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♪~
(米山(よねやま))何してんの?
(城戸龍彦(きどたつひこ))んー やめろよ (米山)ハハハ
(龍彦)別に
(米山)あれ? 龍彦 学校初日で興奮しちゃったかな?
そんなんじゃないよ
(本並翔子(ほんなみしょうこ))はいはい おはようございます
(学生たち)おはようございます
(翔子)新入生の皆さん
須賀(すが)デザイン専門学校 イラストレーション科へ ようこそ
私は皆さんの講師を務める 本並翔子と申します
“翔子先生”って呼んでね
翔子先生!
ウフフ…―
新学期初日ということで 私も 皆さんと同様にドキドキしてます
絵の勉強は描くことが一番―
早速 実習ということで
皆さんのお手並み 拝見しちゃおうかな~
(米山)龍彦 (龍彦)おー サンキュー
(米山)おい 俺の高くねえ?
(翔子)じゃあ お願いしまーす
(米山)え? モデルさん? (学生の口笛)
(米山)わお フ~ ―
いきなりヌードデッサン?
(女子学生)え~ (女子学生)やばい―
やったことないのに (女子学生)やったことないよ
(男子学生たち)おお~
(男子学生)生きててよかった~
うわあ
画板とか なかったら 後ろにあるから
見ろよ 龍彦 (龍彦)見てるよ
モデルさんじゃねえよ 向こう向こう
(龍彦)うん?
誰か取ってあげればいいのに (米山)何 言ってんだよ
ふーっ ふーっ ふーっ
♪~
おい
(龍彦)いいよ
(女子学生)ありがとう…―
ございます
(龍彦)ほい (米山)うえ~い
(龍彦)それ ありがとな (米山)ああ
よいしょ 何年か前に買って 組み立ててなかったんだよ これ
(龍彦)どう? (米山)最高だな!
(龍彦)だろ?―
早っ―
いやあ 引っ越しも 手伝ってもらっちゃって
米山以外 こっちに知り合い いなかったから助かったよ フッ
でも東京が実家か 憧れんなあ
(米山)俺は 一人暮らしに憧れるね~
(龍彦)え? (米山)やりたい放題じゃん
女の子 連れ込んだりとかさあ
あ~ 想像しちゃった
隣近所 音とかは うるさくないの?
いや 静かは静かなんだけどさ 何か いつ行っても留守なんだよね
あ 米山 お菓子いる?
(米山) 甘いもんより酒! アハハ…
分かった 買ってくるよ (米山)おう ありがとう
(玄関のチャイム)
(女性)ああ…
(龍彦)ただいま―
ハハ… 寝てるし
あれ?―
ん?―
明かりが… 漏れてる
♪~
は?
♪~
(いびき)
おっ!
(翔子)君 大丈夫?
あ! あ… だ… 大丈夫です
(翔子)ほんとに? 君 名前は?
あ… え? あっ… き… 城戸龍彦です
(女子学生)ありがとうございます
(生野(いくの)えみる)生野えみるです よろしくお願いします
♪~
来るかなって思ってましたよ 城戸さん
俺たちが同じ学校って 知ってたんだろ?
本当に知りませんでした 偶然です
信じていただけないかも しれませんが
信じられるかよ (えみる)本当です
コーヒーでも 召し上がっていきませんか?
城戸さんに頂いた お菓子もありますし
(龍彦)もういいよ (えみる)では
昨夜のルールを 少し変更しましょうか
(龍彦)ルール?
(龍彦の声) そのルールが決まったのは―
新学期の前日 ゆうべのことだった
すみません 僕の部屋の壁に穴が…
違うな
勘違いだったらすみません 壁に穴が… 穴に壁… うん?
ああ もうやめとくか
(えみる)あ… あの…―
何か?
隣の部屋の城戸です
あの 勘違いだったらすみません
僕の部屋と そちらの部屋の境の壁に…
えっ!―
あっ 痛(いて)!
(ドアが閉まる音)
♪~
えーっと…
何ですか? 人を呼びますよ
いえ あの… えー…―
ちょ 違うんですよ 違うんですよ―
痛(いって)え…
ごめん!
(シャッター音)
何すんだよ
あなたこそ何するんですか?
一人暮らしの女性の部屋に 見ず知らずの男性という状況です
それ よこせ (えみる)大声 出しましょうか?
ほら やっぱり穴がある! 俺は その穴のことを…
言いに…
(えみる)フフ
いつもは その鏡で隠して?
ばれちゃいましたね
そうです だから今まで 気付かれませんでした
(龍彦)俺が引っ越してきてから ずっと見てたのか?
1週間 楽しませてもらいました
写真のデータ いつか消してもいいですよ
ただし条件があります
私 生野えみるっていいます
よかったら 城戸さん
私と“自分見せ合いっこ” しませんか?
は?
自分見せ合いっこです
私 人の素の姿に興味があるんです
お互い ありのままの生活を 続けながら…
(龍彦の声)月曜日 水曜日 金曜日は―
俺が隣の部屋を のぞく権利があり―
火曜日 木曜日 土曜日は―
隣が俺の部屋を のぞく権利がある
(えみる) 火曜日 木曜日 土曜日は―
私が城戸さんの部屋を のぞく権利があります
つまり1日交替です
1週間7日は 2では割り切れませんから
日曜日は どちらが のぞくことにしましょうか?
じゃあ 日曜日は お休みにしましょう
ふざけたこと言うなよ そんな勝手なルール 一方的に
今夜0時からルール適用です
俺は知らないから
あ! これ 私にでしょうか? ありがとうございます
ルールとか ほんとに関係ないから
(えみる) 穴を塞いだら ルール違反ですよ
(ドアの開閉音)
(龍彦の声) もちろん最初は冗談かと思った―
その奇妙なルールが それから2年間の専門学校生活―
いや 俺の人生を 大きく変えることになるなんて―
そのときには思いもしなかった
米山 聞いてくれよ―
米山!
(米山)うーん 何? 今 何時? (龍彦)いや 隣の部屋がさ
(米山)あした 新学期初日だから帰んないと
(龍彦)ああ…
(米山)ん? 隣の部屋が どうかしたの?
何すんだよ
いや…
ハハッ 何でもない
(米山)じゃあね (龍彦)おう
(龍彦の声) 月曜日 水曜日 金曜日は―
俺が隣の部屋をのぞく権利があり…
♪~
(鳥のさえずり)
(龍彦)はぁ…
(歯を磨く音)
(龍彦)う~ん―
よし
♪~
何やってんだ 俺
はぁ…
(えみる)では 昨夜のルールを 少し変更しましょうか?
ルール?
自分見せ合いっこは 継続させていただきます
でも 私も まさか城戸さんが 同じ学校とは知らなかったので…
のぞき合い以外では なるべく関わりを持たない
という新ルール いかがですか?
学校でも なるべく
コミュニケーションを 取らないんです
俺は お前をのぞく気はないんだけど
またまた (龍彦)いや
(えみる)私をのぞくつもり 全然ないんですか?
楽しんでいただけると思うのですが
あっ
城戸さん すごく眠そうですね
♪~
かわいい子ばっかりだな~
高校のときと違って みんな私服なのがいいねえ
龍彦 聞いてる? (龍彦)うん
あの子とか 個性的じゃない?
(龍彦)フッ 確かに
反応 薄いな
昨日から何か変だよ 具合でも悪いの?
うん… ごめん ちょっと いろいろあったんだ
もう返事しなくていいよ 足で答えて ハハッ
(龍彦)フフッ
(米山)う~ん…
龍彦が すっ転んだときの 生野さんは?
彼氏いんのかな 彼女にしたいよなあ
(足を鳴らす音)
意外だな
じゃあ あの子は?
よっしゃ 分かった
(龍彦)うん?
(米山) 何 課題なんてやってんだよ
ばか! ずれんだろ
(米山)何しに学校 来てんだよ (龍彦)お前だよ
(米山)すげえ サプライズが あるんだけどさ
何だよ
(米山)この後 女の子交えて 遊びに行こうってことになって
お前も来るだろ? (龍彦)いや 課題もあるしな
あの子たちも来るよ
(琴引友里(ことびきゆり))行こう
(米山)あと 堀井(ほりい)ってやつも 呼んだからさ
大学 浪人してから ここに来てるんで年上なんだけど
面白いやつだよ
(寺門巻子(てらかどまきこ)) 米山君 お友達 紹介してよ
こいつは 城戸龍彦 この学校の説明会で仲よくなったの
寺門巻子です 龍彦君…
じゃあ ター君でいいよね!
ター君… あ! こちらこそ よろしく
(友里)琴引友里です
友里って呼んで よろしくね
よろしく
今から一緒に遊びに行くんでしょ?
(米山)課題があるから 行かないとか言ってる
えっ? (友里)え~
行こうよ~ 行こう 龍彦君
う… うん
(米山)決まりだな
うん
(米山)おっ (堀井 真(まこと))どこ行こうか?
(米山) カラオケでも飲み屋でも 安い所で
(堀井)オーケー
生野さん 呼びたかったな~
え? このメンバーでいいよ
おっ 生野さん 発見!
(ピンが倒れる音)
(ピンが倒れる音)
(米山)生野さん ナイス!
(米山)生野さん ナイス!
(友里)ああ~ 私 ガーターばっかり~
(米山)もう かわいい~
米山 ガーターね (米山)任せろ
龍彦君 彼女いるの?
いないけど (友里)へえ 意外だな
そうかなあ (友里)うん
一人暮らしなんでしょう? (龍彦)うん
(米山) そう 俺だけだったんだよな
こっちに来てからの友達
米山 いきま~す
まあ (友里)じゃあ 寂しかったでしょ
これから たくさんたくさん遊ぼうね―
龍彦君は いつも どういう所で遊んでるの?
(龍彦)場所かあ… でも大体 米山といるからな
(友里)そうなんだ じゃあ 私とだったら どこに行く?
(龍彦)う~ん…
はい (えみる)ありがとう
生野さんてさ 休みの日 何してるの?
大体 家にいますね
もしよかったらさ… (えみる)あ! 私
(巻子)あんた変に いい体してんじゃん ナルシスト?
ちょっとボクシング かじってたからかな
ねえ ねえ ボクサーだったタレントさんって
ばかっぽい人が多いじゃない? やっぱ あんたも ばかなの?
フッ
(米山)生野さん ナイス!
(友里)私 龍彦君の絵 好きだな
ありがとう 俺も琴引さんの絵 好きだよ
あの… グラフィックっぽくて “X-girl(エックスガール)”の…
マイク・ミルズ? (龍彦)そう
うれしい! 大好きなんだ! いいよね
(米山)生野さん ナイスカバー (友里)あれ覚えてる?
(龍彦)うん? (友里)えっと~ あれ?
(巻子)気に入らないわ あんた
イケメンだからって いい気になってる感じが
そんなことないよ
寺門さんみたいな すてきな人に イケメンって言われて光栄だけどね
ああー 男ってむかつくわー
(米山)みんな! ボウリング楽しんでますか?
まあまあかな
楽しんでんの俺だけですか? (堀井)そうだよ
次はカラオケ行くよ!
(堀井)よし 行こう カラオケしに行こう
(友里)行こう! 行こう行こう 龍彦君も行くでしょ?
(友里)行こう! 行こう行こう 龍彦君も行くでしょ?
(龍彦)うん
(えみる)はい
私 この学校に入ってよかった
龍彦君にも会えたし
これから もっと仲よくなろうよ ね?
で? これは何のおまじない?
(米山)アハハッ
あと1時間は みんな延長いけたっしょ
また行きたいな~ (龍彦)1人だけだよ
ちょっと また計画して もう1回 行こうね
(巻子)いいね
(巻子)いいね
カラオケもボウリングも 行っちゃうよ~
カラオケもボウリングも 行っちゃうよ~
あれ みんな こっち方面でいいんだよね
あ 俺 課題用のアクリル 買いに行かなきゃいけないから
西口 寄って帰るよ
私も! つや消しと粘着液 足りないんだ
じゃ
(米山)じゃあね (友里)バイバイ
行くか (巻子)うん
今日 学校で龍彦君
生野さんのことばっかり 見てなかった?
いや 全然見てないけど
(友里)生野さん 美人だもんね
いや 全然タイプじゃないし
全然全然って言ってるけど 本当に?
うん 何考えてるか分かんないし むしろ苦手なタイプかな
画材屋さん行くの 今度にしよう (龍彦)え?
一人暮らしなんでしょ? (龍彦)まあ うん
龍彦君の部屋で 課題 一緒にやろう 教えてほしい技法もあるし
おお…
龍彦君の部屋に行こう (龍彦)え?
部屋で待ってる彼女も いないんでしょ?
いや いないけどさあ
私のうち 二駅先だから 遅くなったら帰りは歩いてもいいし
そう… だね
(えみる) 火曜日 木曜日 土曜日は…
私が木戸さんの部屋を のぞく権利があります
今日 火曜日だよね (友里)そうだよ
(龍彦の声)部屋で待っている 彼女はいないが―
部屋をのぞく隣人はいる …と 言えるはずもなく
(友里) にんじんと たまねぎと… 白菜
♪~
(友里)いかと… もやし?
おなかすいてるのは私だけ?
残ってるお野菜で何か作ろうか 食べる?
(龍彦)うん! 食べる食べる (友里)了解
(白菜を刻む音)
あっ 俺 ちょっと たばこ買ってくるね
(友里)あっ―
いってらっしゃい (龍彦)うん
(玄関のチャイム)
(龍彦)よかった 帰ってない
おいしい?
うん おいしい 中華料理屋さんみたい
オイスターソースと 鶏ガラスープがあったから
ん~ 調味料は おふくろが持っていけって
大体いつも お弁当ばっかりだからな
あ この花も おふくろが
(友里)ちょっと気になってた そうなんだ―
何? これ! ママからのラブレター?―
“たっちゃんへ 枯らさないように育ててね”
(龍彦)いいよ (友里)“1” フフ…―
“水は たっぷりあげること―”
“でも あげ過ぎも駄目 しっかり乾いてから―”
“2 強い日光に 長時間 当てない―”
“でも日陰だけだと 花が咲かないよ―”
“3 あまり寒いと 枯れちゃうから気を付けてね”
“3 あまり寒いと 枯れちゃうから気を付けてね”
(龍彦)やばい フフ…
龍彦君 センスいい うまい!
琴引さんの そのタッチもすごいよ (友里)ありがとう
だけど ペンシル使った こまこましたのは苦手で
(龍彦)ふ~ん
こういう曲線とかが すごく難しいの
あと こういう細かいのとか
ねえ
教えて
うん
(友里)ここ ここの曲線が分かんないの
ここ ここ どうすればいいのかな?
うん? どこ? (友里)ここの曲線
あ これは このまま こっちに… あって これがいいんじゃないかな
龍彦君 やっぱりセンスいい
いいよ (龍彦)え?
♪~
龍彦君がしてくれないなら 私から
龍彦君も
(龍彦)うん
(物音) (龍彦)おっ!
(えみる)フフッ
どうしたの?
そういえば さっきまで静かだったけど
お隣さんが帰ってきたみたいだね (龍彦)いやいやいや
そんなに気になるの?
どんな人が住んでるの? (龍彦)さあ… うん?―
フフ…―
フフッ フフ…―
何か 変なテンションでごめんね
緊張してんのかな 俺 フフフ…
フフッ もう かわいいなあ 龍彦君
アハッ あ 俺 布団ひくよ うん
(龍彦の声)穴から 見えない位置にひけば―
あいつに のぞかれない
(龍彦)よし ここなら大丈夫だ
琴引さん お待たせ…
♪~
ああ… ハァ… ああ…
ああ… んっ あ…
(龍彦)冷たっ!
フッ フフ…
(龍彦) あくまで見せろってことだな―
畜生―
とはいってもなあ
(友里)龍彦君
ごめん
どこでも いいんじゃないでしょうか
ごめん
何か さっきから変だよね 冷たいとか…
ほんとに ごめん
その素直なところが かわいい
♪~
(龍彦)あ… ハァ
(友里)ううん… もう!
(龍彦)ああ…―
ああっ ハァ ハァ…
(龍彦)もう… のぞきたきゃ のぞけ 変態!
(友里)ああ… ハァ…―
ああっ ああ… ハァ
ああ… ああ… あっ… ああっ…―
ううん… ん… ああ ああっ…
♪~
(友里のあえぎ声)
(えみる)はぁ… ん…
(友里のあえぎ声)
(えみる)あ… ん…
(龍彦)あれ? (友里)あ…
あれは? 買ってきた? (龍彦)あれ?
コンドーム? (友里)さっき出かけてたじゃない
たばこも吸わないのに たばこ買ってくるって言うから
てっきり そのとき 買ってきたのかと思って
ああ! あ コンビニ売り切れてたんだよね
薬屋まで行けばよかったかな
今 私のこと 準備のいい女だって思ったでしょ
今日 龍彦君が来るって 米山君に聞いて
それで買ってきたんだからね
でも エチケットは 男の子に守ってほしいな
はいっ
(携帯電話のバイブ音)
(友里)あ… お父さんから電話
もしもし うん
うん 今? 友達のうち―
専門で知り合ったの
うん 女の子だよ―
そう 女の子だよ
そう 女の子だよ
(ドアが閉まる音)
(ドアが閉まる音)
ほんとにごめんね お父さんから電話
もう夜遅いから帰らなくちゃ
そう… なんだ
ごめんね 特に門限はないんだけど お父さん 基本的に厳しくて
機嫌によって急に変わるから
あ… 持って帰るんだ
うん? 何?
いや 何でもない―
本当に送らなくていいの?
大丈夫 タクシーで帰るから (龍彦)うん
今日は ありがとね
こちらこそ ありがとう
気を付けて帰ってね 琴引さん
もう… 友里って呼んで
私 優しくされると
どんどん龍彦君のこと 好きになっちゃう
(足音)
(友里)お待たせ!
(玄関のチャイム)
♪~
やっぱり あなた 最低の人間ですね―
ううっ
俺の彼女になってください―
うっ
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