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Original subtitles

♬~

(瑛介) 神社の反対側じゃなかったっけ?

(光彦)違うよ あっちだよ

ここだよ えっ?

ほら この木だよ 瑛介

よく覚えてんな

根っこ 見ろよ

何か嫌らしいから

だから ここがいいって

だったな

フッ バカだったんだ 3人とも

♬~

うっ

(土を掘る音)

何か当たったぞ ああ

♬~

(紘)あっ?

(車の警告音)

瑛介!

あっ 紘か

北海道から?

ああ

ったく… 戻ってくるなら連絡しろよ

ちょっとな お前 何年ぶりだよ?

8年 だろ?

昔は ちょこちょこ帰ってきてたのにな

ぼろっぼろだな

おふくろさん亡くなってから➡

お前が ほったらかしにしてたからだ

また ここ住むよ あっ そう

何か聞かないのか?

おいおいな

そういえばさ… 独りになった

女の子だっけ? まだ ちっちゃいんだろ?

9歳 そっちは もう中学か?

(雨戸をたたく音)

夜 うち来いよ 光彦も呼ぶから

中 片づけたいから

あしたでいい

俺が そう言ってんだから あしたでいいよ

(箸の落下音) あっ 箸 落としちった よいしょ

そりゃ 帰ってきたのは うれしいけど➡

もったいないこと したんじゃないの?

せっかくの国家公務員だったのに 退職しちゃってさ

お前も そう思わない? 思う

初乃ちゃんも こっち来て飲んだら?

(初乃)その 「ちゃん」って 付けるの やめてくれる?

呼び捨てには できないでしょ 人妻を

(初乃)無視していい?

いいです 無視したら駄目! 駄目!

うん… 座れば?

(初乃)せっかくだから 3人で

先 入るね

いってらっしゃ~い

これから どうすんだ?

まだ 何も

まずは 家 片づけないとな 手伝うから

一人でやるよ 甘ったれんじゃないよ

それ 意味 逆でしょ?

(戸の開く音) 何かあったら あいつのおやじに➡

手伝ってもらえよ まだ 大工やってるから

(足音) あっ うん

おう 明

瑛介 小さいときに会ってんだろ?

自衛隊 あ… 今は 元自衛隊か

今日も遅かったな

(明)何か関係あんの? あんたに

フフフ… 心配して言ってんだ 光彦は!

ふざけんな!

ったく… どうしようもねえな

いろいろあんだよ あの年は

俺も 保護司やってるから分かるけど

いっそ 自衛隊に入れるか なあ 瑛介

ちゃかすなよ

(ため息)

初乃も いろいろ言い過ぎなんだよ

(戸の閉まる音)

うちじゃ泊めらんねえからさ

よいしょ じじも ばばも➡

おやじも おふくろも 姉ちゃんも…

おまけに後期高齢の犬まで 分かってるよ

あいつ よく泊まってったからさ 昔

フフッ 俺の変なおやじが好きだったのか

何か変わったな あいつ

疲れてんだよ

よし よし…

じゃあ 初乃に よろしく言っとけ

早く結婚しろ

ヘヘッ 早く行け

ああ…

(掛け声)

[ケイタイ](着信メロディー)

はい 何?

おやじ いるだろ?

えっ? 寄り合いだって?

うそだよ カラオケだよ 昼間っから

ああ 分かったよ

ああ 今 行くから

ハァ

悪い 取り立て

おふくろ 泡 食ってるから

取り立て? 借金でもあんのか?

逆だよ

トラック2台分の代金 いつまでも払わねえから➡

内容証明 送ってやったら どなり込んできやがった

関わんないほうがいいぞ そんな客

ああ どうせ 不法投棄とかに使ってんだろうな

後は こまごまだから 2人で やれっから

ああ 済んだら すぐ戻るから

甘ったれんじゃないよ だから それ 逆でしょ

フッ フフッ 悪いな 瑛介

(すすり泣き)

それ お前が柔道大会で

(すすり泣き)

おふくろさんが…

(すすり泣き)

今日は泊めてあげなくて よかったの?

ああ 何とか片づいたから (初乃)そう

あっ でさ お父さんに 頼んでほしいんだけど

雨戸 腐ってんだよ

寒くて あいつ 寝れないだろうから

あ… 頼むのはいいけど…

「いいけど」って?

瑛介君が言った?

いや うちが払うからさ

何? それが不満なのか?

支払いのことなんか 聞いてないでしょ

今の そう聞こえるだろ

勝手に決めないでほしいだけよ

瑛介だぞ 分かってるわよ

あたしだって同じこと考えるわよ

じゃあ 変な聞き方すんなよ

明 高校 行かせるよね?

ああ

神保さん 焼き肉屋 閉めちゃったからさ

あれが痛かったんだよな 何とかすっから

何するの?

今の仕事じゃ無理だって そう言いたいのか?

そんなこと いつ言った?

お父さんから継いだ仕事でしょ?

一緒に考えてって 言ってるだけじゃない

もういい 飯がまずくなった 待って 待って ねえ 明が…

明の変なうわさ聞いたの

(初乃)はい

[スピーカー]はい 集合!

[スピーカー]はい やるよ~

(麻里)おじいちゃん 腰 悪いんだから やめたら?

(じじ)大丈夫 大丈夫 (麻里)大丈夫?

おばあちゃん 大丈夫? (為夫)もう いいんじゃないか?

(為夫)全員 集まらなくてもよ

おい! あっ? 何?

早くしろ!

[スピーカー](男性)1 2 3 4 1 2 3 4

[スピーカー](男性)5 6… 手足の運動 5 6 7 8

[スピーカー](男性)1 2 3 4 1 2 3 4

[スピーカー](男性)5 6 7 8 5 6 7 8

[スピーカー](男性)1 2 3 4 1 2 3 4

[スピーカー](男性)5 6… 腕を回しま~す 5 6 7 8

♬~

[スピーカー](男性)繰り返します

[スピーカー]関係者の皆さんに ご連絡します

[スピーカー](男性)本日 夜7時半から➡

公民館におきまして…

(パソコン:操作音)

(初乃)うっ

(初乃)よっこいしょ (男性)はい

≪(初乃)すいません

≪これ お願いしていいですか (男性)はい

≪(初乃)すみません

あっ ちょっと待って これ ちょっと間違えました

ごめんなさい もう一回 こっち戻してもらっていいですか

(男性)はい 分かりました ≪(初乃)すみません

(初乃)ああ…

暖かいね 今日は

(クラクション)

また 先輩だ

(池田) 初乃ちゃん 大事にしてるか?

来る度 うるさいっすよ 先輩

あの窯よ 今度 貸してよ

もう 焼き場 遠くて

骨まで燃え尽きますよ

窯の中 1000度

冗談だよ 当たり前でしょ

トヨノばあ 亡くなってさ 102歳だよ ホホホ…

大往生

まあ お祭りみたいなもんだ じゃあな

ああ…

≪(足音)

(吉晴)よっと…

すいません お父さん 急に頼んじゃって

(吉晴)ああ…

あいつのおやじ 小中の先輩だから ハハッ

そうだったんですか? (吉晴)いつも いじめやがってよ

≪(物音)

(吉晴)あいつ あんなに 無口だったかね?

この間まで あいつ 赴任先 海外でしたから

疲れてんですよ

(吉晴)屋根 見てやって (男性)はい

(吉晴)で… 何だ… お前が払うのか?

初乃が言ったんですね?

(吉晴)いいよ 金なんて いいから

ちゃんと払いますよ

(吉晴)あっ そう?

じゃあ あいつの日当だけでも もらえりゃ…

いくらですか?

(吉晴)1? でいいかな?

材料費もあるでしょ? 4払いますよ

(吉晴)えっ? 4… 4は縁起悪いよ

じゃあ 5で

(吉晴) いや 3のつもりだったんだけど…

退職金 それなりにあるんで

じゃあ ついでに そこの 壊れた自転車を直してやろか

ただでいいから 自分で できますから

そっか 戦車だって修理できんだからな

できないですよ できますよ

あっ そう

瑛介 雨戸 閉めますね

ありがとうございました

ああ…

珍しいじゃないか あいつ

(初乃)そう いっぱい連れて

入るぞ

おう (黒井)お邪魔してます

(江木)ちわっす 狭いけど ゆっくりしてってよ

(堅田たち)はい

チャーハンでも作ってやれば? えっ?

友達 来てんだから

(泉)何これ? 竹とんぼ?

(明)あっ あ… (泉)いや 要らねえよ

(明)あっ それは… (黒井)何すんだ

(明)うっ

(堅田)おお 入ったな (明)う…

(堅田)うっ (江木)うっ

(堅田)フッ (江木)う…

(江木のせきこみ)

ごちそうさまでした (泉)ありがとうございます

(江木)ありがとうございます (堅田)ありがとうございました

明!

いい子たちじゃないか

何だよ?

(戸の開閉音)

お皿 洗うんだから

ちゃんとした高校 行かせるからね 母さんは

(戸の閉まる音)

さっきの本気? 「いい子たちだ」なんて

お前が うわさで聞いたの➡

ちょっと 大げさなんじゃないのか?

見た目は あれだけど➡

ガキのころなんて あんなもんだよ

ん… 寝るよ もう疲れた

あした 命日だからな

ハァー

ハァー ハァ…

(初乃)何? もう息切れ?

ハァ… 先 行ってていいよ

ハァ 年取った

(初乃)まだ39でしょ

う…

うう…

ハァー

ハァ… ハァ…

[スピーカー](チャイム)

[スピーカー](女性)下校 15分前です

(明)何? (泉)いや いや…

(江木)早く行けよ [スピーカー](女性)速やかに下校しましょう

[スピーカー]部活をしている生徒は➡

速やかに片づけて帰りましょう (江木たち)ハハハ…

(江木)おい 笑えよ [スピーカー](チャイム)

(明)う… (江木)あれ?

もしかして泣いてる? (明)泣いてない

(黒井)あ~ ごめん ごめん

なっ

ウエーイ (江木たち)ハハハ…

(初乃)ああ~っ!

ちょっと待ち

(明のせきこみ) (初乃)はい こっち向いて

(戸の開閉音) (明)ああっ 自分でやるから➡

ほっといてよ ああっ!

≪疲れた~

(初乃)こんなことされて これでも 友達って言えるの?

えっ? (明)いいよ もう

大げさにしないで ただの遊びだから

(初乃)顔に墨汁 塗られて 家のこと バカにされて➡

それの どこが 遊びだっていうの?

こんな田舎に いじめなんてないって

何で言い切るの?

いいところもあるんだよ あいつら (初乃)何かばってんの? 明

あんな どうしようもない 虫けらみたいな連中

おい

おい! お前 何したか分かってんのか

ああ だから 出ていく

分かってんだったら 母さんに謝れ!

分かってないの 父さんだから!

(戸の開く音)

≪(初乃)父さ~ん

おい… 大丈夫か?

(初乃)あの子ね…

(初乃)近づいたら あの子➡

すっごく大きかった

イエーイ いいね カトウちゃん (カトウ)ありがとう

相変わらず いいよ (男性)あ~ 良かったね

(奈月)飲んで は~い

(奈月)は~い ママさ➡

昼間のカラオケ やめてくんねえかな

(奈月)えっ? おやじが仕事しねえ

(奈月)あたしだって や~よ すぐ お尻 触るし

あっ そうなの? う~ん

いっぱい飲んでよ

フハハッ 何だよ それ フフフ…

俺が 「分かってない」って どういうこと?

あいつが 物 言いてえのは➡

初乃ちゃんじゃなくて お前なんだよ

何が? お前 明に➡

関心も興味も持ってねえだろ?

それが あいつにも バレてんだよ

この間の 瑛介と飲んだ夜に分かったよ

俺の仕事やってみたら分かるよ

でも お前のおやじさんは お前に もっと 関心があったよ

興味もな もういいよ 黙れよ

何だよ

子供いないくせに よく言うわ

あっ そう

呼び出したの お前だからな

あ~

瑛介 あいつ スーパーで総菜 買って➡

それ以外は ずっと閉じ籠もってるからな

それだけ言っとく

(奈月)あっ ミッちゃん これ!

はい あっ ごめん ママ

あれ よろしくね

(戸の閉まる音)

仲いい証拠よ

♬~

お~ 明!

ちゃんと 靴 履け

かかと踏むな

(明)そんなことしか 言えねえのかよ!

フンッ 関心 持ったのにな…

違うか

(初乃)やだ 着替えてよ 汚いでしょ

ん… そっちだって 着替えてないでしょ

(初乃)あなたは すぐ 「そっちだって」とか言い返すよね

(初乃)さっき 鏡 見たらさ➡

白髪 出てきた

まだ38なのに

ん~

(初乃)何とかなるよね?

うん なるよ

俺 風呂 入ってくるわ (初乃)お湯 抜いた

あっ そう

(初乃)仏壇 消して

ああ…

はい

(初乃)今日 同窓会の案内 来てた 高校の

来月 行ってきていい?

ああ

たまには はめ外すのもいいよ

(初乃)あなた 行かなかったよね? 高校の同窓会

面白かったの 中学までだから

ん… ああっ このまま寝るよ

(初乃)着替えたいんだけど…

えっ?

(初乃)体 重くて…

脱がせてよ

ああ

よいしょ はい はいはい

(初乃)ん~

あたしを放って行きやがって バカ

ん… ん?

(初乃)アハッ 酒臭え

≪(戸をたたく音)

(初乃)やだ 何? ≪おい!

あっ あ… ≪おい 開けろ 俺だ~い

あっ ちょっと… ≪(せきこみ)

おい あ… おい 何だよ?

何だよじゃねえよ… 頭きたから 飲み直してきたんだよ

何か 俺に言いてえことあるだろ?

ん… うん 悪かったよ

ああっ

分かった じゃあ おやすみ

それだけかよ!

おい! うん?

お前 大事なこと忘れてるよ

何が?

うん 1年2組 2年4組 3年1組

ずっと お前と一緒で

だから 誰も言えねえこと 俺が言うしかねえだろ?

う… 瑛介も入れて三角形なんだよ

フフッ

誰が偉いというわけじゃなっし~

フッ だから あれだよ…

二等辺三角形じゃないぞ

二等辺三角形じゃないぞ 正三角形だ

正三角形だよ それ 中学んとき き… 聞き飽きた

算数 ちょっと得意だったからな~

もういいか? 何で?

あ… 今から…

セックスなんだよ

分かった

失礼します

ああ~っ!

≪何で この町は 風俗も映画館も ねえんだよ~!

(耳鳴りの音)

うっ

(耳鳴りの音)

フゥ

フゥ

♬~

フゥ フッ…

ハァ ハァ… ハァー

(戸をたたく音)

瑛介!

(戸をたたく音)

瑛介

瑛介!

(雨戸をたたく音)

おい いるんだろ?

(舌打ち) ったく…

(戸をたたく音) お~い

(戸をたたく音)

≪(足音) 瑛…

≪(解錠音)

おい

何日も何 籠もってんだよ? いいんだ

金あるからって 金は関係ないよ

俺の仕事 手伝えよ

掃除 手伝ったろ おせっかいは いい

違うよ きついんだよ 一人じゃ

俺のこと気にしてんなら いいんだよ

ハッ じゃあ 何のために戻ってきたんだよ?

俺たちがいなくても お前 戻ってきたか?

いるから帰ってきたんだろ? のこのこ

故郷には あいつらがいる

久しぶりに会ってみたいな 顔 見たいな~って

バカか あっ 今 ちょっと笑ったな

笑いながら 「バカ」と言った 笑ってねえよ

なあ 「おいおい聞く」って 言っただろ

何があったか言えよ

俺も 光彦も暇じゃないんだよ 気になんだろ

あっ そう

分かった 勝手にしろ

ハァ 1年2組 2年4組 3年1組

ずっと お前と一緒で

う… 小学校だって➡

1年は俺と 2年は光彦と 3年は俺と 4年は光彦とって➡

代わりばんこに 同級生やってきたんだよ

5年は また俺で 6年は光彦で…

光彦も入れて 三角形なんだよ

二等辺三角形じゃないんだよ

その例えさ 光彦だろ

あいつの口癖で

受け売りかよ

あ… だから 何だよ?

聞くけど➡

俺のこと雇う金なんか ないだろ? お前んとこ 大変で

甘ったれんじゃないよ

ボランティアで頼んでんだよ

(ため息)

♬~

よし

こんなこと 一人でやってきたのか?

ああ

おやじの時代は 窯が2つあって➡

弟子も数人いて

バブルもあったからな

明君に 後 継がせんのか?

いいや

開けて ああ

お前のおふくろさん

正月になったら いつも 黒豆 炊いて➡

俺や 光彦の家に 持ってきてくれたよ

で… 「どうぞ 上がってください」 っつっても➡

「いえ あたしは ここで」 って言いながら…

アハッ ずっと 玄関で お前の近況しゃべってたよ

「今は どこどこの方面隊にいて」 とか➡

「レンジャーとやらに所属した」 とか

きっと それが言いたくて来たんだな

黒豆っていうのは口実なんだよ

それで 俺も 光彦も➡

瑛介は元気でやってるんだって 安心した

おふくろを早くに亡くしたからな

羨ましかった

また 今日 3人で集まろうや

あ… もらうぞ

(為夫)♪過去に縛られ

♪暮らすことより おやじ 俺が外で飲んでるときは➡

家で じじ ばばの世話しろよ! (為夫)♪わたしよりも可愛い人

ったく脳天気なんだ… こら! 尻 触るな ママの!

[スピーカー](為夫)♪探すことよ おやじ!

(光彦/紘)ハハハ… で? 熊が何だって?

うん? 熊!

ああ そうそう あっ でな… うん

その 熊みたいに でかい部下

熊みてえに 体でけえのに➡

名前が 早乙女 誉なんだよ

(3人)ハハハ…

その早乙女 愛国心は いっぱしなんだけど➡

ビビりでさ うん

こう 移動中に こう 対向車線に ちょっと不審な車両 見つけると…

(テーブルをたたく音)

「沖山一尉 沖山一尉」

「あれ ヤバくないですか あれ ヤバくないですか」とか➡

言ってるから だから➡

「うるせえ!」って 俺が どなったら…

フフフ… 「すいません」

「あの 便所 行かしてもらっても いいですか」って言いやがってな

フフッ 何で便所? それが その早乙女

うん 赴任して以来 ずっと便秘でさ➡

そういうときに限って 出そうだって言うんだよ

(紘たち)ハハハ… だから お前

「バカ! こんな所で降りたら➡

撃たれるだろ!」って 言ってやったんだよ

(瑛介/光彦)ハハハ… だけど 降りなきゃ漏らすだろ

そう だから 「何か 歌 歌え」って ああ

「歌って 気 紛らわせろ」って 言ったんだよ

そしたら その早乙女

海ゆかばを力のかぎり歌うんだよ (紘たち)ハハハ…

軍歌かよ~ (紘たち)ハハハ…

でもさ 大体さ そういうやつ 相当 音痴だろ?

いや…

これが美声なんだよ 誉は ほう

泣かせられるんだよ へえ

ホントに (為夫)♪海ゆかば

フフッ (為夫)これね 軍歌じゃなく➡

元は万葉集か何か いや いきなり何だよ?

同窓会やってんだから あっち行って

俺 久しく 同窓会 出てないから アハハッ

あっ じゃあな また おやじ 同級生じゃねえだろ?

橋か何か造ってたの? あっ いえいえ 警備隊で

あっ そういえば ニュースに映ってたよ

「あ~っ 瑛介の野郎だ」って かかあに言ったら➡

「何で ビデオ録っとかないの!」 だって

(瑛介/為夫)ハハハ… 訳 分かんないから あっち行って

瑛介!

はい!

よく帰ってきた

そして 国民を代表して ありがと

(為夫の泣き声) ハハハ…

邪魔だって言ってるだろ おやじ

何が 邪魔なんだよ

お前らが中学のとき➡

車の運転 教えてやったのは誰だよ (瑛介/紘)ハハハ…

大体 ここは4人席だろ?

4人 座るための席なんだよ

ねえ ママ ここ 4人席だよね?

(奈月)はい ごめんなさい はい 立って (為夫)何だって…

(奈月)あ~ 危ない危ない はい おお… フッ

はい もう帰って 韓流ドラマ見るんでしょ?

ねっ はいはい… (為夫)かばんだよ

すまんな おやじが なっ ハハハ…

痛えな ハハハ…

ったくよ 海… 行こうか

フッ 海? うん

海? いや…

よく3人で飲んだな~と思って

だな

おお こっそり飲んだな

たばこも吸って うん フフッ

よし! うち帰って 毛布取ってくるわ 俺 リターン

行こう

(波の音)

たばこ 何だっけ? 吸ってたの

え… 味も分からず 缶のピース

ああ… え… みんな 禁煙しちゃったけど

あ~ 寒いな やっぱり こ… こっち こっち こっち

えっ? 海じゃなくて こっち こっち…

回れ このまんま回れ このまんま回れ

そうそう そうそう… おおっ

よいしょ ちょっと…

あ~ そうそう 初乃がさ➡

隠れて吸ってんだよな

時々 臭うんだよ あ… 口が

あっ そう あっ そう

やめろって言えないんだよ

あっ そう あっ そう

言うとな… 離婚だわな

たばこで離婚 (3人)ハハハ…

あっ 離婚といえばさ… うん

俺の姉ちゃん 結婚するかもしんねえ

まだ結婚してなかったの? うん

何だっけ? ほら

あ… 麻里ちゃん そう ひとつき前だよ

(紘/瑛介)うん その姉ちゃんがさ➡

やっと 「結婚する」って言って➡

おやじも おふくろも 喜んだんだけど…

それで 男 連れてきたんだよ うん

そしたら おふくろ 卒倒するし… 何で?

うん? おやじより 2つも上なんだよ

その男 (紘/瑛介)え~っ?

何で つうか 男じゃねえよ じじいだ!

ハハハ… ハッ 名前 藤吉郎っていうんだよ

藤吉郎? ハハハ…

豊臣秀吉だよ [ケイタイ](バイブ音)

あ~ ちょ ちょ… 秀吉

ちょ… 待て待て… [ケイタイ](バイブ音)

初乃ちゃ~ん

あ~ ごめん ごめん

えっ? 波音?

ああ そう 海だよ 海だよ

フフッ 貸して

初乃ちゃん? ハハッ

うん こいつ 嘆いてるよ~

「何が?」って… 「何が?」って 「ナニの途中で➡

初乃が いびきかいた」って… おいおい

「あえぎ声だと思ったら いびきかいて寝てた」って

返せよ それで 情けねえって

おい お前 お前! 俺も 瑛介も

ちょ… なあ

あれ? あれ?

(ウイスキーをまく音)

何やってんの?

(ウイスキーをまく音)

押しくらまんじゅうとか したよな? ここで

えっ?

あっ ちょ… 押しくらまんじゅうは やめようよ

ハハッ

(紘たち) ♪負けない事・投げ出さない事・

♪逃げ出さない事・信じ抜く事

あっ (紘/瑛介)♪駄目になりそうな時

(紘たち)♪それが一番大事

♪負けない事・投げ出さない事・

(紘/瑛介)♪逃げ出さない事・ ちょっと~!

(紘/瑛介)♪信じ抜く事 何で俺だけ…

(紘たち)♪駄目になりそうな時

♪それが一番大事 ちょっと! おい 今 押したよ!

今 手で押したよ! 早く 早く もう一回

(カーラジオ:女性)高速道路の状況です 東名阪道➡

上り線が渋滞しています あれ?

あっ 光彦の姉ちゃんだ (カーラジオ:女性)東名阪…

(クラクション)

麻里姉 婚約おめでとうございます おめでとうございます

(麻里)ありがとう! ねえ 彼氏の写真 見る?

あ… いや 体に悪いんで

(麻里)何でよ? えっ? ちょっと待って

ちょっと ねえ! やだ… (紘/瑛介)ハハハ…

これ ほら! ツーショット

ハハハ… やめろよ ハハハ…

体に悪いだろ だって バレるよ お前

ホントに そんなことやって ハハハ…

紘さ 何?

昔 山ん中に 何か埋めたよな?

あ~

どこに埋めたのか忘れたけど

あっ もしかして それを捜してたのか?

あのとき スコップ持って

何だ 見てたのか?

うちの小屋から見えたんだよ

でも 何で今?

ここ離れたとき➡

どんな気持ちだったのか 知りたくなったんだ

別の将来とか 考えないようにしてたからな

あのころは

卒業して1週間で もう 横須賀だったからな

でも 分かんなかった

そっか

ああ 光彦が 覚えてるかもしれないな

場所 あっ そう

じゃあ これ 伝票になります (店主)はい

また 来月の7日に はい あっ ちょっと待って

はい? これ 缶コーヒーでも

どうぞ どうぞ ありがとうございます

あ~ いえいえ こちらこそ ありがとう

こんちは 今 大丈夫?

(恩田)はい

恩田さん 銘柄 これだったよね?

(恩田)すいません

じゃあ 来月分 連絡 待ってますんで

(恩田)あの… 親方が伝えておくようにと

はい

「次回から宅配でいいですよ」と

いや おやじの代から こちらには随分と…

少し 仕入れを減らすようです

えっ?

何か うちの炭に? それは違うと思います

何で?

恩田さん 言ってくれないと

私は立ち会ってないんですが➡

他県から売り込みがあって➡

値段と質を比べたいと 親方が

あ… 連絡くれるように 言ってくれるかな?

30年来のつきあいなのに…

はい

たばこ ありがとうございました

(戸の閉まる音)

値段っつったって… ぎりぎりだよ

行こう

こっちだって売り込むんだろ? 今から

ああ

(おかみ) どうぞ また ご来店くださいませ

(客)ごちそうさまでした

(おかみ)ありがとうございました

お気を付けられまして

いらっしゃいませ ここ

(女性)いらっしゃいませ ありがとうございます

支配人の津山さん➡

いらっしゃいますか? (女性)はい?

先ほど ご連絡させていただきました 私➡

高村製炭所の者です

(津山)これから すき焼きの団体様が入るので➡

今 ちょうど 準備をしているところです

(津山)ご覧のとおり➡

うちは創業以来 かしの黒炭で賄っておりますので

火付きは悪いですが➡

遠赤外線の効果は 黒炭よりは格段に

(津山)でも 白炭は はぜることあるでしょ?

お客様の すぐ目の前ですから…

あ… いや…

よろしいでしょうか?

はい

じゃあ またあした迎えに来るから ああ

何か お前 めげてるか?

いや これで精いっぱいだし

ちょっと 窯 見てくるわ

ハァ

夏江か?

まだ起きてたのか?

ん? 父さんか?

父さん 今…

ん~ 何て言ったらいいのか…

炭を焼いてる

いや 焼き鳥屋じゃないよ

いや だから 焼き肉屋でもない

薬?

ん?

ちゃんと のんでるよ

ごめんな

嫌な父さんだっただろ?

あっ じゃあ ここで失礼します

(警官)よろしくお願いします

何で 父さんが来たんだよ?

興味あったんだよ どんな顔してんのか

何でもないよ これぐらい

万引き

ホントは お前一人じゃ なかったんだろ?

何で あいつらのこと 警察に言わなかったんだ?

あいつら もう 俺のこと バカにしなくなるんだよ

黙っててやったんだから

じゃあ それを恩に あいつらと別れろ

できんだろ? できないよ

「いじめなんかない」って言ったの 誰だよ!

父さんが駄目なら➡

担任に相談する そんなことしたら ぶっ殺すぞ!

何だ その言い方!

何すんだよ!

俺 バスで行くとこあるから

(ため息)

(舌打ち)

(明)すいません 乗ります すいません

参ったな…

(戸の閉まる音)

(初乃)食べる物あるから ほら 座って

いいよ 父さん 起きてきたら うっとうしいから

(初乃)さっき 窯に行った 窯出しが近いから 瑛介君と

ほら 座って

ほれ 出所祝

俺 もう あいつらと対等だから

じゃあ ホントのバカになったんだ よかったじゃない

高校なんか いいから

あんたが決めることじゃない

逆じゃね? 普通

母さんの意地よ 逆らえないから

行く気も 勉強する気もないから

あっ そう

小林さんち 豚 飼ってるでしょ 餌にあげる

豚は 豚 食わないだろ

(初乃)根性あれば食べます!

この根性なし!

(ふすまの閉まる音)

あと1時間だな

この間の かっぽう旅館 意見したら打ち切られた

「打ち切られた」って つきあいをか?

ああ

明 迎えに行った帰りに 連絡あって

俺も どうかしてたんだけど➡

食い下がったら 怒らせたみたいで…

いつも比べられるんだよ おやじの炭と

おやじは 一人じゃなかったからな

ハァ まあ それは言い訳か

あのさ… あ~ いいよ いいよ

そっちは気にしなくて いや…

俺も頑張るからさ

フッ フッ フフッ

フッ 何で笑うんだよ?

そんなやる気になるなんてさ

フッ

やることがあって 俺も… よかったんだ

明な

いつか誘ってやってくれよ 飯に

ああ

彼… 何 好きなんだ?

うどん… かな?

じゃあ 頼む

ああ ああ

あっ 奥をかき出すときは➡

支点を変えて…

あ… 持ち手も こう

ああ コツがあるんだな

いくら 自衛隊でも これは やったことないだろ

ああ 腕が ぱんぱんになってきた フッ

あ… ちょっと貸してみろ ああ

(戸の開く音)

おう ああ

宅配 出すなら このみかん ついでに送ってほしいんだ ここに

「早乙女」って… ああ あの便秘の

ああ 誉の母親宛てに

いいよ 手間は一緒だから

あっ そうだ 少ないけど 初乃から これ

スーパー 出ちゃって

いいよ いつか困ったら ちゃんと もらうから

いや…

あっ 弁当 これからは自分で作るって➡

初乃さんに伝えといて

ああ

(たんを吐く音)

(泉)吸えよ これ

(明)かばってやったのに 何だよ お前ら

(江木)急に偉そうに だからだよ ほら

(黒井)吸ったら仲間だから 認めてやるって

(明)うう…

(明)うっ

(堅田)誰が 顔 殴れって言ったよ (黒井)ううっ

(堅田の舌打ち) (黒井)ううっ

(明)うっ

お前ら 本物の銃 撃ったことあるか?

撃ったことあるかって 聞いてんだ!

どうなんだ!

おい!

よし 行くぞ (明)う…

ホントは あいつら やっちゃいたいだろ?

いいや

あのでかいやつだけ やっちゃえば 他は大したことない

堅田には… あいつには誰も逆らえない

去年 あいつが転校してきてから 誰も勝てない

だからって 黙ってても しょうがないだろ

やっちゃえ

だから 無理だって

明君 俺を誰だと思ってんだよ?

父さんのバカ友達

つかんでみろ

つかんでみろ!

いいか? こうやって つかまれた状態では➡

お前が膝から落ちりゃ…

(明)痛… 相手も一緒に こける

(明)あ… おい 立て

つかまれた状態では➡

重心は お前と俺の 4本脚で成り立ってる

だから お前が落ちりゃ… ほら 落ちろ!

ああ そうだ

相手も一緒に こける

おい 立て 次 いくぞ

親指 立ててみろ

喉の この部分に 親指をねじ込むんだ

この急所に はまれば 誰でも瞬時に失神する いいな?

よし 俺が やってみる

かかってこい!

逃げるな! バカ! このクソガキ!

こうやって つかんでみろ ほら

こうやって 連れていかれそうになるだろ?

そういうときは 素早く右に回って ヘッドロックをかけ➡

動脈を絞めれば 相手は落ちる (明)うっ う…

(明のせきこみ)

あのさ こんなこと中途半端に覚えて➡

逆に やられたら どうすんだよ? そのときは 俺の負けだ

そういう話じゃないっしょ よし 飯 行くぞ うどんでいいか?

うどん?

おい それ 持ってきて

よし 急げ! (明)あ…

♪(音楽)

ほら 飲むか? 未成年です

お前の年で飲んでたよ もう 俺たちは

親が知らないだけで

あ~ お前のおやじな➡

お前のじいさんに よく殴られてた

「帰りが遅い 酒 飲んでんのか? 成績が悪い」

「バカな瑛介や 光彦なんかと つきあうな」って

たまには 備長炭で殴られて…

硬いんだってな あれ

殴られてた?

おやじさん 後 継がしたくなかったんだ

「公務員になれ」って

じゃあ 何で?

あいつ 意地で継いだんだよ

親の望みに逆らったんだ

(明)うそだよ 継いだほうが楽だったからだろ

じゃあ やってみろよ 山ん中 行って

大変だぞ あれ

あいつ 自分の決めたことに 後悔したくない一心で➡

お前とか 他に 気が回らないんだ

だけど 悪いおやじじゃねえぞ

ほら 飲んじゃえ

なっ

痛みなんか 吹っ飛ぶぞ お前

≪(クラクション)

あっ

ほら 弁当 作ってきた

ハッ でけえな

今日 運転 代わるよ あっ そう

(車の走行音)

北見さん どういうこと?

(北見)お前ら うるせえから 返しに来た

ちょっと待ってよ 買ったんだろ? 一旦は

ちゃんと 金 払ってよ (北見)試乗しただけだろ

エンジン ひどいね ポンコツで (男性)フッ

田舎の販売店だと思って なめてんのかよ!

知ってんだからな 不法投棄だろ!

荷台 ぼろぼろじゃねえか

どうせ ナンバーも替えて 乗ってたんだろ

(北見)すんなり 「分かった」って言えよ

何 言ってんだ 言えるわけねえだろ!

(北見)何だ? この野郎 (為夫)また 君らか

(男性)こっちはな まだ他に… (為夫)警察 呼ぶぞ

明君と 飯 食ったよ

そっか

変なこと しゃべってないよな?

変なことだけ しゃべった

何で? フッ

≪(争う声)

あっ?

(争う声)

俺が行くよ

(北見)やるのか おら! ああ…

ああっ! (北見)立て こら!

えっ? おら! 立て こら! ああっ!

うっ あっ あ…

(北見)何か関係あんのか? お前

同級生だ ああっ?

(男性) 同級生が何の関係があんだよ

(喉元を突く音) (男性)うっ ああ…

靴 どうした? ああ…

(北見)離せ おい! 光彦

(北見)離せ おい!

離せ!

こら! うっ!

おら!

うっ う… ああっ (男性)おい てめえ!

う… (男性)てめえ うっ!

ああっ (男性)おい!

ううっ!

(北見)何だ? お前

うっ! (北見)ああっ!

♬~

(北見)ああっ

待て こら!

♬~

ああっ!

おら!

ああっ

おい やめろよ

おら! (北見)ああっ ううっ

うっ う…

ああ~っ! くっ!

あっ お… おい

うわ~っ!

うっ うう…

瑛介 やめろ!

死ぬって! なあ やめろ! (北見)ああ…

ああ~っ! 死ぬぞ! 瑛介!

あ… お前に何が分かるんだ!

(北見)う… ああ~っ!

お前に何が分かるんだ~! うお~っ!

ああ~っ! 瑛介! やめろ!

離れろ!

瑛介 離れろ

ハァ…

この!

ハァ ハァ

次 会ったら ぶっ殺す!

ハァ ハァ…

(北見)ああ…

(ガラスの割れる音)

(足音)

(戸の閉まる音)

北海道でも こんな感じでな

あした 出頭するから➡

それまで 一人にしてくれないか

光彦が 今 警察で お前をかばって…

防犯カメラもあったし…

よく分からないんだ 自分が

お前のことは お前より知ってるよ 俺は

昔のことだろ?

お前らは 世間しか知らない

世界を知らない

そんな難しいこと言うなよ

何があったか 聞いていいか?

帰る所なんか なかったんだ

それだけだよ

(戸の開閉音)

≪(初乃) さっき あの連中 来たわよ

≪挨拶もせず 「帰ってきたら教えろ」だって

(明)別に気にしなくていいよ

(明)父さんは?

(初乃)実は…

瑛介君がね…

♬~

明…

(明)毛布 母さんが 「持ってけ」って

ああ

瑛介と 飯 食ったんだって? (明)うん

瑛介

「相手は お前ぐらいのガキだった」 って言ってたよ

ガキ?

(明)ガキが 銃 持って撃ってきたら➡

撃ち返すしかないから それが怖かったって

そっか そんなことを

父さんと 瑛介な➡

半年 口 利かないことも あったんだよ

中3んときだけど

(明)何で?

「息子を自衛隊に行かせるなんて 今どき そんな親いるか」って…

ハッ 言ったんだ 瑛介に

おふくろさんのこと バカにしたんだな

自衛隊に行くって決めたのは 瑛介だったのに…

でも 父さん 謝んなかった

ずっと 口 利かないでいたら➡

卒業式の夜に 光彦が うちに来て➡

「3人で海に行って 一緒に飲もうや」

「卒業記念にさ」って

フフッ 光彦 そのまま 卒業すんのが嫌だったんだな

なあ 1つ聞いていいか?

あっ?

警察署のバス停で 俺 振り返ったら➡

父さん 俺のこと 見てもなかった

気にしてもなかった

それでも 親かよって

お前が振り向くと 思ってなかったからさ➡

それが怖かったんだよ

ずっと 背中を見せられてるのが

(明)そう

ってな答えで いいか?

(明)許してやるよ

ハッ あっ そう

ん… 貸せ

寒い

ウィー うっ

ああ…

(明)靴 ちゃんと履いてっから

ハハッ そうだな

ハッ つまんねえな

(明)はっ? 何だよ? それ

おい 瑛介!

鹿肉 持ってきたぞ

いねえのかよ?

何でまた 雨戸 閉めてんだよ

う…

(ノブを回す音)

ったく…

(戸をたたく音) おい!

(ため息) お前… どこまで ガキなんだよ

明に笑われるぞ!

甘ったれんじゃねえよ!

(汽笛)

(女性たちの話し声)

これで いいか? あ… すいません

(吉晴)ひとつき近く 帰ってこないんだからな

まあ 用心だ

携帯も 「現在 使われてません」だし➡

電気も ガスも 自分で止めていったようなので

(吉晴)初乃が 「うまくいかない」って言ってたぞ

俺の知り合いで 「誰か 炭 買う人いないか」って➡

聞いてきた そんなことを? 初乃が

初乃が やいやい言っても 気にすんな

はい 何かあったら 俺が言ってやっから

はい 言うっていっても やんわりね

あいつ 怒ると怖いから ハッ ハハッ

何か投げてきますからね そうだよ

昔 さんまが 水平に飛んできたことあったよ

もう 刺さるかと思ったよ ハハッ 一緒ですよ

だから さんまのときは ケンカしないようにしてるんです

ハハッ フッ

(吉晴)心配だよな あいつ

まあ そのうち 便り よこすよ

住所 分かってんだから

お… じゃあ 次あるんで あっ はい

あっ これこれ これね➡

今 ほら あれ 込み込みで➡

その… そこんとこ よく お考えなさってって…

「なさって」だって フフフ… ねっ?

(白川)あの… 酔ってません? (為夫)そうなんですよ

だからね 今日はもう 運転しませんから 大丈夫です

(せきこみ) (白川)当たり前でしょ

(為夫)うん で… これ お… お買い上げで?

うん? (白川)いやいや…

あたしが欲しいのは 軽で… 軽 (為夫)うん

あの こんな高級車は ちょっと… (為夫)軽?

はい (為夫)軽は あなた 軽いですよ

ねえ (白川)はっ?

軽 軽い軽い…

軽 軽… ハハッ すいません 代わります

ハッ おやじ 瑛介のこと 紘が聞きたいってよ ほれ

はい そこへ ほら

うん 昨日 会ったよ

会ったっていうか 見かけた

どこでですか?

「どこ」って… 飲んで帰る途中に➡

道端 歩いてるのを どこの道端ですか?

國ちゃんの後家に 送ってもらったから➡

ず~っと遠い所

もういい? ちょ… 眠いんですか?

大丈夫 今 起きたから

で… どこですか?

だから ず~っと先の所に➡

あの 漁港あるでしょ?

じゃあ 寝ててください

あいつ 元気そうだったよ

それでいいんじゃないかな?

お… 俺は そう思うよ

ん… 無事だったんだから

お… 俺は そう思うな

(人々の話し声)

瑛介

お前が あのとき➡

ウイスキーを 海にまいた理由が分かったよ

お前 ずっと➡

早乙女の母ちゃんに いろいろ送ってたんだってな

「いつも 感謝してる」って言ってた

「誉が死んでからも ずっと 気に掛けてくれて」って➡

泣きながらさ

何で連絡したんだ?

フッ

お前が どこにいるのか 知ってるかなって

自分の責任だと思ってんなら 違うと思うよ

何が分かるんだ?

誉君

赴任から戻ってからだろ?

お前とは関係ない

あいつはな➡

いつまでも ずっと 俺の部下だ!

誉君が海に入ったのは➡

コンバット ストレス

そう言うんだろ? お前らの業界では

責任は お前じゃない

俺の責任だ! それから…

お前たちの責任だ

ああ

世界を知らないからな

♬~

帰ってくれ

もう終わったんだ

分かったよ

言っとくけどな こっちも世界なんだよ

いろいろあんだよ

紘!

何だよ?

♬~

海の上にいるとな➡

落ち着くんだよ

慰みじゃない

ほっとするんだ

うそじゃない

♬~

(初乃)代わろうか?

あっ いいよ

(初乃)一人になりたい?

フッ そんなことない

実は 最後には笑ってたんだ 瑛介

「心配するな」って

(初乃)ふ~ん

瑛介君なりに 折り返す場所 見つけたんだね

あいつな➡

「俺も頑張るから」って 言ったんだよ

俺が気落ちしてるときだな

それ聞いて 俺 笑ってしまったんだけど…

笑っちゃいけなかったよなって フッ 今更ながらね

気持ち酌めなかったんだ

きっと 俺のそういうところ➡

明にも バレてんだな

ねえ

何?

火 見てると飽きないね

♬~

あなた

うん?

お父さんは お父さん あなたは あなた

でないと こっちが迷惑だもん

♬~

ううっ!

(炭のはぜる音)

(炭の当たる音)

(炭をたたく音)

(炭をたたく音)

♬~

ハァ また遅いな 明

塾だから

塾?

塾? うん

塾…

でもね 塾の前で また あの連中が待ってるんだって

俺が迎えに行くよ 今度 (初乃)うん

担任に相談してもね…

うん あした 同窓会だろ?

えっ? 覚えてたの?

冷蔵庫に メモ貼ってあったから

昔 つきあってた あいつも来るんだろ?

桐生っつったっけ?

何? 嫉妬?

いや よくあるだろ?

同窓会で… ん… 久しぶりに ナニすると…

フッ バカじゃないの?

お… また 弁当に 「バカ」って書いてくるなよ

書かないわよ あんな めんどくさい

じゃあ 私 昼前には出るけど➡

6時半には 帰ってこれると思うから

だから ちょっと待ってて 夕飯は一緒に

ああ で… 晩ご飯 何?

さんま

いいね 久しぶりでしょ? さんま

ああ

[スピーカー](女性の話し声)

[スピーカー](女性) 繰り返し お知らせいたします

(初乃)バスの時間!

[スピーカー](女性の話し声)

アハッ

「お」を付けりゃ いいってもんじゃないだろ

[ケイタイ](呼び出し音)

[ケイタイ](アナウンス:女性) 留守番電話に接続します

留守電か

[ケイタイ](アナウンス:女性)ピーッと鳴りましたら お名前と ご用件を…

♪(音楽)

♪~

(藤吉郎)お父さん

(藤吉郎) これ ふるさとで採れたみかんです

どうぞ (為夫)何が 「お父さん」だ!

あっ 痛い 痛い (藤吉郎)あっ あら?

(為夫)気持ち悪いな 向こう行けよ!

(藤吉郎)えっ? (為夫)それに お前 バカか?

(藤吉郎)はっ? (為夫)ここは みかんの産地だぞ

そこへ 普通 みかんなんて 持ってくるか! このバカ!

ハハハ… (藤吉郎)あ… いやいや…

あれ?

うっ

うっ ああ…

(明の雄たけび)

(江木)何だ? 逃げろ 逃げろ

(明)うっ! (黒井)あっ うっ

(泉)何してるんだ (江木)お前 いいかげんにしろ

(明)うっ! (江木)やめろ やめろ!

(明)うっ (江木)ああっ!

(泉)来んじゃねえよ!

(明)うっ! (泉)痛!

(たたく音) (泉)痛!

(江木)うっ

あっ ああっ! (江木のせきこみ)

(堅田)うっ (明)うっ 痛…

う…

♬~

行っていいよ

(明)何で?

(堅田)面白かったから (明)はっ?

その炭 硬えんだな

(堅田)俺も 前の学校で お前みたいだったから

ほら 行っていいよって

行け!

(おかみ)ありがとうございました (女性)ありがとうございました

(おかみ)どうぞ お気を付けられまして (客)また 寄せてもらいます

(おかみ) 是非 お待ち申し上げております

ありがとうございます

(おかみ)ありがとうございました

いらっしゃいませ

(女性)いらっしゃいませ (男性/女性)ありがとうございます

(初乃)あっ いえ あの お客じゃないんですけど…

(初乃)あの 支配人の方に お会いしたいんですが…

(女性)はい お約束は 頂いておりますでしょうか?

(初乃)いや それはしてなくって…

したほうが よろしかったでしょうか?

♪(音楽)

♪~

お待たせいたしました 支配人の津山です

あっ 初めまして あの 以前 炭を見ていただいた➡

高村という者ですが… (津山)あ…

そのときは 主人が伺ったのですが…

ホントに その節は… (津山)あ… いや… あっ

これを頂いても…

そのとき ご主人には お伝えしたのですが…

(初乃)あっ あの…

あのですね えっと…

こちらのホームページ 拝見しまして➡

あの すき焼きコースの他に ステーキコースも➡

ご好評と知りまして…

はい ステーキも かしの黒炭で

ちゅう房で ですよね? (津山)はい

(初乃)はい あの…

プロの方が使えば はぜることはないと思うのですが

是非これで 試していただけませんか

(津山)あ…

遠赤外線の効果と 微妙な火加減も簡単で

何と言っても 備長炭と ステーキは➡

相思相愛といいますか➡

まるで 恋仲に落ちたかのような… (津山)恋仲?

いや 私どもが 代々 受け継いできた調理方法を➡

変えることは なかなか… (初乃)許されない愛ほど燃えます

愛?

あ… 論点が➡

いまいち 分からなくなってきたのですが

大丈夫です 私が分かってますから

う…

うう…

ううっ

う…

うう…

♬~

(クラクション)

(池田)あれ?

(クラクション)

[ケイタイ](バイブ音)

何? お父さん

今 電車なんだけど

(看護師)イノウエ様のご家族の方 (イノウエ)はい

(看護師)イノウエ様ですか? (イノウエ)はい そうです

(看護師)こちらへどうぞ (イノウエ)はい

≪(足音)

(吉晴)初乃

(看護師)こちらになりますね

(戸の開く音)

(吉晴)お前を待ってたんだ

(心電計:電子音)

(初乃のすすり泣き)

あしたには起きてね

いい報告あるからね

同窓会ね 行かなかったんだよ

(初乃のすすり泣き)

もっと お弁当 作らせてよ

(初乃のすすり泣き)

(初乃)ねえ

(初乃のすすり泣き)

聞こえたよな? 紘

(初乃のすすり泣き)

ハァ ハァ…

瑛介!

紘が…

紘がな…

もたなかったんだよ

一晩 頑張ったんだけど

えっ?

俺が あのまま 手伝ってれば…

何 きれい事 言ってんだよ

(初乃のすすり泣き)

(初乃)あたしも入りたい あたしも一緒に入りたい

あたしも一緒に行く (明)母さん 母さん

(初乃の泣き声)

それではですね 間もなく 通夜となりますので➡

ひつぎを…

(初乃のすすり泣き)

初乃ちゃん (初乃のすすり泣き)

明君 (初乃のすすり泣き)

明君… (初乃のすすり泣き)

(池田)いいかな?

(初乃のすすり泣き)

お願いします

(初乃のすすり泣き) (池田)お蓋を

男性の皆さん お手を添えてください

あっ お願いします

(為夫のせきばらい)

(男性)お願いします

おい おい!

(池田)それでは 静かに下ろしてください

(すすり泣き)

すまん

ありがとう

(雨の音)

「春の日や➡

山は きつねの嫁入り雨」

(すすり泣き)

(雨の音)

(吉晴)紘ちゃん 頼むよ

初乃と 明 ちゃんと 見守ってやってくれよな えっ?

お前 やることやったんだから➡

あっちで おやじに 酒でも ついでもらえ なっ

♬~

(クラクション)

(すすり泣き)

♬~

雨 やみますかね?

♬~

(土を掘る音)

う… よいしょ

(何かに当たる音) あっ

何か当たったぞ ああ

見えた ああ

う…

フッ フフッ

缶ピーだよ ああ

フフフ…

フッ フフフッ

生徒手帳ある ハハハ…

あっ

ハァ これ 海で撮った写真だ

海? うん

卒業式の夜 俺が誘っただろ?

お前ら どうしようもねえから

ああ あのとき うん

俺 ポラロイド持ってったから

ふざけて撮ったのに➡

何か 今 見ると…

ガキで バカだったな

今も変わらずだよ

これ 戻そうか

まだ 続くんだから

ああ

ハァ…

続くんだから

♬~

フッ 何か➡

映画みたいだな フフッ フフッ

また 会おうや ああ

こんなこと あるんだな

気付いたよ

何を? お前には分かってること

じゃあな (バスの警告音)

♬~

「こっちも世界」

♬~

((で… 何で 二等辺三角形?))

((お前らに 気 遣って 俺が 小さく出たわけよ))

((あっ そう))

♬~

(明)この窯 どうするの?

(初乃)自分で考えなさい

(明)マジっすか?

(初乃)ガチ マジっすよ

(明)ボクサーも いいかなって 思ったんだけど

(初乃)ボクサー?

(明)母さんが 「根性なし」って言うからさ

(初乃)フッ あんたには絶対 無理

(明)あっ そう

[ケイタイ](アナウンス:女性)1件の 新しいメッセージがあります

[ケイタイ]1番目のメッセージです

[ケイタイ](留守電)あっ 今 移動中かな?

[ケイタイ]もし 帰りに スーパーで さんまを買うなら➡

今日は さんまじゃなくて…➡

ん~ さばが いいかな

[ケイタイ]じゃあ 同窓会 楽しんで

[ケイタイ](留守電)あっ たばこ吸ってるの バレてます

♬~

♬~

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