(のばら)どうぞ
すいません
編集経験は あるらしいけど ウェブマガジンの仕事 初めてだというし
岡村さんから頼まれちゃ こっちも嫌とは言えないしな
どうなの? 君は やる気あるの?
〈何か… 話 全然違うかも〉
〈でも 仕事は〉
〈ないより あった方がいいし〉
ユカチン 朝ご飯 できたよ
じゃあ 行ってくるよ うん…
(丸川)ウェブマガジンを作る際は レイアウト機能がついてます
好きな大きさで 貼り付けることはできます
「ことは」できる って 取り外すことはできない?
貼り付ける「ことも」 できます
(角田)このファイルに 今までの企画書が入ってます
企画に行き詰まったら 参考に ありがとうございます
お帰りなさ~い ただいま
すぐ 温かいコーヒー 入れますね
のばら はい
対談の企画書 まだ? あーッ!
ごめんなさーい これなんですけど どれどれ…
〈絶対 愛人だ〉
〈ウソ~ ヤダ~〉
もうひといき いけるな はい
桂木君 ちょっといい? はい
何か?
君は 岡村さんの所で 食べ物の 記事を担当してたんだって?
はい そうですが
〈やっぱり 知らなかったんだ〉
どういう感じでやってたの? はい
料理研究家の山本涼子先生が作る お料理を 毎号 カラー写真で載せて
作り方を私が聞き書きして 記事にしてたんです
ちょっとしたコツとか そういうとこも含めて
山本涼子か…
君は 食べることは好き? はい
それだけは 誰にも負けないくらい 好きです 食べるのも 作るのも
そりゃいいや
のばら こないだ 君に渡しといた フランスの資料
この人に渡してあげて 一式全部
えッ でも あれは 社長が私に… いいから
ざっと目を通しといて それから 今日の6時半
一緒に社を出るから そのつもりで
〈うん? 何か 風向き 変わってきた?〉
〈何かに似てる ゴリラ?〉
〈いや ゴリラを上品にして イケメンにして〉
〈それから ちょっと 疲れさせた感じ?〉
〈なんちゃって〉
どうだ?
は… はい
料理にワイン それから 店の雰囲気
ワインは どう? すごく おいしいです
私 ワインのことは 全然分からないんですけど
おいしい ということだけは 分かります
その年で 知ったふうな顔されても 困るしな
料理は? おいしいです
ただ…
何? 遠慮なく言っていいよ
味が ちょっと薄いような気がします
魚介類も もっと新鮮な方がいいし
全体的に 味が ぼんやりしてる っていうか
このトマトも もう少し 味が濃いものの方が…
へえ~
まだ 前菜だけですから 何とも言えないですけど
何か? いや
僕も 同じ感想だから
面白いね
よし じゃあ 次はパスタで 意見交換してみるか
はい
今日は なかなか面白かったよ 来週は 中華に挑戦してみるか
フカヒレ 食べに行こう ホント… ですか?
ああ 一軒 行ってみたい店があるんだ
〈「喜んで!」 と言うのは はしたないので やめた〉
〈でも 涼子先生のスタジオに 通ってたとき以来の〉
〈おいしい食事だった フフッ〉
渡した資料 よく読んどけよ
はい
じゃあ
まただ
どうだった? あの資料 あれって グルメマガジンですか?
フランスとアメリカの うん そうらしい
(店員A)伊勢エビの 薬味炒めでございます
最初 そうだと思って 読んでいたんですけど
文章が すごく面白いんです 単なるガイドブックじゃなくて
ウイットに富んでるっていうか エッセイを読んでるみたいで
楽しい気分になるんです 写真も すごくいいですし
そっか
君なら 面白がるんじゃないかと 思ってたよ
あれを どうしようと 社長は お考えなんですか?
まだ 何も考えてない 君なら どうする?
そうですね…
えっと…
あの雑誌社と 直接契約を結んで 日本語版を作るとか
いや それは考えてない それじゃ 芸がなさすぎるだろ
(B)お待たせいたしました
おッ きたきた
(B)フカヒレの姿煮でございます うわーッ
こんな大きい塊になってるフカヒレ 初めて見ました
そう? はい 今まで食べたことあるのは
フカヒレ入り卵スープのこんな細いフカヒレが ポチ ポチっと浮いてるやつだけで
そんなにフカヒレが好きだったのか はい!
ていうか 食べたことないですけど
ここのフカヒレは なかなかのもんだよ
フカヒレの料理は作ったことある? まさか ありません
無理ですよ 戻すのが すごく難しい食材だって
「食材」って言葉は よくないな
あれは グルメブームから出てきた言葉だ
はやりの言葉を安易に使うと 文章が軽くなるぞ
おまけに人間まで軽く見える
〈クゥ~ン 早く食べたいワン〉
じゃあ 何て言えば… 「材料」でいいだろ
うまい
さあ 君も早く食べなさい はいッ
う~んッ
おいしいです
今まで食べたものの中で 3本の指に入るかも
大げさだな
君も料理が好きなら 一度 フカヒレにチャレンジしてみたらどうだ?
それは ちょっと…
できるか できないかは やってみなくちゃ分かんないだろ
できあがったら 味見は 僕がしてあげるよ
ウソ! 絶対何かあったでしょ 桂木さんと
バカだな 何もないよ
ウソだ
最近 桂木さんにばっかり 親切にして
のばらのことなんか 全然 考えてないんだから
何言ってんだ 俺にとって一番大事なのは
のばらに決まってるだろ?
ホント?
ホントに ホント?
ああ 嬉しい!
≪(由香)アチャコ
ねえ アチャコってば あッ ユカチン
大丈夫? こんなとこで寝ちゃって 仕事のしすぎなんじゃないの?
ねえ 私 何か変なこと
言ってなかったよね?
べつに
あッ ずっと携帯 鳴ってたよ
アチャコのお母さんからだったみたい
見たの? ううん 出た
〈出たのかよ〉
ねえ アチャコ 冷蔵庫 何もないんだけど
どうしようか?
ねえ ユカチン うん?
〈「いつになったら 出ていってくれるの?」と〉
〈聞きたかったけど やめた〉
何でもない
〈親友だし〉
ねえ あれ 食べれる…
(鳥のさえずり)
ただいま~
お見合い!? 何それ?
お見合いは お見合いよ お見合いも知らないの?
日本の伝統的な婚活 今どき聞いたこともないって話
周りでお見合いしてる子なんて 一人もいないし
周りがどうかなんて 関係ないでしょ
いいじゃないの 見るくらい 西さんって ほら
お父さんの会社の役員の奥様が お話を持ってきてくれたのよ
気取りのない とってもいいご家族だって
ああそう 麻子
田中幸二さんといってね 外資系の銀行にお勤めで
慶応 出た後 アメリカにも行ってて とっても頭がいいんだって
〈アメリカ留学した 外資系銀行員?〉
性格も とってもいい人なんですってよ
性格もいいの? うん
頭がよくて
性格もいいんだって
ほら
ヤダ この人 何か チャラくない?
えーッ?
あら 優しそうじゃないの
男は顔じゃないのよ イケメンなんか 三日も見てたら 飽きるんだから
ねえ お父さん? うん?
ああ ヤダヤダ せっかく久しぶりに 実家に帰ってきたら これ?
絶対 断ってよね 私 行かないから
〈遅刻かよ〉
〈帰ろうかなあ もう〉
〈でもなあ お見合い すっぽかしたなんて言ったら〉
〈また 何言われるか分からないし〉
〈帰ろう これだけ待たされたんだから〉
〈帰ったっていいわよね うん 帰るぞ〉
(幸二)あの…
桂木麻子さんですか?
はい そうですが
田中です 日曜日なんで 道 すいてるかと思ったら 込んでて
参ったな
〈反省の色なし〉
〈しかも 何? この服 全然 気 使ってないじゃん〉
じゃあ 行きますか はい
どうぞ
(店員)いらっしゃいませ こんにちは… 岩ちゃん
おい (岩見)おお 久しぶり!
少し見ないうちに 老けたんじゃねえか?
俺? ていうか お前も 何これ?
これはヤバイな これは やめろ
あッ ごめんなさい この店のオーナーの岩見です
学生時代のアメフトの仲間で
はじめまして 桂木です どうも
うーんッ おいしい!
ここのタンシチュー 有名なんですよね 前から食べたかったんです
来てよかったー ありがとう
実は 桂木さん はい
これは 僕の勝手なお願いなんですが
はい
この話…
桂木さんの方から 断ってもらってもいいですか?
えッ?
実は 僕…
アメリカに彼女がいるんです
ポーランド系アメリカ人で ジェーンっていいます
ジェーン…
何がジェーンよ 結婚する気がないなら 最初から会わなければいいのに
それを 麻子の方から断ってくれ なんてさ 調子のいいやつ
ご両親が その彼女とのつきあいに大反対で
結婚しろって 強引なんだって
だから仕方なく 私と会ったみたいよ
そんな都合のいいこと そのために 麻子を利用したってことでしょ?
利用ってほどじゃないと思うけど そうかなあ
私だって 乗り気じゃないけど つい 行っちゃったわけだし
同じようなもんよ 全く期待してなかったってこと?
そんなことないでしょ? えーッ?
新しいワンピ 買ったくせに
あッ ヤダ にきび できちゃった 食べすぎかなあ
ねえ 腹立たないの? べつに
怒ったって しょうがないし
まあ おいしいタンシチューも おごってもらったし
それでいいかなって そういうことだから
麻子はダメなんだよ
男に屈辱的な扱い 受けても そんな のんきな顔しちゃって
麻子ってさ 本気で人を好きに なろうとしたこと ないでしょ?
えッ? 結婚だって ホントにしたいのか…
どういう意味? だってさ
本気だったら もっと腹が立つはずだよ
麻子は 何に対しても そう
昔から 男の子を自分から 好きになったこともないし
告白されると 何となくつきあって 何となく別れて
その繰り返しじゃない
本気で何かにぶつかって 傷ついたこととかないでしょ
そういうことだから ダメなんだよ
あッ 何すんの? 今 いいとこ… それじゃ 言うけどね
ユカチンは 自分が好きになる男を 直感で分かるわけ?
そりゃそうよ 恋をするのに 理屈も何もないでしょ
でも それで結婚して こういう ことになってるわけでしょ?
運命の出会いだと大騒ぎして 電撃結婚して でも違ったんでしょ
そんな人に偉そうなこと 言われたくない だいたいさ
この家に来て何してるの? 毎日ダラダラ 仕事探すわけでもなく
前から言いたかったんだけど 人のTシャツ 勝手に着るの やめて
どういう脱ぎ方してんだか ユカチンが着ると 襟が伸びちゃうのよ
ごめん それは悪かった… それから 洗面所のタオル
クシャクシャにかけておくの やめてよ ホントに嫌なんだから
タオルは きちんと伸ばして 四角い形で かけておいて
何度 私が直したと思ってんの? お風呂に一日何度も入るのも
電気 つけっぱなしで寝るのも… ユカチン 水道代とか電気代とか
一度も気にしたことないでしょ? お水はタダじゃないんだよ
知ってた? 今 急にそんなこと言わなくても…
だいたいさ 離婚するほど大変なことなら
どうして そうなったのか これから どうしたいのか
私に話すべきなんじゃないの? 居候なんだから!
ちょっと アチャコ いくら何でも その言い方は ないんじゃない?
そんなに嫌なら 早く言ってよ 言いたいけど我慢してたのよ
ユカチンが かわいそうだと思って かわいそう? 何それ?
我慢してたの 外国で夫に捨てられ 逃げて戻ってきたと思って
何それ? べつに 逃げてきたわけじゃないわよ
逃げてきたんでしょ? 行く所もなくて
何てこと言うの? いくらアチャコでも許せない!
私だって いくらユカチンだって許せないよ!
うるさいな もうッ
どうしたの?
ちょっと聞いてよ! ひどいの アチャコったら…
ちょっと待ちなさい 二人とも!
分かった! ユカチン あなた アウレリオんとこ 行きなさい
今度 チャーリーが仕事の都合で 引っ越ししちゃうんだって
で アウレリオ一人になっちゃうの あっちの部屋は ずっと広いし
誰か住んでくれる人 いないかな って 相談されてたの
大丈夫よ アウレリオは男だけど ゲイだから
そういう心配 全然ないから
ちなみに アウレリオは 猫派
ねッ そうしなさい それがいいわ
ねッ? 二人の友情のためにも
ほいッ 決定
チャオー チャオ
ああ よく来てくれたねー ユカチン
〈ホントに大丈夫か? ユカチン〉
〈でも これで〉
〈親友をくだらないケンカで 失わずに済んだ〉
あッ… ああ どうも
うん やっぱり断って 何か趣味 合わないし
しょうがないじゃない
うん…
今ね 会社だから もう切るね
〈結局 私の方から お見合いは断った〉
〈何だか納得いかない気もしたけど まあ いっか〉
お疲れ お疲れさまでしたー
お疲れさまでーす
〈やはり あれは正夢?〉
〈べつにいいけど〉
(丸川)失礼します お疲れさまです
桂木さん はい
今日 帰り 急いでます?
これ 社長に頼まれてた フカヒレの資料です
社長に? 桂木さんの今度の企画に
必要だからって言われて
これは ネットで検索した分ですが どうも東北の気仙沼のものが
一番いいらしいです あッ そうなんですか
ひと言でフカヒレといっても 色々 種類があるみたいですね
どう違うか 調べましたが 人により 言うことがまちまちで
よく分からないです 人によって?
中華料理屋のオヤジとか 中華の材料 売ってる店で 聞いてみたんです
〈見かけによらず 性格 明るい?〉
〈しかも 積極的〉
そんなことまでしていただいて すいません
《一度 フカヒレにチャレンジしてみたら どうだ?》
《できあがったら 味見は 僕がしてあげるよ》
≪(角田)あの… 僕 余計なことしちゃいました?
いえ
社長が 角田さんにも頼んでいた なんて 知らなかったもので
ホント ご迷惑おかけしちゃって
迷惑なんかじゃないです 僕も この企画に参加したいし
何か 面白そうなんで
ウソ? ホントに?
はい よかったー
正直 どうしようかと思ってたんです
社長に 企画書 バッサリ却下されちゃうし
それが いいとこなんじゃ ないですか? 社長の
仕事に妥協せず 突き詰めていく感じが
まあ…
そうなんですかね
僕は あの人の生き方 尊敬するな
のばらちゃんのことも 一生懸命 面倒見ていて
偉いと思います
えッ? えッ?
知らなかったんですか? のばらちゃんって
社長のお姉さんの 娘さんなんです
それ…
姪御さんってことですか? そうですよ
何年か前に ご両親をいっぺんに亡くされて
ホントに独りぼっちになったところを 社長が全部 面倒見てあげて
それで ウチの会社に来たらしいです
ヤダ… 私 てっきり…
アハハハハハ… えッ?
ハハハハハハ… 分からない…
≪(郁夫)その友達の原チャリに 味噌がビッシリ塗ってあるわけ
何 人の部屋で 勝手に盛り上がってんだろ?
姉貴 遅いよ 早く! 何で アンタがいるのよ?
お父さんに 偵察してこいって 言われたのよねー?
ねーッ 姉思いの弟だから
そうっすかね? 「そうっすかね?」
はい できたよ
(一同)わあ!
(由香)おいしそう!
(携帯着信)
はい もしもし?
[TEL]もう 寝てたか? いえ 起きてます
[TEL]実は今ね 岡村さんと一緒なんだ えッ 社長と?
[TEL]それが おかしいことに どこにいると思う?
[TEL]君も知ってる所だ 今から俺が迎えに行くから
[TEL]30分後 家の前で立ってること いいな?
なあ 驚いたろ?
ハハハハハ…
しかし 麻ちゃんが こっそり見合いしてるとはな
たまたまです ウチの親 うるさいから 会ってみただけで
そんなこと言っちゃって 意外と 結婚願望あったんだね 麻ちゃんは
そりゃあ なくはないですけど
で どんな男? タイプだった?
いいやつですよ 男気のある えーッ そう…
でも ふられたんです 私 ねッ? マスター
えーッ!?
もったいないなあ
俺 麻ちゃんが見合い相手だったら 即OKだよ
なあ 工藤ちゃん? もちろんです
ああ もったいない もったいない…
社長 酔っ払ってますよね?
麻ちゃん 僕はね 社長じゃなくて 元 社長
社長は この人 フフフフ…
だけど 嬉しいなあ
久々に 工藤ちゃんや 麻ちゃんに会えて ホントに嬉しい
こちらこそ おッ 乾杯!
乾杯! 乾杯
元気だったんですか? う~ん まあねえ
ぼちぼち フフフフ…
でも 工藤ちゃんに君のこと聞いて 安心したよ
えッ? よくやってるらしいじゃない
ホントに工藤ちゃんだけだよ
こんな僕を食事に誘ってくれたり
君の就職 引き受けてくれたりしたのは
やっぱり そうだったんだ… ≪(岡村)うん?
あのとき 社長 工藤社長が 私の記事 気に入ってるって
それで 会いたいって言ってるって
あッ バレた?
バレちゃったか
バレちゃった
アハハハハ…
でも よかった… よかった
麻ちゃんの仕事が順調で…
(いびきをかく岡村)
帰りましょう 僕が…
大丈夫… 麻ちゃん はい
悪いけど これで
〈初めて 「麻ちゃん」と呼ばれた〉
アイツ 麻子さんのこと すっごい気にしてました
えッ? 幸二
あなたに悪いことしちゃったって
ホントは もう一度 きちんと 謝りたいぐらいだって
べつにいいです もう そんなこと
それより 彼女とは うまくいったんですかね?
さあ でも 難しいと思いますよ
何といったって相手は アメリカでしょ→
僕は 正直 あなたの方が→
幸二には 似合ってると思うけどな
ごきげんでしたね 岡村さん
お二人は 出版社で一緒だったんですよね?
ああ
才能のある上司でね
僕は大好きだった
まさか岡村さんが 会社つぶすなんて思わなかったな
優しすぎるんだね
優しすぎて ずるいことができない人だから
君は その見合い相手に 気があるのか?
えッ?
あの店で会った相手だ
恋人がいなかったら つきあってたか?
さあ… 分かりません
麻ちゃん はい…
見合いなんかするな
君に見合いは
似合わないよ
《君に見合いは 似合わないよ》
どういう意味?
(岡村)ごめん ホントごめん 麻ちゃん
あんなに僕 酔っ払っちゃって… お恥ずかしい
もういいですから やめてください
なんだか変です この頃 会うたびに社長
私に謝ってばっかり
そう? そうですよ
ねえ食べましょ? ここの鴨せいろ 抜群においしいんです
そうですね そうしましょう
いただきます いただきます→
麻ちゃん 大丈夫だった?
何がですか?
あの日 工藤ちゃんに何か おかしなことされたりしなかった
いえ… 別に何も
〈と 一応しらばっくれてみた〉
そう ならよかったんだけど
どうしてですか?
いやあ あの日 工藤ちゃん 結構しつこくてね
麻ちゃんをあの店に 呼ぼう呼ぼうって
そうなんだ…
もしかしてアイツさ
麻ちゃんに気があるんじゃない?
なに? 怖い顔しちゃって
〈いえ ただ 心の動揺を…〉
〈悟られないように しているだけです〉
あッ いえ
すんごい入れ込みようで 君のこと褒めてたよ
でもね 麻ちゃん
アイツは危険
危険って?
まあ 色々ね
工藤ちゃんは別居中だけど ホラ 妻子持ちだし
工藤ちゃんのあだ名 知ってる?
いえ 知りませんけど
たんぽぽ
たんぽぽ?
工藤ちゃん しょっちゅう 女の子を変えるから
誰かが言い出したんだよね→
たんぽぽの綿毛のようにさ
あっちへフワフワフワ
こっちへフワッフワッフワって
風に乗って~ 種をまきちらしてさ
そんなに面白い? ねえ ピッタリだろ
不思議と女の子に恨まれない 得な男
あだ名っていうか 社長の言い方がおかしくて
ええ そう?
麻ちゃんやみんなと 会社やってた頃が懐かしいな
えッ?
20年以上勤めてた出版社 飛び出して
どうなるかな~と思って 毎日ドキドキしてたんだけど
あの頃が 俺の人生の中で 一番楽しかった
楽しかったって…
まだ振り返る年じゃないじゃ ないですか
まあね そうですよ
麻ちゃん 仕事頑張ってね
えッ?
君はいつか きっと いい仕事ができる
いい女になれるよ
いつかって…
まだまだってことですか
あれ? もうできてると思ってんの
そりゃずうずうしいなあ
これからだよ 君はまだまだ
これから
じゃあね たんぽぽによろしく
はい 今 大阪へ出張中なんで 帰ってきたら
大阪でも綿毛 飛ばしてないといいけどね
社長
もう社長じゃないよ 元社長だってば
じゃあね はい ごちそうさまでした
たんぽぽか…
≪(由香)何ボーッとしてんの? アチャコ
あッ ユカチン
さては男に言い寄られたな
〈どうして こういうとこだけ 勘がいいのだ ユカチン〉
社長でしょ? こないだ呼び出されてた
なんで分かるの? アチャコの恋愛パターンじゃない
押しの強い男に言い寄られて つい寄り切られる
ねえ どんな人? カッコイイの
いくつ?
そうだユカチン アウレリオとは うまくやってんの?
うん メッチャいいルームメイト
いいねえ ああいう言い寄られる 心配のないイケメンと住むって
ほどよい緊張感はあるけど 女同士より気を使わないし
えッ? あれで気い使ってたんだ ユカチン
使ってたよ バリバリ!
アチャコは気がつかなかったかも しれないけど~
よく言うよ
アチャコ
私やっぱり離婚する 決めた
えッ?
もう無理だわ アイツとは
(携帯着信)
はい
[TEL]工藤です
社長…
[TEL]ごめん もう寝てた?
いえ…
今 どちらですか?
[TEL]大阪
あッ 何か?
[TEL]いや 別に用はないんだけどさ
[TEL]ちょっと君の声が 聞きたくなって
[TEL]ごめん 元気ならいいんだ
[TEL]おやすみ
(通話が切れる)
(携帯着信)
はい
[TEL]すいません遅くに 岩見です
えッ?
[TEL]あの… タンシチューの岩見です
ああ~ どうも [TEL]どうも
[TEL]実は今 幸二が来てましてね
[TEL]ちょっと電話代わります
[TEL]田中です ごぶさたしています
こちらこそ お久しぶりです
[TEL]先日は本当に すいませんでした
いえ もうそのことは 全然気にしてませんから
[TEL]今さら言い訳するのも みっともないと思ったんですが
[TEL]もう一度 直接 あなたに謝りたくて
ですから もう大丈夫ですから
[TEL]うまい飯 おごります
えッ?
〈また つられてしまった…〉
ねッ うまいでしょ? はい
想像を超えるおいしさです
よかった ここなら 食にうるさい桂木さんにも
機嫌直してもらえるかなと思って
別に機嫌なんて悪くないです それに 食にだって別に…
そうかなあ そうですよ
で その後 どうなんですか? どうって?
ジェーンさんのことです 進展はあったんですか?
あッ それが…
〈ヤダ まずいこと聞いちゃった?〉
どうやら 向こうに 新しい彼氏ができたみたいで…
えッ?
何言ってるんですか
そんなことじゃダメでしょ 今すぐ会いに行って
彼女を取り戻さなきゃ
いやでも… 彼女の気持ちは もう僕には…
なに弱気なこと言ってるんですか
電話だけでそんな大事なこと 決めちゃっていいんですか?
結婚までしようと思った 相手なんでしょ?
そんなこと言って 心は裏腹って こともあるんですから
女ってそういうものよ 好きな人に会えば
不安なんて吹っ飛んじゃうんです
絶対に会いに行くべきです
ダメよ 戦う前に諦めちゃ
〈なぜ私は この人の恋愛相談に 乗っているのだ?〉
麻子さんって 僕が思ってた人と全然違ったな
えッ? もちろん いい意味でですよ
はあ…
あの~
ハグしてもいいですか?
はッ… ハグですか?
感謝のハグです 今日 勇気づけてもらった
はあ…
〈こッ… こんな道の真ん中で あなた…〉
今日はありがとう
麻子さんに会えてよかった
俺 頑張ってみます
〈男って よく分からない〉
〈でも もっと分からないのは〉
〈こんなことしてる自分〉
(携帯着信)
車なんですけど バスと霊きゅう車と…
工藤さん どうも…
桂木さん
岡村さんが洗礼受けてたなんて 知ってました?
ううん 初耳
僕もです そんなふうには 全然見えなかったし
面識あったんですか?
会社で何度か そうですか
それにしても あっけないですね
事故なんて…
いつもニコニコして 楽しそうな人だったのに
ホントに
奥さんとお子さん どうなっちゃうんだろう
そうですね
なんか… 明るい人が亡くなるって
寂しいです
≪(男性)角田さん ちょっといいですか?
はい
お疲れ
お疲れさまです
悪いけど 君と角田君は ここに残って後片づけを頼む
僕は火葬場から そのまま社に戻るけど
分かりました 無理言ってすまないな
大丈夫です
桂木君 はい
今夜 もし疲れてなかったら 一杯つきあってもらえないか?
私が ですか?
いや 無理はしなくていい
後でまた
すいません 遅くなりました 急なことで…
桂木さん はい
こんなときに何なんですが はい
これフカヒレです はッ?
ネットで注文したら 昨日 ウチに届いたものですから
渡すなら早い方がいいなと思って
社長に頼まれたんですか?
いえ 僕が勝手に
作ってみたらどうかな~って
あッ 余計なことしちゃいました?
分かりました
今日は 色々ありがとう
いえ お疲れさまでした
まいったよ あの人が いなくなるなんて
考えてもなかったから
君は 本当に事故だと思う?
どういうことですか?
違うんですか?
いや 警察も事故だって言ってるし 僕もそう思う
けど いくら酔っ払ってたからって なんで道路の脇になんか
しゃがみこんでたんだろう
もしかすると意図的に 座ってたんじゃないかなって
自殺ってことですか?
いや 断定はできないけどさ
麻ちゃん
どうして俺は もっとあの人の話に
耳を傾けて あげられなかったんだろう…
もっとちゃんと悩みを聞いてれば
一人で泥酔することなんか なかったんじゃないかなって
あの夜だってそうだよ
あんなに酔っ払って…
岡村社長は あの日 社長に会えて 嬉しかったんだと思います
どうして?
「楽しかった楽しかった」って 何度も言ってたじゃないですか
あれは 本心だったと思います
岡村さんは 社長のこと 大好きだったんですよ
あの後 岡村さん フラッと会社に顔見せて
私 その後一緒に ご飯を食べたんです
そうなの? そのときも
社長のことばっかり 話してました
そう…
あだ名があったって 「たんぽぽ」っていう
ああ?
社長のこと 工藤ちゃんは あっちの女性にフラフラ
こっちの女性にフラフラ たんぽぽの 綿毛みたいに女の子を追いかける
だから そういうあだ名が ついたって
ひっでえなあ…
岡村さんってさ そうやって いっつも俺のことからかってたの
そのあだ名だって 岡村さんがつけたんだよ
えッ そうなんですか?
そうやって面白おかしく 人を笑わせるのが得意でさ
人の弱点見つけちゃ すぐあだ名つけて
稀有な才能だよ モノマネもうまかったなあ
嫌みなデスクのマネとか 気取った作家とか
あんなに楽しい人いなかった
ホントに
あんなに楽しい人
≪アチャコ アチャコ→
アチャコ
おかえり~ 麻ちゃん
また飲んでたの? みんな
アチャコの帰りを待ってたの
お葬式どうだった? 大変だったね
(祐介)あッ… どうも
夜分にお邪魔してます
祐介 ダンナ
ていうか 元ダンナ? ああ…
≪(由香)昨日 日本に帰ってきたの
すいません 麻子さんには 大変ご迷惑をおかけしてしまって
全部 僕の責任です
ホーント ホント まったくだ~
ユカチン
今回は 由香さんと話し合うために 帰っていらしたんですか?
違うわよ 離婚するために 帰ってきたの ね~ッ
ちょっとユカチン ちゃかさないで
ちゃかしてなんかない ただ こういう話で暗くなりたくないの
二人でもめないで もめてるのは
こっちとなんだから ねッ
じゃあ明るく話すから ユカチンは黙ってて
お話 お伺いします
ユカチンが日本に戻って3ヵ月
なぜ こんな長い間 放っておいたんですか?
つまり~ それは~
つまりこの人 私と結婚する前から つきあってた元カノと
別れられなかったわけ えッ?
別れたよ 結婚したときは別れてた
でも またヨリ戻したんでしょ 電話でそう言ってたじゃない
まあまあまあまあ…
親友として 言わせてください
はい
ユカチンは
死にたいとまで 思いつめてたんですよ
えッ?
なあお前… そうなのか?
そうですよ そんなに人を… そんなふうには
思ってなかったよ ウソ!?
ユカチン泣きながら そう言ったじゃない
酔っ払って つい言ったんじゃない 全然覚えてないし
何言ってるのよ ハッキリ言った あのとき
私は… あんなユカチン見たのは
初めてだった
どうして そういう強がり言うの?
二人でもめてどうすんのよ? ねえ
ねえお前さ ホントに
死にたいって思ったの?
だから覚えてないんだってば
そりゃ… ちょっとは 思ったかもしんないけど
でも もういいじゃない終わった…
よくないわよ!
よくない!
ユカチン…
それが
本当だとしたら
酔った勢いで
つい言ったとしたら
死にたいなんて
軽々しく口にしないでッ
バカよ ユカチンはッ
バカ!
死んじゃったら
死んじゃったら…
おしまいなんだからね
本当に
おしまいなんだから…
麻ちゃん 大丈夫?
分かった 今日ここで こんな話するのやめよう
もう行こう 二人の問題は 二人で解決しなさい
それが一番→
行こう
《≪(岡村)麻ちゃん→》
《仕事頑張ってね→》
《君はいつか きっと いい仕事ができる→》
《いい女になれるよ→》
《工藤ちゃんのあだ名 知ってる? たんぽぽ》
(携帯着信)
(由香)「ゆうべはごめんなさい」
「色々ご迷惑おかけしましたが」
「昨日 祐介と話し合った結果」
「私 もう一度ロンドンで やり直すことに決めました」
なにそれ?
「でも 離婚はします」
「私 もっと祐介と 対等な関係でいたいから」
「離婚して 向こうで仕事探して」
「一緒に暮らすことにしました」
「祐介のことは… やっぱり好きだし」
「でも夫婦だとダメなんです」
「私 主婦って商売がつくづく 向いてないんだと思う」
「それが私の… 結論」
結論… か
「麻子さん お元気ですか?」
「僕は今 ニューヨークを離れ カナダとアメリカの国境」
「ナイアガラに来ています」
「昔から僕は 悩んだり 落ち込んだりすると」
「滝を見にきます」
「滝を見ていると 不思議と気持ちが落ち着き」
「元気がわいてくるのです」
「というわけで もうお分かりですね」
「彼女との勝負は 僕の惨敗です」
「でも彼女と話して スッキリしました」
「色々アドバイスありがとう」
「帰国したら また連絡します 幸二」
〈みんな それぞれ〉
〈自分の人生を 自分の力で 切り開いているのだな〉
〈と思った〉
〈幸二さんにしても ユカチンにしても〉
ああ~ 久しぶり 入って
元気?
すいません今日は 勝手なお願いごとで
それから その節は色々と ありがとうございました
その節って どの節かしら?
えっと… さかのぼると 会社がつぶれたときから
先日の岡村さんのことまでです
言っとくけど 岡村ちゃんと私は
あなたより ずっと前から知り合いなのよ
たんぽぽも
はあ… ≪(涼子)悔しいわね
あんないい人 いなくなっちゃうなんて
さッ じゃあ 始めましょうか
はい
ときどき火止めて 冷ましてから また蒸すっていうのを
繰り返してごらんなさい
温度が下がる段階で 少しずつ軟らかくなるから
まあ蒸し戻すだけで 1日がかりだわね
根気がいりますね
そう 料理は根気と手間と 愛情よ
でも愛情をかければかけるほど 味わい深くなる 不思議とね
いいですね そのフレーズ いただきます
新しい仕事 うまくいってるの?
まあ なんとか そう
でも… 私やっぱり
涼子先生とのお仕事が 一番好きかもしれません
うん?
先生 私 この仕事を離れてみて
ようやく そのことに 気づいた気がします
へえ そう はい
もちろん 今の会社の仕事も
私なりに一生懸命 やってるつもりですけど
麻ちゃん あなた
ちょっといい顔になったわね
そうですか? 顔が変わってきた
しっかりしてきた
人間やっぱり ちょっとは 苦労しないとねえ
はい… いったん火止めましょうか
はい
ねえ 料理はよく 素材で決まるっていうでしょう?
えッ ああはい もちろん素材は大事よ
これブラック? いや 自分で
でも その素材をどう料理するかは 料理人の腕次第なわけじゃない
はい… 同じ野菜だって
和食にするか中華にするか イタリアンにするか フレンチになるか
料理人次第で どういうふうにだって変われるの
人だって同じよ えッ?
あなたは なかなかいい素材なんだから
これから どんな料理に 自分を変えていくのかは
自分次第ってこと
ねえ麻ちゃん 今度 私が連載する料理雑誌の仕事
手伝ってくれないかな~ ライターとして
それは… もちろん すごく嬉しいですけど
私は今 工藤社長の会社の 社員なので…
そんなことは分かってるわよ
あなたが本当に この仕事をやりたかったら
どうするかは 自分で判断して 答えを出しなさい
ただし 猶予は一週間よ
まずバットに入れて…
上湯スープ
ショウガとネギをのせて
紹興酒をかけると…
蒸し器へ入れる
強火と
中まで十分 軟らかく
でもゼラチン質が溶けると
味が変わるから 火加減には注意と
(チャイム)
≪お~い ≪お邪魔しま~す
こんばんは 麻子さん これ みんなで持ってきたんです
弟に渡しといてもらえる? 分かりました
桂木さん はい
あの~ 実は…
呼ばれてないけど 来たぞ
すいません… 社長を呼ぶには まだ自信がなくて
味見する約束だっただろ はい…
土産 20年ものの紹興酒
どうも ごちそうさまです
なるほどね~
何がなるほどなの?
なるほど
はい お待たせしました~
ワーッ!
それでは 私事も兼ねてなんですが
親友のユカチンの送別会と
フカヒレの試食会を 始めたいと思います
乾杯! かんぱ~い!
ユカチン元気でね ありがとう~
ユカチン お元気で えッ?
ありがとうございます
いい色 早く食べたい
このスプーンで取ってくださ~い
はいマキさん どうぞ~
おいしいですよ これ 麻子さん!
ホント?
おいしいです はい ホントに
いける うんまい!
ボーノ ボーノ うん いいかも
社長さんの感想は? まだ伺ってないんですけど
うん… まあ
なかなかのもんじゃないかな
ただね まだちょっと 戻し方が足りないかなあ
本来なら これがね
もっとトロントロンに中まで しみこんでいかないと
しかし これはフカヒレの質にもよるし 難しいところだな
あんまり戻しすぎて 繊維がバラバラになってもいけないし
だから 上々の出来だ
≪(マキ)いい女と同じね
硬すぎてもいけない 戻しすぎてもいけない
ほどよく色っぽく トロトロしてて 味もよしって
君は面白いこと言うね 占い師ですから
しかし 味つけはすばらしい
初めてで こんなに上品なソースの 味を出せる人はなかなかいない
りっぱなもんだ
社長の解説 なんだか愛が感じられますね
当たり前です 僕は 麻子さんを愛してますから
うわッ すごい
告白ですか これは?
いや もちろん
大切な部下としてという意味だよ
あ~あ
ちょっと酔いが回っちゃったかな
ビックリしちゃった
あの社長は 危ないね
ええ? ああいうタイプは危ない
みんなの前で あんなこと言っちゃって
まあ~ そういうところが
女にモテるんだろうな~
どうするの?
どうするも何も 別に何もないし
ホントに? まあ
ちょっとはあったけど
ホントにちょっとだけよ
好きなの?
なるほどね~
アチャコ 私やっぱり 祐介と離婚するのやめた
えッ 何それ?
色々ものすごく面倒なの
離婚してロンドンへ行くのは ビザの手続きとかが
そういう理由?
現実の壁にぶち当たって 色々考えたら
祐介の妻としてね
もう一回 頑張ってみようかなって 思ったわけ
1年くらい妻としてやってみて
それでもダメなら別れるし
もしも そうじゃなかったら…
そのときは?
一生 添い遂げるんじゃないかな たぶん
アチャコ ごめんね 迷惑かけて
ありがとう 一緒にいてくれて
いいよ いつものことだもん
麻子もさ しっかりしなよ
由香に言われたくない
私が言わなかったら 誰が言うのよ
それもそうだね
おはようございます
ちょっといいか?
この間は ごちそうさま いえ
突然おしかけて 皆さんに迷惑じゃなかったか?
いえ そんなことは
何を怒ってるんだ フカヒレについて意見したからか?
いえ 貴重な意見をいただけて 感謝しています
もともと感想は 言っていただきたかったですし
じゃあ何が不満なんだ?
僕がみんなの前で あんなことを言ったからか?
〈何が不満なのかなんて〉
〈自分でも分からなかった〉
〈ただ あの日から 何かが変わった気がした〉
あれは 本心だ
本気だからこそ言いたかった
いい加減なつもりはない
君の不安は分かってる
ただ 僕は…
なんていうか
麻子と一緒にいたいんだ
信じてほしい
来週 二人で会えないか?
考えておいて
(携帯着信)
はい
お久しぶりです 今大丈夫ですか?
はい
フラれました 見事に
読みました ハガキ
でも これでスッキリしました
これも麻子さんのおかげです
そんなことで感謝されても…
まあ それはそうですね
あの 今回の一件の最終報告を しなければいけないので
また食事でもいかがですか?
いえ そんなもう…
じゃあ 無理にとは言いませんので
来週あたり
《来週 二人で会えないか?》
来週は… 忙しいんで
分かりました じゃあ再来週あたりで
うまい店 探しておきます
また連絡します
〈結局 断れなかった〉
〈何をやっているんだろう 私は…〉
(猫が鳴く)
あれ?
また あの猫だ
えッ? 前にも見たの
なんで あんなとこにいるんだろ?
バカねえ 猫はバカじゃないわよ
賢いから きっと考えすぎちゃって 間違えちゃったのよ
私 前から思ってたんだけどさ なに?
アチャコって猫派だよね 猫だよ絶対
ねッ どうして?
なんとなく あの猫に似てるもん→
跳びたくても跳べなくて ウロウロウロウロ
バイバイ
バイバイ バイバイ 元気でね
(由香)は~い バイバーイ
バイバーイ→
元気でね~
なんか食べよう
〈猫は いつの間にか いなくなっていた〉
〈どこかに出口を見つけたのか〉
〈それとも まだどこかで 迷っているのか〉
どうした? 日曜だぞ 今日は
社長に会いに来たんです
私 社長にお願いがあります
なんだ?
会社 辞めさせて いただけないでしょうか?
ええ? やりたい仕事があるんです
やりたい仕事?
私 涼子先生のところで ライターとして働きたいんです
それと
やっぱり私
社長とは おつきあいできません
そうか
はい
いいね
負けたよ
負けた
さよなら
失礼します
「幸二さん せっかくの おいしいお店へのお誘いですが」
「今回は お断りいたします」
「中途半端は もうやめようと 心に誓ったのです」
「さよなら 麻子」
≪(マキ)麻ちゃん おっはよ~
あッ おはようございます
思いきって 全部なくしちゃったね
マキさん それ反対
えッ?
私は一人になって
全部を手に入れたんです
だって これから何をするのも
どう生きるかも
全部 自分で決めていいんだもの
そう思いません?
言うね~ アチャコも
はい 言いますッ
〈そう 人生は360度〉
〈どこへでも可能性が 広がっているのだ〉
〈この屋上から見える 景色のように〉
(猫が鳴く)
(鳴く)
Can't find what you're looking for?
Get subtitles in any language from opensubtitles.com, and translate them here.