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いらっしゃいませ! お弁当 温めますか?
いや そのままで。 はい。
これ 使える?
はい お使いになれます。
じゃあ。 かしこまりました。
はい。
あっ… 昨日は どうも。
ありがとうございました!
あっ…。
≫お客さん!
これ… お忘れです。
わざわざ 店から? まだ30円 残ってますから。
それと… よろしければ どうぞ。
ありがとう。 また いらしてください。
では。
そのカード ピカピカ光って きれいですね。
よう ケンちゃん。 頑張れよ。 ありがとうございます。
ここ ここ。 ねえ やめようよ…。
大丈夫 大丈夫。 絶対 やばいって。
来いって。 大丈夫だから。 本当に やばいって…。
こっち こっち。 ここ…。 絶対 やばい…。
どけ!
なんだよ…。 何? あれ…。
ねえ やっぱ やめようよ…。
大丈夫だから… 大丈夫 大丈夫。
なんだよ? あれ。 わかんない…。
嘘…!?
たまに行くコンビニの 店員なんですけど→
いつも全力投球って感じで すがすがしいんですよ。
こんな世知辛い世の中でも いるところには いるんですね→
ああいう 昭和の高校球児みたいな青年。
それはそうと このカード→
特に光ってはいませんがね。
いや… そこは どうでもいいでしょう。
暇か? おはようございます。
おはようございます。 おはよ。 ちょっと ごめんよ。
例のダブル不倫 女優のほうが 会見やるらしいんだよ。
気になっちゃってさ…。
「コンビニエンスストア店員の 森山健次郎さん 25歳と見られ→
現場の状況から 警察は 殺人事件と見て…」
ここじゃねえな…。 あっ ちょっと。
なっ… なんだよ?
「森山さんの遺体は 頭から 血を流している状態で発見され→
遺体のそばには→
ボウリングで使用するピンが 落ちており→
警察では このボウリングのピンで…」
君 もしかして…?
ええ。
やはり なんでもかんでも 事件に首を突っ込むのは→
どうかと思いますがねぇ。
いいじゃないですか どうせ 暇なんだし。
それに こんな好青年が殺されたんです。
放っとけません。
森山健次郎 25歳。
身寄りは… 兄が1人だけですね。
あっ… 金融コンサルタント会社経営か。
若いのに社長なんて 結構なやり手みたいですね。
特命係が こんなところで→
何をしてるんですか?
冠城くんが この事件に 興味があるというもので。
興味!?
捜査はね 夏休みの自由研究じゃないんだよ。
うまい事 言いますね。
特命係の出番なんかない。 もう 犯人の目星もついてる。
そうですか。 どのような目星でしょう?
諦めて お帰り頂けるよう 説明して差し上げろ。
もう…。
被害者の森山健次郎さんは 2年前→
逃げる途中の窃盗犯 宍戸洋介と 出合い頭にぶつかって→
入院までしています。
その時の 森山さんの証言で 宍戸は実刑を食らったんですが→
その宍戸が 今回の現場付近で 目撃されているんですよ。
宍戸は 1週間前に 仮出所したばかりで つまり…。
お礼参りで 森山健次郎さんを殺害した。
そういうわけなんで どうぞ お引き取りを。
でも 変ですね。 仮出所したばかりで→
そんなにすぐに 捕まるような事しますか?
また刑務所に逆戻りです。
よほど腹に据えかねたんだろう。
それに そもそも 被害者が なぜ ボウリング場に?
宍戸に呼び出されたからって 素直に行くとは思えませんが…。
そんな事は 宍戸を捕まえてから じっくり聞けば わかる事だ。
これ…→
なんでしょう?
仕事のメモじゃないですかね?
大中小の「中」とか。 コンビニの店長の話だと→
被害者は 手にメモする癖が あったそうですから。
なるほど…。
何が気になります?
ええ これなんですがね。
回転式のボールペンのようですが よく見ると ペン先の部分が→
出されたままに なっているんですよ。
となると この 手のひらに書かれた文字は→
殺される直前に書かれた可能性が ありますねぇ。
つまり これは ダイイングメッセージ。
あくまで可能性ですがね。
以前は ご兄弟で こちらに?
ええ。
私が大学生 あいつが小学5年生の時に→
両親が事故で亡くなりまして。
それから10年ほど 両親が残した この家で暮らしました。
私は 4年ほど前に 今のマンションに移ったんですが→
あいつは どうしても ここがいいと言って。
そうですか…。
健次郎さんは あなたとの思い出を→
大切になさっていたようですねぇ。
私が 幼い頃から 親代わりでしたから。
優しい奴でしたが あいつは弱虫で→
よく泣いてました。
何かあっちゃ お兄ちゃん お兄ちゃんと→
私のあとばかり ついてきて…。
お兄さんの事 頼りにしてたんですね。
こんな事になるなんて…。
何か 心当たりありませんか? 弟さん 誰かに恨まれていたとか。
そんな…!
兄の私が言うのもなんですが→
弟は 誰にでも優しくて みんなに好かれてました。
バイト先でも うまくやっていたようですし…。
中学を卒業して すぐに→
今のコンビニで アルバイトを始めたようですね。
勉強が大の苦手だったんです。 それで 早くから働きに出て→
少しでも迷惑を かけないようにしたいといって→
今のコンビニに。
そうですか。 あっ ところで…。
こんなものが→
健次郎さんの手のひらに 書かれていたのですがね。
何かの記号…→
あるいは 漢字の「中」という字にも 見えますが。
健次郎さんの周りに 名前に「中」がつく方など→
いらっしゃいませんか?
心当たりがあるんですね?
ああ… はあ…。
中井さんには 1年ほど前から→
うちで働いてもらっています。
健次郎の事で 聞きたい事があるそうだ。
なんでしょう?
真一郎さんに伺いましたが→
あなたは 元々 健次郎さんの お知り合いだったそうですねぇ。
1年半ほど前です。
私 派遣社員として 別の会社で 働いていたんですが…。
落とし物ですか?
えっ? ええ…。
多分 この辺りに キーホルダーを…。
ああ… 会社に電話しないと。
もしもし 中井です。
すみません… 落とし物をしちゃって→
戻りが少し遅れてしまいます。
あの…。
1人で捜すより→
2人で捜したほうが 見つかりますよ。
私が帰ったあとも 捜してくれてたんです。
≪中井さん 1番に電話です。 はい。
お電話 代わりました 中井です。
「キーホルダー 見つかりましたよ!」
えっ…。
それから親しくなって→
お兄さんの真一郎さんとも 知り合いになって→
1年ほど前から ここで 働かせてもらっています。
親しくなった…。
つまり 健次郎さんとは 恋愛関係だった?
いえ…。
告白は された事は ありましたが…→
人間的には 素晴らしい人でしたけど→
恋愛の対象とは…。 彼とは それで→
わだかまりが 出来てしまったとか…。
いいえ。 なぜ そんな事を?
これなんですがね…。
彼が殺される直前に書いた 可能性があるんです。
「中」という字にも見える。
中井小百合さん あなたの名前にも 「中」がつきますよね。
私を疑ってるんですか?
私が ケンちゃんを殺すわけ ないじゃないですか!
それは 私も保証します。
告白のあとも 健次郎は→
ごく普通に 彼女に接していましたし→
彼女に 健次郎を殺す理由がありません。
では 最後に もうひとつだけ。
鍵を拾った健次郎さんは あなたの会社に連絡をしてきた。
あなたが会社の番号を教えた という事でしょうか?
いいえ。 それが不思議なんです。 特に名乗ってもいませんし…。
ケンちゃんに聞いてみても 笑って答えてくれなくて。
そうですか…。
ケンちゃんには いくつか 不思議な事がありますねぇ。
君のカードが光って見える と言ったかと思えば→
教えてもらってもいない 小百合さんの会社に→
電話をかけてきたり…。
そこ 気になりますか?
ええ もうちょっと 調べてみましょう。
益子さん…。
あれ?
いませんね。
あっ!
これ 例の事件の物のようですねぇ。
ええ そうですねぇ。
ああ~ ちょっと ちょっと…!
ケンちゃんの預金通帳ですねぇ。
おや? ここ4カ月ほど ニシゾノ印刷という会社から→
月々10万ずつ 振り込まれていますねぇ。
印刷会社?
コンビニひと筋で働いてきた ケンちゃんが→
全く畑違いのところで 働き始めていた…。
ちょっと気になりますねぇ。 ええ。
おっ… お前ら 何やってるんだ?
いやあ ちょっと お願いがあって来たんですけど→
ちょっと留守だったもんで…。
お願いってなんだよ? いえ もう済みましたので。
どうもありがとう。 えっ?
おいおい… なんか 勝手に触ってないだろうな?
それから いい釣りの穴場 聞いたんで→
ちょっと教えますよ。 なんか 釣れるらしいですよ!
ったく…。
穴場か…。
うわっ ギリギリだ…。 間に合うでしょう。
≪おはようございます。
やはり こういう事でしたか…。
ちょっと お話を。
なんで 森山くんが殺されるの?
それを今 調べているところです。
いい子だったよ。 真面目でね。
残業 頼んでも→
嫌な顔ひとつしないで 引き受けてくれてさ。
彼が ここで働き始めたきっかけは なんだったか→
ご存じありませんか? さあ…。
お金じゃないの?
深夜の印刷工場ってのは 時給 高いから。
なるほど… お金ですか。
ところで この工場に→
「中」がつく名前の方は いらっしゃいませんか?
中?
うちには いないと思うけどなあ。
この「X」と書かれた日→
森山さんが 最後に出勤された日ですねぇ。
ちなみに この「X」というのは→
どのような作業 だったのでしょう?
言えないから 「X」なの。
こっちにも 依頼主への 守秘義務ってのがあるから。
あっ…。 ねっ!
でも 事件とは関係ないよ! ただの印刷だから。
危ないですよ。
あっ お疲れ。
こっちです。 あっ…。
つまり 健次郎さんが好きだった 小百合さんを→
兄のあなたが横取りした という事ですか?
いや… そんなつもりは。
仕事の相談に乗ってもらったり しているうちに 自然と…。
健次郎さんは そういう2人の関係を?
知らなかったと思います。
あいつの気持ちを考えると 言えませんでした。
いや しかし そういう事って 普通 わかるんじゃないですか?
いえ 彼女に交際を断られた時も…。
小百合さんにフラれちゃって…。
また いい人 見つかるさ!
そうかな? ああ そうだよ。
そうだよね! 兄さんの言う事なら 間違いないよね。
ですから 最後まで→
あいつは 私たちの事は 疑っていなかったと思います。
そうですか… あの2人は そういう関係でしたか。
もし ケンちゃんが それを知っていたとしたら→
心中 穏やかじゃなかったはずです。
その辺り トラブルがなかったか もう少し調べてみます。
右京さん 今 どこに?
慶明大学に来ています。
中垣教授でいらっしゃいますか?
どなたかな?
森山くんの事なら よく知っています。
ニュースを見て 惜しい才能をなくしたと→
服部くんと ショックを受けていたところです。
ええ…。
惜しい才能… といいますと?
1年ほど前になりますか→
森山くんは モグリの学生として 私の授業を受けに来ていました。
とても熱心だったんで 黙認していたんですが…。
今日は ここまで。
先生… 質問 いいですか?
ああ。 あの ここなんですが→
この証明 別の方法もあると思うんです。
僕 ちょっと考えたんですけど…。
まずですね 両辺を -1のn+1乗で割るんです。
そうすると これ ただの等差数列になるんです。
驚きました。
彼は 我々には考えつかない ユニークな発想を持っていたんです。
そこで 研究室に呼んで 能力を確かめると…。
めったにない逸材だと 確信しました。
本人も もっと数学を 勉強したいと言うので→
この研究室に通うように勧め→
服部くんに 教育係を頼んだんです。
彼は 新しい理論を教えるたび→
スポンジのように 吸収していきました。
それに 問題も ほぼ瞬間的に記憶し→
解いてしまうんです。
瞬間的に… ですか。
将来は 研究者になりたいという 希望も持っていたようです。
なのに こんな事になるとは…。
なるほど。 それで 「惜しい才能を」と。
あっ! そうそう…。
これは 健次郎さんが 殺される直前に書いたものだと→
思われるのですが…。
何を表しているか おわかりでしょうか?
空集合ですね。
あるいは オイラー関数のφ もしくは ゼロスラッシュ。
さすが! お二人は数学者ですねぇ。
我々は これを…→
「中」という字かと思っていました。
なるほど。 いやあ お忙しいところ ありがとうございました。
あっ!
申し訳ない… 最後に もうひとつだけ。
ここに 4つの数学の問題が 書かれています。
これは 先生が お出しになった問題ですか?
いえ 私では…。
僕も知りません。
そうですか…。
大学で数学?
ええ それも かなりの才能の 持ち主だったようです。
えっ… すげえな!
ケンちゃん 一体 何者なんだ?
となると 手のひらに書かれていたのは→
数学の記号なのかもしれません。
オイラー関数のφ または ゼロスラッシュ→
あるいは 空集合。
空集合…。
集合論の概念です。 う~ん 例えば→
身長が5メートル以上の人間の 集まりっていうふうに→
当てはまるもののない 集まりの事なんです。
女将さん…!
そういえば 幸子さんは 数学が お好きでしたねぇ。
ええ… 趣味として たしなむ程度に。
たしなむ…。
しかし あれが「中」だという線も 消えてませんよ。
おや 何か収穫でも?
誰に聞いても 仲のいい兄弟だった という証言ばかりでしたが→
何しろ 兄貴は 弟が好きになった女と→
付き合ってるわけですから…。
まあ あの兄弟の関係は→
そう単純なものではない という事かもしれませんね。
真一郎さんが 中井小百合さんを かばっている事だって→
十分に考えられる。
それと ここにも「中」がいますよ。
ええ 確かに 中垣教授には 引っかかるものがありました。
このノートの最後に書かれている 4つの問題を見せた時→
教授は 明らかに 動揺していましたからねぇ。
でも 変じゃないですか?
ケンちゃんは 勉強が まるで出来なくて→
進学も諦めたはず。
彼は 確か 2年前に 入院していましたねぇ。
ええ 窃盗犯の宍戸と ぶつかった時に。
それが 何か?
いえ…。
お忙しそうですね。
なんですか?
この間の ボウリング場の事件の被害者→
2年前の窃盗犯の 目撃証言してるよな?
その時の詳しい状況を知りたい。
困りますよ 僕が特命に 協力してるなんて わかったら。
でしょうねぇ。 では 場所を変えましょう。
2年前の11月20日 深夜→
宍戸洋介が貿易会社に侵入。
金品を奪って 自転車で逃走する途中…。
うわっ!
痛い…。
あっ 痛え…。
ああ…。
痛…。
ああ… 金…!
あっ…。
大丈夫ですか…?
森山健次郎は その後 入院。
宍戸の容姿と所持金額が 98万円だった事を証言し→
それが事実と合致していたため 宍戸は逮捕された。
こんなところですが。
今 98万円と言いましたね?
ええ。 100万円の束から あらかじめ2万円が抜かれていて→
盗まれた現金は 98万円だったんですよ。
なるほど。 じゃあ 僕は これで。
あっ くれぐれも…。 わかってます。
ご協力 感謝します。
あっ でも 今さら無駄だと思いますよ。
逃げていた宍戸 今朝 確保されましたから。
すでに 一件落着ですよ。
「俺は殺していない」
「じゃあ なんで あの夜 あのボウリング場にいたわけ?」
「あなたは見られてるんだよ」
「まさか お散歩していた なんて言わねえよな?」
「あいつに どうしても聞きたい事があった」
だから あいつの家に行ったんだ。
行ってみたら→
玄関から出てくるのが見えて 追いかけたんだ。
見失って捜していたら…。
≪
あっ…! おい…。
嘘だろ おい…。
本当だ! 殺したのは俺じゃない!
お前な!
そんな言い訳が通じるとでも 思ってるのか!
ああ もう…。 いつも いつも もう…!
これは失礼。 1分かからないので。
ねっ? 「ねっ?」じゃねえよ。
あなたが 森山さんに どうしても聞きたかった事とは→
100万円の束の事では ありませんか?
もう聞いてるし。 一万円札の束が→
バラバラになったにもかかわらず なぜ 98万円と証言出来たのか。
ああ。 100万円の束から 2枚抜かれていたなんて→
わかるはずがないんだ。
あとで 警察が俺を陥れるために 教えたに決まってる!
それを確かめたかったんだよ!
つまり 全ては一瞬の出来事で→
98枚もの札を数えるなど 不可能な状況だった。
そういう事ですね? ああ そうだよ!
そうですか。 どうもありがとう。 はい 59秒。
1分かかりませんでした。 失礼します。
不思議な事が またひとつ増えましたね。
なぜ ケンちゃんは→
ばらまかれた一万円札の 枚数がわかったのか。
君 例のプリペイドカードを まだ持っていますか?
ええ。 30円残ってますから。
調べてみてください。 調べる…?
右京さんが言ったとおり この番号 素数です。
そうですか。 やはり素数でしたか…。
何をしてるんです?
例の問題を解いてみようと 思いましてね。
そろそろ 種明かししてもらえません?
ケンちゃんが 一体 何者なのか→
右京さん 見当がついてるんでしょ?
あくまで推論ではあるのですが…。
彼が光って見えると 言っていたのは→
この素数の事。
それは 恐らく 彼が 共感覚を持っていたからでしょう。
共感覚というのは→
文字や数字に色を感じたり 音や形に味を感じたりする→
特殊能力の事です。
そのような感覚を 持っている人たちの中には→
この素数が光って見える場合が あるようですよ。
…で? さらに 彼は→
数学の問題を一瞬にして記憶し 解いてしまう能力があり→
バラバラになった札を→
瞬時に目に焼きつけ 数える事が出来た。
それらを考えると 彼の正体が見えてきます。
つまりは…→
サヴァン症候群。 サヴァン症候群って→
見たものを瞬時に記憶したり 計算機のように暗算が出来たり→
超人的な能力を 持つ人の事ですよね?
でも 誰も そんな事を 言ってませんでしたよ。
兄の真一郎さんだって…。
子供の頃から一緒だった 真一郎さんが→
知らないはずがないでしょう。
ですから 生まれつきではなかったのですよ。
恐らく 彼がサヴァンになったのは 2年前の事故によってでしょう。
2年前の事故で 特殊な能力を身につけた彼は→
数学に興味を持ち 大学に通ううち→
才能を見いだされて その能力に磨きをかけた。
教わってもいない 小百合さんの会社に→
電話をしてきたのも→
スマホの画面に浮かんだ 電話番号を→
一瞬にして 記憶したからでしょうねぇ。
で 右京さんは→
彼のそんな特殊能力が原因で 今回の事件が起きた→
そう考えてるんですよね? この問題も それに関係してると。
解けました。 えっ? もう解けたんですか?
ええ。 1問を除いては。
これ 解けたって言います? 言いませんねぇ。
しかし 解けないからこそ→
事件の謎が解けたんです。
こんな事は 本学始まって以来の不祥事です。
部外者を学内に招き入れた責任を どう取るおつもりですか→
中垣教授!
なんですか? あなた方は。
警視庁 特命係の杉下と申します。 冠城です。
どうか ご無礼をお許しください。
しかし どうしても 皆さんに 確認して頂きたい事がありまして。
これは 先日の事件の被害者 森山健次郎さんのノートです。
ここに書かれている4つの問題。
これは この大学の→
来年の数学の入試問題では ありませんか?
ああ… やはり そうでしたか。
入試問題が盗まれたとあっては 大学としては一大事。
それで こうして 理事長 学長 入試担当の責任者が→
お集まりになっていらっしゃる。
大丈夫です。
他には漏らしませんから ご安心を。
そのとおりです。
しかし なぜ それが 入試問題だと わかったんです?
どこから漏れたかも わかっているんですか?
森山さんは4カ月前から とある印刷所で働いていました。
その印刷所は この大学と 取引のある印刷所でした。
しかも 彼が殺される前日 その印刷所では→
極秘の印刷作業が 行われていました。
そこで入試問題が盗まれた 可能性が高い。
我々は そう考えてます。
いや それはあり得ません。
入試問題の印刷は 厳重に管理されています。
盗み出す事など不可能です。
普通なら不可能でしょう。
しかし 森山さんならば どうでしょう?
問題を人に知られずに→
記憶として 盗み出す事が出来たはずです。
健次郎が入試問題を?
ええ。 働いてた印刷工場から 盗み出していました。
本人から 何か聞いていませんでした?
いいえ… 何も。
しかし あなたは 健次郎さんから 信頼されてましたよね?
ええ…。
生活費のために バイトを掛け持ちして→
帰ってきて あいつに飯を食わせて 勉強を見てやって…。
青春をあいつに捧げたと言っても いいぐらいです。
そうですか。 それほどの関係となると→
健次郎さんは あなたの言う事は なんでも受け入れた…。
どういう意味です?
健次郎さんは 入試問題を盗んでいました。
目的は 不正入学に使うためでしょう。
だとすると 彼が単独でやったとは 考えにくい。
それを させた人物がいるはずなんです。
それが 私だと?
調べてみたんですが→
この計画が始まったと思われる 4カ月前→
この会社 相当 資金繰りに困っていたようですね。
だからって…。
大体 試験問題なんて→
そんな簡単に 盗めるものではないでしょう?
それが出来るんですよ。 健次郎さんは→
数学の問題を一瞬にして記憶し 解いてしまうという→
特殊能力の持ち主でした。
あなたは それを利用して 入試問題を盗ませるために→
彼を印刷所へ 送り込んだんじゃありませんか?
お認めになりますね?
はあ…。
会社が危なかったんです。
あのままいけば 確実に倒産だった。
必死に頑張って ようやく ここまできたんです。
潰すわけにはいかなかった…。
そんな時でした。
相手は 不正入学のブローカーだと 名乗った。
健次郎には特殊な才能がある。 それを利用すれば 金になると。
すぐに 前金が振り込まれました。
ただのいたずらではなかった…。
私は健次郎を呼んで→
本当に そんな才能があるのか 確かめたんです。
そしたら…。
お前 なんで黙ってた?
本当の研究者になれたら 言おうと思ってたんだ。
兄さん そのほうが喜ぶと思って…。
健次郎 俺の事を助けてくれ。
えっ…?
最初は戸惑っていましたが→
会社が危ないと言うと 最後は納得してくれました。
しかし 入試問題の印刷があった夜…。
ノートに写したけど…→
置いてきた…。
健次郎!
お前 俺の言う事 聞けないのか!
今まで お前のために 俺が どんだけ苦労したと思ってんだ!
ごめんなさい…。 おい 健次郎…!
ごめん 兄さん… やっぱ 無理だよ…。
健次郎!
なるほど。 やはり そういう事でしたか。
本当の事が言えず すいませんでした。
でも 殺したりなんかしてません。
弟と会ったのは その夜が最後なんです。
ええ わかっています。
犯人は あなたと健次郎さんを 事件に巻き込んだ人物…。
…ですね。
今日は なんのご用でしょう?
ご報告に。
ようやく 健次郎さんの手のひらの 記号の謎が解けたので。
実は 例の入試問題を 解いてみたのですが→
ひとつだけ 解けない問題がありました。
いや 正確には 問題は解けたのですが→
答えの選択肢に正解がなかった。
つまり 出題ミスがあったという事です。
まさか…。
当然 健次郎さんは その事に気づいたでしょう。
彼は 殺される直前→
犯人の前で この問題を解いたと 考えられます。
その時 選択肢に正解がないと わかった彼は パニックに陥った。
そして いつもの癖で→
この記号を 手のひらに書いたんです。
そうだとすると この記号の意味は→
漢字の「中」でも オイラー関数のφでも→
ゼロスラッシュでもありません。
空集合。
そう 当てはまるものがない という意味だったんです。
そう考えた時 一人の人物が思い浮かびました。
その人物は 一見しただけで 空集合と即座に答え→
他の可能性には言及しなかった。 それは なぜか?
死の直前の健次郎さんと会い→
この記号の意味を 知っていたからなんですよ。
その人物とは…。
あなたです 服部さん。
空集合ですね。
えっ? ちょっと待ってください。 それって言いがかりですよ。
健次郎さんのお兄さんの 銀行口座に→
不正入試ブローカーを名乗る 男から振り込まれた→
前金の記録が残っていました。
今 その金が振り込まれたATMの 防犯カメラ 調べてもらってます。
誰が振り込んだのか じきに わかります。
そっか~。
バレてしまったみたいですね。
服部くん… なぜ そんな事を?
なぜ? 大学は僕の才能を 認めなかったじゃないですか。
僕より若い奴が何人も 准教授になってるっていうのに→
この年で 僕は講師のまま?
講師の給料がどれくらいか あなたなら知ってますよね?
だからって 不正入試を…?
森山くんを 利用させてもらったんですよ。
失敗した?
弟が どうしても教えられないと。
なので 頂いたお金は お返しします。
そんな事で 諦めるわけにはいかないですよね。
君は 研究者になって お兄さんを喜ばせたいんだろ?
僕が力になる! だから 問題を書き出すんだ。
んっ…。 出来ません!
だったら 警察に通報するよ?
僕が指示したという証拠はない。 そうなれば 君のお兄さんは…?
犯罪者だ!
大好きなお兄さんが 犯罪者になってもいいのか?
どうした?
何してる?
おかしいんです この問題。 えっ?
選択肢に答えがないんです。
ハハハ… そんなはずはない。
これの どこがおかしいんだ?
わからないんですか? おかしいじゃないですか。
n引く1, 1から右へ動く場合と n, 0から上です。
x軸上にあるが まだ考える必要がある。
n, 0へは n引く1, 0から 右へ動く必要があるわけです。
あいつは僕をあざ笑った。
凡人だと あざ笑った。
あざ笑ったんだ!
ハハハッ…!
僕は ずっと 神童って言われてたんだ。
凡人なんかじゃない!
なのに 大学も あいつも みんな 僕を馬鹿にするんだよ。
てめえ…!
冠城くん! 冠城くん…!
そうですか…。 犯人 捕まりましたか。
あなたも窃盗の容疑で 事情を聞かれる事になります。
ひとつだけ わからない事があります。
あなたの会社 確かに 4カ月前まで火の車だった。
しかし そのあと 大口の顧客がついて→
倒産の危機は脱しましたよね?
なのに なぜ 計画を 中止にしなかったんですか?
あいつを…→
認めたくなかった…。
認めたくなかった…? 弟でしょ?
弟だからですよ!
あいつは 優しいだけが取りえの→
人より優れたところなんて なんにもない奴だった。
私は→
そんな出来の悪い弟の面倒を見る 優秀な兄という役割だった。
それが 心地良かった…。
それが ある日 突然 特殊な能力を持った。
大学の研究者になるって? …冗談じゃない。
今度は 俺が見下される…。
それだけは許さない。
だって あいつを育てたのは 俺なんですよ!
だから… 犯罪に手を染めさせた。
もしかして 小百合さんの事も…?
あいつの気持ちを知ってて→
取り上げてやったんです。
あなたね…。
兄弟というものは 時として→
本人たちにしかわからない 複雑な感情を→
もたらすものなのかもしれません。
しかし あなたの そんな思いが→
弟さんが命を落とす きっかけを作りました。
その罪を あなたは→
一生 背負っていかなければ なりませんねぇ。
おわかりでしょうが。
彼は 周りのたくさんの方に 愛されていたようですねぇ。
ええ。
じゃあな。
君 そのカード…。
これ見るたびに あいつを思い出しますね。
そのうち 数字が 光って見えるかもしれませんよ。
警察学校内での事件なんだ。
絶対に首を突っ込むな!
冠城くんは 被害者の生徒だったそうですね。
樋口教官の娘さん。
捜査がありますので失礼します。
杉下警部! なんだか昔に戻ったようですねぇ。
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≫こんばんは。
≫「相棒」から 「報道ステーション」です。
まずはこちらからお伝えします。
今日の午後ですね タイのアユタヤ遺跡
世界遺産ですね、その近く
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